JP2001011682A - チタンの製造方法及び装置 - Google Patents

チタンの製造方法及び装置

Info

Publication number
JP2001011682A
JP2001011682A JP11181253A JP18125399A JP2001011682A JP 2001011682 A JP2001011682 A JP 2001011682A JP 11181253 A JP11181253 A JP 11181253A JP 18125399 A JP18125399 A JP 18125399A JP 2001011682 A JP2001011682 A JP 2001011682A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
titanium
electrolysis
preliminary
electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11181253A
Other languages
English (en)
Inventor
Hidekazu Fukazawa
英一 深澤
Hitoshi Yamamoto
山本  仁
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toho Titanium Co Ltd
Original Assignee
Toho Titanium Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toho Titanium Co Ltd filed Critical Toho Titanium Co Ltd
Priority to JP11181253A priority Critical patent/JP2001011682A/ja
Publication of JP2001011682A publication Critical patent/JP2001011682A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrolytic Production Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 機器や低純度の電解浴中の不純物による影響
を軽減し、低コストで操業工程が容易であって、しかも
高純度チタンを得るチタンの製造方法を提供すること。 【解決手段】 電解容器3に収容した電解浴2内に電極
5を入れ、かつ電極5を囲うように原料チタン4を入
れ、電極5を陰極、原料チタン4を陽極として電圧を印
加し、原料チタン4を精製するチタンの製造方法におい
て、電極5を予備電極20と本電極21とに分け、予備
電極20にて電解浴2中の不純物をチタンと共に析出さ
せる予備電解後、本電極21に替えチタンを析出させる
本電解を行うことにより成り、予備電極20を電解浴2
に入れる挿入軸部22とこれを支持する支持軸部23と
を偏心させて形成し、予備電解中は挿入軸部22を電極
5を囲う原料チタン4の中心部に位置させ、本電解中は
支持軸部23を引き上げかつ回転させて挿入軸部22を
電解浴2から引き上げかつ中心部から離脱させること
で、低コストで操業工程を容易にして高純度チタンを得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、装置及び溶融塩等
の電解浴中に含まれている水分、金属等からの汚染を防
止して高純度チタンを得るためのチタンの製造方法及び
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体製造用材料として高純度チ
タンの利用が一般化しているが、その代表的な例とし
て、半導体デバイスにおける層間の膜バリア材をスパッ
タリングで構成するのに用いられるチタンターゲットが
ある。このチタンターゲット等の半導体向けチタンは信
頼性向上のために、ナトリウム、カリウム、リチウム等
のアルカリ金属、ウラン、トリウム等の放射性金属、
鉄、クロム、ニッケル等の重金属及び酸素といった不純
物を極力低減させる必要がある。因みに、最近の64M
DRAMで要求されるチタンターゲットは、99.99
5%〔=4N5(フォーナインファイブ)、但しガス成
分を除く〕以上の高純度品が要求される。
【0003】上記のような高純度のチタンを製造する方
法として、溶融塩電解精製法が知られている。この溶融
