JP3737429B2 - 金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法 - Google Patents

金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法に係り、より詳しくは、製造工程で溶融塩からの汚染を防ぎ高品質の製品を歩留まりよく製造するための、金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、チタンは、スパッタに用いるターゲット材をはじめとする電子材料としても使用され、その使用分野が拡大しつつある。高い精度が要求される電子部品の材料として、チタンが用いられるためには、品質面において、純度が高いことが必要である。現在、一層の品質向上が要求される電子部品用として、さらに高純度のチタンが求められている。
【0003】
しかしながら、チタンはその性質上、高温において特に活性な金属であることから製造工程で接触する物質からの汚染を非常に受けやすく、高純度のチタンを製造することは難しい。そのため、製造工程において、物質との接触による汚染を軽減することは、高純度のチタンを歩留まりよく得るための重要なポイントとなっている。
【0004】
また、チタンは、酸素と容易に結合し、酸化物を形成する。チタン中の酸素を低減させる方法として、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩を溶融し、その溶融塩中で溶融した金属カルシウムによるチタンの脱酸を行う方法が開発されている。例えば、特公平8−14009号公報には、酸素含有量を低く抑えたチタンの製造方法の発明が記載されている。この発明では、溶融塩(フラックス)中にチタン原料を装入し、金属カルシウムを気体液体状で溶融塩と接触させて溶融塩中に溶解させ、チタン原料に作用させることで、チタンを脱酸する。
【0005】
この方法では、酸素を効果的に除去することは可能であるが、純度が低い一般の溶融塩であると溶融塩中に含まれる酸素以外の不純物の大部分がチタンに引き寄せられて、チタンが汚染され、チタンの純度は低下する。一般に市販されているアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、不純物として、鉄、ニッケルのような重金属を微量に含んでいるため、チタンの脱酸工程において、これらの不純物が製品チタンへ移行し、製品を汚染するという問題があった。
【0006】
試薬特級クラスの品位のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩を用いれば、製品の汚染を軽減することができるが、金属塩を大量に使用するため、このような高価な塩の使用は、工業的には、コスト面を配慮すると現実的ではない。
【0007】
一般品位の塩を精製することを目的として、溶融塩に塩素ガスをバブリングして溶融塩を精製する方法が一般に行われるが、この精製方法は主に溶融塩中に残留する水分を除去するものであり、金属不純物を除去することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、一般のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩を簡易的に金属不純物の少ない塩にする精製方法の開発が望まれていた。そして、簡易的に金属不純物の少ないアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が得られれば、そのアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用い、チタンの脱酸や高純度のチタンの製造が可能となる。
【0009】
本発明の目的は、製造工程で汚染源となりうる溶融塩を簡便かつ効率的に精製する金属塩の精製方法、この精製方法によって精製した金属塩を用いたチタン材の脱酸方法およびチタン材の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、金属不純物の吸着材としてのチタン、ジルコニウムに着目した。チタン、ジルコニウムはともに高温において非常に活性な金属であり、溶融塩中に含まれる微量の鉄、ニッケルなどの金属不純物と容易に結合する。また、チタン合金およびジルコニウム合金も同様に活性な金属であることから、チタン、ジルコニウムに代えてチタン合金またはジルコニウム合金を用いても同様の効果が期待できる。
【0011】
