JP2801427B2 - 電子写真感光体、それを用いた電子写真装置およびファクシミリ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は保護層を有する電子写真
感光体に関し、繰り返し使用後も安定して高品位な画像
を得ることのできる電子写真感光体、それを用いた電子
写真装置およびファクシミリに関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真感光体には適用される電子写真
プロセスに応じた所要の感度や電気的特性を備えている
ことが要求されるのはもちろんであるが、特に、繰り返
し使用される電子写真感光体にはコロナ帯電、トナー現
像、紙への転写およびクリーニング処理などの電気的も
しくは機械的外力に対する耐久性も要求される。一方、
トナーの現像、クリーニングの繰り返しによる表面層へ
のトナーの付着という問題もあり、これに対しては感光
体の表面層のクリーニング性を向上しなくてはならな
い。

【０００３】上記のように感光体の表面層に要求される
特性を満たすために、感光層上に樹脂を主成分とする保
護層を設けることが提案されている。例えば、特開昭５
７−３０８４３号公報には樹脂に導電性粉末として金属
酸化物を添加して層の抵抗を制御することのできる保護
層が提案されている。

【０００４】しかしながら、近年の複写画像の更なる高
画質化に伴い、機械的強度はもちろんのこと導電性、透
明度および導電性物質の分散性などの点で更に優れた特
性を有する保護層を有する電子写真感光体が検討されて
いる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、導電
性粒子の分散性がよく、塗膜ムラやピンホールのない保
護層を有する電子写真感光体を提供することにある。

【０００６】また、本発明の目的は、硬度および潤滑性
に優れ、摺擦による表面の著しい摩耗やキズの発生など
に対して耐久性を有する電子写真感光体を提供すること
にある。

【０００７】また、本発明の目的は、電位特性に優れ、
点状の画像欠陥（ポチ）やカブリなどのない高品位の画
像を得ることのできる電子写真感光体を提供することに
ある。

【０００８】更に、本発明の目的は上記電子写真感光体
を用いた電子写真装置およびファクシミリを提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、導電性
支持体、感光層および保護層をこの順に有する電子写真
感光体において、該保護層が３つ以上のアクリル基を有
する硬化型アクリル系モノマー（但し、該モノマーがホ
スファゼン化合物であることを除く。）および導電性粒
子を含有する溶液を硬化することにより形成されること
を特徴とする電子写真感光体である。

【００１０】また、本発明は上記電子写真感光体を用い
た電子写真装置およびファクシミリである。

【００１１】本発明に用いられる硬化型アクリル系モノ
マーが有するアクリル基としては、アクリロイル基およ
びメタクリロイル基が挙げられる。即ち、本発明に用い
られるモノマーはアクリレートモノマーおよびメタクリ
レートモノマーである。

【００１２】本発明においては、アクリル基を３つ以上
有する硬化型アクリル系モノマーを単独で用いて樹脂を
形成しても、２種以上を混合して用いて共重合樹脂を形
成してもよい。

【００１３】また、他の硬化型モノマーと混合して共重
合樹脂を形成することもできる。このとき本発明のモノ
マーの割合は、モノマー全重量に対し、２０重量％以上
が好ましく、特には３０重量％以上が好ましい。

【００１４】更に、本発明の硬化型モノマーを他の樹脂
と混合して用いることもできる。

【００１５】他の樹脂としては、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロー
ス、フッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ウレタン、本発明のもの以外のアクリル樹脂、エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂、アルキド樹脂および塩ビ−酢ビ
共重合体樹脂等、様々な樹脂が挙げられる。

【００１６】このときの本発明のモノマーの割合はモノ
マーと樹脂の全重量に対し、２０重量％以上が好まし
く、特には３０重量％以上が好ましい。

【００１７】本発明に用いられる硬化型アクリル系モノ
マーの好ましい例として下記式（１）乃至（３）で示さ
れる構造を有する化合物が挙げられる。

【００１８】

【外４】

【００１９】式中、Ｘ、Ｙ、Ｚ、Ｗ、Ｘ′、Ｙ′および
Ｚ′はそれぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基、
およびアリール基を示し、Ａは酸素原子または硫黄原子
を示し、ｌおよびｍは０乃至１０の整数を示す。