塩電解精製法は、電解浴を収容した電解容器内の周辺部
に原料チタンを入れると共に中心部にチタン棒の電極を
入れ、このチタン棒電極を陰極、原料チタンを陽極とし
て電圧を印加し、チタン棒電極に精製チタンを析出、生
成させるものである。同法によれば、特に鉄、クロム、
ニッケル等の重金属及び酸素といった不純物を大幅に低
減でき、高純度チタンの製造方法として有用である。
【0004】この溶融塩電解精製法を使用してより高純
度のチタンを製造することが試みられているが、同法で
チタンに不純物が混入する原因として、電解容器を構成
する材料自体が不純物として電解浴中に溶出し、その不
純物が陰極であるチタン棒電極に析出し、得られるチタ
ンがその不純物により汚染されてしまうことがあげられ
る。例えば、文献の「U.S.Bereau of Mines, Report of
Investigation 5351,44(1957)」には、電解容器を軟鋼
製とした場合に、生成したチタン中の鉄の含有量が10
0ppm を越えるほど高くなることが記載されている。こ
の状況を解決するものとして、特開平8−225980
号公報により電解浴が接触する電解容器及び部品の材質
を99.9%(3N)以上の高純度のニッケルでライニ
ングして電解浴中への不純物の溶出を低減させる技術が
開示されている。
【0005】また、電解浴に使用する溶融塩中に含まれ
る鉄、クロム、ニッケル、銅等のチタンより電気化学的
に貴である金属は、チタンより優先的にチタン棒電極に
析出する傾向があるので、電解浴にこれらの不純物金属
が含まれていると、製品汚染の原因となり結果として高
純度のチタンは得られない。従って、高純度のチタンを
製造するには電解浴に使用する溶融塩を純度の高いもの
にする必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記高
純度のニッケルでライニングした電解容器を使用する従
来例では、電解浴に使用する溶融塩中に含まれる不純物
に対して全く対応することができない。従って、純度の
高い溶融塩を電解浴に使用することになるが、一般的
に、塩化ナトリウムや塩化カリウムを電解浴として使用
することが多く、精製されたものであれば、チタンの汚
染をかなり抑制することができる。しかし、塩化ナトリ
ウムや塩化カリウムから金属や水分等の不純物を完全に
除去することは難しく、99.999%(5N)以上の
高純度チタンを得ようとした場合、必ずしも十分ではな
かった。更に、この電解浴は電解精製を繰り返すことに
より、電解浴中に不純物が蓄積されるから定期的に新し
いものに取り替える必要がある。このため、高純度チタ
ンを工業的規模で溶融塩電解精製法により得るには、純
度が高く不純物の極めて少ない特級試薬を使用し、それ
を定期的に取り替えなければならず、これではコストが
大幅に上昇する。一方、コスト面を重視して安価な工業
薬品レベルのものを使用すると、不純物が多く汚染し、
高純度チタンが得られ難くなる。
【0007】従って、本発明の目的は、工業薬品レベル
のものを使用した場合、電解浴中の不純物や電解容器及
び部品自体による影響を軽減し、低コストで且つ操業工
程が容易であって、しかも高純度チタンを得ることので
きるチタンの製造方法及び装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を行った結果、電解浴中に含まれ
鉄、クロム、ニッケル、銅等の不純物金属はチタンより
電気化学的に貴であるために、チタンより優先的に陰極
に析出する点に着目し、本電解を開始する前に予備電解
を行い、工業薬品レベルのものを使用した電解浴中の上
記不純物金属や水分に由来する酸素を予備電極にチタン
と共に予め析出させ、この予備電極を引き上げ端に寄
せ、予備電極の空いた位置に本電極を挿入して本電解を
開始すれば、不純物の極めて少ない高純度チタンを低コ
ストで且つ容易な操業工程で得ることができることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、請求項1の発明は、電解容器内
に収容した電解浴内に電極を入れ、且つ該電極を囲うよ
うに原料チタンを入れ、電極を陰極、原料チタンを陽極
として電圧を印加し、原料チタンを精製するチタンの製
造方法において、前記電極を予備電極と本電極とに分
け、予備電極にて前記電解浴中の不純物をチタンと共に
析出させる予備電解を行った後、予備電極を本電極に代
えチタンを析出させる本電解を行うものであって、前記
