JP2896823B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた電子写真装置並びにファクシミリ - Google Patents

電子写真感光体、該電子写真感光体を備えた電子写真装置並びにファクシミリ

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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体に関し、
詳しくは表面保護層を有する電子写真感光体、該電子写
真感光体を備えた電子写真装置並びにファクシミリに関
する。
【0002】
【従来の技術】電子写真感光体には運用される電子写真
プロセスにおいて所要の感度、電気特性、光学特性を備
えていることが要求されるが、さらに、繰り返し使用さ
れる感光体にあっては、感光体の表面層、すなわち、支
持体より最も隔離する層には、コロナ帯電、トナ−現
像、紙への転写、クリ−ニング処理などの電気的、機械
的外力が直接に加えられるために、それらに対する耐久
性が要求される。具体的には、摺擦による表面の摩耗や
キズの発生、また、コロナ帯電時に発生するオゾンによ
る表面の劣化などに対する耐久性が要求されている。一
方、トナ−現像、クリ−ニングの繰り返しによる表面層
へのトナ−付着という問題もあり、これに対しては表面
層のクリ−ニング性を向上することが求められている。
【0003】上記のような表面層に要求される特性を満
たすために、樹脂を主成分とする表面保護層を設ける試
みがなされている。例えば特開昭57−30843号公
報には導電性粉末として金属酸化物を添加して抵抗を制
御した保護層が提案されている。しかしながら、従来用
いられていた方法では、金属酸化物粒子の結着樹脂中で
の分散性、凝集性、保護層に用いた際の導電性、透明度
に問題があり、保護層表面の不均一性、ムラなどによる
画像欠陥、繰り返し帯電による残留電位の上昇、感度低
下といった現象が起こりやすかった。
【0004】電子写真感光体用の保護層に金属酸化物を
分散するのは、保護層自体の電気抵抗を制御し電子写真
プロセスの繰り返しにおける感光体内での残留電位の増
加を防止するのがその主な目的であり、他方、電子写真
感光体用の保護層の適切な抵抗値は1010〜1015
ohm.cmであることが示されている。しかしなが
ら、前記の範囲の抵抗値においては、保護層の電気抵抗
はイオン電導によって影響を受けやすく、そのために環
境の変化によって電気抵抗が大きく変化する傾向にあ
る。特に金属酸化物を膜中に分散している場合には、金
属酸化物表面の吸水性が高いために、全環境において、
しかも電子写真プロセスの繰り返しを行う際に、保護層
の抵抗を前記範囲内に保つことはこれまで非常に困難で
あった。
【0005】また、一般的に保護層に粒子を分散させた
場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐためには、入
射光の波長よりも粒子の粒径が小さいこと、すなわち、
0.3μm以下であることが必要である。しかし、一般
に金属酸化物粒子は樹脂溶液中において凝集傾向が強く
均一な分散が困難であり、いったん分散しても二次凝集
や沈降が起こるために安定して粒径0.3μm以下の分
散膜を生産することは非常に困難であった。さらに透明
度、導電均一性を向上させるためには、さらに粒径の細
かい超微粒子粉体(一次粒径0.1μm以下)を分散す
ることが有用であるが、このような超微粒子はさらに、
分散性、分散安定性が悪くなる傾向にあった。さらに特
に高湿下において、繰り返し帯電により発生するオゾ
ン、NOなどのコロナ生成物などが表面に付着するこ
とにより感光体の表面抵抗の低下を引き起こし、画像流
れが発生するなどの問題により未だ保護層として満足で
きる電子写真特性を示すものが得られていないのが現状
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は摺擦に
よる表面の摩耗や傷の発生などに対して耐久性を有する
電子写真感光体を提供すること、さらに別の目的は、繰
り返し電子写真プロセスにおいて発生するコロナ生成物
付着による表面抵抗の低下がなく、高湿下においても高
品位の画質を保つことのできる電子写真感光体を提供す
