JP3740176B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真、静電記録のごとき画像形成方法、特に特定の表面硬度を有する静電荷層保持体を用いる画像形成方法、およびこのような画像形成方法に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体を用いた静電荷保持部材上に静電潜像を形成し、ついで該静電潜像をトナーで現像を行って顕在化された像とし、必要に応じて紙などの永久保持部材にトナー画像を転写した後、熱・圧力などにより永久保持部材上にトナー画像を定着して複写物を得るものである。また、永久保持部材上に転写されずに静電荷保持部材に残ったトナー粒子はクリーニング工程により静電荷保持部材上より除去される。
【0003】
この時に用いられる感光体としては、光導電材料として、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機光導電材料を用いたもの、ポリ−N−ビニルカルバゾールに代表される光導電性ポリマーや、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールのような低分子の有機光導電性物質を用いたものが知られている。
【0004】
このうち、有機光導電性物質を用いた感光体は比較的コストがかからず、また塗工によって生産できるため、極めて生産性が高く安価な感光体を提供できる利点を有している。さらには、このような有機光導電性物質と各種染料や顔料を組み合わせたものも知られており、これらの選択により、特性を自在にコントロールできる等の利点を有し、これまで幅広い検討がなされてきた。特に最近では、有機光導電性染料や顔料等の電荷発生物質を含有した電荷発生層と、前述の光導電性ポリマーや低分子の電荷輸送能を有する物質、いわゆる電荷輸送物質を含有した電荷輸送層を積層した機能分離型感光体の開発により、従来の有機感光体の欠点とされていた感度や耐久性に著しい改善がなされてきた。しかし近年、この感光体の高耐久化への要求は、電子写真システムトータルとしての高速化・高信頼性・パーコピーコストの低減等への要求の高まりに対応して、更には、装置の小型化の為に感光体の小型化・小径化されることによって感光体の受けるダメージが大きくなっていることから、無機感光体にも増した高耐久性が求められている。
【0005】
高耐久性を実現する為に光導電層上に保護層を設ける試みがなされており、例えば特開平2−93543号公報では、放射線照射により硬化する保護層が、特開平2−146047号公報では、電荷輸送物質を含有するポリカーボネート樹脂、特開平3−17655号公報には、金属或いは、金属微粉末とビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂、特開平3−103741号公報には、硬化型エポキシ樹脂を用いることなどが提案されている。これらは、感光層或いは、感光体としての機能を発揮するための必要な部材を覆うことにより、感光層などに損傷を与えないことを目的としている。
【0006】
また、乾式現像方式に用いられる静電荷像現像用トナーとしては、少なくとも結着樹脂及び着色剤からなる粒径が5〜20μmのトナーが用いられてきたが、最近では、得られる被写物あるいは印刷物に対するより高画質・より高解像度等の要求の高まりに対応して、例えば、特開平1−112253号公報では、トナー粒径をより小さくすることで静電荷保持部材上の静電潜像に対するトナーの追従性を向上させてこれらの要求を満たそうとする試みもなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように粒径の比較的小さなトナーを用いた場合、転写工程の後に感光体上に残ったトナーを除去するクリーニング工程において問題を生ずる。その原因は、粒径の比較的小さなトナーでは、トナー中に含まれる超微粉成分が多く、これらが現像され感光体上に付着すると、強固な付着力を示す。この結果、静電荷保持部材上より永久保持部材へ転写を行なう工程において、この超微粉成分が静電荷保持部材上に残る傾向がある。さらに、その強固な付着力ゆえ、超微粉成分を引き剥して静電荷保持部材をクリーニングすることが困難である。
【0008】
静電荷保持部材をクリーニングする方法としては、種々の方式が知られているが、高効率なクリーニング方式としてブレードクリーニングが知られている。ブレードクリーニングを用いて、超微粉成分をクリーニングしようとすると、静電荷保持部材へのブレード当接圧を高め超微粉成分のすり抜けをふせがなければならない。この場合、ブレードあるいはブレード上に付着したトナー等によって感光体表面がより強く擦られるために、静電荷保持部材の帯電能を損なうあるいは不均一な削れが画像上の傷となって現れ、静電荷保持部材の寿命を縮めてしまう。
【0009】
更に、超微粉成分を多く含むようなトナーでは、トナーの凝集力が高まり、良好な帯電特性及び流動性を保ち、所望の高画質、高解像度を達成するために、無機酸化物微粒子等の流動性付与剤或いは、帯電付与剤を従来以上に多く添加せねばならないことが多い。無機酸化物微粒子等の流動性付与剤を多く添加すると、これらが静電荷保持部材とブレードの間に入り込み静電荷保持部材を傷つけ易く、且つ、ブレードの間をすり抜け易くなるため、すり抜け防止のため感光体へのブレード当接圧を高めねばならなくなり、静電荷保持部材の傷及び削れを促進し寿命を縮めてしまう。
【0010】