【００２０】但し、式（１）および（２）のＸ、Ｙ、
Ｚ、およびＷ、および式（３）のＸ、Ｙ、Ｚ、Ｘ′、
Ｙ′およびＺ′のうち、少なくとも３つ以上は、末端に
−ＯＲ₁または−ＯＲ₂を有するアルキル基、

【００２１】

【外５】

【００２２】

【外６】

【００２３】以下に具体例を示すが、本発明に用いられ
るアクリル系モノマーは、これらに限定されるものでは
ない。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【表２】

【００２６】

【表３】

【００２７】

【表４】

【００２８】

【表５】

【００２９】

【表６】

【００３０】本発明における保護層の膜厚は０．１μｍ
〜１０μｍであることが好ましく、特には０．５μｍ〜
７μｍであることが好ましい。

【００３１】保護層は３つ以上のアクリル基を有する硬
化型アクリル系モノマー、導電性粒子および適当な溶剤
を含有する塗工液を塗工、乾燥した後、光や熱によって
硬化することによって形成する。

【００３２】溶剤は本発明に用いられるモノマー溶解す
るものであれば何れのものでもよい。

【００３３】塗工方法としては、スプレーコーティング
法やビームコーティング方法などが挙げられる他、好ま
しい溶剤を選択することにより浸漬コーティング法など
も可能となる。

【００３４】本発明において、保護層に光硬化型のアク
リル系樹脂を用いる場合、保護層の形成の際には、保護
層用塗工液には光開始剤を添加する。開始剤の添加量は
アクリル系モノマーに対して０．１〜５０重量％、好ま
しくは０．５〜３０重量％である。

【００３５】また、硬化させる光としては、例えば、紫
外線、Ｘ線または電子線などの活性化学線が挙げられ、
光開始剤は、このような光によりラジカルを発生するも
のであれば、何れのものでもよいが、例えば以下に示す
ようなものが挙げられる。

【００３６】

【外７】

【００３７】本発明に用いられるモノマーは３つ以上の
アクリル基を有するため、硬化後のアクリル樹脂は十分
に３次元に架橋することができ、その結果非常に優れた
機械的強度を有する保護層を得ることができる。

【００３８】本発明においては、保護層の導電性をコン
トロールするために、保護層中に例えば、金属粒子、金
属酸化物粒子やカーボンブラックなどの導電性粒子を分
散させる。

【００３９】通常、保護層に粒子を分散させる場合、分
散粒子による露光光の散乱を防ぐために、粒径を露光光
の波長よりも小さくする必要があり、また導電性を均一
にするためには、小さな粒子を均一に分散しなければな
らない。分散粒子の分散前の１次粒子の数平均粒径は１
０００Å以下、特には、５００Å以下が好ましい。

【００４０】そこで、保護層に用いられる樹脂は分散性
がよく、分散後時間の経過に伴って生ずる分散粒子の凝
集による２次粒子の形成を極力防ぐことのできるもので
なくてはならない。

【００４１】本発明に用いられるモノマーは、３つ以上
のアクリル基を有するため、比較的高い極性を有するの
で粒子の分散性も非常によく、上述したような超微粒子
も十分均一に分散することができる。この分散液は長時
間にわたって安定しており、この液を塗布、乾燥および
硬化することにより得られる保護層は、極めて高い透明
度と、極めて均一な導電性とを有することができる。

【００４２】表１に酸化スズ粒子の（１）分散前の１次
粒子の平均粒径、（２）分散直後の塗工液中の平均粒径
および（３）分散後１ケ月静置した塗工液中の平均粒径
を示す。

