JP6785093B2 - 支柱及び津波バリア - Google Patents
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Description
津波バリアは、例えば、地面に立設された複数の支柱鋼管と、これらの支柱鋼管に支持される捕捉用スクリーンとを備えており、支柱及びスクリーンで漂流物等の流入、荷物の流出を阻止するとともに、衝撃を吸収することができる。
津波バリアは、陸に載置された荷物の周囲への流出を避けるため、荷物の載置スペースの周囲を囲むように設けられることが多い。
津波や高潮が発生した場合、波の力によって流されてきた物体は、支柱鋼管200及びワイヤロープ300によって捕捉されるようになっているが、漂流した物体が支柱鋼管200に衝突した際の衝撃は、支柱鋼管200が変形することにより吸収される。
図6(b)、(c)に示したいずれの場合でも最悪の場合、ワイヤロープ300が破損により破断することになり、津波バリアの機能が喪失することも想定される。
図1は、津波バリアを説明する図である。図2は、支柱の第1の実施の形態に係る案内部の構成を説明するための図であり、(a)は支柱の斜視図であり、(b)は案内部の拡大図である。図3は、図2に示した第1の実施の形態に係る案内部が変形したときの状態を示す部分断面図であり、(a)は案内部に圧縮力がかかった状態を示す図であり、(b)は案内部に引張力がかかった状態を示す図である。
津波バリア1は、荷置きスペースSを完全に囲むものではなく、仮置きされた荷物Cを搬出したり、荷置きスペースSに荷物Cを搬入するために車両が通行するゲート11が設けられている。
津波バリア1は、複数の支柱2と、スクリーンとしてのワイヤロープ3とを備えている。
支柱2は、直線上に並ぶように地面に立設されており、その途中で並び方向が変えられている。すなわち、並び方向が変わる箇所が津波バリア1の角部となる。津波バリア1は矩形状に形成されているため、4つの角部を有するように支柱2の並び方向が4箇所で変えられている。
これらの複数の支柱2には、ワイヤロープ3の端部を支持する端部支柱2aと、端部支柱2aとの間に配置され、ワイヤロープ3を支持する中間支柱2bとがある。
端部支柱2aは、ゲート11を構成する支柱、津波バリア1の角部を構成する支柱として用いられており、これらの端部支柱2a以外の支柱は全て中間支柱2bであり、端部支柱2a間に所定の間隔をあけて配置されている。
端部支柱2aは、ワイヤロープ3に作用する張力等に耐えられるよう、ワイヤロープ3の途中を支持する中間支柱2bよりも強固に構成されている。具体的には、端部支柱2aは、中間支柱2bよりも大径かつ肉厚であり、端部支柱2aと同じ形を有し地中に埋め込まれた杭基礎部(図示せず)に溶接により連結されていたり、端部支柱2aよりも大きな径を有し地中に埋め込まれた管状の杭基礎部(図示せず)に部分的に挿入されて固定されている。
ここで、端部支柱2aは、当該端部支柱2aに衝突した漂流物等の衝突エネルギーを変形で吸収するように設計されている。中間支柱2bは、当該中間支柱2bに衝突した漂流物等の衝突エネルギーを変形で吸収するように設計されているが、ワイヤロープ3の伸びによる衝突エネルギーの吸収によって軽減される。
支柱2は、管状の本体部21と、管状の案内部22とを備える。
本体部21は、基礎である地面に立設されている。本体部21は、円筒状に形成された鋼管である。本体部21には、直径方向に対向して配置されている一対の貫通孔21a,21aが形成されている。一対の貫通孔21a,21aは、本体部21の軸線方向に沿って複数設けることができる。貫通孔21a,21aには、ワイヤロープ3が挿通される。
案内部22は、2つの固定部22a,22aと、当該2つの固定部22a,22aを互いに直列に連結する衝撃吸収部22bと、を有する。ワイヤロープ3は、固定部22a、衝撃吸収部22b、固定部22aの順にこれらの内部に摺動可能に挿通されている。
また、固定部22aの一端は、貫通孔21aに挿入された状態において貫通孔21aに溶接により接合されていてもよい。
なお、2つの固定部22a,22aは、互いに対向する端部同士の間に所定の間隔だけ離間されて衝撃吸収部22bによって連結されている。
特に、衝撃吸収部22bを弾性部材によって形成することにより、あらゆる変形状況に応じて衝撃吸収部22bが追随して弾性変形するので、ワイヤロープ3に大きな負荷を与えることがなくなり、好ましい。
ワイヤロープ3は、津波や高潮の発生時に、海から陸に押し寄せる押し波による船舶や漂流物の陸への流入、引き波による荷置きスペースSの荷物Cの海への流出を防止するため、波によって流される物の捕捉体となるスクリーンを形成するものである。