従来、静電荷保持部材の表面は感光材料及び/または電荷輸送物質を多く含有するため、これらの感度あるいは電荷輸送能といった特性を保持するために静電荷保持部材の耐久性が制約されてきた。そこで、静電荷保持部材の表面に樹脂等からなる保護層を設ける研究も数多くなされてきた。しかし、感光層の構成上、電荷の移動しない層を設けることに起因して、耐久使用によって、残留電位が上昇したり、感度が低下するといった弊害がみられた。この問題は保護層の膜厚を薄くすることによって改善されることも知られている。この場合は感光体の繰り返し使用によって保護層自体の摩耗が進行し保護層の寿命が膜厚を薄くすることによって短くなると言う問題点を有している。そこで、保護層の抵抗を調整するために保護層に導電性の微粒子を添加する試みも提案されているが、静電荷保持部材最外層に保護層を設けた場合にも保護層に傷がつけば、画像欠陥として現れ、クリーニング不良の原因ともなる等の問題は同様に存在する。
【0011】
このように、高解像度・高画質を実現し、かつクリーニング性が良好でより長期間の繰り返し使用によっても感光体を劣化させないトナー及び画像形成法が求められている。更に、低コストで高解像度・高画質をより長期間の繰り返し使用によっても維持される画像形成方法が求められている。
【0012】
本発明の目的は、上記のごとき問題点を解決するトナー及び画像形成方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、ヘイドン表面性測定機により、円錐角が90°の円錐形で先端が直径0.01mmの半球状であるダイヤモンド製針を介して垂直荷重をかけたとき、深さ1μmの引っかき傷をつけるのに要する荷重が40g以上である保護層を有し、且つ有機光導電物質を有する静電荷保持体上に、実質的に一様な静電荷を保持させる工程、静電荷を減少或いは増加させて静電潜像を形成する工程、静電潜像を現像し顕在化する工程、顕在化された像を永久保持部材に転写する工程、静電荷保持部材の表面をクリーニングする工程を少なくとも有し、前記静電潜像現像工程において、5μm以下の粒子を10個数%以上含有する静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法に関する。
【0015】
本発明の特徴の一つは、5μm以下のトナー粒子を10個数%以上含有することにある。5μm以下のトナー粒子は微細潜像の現像性に優れ、潜像微細構造に至るまで忠実に再現する。すなわち、グラフィックイメージのハイライト部や細線のような小さな現像電位コントラストまで忠実に、潜像を再現し、階調再現性・解像性に優れた高画質な画像を提供する。より好ましくは5μm以下のトナー粒子の含有量は17〜60個数%が良く、重量平均粒径では4〜9μmが好ましい。5μm以下のトナー粒子の含有量が17個数%未満であると、長期間の使用により、5μm以下のトナー粒子が徐々に減少し画質が次第に低下してくる。また、60個数%を超えると、トナー粒子相互の凝集状態が著しく大きくなり、階調再現性・解像性を低下させることがある。
【0016】
本発明者らがこのように高画質・高解像度を実現する微粒径なトナーのクリーニング性について検討したところ、クリーニング部材からのトナー等のすり抜けによる画像汚れ、いわゆるクリーニング不良と、トナー中に含有される5μm以下のトナー粒子の個数%に大きな相関関係を見いだした。すなわち、クリーニング部に到達する転写残トナー中に含有される5μm以下のトナー粒子の個数%が、元のトナーに含有される5μm以下のトナー粒子の個数%と密接な関係にある。元のトナーに含有される5μm以下のトナー粒子の個数%が10%を超えると転写残トナー中に含有される5μm以下のトナー粒子の個数%が増加し始め、17%を超えるとこの増加が顕著となりクリーニング性が低下し、60%を超えると感光体上のクリーニングが極めて困難となることが明らかにされた。更に、本発明者らの検討によって、クリーニング部に到達する転写残トナー中に含有される5μm以下のトナー粒子の個数%に相関して5μm以下の微粉よりも更に微小なトナーの超微粉成分が存在し、この超微粉成分が感光体表面からの転写残トナーのクリーニングをより困難とすることが明らかにされた。
【0017】
5μm以下のトナー粒子を10個数%以上含有する本発明のトナーにおいては、トナー中の超微粉成分の含有量が増大する傾向にある。これは、トナーの製造工程の際に生成する超微粉の量が増大すること、及び5μm以下のトナー粒子を多く含有するために静電凝集力が高くなる傾向があるために、あるいはファンデアワールス力により、超微粉成分がこれらのトナー粒子に付着し、厳密なトナー粒径による分級工程を設けたとしても除去することが困難となる為と考えられる。
【0018】
本発明者らは、このクリーニング工程の負荷を軽減し、より安定したクリーニング性を得る手段として、トナーが磁性を有する物である場合、トナーが実質的に球形である磁性体を含有することがより好ましい形態であることを見いだした。球状の磁性体を含有するトナーでは、キュービックな磁性体を用いたトナーと比較して、現像性が高く、しかも転写性にも優れるために、粒径による選択現像が発生しづらく、転写残としてクリナー中に回収されるトナー中の微粉の比率の増加も緩やかとなることを本発明者らは見いだした。このため、クリーニング性も比較的良好となり、より感光体を長寿命化することができる。
【0019】
また、本発明者らは、トナーがSi原子及び/またはAl原子を含む磁性体を含有することによって、より好ましいクリーニング特性が得られることを見いだした。
【0020】
更に、本発明者らは、トナーにスチレン或いはアクリル系の樹脂微粒子を含有させることにより、より好ましいクリーニング特性が得られることを見いだした。ヘイドン表面性測定機により、深さ1μmの引っかき傷をつけるのに要する荷重が80g以上である保護層を有する静電荷保持体を用いる場合に、特に好ましい。
【0021】