【００４３】尚、本発明における分散液中の分散粒子の
平均粒径は堀場製作所製、ホリバＣＡＰＡ−７００を用
いて測定して得た値である。

【００４４】また、分散前の一次粒子の平均粒径は、電
子顕微鏡（ＴＥＭ）により２０万倍で、５０Å以上の粒
径を有する粒子の任意の１００個の粒子の粒径を測定
し、それらの平均値にした。

【００４５】

【表７】 ａ）下記式

【００４６】

【外８】 で示されるアクリル系モノマー６０部（以下同様）、酸
化スズ３０部およびトルエン３００部を混合し、サンド
ミルで４８時間分散した塗工液。

【００４７】この結果からもわかるように、本発明にお
いては分散後の粒径は１次粒子の粒径に非常に近く、粒
子は非常によく分散されており、経時においても粒径に
大きな変化は見られず、良好な分散性を示している。

【００４８】本発明に用いることのできる導電性粒子と
しては金属酸化物粒子が好ましく、酸化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化
ビスマス、酸化スズ被覆酸化チタン、スズ被覆酸化イン
ジウム、アンチモン被覆酸化スズおよび酸化ジルコニウ
ム等の超微粒子が挙げられる。これらの金属酸化物は単
族で用いても２種以上を混合して用いてもよい。２種以
上混合した場合は、固溶体または融着の形をとってもよ
い。

【００４９】金属酸化物粒子の含有量は保護層の全重量
に対して５〜９０重量％が好ましく、１０〜８０重量％
が更に好ましい。

【００５０】また、本発明においては保護層に分散性、
接着性、環境安定性の向上のためカップリング剤、酸化
防止剤等を添加することができる。

【００５１】本発明の電子写真感光体の感光層の構成
は、電荷発生物質と電荷輸送物質双方を含有している所
謂単一型、或いは電荷輸送物質を含有する電荷輸送層と
電荷発生物質を含有する電荷発生層機能分離された、所
謂積層型のいずれでもよい。

【００５２】積層型の感光層の構成の例としては、導電
性支持体上に電荷発生層、電荷輸送層の順に積層したも
のと、導電性基体、電荷輸送層、電荷発生層の順に積層
したものが挙げられる。

【００５３】特に、後者の感光体においては、通常、非
常に薄層である電荷発生層が上層となるので、本発明を
用いることは非常に効果的である。

【００５４】電荷発生層はスーダンレッドおよびダイア
ンブルーなどのアゾ顔料、ピレンキノンおよびアントア
ントロンなどのキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレ
ン顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料、
アズレニウム塩顔料、銅フタロシアニンおよびオキシチ
タニウムフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料など
の電荷発生物質を適当な溶剤と共に結着樹脂に分散させ
た分散液を塗布、乾燥することにより形成することがで
きる。

【００５５】乾燥後の電荷発生層の厚さは５μｍ以下が
好ましく、特には０．０５〜１μｍが好ましい。

【００５６】用いられる結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂
あるいは有機光導電性ポリマーから選択することができ
る。ポリビニルブチラール、ポリビニルベンザール、ポ
リアリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、フェ
ノキシ樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂およびポ
リウレタンなどが好ましく、バインダー樹脂の電荷発生
層中の含有量は８０重量％以下が好ましく、４０重量％
以下が特に好ましい。

【００５７】また使用する溶剤は前記の樹脂を溶解すれ
ば何れのものでもよく、具体的には、テトラヒドロフラ
ン、および１、４−ジオキサンなどのエーテル類；シク
ロヘキサノンおよびメチルエチルケトンなどのケトン
類；Ｎ、Ｎ−ジメチルホルムアミドなどのアミド類；酢
酸メチルおよび酢酸エチルなどのエステル類；トルエ
ン、キシレンおよびクロロベンゼンなどの芳香族類；メ
タノール、エタノールおよび２−プロパノールなどのア
ルコール類およびクロロホルム、塩化メチレン、ジクロ
ルエチレン、四塩化炭素およびトリクロルエチレンなど
の脂肪族ハロゲン化炭化水素類など挙げられる。

