JP3740607B2 - 建築物仮受け方法および構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物仮受け方法および構造、特に、吹き抜け構造を備える建築物であっても、容易に仮受けできる建築物仮受け方法および構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、免震レトロフィットのように、既設建築物の基礎下に免震層などの下部構造を設ける工事では、既設建築物を、最下層の床下の基礎または補強した梁の位置で、アンダーピーニング工法などを用いて仮受けすることにより工事を行っていた。
【0003】
図5は、このような従来の仮受け構造によって仮受けされている既設建築物1の一例を示す平面図である。図6は、そのA−A断面図、図7は、図6におけるE−E断面図である。
符号1は仮受けされた既設建築物であり、その最下層は、スラブ3、柱2…、柱2…の間に設けられた梁4a…、4b…を備え、柱2…の下にはそれぞれ基礎11が設けられている。スラブ3の上側では柱2…の間に壁4cが設けられて空間が仕切られている。
【0004】
図7に示したように、梁4aの周りには、コンクリートを打ち増しして梁断面を増加させた補強部9が設けられている。補強部9の下には、地盤40を掘り下げた掘削面7に打ち込まれた仮設支持部材6…が配置され、既設建築物1が仮受けされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の建築物仮受け方法によると、免震レトロフィットには対応できるものの、既設建築物の下に地下室を新設する場合などに必要となる階段室や、吹き抜け空間あるいはエレベータシャフトなどを既設建築物1の構造をそのまま延長して設けることが困難であった。
【0006】
すなわち、例えば上記に説明した従来の仮受け構造を用いて既設建築物1の下に地下室を増築することを仮定すると、図5において、三方が壁4cで囲まれ、幅C、奥行きDとなるように仕切られた部分が、床面3aを備える階段室である場合、階段室を地下階に延長しなければならない。そのために仮受け状態で床面3aを除去してC×Dの開口を設けて既設階段を延長し、壁4c…に対応した壁を下方に延長する必要がある。
【0007】
ところが、床面3aの下には、補強部9の下部の増設工事域8を広く確保するために、梁4a間に幅広く出張った補強部9があるので、床面3aは補強部9、9間の幅Bが除去できるだけである。幅Bは幅Cに比べてかなり狭いものとなってしまう。階下に向かって急に幅が狭くなるいびつな階段室は、機能上また美観上も設けるわけにはいかないから、実際にはこのような施工は成立しないものである。
【0008】
このように従来の仮受け構造では、階段室、吹き抜け空間、エレベータシャフトなどの床位置で梁および柱に囲まれた開口部となる構造を既設建築物1の下に延長することが困難であるという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、躯体下部の床位置に梁および柱に囲まれた開口部を備える建築物を仮受けするとともに、その開口部を容易に下方に延長することができる建築物仮受け方法および構造を提案することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、躯体下部に地面に面した床面を有しない、梁および柱で囲まれた開口部を備える建築物の建築物仮受け方法であって、前記梁および柱で囲まれた開口部に水平方向に分割可能とされた複数の補強ブロックを配置するとともに、前記開口部を囲む梁と前記補強ブロックとの間に、引抜可能とされた緊張材を挿通し、該緊張材にプレストレスを与えて、前記補強ブロックを水平方向に押着するとともに前記開口部を囲む梁に定着して、該開口部に床状の補強マットを形成し、該補強マットの下面を仮受けする方法を用いる。
そのため、開口部内に設けられた補強マットを仮受けするので、開口部を形成する梁から離れた位置で仮受けすることができる。また、補強マットは緊張材を引き抜いた後、分割して解体することができるので、仮受け終了後に開口部を元に戻すことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の建築物仮受け方法において、前記梁および柱で囲まれた開口部を、建築物の躯体下部の、地面に面した床面を除去して設ける方法を用いる。
