JP3740761B2 - 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、フィルム幅方向に物性ムラの少ない二軸延伸ポリエステルフィルムを、工程安定性に優れた製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
二軸延伸ポリエステルフィルムは種々の工業用途に供されるが、中でもレトルト包装、写真、磁気ディスクなどの用途では、フィルムの縦横方向の物性がバランスしていることが望まれている。さらに、熱や化学薬品に対する寸法変化、熱膨張率、機械的強度などの物性が製品の幅方向のいかなる部分でも均等なことが望まれる。
【0003】
幅方向延伸によって起きる延伸ムラやボーイング現象によって、延伸フィルムの幅方向で物性(特にF5値、熱収縮率、熱膨張率)の分布が生じ、延伸フィルムの商品価値を著しく低下させている。
【0004】
従来技術でも、ボーイング現象に対する解決策は数多く提案(例えば、特開昭57−87331号公報、特開昭58−24418号公報など)されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ボーイング現象だけの解決だけではフィルムの物性、特に熱収縮率、熱膨張率、F5値のフィルム幅方向の均等が不十分である。
【0006】
よって、物性がフィルム幅方向に均等なフィルムを得るには、横延伸での延伸ムラの解消された二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、実質的に無配向状態のフィルムをフィルム長手方向に一軸延伸した後、幅方向の延伸を段階的に降温し延伸する方法、もしくは、長手方向の延伸を2段階以上の延伸帯域で行なう方法、もしくは、二軸延伸後に熱処理を行なうに際して段階的に昇温し行なう方法、もしくは、二軸延伸後さらに幅方向に微延伸を付け加えた延伸方法により物性がフィルム幅方向に均等な二軸延伸ポリエステルフィルムを特徴とするものである。
【0008】
また、二軸延伸後の、レーザーラマン散乱法で測定した1615cm− 1 における長手方向のピーク強度(IMD)と厚み方向のピーク強度(IND)との比R(=IMD/IND)の幅方向における最大値と最小値の差が1以下であることを特徴とする方法からなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明におけるレーザーラマン散乱法で測定した1615cm− 1 における長手方向のピーク強度(IMD)と厚み方向のピーク強度(IND)との比R(=IMD/IND)は、長手方向の全配向の強さを示す指標である。これは、フィルムにレーザー光をあてた場合のラマン散乱光を測定することにより求めることができる。そのラマンスペクトルにおいて、1615cm− 1 のラマンバンドはベンゼン環のC=C伸縮振動(νC=C)に帰属し、それの長手方向と厚み方向のピーク強度比R(=IMD/IND)をとることでフィルム全体の長手方向への配向の強さを測定することができる。
【0011】
本発明においては、幅方向に物性ムラのない、かつ、製膜安定性に優れたフィルムを得るためには、この強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差が1以下であることが必要である。1を超える場合は、物性ムラが大きく非常に商品価値の低いものとなる。なお、ここで言う幅方向とはフィルム幅0.5m〜8mのことを言う。
【0012】
本発明においては、二軸延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸の方法としては、実質的に無配向状態のフィルムをまず周速差のあるロール間で長手方向に延伸し、続いてフィルムの両端部をクリップで把持するテンターにて幅方向延伸、熱処理するいわゆる逐次二軸延伸法が最も好ましく用いられる。
【0013】
ここでいう実質的に無配向状態のフィルムとは、十分乾燥された原料ペレットを押出機に供給し、T型口金により、回転する金属製キャスティングドラム上にシート状に押し出し、冷却固化せしめたもの、もしくは未乾燥ペレットをベント式押出機に供給し同様にして得られたものをいう。また、この無配向状態のフィルムのエッジ部の最大厚み(A)と幅方向中央部の厚み(B)との比(A/B)が、2〜6のものが好ましく用いられる。
【0014】
本発明における長手方向延伸とは、ごく一般的な縦延伸方法(例えば、周速差のあるロール間で90〜100℃の温度で2〜4倍延伸)もしくは、2段階以上の延伸帯域で行なう多段延伸法のことを言う。この多段延伸法においては、高温の1段目延伸と低温の2段目延伸を組み合わせることが好ましい。1段目の延伸温度は100〜120℃の範囲に設定することが好ましく、また、延伸倍率は1.5〜2.5倍の範囲で行なうことが好ましい。引き続いて、2段目の延伸は70〜98℃の温度範囲で行なうことが好ましい。延伸倍率は、1段目の幅方向延伸倍率にもよるが、延伸むら、破断を抑えるためには、2〜3.5倍の範囲に設定するのが好ましい。1段目から2段目の延伸に至る温度過程は、単調に低下するのが好ましい。この様な温度過程をとることは、物性むらの無いフィルムを得るために有効である。この、多段延伸法は次の横延伸性に優れ、さらに延伸ムラのないフィルムを得るのに好ましく用いられる。