【００５８】電荷輸送層は、主鎖または側鎖にビフェニ
レン、アントラセン、ピレン、フェナントレンなどの構
造を有する多環芳香族化合物、インドール、カルバゾー
ル、オキサジアゾール、ピラゾリンなどの含窒素環式化
合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物などの電荷輸
送性物質を適当な溶剤と共に結着樹脂に溶解させた塗工
液を塗布、乾燥して形成される。このようにして形成す
る理由は、電荷輸送性物質が一般に低分子量で、それ自
身では成膜性に乏しいためである。

【００５９】結着樹脂としては、アクリル樹脂、ポリア
リレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチ
レン、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ポリア
クリルアミド、ポリアミドａｎｄ塩素化ゴムなどの絶縁
性樹脂あるいはポリ−Ｎ−ビニルカルバゾールａｎｄポ
リビニルアントラセンなどの有機光導電性ポリマーなど
が挙げられる。

【００６０】電荷輸送層の膜厚は５〜４０μｍが好まし
く、特には１０〜３０μｍが好ましい。

【００６１】感光層が単一層型の場合も、上述した物質
を用いることができるが、特に電荷輸送物質としては、
更にポリ−Ｎ−ビニルカルバゾールとトリニトロフルオ
レンの組合せなどからなる電荷移動錯体を用いることも
できる。層の厚さは５μｍ〜４０μｍが好ましく、特に
は１０μｍ〜３０μｍが好ましい。

【００６２】本発明においては、接着性や塗工性等を更
に向上させるために、感光層と保護層の間に中間層を設
けることができる。用いる材料としては、カゼイン、ポ
リビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−ア
クリル酸コポリマー、アルコール可溶性ポリアミド、ポ
リウレタン、ゼラチンおよび酸化アルミニウムなどが挙
げられる。膜厚は０．１μｍ〜１０μｍが好ましく、
０．３μｍ〜２μｍが更に好ましい。

【００６３】また、本発明のにおいては導電性支持体と
感光層の間に、バリヤー機能と接着機能をもつ下引層を
設けることもできる。用いられる材料としては、上記中
間層と同様のものが挙げられ、膜厚は０．１μｍ〜５μ
ｍが好ましく、０．５μｍ〜３μｍが更に好ましい。

【００６４】また下引層には金属、金属酸化物およびカ
ーボンブラックなどの導電性粒子を含有させることもで
き、導電性支持体上に導電性粒子を含有している下引層
と含有していない下引層をこの順に積層することもでき
る。この場合、導電性粒子を含有している下引層の膜厚
は０．１μｍ〜５０μｍ、好ましくは０．５μｍ〜４０
μｍである。これら各種の層は、適当な溶剤を用い、浸
積コーティング法、スプレーコーティング法、ビームコ
ーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコ
ーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレード
コーティング法などのコーティング法により塗布した後
乾燥することによって形成することができる。

【００６５】本発明に用いられる導電性支持体は導電性
を有するものであれば、何れのものでもよく、例えばア
ルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレス
などの金属、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチ
ックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸
化インジウム、酸化スズなどをプラスチックフィルムに
蒸着したもの、あるいは、導電性物質を単独または適当
なバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金
属、プラスチックフィルム、紙などが挙げられる。

【００６６】この導電層に用いられる導電性物質として
は、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体、
金属箔および金属短繊維；酸化アンチモン、酸化インジ
ウム、酸化スズなどの導電性金属酸化物；ポリピロー
ル、ポリアニリン、高分子電解質などの高分子導電材；
カーボンファイバー、カーボンブラック、グラファイト
粉体；有機および無機の電解質；またはこれらの導電性
物質で表面を被覆した導電性粉体などが挙げられる。導
電性支持体の形状は、ドラム状、シート状またはベルト
状など、用いる電子写真装置によって任意の形にするこ
とができる。

【００６７】本発明の電子写真感光体は、複写機、レー
ザープリンター、ＬＥＤプリンター、液晶シャッター式
プリンターなどの電子写真装置一般に適用し得るが、さ
らに電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印
刷、製版、ファクシミリなどの装置にも幅広く適用し得
るものである。

