JP3739605B2 - 自動車用エアーバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両の衝突時に助手席,運転席の乗員を正面,側面衝突から保護して、安全性を確保するための自動車用エアーバッグ装置に関し、特に、エアーバッグ膨張展開用の内装カバーに形成する破断開放部の構造の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両に適用される助手席用,運転席用及び左右側柱用のエアーバッグ装置は、基本的に、エアーバッグと、このエアーバッグを折り畳んだ状態で収容するエアーバッグケースと、エアーバッグを膨張展開するインフレータを備え、車両内装カバーによって被覆配設される構成になっている。
そして、自動車の内装カバーは、一般的にポリプロピレン等の合成樹脂材により一体成形されたパネルコアーの表面を覆うポリプロピレン等の合成樹脂製のパネル状の内装カバーによって構成されている。
【0003】
図1の(a)は、助手席用エアーバッグ装置の単板状のインストルメントパネルカバー1(以下、内装カバーという)にエアーバッグ膨張展開用の破断開放部2を形成した場合の従来の部分拡大説明図で、(b)は図1(a)のA−A線に沿う概略断面図である。
前記内装カバー1には、図示しないレーザ発生手段からパルス状に発生するレーザを内装カバー1の裏面側からその裏面に固着した補強用板材5の外形縁部に沿って相対移動しながら照射することにより、内装カバー1を貫通する貫通孔3を破線状または点線状の破断線4に形成することで、エアーバッグケースの開口部の大きさに対応するエアーバッグ膨張展開用の破断開放部2が形成される。
そして、前記エアーバッグ膨張展開時に破断開放部2の内装カバー1がエアーバッグにより前記内装カバー1より切り離されるが、前記内装カバー1の前記破断開放部2の裏面に一体に固着され、その一端が前記内装カバー1に連結された補強用板材5のヒンジ部を介して、エアーバッグ膨張展開時に破断開放部2の内装カバー1が飛散しないようにして乗員の車両衝突時の衝撃を緩和し、かつ破断開放部2の内装カバー1による打撲等の原因による危険を未然に防止するようにしたものが提案されている。
【0004】
上記のように構成された自動車用エアーバッグ装置において、車両が衝突した際には、その衝突時の衝撃力をセンサで検出し、このセンサで検出した衝撃力が予め定めた値以上になった否かをCPU等からなる制御装置で判定し、設定値以上と判定された時に制御装置から出力される信号によりインフレータを動作させて所定のガスを発生させ、このガスをエアーバッグに供給することにより、エアーバッグを急速に膨張展開させる。
すなわち、エアーバッグが膨張展開することにより、その圧力でパネルカバー1の破断開放部2が内側から押圧されると、破断開放部2が破断線4に沿い破断されて内装カバー1から分離さるとともに、この分離された破断開放部2は補強用板材5のヒンジ部を支点に内装カバー1の外方へ開かれる。これと同時に、エアーバッグは開かれた破断開放部2から内装カバー1の外方へ膨張展開され、この膨張展開されたエアーバッグの緩衝作用で、助手席,運転席及び左右側柱側の乗員の胸部,頭部或いは腕部・脚部を支えることにより、乗員を車両衝突時の衝撃力から保護するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車の内装カバー1は、前述の図1(a),(b)に示すような一般的にポリプロピレン等の合成樹脂材により一体成形されたパネルコアーの表面を覆うポリプロピレン等の合成樹脂製の単板状構成のものが使用されているが、このような内装カバー1におけるエアーバッグ膨張展開用の破断開放部2は内装カバー1の裏面側から形成した破断線状の貫通孔3が前記内装カバー1の表面側に貫通して開口しているため小孔といえども表面側から見た場合に、意匠性が悪くなると共に、前記破断開放部2の輪郭に沿った破断線4の連続部分は、表面側から裏面側の押圧力に対し、脆弱になっており、特にエアーバッグ装置が内装カバー1裏面側に配設されている状態で、前記内装カバー1の表面側に誤って手をついて前記破断開放部2に押圧負荷を掛けた場合に、簡単に破断開放部2が破壊されてしまう恐れがある。
【0006】
また、内装カバー1の裏面側から表面側に向けて直角に突き抜ける貫通孔3が形成されているため、エアーバッグ膨張展開時においては、破断線4に沿った破断開放部2の周囲破断部がぎざぎざになり、開口断面にシャープなエッジができて安全性に問題点がある。