ること、さらに別の目的は、繰り返し電子写真プロセス
において、残留電位の蓄積や感度の低下がない安定した
電子写真特性を示す電子写真感光体を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は導電性支持体上
に感光層および保護層を有する電子写真感光体におい
て、保護層が下記式(1)で示す硬化型アクリル系モノ
マ−、式(2)で示す硬化型アクリル系モノマ−および
式(3)で示す硬化型アクリル系モノマ−からなる群か
ら選択された硬化型アクリル系モノマ−を含有する結着
樹脂に導電性金属酸化物微粒子を分散した塗工液を用
い、これを感光層上に塗工、硬化させて形成されること
を特徴とする電子写真感光体から構成される。 式(1)
【化4】 式(2)
【化5】 式(3)
【化6】 m、aおよびbは正の整数
【0008】本発明の電子写真感光体は導電性支持体上
に感光層と保護層を有する電子写真感光体である。
【0009】前述のように導電性金属酸化物微粒子を結
着樹脂中に分散した膜を電子写真感光体の保護層に用い
る場合の問題点は該微粒子の分散性と膜の電気抵抗の環
境安定性である。本発明者らは上記の問題点を解決する
手段として式(1)、式(2)および式(3)で示す硬
化型アクリル系モノマ−からなる群から選択された硬化
型アクリル系モノマ−を含有する結着樹脂に導電性金属
酸化物微粒子を分散することが非常に有効であることを
認識し、本発明に到達した。
【0010】式(1)、式(2)および式(3)で示す
硬化型アクリル系モノマ−は官能基を有するため、比較
的高い極性を有するので、該硬化型アクリル系モノマ−
を含有する結着樹脂に導電性金属酸化物微粒子を分散す
ることによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経
時的にも安定した分散性の良い塗工液が得られる。さら
に、この塗工液より形成した保護層は透明度が高く、耐
水性、耐薬品性などの耐環境性に優れた膜が得られる。
【0011】本発明における特定の硬化型アクリル系モ
ノマ−を含有する結着樹脂の硬化方法は硬化度および下
地の感光層との界面均一性の点より紫外線硬化が望まし
いが、熱によっても硬化させることができる。紫外線硬
化の場合には硬化促進のため光開始剤を用いることが望
ましい。光開始剤としては、例えばベンゾフェノン、ミ
ヒラ−ケトン、チオキサントン、ベンゾインブチルエ−
テル、アシロキシムエステル、ジベンゾスロベンなどが
挙げられる。熱硬化を行う場合にはラジカル開始剤を用
いることが望ましいが、通常のラジカル開始剤として
は、例えばp−メトキシ過酸化ベンゾイル、m,m'
ジメトキシ過酸化ベンゾイル、2,2'−アゾビスイソ
ブチルニトリル、2,2'−アゾビスイソ酪酸ジメチル
エステル、4,4'−アゾビス−4−シアノヘプタン酸
などを用いることができる。
【0012】本発明における保護層用の結着樹脂として
は、式(1)、式(2)および式(3)で示す硬化型ア
クリルモノマ−からなる群から選択された硬化型アクリ
ルモノマ−を単独で用いてもよく、他の樹脂と混合して
用いることもできる。混合使用可能な樹脂としては、例
えばアクリル樹脂、ポリエステル、ポリカ−ボネ−ト、
ポリスチレン、セルロ−ス、ポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコ−ン、ポリ
塩化ビニルなどが挙げられる。さらに、上記特定の硬化
型アクリル系モノマ−と共重合を起こす硬化性モノマ−
およびオリゴマ−を混合することも可能である。
【0013】本発明における導電性金属酸化物としては
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン、酸化
インジウム、酸化ビスマス、錫をド−プした酸化インジ
ウム、アンチモンをド−プした酸化錫、酸化ジルコニウ
ムなどの超微粒子を用いることができる。金属酸化物は
1種類または2種類以上混合して用いる。2種類以上混
合した場合には固溶体または融着の形をとってもよい。
金属酸化物の平均粒径は0.3μm以下、好ましくは
0.1μm以下である。
【0014】結着樹脂と導電性金属酸化物微粒子との割
合は直接的に保護層の抵抗を決定する値であり、保護層
の抵抗が1010〜1015ohm.cmの範囲になる