【００６８】第１図に本発明の電子写真感光体を用いた
一般的な転写式電子写真装置の概略構成例を示す。

【００６９】図において、１は像担持体としてのドラム
型感光体であり軸１ａを中心に矢印方向に所定の周速度
で回転駆動される。該感光体１はその回転過程で帯電手
段２によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電
を受け、次いで露光部３にて不図示の像露光手段により
光像露光Ｌ（スリット露光・レーザービーム操作露光な
ど）を受ける。これにより感光体周面に露光像に対応し
た静電潜像が順次形成されていく。

【００７０】その静電潜像はついで現像手段４でトナー
現像されそのトナー現像像が転写手段５により不図示の
給紙部から感光体１と転写手段５との間に感光体１の回
転と同期取りされて給送された転写材Ｐの面に順次転写
されていく。

【００７１】像転写を受けた転写材Ｐは感光体面から分
離されて像定着手段８へ導入されて像定着を受けて複写
物（コピー）として機外へプリントアウトされる。

【００７２】像転写後の感光体１の表面はクリーニング
手段６にて転写残りトナーの除去を受けて清浄面化さ
れ、更に前露光手段７により除電処理されて繰り返して
像形成に使用される。

【００７３】感光体１の均一帯電手段２としてはコロナ
帯電装置が一般に広く使用されている。また転写装置５
もコロナ転写手段が一般に広く使用されている。電子写
真装置として、上述の感光体や現像手段、クリーニング
手段などの構成要素のうち、複数のものを装置ユニット
として一体に結合して構成し、このユニットを装置本体
に対して着脱自在に構成しても良い。例えば、帯電手
段、現像手段およびクリーニング手段の少なくとも１つ
を感光体とともに一体に支持してユニットを形成し、装
置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレー
ルなどの案内手段を用いて着脱自在の構成にしても良
い。このとき、上記の装置ユニットのほうに帯電手段お
よび／または現像手段を伴って構成しても良い。

【００７４】光像露光Ｌは、電子写真装置を複写機プリ
ンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透
過光を感光体に照射すること、あるいは、センサーで原
稿を読取り信号化し、この信号に従ってレーザービーム
の走査、ＬＥＤアレイの駆動、または液晶シャッターア
レイの駆動を行ない感光体に光を照射することなどによ
り行われる。

【００７５】ファクシミリのプリンターとして使用する
場合には、光像露光Ｌは受信データをプリントするため
の露光になる。図２はこの場合の１例をブロック図で示
したものである。

【００７６】コントローラ１１は画像読取部１０とプリ
ンター１９を制御する。コントローラ１１の全体はＣＰ
Ｕ１７により制御されている。画像読取部からの読取デ
ータは、送信回路１３を通して相手局に送信される。相
手局から受けたデータは受信回路１２を通してプリンタ
ー１９に送られる。画像メモリには所定の画像データが
記憶される。プリンタコントローラ１８はプリンター１
９を制御している。１４は電話である。

【００７７】回線１５から受信された画像（回線を介し
て接続されたリモート端末からの画像情報）は、受信回
路１２で復調された後、ＣＰＵ１７は画像情報の複合処
理を行ない順次画像メモリ１６に格納される。そして、
少なくとも１ページの画像がメモリ１６に格納される
と、そのページの画像記録を行なう。ＣＰＵ１７は、メ
モリ１６より１ページの画像情報を読み出しプリンタコ
ントローラ１８に複合化された１ページの画像情報を送
出する。プリンタコントローラ１８はＣＰＵ１７からの
１ページの画像情報を受け取るとそのページの画像情報
記録を行なうべく、プリンタ１９を制御する。