このような超微粉成分まで感光体上から除去し画像汚れを防ぐために、本発明に適用されるクリーニング方式としては、ブレードクリーニングが好ましい。ブレードクリーニングはウレタンゴム・シリコンゴム・弾性を有する樹脂をブレードとして、あるいは金属等のブレードの先端にチップ状の樹脂を保持させたものを、感光体の移動方向に対して順方向または逆方向に当接あるいは圧接させたものとして知られているが、より好ましくは、ブレードを感光体の移動方向に対して逆方向に圧接させるのがよい。この時、感光体に対するブレードの当接圧は、線圧で10g/cm以上が好ましく、より好ましくは、15〜50g/cmである。当接圧が線圧で10g/cmに満たない場合には、超微粉成分まで感光体上から除去することが困難であり、超微粉成分がブレードをすり抜けることからブレード先端部に微少な傷を生ずるなどして他のトナー粒子に対するクリーニング効果まで損ねてしまい、画像汚れを生じ易くなる。また、流動性付与等の目的でトナーに無機酸化物等の微粒子を添加する場合には、これらがトナー粒子のすり抜けを助長する傾向があるため、15g/cm以上の当接圧に設定することが望ましい。更に、当接圧を50g/cmよりも大きくするとブレード自体の耐久性が問題となり、長期間の使用によって、クリーニング不良による画像汚れを生ずることがあり、当接圧を50g/cm以下とすることが好ましい。更に、ブレードクリーニング法にマグブラシクリーニング法・ファーブラシクリーニング法・ローラークリーニング法等公知の方法を組み合わせても良い。
【0022】
また、本発明の特徴の一つは、ヘイドン表面性測定機により、深さ1μmの引っかき傷をつけるのに要する荷重が40g以上である保護層を有する静電荷保持体を用いることにある。
【0023】
保護層の表面硬度がこの範囲に満たない場合には、本発明の好ましい形態として前述したが如くブレードクリーニング等によりクリーニング部材を感光体に強く圧接させると、感光体の保護層表面が徐々に削られ、長期間の使用によって感光体表面の保護層に傷がつき、画像上において欠陥を生ずるようになる。また、クリーニング部材の感光体への当接圧の感光体の母線方向でのばらつき等によって不均一な削れを生じた場合には、感光体上の傷つきが助長され、この傷が画像上に現れ顕著な欠陥となる。
【0024】
本発明における、静電荷保持体の保護層には、必要に応じて導電性又は、絶縁性微粒子及び物質、潤滑性を有する微粒子及び物質などを適宜加えることができる。
【0025】
本発明に用いられる静電荷保持体に保護層を有していれば、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送能を有する物質を含有する、いわゆる、単一層型でもよく、電荷輸送層と電荷発生層を成分とする機能分離型感光体であっても良く、導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層、最外層に保護層の順で積層されている構造の積層型感光体は好ましい例の一つである。
【0026】
本発明に用いられる感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。
【0027】
導電性基体としては、アルミニウム・ステンレス等の金属、アルミニウム合金・酸化インジウム−酸化錫合金等による被膜層を有するプラスチック、導電性粒子を含侵させた紙・プラスチック、導電性ポリマーを有するプラスチック等の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0028】
本発明は、直径が50mm以下の小径感光体を有する画像形成装置に対して特に有効である。これは、小径感光体の場合曲率が大きいために、クリーニング部材の感光体への押しつけの線圧において、圧力の集中が起こり易いためである。ベルト感光体でも同一の現象があると考えられ、クリーニング部材当接部での曲率25mm以下の画像形成装置に対しても有効である。
【0029】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上・塗工性改良・基体の保護・基体上に欠陥の被覆・基体からの電荷注入性改良・感光層の電気的破壊に対する保護等を目的として下引き層を設けても良い。下引き層は、ポリビニルアルコール・ポリ−N−ビニルイミダゾール・ポリエチレンオキシド・エチルセルロース・メチルセルロース・ニトロセルロース・エチレン−アクリル酸コポリマー・ポリビニルブチラール・フェノール樹脂・カゼイン・ポリアミド・共重合ナイロン・ニカワ・ゼラチン・ポリウレタン・酸化アルミニウム等の材料によって形成される。その膜圧は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μm程度である。
【0030】
電荷発生層は、アゾ系顔料・フタロシアニン系顔料・インジゴ系顔料・ペリレン系顔料・多環キノン系顔料・スクワリリウム色素・ピリリウム塩類・チオピリリウム塩類・トリフェニルメタン系色素、セレン・非晶質シリコン等の無機物質などの電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工するあるいは蒸着等により形成される。結着剤としては、広範囲な結着性樹脂から選択でき、例えば、ポリカーボネート樹脂・ポリエステル樹脂・ポリビニルブチラール樹脂・ポリスチレン樹脂・アクリル樹脂・メタクリル樹脂・フェノール樹脂・シリコン樹脂・エポキシ樹脂・酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80重量%以下、好ましくは0〜40重量%に選ぶ。また、電荷発生層の膜圧は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0031】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜圧は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン・アントラセン・ピレン・フェナントレンなどの構造を有する多環芳香族化合物、インドール・カルバゾール・オキサジアゾール・ピラゾリンなどの含窒素環式化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、セレン・セレン−テルル・非晶質シリコン・硫化カドニウム等が挙げられる。
