JP4512029B2 - 原子燃料ウランスクラップ回収装置 - Google Patents

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本発明は、原子燃料用ペレットを製造する工程で発生するUO2またはGd23 が含有されたUO2 焼結体スクラップを、酸化処理して回収する乾式回収方式による原子燃料ウランスクラップ回収装置に関するものである。
従来の原子燃料ウランスクラップ回収装置は、焼結体が供給される酸化炉と、この酸化炉内に設けられた篩と、この篩を振動させる振動機と、前記酸化炉内を所定の温度に維持するヒータとを備え、酸化炉内に供給された焼結体が篩の上で加熱されるとともに、篩に振動が付与されることにより、焼結体の表面が酸化され、その酸化物が焼結体の表面から剥離し細粒化することにより、篩を通過させて回収するものがある(例えば、特許文献1参照)。
特公平4−77876号公報(公報2頁左欄23行〜右欄30行、図)
上述した従来の原子燃料ウランスクラップ回収装置においては、酸化炉全体を同じ温度で加熱する構造であるために、酸化物は焼結体の下端部から順序よく剥離するのでなく表面全体から略均一に剥離していく。このため、連続して焼結体を酸化炉に供給すると焼結体によって篩が覆われ、焼結体自体によって酸化物が篩から落下するのを邪魔される状態になるから、酸化物が篩を通過するのに要する時間が長くなり、生産効率が悪くなるという問題があった。また、酸化物が篩を通過する時間に合わせてフィーダからスクラップを供給するタイミングを制御する必要があるために、このための装置が必要になるから製造コストが増大するという問題もあった。
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、生産効率を向上させるとともに、製造コストの低減を図ることにある。
この目的を達成するために、請求項1に係る発明は、UO2またはGd23入りUO2原子燃料ペレットを製造する際に発生する焼結体スクラップを空気中で加熱し酸化させ U38 あるいは(U,Gd)38とする酸化炉を備えた原子燃料ウランスクラップ回収装置において、前記酸化炉の下側に、酸化したU38あるいは(U,Gd)38の酸化粉末の粒度を調整する篩手段を設け、前記酸化炉は、複数の焼結体スクラップを堆積状態で収納する管体と、この管体の上部から管体内に空気を供給し管体の下部から排出する空気供給手段と、前記管体の周面を加熱し管体の上部から下部に向かって温度が高くなるような温度勾配を付与する加熱手段と、前記篩手段に振動を付与する振動付与手段とを備え、前記篩手段は前記管体の下端から間隔をおいて設けたものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記加熱手段による前記管体への加熱温度を制御する制御手段を備えたものである。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記振動付与手段に振動を調整する振動調整手段を設けたものである。
請求項1に係る発明によれば、加熱手段によって管体の上部から下部に向かって温度が高くなるような温度勾配が付与されるように管体の周面が加熱されるから、管体の下部から酸化されたU38あるいは(U,Gd)38が順序よく篩手段に落下する。また、空気供給手段によって供給された空気によって、酸化されたU38あるいは(U,Gd)38が管体から篩手段に落下するのを促進される。また、振動付与手段によっても酸化されたU38あるいは(U,Gd)38の管体からの篩手段への落下が促進される。したがって、酸化されたU38あるいは(U,Gd)38の管体からの篩手段へ円滑かつ確実に落下するため、生産効率を向上させることができる。また、管体内の次の焼結体スクラップを自重によって自然に管体の最下部に移動するようにしたことにより、焼結体スクラップを供給するタイミングを制御する必要がないために、このための装置が不要になるから製造コストを削減することができる。
請求項2に係る発明によれば、管体の周面温度を、UO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、500〜550℃の範囲とし、Gd23が含有されたUO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、550〜800℃の範囲とすることが可能になるから、酸化粉末の擬集化を防止できるとともに、微粉末化を促進することができる。
請求項3に係る発明によれば、振動調整手段によって振動を調整することにより、焼結体スクラップの管体内における最高温度域に滞在する時間を最適な1〜2時間に調整することができる。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る原子燃料ウランスクラップ回収装置の全体を示すモデル図、図2は図1におけるII部の拡大図で、同図(a)は焼結体スクラップの酸化が不完全な状態を示し、同図(b)は焼結体スクラップの酸化が完全な状態を示し、図3は図1におけるIII-III 線断面矢視図、図4は同じく焼結体スクラップ供給手段のモデル図である。