また、車内温度が高温になると、破断開放部用のレーザ加工による貫通孔の近辺に不規則な凹凸状のヒケが発生し、外観を損ない意匠効果をさらに低下させる原因となっている。
【0007】
本発明は、上記のような従来の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、内装カバーの破断開放部を、前記エアーバッグケースの開口部と相対する位置に、前記内装カバーの前記開口部に沿って、破断溝を連続形成すると共に、該破断溝の肉厚を所定の間隔で肉厚部と薄肉部とで形成することで、内装カバー表面側からの押圧力に対しては破損しにくく、また裏面側からは破損しやすくすると共に、前記破断開放部の破断面をシャープなエッヂができにくくすることで、安全性の高い破断開放部を備えた自動車用エアーバッグ装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の発明は、車両内装カバーによって被覆されたフロント部、ハンドル中央部、及び側柱部の少なくとも1個所に配設された、インフレータからのガスにより膨張展開されるエアーバッグを折り畳んだ状態で収容すると共に前記内装カバーの裏面と対向する個所に開口部を有するエアーバッグケースを備え、前記エアーバッグケースの開口部と相対向する前記カバーの裏面位置に脆弱部分を形成した破断開放部を有する自動車用エアーバッグ装置において、前記破断開放部は、前記エアーバッグケースの開口部と相対する裏面に、前記開口部に対応する破断溝を連続形成してなり、前記破断溝は、前記内装カバーの裏面側よりレーザ発生手段から発生するパルス状のレーザを前記破断開放部の輪郭に沿い照射して、前記内装カバー材質の全体肉厚量2.5mm〜5mmに対し、前記肉厚量の1/3〜2/3となる肉厚量を削除した肉厚部を連続して形成すると共に、前記肉厚量をさらに一定量削除して0.1mm〜0.6mmとした薄肉部を形成し、前記肉厚部と該薄肉部との長手方向の配置間隔長さを、前記肉厚部が0 . 7mm〜2 . 0mmに対し、前記薄肉部が10mm〜20mmとなるように離間させて繰り返し連続形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された自動車用エアーバッグ装置において、前記内装カバーの裏面側に形成された前記破断溝は、肉厚部と薄肉部とが形成された肉厚除去空間部に、破断性が大きな発泡樹脂を装填したことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の自動車用エアーバッグ装置において、前記破断溝は、前記内装カバーの裏面側より表面側に向けて拡角に傾斜して形成されたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、車両内装カバーによって被覆されたフロント部、ハンドル中央部及び側柱部の少なくとも1個所に配設された、インフレータからのガスにより膨張展開されるエアーバッグを折り畳んだ状態で収容すると共に前記内装カバーの裏面と対向する個所に開口部を有するエアーバッグケースを備え、前記エアーバッグケースの開口部と相対向する前記カバーの裏面位置に脆弱部分を形成した破断開放部を有する自動車用エアーバッグ装置において、前記破断開放部は、前記エアーバッグケースの開口部と相対する裏面に、前記開口部に対応する破断溝を連続形成してなり、前記破断溝は、前記内装カバー成形時に金型の一体成形により、前記内装カバー材質の全体肉厚量2.5mm〜5mmに対し、前記肉厚量の1/3〜2/3となる肉厚量を削除した肉厚部を連続して形成すると共に、前記肉厚量をさらに一定量削除して0.1mm〜0.6mmとした薄肉部を形成し、前記肉厚部と該薄肉部との長手方向の配置間隔長さを、前記肉厚部が0 . 7mm〜2 . 0mmに対し、前記薄肉部が10mm〜20mmとなるように離間させて繰り返し連続形成したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図2は本発明にかかる自動車用エアーバッグ装置の助手席用エアーバッグ装置が装着されるインストルメントパネルの分解斜視図、図3は本発明の実施の形態における助手席用エアーバッグ装置の縦断側面図、図4は本発明の実施の形態における助手席用エアーバッグ装置の破断開放部補強用板材および支持部材を拡大して示す斜視図、図5は図2のB−B線に沿う一部の拡大断面図、図6はレーザ発生手段から発生するパルス状のレーザをインストルメントパネルカバーに照射して破断開放部用の破断溝を形成した過程を示す説明用の拡大断面図、図7は図2のC−C線に沿う一部の拡大断面図である。