予備電極は前記電解浴に入れる挿入軸部とこれを支持す
る支持軸部とを偏心させて形成され、予備電解中は挿入
軸部を前記電極を囲う原料チタンの中心部に位置させ、
本電解中は支持軸部を引き上げかつ回転させて挿入軸部
を電解浴から引き上げ且つ前記中心部から離脱させるよ
うに配されることを特徴とするチタンの製造方法を提供
するものである。
【0010】また、請求項2の発明は、電解容器内に収
容した電解浴に電極が陰極として挿入され、該電極を囲
むように原料チタンが陽極として投入される電解容器本
体と、前記電解容器本体内を密閉する蓋体とからなり、
前記電極は予備電極と本電極の二本の電極を備え、前記
予備電極は前記電解浴に挿入される挿入軸部とこれを支
持する支持軸部とを偏心させて形成され、予備電解中は
挿入軸部を前記電極を囲う原料チタンの中心部に位置さ
せ、本電解中は支持軸部を引き上げかつ回転させて挿入
軸部を電解浴から引き上げ且つ前記中心部から離脱させ
るように配されるチタンの製造装置を提供するものであ
る。
【0011】また、請求項3の発明は、前記予備電極の
挿入軸部と支持軸部との偏心寸法は、前記電解容器の径
寸法の少なくとも1/5以上であることを特徴とするチ
タンの製造装置を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で製造されるチタンは、9
9.999%(5N)以上の高純度チタンであり、鉄、
クロム、ニッケル、銅、アルミニウム等の金属成分の含
有量がそれぞれ5ppm以下、好ましくは1ppm以
下、より好ましくは0.5ppm以下であり、更に、酸
素原子(O)の含有量が200ppm以下、好ましくは
100ppm以下、より好ましくは50ppm以下であ
る。
【0013】本発明で電解容器内に装入される電解浴と
しては、NaCl、NaCl−KCl、LiCl−KC
l、NaCl−K2 TiF6 等の一般的にチタンの溶融
塩電解精製法に用いられる塩化物若しくは塩化物とフッ
化物との混合物が使用される。これらの化合物の純度は
特に制限されないが、一般に市販されている純度の高い
特級試薬レベル、ある程度精製され不純物が除去された
一級試薬レベル、又は精製度合いの低い工業薬品レベル
のいずれもが使用できる。すなわち、特級試薬レベルの
ものは、鉄、クロム、ニッケル、銅、アルミニウム等の
金属成分の含有量がそれぞれ1〜5ppm、マグネシウ
ム、カルシウムはそれぞれ1〜20ppm、また、水分
は20〜100ppmであり、特級試薬レベルのものを
使用しても無論本発明の効果は認められる。一級試薬、
工業用試薬は、当然上記特級試薬レベルより高い不純物
含有量となるが、これらを使用しても5N以上の高純度
チタンが得られるから、コスト面で顕著な差が現れ有利
となる。また、これらを事前に加熱脱水処理等の精製処
理して使用してもよい。
【0014】本発明で使用する電解容器は、一般的な加
熱炉により加熱され得るものであれば特に限定がない
が、通常有底円筒状で上部にフランジがあり、このフラ
ンジに密着して内部を密閉する蓋体からなる鉄製のもの
が使用される。本発明の予備電極及び本電極は、温度、
強度等の物理面や腐食性などの化学面をクリアーできる
ものであれば、特に制限されないが、チタン製の棒が好
ましい。そして、予備電極は、直棒状の挿入軸部にこれ
を支持するL棒状の支持軸部を連接した形状を成し、直
棒状の挿入軸部を電極を囲う原料チタンの中心部、すな
わち、電解容器のほぼ中心部に入れた状態で、L棒状の
支持軸部をこの中心部から離れた位置で回転可能かつ垂
直に移動可能に軸支してなる。従って、予備電極は支持
軸部を垂直に引き上げ回転させれば、電解容器のほぼ中
心部から予備電極を離脱できる。また、予備電解中、高
温と挿入軸部の重みによる予備電極のダレを防止するた
め、直棒状の挿入軸部とL棒状の支持軸部の連接部、及
びL字部に補強板等をとり付けることも好ましい。
【0015】本発明で用いられる原料チタンはスポンジ
チタンが一般的であるが、ブリケット状のチタンを使用
することもできる。本発明のように高純度チタンを得る
ことを目的とする場合には、原料チタンも不純物濃度の
低いものを選択することが好ましい。原料チタンは電極
を囲えるようにリング状籠容器に収容され、そのリング
状籠容器ごと前記電解容器内の電解浴中に浸漬される。
このリング状籠容器は前記電解容器の蓋体に無接触で支
持され、電源の陽極に接続される。なお、リング状籠容
器の材質は鉄やニッケルが使用されるが、純度5N以上