【0015】
この様にして得られた長手方向一軸延伸フィルムは、引き続き、フィルム両端部を走行するクリップで把持するテンターに導かれ該フィルムのガラス転移温度(Tg)〜Tg+30℃の温度(T1)に加熱され全横延伸倍率の30〜80%の倍率で延伸され、(T1−20℃)〜T1の範囲(T2)まで降温し全横延伸倍率まで幅方向延伸を施される。
【0016】
本発明において幅方向延伸は、この様に1段目の延伸から2段目の延伸へ段階的に降温し延伸することが必要である。1段目の幅方向延伸を2段目より高い温度に設定するのは、幅方向に昇温むらを作らないためである。温度がTgよりも低いと昇温むらが発生し延伸むらが起きるため結果として物性むらにつながる。また、Tg+30℃よりも高いとフィルムの結晶化により延伸むら、破断が起きるため、Tg〜Tg+30℃の範囲に設定することが必要である。また、延伸倍率が全横延伸倍率の30%よりも低いと2段目の延伸で破断が多くなり、80%を超えると物性むらの改善効果が低くなるため、1段目の延伸倍率は全横延伸倍率の30〜80%の範囲で行なうことが好ましい。
【0017】
この様に1段目の延伸を施されたフィルムは、続く2段目の延伸でさらに延伸むらが無く、かつ、物性むらの無いフィルムとなる。この時、2段目の延伸を1段目の延伸より低い延伸温度で行なうのは1段目より延伸張力を上げフィルム幅方向で延伸むらを抑制するためである。このため、2段目の延伸は1段目の延伸温度(T1)より低い温度で行なうことが必要である。また、(T1−20℃)よりも低いと破断が頻発するため、2段目の延伸温度は(T1−20)〜T1の範囲で行なうことが必要である。また、該二軸延伸フィルムをさらにT1〜ポリエステルの融解温度Tmの温度範囲で1.05〜2倍延伸することも付加することができる。この延伸に際してT1より低い温度で行なうとさらに物性むらを解消する効果が薄く、Tmより高いと物性むらが発生するため、T1〜Tmの温度範囲で行なうことが好ましい。また、延伸倍率が1.05倍より低いとさらに物性むらを解消する効果が薄く、2倍より高いと破断が頻発するため、1.05〜2倍の範囲で延伸することが好ましい。
【0018】
この様にして得られた二軸延伸フィルムは、平面性、熱寸法安定性を付与するために、180〜240℃の温度範囲で熱処理が施される。また、この熱処理に際して熱処理温度を2段階以上で行なうこともできる。この熱処理に際して、1段目の熱処理をT1〜ポリエステルの融解温度Tm−40℃の範囲(T2)で行ない、段階的に昇温し2段目の熱処理温度をT2〜Tmの範囲で行なうことがさらに物性ムラのないフィルムを得るのに好ましい。また、1段目の熱処理をT1以下の温度で行なうと平面性、熱寸法安定性を付与する効果が無い、また、Tm−40℃より高いとよりさらに物性むらを解消する効果が低いため、1段目の熱処理温度は、T1〜Tm−40℃の範囲で行なうことが好ましい。引き続いて、最終的に平面性、熱寸法安定性を付与するために2段目の熱処理を施される。この時、2段目の熱処理でT2より低い温度で行なうと平面性、熱寸法安定性を付与する上であまり意味が無く、Tmより高いと部分融解が起き物性むらが発生するため、2段目の熱処理温度は、T2〜Tmの範囲で行なうことが好ましい。
【0019】
次に、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法の具体的な例について説明するが、かかる例に限定するものではない。
【0020】
ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレートのペレット(例えば、比表面積300m2 /gの湿式シリカ0.5重量%配合、固有粘度0.681、末端COOH基濃度42当量/106 g)を真空下で十分に乾燥する。このペレットを、270〜300℃の温度に加熱された押出機に供給し、Tダイよりシート状に押出す。
【0021】
この溶融されたシートを、表面温度10〜40℃に冷却されたドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、実質的に非晶状態の未延伸キャストフィルムを得る。該キャストフィルムを、加熱された複数のロール群に導き、予熱ロールで90〜100℃に加熱され、2〜4倍の延伸倍率で長手方向延伸を行ない、引き続き該フィルムを、フィルム両端部を走行するクリップで把持するテンターに導かれ該フィルムのガラス転移温度(Tg)〜Tg+30℃の温度(T1)に加熱され全横延伸倍率の30〜60%の倍率で延伸され、(T1−20℃)〜T1の範囲(T2)まで降温し全横延伸倍率まで幅方向延伸を施される。
【0022】
こうして得られた二軸延伸フィルムは、平面性、熱寸法安定性を付与するために、180〜240℃の温度範囲で熱固定を行ない、均一に徐冷後室温まで冷やして巻き取り、目的とするレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比R(=IMD/IND)の幅方向における最大値と最小値の差が1以下の二軸延伸ポリエステルフィルムを得る。
【0023】