ように設定する。
【0015】本発明においては前記保護層中に、分散
性、結着性、耐候性を向上させる目的でカップリング
剤、酸化防止剤などの添加物を加えてもよい。保護層は
前記結着樹脂中に金属酸化物を分散した溶液を塗布、硬
化して形成する。保護層の膜厚は0.2〜7μm、好ま
しくは0.5〜5μmである。
【0016】本発明の電子写真感光体の感光層の構成は
電荷発生物質と電荷輸送物質双方を同一層に含有する単
層型あるいは電荷発生層と電荷輸送層を導電性支持体上
に積層した積層型のいずれかである。
【0017】積層型の感光層の構成としては、導電性支
持体上に電荷発生層、電荷輸送層をこの順に積層した構
成と、逆に電荷輸送層、電荷発生層の順に積層する構成
がある。
【0018】導電性支持体は導電性を有するものであれ
ばよく、例えばアルミニウム、銅、クロム、ニッケル、
亜鉛、ステンレスなどの金属や合金をドラムまたはシ−
ト状に成型したもの、アルミニウムや銅などの金属箔を
プラスチックフィルムにラミネ−トしたもの、アルミニ
ウム、酸化インジウム、酸化錫などをプラスチックフィ
ルムに蒸着したもの、導電性物質を単独または結着樹脂
と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィ
ルム、紙などが挙げられる。
【0019】電荷輸送層は、主鎖または側鎖にビフェニ
レン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構
造を有する多環芳香族化合物、インド−ル、カルバゾ−
ル、オキサジアゾ−ル、ピラゾリンなどの含窒素環化合
物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物などの電荷輸送
物質を成膜性を有する樹脂に溶解させた塗工液を用いて
形成される。成膜性を有する樹脂としてはポリエステ
ル、ポリカ−ボネ−ト、ポリスチレン、ポリメタクリル
酸エステルなどが挙げられる。電荷輸送層の膜厚は5〜
40μm、好ましくは10〜30μmである。
【0020】電荷発生層はアゾ系顔料、ピレンキノン、
アントアントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔
料、ペリレン顔料、インジゴ、チオインジゴなどのイン
ジゴ系顔料、フタロシアニン顔料などの電荷発生物質を
ポリビニルブチラ−ル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニ
ル、アクリル樹脂などの結着樹脂に分散させて、この分
散液を塗工するか、前記顔料を真空蒸着することによっ
て形成する。電荷発生層の膜厚は5μm以下、好ましく
は0.05〜3μmである。
【0021】導電層と感光層の中間にバリア−機能と接
着機能を有する下引き層を設けることができる。下引き
層はカゼイン、ポリビニルアルコ−ル、ニトロセルロ−
ス、エチレン−アクリル酸コポリマ−、アルコ−ル可溶
アミド、ポリウレタン、ゼラチンなどによって形成で
き、下引き層の膜厚は0.1〜3μmが適当である。
【0022】本発明の電子写真感光体は硬度が高く、金
属酸化物微粒子の分散性のよい均質な保護層を形成する
ことができたため、ムラ、カブリ、黒ポチなどの画像欠
陥がなく、耐摩耗性、耐環境性が非常に高く、しかも電
子写真特性に優れている。
【0023】本発明の電子写真感光体は電子写真複写
機、レ−ザ−プリンタ−、LEDプリンタ−、液晶シャ
ッタ−式プリンタ−などの電子写真装置一般に適応する
が、さらに、電子写真技術を応用したディスプレ−、記
録、軽印刷、製版、ファクシミリなどの装置にも幅広く
適用することができる。
【0024】また、本発明は前記本発明の電子写真感光
体を備えた電子写真装置から構成される。
【0025】また、本発明は前記本発明の電子写真感光
体を備えた電子写真装置およびリモ−ト端末からの画像
情報を受信する受信手段を有するファクシミリから構成
される。
【0026】次に、本発明の電子写真感光体を備えた電
子写真装置並びにファクシミリについて説明する。図1
に本発明のドラム型感光体を用いた一般的な転写式電子
写真装置の概略構成を示した。図において、1は像担持
体としてのドラム型感光体であり軸1aを中心に矢印方
向に所定の周速度で回転駆動される。該感光体1はその
