JP2003112634A - 衝撃吸収ステアリング装置 - Google Patents

衝撃吸収ステアリング装置

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JP2003112634A JP2001308938A JP2001308938A JP2003112634A JP 2003112634 A JP2003112634 A JP 2003112634A JP 2001308938 A JP2001308938 A JP 2001308938A JP 2001308938 A JP2001308938 A JP 2001308938A JP 2003112634 A JP2003112634 A JP 2003112634A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】衝撃吸収ステアリング装置において、衝突前の
ステアリングコラムの収縮を防止し、衝突時のステアリ
ングホイールの所定の移動量を確保する。 【解決手段】本衝撃吸収ステアリング装置1では、ステ
アリングコラム4が互いに嵌め合わされるアウターチュ
ーブ10およびインナーチューブ11を有する。衝突時
に両チューブ10,11が軸長方向に相対摺動して衝撃
を吸収する。衝突前、両チューブは圧入状態とされ、衝
突時の相対摺動の途中で、両チューブの嵌め合いの締め
代が無くなるようにされ、摺動抵抗が低下する。衝撃吸
収時の初動荷重を高く確保しつつ、初動後のスライド荷
重を低くできる。両チューブ10,11の接合部22を
衝突時に破断させるようにしてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステアリング装置
に関する。特に、自動車の衝突時の衝撃を緩和する衝撃
吸収ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】衝撃
吸収ステアリング装置では、衝突を受けて、ステアリン
グホイールを後退させながら衝撃を吸収するようにして
いる。このために、例えば、ステアリングコラムの一対
のコラムチューブを二重構造として圧入しておき、両コ
ラムチューブを衝突時に相対摺動させて、ステアリング
コラムを収縮させるようにしている。このとき、衝突に
抗する荷重としては、両コラムチューブを相対摺動させ
始めるときの荷重、すなわち、初動荷重が最も高く、初
動後のスライド荷重は、これより低くなる。
【0003】ところで、近年のエアバッグ等の衝撃吸収
技術の進展により、衝突時のステアリングホイールにか
かる力が低下する傾向にある。このため、従来構造で
は、ステアリングホイールが所定の移動量を確保でき
ず、途中で止まってしまう虞がある。そこで、初動後の
スライド荷重を低くして、ステアリングホイールの所定
の移動量を確保したいという要請がある。しかしなが
ら、初動後のスライド荷重を低くしようとすると、これ
との相関関係が強い初動荷重も下がってしまい、その結
果、通常使用時にステアリングコラムが収縮することが
懸念される。
【0004】そこで、本発明の目的は、上述の技術的課
題を解決し、通常使用時にステアリングコラムが収縮す
ることを防止しつつ、衝突時にステアリングホイールの
所定の移動量を確保できる衝撃吸収ステアリング装置を
提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】請求項
1に記載の発明は、ステアリングコラムが互いに嵌め合
わされる第1および第2の筒状部材を有し、衝突時に両
筒状部材が軸長方向に相対摺動して衝撃を吸収する衝撃
吸収ステアリング装置において、衝突時の両筒状部材の
相対摺動ストロークが所定量を超えると、両筒状部材間
の摺動抵抗が低下するようにしてあることを特徴とする
衝撃吸収ステアリング装置を提供する。
【0006】この発明によれば、相対摺動の途中から摺
動抵抗を低下させるので、衝撃吸収時の初動荷重を高く
確保しつつ、初動後のスライド荷重を低くすることがで
きる。従って、通常使用時にステアリングコラムが収縮
することを防止でき、しかも、衝突時にステアリングホ
イールの所定の移動量を確保することができる。請求項
2に記載の発明は、請求項1に記載の衝撃吸収ステアリ
ング装置において、上記両筒状部材の相対摺動ストロー
クが所定量を超えると、両筒状部材の嵌め合いの締め代