そこで、チタン、チタン合金、ジルコニウムまたはジルコニウム合金を溶融塩に接触させることにより、金属塩中の不純物を吸着すれば、溶融塩の精製ができる。このようにして得られたアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の溶融塩は金属不純物の含有量が極めて少ない。
【0012】
そして、このような溶融塩を用いて、高純度チタン材の脱酸や製造を行えば、金属不純物による汚染を招くことなく高純度チタン材に含まれる酸素を容易に除去できる、またはより高品質の高純度チタン材を製造することができる。
【0013】
本発明は、上述の知見に基づいて完成に至ったものであり、その要旨は、下記(1)および(2)を特徴とする金属塩の精製方法、下記(3)を特徴とするチタン材の脱酸方法、および下記(4)を特徴とするチタンの製造方法にある。
【0014】
(1)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはそれらの混合物を溶融した金属塩にチタン、チタン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種または2種以上を接触させることにより金属塩中の不純物を吸着させる金属塩の精製方法。
【0015】
(2)チタン製またはチタン合金製容器、もしくはチタンまたはチタン合金が内張りされた容器で金属塩を溶融させる上記(1)に記載の金属塩の精製方法。
【0016】
(3)上記(1)または(2)に記載の精製方法で精製した金属塩の溶融物に金属カルシウムを溶解し、チタン材と接触させるチタン材の脱酸方法。
【0017】
(4)上記(1)または(2)に記載の精製方法で精製した金属塩の溶融物を電解浴に用いて溶融塩電解を行うチタン材の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明は、大別して、(A)金属塩の精製方法、(B)チタン材の脱酸方法および(C)溶融塩電解によるチタン材の製造方法とからなる。以下では、(A)、(B)、(C)それぞれに区分して詳述する。
【0019】
(A)金属塩の精製方法
金属塩の精製は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはそれらの混合物を溶融した金属塩(以下、「溶融塩」ともいう)にチタン、チタン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種または2種以上(以下、これらを「チタンなど」という)を接触させることにより金属塩中の不純物を吸着することにより行う。ここで、チタンなどを接触させるとは、単に金属塩中にチタンなどを浸漬させることをいい、例えば、溶融塩に電流を通電するなど特別な処理を伴うものではない。
【0020】
前述したように、一般に市販されているアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、不純物として重金属を微量に含んでいる。このような塩を溶融した溶融塩を用いて、高純度チタン材の脱酸、または溶融塩電解による高純度チタン材の製造を行うと、金属不純物が高純度チタン材に取り込まれ、高純度チタン材の純度が低下する。これを避けるために、予め溶融塩の精製を行う。ここで用いるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩およびそれらの混合物を溶融した金属塩、すなわち溶融塩はその種類や混合比は問わない。
【0021】
溶融塩には、チタン、チタン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種または2種以上を選択して、接触させる。こうすることで、チタンなどは金属不純物の吸着材として作用し、溶融塩中の金属不純物がチタンなどに取り込まれる。溶融塩とチタンなどを接触させるにあたっては、チタンなどを溶融塩中にすべて漬浸するだけでなく、その一部を漬浸するだけでも吸着材として作用する。
【0022】
金属塩を精製する際には、チタンなどが漬浸する総表面積が、より大きくなるように、チタンなどを容器内に装入することが好ましい。このようにすることで、より効率よく精製を進行することができる。また、さらに効率よく精製を進めるために、溶融塩を攪拌などしてもよい。
【0023】
チタンなどは薄板状をはじめとしてどのような形状でもよい。上述したように、溶融塩中に漬浸する総表面積が大きければ、精製効率が上がるので、例えば、箔状、ハニカム状、スポンジ状(多孔質体状)などとすることが好ましい。コスト面を考慮すると、チタンを機械加工する際に発生するダライなどは安価に入手でき、かつ薄板状であるため十分な効果を得ることができる。
【0024】