そのため、仮受けする以前に開口部を設けてから、補強マットを設けて仮受けができる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の建築物仮受け方法において、前記補強ブロックを設ける際、前記梁および柱で囲まれた開口部に前記緊張材の挿通孔を設けた仕切り板を配置して、升状のコンクリート型枠を形成し、該コンクリート型枠に前記緊張材を挿通し、前記コンクリート型枠にコンクリートを打設することによって、前記補強ブロックを設ける方法を用いる。
そのため、施工場所の開口部の大きさ・形状に合わせて補強ブロックを形成することができ、しかも補強マットの解体時には升状の補強ブロックとして個別に取り出すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、請求項1または2に記載の建築物仮受け方法において、前記補強ブロックとして、前記緊張材の挿通孔を備えたプレキャストコンクリートブロックからなる補強ブロックを用いる。
そのため、あらかじめプレキャストコンクリートブロックとして補強ブロックを用意しておくので、施工時間を短縮できる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれかに記載の建築物仮受け方法において、前記補強ブロックの少なくとも一組には、垂直方向に対してテーパを備えた補強ブロックを設ける方法を用いる。
そのため、垂直方向に対してテーパを備えた補強ブロックを少なくとも一組設けるので、補強マットの解体時にテーパを備えた補強ブロックから容易に取り外して解体できる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれかに記載の建築物仮受け方法において、
前記補強マットで仮受けしたあと、仮受けを解体する際に、前記緊張材のプレストレスを除荷し、該緊張材を前記補強マットから引抜き、該補強マットを補強ブロックごとに取り外して解体する方法を用いる。
そのため、開口部に補強マットを残すことなく仮受けを解体することができ、補強ブロックごとに取り外すので、仮受けされた建築物を傷めることなく解体することができる。
【0016】
請求項7に記載の発明では、躯体下部に地面に面した床面を有しない、梁および柱で囲まれた開口部を備える建築物の建築物仮受け構造であって、前記梁および柱で囲まれた開口部に、水平方向に分割可能に設けられ、内部に緊張材が挿通された複数の補強ブロックが配置され、該補強ブロックが前記緊張材で前記開口部を囲む梁に定着されて床状の補強マットが形成され、該補強マットの下面が仮受けされた構成を用いる。
そのため、開口部内に設けられた補強マットを仮受けするので、開口部を形成する梁から離れた位置で仮受けすることができる。また、補強マットは緊張材を引き抜いた後、分割して解体することができるので、仮受け終了後に開口部を元に戻すことができる。
【0017】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の建築物仮受け構造において、前記補強ブロックの少なくとも一組が、垂直方向に対してテーパを備える構成を用いる。
そのため、垂直方向に対してテーパを備えた補強ブロックを少なくとも一組設けるので、補強マットの解体時にテーパを備えた補強ブロックから容易に取り外して解体できる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。なおすべての図面を通して、同一または相当する部材は、同一の符号を付している。
まず、図1を参照して、本発明に係る建築物仮受け構造の実施の形態を説明する。図1(a)は、本発明の実施の形態を示す平面図、図1(b)は、同じく図1(a)のF−F断面図である。
【0019】
本発明に係る建築物仮受け構造は、既設建築物1の最下層部に設けられた梁4a、4a、4bと柱2…で囲まれる開口部を覆い、梁4a、4aと接合されて、その下方が仮受け可能とされた補強マット30からなる。
【0020】
補強マット30は、水平方向に、例えば5×5のように碁盤目状に並べられた、コンクリートからなる補強ブロック12…と、梁4a、4aとその間に並ぶ補強ブロック12…との内部に挿通されたアンボンドPC鋼棒、アンボンドPCケーブルなどのPC鋼材10…(緊張材)とを備えている。
【0021】
補強ブロック12…は、例えば鋼板などの板厚方向に圧縮力が加わってもほとんど寸法変化しない材料からなる仕切り板18a…、18b…によって区切られており、それぞれの補強ブロック12間にまたがる接合鉄筋などは設けられていない。梁4aと平行に配列された仕切り板18a…には、PC鋼材10…を挿通するために補強ブロック12…に設けられた貫通孔12cに合わせて貫通孔が設けられている(不図示)。
【0022】