が低下するか又は無くなるようにしてあることを特徴と
する衝撃吸収ステアリング装置を提供する。
【0007】この発明によれば、衝突当初、嵌め合いの
締め代が大きい圧入状態により摺動抵抗が高くなり、ま
た、相対摺動中に締め代が低下したりなくなったりして
嵌め合いが緩くなることにより、摺動抵抗が低くなる。
従って、請求項1と同様の作用効果を得ることができ
る。また、締め代が無くなる場合は、摺動抵抗を最小に
できるので、ステアリングホイールの所定の移動量を確
保する点で好ましい。請求項3に記載の発明は、請求項
1に記載の衝撃吸収ステアリング装置において、上記両
筒状部材を互いに接合する接合部を備え、衝突時に接合
部を破断させて両筒状部材が相対摺動するようにしてあ
ることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置を提供す
る。
【0008】この発明によれば、接合部の破断荷重によ
って初動荷重を高くでき、しかも、初動後(破断後)に
初動後のスライド荷重を低くすることができる。請求項
4に記載の発明は、請求項3に記載の衝撃吸収ステアリ
ング装置において、上記接合部は合成樹脂成形品を含む
ことを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置を提供す
る。この発明によれば、合成樹脂成形品は、両筒状部材
の材質に関係なく両筒状部材を接合できるので、本発明
を広範囲のステアリング装置に適用できる。
【0009】請求項5に記載の発明は、請求項3に記載
の衝撃吸収ステアリング装置において、上記接合部は溶
接部を含むことを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置
を提供する。溶接であれば、通常利用される鋼等の金属
材料製の筒状部材の接合を容易且つ安価に実現でき、本
発明を安価に適用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態の衝撃
吸収ステアリング装置(以下、ステアリング装置ともい
う。)を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の
第1の実施形態のステアリング装置の概略構成を示す模
式図である。ステアリング装置1は、車輪(図示せず)
を操向するためにステアリングホイール2の動きを伝達
するステアリングシャフト3と、このステアリングシャ
フト3を内部に通して回転自在に支持するステアリング
コラム4とを有している。ステアリングシャフト3の一
方の端部5にステアリングホイール2が連結されてい
る。ステアリングホイール2が回されると、その回転が
ステアリングシャフト3、ステアリングシャフト3の他
方の端部6に一体回転可能に連結される中間軸(図示せ
ず)等を介して、ピニオン、ラック軸等を含む舵取り機
構(図示せず)に伝達され、これにより車輪を操向する
ことができる。
【0011】ステアリング装置1は、例えば、ステアリ
ングホイール2を上側となるようにして、ステアリング
シャフト3の軸方向を、車両の前後方向に対して斜めに
して、車体7(一点鎖線で一部を図示。)に取り付けら
れる。ステアリングシャフト3の軸方向とステアリング
コラム4の軸方向とは、互いに平行であり、以下、単に
軸方向または軸線方向(矢印S参照)ともいい、この方
向をステアリングホイール2側を上側とした上下方向と
しても説明する。
【0012】ステアリングシャフト3は、これの上部を
構成するアッパシャフト8と、下部を構成するロワシャ
フト9とを有している。アッパシャフト8とロワシャフ
ト9とは、軸方向に沿う方向に互いに相対移動可能に且
つ一体回転するように、スプライン構造等の継手構造に
より互いに連結されて、複数の軸受(図示せず)により
ステアリングコラム4に支持されている。ステアリング
コラム4は、アッパシャフト8を収容しつつ軸方向に位
置決めした状態で回転自在に支持する第1の筒状部材と
してのアウターチューブ10と、ロワシャフト9を収容
しつつ軸方向に位置決めした状態で回転自在に支持する
第2の筒状部材としてのインナーチューブ11と、イン
ナーチューブ11の下端部に上部の外周が圧入されてい
るハウジング12と、アウターチューブ10の外周に固
定されるアッパブラケット13と、インナーチューブ1
1の下部にハウジング12を介して固定されるロワブラ