の高純度チタンを得るには、純度99.0%以上、好ま
しくは99.5%以上のニッケルが好ましい。
【0016】そして、本発明の予備電解は、上述のよう
に、電極を囲う原料チタンの中心部、すなわち、電解容
器のほぼ中心部に予備電極の挿入軸部を入れ、予備電極
を陰極に、原料チタンの入ったリング状籠容器を陽極に
接続し電圧を印加することで行う。この予備電解は、電
解浴中の不純物が除去できる条件であれば特に制限され
ないが、電解浴中の不純物をチタンと共に陰極の予備電
極に析出させる際、予備電極に析出した析出物の量が電
解浴量に対して、0.1重量%以上、好ましくは0.2
〜10重量%、より好ましくは1〜2重量%の範囲とす
る。この予備電解により、電解浴中の不純物量の如何に
係わらず除去されて、本電解で5N以上の高純度チタン
を得ることができる。なお、電解浴中に含まれるチタン
より析出電位(電極電位)が貴である、又は電気化学的
に貴である金属イオンを陰極すべてに析出するに要する
理論クーロン量以上の電荷を印加することが望ましい。
そして、予備電解が終了したら、支持軸部により引き上
げ回転させて予備電極の挿入軸部を電解容器のほぼ中心
部の電解浴中から離脱させ、本電極をこのほぼ中心部に
入れ下記のように本電解を行う。
【0017】本発明の本電解は、予備電解後に同じ電解
浴を使用して行われ、上記予備電解で析出したチタン重
量に対して、通常100倍量以下、好ましくは50倍量
以下、より好ましくは30倍量以下のチタン重量を製造
するのが良い。このように本電解で製造するチタン重量
を制限するのは、同じ電解浴を使用して本電解を継続す
ると、電解浴中にチタン原料、電解容器などの装置材料
及び部品から不純物が溶出し、チタン純度が低下するか
らである。従って、本電解により製造されたチタン重量
が上記倍数以上になった場合、再度予備電解を行うか、
電解浴を新しいものに入れ替え予備電解を行った後、本
電解を行うことが好ましい。
【0018】なお、電解容器は、通常軟鋼製であるが、
その構成する材料自体が不純物として電解浴中に溶出
し、チタン純度が低下するから、従来例で述べたように
高純度のニッケルをライニングして使用してもよいが高
コストになる。このため、予備電解及び本電解中、原料
チタンを陽極、電解容器を陰極として、これらの間に別
途チタン生成電圧よりも低い電圧を印加して、電解容器
からの不純物の溶出を防ぐと共に、電解容器へのチタン
の析出を防いでいる。この印加電圧は、通常500mV
以下、好ましくは10〜150mV、より好ましくは3
0〜100mVである。
【0019】次に、本発明の実施の形態におけるチタン
の製造方法を図面を参照して説明する。図1は本発明の
チタンの製造方法を具体化したチタン製造装置の概略
図、図2はチタン製造装置を構成する予備電極の形状を
示す概念構成図、図3は図2の平面の概略図、図4はチ
タン製造装置を構成する予備電極の他の形状を示す概念
構成図である。図1中、チタン製造装置1は、不図示の
真空加熱炉内にセットされ、電解容器3内に収容した電
解浴2内に電極5を挿入し、かつ電極5を囲うように原
料チタン4を入れ、電極5を陰極、原料チタン4を陽極
として電圧を印加し、原料チタン4を精製して5N以上
の高純度チタンを得るものである。
【0020】電解容器3は有底円筒体で上端縁にフラン
ジ部10を有する容器本体11と、フランジ部10に密
着して容器本体11内を密閉する蓋体12とからなる。
この容器本体11の下部に供給管13が取り付けられ、
この供給管13は容器本体11内に溶融塩を供給した
り、排出したりする配管である。そして、電極5を囲う
原料チタン4は、ニッケル製のリング状籠容器14内に
投入され、このリング状籠容器14ごと電解容器3内の
周辺部3aに収容される。尚、図1中、符号14aは籠
容器の網目を示す。
【0021】電極5を囲う原料チタン4の中心部、すな
わち、電解容器3のほぼ中心部3bに挿入される電極5
は予備電極20と本電極21とに分けられ、いずれもチ
タン製である。予備電極20は、電解浴2に入る直棒状
の挿入軸部22とこれを支持するL棒状の支持軸部23
とを連接し、図2に示すように、挿入軸部22の軸線l
1 と支持軸部23の軸線l2 との間の偏心寸法Sを少な
くとも電解容器3の径寸法dの1/5以上にして形成し
たものである。なお、図1〜図3の予備電極20は、偏
心寸法Sを径寸法dの1/2程度にして形成したものを
示す。そして、この予備電極20は、その支持軸部23