図1に全体を符号1で示す原子燃料ウランスクラップ回収装置は、円柱状に形成された多数の焼結体スクラップ4を堆積状態で収納するステンレスまたはアルミナによって円筒状に形成された複数の管体3を備えた酸化炉本体2と、管体3に焼結体スクラップ4を供給する焼結体スクラップ供給手段5と、管体3内に空気を供給する空気供給手段6と、酸化粉末を回収する粉末回収箱7と、スクラップを回収するスクラップ回収箱8と、酸化した粉末のスクラップを粒度によって篩い分ける篩手段12とによって概ね構成されている。
管体3は上下が開放された管体によって形成され、その内径は焼結体スクラップ4の径よりも約5mmだけ大きく形成されており、管体3の下部側の周囲には、管体3の周面を加熱する加熱手段としてのヒータ10が設けられている。このヒータ10によって、管体3の上側から下端部に向かって温度が高くなるような温度勾配を付与するように管体2の周面が加熱される。また、このヒータ10は管体3への加熱温度を制御する制御手段(図示せず)が備えられており、この制御手段によって、管体3の周面温度を、UO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、500〜550℃の範囲に制御され、Gd23が含有されたUO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、550〜800℃の範囲に制御される。
管体3の下端と、後述する第1の篩13との間には、図2(a)に示すように、間隔H(3〜5mm)なる隙間11が設けられている。また、管体3は、図3に示すように、円筒形に形成された酸化炉本体2に、平面視円周方向に等角度おいて8個設けられているとともに中央に1個設けられており、円周方向に設けられた管体3間の間隔は約3mmに形成され、中央に設けられた管体と他の管体との間隔は約5mmに形成されている。
篩手段12は、第1の篩13とこれと対向するように下方に位置付けられた第2の篩14とによって構成されており、酸化炉本体2の下側に設けられている。第1の篩13はサイズが12メッシュのスクリーンによって形成され、第2の篩14はサイズが100メッシュのスクリーンによって形成されている。篩手段12の一方の側部には、第1および第2の篩13,14に図中左右方向の振動を付与する振動付与手段15が設けられており、この振動付与手段15には、振動の幅および振動の周期を調整する振動調整手段(図示せず)が備えられている。
篩手段12の他方の側部には、第1の篩13と第2の篩14との間に滞留したスクラップをスクラップ回収箱8に導くスクラップ回収案内路16が設けられている。第2の篩14の下方には、すり鉢状に形成された製品回収ガイド17が設けられており、第2の篩14から落下する製品を粉末回収箱7に案内する。第1の篩13を通過し、第2の篩14に滞留したサイズが12メッシュ以上の製品には適さない酸化粉末のスクラップは、排出通路16を介してスクラップ回収箱8に回収される。
空気供給手段6には、図示を省略した吐出ポンプからの空気を各管体3の上部に供給する供給管19が備えられており、各管体3に供給された空気は管体3内を通って管体3の下端から排出され、第1および第2の篩13,14間を通って、排出管20から外部に排出される。
焼結体スクラップ供給手段5は、図4に示すように、すり鉢状に形成された供給容器22とこの供給容器22を振動させる振動手段(図示せず)とを備えており、供給容器22の底部には、ロート状に形成された9個の供給通路23が設けられ、これら供給通路23の下端は管体3の上端に接続されている。したがって、多数の焼結体スクラップ4を供給容器22に供給し、供給容器22に振動を付与することにより、多数の焼結体スクラップ4が順次供給通路23から管体3に導かれ、管体3内に堆積状態で収納される。
次に、このように構成された原子燃料ウランスクラップ回収装置によって、焼結体スクラップを酸化させ、酸化した酸化粉末を回収する方法を説明する。
上述したように、多数の焼結体スクラップ4が供給された供給容器22を振動させることにより、各管体3内に焼結体スクラップ4が堆積状態で収容される。この状態としてから、空気供給手段6の供給管19から空気を各管体3の上端から管体3内に供給し、ヒータ10によって管体3の周面を加熱する。この場合、焼結体スクラップ4がUO2 焼結体スクラップの場合には、500〜550℃で酸化し、Gd23が含有されたUO2 焼結体スクラップの場合には、550〜800℃で酸化するように、ヒータ10を制御する。このように、管体3の周面温度を、UO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、500〜550℃の範囲とし、Gd23が含有されたUO2 焼結体スクラッップを酸化する場合には、550〜800℃の範囲とすることにより、後述する酸化粉末25の擬集化を防止できるとともに、微粉末化を促進することができる。