【0032】
また、これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂・ポリエステル樹脂・ポリメタクリル酸エステル・ポリスチレン樹脂・アクリル樹脂・ポリアミド樹脂等の樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール・ポリビニルアントラセン等の有機光導電性ポリマー等が挙げられる。電荷輸送層における結着樹脂の量は40〜70重量%が好ましい。
【0033】
保護層の樹脂としては、ポリエステル・ポリカーボネート・アクリル樹脂・エポキシ樹脂・フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤等が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。
【0034】
また、保護層の樹脂中に分散される導電性微粒子としては金属・金属酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化亜鉛・酸化チタン・酸化スズ・酸化アンチモン・酸化インジウム・酸化ビスマス・酸化スズ被膜酸化チタン・スズ被膜酸化インジウム・アンチモン被膜酸化スズ・酸化ジルコニウム等の超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために入射光の波長よりも粒子の粒径の方が小さいことが必要であり、本発明における保護層に分散される導電性、絶縁性又は、潤滑性微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。また、保護層中での含有量は、2〜90重量%が好ましく、5〜80重量%がより好ましい。
【0035】
保護層の塗工は、樹脂分散液をスプレーコーティング、ビームコーティングする、あるいは溶媒を選択することにより浸透コーティングすることによって行うことができる。保護層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、1〜7μmがより好ましい。
【0036】
本発明において、静電荷保持体保護層の表面硬度は、以下のように測定する。
【0037】
感光体を例えばHEIDON14型表面性測定機(新東科学社製)のサンプル台に固定し、感光層表面にダイヤモンド製針(円錐形で、円錐角90°、但し先端は直径0.01mmの半球状になっている。)を介して垂直荷重を懸け、サンプル台を50mm/minの速度で動かし、感光層表面に引っかき傷をつける。この傷の深さを、例えば表面粗さ計サーフテスト501(ミツトヨ社製)等を用いて測定する。上記の操作を、垂直荷重を例えば10gから5gおきに増して繰り返し行い、傷幅と垂直荷重の直線回帰より、1μmの引っかき傷をつける荷重を算出し、感光層の表面硬度とする。ここで、感光体が円筒状のドラムである場合には、ドラムの幅方向に傷がつけられるように感光体をサンプル台上にセットする。
【0038】
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、スチレン系樹脂・ポリエステル樹脂・アクリル樹脂・フェノール樹脂・エポキシ樹脂等のトナー用結着樹脂として公知の広範な樹脂が単独あるいは複数種組み合わせて使用可能である。
【0039】
着色剤としても従来より知られている無機・有機の染料・顔料が使用可能であり、例えば、カーボンブラック・アニリンブラック・アセチレンブラック・フナトールイエロー・ハンザイエロー・ローダミンレーキ・アリザリンレーキ・ベンガラ・フタロシアニンブルー・インダンスレンブルー等がある。これらは通常、結着樹脂100重量部に対し0.5〜20重量部使用される。
【0040】
また、トナーを正帯電性トナーとして使用しようとする場合には、ニグロシン染料・四級アンモニウム塩等の正荷電性制御剤を含有させることが好ましく、負帯電性トナーとして用いる場合には、サリチル酸系金属錯体または金属塩・アセチルアセトン金属錯体等の負荷電性制御剤を含有させることが好ましい。
【0041】
更に本発明中のトナーは、非磁性1成分現像剤として用いても良いし、キャリア粒子と混合して2成分現像剤として用いても良いが、さらに酸化鉄・金属・金属合金等のような磁性を有する材料を添加し磁性トナーとして用いることがより好ましい。
【0042】
本発明のトナーを作製するには、結着樹脂・着色剤・他の添加剤をボールミル等の混合機で混合した後溶融混練し、冷却固化した後に粉砕・分級することにより粒度調整されて得られる。あるいは結着樹脂溶液中に着色剤・他の材料を分散した後噴霧乾燥することにより得る方法、結着樹脂を構成すべき単量体に所定材料を混合して乳化・懸濁液とした後に重合させてトナーを得る方法、乾式または湿式で層構成を有するトナーを得る方法等が応用できるが、いずれの方法によっても5μm以下のトナー粒子が10個数%以上含有されるように粒度分布を調整することが必要である。
【0043】
更に、本発明のトナーは、コロイダルシリカ・酸化チタン・アルミナ等の無機酸化物微粒子に代表される流動性付与剤を添加することが好ましい。流動性付与剤の好ましい添加量は、0.1〜5重量%であり、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が50〜400m2 /gであるものを用いることが好ましい。