補強ブロック12…の厚さは、厚い方が高強度が得られて好ましいが、梁で囲まれた開口部に設けるため、特に厚さには制限がない。図示のように梁4aと同じ厚さとしてもよいし、既設建築物1の荷重などの条件により必要な厚さとすることができる。
【0023】
また、補強ブロック12…のうちには、垂直方向上向きに開いた傾斜を設けて配置された仕切り板18c、18cで区切られたテーパ付補強ブロック12a、12bが少なくとも一組含まれている。図2はテーパ付補強ブロック12a、12bの配置の様子とテーパ付補強ブロック12aの外形を示す斜視図である。テーパ付補強ブロック12aの上方には、引抜用のフック13が設けられている。
【0024】
PC鋼材10…は、図1(b)に示したように、ほぼ水平に挿通してもよいが、下方から荷重を受けることを考慮して、適宜圧縮ストラットアーチを形成するように挿通することが好ましい。PC鋼材10…の端部はそれぞれ梁4aの外側で定着板17、定着金具14…によってポストテンション方式により水平方向にプレストレスが導入されて定着されている。
【0025】
なお、定着板17…は、鋼製のアンカープレートなどでもよいが、梁4a…に余分なストレスを与えて損傷を招くことがないように、例えばプレキャストコンクリートブロックなどで、梁4a…に広い面積で当接できるものを採用すればいっそう好ましい。
【0026】
次に本発明に係る建築物仮受け構造の作用を説明する。
まず補強ブロック12…は、PC鋼材10でプレストレスが導入されるために、それぞれの水平方向の端面どうしが押圧されて、垂直方向のせん断外力に対して端面間の摩擦力で抗することができるから、力学的には一体化された厚板と同等である。このため、これらから形成される補強マット30は、プレストレストコンクリートが開口部に打設されたのとほとんど同じである。さらに、板厚やプレストレスの大きさ、PC鋼材10の本数などによって、適宜の強度に調整することが可能である。したがって、仮設支持部材6によって仮受けする位置は、補強マット30の裏面の自由な位置に選ぶことができる。
この結果、例えば、梁4aの直下に必要となる増設工事域8から離れた位置に仮設支持部材6を設けることができ、作業空間を広くとることができる。
【0027】
また、このような補強マット30の一体性はPC鋼材10にプレストレスを導入することにより達成されるから、逆に、プレストレスを除荷し、PC鋼材10…を引き抜くことにより、水平方向に分割された補強ブロック12…を個別に取り出して、補強マット30を容易に解体することができる。その際、テーパ付補強ブロック12aを設け、引抜方向にフック13を設けているので、テーパ付補強ブロック12aをきわめて円滑に取り出すことができる。
【0028】
このようにして、補強マット30の一角からテーパ付補強ブロック12aが取り出されると、その周りのブロックの、水平方向の押圧力が確実に解除されるから、順次容易にブロックごとに解体することができる。そのため、解体された補強ブロック12の搬出も容易で作業効率がよいという利点がある。また解体の際、大きな荷重を必要としないから、既設建築物1へ損傷やストレスを与えることもないという利点がある。
【0029】
また、本発明では、補強ブロック12…が定着される梁4a、4aは、PC鋼材10…を挿通するための貫通孔が設けられる以外は、補強ブロック12によって押圧されているだけなので、補強ブロック12の解体後、梁4aの側面をほぼ原状どおりに回復することができる。
【0030】
次に、上記に説明した建築物仮受け構造を設けるための、本発明に係る建築物仮受け方法について説明する。
図3(a)は、本発明を適用する階段室の一例の平面図である。図3(b)は同じく正面図である。図3(c)、図4(a)、(c)は、その階段室にそれぞれ本発明に係る建築物仮受け方法を適用した場合の各工程を説明するための平面方向の説明図である。また、図3(d)、図4(b)、(d)は、同じくそれぞれの正面方向の説明図である。
【0031】
図3(a)、(b)に示したように、既設建築物1の最下層の一角をなしている階段室20は、地盤40に敷設された基礎11…に支持された床面3aの上に設けられている。階段室20の四隅には柱2…が配置され、その間の3方向に壁4c…が設けられている。床面3aの裏側には柱2…が基礎11の上に延長され、それぞれの間には梁4a、4a、4b、4bが設けられている。
既設建築物1の地下室の増設などの工事においては、地下へ通ずる階段を設けるため、このような階段室20を地下まで延長することが求められる。
【0032】