図2に示すように、ワイヤロープ3は、例えば、並べられた各支柱2に複数通される。各ワイヤロープ3は、各支柱2の軸方向に直交する水平方向に沿うように各支柱2内に設けられた案内部22に挿通されている。各ワイヤロープ3は、その延在方向が互いに平行となるように架設されている。
ワイヤロープ3の両端部は、端部支柱2aに取り付けられている。ワイヤロープ3の端部には、ねじ山が形成されたボルトがワイヤロープ3と同軸上に設けられており、端部支柱2aの内部を通したワイヤロープ3のボルトをワッシャとナットで締結することにより、ワイヤロープ3を端部支柱2aに取り付けることができる。
次に図3を用いて、案内部22の作用について説明する。
図3(a)に示すように、例えば、支柱2の本体部21に貫通孔21a側から衝撃が加わり支柱2が変形した場合、案内部22には圧縮力が加わる。このような圧縮力に対して衝撃吸収部22bは、その可動域が制限されることなく曲がる等の変形をして、固定部22a,22aに対して自在継手のように機能する。
かくして、衝撃吸収部22bが積極的に変形することにより、支柱2の変形に伴って固定部22a,22aに加わる衝撃を衝撃吸収部22bで吸収することができ、案内部22が従来の案内部材210のように屈曲する(図6(b)参照。)ことを防ぐことができる。
支柱2が衝撃を受けて変形した場合であっても、衝撃吸収部22bが変形することにより、ワイヤロープ3は衝撃吸収部22bにおいて局所的な負荷を受けずに案内されている。
本体部21と固定部22a,22aとの接合部分の破断が防がれることにより、ワイヤロープ3が当該破断した部分に接触することはなく、また、貫通孔21aを通じて外部から水分が浸入及び支柱2内部の腐食も確実に防ぐことができる。
これに対して、漂流物等が衝突した場合、案内部22の衝撃吸収部22bが積極的に変形等するので案内部22が支柱2の変形を阻害することはなく、支柱2は、衝突エネルギーを吸収するために阻害なく変形することができる。
なお、案内部22全体が衝撃吸収部22bにより形成されていてもよい。
本体部21及び案内部22の断面形状は、円形に限られず、角形等の他の形状を有していてもよい。
次に、図4により支柱2の第2の実施の形態に係る案内部42について説明する。なお、上記実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。また、第2の実施の形態に係る案内部42は、少なくとも第1の実施の形態に係る案内部22と同じ作用、効果を奏する。
図4は、第2の実施の形態に係る案内部42の構成を説明する図であり、(a)は変形していない状態の案内部42を示す図であり、(b)、(c)は変形した状態の案内部42を示す図である。
図4(a)に示すように、第2の実施の形態に係る案内部42は、2つの固定部42a,42aと、当該2つの固定部42a,42aを互いに直列に連結する、ベローズ(蛇腹)等の伸縮自在な衝撃吸収部42bと、を有する。ワイヤロープ3は、固定部42a、衝撃吸収部42b、固定部42aの順にこれらの内部に摺動可能に挿通されている。
固定部42aは、第1の実施の形態に係る案内部22の固定部22aと同じ構成であるので、固定部42aの説明は省略する。
衝撃吸収部42bは、固定部42aに連結されており、例えば、プラスチック等の合成樹脂、金属等の膜又は板状の部材により形成されている。
次に、図5により支柱2の第3の実施の形態に係る案内部52について説明する。なお、上記実施の形態と同じ構成については、同一符号を付して説明を省略する。また、第3の実施の形態に係る案内部52は、少なくとも第1の実施の形態に係る案内部22と同じ作用、効果を奏する。
図5は、第3の実施の形態に係る案内部52の構成を説明する図であり、(a)は変形していない状態の案内部52を示す図であり、(b)、(c)は変形した状態の案内部52を示す図である。
図5(a)に示すように、第3の実施の形態に係る案内部52は、2つの固定部52a,52aと、当該2つの固定部52a,52aを互いに直列に連結する、固定部52aよりも径の大きな連結部52bとを有する。ワイヤロープ3は、固定部52a、連結部52b、固定部52aの順にこれらの内部に摺動可能に挿通されている。
固定部52aは、第1の実施の形態に係る案内部22の固定部22aと同じ構成であるので、固定部52aの説明は省略する。
連結部52bは、鋼等の金属製の管状部材によって形成されており、その内径は、ワイヤロープ3の外径よりも大きい。つまり、連結部52bの内周面とワイヤロープ3の外周面との間には隙間がある。
さらに案内部52は、連結部52bの軸線方向の両端部と固定部52a,52aとを接合する接合部52cを有する。接合部52cは、連結部52bの軸線方向の両端部と固定部52a,52aとを溶接することにより形成されている。
連結部52b自体が少し変形した場合であっても、連結部52bとワイヤロープ3との間には隙間が設けられており連結部52bがワイヤロープ3に強く当たることはほぼない。