【0044】
本発明において、5μm以下のトナー粒子の個数%および重量平均粒径は以下のようにして測定した。
【0045】
トナーの粒度分布は種々の方法によって測定できるが、本発明ではコールターカウンターを用いた。
【0046】
すなわち、測定装置としてはコールターカウンターTA−II型(コールター社製)を用い、個数分布・体積分布を出力するインターフェース及びパーソナルコンピュータを接続する。1%塩化ナトリウム水溶液100〜150mlに分散剤として界面活性剤0.1〜5mlを加えて電解溶液とし、これに測定試料(トナー)2〜20mgを加えて、超音波分散器によって電解溶液中に試料を分散させる。得られた試料分散液を前記コールターカウンターTA−II(100μmアパチャー使用)により、個数を基準として2〜40μmの粒子の粒度分布を測定して、本発明に係るところの値を求めた。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これは本発明を何等限定するものではない。なお、実施例における評価は、15℃・湿度10%の低湿環境下で行った。
【0048】
(静電荷保持体の製造例1)
肉厚2mmの円筒状アルミシリンダー(φ30mm×260mm)からなる基体上に、膜厚が1μmのポリアミド樹脂からなる下引き層を設け、フタロシアニン系顔料とポリビニルブチラール樹脂からなる膜厚0.2μmの電荷発生層をディピング法によって形成させた。ついで、この電荷発生層上にスチルベン系化合物50wt%、ポリメチルメタクリレート樹脂50wt%を溶剤に溶解し、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにディピング法にて塗布・乾燥して電荷輸送層を形成させた。さらに、光硬化性アクリル樹脂65wt%、平均粒径400Åの酸化スズ超微粒子34.8wt%、光開始剤として2−メチルチオキサントン0.2wt%を3倍量のトルエン中に分散して、ビームコーティング法により成膜し、乾燥し溶媒を除去した後、高圧水銀灯により光硬化させ膜厚4.5μmの保護層を形成して電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ75gの値が得られた。
【0049】
(静電荷保持体の製造例2)
肉厚2mmの円筒状アルミシリンダー(φ30mm×360mm)からなる基体上に、膜厚が1μmのビニル系樹脂からなる下引き層を設け、ビスアゾ系顔料とポリビニルブチラール樹脂からなる膜厚0.2μmの電荷発生層をディピング法によって形成させた。ついで、この電荷発生層上にヒドラゾン系化合物40wt%、ポリカーボネート樹脂60wt%を溶剤に溶解し、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにディピング法で塗布・乾燥して電荷輸送層を形成した。さらに、ポリカーボネート樹脂70wt%、酸化スズ超微粒子30wt%をトルエン溶媒中に分散させた後スプレーコーティング法により成膜し、膜厚6μmの保護層を有する電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ50gの値が得られた。
【0050】
(静電荷保持体の製造例3)
ポリアミド樹脂フィルム上に、導電性酸化チタンをフェノール樹脂中に分散させた膜厚30μmの導電層を設け、この上にジスアゾ顔料とブチラール樹脂からなる電荷発生層を乾燥膜厚が0.2μmとなるようにディピング法により塗布した。
【0051】
次に電荷輸送物質としてフルオレン系化合物45wt%とポリカーボネート樹脂55wt%をベンゼン系の溶媒に溶解し、これを先の電荷発生層上に乾燥膜厚が22μmとなるようにマイヤーバーで塗布して電荷輸送層を設けた。更にこの上層に、ポリエチレンテレフタレート樹脂70wt%、酸化スズ超微粒子25wt%とをフェノールとテトラクロロエタン(1:1)混合溶媒に分散させ、ビームコーティング法により成膜塗布し、膜厚4μmの保護層を形成した。このシート感光体の表面層である保護層の表面硬度を測定したところ、61gの値が得られた。このシートを360mm×450mmに切断し、張り合せて幅360mmのエンドレスフィルム状のベルト感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ50gの値が得られた。
【0052】
(静電荷保持体の製造例4)
肉厚2mmの円筒状アルミシリンダー(φ30mm×260mm)からなる基体上に、膜厚が1μmのポリアミド樹脂からなる下引き層を設け、フタロシアニン系顔料とポリビニルブチラール樹脂からなる膜厚0.2μmの電荷発生層をディピング法によって形成させた。ついで、この電荷発生層上にスチルベン系化合物50wt%、ポリメチルメタクリレート樹脂50wt%を溶剤に溶解し、乾燥後の膜厚が25μmとなるようにディピング法にて塗布・乾燥して電荷輸送層を形成させた。
【0053】
【化1】
【0054】
さらに、上記で示される化合物98wt%と1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン2wt%とを、トルエンとメチルエチルケトン(1:1)混合溶媒に溶解させ、この調製液を前記電荷輸送層上にビームコーティング法により成膜し、乾燥し溶媒を除去した後、高圧水銀灯により光硬化させ膜厚3.0μmの保護層を形成して電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ90gの値が得られた。
【0055】
(静電荷保持体の製造例5)
