JP3881859B2 - 衝撃吸収ステアリング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング装置に関する。特に、自動車の衝突時の衝撃を緩和する衝撃吸収ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
衝撃吸収ステアリング装置では、衝突を受けて、ステアリングホイールを後退させながら衝撃を吸収するようにしている。このために、例えば、ステアリングコラムの一対のコラムチューブを二重構造として圧入しておき、両コラムチューブを衝突時に相対摺動させて、ステアリングコラムを収縮させるようにしている。このとき、衝突に抗する荷重としては、両コラムチューブを相対摺動させ始めるときの荷重、すなわち、初動荷重が最も高く、初動後のスライド荷重は、これより低くなる。
【0003】
ところで、近年のエアバッグ等の衝撃吸収技術の進展により、衝突時のステアリングホイールにかかる力が低下する傾向にある。このため、従来構造では、ステアリングホイールが所定の移動量を確保できず、途中で止まってしまう虞がある。そこで、初動後のスライド荷重を低くして、ステアリングホイールの所定の移動量を確保したいという要請がある。
しかしながら、初動後のスライド荷重を低くしようとすると、これとの相関関係が強い初動荷重も下がってしまい、その結果、通常使用時にステアリングコラムが収縮することが懸念される。
【0004】
そこで、本発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、通常使用時にステアリングコラムが収縮することを防止しつつ、衝突時にステアリングホイールの所定の移動量を確保できる衝撃吸収ステアリング装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
請求項1に記載の発明は、ステアリングコラムが互いに嵌め合わされる第1および第2の筒状部材を有し、車両の衝突のときに両筒状部材が軸長方向に相対摺動して衝撃を吸収する衝撃吸収ステアリング装置において、上記第1の筒状部材には、第1の筒状部材の外周に形成された凹部に対応して第1の筒状部材の径方向内方へ突出し、且つ互いに第1の筒状部材の軸長方向に離隔して配置された第1および第2の突起が形成され、第1の突起は、第1の筒状部材の開口端に相対的に近くに配置されるとともに、第2の突起は、第1の筒状部材の開口端から相対的に遠くに配置され、上記第1の突起および第2の突起のそれぞれは、第1の筒状部材の周方向に離隔して配置された複数の突起を含み、上記第2の筒状部材は、外径が相対的に大きい第1の筒部と、外径が相対的に小さい第2の筒部とを含み、第1の筒部は、第2の筒状部材の開口端に相対的に近くに配置されるとともに、第2の筒部は、第2の筒状部材の開口端から相対的に遠くに配置され、第2の筒状部材の第1の筒部が、第1の筒状部材の第1および第2の突起に締め代を有して接触する状態で、第2の筒状部材の第1の筒部が第1の筒状部材内に圧入されており、衝撃吸収のときに、両筒状部材の相対摺動ストロークが第1の所定量を超えて第2の所定量に達するまでの区間で、第1の突起が第2の筒状部材の第2の筒部に対応する位置に変位することにより、第1の突起と第2の筒状部材との接触が解除され、その結果、両筒状部材間の摺動抵抗が低下し、両筒状部材の相対摺動ストロークが上記第2の所定量を超えて第3の所定量に達するまでの区間で、上記軸長方向に関する第2の突起と第2の筒状部材の第1の筒部との接触長が一定に維持されることにより、両筒状部材間の摺動抵抗が一定値に維持されるようにしてあることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置を提供する。
【0006】
この発明によれば、相対摺動の途中から摺動抵抗を低下させるので、衝撃吸収時の初動荷重を高く確保しつつ、初動後のスライド荷重を低くすることができる。従って、通常使用時にステアリングコラムが収縮することを防止でき、しかも、衝突時にステアリングホイールの所定の移動量を確保することができる。