2 支柱
21 本体部
22 案内部
22a 固定部
22b 衝撃吸収部
2a 端部支柱
2b 中間支柱
3 ワイヤロープ
Claims (6)
- 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンが架け渡される、津波バリアを構成する支柱であって、
基礎に立設される管状の本体部と、
前記本体部内に取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部と、
を備え、
前記案内部は、
前記本体部の相対する側に一端が固定され、他端の側で互いに離間された2つの固定部と、
前記案内部にかかる外力により弾性変形する又は伸縮する部材により形成されていて前記2つの固定部の他端をそれぞれ互いに連結する衝撃吸収部と、
を有する
ことを特徴とする支柱。 - 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンが架け渡される、津波バリアを構成する支柱であって、
基礎に立設される管状の本体部と、
前記本体部内に取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部と、
を備え、
前記案内部は、前記本体部の相対する側に一端が固定され、他端の側で互いに離間された2つの固定部と、該2つの固定部の他端に接合されて当該2つの固定部を互いに連結する連結部と、少なくとも部分的に衝撃吸収部と、を備え、
前記衝撃吸収部は、前記固定部と前記連結部とを接合し、前記案内部にかかる外力により前記スクリーン及び前記案内部よりも強度が低くかつ先行して破断する接合部により形成されていることを特徴とする支柱。 - 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンが架け渡される、津波バリアを構成する支柱であって、
基礎に立設され、対向して配置された一対の貫通孔が形成されている管状の本体部と、
前記本体部内で前記一対の貫通孔を繋ぐように取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部と、
を備え、
前記案内部は、
前記一対の貫通孔に固定される2つの固定部と、
前記2つの固定部の間に位置し、前記固定部よりも変形又は破壊されやすい部分である衝撃吸収部と、
を有することを特徴とする支柱。 - 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンと、
基礎に立設される管状の本体部、及び、該本体部内に取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部を有する、前記スクリーンが架け渡される複数の支柱と、
を備える津波バリアであって、
前記案内部は、
前記本体部の相対する側に一端が固定され、他端の側で互いに離間された2つの固定部と、
前記案内部にかかる外力により弾性変形する又は伸縮する部材により形成されていて前記2つの固定部の他端をそれぞれ互いに連結する衝撃吸収部と、
を有する
ことを特徴とする津波バリア。 - 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンと、
基礎に立設される管状の本体部、及び、該本体部内に取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部を有する、前記スクリーンが架け渡される複数の支柱と、
を備える津波バリアであって、
前記案内部は、前記本体部の相対する側に一端が固定された2つの固定部と、該2つの固定部の他端に接合されて当該2つの固定部を互いに連結する連結部と、少なくとも部分的に衝撃吸収部と、を備え、
前記衝撃吸収部は、前記固定部と前記連結部とを接合し、前記案内部にかかる外力により前記スクリーン及び前記案内部よりも強度が低くかつ先行して破断する接合部により形成されている
ことを特徴とする津波バリア。 - 波の力によって流されてきた物体を捕捉するスクリーンと、
基礎に立設され、対向して配置された一対の貫通孔が形成されている管状の本体部、及び、前記本体部内で前記一対の貫通孔を繋ぐように取り付けられて、前記スクリーンを前記本体部に貫通させて案内する管状の案内部を有する、前記スクリーンが架け渡される複数の支柱と、
を備える津波バリアであって、
前記案内部は、
前記一対の貫通孔に固定される2つの固定部と、
前記2つの固定部の間に位置し、前記固定部よりも変形又は破壊されやすい部分である衝撃吸収部と、
を有することを特徴とする津波バリア。
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