肉厚2mmの円筒状アルミシリンダー(φ30mm×260mm)からなる基体上に、膜厚が1μmのポリアミド樹脂からなる下引き層を設け、フタロシアニン系顔料とポリビニルブチラール樹脂からなる膜厚0.2μmの電荷発生層をディピング法によって形成させた。ついで、この電荷発生層上にヒドラゾン系化合物40wt%、ポリカーボネート樹脂60wt%を溶剤に溶解し、乾燥後の膜厚が20μmとなるようにディピング法にて塗布・乾燥して電荷輸送層を形成させた。
【0056】
【化2】
【0057】
さらに、上記で示される化合物98wt%と1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン2wt%とを、トルエンとメチルエチルケトン(1:1)混合溶媒に溶解させ、この調製液を前記電荷輸送層上にビームコーティング法により成膜し、乾燥し溶媒を除去した後、高圧水銀灯により光硬化させ膜厚3.5μmの保護層を形成して電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ90gの値が得られた。
【0058】
(静電荷保持体の製造例6)
保護層を変える他は製造例1と同様にして電子写真感光体を作製した。即ち、ポリメチルメタアクリレート樹脂65wt%、平均粒径400Åの酸化スズ超微粒子35wt%、30倍量のクロロベンゼンに分散して、ビームコーティング法により成膜し、加熱乾燥し溶媒を除去し、膜厚4.5μmの保護層を形成して電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ15gの値が得られた。
【0059】
(静電荷保持体の製造例7)
保護層を変える他は製造例2と同様にして感光体を作製した。即ち、ポリメチルメタアクリレート樹脂70wt%、酸化スズ超微粒子30wt%をクロロベンゼン溶媒中に分散させた後スプレーコーティング法により成膜し、膜厚6μmの保護層を有する電子写真感光体を作製した。この感光体表面の硬度を前述の測定法に基づいて測定したところ10gの値が得られた。
【0060】
(現像剤の製造例1)
ポリエステル樹脂 50wt%
球状磁性体(水平方向フェレ径:0.25μm) 45wt%
サリチル酸誘導体金属塩 2wt%
ポリオレフィン 3wt%
【0061】
上記材料を乾式混合した後に、140℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して粒度分布の調整されたトナー組成物を得た。このトナー組成物に、酸化チタン微粒子(BET200m2 /g)1.5wt%、およびポリスチレン微粒子(平均径0.1μm)0.1wt%を外添して重量平均粒径5.4μm(5μm以下の粒子の含有率:53個数%)の磁性1成分トナーを得た。
【0062】
(現像剤の製造例2)
スチレン−アクリル系樹脂・ニグロシン系染料・球状磁性体(水平方向フェレ径:0.27μm)を用いて実施例1と同様にして磁性1成分トナーを作製し、表面層がポジ化処理されたコロイダルシリカ(BET300m2 /g)1.0wt%を外添して、重量平均粒径7.6μm(5μm以下の粒子の含有率:41個数%)のトナーを作製した。
【0063】
(現像剤の製造例3)
スチレン−アクリル系樹脂・トリフェニルメタン系染料・球状磁性体(水平方向フェレ径:0.35μm)からなるトナー組成物にコロイダルシリカ(BET300m2 /g)1.0wt%を外添してトナーを得た。得られた重量平均粒径8.3μm(5μm以下の粒子の含有率:24個数%)のトナーを、表面をシリコン系樹脂で被覆したフェライトキャリア(平均粒径50μm)と5:100の比率で混合し現像剤を作製した。
【0064】
(現像剤の製造例4)
ポリエステル樹脂 40wt%
磁性体(八面体 水平方向フェレ径:0.35μm) 55wt%
サリチル酸誘導体金属塩 1wt%
ポリオレフィン 4wt%
【0065】
上記材料を乾式混合した後に、140℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して粒度分布の調整されたトナー組成物を得た。このトナー組成物に、疎水性シリカ微粒子(BET200m2 /g)1.0wt%及びポリスチレン微粒子(平均粒径:0.1μm)0.1wt%を外添して重量平均粒径5.9μm(5μm以下の粒子の含有率:45個数%)の磁性1成分トナーを得た。
【0066】
(現像剤の製造例5)
スチレン−アクリル系樹脂・4級アンモニウム塩・カーボンブラックからなるトナー組成物に酸化チタン微粒子(BET300m2 /g)1.0wt%及びポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径:0.3μm)0.1wt%を外添してトナーを得た。得られた重量平均粒径8.1μm(5μm以下の粒子の含有率:19個数%)のトナーを表面をシリコン系樹脂で被覆したフェライトキャリア(平均粒径50μm)と5:100の比率で混合し現像剤を作製した。
【0067】
(現像剤の製造例6)
スチレン−アクリル系樹脂・ニグロシン系染料・磁性体(実施例4で用いた物)を用いて実施例1と同様にして磁性1成分トナーを作製し、表面層がポジ化処理されたコロイダルシリカ(BET300m2 /g)1.0wt%及びスチレン−アクリル共重合体微粒子(共重合比:65:35 平均粒径:0.6μm)0.4wt%を外添して、重量平均粒径8.4μm(5μm以下の粒子の含有率:29個数%)のトナーを作製した。
【0068】
(現像剤の製造例7)
スチレン−アクリル樹脂 45wt%
磁性体(Si元素含有率:0.45wt%) 50wt%
サリチル酸誘導体金属塩 2wt%
ポリオレフィン 3wt%
【0069】