【0013】
図2及び図3において、インストルメントパネル10は、インストルメントパネルコアー101と、このインストルメントパネルコアー101の表面を覆うインストルメントパネルカバー102(以下、内装カバーという)を備え、これらはポリプロピレン等の合成樹脂材により一体成形された樹脂成形品から構成されている。内装カバー102はタッピングねじ等の適宜の手段によりインストルメントパネルコアー101に固定される。
【0014】
前記内装カバー102の右側部分の助手席と対向する箇所には、図2及び図3に示すように、金属製のエアーバッグケース20が収容される収容部13が隔壁部材14により形成されている。この隔壁部材14は、エアーバッグケース20等の内装カバー102への組み付けを容易にするために複数のタッピングねじ14aにより内装カバー102に着脱可能に固定される構成になっている。
【0015】
また、前記収容部13と相対向する内装カバー102の箇所には、エアーバッグ27の膨張展開時に開放される破断開放部30が形成されている。この破断開放部30は、エアーバッグケース20の開口部201とほぼ同一面積で長方形状をなしている。
【0016】
前記エアーバッグケース20を収容部13内に装着する手法としては、図3に示すように、エアーバッグケース20の開口部201側の上端部を、一端がタッピングねじ14aにより隔壁部材14に固定され、かつ他端が前記内装カバー102の裏面に固定される補強用板材31の連接支持部材312の水平折曲部にボルト・ナット23により固定した連結部材24を介してねじ25により固定し、さらに、エアーバッグケース20の開口部201側の下端部を、該下端部に溶接した連結部材26を介してボルト・ナット23Aにより隔壁部材14に固定することで行われる。
【0017】
また、エアーバッグケース20内には、エアーバッグ27が折り畳んだ状態で収納されており、このエアーバッグ27には、隔壁部材14の外側に配設される図示省略のインフレータ(ガス発生器)にガス吹き込みパイプ29を通して接続されている。
そして、エアーバッグケース20の開口部201は化学繊維製の薄布からなるエアーバッグ保護カバー28により閉塞されている。このエアーバッグ保護カバー28は、エアーバッグ27の不使用時におけるエアーバッグケース20からの不用意なはみ出しを防止するためのものであり、インフレータからのガス供給によるエアーバッグ27の膨張展開時には容易に破れる性質のものである。
【0018】
前記破断開放部30の内壁面には、図4に示す金属製の補強用板材31が固着されている。この補強用板材31は、図3に示すように、破断開放部30の内壁面と一致する形状に湾曲されているとともに、破断開放部30の面積より僅か小さい略長方形に形成されている。そして、この補強用板材31の短尺方向の上端にはヒンジ部311が長尺方向に延在して形成され、このヒンジ部311には、補強用板材31の裏面側へ折り曲げることにより形成される連接支持部312が設けられている。この連接支持部312の折曲部312aおよび312bがボルト・ナット23,14aによって前記連結部材24および前記隔壁部材14に固定されている。
また、補強用板材31には、その短尺方向に延在する補強用の凹部313が補強用板材31の長尺方向に間隔をおいて複数形成されている。さらに、補強用板材31には短尺方向に長い複数の結合孔314が互いに近接して縦・横に並べて形成され、この複数の結合孔314を1ブロックとし、このブロックを補強用板材31の全域にわたり所定の間隔で縦・横に配列して設けられている。
【0019】
前記破断開放部30の内壁面には、図3に示すように、前記各ブロックの各結合孔314と同一の配列にした数の凸条301が各ブロックの配列に対応して形成されており、この凸条301を結合孔314に係合し、その突出端を加熱溶融してかしめることにより、補強用板材31を破断開放部30の内壁面に一体に固定できる構成になっている。
【0020】
次に、前記収容部13と相対向する内装カバー102に破断開放部30を形成する場合について、図5ないし図7を参照して説明する。