本発明においてポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合により得られるポリマーである。ジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などで代表されるものであり、また、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。具体的には、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを用いることができる。もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよく、共重合成分としては、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分を用いることができる。本発明の場合、特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレート)およびこれらの共重合体より選ばれた少なくとも一種であることが機械的強度、耐熱性、耐薬品性、耐久性などの観点から好ましい。
【0024】
また、フィルム中の末端COOH基濃度としては、特に耐熱性の点からも、15当量/106 g以上かつ80当量/106 g以下の範囲にすることが好ましく、さらには、20当量/106 g以上かつ50当量/106 g以下の範囲がより好ましい。
【0025】
また、このポリエステルの中には、無機粒子や有機粒子、その他の各種添加剤、例えば酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤などを添加してもかまわない。
【0026】
無機粒子の具体例としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウムなどの酸化物、カオリン、タルク、モンモリロナイトなどの複合酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、チタン酸バリウム、チタン酸カリウムなどのチタン酸塩、リン酸第3カルシウム、リン酸第2カルシウム、リン酸第1カルシウムなどのリン酸塩、弗化カルシウム(螢石)、弗化リチウム、弗化カーボンなどの弗化物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩などを用いることができるが、これらに限定されるわけではない。また、これらは目的に応じて2種以上用いてもかまわない。
【0027】
有機粒子の具体例としては、ポリスチレンもしくは架橋ポリスチレン粒子、スチレン・アクリル系及びアクリル系架橋粒子、スチレン・メタクリル系及びメタクリル系架橋粒子などのビニル系粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニルエステル、フェノール樹脂などの粒子を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、粒子を構成する部分のうち少なくとも一部がポリエステルに対し不溶の有機高分子微粒子であれば如何なる粒子でもよい。
【0028】
また、有機粒子は易滑性、耐削れ性の点から粒子形状が球形状で均一な粒度分布のものが好ましい。これらの粒子の粒径、配合量、形状などは用途、目的に応じて選ぶことが可能であるが、通常は、平均粒子径として0.005μm以上3μm以下、配合量として0.01重量%以上10重量%以下が好ましい。
【0029】
また、本発明のフィルムは2層以上の積層フィルムであっても構わない。2層以上積層された積層フィルムの場合は、少なくとも一層が層中に含有する粒子の平均径(d)と層厚み(t)との比(d/t)が0.1以上10以下であることが好ましい。
【0030】
なお、本発明では、フィルムの表面にウレタン、アクリル、エステル、シリコン、ワックスなどで代表される樹脂コート層を付設して表面改質したフィルムとしてもよい。また、表面改質の方法は、製膜ラインの途中で該表面改質をするほうが好ましい。
【0031】
また本発明のフィルムは紙、不織布、金属などの他の素材と複合させることも可能である。
【0032】
例えば金属を複合する場合には、鋼板またはアルミ板などと本発明のフィルムを貼り合わせて建材、工業資材、缶用途などに用いることが可能である。
【0033】
【物性値の評価法】
(1)レーザラマン散乱法によるフィルムの配向
レーザラマン分光の測定条件は次のとおりである。
【0034】
測定に用いたフィルムはポリメチルメタクリレートに包埋後、湿式研磨し、断面は長手方向に平行にした。測定部分は中心部分とし、位置を少しずらして10回測定し平均値をとった。測定は長手方向に平行な偏光測定における1615cm− 1 バンドの強度(IMD)と厚み方向に平行な偏光測定における1615cm− 1 バンドの強度(IND)をとり、配向を表す比RをR=IMD/INDとした。
【0035】
(2)固有粘度
o−クロロフェノールを溶媒として25℃にて測定した。
【0036】
(3)末端COOH基濃度
フィルム0.5gをo−クレゾールに溶解し、水酸化カリウムで滴定した。
【0037】
(4)F5値