ケット14とを有している。なお、ハウジング12を省
略した構成も考えられる。
【0013】アウターチューブ10は、アッパブラケッ
ト13、上部固定ブラケット15等を介して車体7に対
して取り付けられる。また、インナーチューブ11は、
ハウジング12、ロワブラケット14、下部固定ブラケ
ット16等を介して車体7に取り付けられる。本ステア
リング装置1は、衝突時に運転者がステアリングホイー
ル2にぶつかるときの衝撃エネルギを吸収するための衝
撃吸収機構21を有している。
【0014】衝撃吸収機構21は、互いに嵌め合わされ
る第1および第2の筒状部材としての上述のアウターチ
ューブ10およびインナーチューブ11を有している。
衝突時に両チューブ10,11が軸長方向に互いに相対
摺動して衝撃を吸収する。また、両チューブ10,11
を相対摺動させるために、アッパシャフト8とロワシャ
フト9とは上述のように軸方向に沿って互いに相対移動
可能とされ、また、上部固定ブラケット15とアッパブ
ラケット13とは、衝突時に軸方向に沿って相対移動可
能に連結されている。すなわち、両ブラケット13,1
5は、一対の側板をそれぞれ有し、各側板に挿通孔が形
成されている。挿通孔には、支軸17が貫通していて、
両ブラケット13,15を連結している。アッパブラケ
ット13の側板の挿通孔は、支軸17を一体移動可能に
嵌合している。一方、上部固定ブラケット15の挿通孔
は、側板の下側の端縁に開放されていて、衝突時、支軸
17をアウターチューブ10およびアッパブラケット1
3とともに、車体前方に向けて離脱させることができる
ようにされている。
【0015】両チューブ10,11の最大相対摺動スト
ロークは、アウターチューブ10の下端36がインナー
チューブ11の下部の当接部43と当接するまでの距離
LA(図2,図4参照)に設定される。本発明の衝撃吸
収機構21では、衝突時の相対摺動の途中でステアリン
グホイール2にかかる衝撃力が減少するような場合であ
っても、相対摺動ストロークの最大値の距離LAを有効
利用しつつ衝撃を吸収できるようにされている。
【0016】このために、本発明では、衝突時の両チュ
ーブ10,11の相対摺動の途中で、その相対摺動スト
ロークが所定量を超えると、両チューブ10,11間の
摺動抵抗が低下するようにしてある。このように、相対
摺動の途中から摺動抵抗を低下させているので、衝撃吸
収時の初動荷重を高く確保しつつ、初動後のスライド荷
重を低くすることができる。従って、高い初動荷重によ
り、衝突前の通常使用時にステアリングコラム4が不用
意に収縮することを防止できる。しかも、衝撃吸収中に
ステアリング装置1にかかる衝撃力が小さくなる場合で
も、低い摺動抵抗により、衝突時のステアリングホイー
ル2の所定の移動量、例えば、最大相対摺動ストローク
量を確実に確保することができる。
【0017】また、摺動抵抗の低下により、初動荷重
と、摺動抵抗低下後の初動後のスライド荷重との相関を
低くできるので、初動荷重を高くしつつ、初動後のスラ
イド荷重を、相関が強い従来の場合に比べて、自在に且
つ低くすることができる。ここで、衝撃吸収時の初動荷
重とは、衝突当初に力をステアリングホイールにかける
ときの反力の大きさであり、両チューブ10,11を相
対摺動させ始めるのに要する力の大きさとなる。初動後
のスライド荷重とは、両チューブ10,11の相対摺動
開始後の衝撃吸収中に力をステアリングホイールにかけ
るときの反力の大きさであり、一旦相対摺動し始めた後
の両チューブ10,11の相対摺動を継続させるための
力の大きさとなる。なお、以下、初動荷重および初動後
のスライド荷重を、まとめて衝撃吸収荷重ともいう。こ
の荷重は、本実施の形態では摺動抵抗に比例している。
【0018】特に、本発明の第1実施形態では、両チュ
ーブ10,11の相対摺動ストロークが所定量を超える
と、両チューブ10,11の嵌め合いの締め代が無くな
るようにしてある。例えば、両チューブ10,11の嵌
め合いは、締め代が所定量となる衝突前の圧入状態か
ら、衝突時の相対摺動途中に、締め代が無くなるすきま
嵌め状態になる。なお、両チューブ10,11の相対摺
動ストロークが所定量を超えると、嵌め合いの締め代が
衝突前の締め代よりも小さな量に低下してゆるい圧入状
態となるようにしてもよい。
【0019】これにより、衝突当初、嵌め合いの締め代