エアーバッグ27の膨張展開時に破断する破断開放部30を内装カバー102に形成するに際しては、図示省略した周知のレーザ発生手段から、所定の周波数、例えば7kHzのパルス状のレーザ12A(出力=3〜5kW)を一定の周期で間欠的に発生し、かつ前記開口部201に対応する内装カバー102表面102a側にレーザ12Aを感知するセンサ12Bを配設した構成とし、このレーザ12Aによって、前記内装カバー102の裏面側102bから、その裏面に固着した補強用板材31の外形縁部に沿って所定の速度で相対移動しながら照射し、肉厚部32の間隔L1と薄肉部33の間隔L2を所定の間隔で繰り返して、連続した破断溝34を形成する。
【0021】
前記肉厚部32の肉厚量T1と、薄肉部33の肉厚量T2、および幅方向の所定の間隔L1,L2は、前記内装カバー102の肉厚量Tを2.5mm〜5mmとした場合、破断溝35の肉厚部の肉厚量T1が、好ましくは前記肉厚量Tの1/3〜2/3の肉厚量とし、好ましくは0.83mm〜1.66mm、の範囲とし、前記肉厚部の肉厚量T1をさらに除去した薄肉部の肉厚量T2は、好ましくは0.1mm〜0.6mmとし、さらに、幅方向に対するそれぞれの間隔は、肉厚部間隔L1が0.7mm〜2.0mm、薄肉部の間隔L2が10mm〜20mmとして、このパターンを繰り返して連続形成されるように、相対移動速度とレーザ発生手段からのレーザ発生パターンに応じて形成されることで、破断開放部30は、表面側には破断し易く、裏面側には、破断しにくい構成となる。
また、前記レーザ12Aによる照射は、例えば、図6に示すように、一定の薄肉部間隔L2(10mm)を深く、肉厚部の小間隔L1(0.7mm)を浅くなるように破断溝34を連続して形成した後、これを繰り返し形成するパターンとする。
【0022】
このようなパターンの破断溝34を内装カバー102に補強用板材31の外形縁部の全周囲に沿って形成することにより、破断溝34で囲まれた領域がエアーバッグ27の膨張展開時に破断溝34に沿い破断されて開口する破断開放部30となる。
【0023】
ところで、内装カバー102に破断開放部30分離用の薄肉部33をレーザ加工により形成した場合、破断溝34に肉厚除去空間部35が形成されるが、この空間部35に、図9に示すように、破断性の大きな硬質ウレタンまたは発泡ウレタンのような発泡樹脂36を装填して硬化させ、破断溝34を補強するようにすることも可能である。
また、前記実施形態では、破断溝34をレーザ加工で行うようにしたが、これに限定されることなく内装パネル成形時に金型によって、前記肉圧厚部及び薄肉部の形状を備えた破断溝34を一体成形で形成することも勿論可能である。
【0024】
以上のように構成された前記実施形態によれば、自動車などの車両が衝突した際には、その衝突時の衝撃力をセンサで検出し、このセンサで検出した衝撃力が予め定めた値以上になった否かをCPU等からなる制御装置で判定し、設定値以上と判定された時に制御装置から出力される信号によりインフレータを動作させて所定のガスを発生させ、このガスをエアーバッグ27に供給することにより、エアーバッグ27を急速に膨張展開させる。
【0025】
そして、エアーバッグ27が膨張展開することにより、その圧力で内装カバー102の破断開放部30が内側から押圧されると、破断開放部30が外方に拡がる方向に破断溝34に沿って容易に破断されて内装カバー102から分離されるとともに、この分離された破断開放部30は補強用板材31のヒンジ部311を支点にして内装カバー102の外方へ開かれる。これと同時に、エアーバッグ27は開かれた破断開放部30から内装カバー102の外方へ膨張展開され、この膨張展開されたエアーバッグ27の緩衝作用で助手席の乗員の胸部や頭部を支えることにより、乗員を車両衝突時の衝撃力から保護して、その安全性を確保することができる。
【0026】
また、図8に示すように、破断開放部30の破断溝35を、前記内装カバー102の裏面側102bから表側面102aに向けて外方に拡がる所定の傾斜角度(10〜80度)で形成した場合には、破断面が鈍角となり、シャープなエッジが形成されることなく、安全性が向上すると共に、エアーバッグ装置の不使用時に、誤って破断開放部30を裏面側に押し付けるような負荷が掛かった場合にも、簡単に破断開放部30の脆弱部分である破断溝34が破損することがない。
【0027】