【0007】
具体的には、衝突当初、嵌め合いの締め代が大きい圧入状態により摺動抵抗が高くなり、また、相対摺動中に締め代が低下したりなくなったりして嵌め合いが緩くなることにより、摺動抵抗が低くなる。また、締め代が無くなる場合は、摺動抵抗を最小にできるので、ステアリングホイールの所定の移動量を確保する点で好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態の衝撃吸収ステアリング装置(以下、ステアリング装置ともいう。)を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態のステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
ステアリング装置1は、車輪(図示せず)を操向するためにステアリングホイール2の動きを伝達するステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3を内部に通して回転自在に支持するステアリングコラム4とを有している。ステアリングシャフト3の一方の端部5にステアリングホイール2が連結されている。ステアリングホイール2が回されると、その回転がステアリングシャフト3、ステアリングシャフト3の他方の端部6に一体回転可能に連結される中間軸(図示せず)等を介して、ピニオン、ラック軸等を含む舵取り機構(図示せず)に伝達され、これにより車輪を操向することができる。
【0011】
ステアリング装置1は、例えば、ステアリングホイール2を上側となるようにして、ステアリングシャフト3の軸方向を、車両の前後方向に対して斜めにして、車体7(一点鎖線で一部を図示。)に取り付けられる。ステアリングシャフト3の軸方向とステアリングコラム4の軸方向とは、互いに平行であり、以下、単に軸方向または軸線方向(矢印S参照)ともいい、この方向をステアリングホイール2側を上側とした上下方向としても説明する。
【0012】
ステアリングシャフト3は、これの上部を構成するアッパシャフト8と、下部を構成するロワシャフト9とを有している。アッパシャフト8とロワシャフト9とは、軸方向に沿う方向に互いに相対移動可能に且つ一体回転するように、スプライン構造等の継手構造により互いに連結されて、複数の軸受(図示せず)によりステアリングコラム4に支持されている。
ステアリングコラム4は、アッパシャフト8を収容しつつ軸方向に位置決めした状態で回転自在に支持する第1の筒状部材としてのアウターチューブ10と、ロワシャフト9を収容しつつ軸方向に位置決めした状態で回転自在に支持する第2の筒状部材としてのインナーチューブ11と、インナーチューブ11の下端部に上部の外周が圧入されているハウジング12と、アウターチューブ10の外周に固定されるアッパブラケット13と、インナーチューブ11の下部にハウジング12を介して固定されるロワブラケット14とを有している。なお、ハウジング12を省略した構成も考えられる。
【0013】
アウターチューブ10は、アッパブラケット13、上部固定ブラケット15等を介して車体7に対して取り付けられる。また、インナーチューブ11は、ハウジング12、ロワブラケット14、下部固定ブラケット16等を介して車体7に取り付けられる。
本ステアリング装置1は、衝突時に運転者がステアリングホイール2にぶつかるときの衝撃エネルギを吸収するための衝撃吸収機構21を有している。
【0014】
衝撃吸収機構21は、互いに嵌め合わされる第1および第2の筒状部材としての上述のアウターチューブ10およびインナーチューブ11を有している。衝突時に両チューブ10,11が軸長方向に互いに相対摺動して衝撃を吸収する。