が蓋体12を貫通し、電解容器3の上方部で垂直に移動
可能かつ回転可能に軸支され、予備電解中、その挿入軸
部22が電解容器3の中心部3bに位置する電解浴2中
に入れることができるようになっている。従って、この
予備電極20は、予備電解中は挿入軸部22を電解容器
3の中心部3bに位置させ、予備電解後は、支持軸部2
3を上方に引き上げて挿入軸部22を電解浴2から引き
上げ、図3の2点鎖線に示すように、支持軸部23を約
45度回転させて挿入軸部22を中心部3bから離脱さ
せることができる。
【0022】また、予備電極20はこれに限定されず、
図4に示すような予備電極20aであってもよい。この
予備電極20aは、挿入軸部22aの軸線l11と支持軸
部23aの軸線l22との偏心させ具合が異なり、軸線l
11と軸線l22との間の偏心寸法Sは電解容器3の径dの
1/5程度であり、支持軸部23aは電解容器3の中心
部3bと側壁部3cとのほぼ中間点の蓋体12を貫通し
たものになる。従って、この予備電極20aは、予備電
解終了後、挿入軸部22aを電解浴2から引き上げ、図
4の2点鎖線に示すように、支持軸部23aを約180
度回転させれば挿入軸部22aを中心部3bから離脱さ
せることができる。
【0023】一方、本電極21は、その上部軸部24が
蓋体12を貫通し、電解容器3の上方部で垂直に移動可
能に軸支され、本電解中、下方に移動させその下部軸部
25が電解容器3の中心部3bに位置する電解浴2中に
入れることができ、本電解終了後は上方に移動させ離脱
できるようになっている。
【0024】そして、原料チタン4が投入されたリング
状籠容器14と予備電極20及び本電極21からなる電
極5とは、電源26に次のような電解用回路で接続され
る。すなわち、電源26の陽極はリング状籠容器14の
端子14aに電気的に接続され、陰極は切換スイッチ2
7を介して予備電極20及び本電極21に電気的に接続
されている。また、不純物溶出防止回路として、電源2
8の陽極はスイッチ29を介して籠状容器14の端子1
4bに電気的に接続され、陰極は電解容器3の容器本体
11に電気的に接続されている。
【0025】次に、このチタン製造装置1に基づいて、
チタンの製造方法を説明する。まず、電解容器3の容器
本体11内に予め1:1のモル比で混合したNaCl−
KClの混合塩化物を供給管13を通じて投入する。次
いで減圧下で容器本体11内の混合塩化物を650℃ま
で加熱してよく脱水してから、真空加熱炉内をアルゴン
雰囲気に置換した後、740℃まで昇温して混合塩化物
を溶融し電解浴2とする。不純物溶出防止回路のスイッ
チ29をオンして電源28から直流電流にて電圧を印加
し、次いで、リング状籠容器14内に原料チタン4を投
入し、予備電極20の挿入軸部22を電解容器3の中心
部3bの電解浴2中に浸漬し、電解容器3に蓋体4を被
せる。続いて、不図示の供給管から電解容器3内底部に
液体のTiCl4 を適宜吹き込み電解浴2中にチタンイ
オンを生成させたのち、電解用回路の切換スイッチ27
を予備電極20にオンして電源26から直流電流にて電
圧をそれぞれ印加し、予備電解を行う。この予備電解で
は原料チタン4から電解浴2中にチタンが溶出し、その
溶出チタンは予備電極20の挿入軸部22に析出、生成
する。同時に電解浴2中の不純物たる鉄、ニッケル、ク
ロム、銅あるいは水分中の酸素等がチタンと共に挿入軸
部22に析出、生成する。
【0026】予備電解を所定時間行い不純物を充分除去
したのち、電解用回路の電源28を切換スイッチ29に
よりオフし、予備電極20の支持軸部23を引き上げる
と共に回転させ、電解容器3の中心部3bの電解浴2中
からその上部壁面近くに挿入軸部22を位置させ、その
あとの電解容器3の中心部3bの電解浴2中に本電極2
1を挿入し、切替スイッチ26を本電解に切り替え電解
用回路に電圧を印加し、本電解を行う。この際、必要に
応じて原料チタン4を追加する。本電解を所定時間行っ
た後、電解用回路の電源26を切換スイッチ27により
切り、本電極21を電解容器3上部に引き上げ、アルゴ
ン雰囲気下で室温まで冷却する。次いで本電極21を真
空加熱炉外に取り出し、速やかに希酸溶液で本電極21
に生成しているチタン全体を洗浄し、更に純水で洗浄し
たのち、一旦真空乾燥して水分を除去したのち、更に真
空乾燥して高純度チタンを得る。なお、予備電解中及び
本電解中電解容器3からの不純物は不純物溶出防止回路
により防止され、上記のように高純度チタンを得ること
が可能なっている。
【0027】なお、上記チタンの製造方法では、まず最