回転過程で帯電手段2によりその周面に正または負の所
定電位の均一帯電を受け、次いで露光部3にて不図示の
像露光手段により光像露光L(スリット露光・レ−ザ−
ビ−ム走査露光など)を受ける。これにより感光体周面
に露光像に対応した静電潜像が順次形成されていく。そ
の静電潜像は、次いで現像手段4でトナ−現像され、そ
のトナ−現像像が転写手段5により不図示の給紙部から
感光体1と転写手段5との間に感光体1の回転と同期取
りされて給送された転写材Pの面に順次転写されてい
く。像転写を受けた転写材Pは感光体面から分離されて
像定着手段8へ導入されて像定着を受けて複写物(コピ
−)として機外へプリントアウトされる。像転写後の感
光体1の表面はクリ−ニング手段6にて転写残りトナ−
の除去を受けて清浄面化され、前露光手段7により除電
処理がされて繰り返して像形成に使用される。感光体1
の均一帯電手段2としてはコロナ帯電装置が一般に広く
使用されている。また、転写装置5もコロナ転写手段が
一般に広く使用されている。電子写真装置として、上述
の感光体や現像手段、クリ−ニング手段などの構成要素
のうち、複数のものを装置ユニットとして一体に結合し
て構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に
構成しても良い。例えば、感光体1とクリ−ニング手段
6とを一体化してひとつの装置ユニットとし、装置本体
のレ−ルなどの案内手段を用いて着脱自在の構成にして
もよい。このとき、上記の装置ユニットのほうに帯電手
段および/または現像手段を伴って構成してもよい。ま
た、光像露光Lは、電子写真装置を複写機やプリンタ−
として使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を
用いる、あるいは、原稿を読み取り信号化に従って、こ
の信号によりレ−ザ−ビ−ムの走査、発光ダイオ−ドア
レイの駆動、または液晶シャッタ−アレイの駆動などを
行うことにより行われる。また、ファクシミリのプリン
タ−として使用する場合には、光像露光Lは受信デ−タ
をプリントするための露光になる。
【0027】図2は、この場合の1例をブロック図で示
したものである。コントロ−ラ10は画像読取部9とプ
リンタ−18を制御する。コントロ−ラ10の全体はC
PU16により制御されている。画像読取部からの読取
りデ−タは、送信回路12を通して相手局に送信され
る。相手局から受けたデ−タは受信回路11を通してプ
リンタ−18に送られる。画像メモリには所定の画像デ
−タが記憶される。プリンタコントロ−ラ17はプリン
タ−18を制御している。13は電話である。回線14
から受信された画像(回線を介して接続されたリモ−ト
端末からの画像情報)は、受信回路11で復調された
後、CPU16は画像情報の信号処理を行い順次画像メ
モリ15に格納される。そして、少なくとも1ペ−ジの
画像がメモリ15に格納されると、そのペ−ジの画像記
憶を行う。CPU16は、メモリ15より1ペ−ジの画
像情報を読み出しプリンタコントロ−ラ17に信号かさ
れた1ペ−ジの画像情報を送出する。プリンタコントロ
−ラ17は、CPU16からの1ペ−ジの画像情報を受
け取るとそのペ−ジの画像情報記録を行うべく、プリン
タ−18を制御する。なお、CPU16は、プリンタ−
18による記録中に、次のペ−ジの受信を行っている。
以上のように、画像の受信と記録が行われる。
【0028】
【実施例】
実施例1 アルミシリンダ−(φ30mm×260mm)上に、ア
ルコ−ル可溶性ポリアミド(商品名アミランCM−80
00、東レ(株)製)10部、メトキシメチル化6ナイ
ロン(商品名トレジンEF−30T、帝国科学(株)
製)30部をメタノ−ル150部、ブタノ−ル150部
の混合溶媒に溶解した調製液を浸漬塗布し、90℃で1
0分間乾燥させ、膜厚1μmの下引き層を形成した。
【0029】次に、下記構造式の顔料4部、
【化7】 ブチラ−ル樹脂(商品名エスレックBL−S、積水化学
(株)製)2部およびシクロヘキサノン100部をサン
ドミル装置にて48時間分散した後、テトラヒドロフラ
ン100部を加えて電荷発生層用の塗工液を調製した。
この塗工液を下引き層上に浸漬塗布し、80℃で15分
間乾燥させて、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成し