また、両チューブ10,11を相対摺動させるために、アッパシャフト8とロワシャフト9とは上述のように軸方向に沿って互いに相対移動可能とされ、また、上部固定ブラケット15とアッパブラケット13とは、衝突時に軸方向に沿って相対移動可能に連結されている。すなわち、両ブラケット13,15は、一対の側板をそれぞれ有し、各側板に挿通孔が形成されている。挿通孔には、支軸17が貫通していて、両ブラケット13,15を連結している。アッパブラケット13の側板の挿通孔は、支軸17を一体移動可能に嵌合している。一方、上部固定ブラケット15の挿通孔は、側板の下側の端縁に開放されていて、衝突時、支軸17をアウターチューブ10およびアッパブラケット13とともに、車体前方に向けて離脱させることができるようにされている。
【0015】
両チューブ10,11の最大相対摺動ストロークは、アウターチューブ10の下端36がインナーチューブ11の下部の当接部43と当接するまでの距離LA(図2,図4参照)に設定される。本発明の衝撃吸収機構21では、衝突時の相対摺動の途中でステアリングホイール2にかかる衝撃力が減少するような場合であっても、相対摺動ストロークの最大値の距離LAを有効利用しつつ衝撃を吸収できるようにされている。
【0016】
このために、本発明では、衝突時の両チューブ10,11の相対摺動の途中で、その相対摺動ストロークが所定量を超えると、両チューブ10,11間の摺動抵抗が低下するようにしてある。
このように、相対摺動の途中から摺動抵抗を低下させているので、衝撃吸収時の初動荷重を高く確保しつつ、初動後のスライド荷重を低くすることができる。従って、高い初動荷重により、衝突前の通常使用時にステアリングコラム4が不用意に収縮することを防止できる。しかも、衝撃吸収中にステアリング装置1にかかる衝撃力が小さくなる場合でも、低い摺動抵抗により、衝突時のステアリングホイール2の所定の移動量、例えば、最大相対摺動ストローク量を確実に確保することができる。
【0017】
また、摺動抵抗の低下により、初動荷重と、摺動抵抗低下後の初動後のスライド荷重との相関を低くできるので、初動荷重を高くしつつ、初動後のスライド荷重を、相関が強い従来の場合に比べて、自在に且つ低くすることができる。
ここで、衝撃吸収時の初動荷重とは、衝突当初に力をステアリングホイールにかけるときの反力の大きさであり、両チューブ10,11を相対摺動させ始めるのに要する力の大きさとなる。初動後のスライド荷重とは、両チューブ10,11の相対摺動開始後の衝撃吸収中に力をステアリングホイールにかけるときの反力の大きさであり、一旦相対摺動し始めた後の両チューブ10,11の相対摺動を継続させるための力の大きさとなる。なお、以下、初動荷重および初動後のスライド荷重を、まとめて衝撃吸収荷重ともいう。この荷重は、本実施の形態では摺動抵抗に比例している。
【0018】
特に、本発明の実施形態では、両チューブ10,11の相対摺動ストロークが所定量を超えると、両チューブ10,11の嵌め合いの締め代が無くなるようにしてある。例えば、両チューブ10,11の嵌め合いは、締め代が所定量となる衝突前の圧入状態から、衝突時の相対摺動途中に、締め代が無くなるすきま嵌め状態になる。なお、両チューブ10,11の相対摺動ストロークが所定量を超えると、嵌め合いの締め代が衝突前の締め代よりも小さな量に低下してゆるい圧入状態となるようにしてもよい。
【0019】
これにより、衝突当初、嵌め合いの締め代が相対的に大きい圧入状態により摺動抵抗が高くなり、また、相対摺動中に締め代が低下したりなくなったりして嵌め合いが緩くなることにより、摺動抵抗が低くなる。従って、上述のように初動荷重を高く確保しつつ、初動後のスライド荷重を低くすることができる。また、締め代が無くなる場合には、低下後の摺動抵抗を最小にできるので、ステアリングホイール2の所定の移動量を確保する点で好ましい。
【0020】
また、両チューブ10,11の嵌め合いの締め代を低下させたり、無くすることは、例えば、両チューブ10,11の外径や内径を軸方向に異ならせるという簡素な構造で実現できる。