初に予備電解を行い、その後に本電解を行うが、一旦予
備電解を行った電解浴2を使用する限り、2回以上本電
解を連続して行うことができる。しかし、新しい電解浴
2を追加したり、全取り替えした場合は必ず予備電解を
行う必要がある。また、予備電解した際生じた予備電極
20上の生成物はチタンが主成分であり、前記原料チタ
ン4より純度が劣らない限り、本発明の原料とすること
が可能である。
【0028】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限す
るものでない。 実施例1 内容積70lの軟鋼(SS400)製の電解容器内に
1:1のモル比で混合したNaCl−KClの混合塩化
物(表1に不純物の割合を示す)150kgを投入し、電
気炉内で650℃乃至740℃にて脱水溶融して電解浴
とし、リング状籠容器を陽極とし、且つ電解容器を陰極
とする不純物溶出防止回路に50mVの電圧で直流電流
を流した。この電解浴中に5kgのスポンジチタンをニッ
ケル製のリング状籠容器に入れたまま浸漬し、電解浴中
に液体のTiCl4 を適宜吹き込み電解浴中にチタンイ
オンを生成させ、チタン製予備電極を電解浴中に入れ
る。不純物溶出防止回路の電圧が安定した後、リング状
籠容器を陽極とし、且つチタン製予備電極を陰極とする
予備電解用回路に800mVの電圧で直流電流を流し、
予備電解を開始した。この電流は80〜82Aで安定し
予備電解を24時間行った後、上記予備電解用回路への
通電を停止し、チタン製予備電極を引き上げ室温まで冷
却した後、付着物をチタン製予備電極から除去し、除去
物の重量を測定したところ2.0kgであった。
【0029】次に、チタン製本電極を電解浴中に入れ、
原料のスポンジチタンを2kg追加し、上記と同様に不純
物溶出防止回路の電圧が安定したのち、上記と同様に本
電解用回路に800mVの電圧で直流電流を流し、本電
解を開始し24時間行った後、上記本電解用回路への通
電を停止し、チタン製本電極を引き上げ上記と同様に室
温まで冷却した。その後、チタン製本電極に生成したチ
タンを酸洗浄及び純水洗浄して真空乾燥し、樹脂状結晶
のチタンを得た。この得られたチタンにつき常法により
不純物元素の分析を行った。
【0030】実施例2 実施例1で使用した電解浴を再度予備電解をすることな
く、そのままで実施例1と同様に2回目の本電解を行
い、得られたチタンにつき実施例1と同様に不純物元素
の分析を行った。
【0031】実施例3 実施例1で使用した電解浴を再度予備電解をすることな
く、そのままで実施例1と同様に3回目の本電解を行
い、得られたチタンにつき実施例1と同様に不純物元素
の分析を行った。
【0032】比較例1 予備電解を全く行わない電解浴にて、実施例1と同様に
本電解を行い、得られたチタンにつき実施例1と同様に
不純物元素の分析を行った。加えて原料のスポンジチタ
ンについても実施例1と同様に不純物元素の分析を行っ
た。以上の結果を表1及び表2に示す。表中、単位はp
pmである。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1及び請求
項2の発明によれば、電解浴中に含まれ電気化学的にチ
タンより貴である鉄、クロム、ニッケル、銅等の不純物
金属は、チタンより優先的に陰極に析出するから、本電
解を開始する前に予備電解を行い、工業薬品レベルのも
のを使用した電解浴中の上記不純物金属や水分また原料
に由来する酸素を予備電極にチタンと共に予め析出さ
せ、この予備電極を引き上げ端に寄せ、予備電極の空い
た位置に本電極を挿入し本電解を開始することができる
から、不純物の極めて少ない高純度チタンを低コスト
で、しかも容易な操業工程にて得ることができる。
【0036】請求項3の発明によれば、予備電極の挿入
軸部と支持軸部との偏心寸法は、電解容器の径寸法の少
なくとも1/5以上あれば良いから、高温で実施される
高純度チタン製造中に挿入軸部の重みによるダレを少な
くできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチタンの製造方法を具体化したチタン
製造装置の概略図である。
【図2】図1のチタン製造装置を構成する予備電極の形
状を示す概念構成図である。
【図3】図1のチタン製造装置を構成する予備電極の形
状を示す概念構成図である。
【図4】本発明の他の実施形態における予備電極の形状
を示す概念構成図である。
【符号の説明】