【００７８】尚、ＣＰＵ１７は、プリンタ１９による記
録中に、次のページの受信を行なっている。

【００７９】以上の様に、画像の受信と記録が行なわれ
る。

【００８０】

【実施例】１．１０％の酸化アンチモンを含有する酸化
スズで被覆した導電性酸化チタン粉体５０部、フェノー
ル樹脂（プライオーフェンＪ−３２５、大日本インキ
製）２５部、メチルセロソルブ２０部、メタノール５部
およびシリコーンオイル（ポリジメチルシロキサン−ポ
リオキシアルキレン共重合体、数平均分子量３０００）
０．００２部をφ１ｍｍガラスビーズを用いたサンドミ
ル装置で２時間分散して導電層用塗料を調製した。

【００８１】アルミニウムシリンダー（φ３０ｍｍ×２
６０ｍｍ）上に、上記塗料を浸漬塗布し、１４０℃で３
０分間乾燥させ、膜厚２０μｍの導電層を形成した。

【００８２】次にアルコール可溶性共重合ナイロン樹脂
（重量平均分子量２９０００）１０部、メトキシメチル
化６ナイロン樹脂（重量平均分子量３２０００）３０部
をメタノール２６０部、ブタノール４０部の混合溶媒中
に溶解した。

【００８３】この混合液を上記導電層上に浸漬塗工して
１μ厚の下引層を設けた。

【００８４】次に、構造式

【００８５】

【外９】 のスチリル化合物１０部およびポリカーボネート（重量
平均分子量４６０００）１０部をジクロルメタン２０
部、モノクロルベンゼン４０部の混合溶媒中に溶解し、
この溶液を上記の下引層上に浸漬塗布し、１２０℃で６
０分間乾燥させ、膜厚１８μｍの電荷輸送層を形成し
た。

【００８６】次に、構造式

【００８７】

【外１０】 のジスアゾ顔料４部、ポリビニルブチラール（ブチラー
ル化率６８％、重量平均分子量２４０００）２部および
シクロヘキサノン３４部をφ１ｍｍガラスビーズを用い
たサンドミル装置で１２時間分散した後、テトラヒドロ
フラン（ＴＨＦ）６０部を加えて電荷発生層用分散液を
調製した。この分散液を上記電荷輸送層上にスプレー塗
布し、８０℃で１５分間乾燥させ、膜厚０．１５μｍの
電荷発生層を形成した。

【００８８】次にモノマー成分が前記モノマー例（６）
で示される硬化型アクリル系モノマー６０部、分散前の
平均粒径４００Åの酸化スズ超微粒子３０部、光開始剤
として２−メチルチオキサントン０．１部、トルエン３
００部を混合してサンドミルにて４８時間分散を行っ
た。分散直後の酸化スズ超微粒子の平均粒径は４９０Å
であった。

【００８９】この混合液を用いて先の電荷発生層上にビ
ームコーティング法により膜を成膜し、乾燥した後、高
圧水銀灯にて８ｍＷ／ｃｍ²の光強度で２０秒間光硬化
を行い保護層を得た。この時、保護層の膜厚は４μであ
った。又、保護層調合液の分散性は良く、保護層表面は
ムラのない均一な面であった。

【００９０】このようにして得た電子写真感光体を川口
電機（株）製、静電複写紙試験装置Ｎｏｄｅｌ ＳＰ−
４２８を用いて＋５ＫＶのコロナ放電で正に帯電し、暗
所で１秒間保持した後、ハロゲンランプを用いて照度２
ルックスで１０秒間露光し、帯電特性を調べた。

【００９１】帯電特性としては、表面電位（暗部電位）
と、１秒間暗所放置後の表面電位を１／２に減衰するの
に必要な露光量（Ｅ１／２）、即ち感度、および残留電
位を測定した。

【００９２】更に、得られた感光体を＋６．５ＫＶのコ
ロナ帯電器、露光光学系、現像器、転写帯電器、ブレー
ドクリーニング手段および除電露光光学系を備えた正現
像方式の電子写真複写機にとりつけ、１００００回の繰
り返し画像出し耐久試験を行なった。

【００９３】耐久試験前後で得られる画像を評価すると
ともに、ＫＥＴＴ社製のうず電流式膜厚計を用いて、耐
久試験前後の感光体の膜厚を測定することにより感光体
の表面の削れ量を求めた。

