JP2003193150A - 金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法 - Google Patents

金属塩の精製方法並びにチタン材の脱酸方法および製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程で汚染源となりうる溶融塩を簡便かつ
効率的に精製する金属塩の精製方法、この精製方法によ
って精製した金属塩を用いたチタン材の脱酸方法および
チタン材の製造方法の提供。 【解決手段】アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩また
はそれらの混合物からなる溶融した金属塩にチタン、チ
タン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうち
の1種または2種以上を接触させることにより金属塩中
の不純物を吸着して精製する。さらに、この金属塩の溶
融物を用いて、チタン材の脱酸、製造を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属塩の精製方法
並びにチタン材の脱酸方法および製造方法に係り、より
詳しくは、製造工程で溶融塩からの汚染を防ぎ高品質の
製品を歩留まりよく製造するための、金属塩の精製方法
並びにチタン材の脱酸方法および製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、チタンは、スパッタに用いるター
ゲット材をはじめとする電子材料としても使用され、そ
の使用分野が拡大しつつある。高い精度が要求される電
子部品の材料として、チタンが用いられるためには、品
質面において、純度が高いことが必要である。現在、一
層の品質向上が要求される電子部品用として、さらに高
純度のチタンが求められている。
【0003】しかしながら、チタンはその性質上、高温
において特に活性な金属であることから製造工程で接触
する物質からの汚染を非常に受けやすく、高純度のチタ
ンを製造することは難しい。そのため、製造工程におい
て、物質との接触による汚染を軽減することは、高純度
のチタンを歩留まりよく得るための重要なポイントとな
っている。
【0004】また、チタンは、酸素と容易に結合し、酸
化物を形成する。チタン中の酸素を低減させる方法とし
て、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の塩
を溶融し、その溶融塩中で溶融した金属カルシウムによ
るチタンの脱酸を行う方法が開発されている。例えば、
特公平8−14009号公報には、酸素含有量を低く抑
えたチタンの製造方法の発明が記載されている。この発
明では、溶融塩(フラックス)中にチタン原料を装入
し、金属カルシウムを気体液体状で溶融塩と接触させて
溶融塩中に溶解させ、チタン原料に作用させることで、
チタンを脱酸する。
【0005】この方法では、酸素を効果的に除去するこ
とは可能であるが、純度が低い一般の溶融塩であると溶
融塩中に含まれる酸素以外の不純物の大部分がチタンに
引き寄せられて、チタンが汚染され、チタンの純度は低
下する。一般に市販されているアルカリ金属またはアル
カリ土類金属の塩は、不純物として、鉄、ニッケルのよ
うな重金属を微量に含んでいるため、チタンの脱酸工程
において、これらの不純物が製品チタンへ移行し、製品
を汚染するという問題があった。
【0006】試薬特級クラスの品位のアルカリ金属また
はアルカリ土類金属の塩を用いれば、製品の汚染を軽減
することができるが、金属塩を大量に使用するため、こ
のような高価な塩の使用は、工業的には、コスト面を配
慮すると現実的ではない。
【0007】一般品位の塩を精製することを目的とし
て、溶融塩に塩素ガスをバブリングして溶融塩を精製す
る方法が一般に行われるが、この精製方法は主に溶融塩
中に残留する水分を除去するものであり、金属不純物を
除去することはできない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、一般のア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩を簡易的に金属
不純物の少ない塩にする精製方法の開発が望まれてい
た。そして、簡易的に金属不純物の少ないアルカリ金属
塩またはアルカリ土類金属塩が得られれば、そのアルカ
リ金属塩またはアルカリ土類金属塩を用い、チタンの脱
酸や高純度のチタンの製造が可能となる。
【0009】本発明の目的は、製造工程で汚染源となり
うる溶融塩を簡便かつ効率的に精製する金属塩の精製方
法、この精製方法によって精製した金属塩を用いたチタ
ン材の脱酸方法およびチタン材の製造方法を提供するこ
とにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、金属不純物
の吸着材としてのチタン、ジルコニウムに着目した。チ
タン、ジルコニウムはともに高温において非常に活性な
金属であり、溶融塩中に含まれる微量の鉄、ニッケルな
どの金属不純物と容易に結合する。また、チタン合金お
よびジルコニウム合金も同様に活性な金属であることか
ら、チタン、ジルコニウムに代えてチタン合金またはジ
ルコニウム合金を用いても同様の効果が期待できる。
【0011】そこで、チタン、チタン合金、ジルコニウ
ムまたはジルコニウム合金を溶融塩に接触させることに
より、金属塩中の不純物を吸着すれば、溶融塩の精製が
できる。このようにして得られたアルカリ金属および/
またはアルカリ土類金属の溶融塩は金属不純物の含有量
が極めて少ない。
【0012】そして、このような溶融塩を用いて、高純
度チタン材の脱酸や製造を行えば、金属不純物による汚
染を招くことなく高純度チタン材に含まれる酸素を容易
に除去できる、またはより高品質の高純度チタン材を製
造することができる。
【0013】本発明は、上述の知見に基づいて完成に至
ったものであり、その要旨は、下記(1)および(2)
を特徴とする金属塩の精製方法、下記(3)を特徴とす
るチタン材の脱酸方法、および下記(4)を特徴とする
チタンの製造方法にある。
【0014】(1)アルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩またはそれらの混合物を溶融した金属塩にチタン、チ
タン合金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうち
の1種または2種以上を接触させることにより金属塩中
の不純物を吸着させる金属塩の精製方法。
【0015】(2)チタン製またはチタン合金製容器、
もしくはチタンまたはチタン合金が内張りされた容器で
金属塩を溶融させる上記(1)に記載の金属塩の精製方
法。
【0016】(3)上記(1)または(2)に記載の精
製方法で精製した金属塩の溶融物に金属カルシウムを溶
解し、チタン材と接触させるチタン材の脱酸方法。
【0017】(4)上記(1)または(2)に記載の精
製方法で精製した金属塩の溶融物を電解浴に用いて溶融
塩電解を行うチタン材の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は、大別して、(A)金属
塩の精製方法、(B)チタン材の脱酸方法および(C)
溶融塩電解によるチタン材の製造方法とからなる。以下
では、(A)、(B)、(C)それぞれに区分して詳述
する。
【0019】(A)金属塩の精製方法 金属塩の精製は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩
またはそれらの混合物を溶融した金属塩(以下、「溶融
塩」ともいう)にチタン、チタン合金、ジルコニウムお
よびジルコニウム合金のうちの1種または2種以上(以
下、これらを「チタンなど」という)を接触させること
により金属塩中の不純物を吸着することにより行う。こ
こで、チタンなどを接触させるとは、単に金属塩中にチ
タンなどを浸漬させることをいい、例えば、溶融塩に電
流を通電するなど特別な処理を伴うものではない。
【0020】前述したように、一般に市販されているア
ルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩は、不純物とし
て重金属を微量に含んでいる。このような塩を溶融した
溶融塩を用いて、高純度チタン材の脱酸、または溶融塩
電解による高純度チタン材の製造を行うと、金属不純物
が高純度チタン材に取り込まれ、高純度チタン材の純度
が低下する。これを避けるために、予め溶融塩の精製を
行う。ここで用いるアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩およびそれらの混合物を溶融した金属塩、すなわち溶
融塩はその種類や混合比は問わない。
【0021】溶融塩には、チタン、チタン合金、ジルコ
ニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種または2種
以上を選択して、接触させる。こうすることで、チタン
などは金属不純物の吸着材として作用し、溶融塩中の金
属不純物がチタンなどに取り込まれる。溶融塩とチタン
などを接触させるにあたっては、チタンなどを溶融塩中
にすべて漬浸するだけでなく、その一部を漬浸するだけ
でも吸着材として作用する。
【0022】金属塩を精製する際には、チタンなどが漬
浸する総表面積が、より大きくなるように、チタンなど
を容器内に装入することが好ましい。このようにするこ
