JP3739694B2 - 核燃料ウランスクラップの酸化回収法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
核燃料ペレット製造工程で発生するスクラップの酸化回収法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
UO2或いはGd2O3入りUO2核燃料ペレットを製造する工程にて発生するスクラップの性状は粉末、成形体、焼結体に分類される。これらのスクラップは回収されて再度製造工程に投入されるが、この回収方法には湿式と乾式の2種類がある。湿式法は粉末、成形体、焼結体の性状にかかわらず一般的には硝酸に溶解後、再沈殿処理にてUO2に粉末化する。
【0003】
一方、乾式法は一般的には空気雰囲気中にて、粉末及び成形体の場合は400℃〜500℃にて酸化、UO2焼結体は500℃〜550℃にて酸化、Gd2O3入りUO2焼結体は550℃〜800℃にて酸化し、U3O8粉末とした後、UO2粉末に10wt%程度混合して使用する。
【0004】
すなわち、一般的には空気中にてUO2スクラップ及びGd2O3入りUO2スクラップを酸化処理する場合、酸化時間を1〜2時間とすると、粉末及び成形体の場合は400℃〜500℃にて、UO2焼結体は500℃〜550℃にて、Gd2O3入りUO2焼結体は550℃〜800℃にて酸化することにより全体がU3O8粉末となる。ここで100メッシュを超える粉末についてはペレットを作る際に金相に規定された値以上の大きさの空孔をつくるために使用不可となる。そこで、図1に示すように酸化後のU3O8粉末は篩にかけ100メッシュ以下のものをUO2粉末に10wt%程度添加することで再利用可能となる。
【0005】
ところが、焼結体は酸化すると微細なU3O8粉末となり90%を超えるものが100メッシュ以下となるが、粉末や成形体スクラップは酸化すると酸化と同時に初期焼結がおこりU3O8粉末の凝集化が起こるため、酸化後の100メッシュ以下の粉末は全体の10%以下となり生産効率が低い。
【0006】
そこで、図2に示すように、粉末スクラップ或いは成形体スクラップは空気雰囲気中で400℃〜500℃の温度で1〜2時間酸化した後、ハンマミルタイプやボ−ルミルタイプ或いはジェットミルタイプの粉砕機により粉砕し、その後100メッシュの篩により100メッシュ以下のサイズの粒径を有するU3O8粉末を回収することも提案されている。しかし、このように粉砕機で粉砕する場合には、粉砕機の追加設置や工程の煩雑さからコストアップとなる。また、一度焼結体に性状を変えた後(粉末スクラップは成形して焼結、成形体スクラップは焼結)、酸化する方法もあるがこれもコストアップとなる。以上のことから粉末や成形体スクラップを直接酸化し100メッシュ以下の粉末の収率を90%以上まで向上させる手段が望まれる。
【0007】
本発明は。このような点に鑑み、UO2或いはGd2O3入りUO2核燃料ペレットを製造する際に発生する粉末、成形体、焼結体スクラップを空気雰囲気中にてU3O8粉末として酸化回収する方法において、酸化回収後にUO2粉末に添加して核燃料ペレットを製造する際にペレットの金相に不具合が発生しない100メッシュ以下のサイズの粒径を有するU3O8粉末の回収率を向上させることができる回収方法を得ることを目的とする。特に粉末及び成形体のスクラップにおいて酸化後の100メッシュ以下の粉末回収率は従来の酸化方法では10%以下であることよりこれを凝集したU3O8の粉砕工程の導入或いは一度焼結体にして酸化する工程の導入無しに、直接酸化する方法において90%以上まで向上させることを目的とする。
【0008】
請求項1に係る発明は、UO2 或いはGd2 O3 入りUO2 核燃料ペレットを製造する際に発生するスクラップを空気中で加熱して酸化しU3O8 とする核燃料ウランスクラップの酸化回収方法において、粉末スクラップ、成形体スクラップの両者或いはその一方に焼結体スクラップを混合すると同時に、空気中にて400℃〜500℃での第一段階の酸化処理を行った後、500℃〜800℃での第二段階の酸化処理を行い、上記第一段階の酸化処理では前記粉末スクラップ及び成形体スクラップを主に酸化すると同時に、前記焼結体スクラップを粉砕メディアとして使用することにより前記粉末スクラップ及び成形体スクラップの酸化粉末を微粉末化し、前記第二段階の酸化処理では残った焼結体スクラップを主に酸化し全体を微粉末化することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、粉末、成形体、焼結体の混合比率は焼結体を80wt%以上とし残りを粉末或いは成形体またはそれらの両者を混合したものとすることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、回収はバッチ方式とし容器内に入れられた上記混合物が容器の回転により混合し、混合する際の焼結体同志の衝突或いは焼結体と容器壁との衝突により、これらに挟まれた粉末及び成形体が酸化及び粉砕が繰り返されながら微粉末化されるようにしたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図3は本発明の酸化回収方法の工程図であり、UO2或いはGd2O3入りUO2核燃料ペレットを製造する際に発生する粉末スクラップ、成形体スクラップ、及び焼結体スクラップの3種類を同時に円筒形の酸化用容器に入れ、そこで3種類のスクラップを所定時間だけ混合・加熱して酸化を行い、その後100メッシュの篩で100メッシュ以下のサイズの粒径を有するU3O8粉末を回収する。