た。
【0030】次に、下記構造式のスチリル化合物10
部、
【化8】 およびポリカ−ボネ−ト(商品名ユ−ピロンZ−20
0、三菱ガス化学(株)製)10部をジクロルメタン2
0部、クロロベンゼン60部の混合溶媒に溶解し、この
溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、120℃で60分間
乾燥させて、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。
【0031】次に、保護層用の塗工液として、平均粒径
0.02μmのアンチモン含有酸化錫微粒子(商品名T
−1、三菱マテリアル(株)製)100部、下記式で示
す硬化型アクリル系モノマ−100部、
【化9】 光開始剤としての2−メチルチオキサントン0.1部、
トルエン300部を混合してサンドミル装置で96時間
分散して、これを塗工液とした。この塗工液を用いて電
荷輸送層上にスプレ−塗工にて成膜し、乾燥後、高圧水
銀灯にて8mW/cm の光強度で20秒間紫外線照
射して膜厚5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を
作成した。
【0032】このようにして作成した電子写真感光体を
帯電−露光−現像ー転写−クリ−ニングのプロセスを
1.5秒サイクルで繰り返す複写機に取り付け、20℃
・50%の常温常湿下で電子写真特性の評価を行い、1
0℃・15%の低温低湿下および35℃・85%の高温
高湿下での画像評価、さらに常温常湿下で繰り返し画出
し耐久を10万回行った。その結果、後記比較例1に示
す保護層なしの電子写真感光体と比較して、感度、残留
電位は同等であり、ムラや黒ポチのない画像を得ること
ができた。しかも10万回の繰り返し画出しにおいても
安定した画像を保つことができた。結果を表1に示す。
暗部電位はコロナ放電電圧+5KVで放電したときの電
子写真感光体の表面電位であり、その値が大きいほど帯
電能が良いことを示す。また、感度は表面電位が700
Vから200Vに減衰させるのに必要な露光量で示す。
【0033】実施例2 実施例1において用いた硬化型アクリル系モノマ−に代
えて下記式の硬化型アクリル系モノマ−を用いた他は、
実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を
行った。
【化10】
【0034】実施例3 実施例1において用いた硬化型アクリル系モノマ−に代
えて下記式の硬化型アクリル系モノマ−を用いた他は、
実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を
行った。
【化11】
【0035】実施例4 実施例1において用いた硬化型アクリル系モノマ−に代
えて下記式の硬化型アクリル系モノマ−を用いた他は、
実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を
行った。
【化12】
【0036】実施例5 実施例1において用いた硬化型アクリル系モノマ−に代
えて下記式の硬化型アクリル系モノマ−を用いた他は、
実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を
行った。
【化13】
【0037】実施例6 実施例1において用いた硬化型アクリル系モノマ−に代
えて下記式の硬化型アクリル系モノマ−を用いた他は、
実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を
行った。
【化14】
【0038】実施例7 実施例1の保護層用の塗工液を下記のように代えた他
は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評
価を行った。
【0039】保護層用塗工液の調製 平均粒径0.02μmのアンチモン含有酸化錫微粒子
(前出)100部、下記式の硬化型アクリル系モノマ−
(第1モノマ−成分と略称)50部、
【化15】 下記式の硬化型アクリル系モノマ−(第2モノマ−成分
と略称)60部、
【化16】 光重合開始剤としての2−メチルチオキサントン0.1
部、トルエン300部を混合してサンドミル装置で96