本発明に係る建築物仮受け方法は、大きくは、階段室20を仮受けするに先立って、階段室20の床面3aを除去して、梁4a、4a、4b、4b、柱2…に囲まれた開口部を設ける第1の工程と、その開口部に補強ブロック12…を設けて、その内部にPC鋼材10…を挿通して開口部を覆う第2の工程と、PC鋼材10…にプレストレスを与えて梁4aに定着して補強マット30を形成する第3の工程と、補強マット30を仮受け部として既設建築物1の全体を仮受けする第4の工程と、仮受け状態で地下に新設躯体を形成したあとに、仮受け構造を解体する第5の工程からなる。以下それぞれの工程について順次説明する。
【0033】
まず第1の工程では、図3(c)、(d)に示したように、階段室20を仮受けするに先立って、地面に面した床面3aを切断または破砕して除去し、階段室20の下方に作業空間を設けるため、地盤40を掘削する。掘削面7はこのようにして広げられた地盤面を示す。
【0034】
このとき、階段室20は仮受けされていないから、梁4a…などは補強されておらず、床面3aは、必要に応じてその下面を支えていた梁4a、4a、4b、4b、柱2…の側面の間際まで除去することができる。したがってそれぞれの梁・柱で囲まれた開口部23が形成できる。開口部23は四方を囲まれていてもよいが、少なくとも対向する2辺に梁があればよい。以下では、図3(a)の図示下方にある梁4bが除去されて、三方から囲まれているものとして説明する。
【0035】
続く第2の工程では、図4(a)、(b)に示したように、開口部23に、補強マット30を設ける。その工程の詳細を、図1(a)、(b)を参照して説明する。
まず、開口部23内に碁盤目状に仕切り板18a…、18b…を配置する。そしてPC鋼材10…をそれぞれの貫通孔に挿通し、その端部を梁4a、4aの外部に出す。さらに、仕切り板18a…、18b…の上下を板材で覆い、開口部23内にコンクリート型枠を形成する。同時に、その下方に適宜型枠を支持するための支保工などを設置する。また、仕切り板18cで囲まれる型枠には、フック13を配置しておく。そして、この型枠にコンクリートを打設し、コンクリートに所定強度が発現するまでの養生期間をおいてから、型枠を取り外す。
【0036】
次に、第3の工程では、梁4a、4aの外側に出されたPC鋼材10…の端部を順次プレストレス導入用のジャッキなどで緊張させ、所定のプレストレスを与え、定着板17を介して梁4a、4aに定着する。この工程により、開口部23内に一体性に富んだ補強マット30が形成される。
【0037】
さらに第4の工程では、既設建築物1の下部に仮設支持部材6…を打ち込んで仮受けし、既設建築物1の下方を掘削して地下の増設施工を進めていく。このとき、階段室20の仮受けは、補強マット30の裏面を仮設支持部材6…で受けることにより行う。
【0038】
このように仮受けが完成されると階段室20を地下に延長するための新設躯体工事を行う。すなわち、梁4a、4a、4bの下部には壁体を設け、柱2…を下部に延長し、新設躯体を形成する。
【0039】
そこで仮受けが除去可能となった時点で、仮受けを解体する第5の工程を行う。まず、仮設支持部材6…を、例えば切断するなどして取り払い、構台を組んで補強マット30を受け替える。そしてPC鋼材10…端部の定着金具14…を外してプレストレスを除荷する。続いてPC鋼材10を補強マット30から順次引き抜く。
【0040】
そして、テーパ付補強ブロック12aを引き抜くなどした取り外し、さらにその他の補強ブロック12…をブロックごとに順次取り外す。さらに仕切り板18a…、18b…を取り外し、補強マット30を解体する。
【0041】
図4(c)、(d)に示したのは、第5の工程が終了した様子である。梁4a…の階段室20側の側面に滑らかに接続する新設壁24b…を始めとする新設躯体24が設けられ、階段室20の下方に、新設階段室24aの空間が形成されるものである。したがって、この中に上階から続く階段を設けることよって新設階段室24aを完成させることができる。
【0042】
以上に説明した本発明に係る建築物仮受け方法によれば、本発明に係る建築物仮受け構造と同じ構造を設けることができるので、上記に説明したのと同様の作用効果を有する。
【0043】
また、本発明の方法によれば、仮受けを解体する際、補強ブロック12をブロックごとに除去するので、新設躯体24に損傷を与えることなく安全に解体ができる。また、仮受け構造をすべて解体して除去できるので、開口部23をほぼ原状に復帰できるという利点がある。
【0044】