具体的には、図2〜図4に示すように、アウターチューブ10は、下部の開口端36寄りにある第1の筒部31と、この第1の筒部31の上側に隣接する第2の筒部32とを有している。第1の筒部31は、その外周に凹部33が形成され、この凹部33の背面となる内周に複数の突起34が形成されている。突起34は、第1の筒部31の軸方向に離間した複数箇所、例えば、上下の2箇所に形成され、それぞれの軸方向の位置では、周方向の複数箇所、例えば、4箇所にほぼ均等に配置されている。各突起34は径方向の内方に突出している。第2の筒部32の内径(D2)は、第1の筒部31の突起34の頂部に対応する内径(D1)よりも大きくされている(D2>D1)。インナーチューブ11は、上部の開口端側にある第1の筒部41と、この第1の筒部41の下側に隣接する第2の筒部42とを有している。第2の筒部42の外径(D4)は、第1の筒部41の外径(D3)よりも小さくされている(D4<D3)。
【0021】
衝突前には、両チューブ10,11は圧入状態とされる。すなわち、嵌合前の状態で、突起34の頂部に対応する内径(D1)は、インナーチューブ11の第1の筒部41の外径(D3)よりも小さくされ、嵌め合いの締め代DD(DD=D3−D1)は所定量に設定される。嵌合することにより、第1の筒部31の突起34は第1の筒部41の外周面である円柱面に押圧され、圧入状態を達成する。なお、両第1の筒部31,41同士を、例えば、径方向の隙間がある状態で嵌め合わせ、嵌合後にかしめ加工等により上述の突起34を第1の筒部41の外周面に押圧して、圧入状態を達成するようにしてもよい。
【0022】
この圧入状態に対応して、衝突当初の両チューブ10,11の摺動抵抗、初動荷重、および初動後のスライド荷重が決まる。
衝突後の衝撃吸収時には、ステアリングホイール2に上述のように決まる初動荷重(図5(a)の荷重F0参照)よりも大きな力がかかると、図3に示すように、アウターチューブ10がインナーチューブ11に対して軸方向に沿って下方に向けて相対移動を開始する。相対摺動が開始されると、ステアリングホイールからの反力(衝撃吸収荷重)は、初動荷重F0から、初動後のスライド荷重F1に低下する。
【0023】
相対摺動ストロークが距離L1になるまでは、両第1の筒部31,41間の締め代は変化せず、且つ両第1の筒部31,41同士が圧入状態で接する部分の軸方向の長さも変化しない。両チューブ10,11間の摺動抵抗(図5(b)参照)、および初動後のスライド荷重は、ほぼ一定の値(F1)で維持される。
相対摺動ストロークが第1の所定量としての距離L1から第2の所定量としての距離L2になる間に、アウターチューブ10の第1の筒部31の第1の突起としての下側の突起34が、その軸方向の下側部分から順に、インナーチューブ11の第1の筒部41の内周との圧入状態を解除され、インナーチューブ11の第2の筒部42とすきま嵌め状態となる。また、インナーチューブ11の第1の筒部41は、アウターチューブ10の奥に進み、その第2の筒部32と、すきま嵌め状態となる。これにより、摺動抵抗が徐々に低下し、また、初動後のスライド荷重も低下し、値(F2)は低く(F2<F1)なっている。この状態を維持しつつ、相対摺動ストロークが第3の所定量としての最大距離LAに達する。
【0024】
また、相対摺動ストロークに対して第1の筒部31の締め代も図5(c)に示すように変化する。図5(c)には、相対摺動ストロークSTに対する、第1の筒部31の部位P1の締め代DDの変化を、図5(c)に線P1で示し、第1の筒部31の部位P2の締め代の変化を、図5(c)に線P2で示し、締め代DDを、圧入状態となる量をプラスの大きさで示し、また、すきま嵌めとなる隙間量をもマイナスの大きさで示している。
【0025】
なお、相対摺動ストロークを上述の距離LAよりも長くし、両チューブ10,11をさらに相対摺動させて、アウターチューブ10の第1の筒部31の第2の突起としての上側の突起34とインナーチューブ11の第1の筒部41の内周との圧入状態を解除してもよい。この場合も、図5に示されていて、相対摺動ストロークが第3の所定量としての距離L3から距離L4に達する間に、摺動抵抗がさらに低下し、ほぼ無くなる程度まで低下する。これに伴い、初動後のスライド荷重も値F3から値F4へとより一層低下する。
【0026】