時間分散し、分散液を保護層用の塗工液とした。
【0040】実施例8 実施例7における第1モノマ−成分の硬化型アクリル系
モノマ−を下記式の硬化型アクリル系モノマ−代えた他
は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作成し、評
価を行った。
【化17】
【0041】実施例9 実施例7における第1モノマ−成分および第2成分の硬
化型アクリル系モノマ−を下記式の硬化型アクリル系モ
ノマ−代えた他は、実施例7と同様にして電子写真感光
体を作成し、評価を行った。
【化18】
【化19】
【0042】比較例1 実施例1において保護層を設けない他は実施例1と同様
にして電子写真感光体を作成し、同様の評価を行った。
その結果、後記表1に示すように初期の電子写真特性は
良好であったが、耐久を行ったところ帯電能が低下し、
4万枚程から良好な画像が得られなくなった。
【0043】比較例2 平均粒径0.02μmにアンチモン含有酸化錫微粒子
(前出)50部およびポリカ−ボネ−ト(前出)100
部、クロロベンゼン300部を混合してサンドミル装置
で96時間分散し、保護層用の塗工液を作成した。この
塗工液を用いて比較例1における電荷輸送層上にスプレ
−塗工にて成膜し、110℃で1時間加熱乾燥し、膜厚
5μmの保護層を形成し、電子写真感光体を作成し、実
施例1と同様の評価を行った。その結果、後記表1に示
すように初期の電子写真特性は良好であったが、耐久を
行ったところ、1万枚程から画像にカブリ、黒ポチが発
生し、良好な画像が得られなくなった。
【0044】上記実施例および比較例における電子写真
感光体の評価結果を下表に示す。
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の電子写真感光体は、保護層に用
いる結着樹脂中に導電性金属酸化物微粒子が分散、含有
されているため、保護層における金属酸化物の分散性が
良く、電子写真特性に優れている。さらに保護層の耐環
境性、耐摩耗性が良いため、繰り返し耐久を行っても画
質の良い安定した画像が得られるという顕著な効果を奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的な転写式電子写真装置の概略構成図であ
る。
【図2】電子写真装置をプリンタ−として使用したファ
クシミリのブロック図である。
【符号の説明】
1 像担持体としてのドラム型感光体(本発明の電子
写真感光体) 2 コロナ帯電装置 3 露光部 4 現像手段 5 転写手段 6 クリ−ニング手段 7 前露光手段 8 像定着手段 L 光像露光 P 像転写を受けた転写材 9 画像読取部 10 コントロ−ラ− 11 受信回路 12 送信回路 13 電話 14 回線 15 画像メモリ 16 CPU 17 プリンタコントロ−ラ 18 プリンタ−

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層および保護層を
    有する電子写真感光体において、保護層が下記式(1)
    で示す硬化型アクリル系モノマ−、式(2)で示す硬化
    型アクリル系モノマ−および式(3)で示す硬化型アク
    リル系モノマ−からなる群から選択された硬化型アクリ
    ル系モノマ−を含有する結着樹脂に導電性金属酸化物微
    粒子を分散した塗工液を用い、これを感光層上に塗工、
    硬化させて形成されることを特徴とする電子写真感光
    体。 式(1) 【化1】 式(2) 【化2】 式(3) 【化3】 式中、m、aおよびbは正の整数
  2. 【請求項2】 請求項1に記載する保護層が、該保護層
    塗工液の塗工後に紫外線照射によって硬化させて形成さ
    れる請求項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の電子写真感光体
    を備えた電子写真装置。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の電子写真感光体
    を備えた電子写真装置およびリモ−ト端末からの画像情
    報を受信する手段を有するファクシミリ。 【0001】
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