“インストロン”タイプの引張り試験機を用いて、試料フィルムを幅10mm、試長間100mm、引張り速度200mm/分で引張った。得られた張力−歪曲線の5%伸び時の張力をF5値とした。測定は25℃、65%RHの雰囲気下で行った。
【0038】
(5)熱収縮率
試料幅10mm、試料長200mmのサンプルをギアオーブンにより100℃、30分の条件下で熱処理し、試料長の変化から下記式により収縮率を算出した。
【0039】
熱収縮率(%)=[(熱処理前の長さ−熱処理後の長さ)/熱処理前の長さ]×100
【0040】
(6)破れ頻度
真空乾燥したポリエチレンテレフタレートをT型口金から、静電気力でキャスティングドラム上に密着させて冷却固化せしめて、キャストフィルムを得、次いで複数のロールからなる長手方向延伸機、およびテンターにて二軸延伸、熱処理を施した。該フィルムの製造過程において、次の基準で判定した。
【0041】
◎:エッジからの破れが48時間以上無い場合
○:エッジからの破れが24時間以上無い場合
×:エッジからの破れにより製膜が6時間以上連続してできない場合
【0042】
(7)ガラス転移温度、融解温度
Perkin−Elmer社製DSC−2Cに5mgのサンプルを充填して、常温から20℃/分の昇温速度で昇温して、昇温DSC曲線を得た。該チャートからガラス転移にもとずく変曲温度を求め、ガラス転移温度とし、また融解に伴い吸熱ピークを求め、融解温度とした。
【0043】
【実施例】
以下に、本発明のより具体的な実施例について説明する。
【0044】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点256℃、末端COOH基濃度36当量/106 g、平均径0.23μmの炭酸カルシウム粒子0.03重量%配合)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後に、280℃に加熱された押出機に供給して溶融押出し、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態のフィルムを得た。このフィルムを、加熱されたロール群に導き90℃に予熱した後、延伸倍率3.5倍で長手方向延伸を行った。該一軸延伸フィルム(Tg=85℃)を両端部をクリップで把持するテンターに導き、95℃で2.5倍延伸した後に、80℃で同方向に1.6倍延伸をした。引き続き、200℃で熱処理を施し、30℃に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ10.1μm、幅4mの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表1に示した。フィルム中の末端COOH基濃度は42当量/106 gであった。
【0045】
比較例1〜3
横延伸温度を変更した以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸フィルムを製造した。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表1に示した。
【0046】
実施例2〜6
延伸倍率、温度を変更した以外は実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表2に示した。
【0047】
実施例7
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点256℃、末端COOH基濃度36当量/106 g、平均径0.23μmの炭酸カルシウム粒子0.03重量%配合)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後に、280℃に加熱された押出機に供給して溶融押出し、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態のフィルムを得た。このフィルムを、加熱されたロール群に導き105℃にて2倍長手方向に1段目の延伸を行い、引き続き85℃にて2.7倍長手方向に2段目の延伸をした後、該一軸延伸フィルム(Tg=67℃)を両端部をクリップで把持するテンターに導き、80℃で2.5倍延伸した後に、70℃で同方向に1.6倍延伸をした。引き続き、200℃で熱処理を施し、30℃に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ10.1μm、幅4mの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表3に示した。
【0048】
実施例8
横延伸温度を変更した以外は実施例7と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表3に示した。
【0049】
実施例9