が相対的に大きい圧入状態により摺動抵抗が高くなり、
また、相対摺動中に締め代が低下したりなくなったりし
て嵌め合いが緩くなることにより、摺動抵抗が低くな
る。従って、上述のように初動荷重を高く確保しつつ、
初動後のスライド荷重を低くすることができる。また、
締め代が無くなる場合には、低下後の摺動抵抗を最小に
できるので、ステアリングホイール2の所定の移動量を
確保する点で好ましい。
【0020】また、両チューブ10,11の嵌め合いの
締め代を低下させたり、無くすることは、例えば、両チ
ューブ10,11の外径や内径を軸方向に異ならせると
いう簡素な構造で実現できる。具体的には、図2〜図4
に示すように、アウターチューブ10は、下部の開口端
36寄りにある第1の筒部31と、この第1の筒部31
の上側に隣接する第2の筒部32とを有している。第1
の筒部31は、その外周に凹部33が形成され、この凹
部33の背面となる内周に複数の突起34が形成されて
いる。突起34は、第1の筒部31の軸方向に離間した
複数箇所、例えば、上下の2箇所に形成され、それぞれ
の軸方向の位置では、周方向の複数箇所、例えば、4箇
所にほぼ均等に配置されている。各突起34は径方向の
内方に突出している。第2の筒部32の内径(D2)
は、第1の筒部31の突起34の頂部に対応する内径
(D1)よりも大きくされている(D2>D1)。イン
ナーチューブ11は、上部の開口端側にある第1の筒部
41と、この第1の筒部41の下側に隣接する第2の筒
部42とを有している。第2の筒部42の外径(D4)
は、第1の筒部41の外径(D3)よりも小さくされて
いる(D4<D3)。
【0021】衝突前には、両チューブ10,11は圧入
状態とされる。すなわち、嵌合前の状態で、突起34の
頂部に対応する内径(D1)は、インナーチューブ11
の第1の筒部41の外径(D3)よりも小さくされ、嵌
め合いの締め代DD(DD=D3−D1)は所定量に設
定される。嵌合することにより、第1の筒部31の突起
34は第1の筒部41の外周面である円柱面に押圧さ
れ、圧入状態を達成する。なお、両第1の筒部31,4
1同士を、例えば、径方向の隙間がある状態で嵌め合わ
せ、嵌合後にかしめ加工等により上述の突起34を第1
の筒部41の外周面に押圧して、圧入状態を達成するよ
うにしてもよい。
【0022】この圧入状態に対応して、衝突当初の両チ
ューブ10,11の摺動抵抗、初動荷重、および初動後
のスライド荷重が決まる。衝突後の衝撃吸収時には、ス
テアリングホイール2に上述のように決まる初動荷重
(図5(a)の荷重F0参照)よりも大きな力がかかる
と、図3に示すように、アウターチューブ10がインナ
ーチューブ11に対して軸方向に沿って下方に向けて相
対移動を開始する。相対摺動が開始されると、ステアリ
ングホイールからの反力(衝撃吸収荷重)は、初動荷重
F0から、初動後のスライド荷重F1に低下する。
【0023】相対摺動ストロークが距離L1になるまで
は、両第1の筒部31,41間の締め代は変化せず、且
つ両第1の筒部31,41同士が圧入状態で接する部分
の軸方向の長さも変化しない。両チューブ10,11間
の摺動抵抗(図5(b)参照)、および初動後のスライ
ド荷重は、ほぼ一定の値(F1)で維持される。相対摺
動ストロークが距離L1から距離L2になる間に、アウ
ターチューブ10の第1の筒部31の下側の突起34
が、その軸方向の下側部分から順に、インナーチューブ
11の第1の筒部41の内周との圧入状態を解除され、
インナーチューブ11の第2の筒部42とすきま嵌め状
態となる。また、インナーチューブ11の第1の筒部4
1は、アウターチューブ10の奥に進み、その第2の筒
部32と、すきま嵌め状態となる。これにより、摺動抵
抗が徐々に低下し、また、初動後のスライド荷重も低下
し、値(F2)は低く(F2<F1)なっている。この
状態を維持しつつ、相対摺動ストロークが最大距離LA
に達する。
【0024】また、相対摺動ストロークに対して第1の
筒部31の締め代も図5(c)に示すように変化する。
図5(c)には、相対摺動ストロークSTに対する、第
1の筒部31の部位P1の締め代DDの変化を、図5
(c)に線P1で示し、第1の筒部31の部位P2の締
め代の変化を、図5(c)に線P2で示し、締め代DD
を、圧入状態となる量をプラスの大きさで示し、また、
すきま嵌めとなる隙間量をもマイナスの大きさで示して
いる。