なお、上記の説明では、補強ブロック12、テーパ付補強ブロック12a、12bは、現場打ちのコンクリート打設によって設けるとして説明した。そのようにすれば、開口部の大きさや形状に合わせて補強ブロック12などを設けることができるので、幅広い施工条件に対応しやすいという利点がある。
しかし、そのかわりに補強ブロック12などを、貫通孔12c…を有するプレキャストコンクリートブロックとして設け、それらを開口部23に配置してからPC鋼材10…を挿通してもよい。その際、補強ブロック12の間には解体時に分離が容易となるようにモルタルによって接着しておくと施工効率がよい。
そのように構成すれば、コンクリート型枠を設置する必要がなく、打設コンクリートの養生期間も不要となるので、施工時間が短縮できるという利点がある。
【0045】
なお、上記の説明では、PC鋼材10は、引き抜きを容易とするため、アンボンドPC鋼材とする例で説明したが、引抜可能ならアンボンドPC鋼材でなくともよい。また、解体する際PC鋼材10を引抜きだけで除去するのでなく、例えばカッターなどを用いて切断する方法を併用してもよい。
【0046】
なお、上記の説明では、補強ブロック12はコンクリート製とした例で説明したが、本発明では梁4a、4aの間に配置しプレストレスを加えてもあまりひずまないような、圧縮に対する剛性を備えるものならば、コンクリートに限るものではない。例えば、鋼製ブロックも採用することができる。鋼製ブロックは、コンクリート製に比べてより多く反復使用することができるから、経済的である。
【0047】
なお、上記の説明では、PC鋼材10は一方向に平行に設けるとしたが、この例では梁4bに対向する梁4bを第2の工程で除去しているからである。しかし、第2の工程では、場合によっては梁4bを除去しなくてもよく、その場合、対向する梁4b、4b間にPC鋼材10を挿通して強度の向上を図ってもよい。
【0048】
さらに、上記の説明では、階段室20の例で説明したが、この他にも例えば吹き抜け空間、エレベータシャフトなど、元の床位置が梁および柱に囲まれた開口部となる構造を既設建築物1の下に延長する工事に適用できることは言うまでもない。
【0049】
また、上記説明では、第1の工程において、開口部23を設けるために床面3aを除去しているが、例えば地面に通じる吹き抜け空間を備える場合などは床面を除去するまでもなく開口部を備えているので、この場合には第1の工程は行わなくてもよい。
【0050】
なお、上記の説明では、本発明に最も効果的な例で説明したため、第5の工程によって補強マット30を解体するとしたが、場合によっては、第5の工程を行わなくてもよい。例えば、既設建築物の上部のみを切除して曳家する場合、切除によって生じる開口部を補強マットで覆って仮受けできることは当然だが、移設後、解体せず床面として用いてもよい。
【0051】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、開口部を形成する梁から離れた位置で仮受けすることができるので、施工の中心となる梁の下を大きく開けることができるから作業性が向上するという効果を奏する。
また、補強マットは緊張材を引き抜いた後、分割して解体することができるので、仮受け終了後に開口部を元に戻すことができるから、上階の構造をそのまま下階に延長できるという効果を奏する。
【0052】
請求項2に記載の発明では、仮受けする以前に開口部を設けてから、補強マットを設けて仮受けするようにしたので、仮受けのための補強構造が支障となることなしに、開口部を設けることができるという効果を奏する。
【0053】
請求項3に記載の発明では、施工場所の開口部の大きさ・形状に合わせて補強ブロックを形成することができ、しかも補強マットの解体時には升状の補強ブロックとして個別に取り出すことができるから、開口部の大きさ・形状などの種々の施工条件に適応できるという効果を奏する。
【0054】
請求項4に記載の発明では、あらかじめプレキャストコンクリートブロックとして補強ブロックを用意しておくので、施工時間を短縮できるから、施工効率を向上できるという効果を奏する。
【0055】
請求項5に記載の発明では、補強マットの解体時にテーパを備えた補強ブロックから容易に取り外して解体できるから、解体時の作業効率を向上できるという効果を奏する。
【0056】
請求項6に記載の発明では、開口部に補強マットを残すことなく仮受けを解体することができ、補強ブロックごとに取り外すので、仮受けされた建築物を傷めることなく解体することができて、仮受けのための補強部が支障となることがないから、仮受けされた建築物の構造を、そのまま新設躯体に延長して設けることができるという効果を奏する。