より具体的には、金属塩の体積をV(cm)、チタンなどが漬浸する総表面積をS(cm)とした場合、両者の比V/Sが10以下であることが好ましい。V/Sが10以下であれば、約50時間で各金属不純物の含有量を1ppm以下のオーダーにまで低下させることができるからである。ただし、V/Sが10以上であっても、V/Sが100以下であれば、金属塩を攪拌する、またはチタンなどを金属塩中で動かすことにより、同様に金属不純物の含有量を低下させることができる。
【0025】
溶融塩とチタンなどを接触させることにより得られる吸着効果は、溶融塩の温度が融点以上であれば、500℃程度において得ることができる。金属不純物をより効率よく吸着し、効果的に精製を行うには、溶融塩の温度を700℃以上とすることが好ましい。溶融塩の温度の上限は特に言及しないが、溶融塩の沸点以下かつチタンの融点以下であることが必要である。
【0026】
金属塩を溶融させる容器は、溶融塩に不純物となりうる成分が溶出しない材料からなる。例えば、石英、アルミナなどの酸化物、ニッケル、チタン、モリブデンなどを容器材料として使用することができる。容器は、そのすべてがこれらの材料でできている必要はなく、少なくともこれらの材料が内張りされていれば、十分である。
【0027】
後の工程で、金属塩の精製を行ったのと同一の容器中で高純度チタンの脱酸を行う場合などを考慮すると、容器の少なくとも溶融塩と接触する部分が、チタン製またはチタン合金製であることが好ましい。本発明の最終製品と同一金属を用いれば、容器からの溶出による汚染の懸念がなく、さらに、チタンまたはチタン合金の場合、不純物金属を吸着する作用もあるからである。
【0028】
(B)チタン材の脱酸方法
前記(A)の精製方法で精製した溶融塩(金属塩の溶融物)に金属カルシウムを溶解し、チタン材と接触させることでチタン材を脱酸することができる。脱酸は、溶融塩中に溶解したカルシウムがチタン材中の酸素と反応してCaOを形成し、酸素が溶融塩中に放出されることにより進行する。
【0029】
本発明では、(A)の精製方法で精製した溶融塩を使用するので、チタン材に金属不純物が混入することを防止でき、最終製品が汚染されることによる品質の低下、歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0030】
チタン材の脱酸は、(A)の精製方法で使用した容器で(A)の精製方法を実施した後に続けて行うことができる。このようにすれば、効率的に製造工程を進行させることができ、容器の入れ替えや輸送によって混入する不純物による汚染の心配もない。
【0031】
(C)溶融塩電解によるチタン材の製造方法
前記(A)の精製方法で精製した溶融塩(金属塩の溶融物)を電解浴に用いて溶融塩電解を行うことでより高純度のチタン材を製造することができる。溶融塩電解とは、溶融塩中でアノード溶解とカソード析出を行うものであり、チタン材をより高純度なものとするためには、アノードとして高純度のチタン材を使用することが好ましい。本発明では、(A)の精製方法で精製した溶融塩を電解浴に使用するので、チタン材に金属不純物が混入することを防止でき、最終製品が汚染されることによる品質の低下、歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0032】
溶融塩電解によるチタン材の製造も、(B)と同様に、(A)の精製方法で使用した容器で(A)の精製方法を実施した後に続けて行うことができる。この場合も、効率的に製造工程を進行させることができ、容器の入れ替えや輸送によって混入する不純物による汚染の心配もない。
【0033】
【実施例】
以下に、(A)金属塩の精製方法、(B)チタン材の脱酸方法および(C)溶融塩電解によチタン材の製造方法に分けて具体的な事例に基づいて説明する。
【0034】
(A)金属塩の精製方法
まず、チタン板による金属不純物の吸着効果を確かめるため、溶融塩の入った容器内にチタン板を装入して溶融塩を精製した。
【0035】
図1は、溶融塩を精製する装置を模式的に示した図である。図1に示すように、溶融塩の精製装置は、溶融塩を収容する内容器1とその内容器1を収容する外容器2からなる。外容器2の周りにはヒータ3が設置されており、溶融塩の温度を調整できるようになっている。また、外容器は真空ポンプ4と連結され、外容器2内の雰囲気を調整することができる。
【0036】
まず、以上のような精製装置を用いて、チタン板による精製を行った。石英製の内容器1に無水塩化カルシウム(融点772℃)10kgと厚み約1mmの板状のチタン100gを装入し、ステンレス製の外容器2にセットした。内容器1には、上部から汚染物が落下して溶融塩中に入り込むのを防ぐために石英製の板で蓋5をした。この蓋5には、真空排気、昇温、アルゴン置換の時にガスが通過できるように小孔6が設けられている。