とで、より効率よく精製を進行することができる。ま
た、さらに効率よく精製を進めるために、溶融塩を攪拌
などしてもよい。
【0023】チタンなどは薄板状をはじめとしてどのよ
うな形状でもよい。上述したように、溶融塩中に漬浸す
る総表面積が大きければ、精製効率が上がるので、例え
ば、箔状、ハニカム状、スポンジ状(多孔質体状)など
とすることが好ましい。コスト面を考慮すると、チタン
を機械加工する際に発生するダライなどは安価に入手で
き、かつ薄板状であるため十分な効果を得ることができ
る。
【0024】より具体的には、金属塩の体積をV(cm
)、チタンなどが漬浸する総表面積をS(cm)と
した場合、両者の比V/Sが10以下であることが好まし
い。V/Sが10以下であれば、約50時間で各金属不純物
の含有量を1ppm以下のオーダーにまで低下させることが
できるからである。ただし、V/Sが10以上であって
も、V/Sが100以下であれば、金属塩を攪拌する、ま
たはチタンなどを金属塩中で動かすことにより、同様に
金属不純物の含有量を低下させることができる。
【0025】溶融塩とチタンなどを接触させることによ
り得られる吸着効果は、溶融塩の温度が融点以上であれ
ば、500℃程度において得ることができる。金属不純物
をより効率よく吸着し、効果的に精製を行うには、溶融
塩の温度を700℃以上とすることが好ましい。溶融塩の
温度の上限は特に言及しないが、溶融塩の沸点以下かつ
チタンの融点以下であることが必要である。
【0026】金属塩を溶融させる容器は、溶融塩に不純
物となりうる成分が溶出しない材料からなる。例えば、
石英、アルミナなどの酸化物、ニッケル、チタン、モリ
ブデンなどを容器材料として使用することができる。容
器は、そのすべてがこれらの材料でできている必要はな
く、少なくともこれらの材料が内張りされていれば、十
分である。
【0027】後の工程で、金属塩の精製を行ったのと同
一の容器中で高純度チタンの脱酸を行う場合などを考慮
すると、容器の少なくとも溶融塩と接触する部分が、チ
タン製またはチタン合金製であることが好ましい。本発
明の最終製品と同一金属を用いれば、容器からの溶出に
よる汚染の懸念がなく、さらに、チタンまたはチタン合
金の場合、不純物金属を吸着する作用もあるからであ
る。
【0028】(B)チタン材の脱酸方法 前記(A)の精製方法で精製した溶融塩(金属塩の溶融
物)に金属カルシウムを溶解し、チタン材と接触させる
ことでチタン材を脱酸することができる。脱酸は、溶融
塩中に溶解したカルシウムがチタン材中の酸素と反応し
てCaOを形成し、酸素が溶融塩中に放出されることによ
り進行する。
【0029】本発明では、(A)の精製方法で精製した
溶融塩を使用するので、チタン材に金属不純物が混入す
ることを防止でき、最終製品が汚染されることによる品
質の低下、歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0030】チタン材の脱酸は、(A)の精製方法で使
用した容器で(A)の精製方法を実施した後に続けて行
うことができる。このようにすれば、効率的に製造工程
を進行させることができ、容器の入れ替えや輸送によっ
て混入する不純物による汚染の心配もない。
【0031】(C)溶融塩電解によるチタン材の製造方
法 前記(A)の精製方法で精製した溶融塩(金属塩の溶融
物)を電解浴に用いて溶融塩電解を行うことでより高純
度のチタン材を製造することができる。溶融塩電解と
は、溶融塩中でアノード溶解とカソード析出を行うもの
であり、チタン材をより高純度なものとするためには、
アノードとして高純度のチタン材を使用することが好ま
しい。本発明では、(A)の精製方法で精製した溶融塩
を電解浴に使用するので、チタン材に金属不純物が混入
することを防止でき、最終製品が汚染されることによる
品質の低下、歩留まりの低下を防ぐことができる。
【0032】溶融塩電解によるチタン材の製造も、
(B)と同様に、(A)の精製方法で使用した容器で
(A)の精製方法を実施した後に続けて行うことができ
る。この場合も、効率的に製造工程を進行させることが
でき、容器の入れ替えや輸送によって混入する不純物に
よる汚染の心配もない。
【0033】
【実施例】以下に、(A)金属塩の精製方法、(B)チ
タン材の脱酸方法および(C)溶融塩電解によチタン材
の製造方法に分けて具体的な事例に基づいて説明する。
【0034】(A)金属塩の精製方法 まず、チタン板による金属不純物の吸着効果を確かめる
ため、溶融塩の入った容器内にチタン板を装入して溶融
塩を精製した。
【0035】図1は、溶融塩を精製する装置を模式的に
示した図である。図1に示すように、溶融塩の精製装置
は、溶融塩を収容する内容器1とその内容器1を収容する