【0057】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載の建築物仮受け方法によって構成されるものと同じだから、請求項1に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0058】
請求項8に記載の発明では、請求項5に記載の建築物仮受け方法によって構成されるものと同じだから、請求項5に記載の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る建築物仮受け構造の実施の形態を示す平面図およびそのF−F断面図である。
【図2】 補強ブロックの配置の様子とその外形を示す斜視図である。
【図3】 本発明に係る建築物仮受け方法の実施の形態を説明するための平面および正面方向の説明図である。
【図4】 本発明に係る建築物仮受け方法の実施の形態を説明するための平面および正面方向の説明図である。
【図5】 従来の仮受け構造の一例を示す平面方向の説明図である。
【図6】 図5におけるA−A断面図である。
【図7】 図6におけるE−E断面図である。
【符号の説明】
1 既設建築物
2 柱
3 スラブ
3a 床面
4a、4b 梁
6 仮設支持部材
10 PC鋼材(緊張材)
12 補強ブロック
12a、12b テーパ付補強ブロック
12c 貫通孔
13 フック
14 定着金具
15 プレキャストコンクリートブロック
17 定着板
18a、18b 仕切り板
20 階段室
23 開口部
30 補強マット

Claims (8)

  1. 躯体下部に地面に面した床面を有しない、梁および柱で囲まれた開口部を備える建築物の建築物仮受け方法であって、
    前記梁および柱で囲まれた開口部に水平方向に分割可能とされた複数の補強ブロックを配置するとともに、前記開口部を囲む梁と前記補強ブロックとの間に、引抜可能とされた緊張材を挿通し、
    該緊張材にプレストレスを与えて、
    前記補強ブロックを水平方向に押着するとともに前記開口部を囲む梁に定着して、
    該開口部に床状の補強マットを形成し、
    該補強マットの下面を仮受けすることを特徴とする建築物仮受け方法。
  2. 請求項1に記載の建築物仮受け方法において、
    前記梁および柱で囲まれた開口部を、建築物の躯体下部の、地面に面した床面を除去して設けることを特徴とする建築物仮受け方法。
  3. 請求項1または2に記載の建築物仮受け方法において、
    前記補強ブロックを設ける際、
    前記梁および柱で囲まれた開口部に前記緊張材の挿通孔を設けた仕切り板を配置して、升状のコンクリート型枠を形成し、
    該コンクリート型枠に前記緊張材を挿通し、
    前記コンクリート型枠にコンクリートを打設することによって、
    前記補強ブロックを設けることを特徴とする建築物仮受け方法。
  4. 請求項1または2に記載の建築物仮受け方法において、
    前記補強ブロックとして、
    前記緊張材の挿通孔を備えたプレキャストコンクリートブロックからなる補強ブロックを用いたことを特徴とする建築物仮受け方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の建築物仮受け方法において、
    前記補強ブロックの少なくとも一組には、垂直方向に対してテーパを備えた補強ブロックを設けることを特徴とする建築物仮受け方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の建築物仮受け方法において、
    前記補強マットで仮受けしたあと、その仮受けを解体する際に、
    前記緊張材のプレストレスを除荷し、
    該緊張材を前記補強マットから引抜き、
    該補強マットを補強ブロックごとに取り外して解体することを特徴とする建築物仮受け方法。
  7. 躯体下部に地面に面した床面を有しない、梁および柱で囲まれた開口部を備える建築物の建築物仮受け構造であって、
    前記梁および柱で囲まれた開口部に、
    水平方向に分割可能に設けられ、内部に緊張材が挿通された複数の補強ブロックが配置され、
    該補強ブロックが前記緊張材で前記開口部を囲む梁に定着されて床状の補強マットが形成され、
    該補強マットの下面が仮受けされたことを特徴とする建築物仮受け構造。
  8. 請求項7に記載の建築物仮受け構造において、
    前記補強ブロックの少なくとも一組が、垂直方向に対してテーパを備えることを特徴とする建築物仮受け構造。
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