上記材料を乾式混合した後に、140℃に設定した2軸混練押出機にて混練した。得られた混練物を冷却し、気流式粉砕機により微粉砕した後に風力分級して粒度分布の調整されたトナー組成物を得た。このトナー組成物に、酸化チタン微粒子(BET200m2 /g)1.5wt%を外添して重量平均粒径6.3μm(5μm以下の粒子の含有率:43個数%)の磁性1成分トナーを得た。
【0070】
(現像剤の製造例8)
スチレン−アクリル系樹脂・トリフェニルメタン系染料・磁性体(Si元素含有率:1.09wt%)からなるトナー組成物にコロイダルシリカ(BET300m2 /g)1.0wt%を外添してトナーを得た。得られた重量平均粒径8.7μm(5μm以下の粒子の含有率:21個数%)のトナーを表面をシリコン系樹脂で被覆したフェライトキャリア(平均粒径50μm)と5:100の比率で混合し現像剤を作製した。
【0071】
(現像剤の製造例9)
スチレン−アクリル系樹脂・ニグロシン系染料・磁性体(Si元素含有率:0.23wt%,Al元素含有率:0.18wt%)を用いて実施例1と同様にして磁性1成分トナーを作製し、表面層がポジ化処理されたコロイダルシリカ(BET300m2 /g)1.0wt%を外添して、重量平均粒径8.0μm(5μm以下の粒子の含有率:29個数%)のトナーを作製した。
【0072】
実施例1
静電荷保持体の製造例1および現像剤の製造例1にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて下記の条件にて試験を行なった。市販のレーザービームプリンターLBP−8II(キヤノン社製)のプロセススピードを2倍にし、クリーニングブレードの線圧を30g/cmにアップした改造機を用い、連続4000枚の画出しをトナーを補給しつつ20回繰り返した。その結果、初期から最後まで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0073】
実施例2
静電荷保持体の製造例2および現像剤の製造例2にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて下記の条件にて試験を行なった。市販の複写機NP−2020(キヤノン社製)のプロセススピードを1.5倍にし、クリーニングブレードの線圧を30g/cmにアップした改造機を用い、B5紙を400枚通紙・複写し、A4紙を100枚通紙・複写するサイクルを100回繰り返して、感光体上にB5紙の紙コバがあたる部分、B5紙で生ずる非通紙部(クリーニング部に到達するトナー量が少なくクリーニング不良を生じやすい)に着目して評価したところ、感光体の表面にも画像欠陥の原因となりそうな傷は発生しておらず、クリーニング不良による画像欠陥もなかった。また、初期から連続5万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0074】
実施例3
市販の複写機NP−3825を改造し、静電荷保持体の製造例3および現像剤の製造例3にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて下記の条件にて試験を行なった。改造は図1に示すように、クリーニングブレード10を厚肉化及び感光体ベルト駆動用ローラー12(20φ)の部分で線圧を35g/cmとなるように設定し、更にクリーニング磁性ローラー9(静電荷保持体8と接触)を併用するように改造し、10万枚の繰り返し画出しを行なった。その結果、20万枚後においても感光体としての帯電能の劣化が最低限に抑えられ、感光体上の傷も画像欠陥とはならない程度のものであった。また、画質も初期から連続10万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れており、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0075】
実施例4
静電荷保持体の製造例1および現像剤の製造例4にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例1で行ったのと同様にして評価を行った。その結果、初期から4000枚のサイクル15回まで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。ただし、サイクル16回目で画像端部に若干のクリーニング不良が生じたが、軽微であり、実用上問題のないレベルであった。
【0076】
実施例5
静電荷保持体の製造例2および現像剤の製造例6にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて評価を行った。実施例2と同様にして評価を行ったところ、初期から連続5万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0077】
実施例6
静電荷保持体の製造例3および現像剤の製造例5にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて評価を行った。実施例3と同様にして評価を行った。その結果、20万枚後においても感光体としての帯電能の劣化が最低限に抑えられ、感光体上の傷も画像欠陥とはならない程度のものであった。また、画質も初期から連続10万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れており、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0078】
実施例7
静電荷保持体の製造例4および現像剤の製造例7にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果、初期から最後まで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0079】