ヒータ10による加熱は、管体3の上部から下部に向かって温度が高くなるような温度勾配が付与されるから、図2(b)に示すように、管体3内に堆積された多数の焼結体スクラップ4のうち、管体3の最下端に位置する焼結体スクラップ4から順次酸化され粉末化する。粉末化された酸化粉末25は、管体3の下端と第1の篩13との間に間隔Hなる隙間11が設けられ、かつ第1の篩13が振動付与手段15によって振動していることにより、酸化粉末25は管体3の下端から取り除かれ、取り除かれた酸化粉末25は、第1の篩13を通過して第2の篩14上に落下する。
このとき、第1の篩13の振動を振動調節手段(図示せず)によって調整することにより、酸化粉末25が取り除かれる時間を、管体3を最高温度域で所定の加熱時間(1〜2時間)の間滞在できるように調整することができる。これが繰り返されることにより最下端の焼結体スクラップ4は徐々に高さ方向の寸法が短くなり、次の焼結体スクラップ4が自重によって下降し、管体3の下端から露呈する。ここで、空気供給手段6から管体3内に供給された空気が管体3の下端の開口から排気されていることにより、この排気される空気によって、管体3に詰まった酸化粉末25が管体3から吹き出されるため、酸化粉末25の管体3での詰まりを防止できる。
この第2の篩14上に落下した酸化粉末25は、振動付与手段15によって第2の篩14が振動することにより、粒度が100メッシュ以下の酸化粉末25のみが、製品回収ガイド17に落下し、製品として粉末回収箱7に回収される。一方、粒度が100メッシュ以上の酸化粉末25は、スクラップ回収案内路16を介してスクラップ回収箱8に導かれる。
このように、ヒータ10によって管体3の上部から下部に向かって温度が高くなるような温度勾配が付与されるように管体3の周面が加熱されるから、管体3の下部から酸化されたU38が順序よく篩手段12に落下する。また、空気供給手段6によって供給された空気によって、酸化されたU38が管体3から篩手段12に落下するのを促進される。また、振動付与手段15によっても酸化されたU38が管体3から篩手段12へ落下するのが促進される。したがって、酸化されたU38が管体3から篩手段12へ円滑かつ確実に落下するため、生産効率を向上させることができる。また、管体3内の次の焼結体スクラップ4を自重によって自然に管体3の最下部に移動するようにしたことにより、焼結体スクラップ4を供給するタイミングを制御する必要がないために、このための装置が不要になるから製造コストを削減することができる。
本発明に係る原子燃料ウランスクラップ回収装置の全体を示すモデル図である。 図1におけるII部の拡大図で、同図(a)は焼結体スクラップの酸化が不完全な状態を示し、同図(b)は焼結体スクラップの酸化が完全な状態を示す。 図1におけるIII-III 線断面矢視図である。 本発明に係る原子燃料ウランスクラップ回収装置における焼結体スクラップ供給手段のモデル図である。
符号の説明
1…原子燃料ウランスクラップ回収装置、2…酸化炉本体、3…管体、4…焼結体スクラップ、5…焼結体スクラップ供給手段、6…空気供給手段、7…粉末回収箱、8…スクラップ回収箱、10…ヒータ、11…隙間、12…篩手段、13…第1の篩、14…第2の篩、15…振動付与手段、25…酸化粉末。

Claims (3)

  1. UO2またはGd23入りUO2原子燃料ペレットを製造する際に発生する焼結体スクラップを空気中で加熱し酸化させU38あるいは(U,Gd)38とする酸化炉を備えた原子燃料ウランスクラップ回収装置において、前記酸化炉の下側に、酸化したU38あるいは(U,Gd)38の酸化粉末の粒度を調整する篩手段を設け、前記酸化炉は、複数の焼結体スクラップを堆積状態で収納する管体と、この管体の上部から管体内に空気を供給し管体の下部から排出する空気供給手段と、前記管体の周面を加熱し管体の上部から下部に向かって温度が高くなるような温度勾配を付与する加熱手段と、前記篩手段に振動を付与する振動付与手段とを備え、前記篩手段は前記管体の下端から間隔をおいて設けたことを特徴とする原子燃料ウランスクラップ回収装置。
  2. 請求項1記載の原子燃料ウランスクラップ回収装置において、前記加熱手段による前記管体への加熱温度を制御する制御手段を備えたことを特徴とする原子燃料ウランスクラップ回収装置。
  3. 請求項1記載の原子燃料ウランスクラップ回収装置において、前記振動付与手段に振動を調整する振動調整手段を設けたことを特徴とする原子燃料ウランスクラップ回収装置。
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