1 チタン製造装置 2 電解浴 3 電解容器 3a 周辺部 3b 中心部 3c 側壁部 4 原料チタン 5 電極 10 フランジ部 11 容器本体 12 蓋体 13 供給管 14 リング状籠容器 14a、14b 端子 20、20a 予備電極 21 本電極 22、22a 挿入軸部 23、23a 支持軸部 24 上部軸部 25 下部軸部 26、28 電源 27 切換スイッチ 29 スイッチ l1 、l11、l2 、l22 軸線 d 電解容器の径 S 偏心寸法

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解容器内に収容した電解浴内に電極を
    入れ、且つ該電極を囲うように原料チタンを入れ、電極
    を陰極、原料チタンを陽極として電圧を印加し、原料チ
    タンを精製するチタンの製造方法において、前記電極を
    予備電極と本電極とに分け、予備電極にて前記電解浴中
    の不純物をチタンと共に析出させる予備電解を行った
    後、予備電極を本電極に代えチタンを析出させる本電解
    を行うものであって、前記予備電極を前記電解浴に入れ
    る挿入軸部とこれを支持する支持軸部とを偏心させて形
    成し、予備電解中は挿入軸部を前記電極を囲う原料チタ
    ンの中心部に位置させ、本電解中は支持軸部を引き上げ
    かつ回転させて挿入軸部を電解浴から引き上げ且つ前記
    中心部から離脱させることを特徴とするチタンの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 電解容器内に収容した電解浴に電極が陰
    極として挿入され、該電極を囲むように原料チタンが陽
    極として投入される電解容器本体と、前記電解容器本体
    内を密閉する蓋体とからなり、前記電極は予備電極と本
    電極の二本の電極を備え、前記予備電極は前記電解浴に
    挿入される挿入軸部とこれを支持する支持軸部とを偏心
    させて形成され、予備電解中は挿入軸部を前記電極を囲
    う原料チタンの中心部に位置させ、本電解中は支持軸部
    を引き上げかつ回転させて挿入軸部を電解浴から引き上
    げ且つ前記中心部から離脱させるように配されることを
    特徴とするチタンの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記予備電極の挿入軸部と支持軸部との
    偏心寸法は、前記電解容器の径寸法の少なくとも1/5
    以上であることを特徴とする請求項2記載のチタンの製
    造装置。
JP11181253A 1999-06-28 1999-06-28 チタンの製造方法及び装置 Pending JP2001011682A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11181253A JP2001011682A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 チタンの製造方法及び装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11181253A JP2001011682A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 チタンの製造方法及び装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001011682A true JP2001011682A (ja) 2001-01-16

Family

ID=16097480

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11181253A Pending JP2001011682A (ja) 1999-06-28 1999-06-28 チタンの製造方法及び装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001011682A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235552A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 I'msep Co Ltd 金属回収装置及び方法
JP2013019057A (ja) * 2012-11-02 2013-01-31 I'msep Co Ltd 金属回収装置