実施例8
静電荷保持体の製造例3および現像剤の製造例8にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例3と同様に評価を行ったところ、20万枚後においても感光体としての帯電能の劣化が最低限に抑えられ、感光体上の傷も画像欠陥とはならない程度のものであった。また、画質も初期から連続10万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れており、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0080】
実施例9
静電荷保持体の製造例5および現像剤の製造例7にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例1と同様にして評価を行った。その結果、初期から最後まで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れた画像が得られ、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0081】
実施例10
静電荷保持体の製造例3および現像剤の製造例9にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例3と同様に評価を行ったところ、20万枚後においても感光体としての帯電能の劣化が最低限に抑えられ、感光体上の傷も画像欠陥とはならない程度のものであった。また、画質も初期から連続10万枚画出し後に至るまで潜像に忠実で高解像性・階調再現性に優れており、削れに起因する画像欠陥は見られなかった。
【0082】
比較例1
静電荷保持体の製造例6および現像剤の製造例1にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて実施例1で行ったのと同様にして評価を行った。その結果、初期から4000枚のサイクル2回目で、画像端部に若干のクリーニング不良が生じサイクル3回目で、全面クリーニング不良となった。
【0083】
比較例2
静電荷保持体の製造例7および現像剤の製造例6にて製造した静電荷保持体と現像剤を用いて評価を行った。実施例2と同様にして評価を行ったところ、初期から連続1万枚目に、クリーニング不良を生じるとともに、画像に縦に白く抜ける筋が現われた。静電荷保持体の表面を観察すると、周方向に傷が見られた。
【0084】
【発明の効果】
本発明の実施により、高解像度・高画質を実現し、クリーニング性が良好で、とりわけ長期間の繰り返し使用によっても感光体を劣化させない特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に好適な複写機の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 原稿
2 原稿照明ランプ
3 ズームレンズ
4 前露光ランプ
5 1次帯電器
6 ブランク露光ランプ
7 現像器
8 ベルト感光体(静電荷保持体)
9 クリーニングローラー
10 クリーニングブレード
11 クリーナスクリュー
12 駆動用ローラー
13 搬送部
14 定着上ローラー
15 定着下ローラー
16 クリーニングウェブ
17 転写帯電器
Claims (8)
- ヘイドン表面性測定機により、円錐角が90°の円錐形で先端が直径0.01mmの半球状であるダイヤモンド製針を介して垂直荷重をかけたとき、深さ1μmの引っかき傷をつけるのに要する荷重が40g以上である保護層を有し、且つ有機光導電物質を有する静電荷保持体上に、実質的に一様な静電荷を保持させる工程、静電荷を減少或いは増加させて静電潜像を形成する工程、静電潜像を現像し顕在化する工程、顕在化された像を永久保持部材に転写する工程、静電荷保持体の表面をクリーニングする工程を少なくとも有し、前記静電潜像現像工程において、5μm以下の粒子を10個数%以上含有する静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
- トナーは重量平均粒径が4〜9μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 5μm以下のトナー粒子が17〜60個数%含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- BET法で測定した窒素吸着による比表面積が50〜400m2/gの流動性付与剤が0.1〜5重量%添加されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
- 該静電保持体は、感光層が、(i)電荷発生物質及び電荷輸送能を有する物質を含有する単一層型、又は(ii)電荷輸送層と電荷発生層とを有する機能分離型であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 静電荷保持体は、有機光導電物質を有し、基体,電荷発生層,電荷輸送層及び保護層を少なくとも有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 静電荷保持体がブレードによりクリーニングされ、静電荷保持体に対するブレードの線圧が10g/cm以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成方法。
- ブレードの線圧が15〜50g/cmであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
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