【0014】
図4は上記酸化用容器の概略構成を示す図であり、酸化用容器1は円筒状を呈しており水平の中空軸2の周りに回動可能に軸支されている。そして、上記酸化用容器1の外周部にはヒータ3が配設されており、上記中空軸2によって上記酸化用容器1内に空気が流通するようにしてある。
【0015】
しかして、上記円筒形の酸化用容器1内に粉末スクラップ、成形体スクラップ、及び焼結体スクラップの3種類を同時に入れ、ヒータ3により加熱しながら上記酸化用容器1を回転させるとともに、その酸化用容器1内に空気を流通させると、酸化用容器1内に入れられた粉末スクラップ、成形体スクラップ、及び焼結体スクラップの3種類が同時に混合されるとともに空気雰囲気内で酸化される。しかも、同時に酸化用容器1の回転により円柱形である焼結体スクラップ同志の衝突または上記焼結体と容器壁との衝突により、これらに挟まれた粉末及び成形体の酸化及び粉砕が繰り返されながら微粉末化される。
【0016】
このように、粉末スクラップ、成形体スクラップ、及び焼結体スクラップの3種類を同時に円筒形の酸化用容器に入れ、そこで3種類のスクラップを所定時間だけ混合・加熱して酸化を行うことによって、粉末スクラップおよび成形体スクラップも酸化と同時に微粉化され、100メッシュ以下のサイズの粒径となり、100メッシュ以下の粉末の回収率を向上させることができる。
【0017】
次に、本発明における実施例について説明する。
【0018】
(実施例1)
UO2或いはGd2O3入りUO2核燃料ペレットを製造する際に発生する粉末、成形体、焼結体スクラップをそれぞれ10wt%、10wt%、80wt%の割合として円筒形の酸化用容器1に入れる。その後第1段階酸化工程において400〜500℃の温度にて1時間〜2時間加熱し粉末及び成形体を主に酸化する。その後第2段階酸化工程において500〜800℃の温度にて1〜2時間加熱し残った焼結体を酸化する。この時の容器内の雰囲気は空気である。酸化終了後容器から取り出した粉末を100メッシュの篩にかけ通過した粉末は、図5に示すように合計で92%以上となった。しかして、この粉末をUO2粉末と混合し再利用する。
【0019】
(実施例2)
粉末、成形体、焼結体スクラップの割合を5wt%、5wt%、90wt%とする。以降の工程は同様である。この場合粉末の回収率は94%以上であった。
【0020】
(実施例3)
粉末と焼結体スクラップの割合を20wt%と80wt%とする。
以降の工程は同様である。そしてこの場合の粉末回収率は95%以上であった。
【0021】
(実施例4)
成形体と焼結体スクラップの割合を20wt%と80wt%とする。
以降の工程は同様である。そしてこの場合の粉末回収率は92%以上であった。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、粉末や成形体のスクラップを焼結体にすることなく、100メッシュ以下の粉末の収率を焼結体を酸化する際の収率と同程度とすることができ、しかも特別の粉砕機を設ける必要もない等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】核燃料ペレット製造工程で発生するスクラップの酸化回収工程図。
【図2】粉末・成形体スクラップの回収工程図。
【図3】本発明の粉末、成形体、焼結体スクラップの酸化回収工程図。
【図4】酸化用容器の概略構成図。
【図5】(a)、(b)、(c)、(d)は各実施例による粉末回収率を示す図。
【符号の説明】
1 酸化用容器
2 中空軸
3 ヒータ
Claims (3)
- UO2 或いはGd2 O3 入りUO2 核燃料ペレットを製造する際に発生するスクラップを空気中で加熱して酸化しU3O8 とする核燃料ウランスクラップの酸化回収方法において、粉末スクラップ、成形体スクラップの両者或いはその一方に焼結体スクラップを混合すると同時に、空気中にて400℃〜500℃での第一段階の酸化処理を行った後、500℃〜800℃での第二段階の酸化処理を行い、上記第一段階の酸化処理では前記粉末スクラップ及び成形体スクラップを主に酸化すると同時に、前記焼結体スクラップを粉砕メディアとして使用することにより前記粉末スクラップ及び成形体スクラップの酸化粉末を微粉末化し、前記第二段階の酸化処理では残った焼結体スクラップを主に酸化し全体を微粉末化することを特徴とする酸化回収法。
- 粉末スクラップ、成形体スクラップ、焼結体スクラップの混合比率は焼結体を80wt%以上とし残りを粉末スクラップ或いは成形体スクラップまたはそれらの両者を混合したものとすることを特徴とする、請求項1記載の酸化回収法。
- 回収はバッチ方式とし容器内に入れられた上記混合物が容器の回転により混合し、混合する際の焼結体スクラップ同志の衝突或いは焼結体スクラップと容器壁との衝突により、これらに挟まれた粉末スクラップ及び成形体スクラップが酸化及び粉砕が繰り返されながら微粉末化されるようにしたことを特徴とする、請求項1または2記載の酸化回収法。
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