外容器2からなる。外容器2の周りにはヒータ3が設置さ
れており、溶融塩の温度を調整できるようになってい
る。また、外容器は真空ポンプ4と連結され、外容器2内
の雰囲気を調整することができる。
【0036】まず、以上のような精製装置を用いて、チ
タン板による精製を行った。石英製の内容器1に無水塩
化カルシウム(融点772℃)10kgと厚み約1mmの板状のチ
タン100gを装入し、ステンレス製の外容器2にセットし
た。内容器1には、上部から汚染物が落下して溶融塩中
に入り込むのを防ぐために石英製の板で蓋5をした。こ
の蓋5には、真空排気、昇温、アルゴン置換の時にガス
が通過できるように小孔6が設けられている。
【0037】内容器1を外容器2中にセットした後は、外
容器2に蓋をして密閉し、容器内に存在する水分および
塩化カルシウムの吸湿水分を取り除くために、容器内を
真空排気しながら徐々に700℃まで昇温してから真空排
気を停止し、容器内の圧力が大気圧と同じになるように
アルゴンガスを導入し、さらに950℃まで昇温した。こ
の温度では、塩化カルシウムは溶融状態にある。
【0038】この後、950℃で25時間保持した後、塩化
カルシウムをサンプリングし、さらに25時間、合計50時
間保持した後、再度サンプリングした。サンプリングし
た試料は冷却後、含有する金属不純物を調べるために、
ICPにより分析を行った。また、精製に使用したチタン
板の金属不純物についてもICPにより分析した。
【0039】一方、これに対し、内容器1にチタン板を
装入せず、同様の試験も行った。
【0040】表1は、塩化カルシウムをチタン板で精製
したときの塩化カルシウム中の金属不純物の含有量を示
した表である。
【0041】
【表1】 表2は、塩化カルシウムをチタン板で精製したときのチ
タン板中の金属不純物の含有量を示した表である。
【0042】
【表2】 表3は、塩化カルシウムをチタン板なしで溶融したとき
の、溶融開始から50時間後の塩化カルシウム中の金属不
純物の含有量を示した表である。
【0043】
【表3】 表1、表2から、塩化カルシウム中の金属不純物の含有
量が減少し、チタン板の金属不純物の含有量が増加して
いるのに対し、表3から、溶融前と溶融後の塩化カルシ
ウム中の金属不純物の含有量はほとんど変化していな
い。このことから、チタン板は吸着材として作用し、塩
化カルシウムを精製するのに有効であることがわかる。
【0044】続いて、箔状のチタン100gを用いて、同様
な試験を行った。ここで用いた箔状チタンの厚みは約0.
1mmであり、前述したチタン板(厚み約1mm)の約10分の
1である。そのため、その表面積は板状チタンの表面積
の約10倍となる。なお、これ以外の試験条件について
は、前述の板状チタンの場合と全く同じである。
【0045】表4は、塩化カルシウムを箔状チタンで精
製したときの塩化カルシウム中の金属不純物の含有量を
示した表である。
【0046】
【表4】 表4から明らかなように、塩化カルシウム中の金属不純
物の含有量は減少しており、箔状チタンは吸着材として
作用し、塩化カルシウムを精製できることが分かる。一
方、チタンを箔状にしたときの効果を明らかにするた
め、チタン板を使用したときと箔状チタンを使用したと
きの塩化カルシウム中の不純物金属を比較した。
【0047】図2は、チタン板および箔状チタンを使用
したときの塩化カルシウム中の鉄(Fe)濃度を示した図で
ある。図2から明らかなように、チタン板を用いたもの
に比べ、表面積の大きい箔状チタンを用いた方が、不純
物金属として存在する鉄濃度の減少には有効である。
【0048】そして、複数の金属塩を混合した溶融塩に
ついても、同様な吸着効果があるか調べた。無水塩化リ
チウムと無水塩化カリウムの混合塩、すなわちLiCl-KC
l系混合塩は、共晶により融点が低下することから、チ
タンやジルコニウムの電解精製、精錬にしばしば用いら
れる有用な混合塩である。そのため、金属塩として、無
水塩化リチウム4kgと無水塩化カリウム6kgを用い、箔状
チタン100gによる精製を行った。この場合も、溶融塩、
チタンの形状以外の試験条件については、前述の板状チ
タンの場合と全く同じである。
【0049】表5は、LiCl-KCl系混合塩を箔状チタン
で精製したときのLiCl-KCl系混合塩中の金属不純物の
含有量を示した表である。
【0050】
【表5】 表5から明らかなように、LiCl-KCl系混合塩中の金属
不純物の含有量は減少しており、このような混合塩に対
してもチタンは吸着材として作用し、混合塩が精製でき
ることが分かる。
【0051】(B)チタン材の脱酸方法 前記(A)において箔状チタンで精製した塩化カルシウ
ム、すなわち、表4における50時間、精製処理を行った
塩化カルシウムを溶融塩としてチタン材の脱酸を試み