ここで、摺動抵抗が低下する相対摺動ストロークの所定量としては、最大相対摺動ストロークよりも短ければよく、例えば、最大相対摺動ストロークに比べて微小な距離でも構わない。
なお、相対摺動中の両チューブ10,11間の摺動抵抗を低下させて本発明の作用効果を得るには、上述の実施形態のように嵌め合いを緩くすることの他、以下の第1および第2の参考例のように、両チューブ10,11を互いに接合する接合部22を衝突時に破断させて両チューブ10,11が相対摺動するようにしてもよい。以下の各参考例では、上述の実施形態と異なる点を主に説明し、同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】
第1の参考例では、図6に示すように、両チューブ10,11の第1の筒部31,41同士を互いに接合する上述の接合部22としての合成樹脂成形品23を有している。衝突時に合成樹脂成形品23を破断させて両チューブ10,11が相対摺動するようにしてある。
接合部22は、複数箇所、例えば、ステアリングコラム4の周方向に均等な位置に設けられる。なお、接合部22を単一箇所に設けても良い。
【0028】
合成樹脂成形品23は、円柱形状であり、両チューブ10,11の貫通孔35,45を貫通して、ステアリングコラム4の径方向に円柱の軸線が沿うように配置されている。両貫通孔35,45は、両第1の筒部31,41の互いに対応する位置に連通してそれぞれ形成されている。合成樹脂成形品23は、両チューブ10,11同士が嵌合された状態で互いに連通する両貫通孔35,45内に射出成形されることにより、両チューブ10,11とともに一体的に成形される。
【0029】
また、第2の参考例では、図7に示すように、上述の接合部22としての溶接部24を有している。溶接部24は、溶接により両チューブ10,11の一部が溶融されて一体になっている。図7には、溶接時に溶融された上述の一部を溶接部24として一点鎖線で囲んで図示している。衝突時に溶接部24を破断させて両チューブ10,11が相対摺動するようにしてある。
このように第1および第2の参考例では、衝突時に接合部22を破断させて両チューブ10,11が相対摺動するようにしてある。
【0030】
この場合、衝突当初の初動時に、接合部22を破断させる破断荷重によって、初動荷重を高く確保でき、また、初動後、すなわち、両チューブ10,11が微小距離(図8のL5参照)を相対摺動しつつ接合部22が破断した後には、初動後のスライド荷重を低く、例えば、ほぼゼロの状態にできる。
また、接合部22の破断荷重は、衝突当初の短時間だけ作用するので、衝突時に速やかに初動後のスライド荷重を低下させることができ、その結果、ステアリングホイール2の所定の移動量を確実に確保するのに、好ましい。
【0031】
また、初動荷重を破断荷重により得ているので、初動荷重を得るための他の構成を採用せずに済む。例えば、通常時の両チューブ10,11の嵌め合いを、上述の実施形態の圧入状態に代えてこれよりも緩い状態にすることができ、この場合、嵌め合いによる摺動抵抗をより一層低くでき、上述のように初動後のスライド荷重をほぼゼロの状態にすることができる。
また、両チューブ10,11の内周と外周とを沿わせて、両チューブ10,11を接合部22によりつなぐ場合には、通常時のステアリングコラム4の剛性を高めることができる。
【0032】
特に、第1の参考例に示す接合部22としての合成樹脂成形品23は、両チューブ10,11の材質に関係なく両チューブ10,11を接合できるので、広範囲のステアリング装置に適用できる。
なお、合成樹脂成形品23としては、上述のように両チューブ10,11を成形型として利用して一体的に成形されたもののに限定されない。例えば、合成樹脂成形品23は、両チューブ10,11と別体の成形型を用いて予め成形して得られるものとされ、このようにして得られたものを、上述の貫通孔に嵌め込んで両チューブ10,11を固定してもよい。
【0033】
第2の参考例の溶接によれば、通常利用される鋼等の金属材料製の両チューブ10,11の接合が容易且つ安価に実現できる。