この図8において、内装カバー102に、上記実施の形態で述べた場合と同様な方式で、レーザ発生手段から発生するレーザを内装カバー102の裏面側から、その裏面に固着した補強用板材51の外形縁部に沿って所定の速度及び所定の照射角度(θ)、すなわち、前記内装カバー102の裏面側に形成される破断溝34の溝始端部102cの中心と前記内装カバー102の表面側の接線とを結ぶ法線αに対し10〜80度(好ましくは30〜60度)外方に拡がる方向に所定の傾斜角度で相対移動しながら照射することにより、内装カバー102の裏面部に、図6に示すようなパターンにより破断溝34を形成し、エアーバッグの膨張展開時に破断されて開口する破断開放部30用の破断溝34を形成する。
【0028】
また、図9に示すように、内装カバー102の破断溝35の肉厚除去空間部35に、破断性の大きな硬質ウレタンまたは発泡ウレタンのような発泡樹脂36を装填して硬化させることで、破断溝34を補強すると共に、車内が高温になっても内装カバー102の破断開放部30にヒケが生じたり、破断溝34に沿って、変形したりすることがなく、内装カバーの意匠性を向上できる。
【0029】
上述した実施の形態では、内装カバー102を単板状のものを用いた内装カバーについて説明したが、これに限定されることなく単板表面にこれを覆うように表皮層,クッション層を配設した積層状の内装カバーであっても同様の効果が期待できる。
【0030】
本発明の実施形態ではエアーバッグ装置を助手席に設けたものについて説明したが、これに限定されることなく、ハンドル中央部,車両の左右側柱部に配設したエアーバッグ装置についても適用できることは勿論であり、同様の効果が期待できる。
【0031】
さらにまた、本発明によれば、特に内装カバーが単板状のものであっても、破断溝に沿った部分の内装カバーの表面に、印刷により凹凸模様を施すようにしてもよく、破断開放部用のレーザ加工による破断溝の近辺に現れる不規則な凹凸状のヒケ発生部分を極力目立たせないようにすることができ、意匠効果を向上させることができる。
【0032】
【発明の効果】
上記のように本発明の自動車用エアーバッグ装置によれば、エアーバッグケースの開口部と相対向する前記カバーの裏面位置に脆弱部分を形成した破断開放部を有する自動車用エアーバッグ装置において、前記破断開放部は、前記エアーバッグケースの開口部と相対する裏面に、前記開口部に対応する破断溝を連続形成してなり、前記破断溝は、前記内装カバーの裏面側よりレーザ発生手段から発生するパルス状のレーザを前記破断開放部の輪郭に沿い照射して、前記内装カバー材質の全体肉厚量2.5mm〜5mmに対し、前記肉厚量の1/3〜2/3となる肉厚量を削除した肉厚部を連続して形成すると共に、前記肉厚量をさらに一定量削除して0.1mm〜0.6mmとした薄肉部を形成し、前記肉厚部と該薄肉部との長手方向の配置間隔長さを、前記肉厚部が0 . 7mm〜2 . 0mmに対し、前記薄肉部が10mm〜20mmとなるように離間させて繰り返し連続形成した前記内装カバーの裏面に肉厚部と薄肉部とを所定間隔で形成した構成とすることで、前記破断開放部の輪郭に沿った破断溝の連続部分は、表面側から全く隠れ、意匠効果に優れると共に、前記内装カバーの破断開放部に誤って手をついて裏面側に押圧負荷を掛けた場合にも、簡単に破断開放部が破壊されてしまう恐れがない。
【0033】
また、エアーバッグ膨張展開時においては、破断開放部の周囲破断面がぎざぎざになったり、開口断面にシャープなエッジができることがなく安全性が向上できる。
さらにまた、破断溝に形成される空間部に、発泡樹脂を装填して硬化させ、破断溝を補強した場合には、脆弱化部分を形成した破断開放部は、空洞を消去するから、車内が高温になっても内装カバーの表面にヒケが生じたりするのを防止でき、インストルメントパネル等の内装カバーの意匠性を向上できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、従来の助手席用エアーバッグ装置の単板状のインストルメントパネルカバー(内装カバー)にエアーバッグ膨張展開用の破断開放部を形成した場合の部分拡大説明図、(b)は図1(a)のA−A線に沿う概略断面図。
【図2】 本発明にかかる自動車用エアーバッグ装置における助手席用エアーバッグ装置に適用したインストルメントパネルの分解斜視図。
【図3】 本発明の実施の形態における助手席用エアーバッグ装置の縦断側面図。