た。
【0052】脱酸処理は、この溶融塩に塩化カルシウム
重量に対して3重量%の金属カルシウムを溶解し、厚み1
mmの高純度チタン材200gを浸漬して、アルゴン雰囲気中
で、10時間、950℃で温度保持することで行った。脱酸
処理が終了した後、炉冷して凝固させた塩化カルシウム
中から高純度チタン材を取り出し、金属不純物の含有量
をICPで分析した。一方、市販の無水塩化カルシウムを
用い、同様に脱酸処理を施した高純度チタン材について
もICPで分析した。
【0053】表6は、箔状チタンで精製した塩化カルシ
ウムを溶融塩として脱酸処理した前後のチタン材中の金
属不純物の含有量を示した表である。
【0054】
【表6】 表7は、一般の塩化カルシウムを溶融塩として脱酸処理
した前後のチタン材中の金属不純物の含有量を示した表
である。
【0055】
【表7】 表6、表7から、箔状チタンで精製した塩化カルシウム
を溶融塩として使用した場合には、チタン材に含まれる
金属不純物の含有量がほとんど変わらないのにもかかわ
らず、脱酸を達成できるのに対し、一般の塩化カルシウ
ムを溶融塩として使用した場合には、脱酸は期待できる
ものの、溶融塩中の金属不純物により、チタン材が汚染
され、チタン材中の金属不純物の含有量が増加している
ことがわかる。
【0056】(C)溶融塩電解によるチタン材の製造方
法 前記(A)において精製したLiCl-KCl系混合塩、すな
わち、表5における50時間、精製処理を行ったLiCl-KC
l系混合塩を溶融塩として電解を試みた。
【0057】電解は、陰極としてチタン材を、陽極とし
てニッケル網に入れたスポンジチタン粒をこの溶融塩に
浸漬させ、900℃で温度保持しながら、15時間、両電極
間に電流を流すことで行った。電解が終了した後、陰極
に析出したチタン材の金属不純物の含有量をICPで分析
した。一方、表5における精製前のLiCl-KCl系混合塩
を溶融塩として、同様に電解を行い、陰極に析出したチ
タン材の金属不純物の含有量をICPで分析した。
【0058】表8は、精製したLiCl-KCl系混合塩およ
び精製前のLiCl-KCl系混合塩を溶融塩として用い、電
解を行ったときの、陰極に析出したチタン材中の金属不
純物の含有量を示した表である。
【0059】
【表8】 表8から明らかなように、精製したLiCl-KCl系混合塩
を用いた場合には、極めて高純度のチタン材を製造する
ことができるが、精製前のLiCl-KCl系混合塩を用いた
場合には、混合塩中の金属不純物に汚染され、高純度の
チタン材を製造できないことが分かる。
【0060】
【発明の効果】本発明の金属塩の精製方法は、製造コス
トの増加につながるような特別な装置を必要とせず、ア
ルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはそれらの混合
物からなる溶融した金属塩を簡便に、効率よく精製でき
る。
【0061】そして、この精製方法で精製した金属塩を
用いることで、溶融塩の金属不純物に起因する汚染を最
小限に抑えることができ、高品質なチタン材を提供する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、溶融塩を精製する装置を模式的に示し
た図である。
【図2】図2は、チタン板および箔状チタンを使用した
ときの塩化カルシウム中の鉄濃度を示した図である。
【符号の説明】
1 内容器 2 外容器 3 ヒータ 4 真空ポンプ 5 蓋 6 小孔 10 ゲッター材 11 溶融した金属塩(溶融塩)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩また
    はそれらの混合物を溶融した金属塩にチタン、チタン合
    金、ジルコニウムおよびジルコニウム合金のうちの1種
    または2種以上を接触させることにより金属塩中の不純
    物を吸着させることを特徴とする金属塩の精製方法。
  2. 【請求項2】チタン製またはチタン合金製容器、もしく
    はチタンまたはチタン合金が内張りされた容器で金属塩
    を溶融させることを特徴とする請求項1に記載の金属塩
    の精製方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2に記載の精製方法で精製
    した金属塩の溶融物に金属カルシウムを溶解し、チタン
    材と接触させることを特徴とするチタン材の脱酸方法。
  4. 【請求項4】請求項1または2に記載の精製方法で精製
    した金属塩の溶融物を電解浴に用いて溶融塩電解を行う
    ことを特徴とするチタン材の製造方法。
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