【００９４】結果を表２に示す。表２からもわかるよう
に、本発明の電子写真感光体は、良好な電位特性を有
し、点状や帯状の画像欠陥などのない良好な画像を得る
ことができた。２〜４．実施例１で用いたアクリル系モ
ノマーのかわりにモノマー例（１）、（９）および（１
３）で示されるものを用いる他は実施例１と同様にして
感光体を作製し、評価を行った。その結果を表２に示
す。５．実施例１と同様の方法でアルミニウムシリンダ
ー上に導電層及び下引き層を設けた。

【００９５】次に下記構造式

【００９６】

【外１１】 の電荷輸送物質１０部及びポリカーボネート（重量平均
分子量２５０００）１０部をジクロルメタン２０部、モ
ノクロルベンゼン４０部の混合溶媒中に溶解し、この液
を前記下引き層上に浸漬塗布し、１２０℃で６０分間乾
燥させ、膜厚１５μｍの電荷輸送層を形成した。

【００９７】次に構造式

【００９８】

【外１２】 のジスアゾ顔料４部、ポリビニルベンザール（ベンザー
ル化率８０％、重量平均分子量１１０００）２部、及び
シクロヘキサノン３０部をφ１ｍｍガラスビーズを用い
たサンドミル装置で２０時間分散した後、メチルエチル
ケトン６０部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。
この分散液を上記電荷輸送層上にスプレー塗布し、８０
℃で１５分間乾燥させ、膜厚０．１０μｍの電荷発生層
を形成した。

【００９９】次に、前記モノマー例（１１）で示される
アクリル系モノマー６０部、分散前の平均粒径４００Å
の酸化スズ超微粒子３０部、光開始剤としてベンゾフェ
ノン０．０６部、トルエン３００部を混合してボールミ
ルにて２４時間分散を行った。分散直後の酸化スズ超微
粒子の平均粒径は４７０Åであった。

【０１００】この調合液を用いて先の電荷発生層上にビ
ームコーティング法により成膜し、乾燥して溶媒を除去
した後、高圧水銀灯にて８ｍＷ／ｃｍ²の光強度で３０
秒間光硬化を行った。この時形成した保護層の膜厚は
４．５μｍであった。又、保護層調合液の分散性は良
く、保護層表面はムラのない均一な面であった。このよ
うにして得た感光体を実施例１と同様にして評価した。
結果を表２に示す。６．保護層用塗工液として前記モノ
マー例（７）で示されるものを３０部、ベンザール樹脂
（重量平均分子量２５０００）３０部、分散前の平均粒
径４００Åの酸化スズ超微粒子５０部、光開始剤として
２−メチルチオキサントン０．１部、トルエン３００部
の混合液をサンドミルにて２４時間分散した液を使用し
た他は実施例５と同様にして感光体を作製、評価した。

【０１０１】結果を表２に示す。

【０１０２】

【表８】

【０１０３】７〜１２．実施例１〜６における電荷輸送
層と電荷発生層の層順を逆にした以外は実施例１〜６と
同様にして電子写真感光体を作製した。

【０１０４】それぞれの感光体を実施例１と同様にして
評価した。但し、帯電の極性は負とした。

【０１０５】その結果を表３に示す。

【０１０６】

【表９】

【０１０７】１３〜１８．実施例１〜６における電荷発
生層と保護層の間に下引き層と同様の塗液を用いて乾燥
後の膜厚が１μｍである中間層を設けた以外は実施例１
〜６と同様にして電子写真感光体を作成した。

【０１０８】それぞれの電子写真感光体を実施例１と同
様にして評価した。

【０１０９】その結果を表４に示す。

【０１１０】

【表１０】

【０１１１】比較例１および２ 保護層を設けなかった他は実施例１および７と同様に感
光体を作製し、実施例１および７と同様に評価を行っ
た。その結果、表５に示すように比較例１においては初
期の電子写真特性は良かったが、耐久を行ったところ３
００枚で表面の電荷発生層が削れ、良好な画像を得るこ
とが困難となり、比較例２においては耐久後画像濃度が
薄くなってしまった。