CN103834971A (zh) * 2012-11-23 2014-06-04 宁波创润新材料有限公司 电极及熔盐电解装置
CN109853002A (zh) * 2019-03-30 2019-06-07 深圳市泰兴和环保实业有限公司 一种旋流电解装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235552A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 I'msep Co Ltd 金属回収装置及び方法
JP2013019057A (ja) * 2012-11-02 2013-01-31 I'msep Co Ltd 金属回収装置
CN103834971A (zh) * 2012-11-23 2014-06-04 宁波创润新材料有限公司 电极及熔盐电解装置
CN109853002A (zh) * 2019-03-30 2019-06-07 深圳市泰兴和环保实业有限公司 一种旋流电解装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2002349216B2 (en) A method for electrowinning of titanium metal or alloy from titanium oxide containing compound in the liquid state
US2861030A (en) Electrolytic production of multivalent metals from refractory oxides
EP1088113B9 (en) Electrolytic process for removing a substance from solid compounds
US6309595B1 (en) Titanium crystal and titanium
CN102656287A (zh) 钛矿的处理
US3114685A (en) Electrolytic production of titanium metal
JP2010504423A (ja) 鉄分の豊富な金属塩化物の廃棄物からの金属鉄および塩素価値の回収のための電気化学的方法
US4588485A (en) Process for the production of a metal by electrolyzing halides in a molten salt bath, comprising a simultaneous and continuous double deposit
JP3718691B2 (ja) チタンの製造方法、純金属の製造方法、及び純金属の製造装置
JP2001011682A (ja) チタンの製造方法及び装置
JP2002129250A (ja) 金属チタンの製造方法
US2939823A (en) Electrorefining metallic titanium
US2801964A (en) Cathode assembly for electrolytic cells
US2831802A (en) Production of subdivided metals
JP2000345379A (ja) チタンの製造方法
JP2001115290A (ja) チタンの製造方法
JP2001181884A (ja) チタンの製造装置
JP7100781B1 (ja) チタン箔の製造方法
JPH0971890A (ja) 高純度チタンの製造方法
WO2023007918A1 (ja) 電析物の製造方法
US3003934A (en) Process for the electrolytic production of metals
JPH04176887A (ja) 高純度yの製造方法
JP2000087280A (ja) チタンの製造方法
CA2450978C (en) A method for electrowinning of titanium metal or alloy from titanium oxide containing compound in the liquid state
Devilee et al. Selective removal of iron contaminations from zinc-chloride melts by cementation with zinc