【0037】
内容器1を外容器2中にセットした後は、外容器2に蓋をして密閉し、容器内に存在する水分および塩化カルシウムの吸湿水分を取り除くために、容器内を真空排気しながら徐々に700℃まで昇温してから真空排気を停止し、容器内の圧力が大気圧と同じになるようにアルゴンガスを導入し、さらに950℃まで昇温した。この温度では、塩化カルシウムは溶融状態にある。
【0038】
この後、950℃で25時間保持した後、塩化カルシウムをサンプリングし、さらに25時間、合計50時間保持した後、再度サンプリングした。サンプリングした試料は冷却後、含有する金属不純物を調べるために、ICPにより分析を行った。また、精製に使用したチタン板の金属不純物についてもICPにより分析した。
【0039】
一方、これに対し、内容器1にチタン板を装入せず、同様の試験も行った。
【0040】
表1は、塩化カルシウムをチタン板で精製したときの塩化カルシウム中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0041】
【表1】
Figure 0003737429
表2は、塩化カルシウムをチタン板で精製したときのチタン板中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0042】
【表2】
Figure 0003737429
表3は、塩化カルシウムをチタン板なしで溶融したときの、溶融開始から50時間後の塩化カルシウム中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0043】
【表3】
Figure 0003737429
表1、表2から、塩化カルシウム中の金属不純物の含有量が減少し、チタン板の金属不純物の含有量が増加しているのに対し、表3から、溶融前と溶融後の塩化カルシウム中の金属不純物の含有量はほとんど変化していない。このことから、チタン板は吸着材として作用し、塩化カルシウムを精製するのに有効であることがわかる。
【0044】
続いて、箔状のチタン100gを用いて、同様な試験を行った。ここで用いた箔状チタンの厚みは約0.1mmであり、前述したチタン板(厚み約1mm)の約10分の1である。そのため、その表面積は板状チタンの表面積の約10倍となる。なお、これ以外の試験条件については、前述の板状チタンの場合と全く同じである。
【0045】
表4は、塩化カルシウムを箔状チタンで精製したときの塩化カルシウム中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0046】
【表4】
Figure 0003737429
表4から明らかなように、塩化カルシウム中の金属不純物の含有量は減少しており、箔状チタンは吸着材として作用し、塩化カルシウムを精製できることが分かる。一方、チタンを箔状にしたときの効果を明らかにするため、チタン板を使用したときと箔状チタンを使用したときの塩化カルシウム中の不純物金属を比較した。
【0047】
図2は、チタン板および箔状チタンを使用したときの塩化カルシウム中の鉄(Fe)濃度を示した図である。図2から明らかなように、チタン板を用いたものに比べ、表面積の大きい箔状チタンを用いた方が、不純物金属として存在する鉄濃度の減少には有効である。
【0048】
そして、複数の金属塩を混合した溶融塩についても、同様な吸着効果があるか調べた。無水塩化リチウムと無水塩化カリウムの混合塩、すなわちLiCl-KCl系混合塩は、共晶により融点が低下することから、チタンやジルコニウムの電解精製、精錬にしばしば用いられる有用な混合塩である。そのため、金属塩として、無水塩化リチウム4kgと無水塩化カリウム6kgを用い、箔状チタン100gによる精製を行った。この場合も、溶融塩、チタンの形状以外の試験条件については、前述の板状チタンの場合と全く同じである。
【0049】
表5は、LiCl-KCl系混合塩を箔状チタンで精製したときのLiCl-KCl系混合塩中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0050】
【表5】
Figure 0003737429
表5から明らかなように、LiCl-KCl系混合塩中の金属不純物の含有量は減少しており、このような混合塩に対してもチタンは吸着材として作用し、混合塩が精製できることが分かる。
【0051】
(B)チタン材の脱酸方法
前記(A)において箔状チタンで精製した塩化カルシウム、すなわち、表4における50時間、精製処理を行った塩化カルシウムを溶融塩としてチタン材の脱酸を試みた。
【0052】