【0025】なお、相対摺動ストロークを上述の距離L
Aよりも長くし、両チューブ10,11をさらに相対摺
動させて、アウターチューブ10の第1の筒部31の上
側の突起34とインナーチューブ11の第1の筒部41
の内周との圧入状態を解除してもよい。この場合も、図
5に示されていて、相対摺動ストロークが距離L3から
距離L4に達する間に、摺動抵抗がさらに低下し、ほぼ
無くなる程度まで低下する。これに伴い、初動後のスラ
イド荷重も値F3から値F4へとより一層低下する。
【0026】ここで、摺動抵抗が低下する相対摺動スト
ロークの所定量としては、最大相対摺動ストロークより
も短ければよく、例えば、最大相対摺動ストロークに比
べて微小な距離でも構わない。なお、相対摺動中の両チ
ューブ10,11間の摺動抵抗を低下させて本発明の作
用効果を得るには、第1実施形態のように嵌め合いを緩
くすることの他、以下の第2および第3の実施形態のよ
うに、両チューブ10,11を互いに接合する接合部2
2を衝突時に破断させて両チューブ10,11が相対摺
動するようにしてもよい。以下の各実施形態では、第1
の実施形態と異なる点を主に説明し、同様の構成につい
ては同じ符号を付して説明を省略する。
【0027】第2の実施形態では、図6に示すように、
両チューブ10,11の第1の筒部31,41同士を互
いに接合する上述の接合部22としての合成樹脂成形品
23を有している。衝突時に合成樹脂成形品23を破断
させて両チューブ10,11が相対摺動するようにして
ある。接合部22は、複数箇所、例えば、ステアリング
コラム4の周方向に均等な位置に設けられる。なお、接
合部22を単一箇所に設けても良い。
【0028】合成樹脂成形品23は、円柱形状であり、
両チューブ10,11の貫通孔35,45を貫通して、
ステアリングコラム4の径方向に円柱の軸線が沿うよう
に配置されている。両貫通孔35,45は、両第1の筒
部31,41の互いに対応する位置に連通してそれぞれ
形成されている。合成樹脂成形品23は、両チューブ1
0,11同士が嵌合された状態で互いに連通する両貫通
孔35,45内に射出成形されることにより、両チュー
ブ10,11とともに一体的に成形される。
【0029】また、第3の実施形態では、図7に示すよ
うに、上述の接合部22としての溶接部24を有してい
る。溶接部24は、溶接により両チューブ10,11の
一部が溶融されて一体になっている。図7には、溶接時
に溶融された上述の一部を溶接部24として一点鎖線で
囲んで図示している。衝突時に溶接部24を破断させて
両チューブ10,11が相対摺動するようにしてある。
このように本発明の第2および第3の実施形態では、衝
突時に接合部22を破断させて両チューブ10,11が
相対摺動するようにしてある。
【0030】この場合、衝突当初の初動時に、接合部2
2を破断させる破断荷重によって、初動荷重を高く確保
でき、また、初動後、すなわち、両チューブ10,11
が微小距離(図8のL5参照)を相対摺動しつつ接合部
22が破断した後には、初動後のスライド荷重を低く、
例えば、ほぼゼロの状態にできる。また、接合部22の
破断荷重は、衝突当初の短時間だけ作用するので、衝突
時に速やかに初動後のスライド荷重を低下させることが
でき、その結果、ステアリングホイール2の所定の移動
量を確実に確保するのに、好ましい。
【0031】また、初動荷重を破断荷重により得ている
ので、初動荷重を得るための他の構成を採用せずに済
む。例えば、通常時の両チューブ10,11の嵌め合い
を、第1実施形態の圧入状態に代えてこれよりも緩い状
態にすることができ、この場合、嵌め合いによる摺動抵
抗をより一層低くでき、上述のように初動後のスライド
荷重をほぼゼロの状態にすることができる。また、両チ
ューブ10,11の内周と外周とを沿わせて、両チュー
ブ10,11を接合部22によりつなぐ場合には、通常
時のステアリングコラム4の剛性を高めることができ
る。
【0032】特に、第2実施形態に示す接合部22とし
ての合成樹脂成形品23は、両チューブ10,11の材
質に関係なく両チューブ10,11を接合できるので、
本発明を広範囲のステアリング装置に適用できる。な
お、合成樹脂成形品23としては、上述のように両チュ
ーブ10,11を成形型として利用して一体的に成形さ
れたもののに限定されない。例えば、合成樹脂成形品2
3は、両チューブ10,11と別体の成形型を用いて予