【図4】 本発明の実施の形態における助手席用エアーバッグ装置の破断開放部補強用板材および支持部材を拡大して示す斜視図。
【図5】 図2のB−B線に沿う一部の拡大断面図。
【図6】 本発明の実施の形態におけるレーザ発生手段から発生するパルス状のレーザを内装カバーに照射して破断開放部用の破断溝を形成した過程を示す説明用の拡大断面図。
【図7】 図2のC−C線に沿う一部の拡大断面図。
【図8】本発明の実施の形態における内装カバーの破断溝の変形例を示す図7相当図。
【図9】 本発明の実施の形態における内装カバーの破断溝の変形例を示す図5相当図。
【符号の説明】
10 インストルメントパネル
101 インストルメントパネルコアー
102 内装カバー(インストルメントパネルカバー)
20 エアーバッグケース
201 開口部
27 エアーバッグ
30 破断開放部
31 補強用板材
32 肉厚部
33 薄肉部
34 破断溝
35 空間部
36 発泡樹脂
Claims (4)
- 車両内装カバーによって被覆されたフロント部、ハンドル中央部及び側柱部の少なくとも1個所に配設された、インフレータからのガスにより膨張展開されるエアーバッグを折り畳んだ状態で収容すると共に前記内装カバーの裏面と対向する個所に開口部を有するエアーバッグケースを備え、前記エアーバッグケースの開口部と相対向する前記カバーの裏面位置に脆弱部分を形成した破断開放部を有する自動車用エアーバッグ装置において、
前記破断開放部は、前記エアーバッグケースの開口部と相対する裏面に、前記開口部に対応する破断溝を連続形成してなり、前記破断溝は、前記内装カバーの裏面側よりレーザ発生手段から発生するパルス状のレーザを前記破断開放部の輪郭に沿い照射して、前記内装カバー材質の全体肉厚量2.5mm〜5mmに対し、前記肉厚量の1/3〜2/3となる肉厚量を削除した肉厚部を連続して形成すると共に、前記肉厚量をさらに一定量削除して0.1mm〜0.6mmとした薄肉部を形成し、前記肉厚部と該薄肉部との長手方向の配置間隔長さを、前記肉厚部が0 . 7mm〜2 . 0mmに対し、前記薄肉部が10mm〜20mmとなるように離間させて繰り返し連続形成したことを特徴とする自動車用エアーバッグ装置。 - 前記内装カバーの裏面側に形成された前記破断溝は、肉厚部と薄肉部とが形成された肉厚除去空間部に、破断性が大きな発泡樹脂を装填したことを特徴とする請求項1に記載の自動車用エアーバッグ装置。
- 前記破断溝は、前記内装カバーの裏面側より表面側に向けて拡角に傾斜して形成されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動車用エアーバッグ装置。
- 車両内装カバーによって被覆されたフロント部、ハンドル中央部及び側柱部の少なくとも1個所に配設された、インフレータからのガスにより膨張展開されるエアーバッグを折り畳んだ状態で収容すると共に前記内装カバーの裏面と対向する個所に開口部を有するエアーバッグケースを備え、前記エアーバッグケースの開口部と相対向する前記カバーの裏面位置に脆弱部分を形成した破断開放部を有する自動車用エアーバッグ装置において、
前記破断開放部は、前記エアーバッグケースの開口部と相対する裏面に、前記開口部に対応する破断溝を連続形成してなり、前記破断溝は、前記内装カバー成形時に金型の一体成形により、前記内装カバー材質の全体肉厚量2.5mm〜5mmに対し、前記肉厚量の1/3〜2/3となる肉厚量を削除した肉厚部を連続して形成すると共に、前記肉厚量をさらに一定量削除して0.1mm 〜0.6mmとした薄肉部を形成し、前記肉厚部と該薄肉部との長手方向の配置間隔長さを、前記肉厚部が0 . 7mm〜2 . 0mmに対し、前記薄肉部が10mm〜20mmとなるように離間させて繰り返し連続形成したことを特徴とする自動車用エアーバッグ装置。
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JP (1) | JP3739605B2 (ja) |
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JP4735338B2 (ja) * | 2006-03-03 | 2011-07-27 | 豊田合成株式会社 | エアバッグカバー |
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