脱酸処理は、この溶融塩に塩化カルシウム重量に対して3重量%の金属カルシウムを溶解し、厚み1mmの高純度チタン材200gを浸漬して、アルゴン雰囲気中で、10時間、950℃で温度保持することで行った。脱酸処理が終了した後、炉冷して凝固させた塩化カルシウム中から高純度チタン材を取り出し、金属不純物の含有量をICPで分析した。一方、市販の無水塩化カルシウムを用い、同様に脱酸処理を施した高純度チタン材についてもICPで分析した。
【0053】
表6は、箔状チタンで精製した塩化カルシウムを溶融塩として脱酸処理した前後のチタン材中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0054】
【表6】
Figure 0003737429
表7は、一般の塩化カルシウムを溶融塩として脱酸処理した前後のチタン材中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0055】
【表7】
Figure 0003737429
表6、表7から、箔状チタンで精製した塩化カルシウムを溶融塩として使用した場合には、チタン材に含まれる金属不純物の含有量がほとんど変わらないのにもかかわらず、脱酸を達成できるのに対し、一般の塩化カルシウムを溶融塩として使用した場合には、脱酸は期待できるものの、溶融塩中の金属不純物により、チタン材が汚染され、チタン材中の金属不純物の含有量が増加していることがわかる。
【0056】
(C)溶融塩電解によるチタン材の製造方法
前記(A)において精製したLiCl-KCl系混合塩、すなわち、表5における50時間、精製処理を行ったLiCl-KCl系混合塩を溶融塩として電解を試みた。
【0057】
電解は、陰極としてチタン材を、陽極としてニッケル網に入れたスポンジチタン粒をこの溶融塩に浸漬させ、900℃で温度保持しながら、15時間、両電極間に電流を流すことで行った。電解が終了した後、陰極に析出したチタン材の金属不純物の含有量をICPで分析した。一方、表5における精製前のLiCl-KCl系混合塩を溶融塩として、同様に電解を行い、陰極に析出したチタン材の金属不純物の含有量をICPで分析した。
【0058】
表8は、精製したLiCl-KCl系混合塩および精製前のLiCl-KCl系混合塩を溶融塩として用い、電解を行ったときの、陰極に析出したチタン材中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0059】
【表8】
Figure 0003737429
表8から明らかなように、精製したLiCl-KCl系混合塩を用いた場合には、極めて高純度のチタン材を製造することができるが、精製前のLiCl-KCl系混合塩を用いた場合には、混合塩中の金属不純物に汚染され、高純度のチタン材を製造できないことが分かる。
【0060】
【発明の効果】
本発明の金属塩の精製方法は、製造コストの増加につながるような特別な装置を必要とせず、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはそれらの混合物からなる溶融した金属塩を簡便に、効率よく精製できる。
【0061】
そして、この精製方法で精製した金属塩を用いることで、溶融塩の金属不純物に起因する汚染を最小限に抑えることができ、高品質なチタン材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、溶融塩を精製する装置を模式的に示した図である。
【図2】図2は、チタン板および箔状チタンを使用したときの塩化カルシウム中の鉄濃度を示した図である。
【符号の説明】
1 内容器
2 外容器
3 ヒータ
4 真空ポンプ
5 蓋
6 小孔
10 ゲッター材
11 溶融した金属塩(溶融塩)

Claims (4)

  1. アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはそれらの混合物を溶融した金属塩にチタン、チタン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種または2種以上を接触させることにより金属塩中の不純物を吸着させることを特徴とする金属塩の精製方法。
  2. チタン製またはチタン合金製容器、もしくはチタンまたはチタン合金が内張りされた容器で金属塩を溶融させることを特徴とする請求項1に記載の金属塩の精製方法。
  3. 請求項1または2に記載の精製方法で精製した金属塩の溶融物に金属カルシウムを溶解し、チタン材と接触させることを特徴とするチタン材の脱酸方法。
  4. 請求項1または2に記載の精製方法で精製した金属塩の溶融物を電解浴に用いて溶融塩電解を行うことを特徴とするチタン材の製造方法。
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