め成形して得られるものとされ、このようにして得られ
たものを、上述の貫通孔に嵌め込んで両チューブ10,
11を固定してもよい。
【0033】第3実施形態の溶接によれば、通常利用さ
れる鋼等の金属材料製の両チューブ10,11の接合が
容易且つ安価に実現でき、本発明を安価に適用できる。
なお、本発明の各実施形態では、ステアリングコラム4
として、アウターチューブ10の内周に突起34を有す
るタイプを説明したが、これには限定されない。例え
ば、突起34が省略されて、アウターチューブ10の内
周面とインナーチューブ11の外周面とが円柱面同士で
接し合うタイプでもよい。また、アウターチューブ10
の内周とインナーチューブ11の外周との間に介在部材
を介在させたタイプでもよい。
【0034】また、第1、第2および第3の実施形態の
少なくとも2つを同時に実施してもよい。その他、本発
明の要旨を変更しない範囲で種々の設計変更を施すこと
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の衝撃吸収ステアリン
グ装置の概略構成の模式図。
【図2】図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、
摺動前の状態を示す。
【図3】図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、
摺動途中の状態を示す。
【図4】図1の衝撃吸収機構の一部断面側面図であり、
最大距離の摺動状態を示す。
【図5】図1に示す衝撃吸収機構の相対摺動ストローク
と衝撃吸収荷重との関係、相対摺動ストロークと摺動抵
抗との関係、および相対摺動ストロークと締め代との関
係を、(a),(b)および(c)の模式的なグラフに
示す。
【図6】本発明の第2の実施形態の衝撃吸収機構の断面
図であり、(a)に衝突前の状態を示し、(b)に衝突
時の状態を示す。
【図7】本発明の第3の実施形態の衝撃吸収機構の断面
図であり、(a)に衝突前の状態を示し、(b)に衝突
時の状態を示す。
【図8】本発明の第2および第3の実施形態の衝撃吸収
機構の相対摺動ストロークと衝撃吸収荷重および摺動抵
抗との関係を模式的に示すグラフ。
【符号の説明】
1 衝撃吸収ステアリング装置 4 ステアリングコラム 10 アウターチューブ(第1の筒状部材) 11 インナーチューブ(第2の筒状部材) 22 接合部 23 合成樹脂成形品 24 溶接部 S 軸長方向 ST 両チューブの相対摺動ストローク L1〜L5 所定量 DD 嵌め合いの締め代

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステアリングコラムが互いに嵌め合わされ
    る第1および第2の筒状部材を有し、衝突時に両筒状部
    材が軸長方向に相対摺動して衝撃を吸収する衝撃吸収ス
    テアリング装置において、 衝突時の両筒状部材の相対摺動ストロークが所定量を超
    えると、両筒状部材間の摺動抵抗が低下するようにして
    あることを特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の衝撃吸収ステアリング装
    置において、上記両筒状部材の相対摺動ストロークが所
    定量を超えると、両筒状部材の嵌め合いの締め代が低下
    するか又は無くなるようにしてあることを特徴とする衝
    撃吸収ステアリング装置。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の衝撃吸収ステアリング装
    置において、上記両筒状部材を互いに接合する接合部を
    備え、衝突時に接合部を破断させて両筒状部材が相対摺
    動するようにしてあることを特徴とする衝撃吸収ステア
    リング装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の衝撃吸収ステアリング装
    置において、上記接合部は合成樹脂成形品を含むことを
    特徴とする衝撃吸収ステアリング装置。
  5. 【請求項5】請求項3に記載の衝撃吸収ステアリング装
    置において、上記接合部は溶接部を含むことを特徴とす
    る衝撃吸収ステアリング装置。
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