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点256℃、末端COOH基濃度36当量/106 g、平均径0.23μmの炭酸カルシウム粒子0.03重量%配合)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後に、280℃に加熱された押出機に供給して溶融押出し、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態のフィルムを得た。このフィルムを、加熱されたロール群に導き90℃に予熱した後、延伸倍率3.5倍で長手方向延伸を行った。該一軸延伸フィルム(Tg=85℃)を両端部をクリップで把持するテンターに導き、95℃で2.5倍延伸した後に、80℃で同方向に1.6倍延伸をした。引き続き180℃で1.1倍同方向に延伸し、200℃で熱処理し、30℃に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ10.1μm、幅4mの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表4に示した。
【0050】
実施例10
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.626、融点256℃、末端COOH基濃度45当量/106 g、平均径0.23μmの凝集シリカ粒子0.06重量%配合)のペレットを180℃で3時間真空乾燥した後に、280℃に加熱された押出機に供給して溶融押出し、Tダイよりシート状に吐出した。さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静電気力で密着させて冷却固化し、未延伸キャストフィルムを得た。この未延伸フィルムを、加熱されたロール群に導き90℃に予熱した後、延伸倍率3.5倍で長手方向延伸を行った。該一軸延伸フィルム(Tg=85℃)を両端部をクリップで把持するテンターに導き、95℃で2.5倍延伸した後に、80℃で同方向に1.6倍延伸をした。引き続き、1段目の熱処理を140℃で行い、続いて、2段目の熱処理を230℃で施し、30℃に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ3.5μm、幅4mの二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムのレーザーラマン散乱法におけるピーク強度比Rの幅方向における最大値と最小値の差、F5値ムラ、熱収縮率ムラ、破れ頻度を表4に示した。
【0051】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0052】
【発明の効果】
本発明のポリエステルフィルムの製造方法によれば、レーザーラマン散乱法で測定した1615cm− 1 における長手方向のピーク強度(IMD)と厚み方向のピーク強度(IND)との比R(=IMD/IND)の幅方向における最大値と最小値の差が1以下となり幅方向に物性ムラのない、かつ、製膜安定性に優れたフィルムを得ることができる。
Claims (6)
- レーザーラマン散乱法で測定した1615cm− 1 における長手方向のピーク強度(IMD)と厚み方向のピーク強度(IND)との比R(=IMD/IND)の幅方向における最大値と最小値の差が1以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 実質的に無配向状態のフィルムをフィルム長手方向に一軸延伸した後、幅方向の延伸を一軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)以上Tg+30℃以下の温度(T1)で延伸開始し、段階的に降温し延伸終了温度がT1−20℃以上T1未満で延伸することにより得られうる、レーザーラマン散乱法で測定した1615cm − 1 における長手方向のピーク強度(I MD )と厚み方向のピーク強度(I ND )との比R(=I MD /I ND )の幅方向における最大値と最小値の差が1以下であることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 実質的に無配向状態のフィルムをフィルム長手方向に一軸延伸した後、幅方向の延伸を一軸延伸フィルムのガラス転移温度(Tg)以上Tg+30℃以下の温度(T1)で延伸開始し、段階的に降温し延伸終了温度がT1−20℃以上T1未満で延伸することにより、レーザーラマン散乱法で測定した1615cm− 1 における長手方向のピーク強度(IMD)と厚み方向のピーク強度(IND)との比R(=IMD/IND)の幅方向における最大値と最小値の差を1以下にすることを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 長手方向の延伸を2段階以上の延伸帯域で行うことを特徴とする請求項3に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 幅方向延伸フィルムをT1以上ポリエステルの融解温度(Tm)−40℃以下の温度(T2)の範囲より、段階的にT2以上Tm以下の温度まで昇温し、熱処理を行うことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
- 幅方向に延伸した後、引き続き、さらにT1以上Tm以下の温度で同方向に1.05〜2倍延伸することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の二軸延伸ポリエステルフィルムの製造方法。
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