なお、アウターチューブ10の内周とインナーチューブ11の外周との間に介在部材を介在させたタイプでもよい。
【0034】
また、上述の実施形態と、第1および第2の参考例の少なくとも一つとを同時に実施してもよい。その他、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の衝撃吸収ステアリング装置の概略構成の模式図。
【図2】 図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、摺動前の状態を示す。
【図3】 図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、摺動途中の状態を示す。
【図4】 図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、最大距離の摺動状態を示す。
【図5】 図1に示す衝撃吸収機構の相対摺動ストロークと衝撃吸収荷重との関係、相対摺動ストロークと摺動抵抗との関係、および相対摺動ストロークと締め代との関係を、(a),(b)および(c)の模式的なグラフに示す。
【図6】 第1の参考例の衝撃吸収機構の断面図であり、(a)に衝突前の状態を示し、(b)に衝突時の状態を示す。
【図7】 第2の参考例の衝撃吸収機構の断面図であり、(a)に衝突前の状態を示し、(b)に衝突時の状態を示す。
【図8】 第1および第2の参考例の衝撃吸収機構の相対摺動ストロークと衝撃吸収荷重および摺動抵抗との関係を模式的に示すグラフ。
【符号の説明】
1 衝撃吸収ステアリング装置
4 ステアリングコラム
10 アウターチューブ(第1の筒状部材)
11 インナーチューブ(第2の筒状部材)
33 凹部
34 突起(第1の突起、第2の突起)
36 開口端(第1の筒状部材の開口端)
41 第1の筒部
42 第2の筒部
S 軸長方向
ST 両チューブの相対摺動ストローク
L1 第1の所定量
L2 第2の所定量
LA,L3 第3の所定量
DD 嵌め合いの締め代
Claims (1)
- ステアリングコラムが互いに嵌め合わされる第1および第2の筒状部材を有し、車両の衝突のときに両筒状部材が軸長方向に相対摺動して衝撃を吸収する衝撃吸収ステアリング装置において、
上記第1の筒状部材には、第1の筒状部材の外周に形成された凹部に対応して第1の筒状部材の径方向内方へ突出し、且つ互いに第1の筒状部材の軸長方向に離隔して配置された第1および第2の突起が形成され、
第1の突起は、第1の筒状部材の開口端に相対的に近くに配置されるとともに、第2の突起は、第1の筒状部材の開口端から相対的に遠くに配置され、
上記第1の突起および第2の突起のそれぞれは、第1の筒状部材の周方向に離隔して配置された複数の突起を含み、
上記第2の筒状部材は、外径が相対的に大きい第1の筒部と、外径が相対的に小さい第2の筒部とを含み、
第1の筒部は、第2の筒状部材の開口端に相対的に近くに配置されるとともに、第2の筒部は、第2の筒状部材の開口端から相対的に遠くに配置され、
第2の筒状部材の第1の筒部が、第1の筒状部材の第1および第2の突起に締め代を有して接触する状態で、第2の筒状部材の第1の筒部が第1の筒状部材内に圧入されており、
衝撃吸収のときに、両筒状部材の相対摺動ストロークが第1の所定量を超えて第2の所定量に達するまでの区間で、第1の突起が第2の筒状部材の第2の筒部に対応する位置に変位することにより、第1の突起と第2の筒状部材との接触が解除され、その結果、両筒状部材間の摺動抵抗が低下し、
両筒状部材の相対摺動ストロークが上記第2の所定量を超えて第3の所定量に達するまでの区間で、上記軸長方向に関する第2の突起と第2の筒状部材の第1の筒部との接触長が一定に維持されることにより、両筒状部材間の摺動抵抗が一定値に維持されるようにしてあることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。
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