【０１１２】その他の結果を表５に示す。

【０１１３】比較例３および４ 実施例７および１３で用いたアクリル系モノマーのかわ
りに下記式：

【０１１４】

【外１３】 で示されるアクリル系モノマーを用いた他は実施例７お
よび１３と同様にして感光体を作製、評価した。

【０１１５】このとき保護層中の酸化スズ粒子の１次粒
子の平均粒径は４００Åであったが、分散直後の酸化ス
ズ粒子の平均粒径は１５００Åとなった。

【０１１６】結果を表５に示す。

【０１１７】比較例５および６ アクリル系モノマーのかわりにビスフェノールＡ型ポリ
カーボネート樹脂（数平均分子量５００００）を用いた
他は実施例１１および実施例１７と同様にして電子写真
感光体を作製した。

【０１１８】それぞれの感光体を実施例１１および実施
例１７と同様にして評価した。

【０１１９】結果を表５に示す。

【０１２０】

【表１１】

【０１２１】

【発明の効果】以上のように、本発明の電子写真感光体
は、保護層における導電性粒子の分散性が良く、感度、
残留電位、帯電能において優れている。更に、表面の滑
り性、対摩耗性が良いため、本発明の感光体を用いるこ
とにより、繰り返し使用後も画質の良い安定した画像を
継続して得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の電子写真感光体を用いた電子写真装置
の概略構成例を示す図である。

【図２】本発明の電子写真感光体を用いたファクシミリ
のブロック図の例を示す図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 間山 進也 東京都大田区下丸子３丁目30番２号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭59−46652（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−207258（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−91240（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−223445（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−37765（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G03G 5/147

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性支持体、感光層および保護層をこ
   の順に有する電子写真感光体において、該保護層が、３
   つ以上のアクリル基を有する硬化型アクリル系モノマー
   （但し、該モノマーがホスファゼン化合物であることを
   除く。）および導電性粒子を含有する溶液を硬化するこ
   とにより形成されることを特徴とする電子写真感光体。
2. 【請求項２】 前記硬化型アクリル系モノマーが下記式
   （１）乃至（３） 【外１】 ｛式中、Ｘ、Ｙ、Ｚ、Ｗ、Ｘ′、Ｙ′およびＺ′はそれ
   ぞれ水素原子、アルキル基、アラルキル基およびアリー
   ル基を示し、Ａは酸素原子または硫黄原子を示し、ｌお
   よびｍは０乃至１０の整数を示し、式（１）および
   （２）のＸ、Ｙ、ＺおよびＷ、および式（３）のＸ、
   Ｙ、Ｚ、Ｘ′、Ｙ′およびＺ′のうち、少なくとも３つ
   以上は、末端に−ＯＲ₁または−ＯＲ₂を有するアルキル
   基、 【外２】 【外３】 で示される構造を有する請求項１記載の電子写真感光
   体。
3. 【請求項３】 電子写真感光体、静電潜像形成手段、形
   成した静電潜像を現像する手段および現像した像を転写
   材に転写する手段を有する電子写真装置において、該電
   子写真感光体が導電性支持体、感光層および保護層をこ
   の順に有し、該保護層が３つ以上のアクリル基を有する
   硬化型アクリル系モノマー（但し、該モノマーがホスフ
   ァゼン化合物であることを除く。）および導電性粒子を
   含有する溶液を硬化することにより形成されることを特
   徴とする電子写真装置。
4. 【請求項４】 電子写真感光体を有する電子写真装置お
   よびリモート端末からの画像情報を受信する手段を有す
   るファクシミリにおいて、該電子写真感光体が導電性支
   持体、感光層および保護層をこの順に有し、該保護層が
   ３つ以上のアクリル基を有する硬化型アクリル系モノマ
   ー（但し、該モノマーがホスファゼン化合物であること
   を除く。）および導電性粒子を含有する溶液を硬化する
   ことにより形成されることを特徴とするファクシミリ。