JP3737010B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネルのパネル構造に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、大型で薄型のカラー画面表示装置として面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルが注目を集めており、その普及が図られている。
【0003】
図10は、従来の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルを模式的に示す平面図であり、図11は図10のV3−V3線における断面図、図12は図10のW4−W4線における断面図,図13は図10のW5−W5線における断面図である。
【0004】
この図10ないし13において、プラズマディスプレイパネルの表示面となる前面ガラス基板1側には、その裏面に、複数の行電極対(X’,Y’)と、この行電極対(X’,Y’)を被覆する誘電体層2と、この誘電体層2の裏面を被覆するMgOからなる保護層3が順に設けられている。
【0005】
各行電極X’,Y’は、それぞれ、幅の広いITO等の透明導電膜からなる透明電極Xa’,Ya’と、その導電性を補う幅の狭い金属膜からなるバス電極Xb’,Yb’とから構成されている。
【0006】
そして、行電極X’とY’とが放電ギャップg’を挟んで対向するように列方向に交互に配置されており、各行電極対(X’,Y’)によって、マトリクス表示の1表示ライン(行)Lが構成される。
【0007】
一方、放電ガスが封入された放電空間S’を介して前面ガラス基板1に対向する背面ガラス基板4には、行電極対X’,Y’と直交する方向に延びるように配列された複数の列電極D’と、この列電極D’間にそれぞれ平行に延びるように形成された帯状の隔壁5と、この隔壁5の側面と列電極D’を被覆するそれぞれR,G,Bに色分けされた蛍光体層6とが設けられている。
【0008】
そして、各表示ラインLにおいて、列電極D’と行電極対(X’,Y’)が交差し、隔壁5によって放電空間S’が区画されることにより形成された単位発光領域に、放電セルC’がそれぞれ画定されている。
【0009】
このプラズマディスプレイパネルには、図11および12に示されるように、誘電体層2の背面側のそれぞれ背中合わせに平行に延びるバス電極Xb’とYb’に対向する部分に、バス電極Xb’,Yb’に沿って平行に延びる嵩上げ誘電体層2Aが形成されている。
【0010】
この嵩上げ誘電体層2Aは、誘電体層2の背面から放電空間S’内に突出するように形成されているものであり、この放電空間S’内において、互いに対向する透明電極Xa’とYa’の間に発生する面放電dがバス電極Xb’およびYb’の側に広がるのを抑制することによって、列方向において互いに隣接する放電セルC’間において誤放電が発生するのを防止するように機能するものである。
【0011】
上記の面放電方式交流型プラズマディスプレイパネルにおける画像の表示は、以下のようにして行われる。
【0012】
すなわち、先ず、アドレス操作により、各放電セルC’において行電極対(X’,Y’)と列電極D’との間で選択的に放電(対向放電)が行われ、点灯セル(誘電体層2に壁電荷が形成された放電セル)と消灯セル(誘電体層2に壁電荷が形成されなかった放電セル)とが、表示する画像に対応してパネル上に分布される。
【0013】
そして、このアドレス操作の後、全表示ラインLにおいて一斉に、行電極対(X’,Y’)に対して交互に放電維持パルスが印加され、点灯セルにおいて、この放電維持パルスが印加される毎に、この点灯セルを挟むように位置する隣接する一対の嵩上げ誘電体層2Aの間の空間内において面放電が発生されて、この面放電により発生する紫外線により、放電空間S’内のR,G,Bの蛍光体層6がそれぞれ励起されて発光することによって、表示画像が形成される。
【0014】
上記のように、従来のPDPは、バス電極Xb’,Yb’と対向する部分において行方向に延びるように形成された嵩上げ誘電体層2Aにより、列方向への放電の広がりを抑制して、列方向において互いに隣接する放電セルC’間での放電の干渉を防止するようになっている。
【0015】
しかしながら、この従来のPDPは、図13に示されるように、行方向において隣接する放電セルC’間においては、放電セルC’内への放電ガスの封入と放電セルC’からの排気のために隔壁5と誘電体層2との間に隙間r’が形成されており、このために、図10に示されるように、面放電dが隙間r’を介して行方向において隣接する隣の放電セルC’に広がって放電の干渉が生じる虞れがある。
【0016】
また、列方向における放電の広がりも、前述したように嵩上げ誘電体層2Aによって一応防止されるが、面放電dが嵩上げ誘電体層2Aを越えて生じるような場合には、列方向において隣接する放電セルC’間における放電の干渉を完全に防止することは出来ない。
【0017】
そして、このような行方向および列方向における放電の干渉は、画像の高精細化に伴って放電セルのピッチが小さくなればなるほど発生の可能性が高くなり、放電の干渉が生じると、点灯すべき放電セルが消灯したり、消灯すべき放電セルが点灯したりして画像に乱れが生じてしまう。
【0018】
この発明は、上記のような従来のプラズマディスプレイパネルにおける問題点を解決するために為されたものである。
すなわち、この発明は、隣接する放電セル間における放電の干渉を有効に防止して、安定した画像の表示を行うことが出来るプラズマディスプレイパネルを提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】
第1の発明によるプラズマディスプレイパネルは、上記目的を達成するために、前面基板の背面側に行方向に延び列方向に並設されてそれぞれ表示ラインを形成する複数の行電極対とこの行電極対を被覆する誘電体層が形成され、前面基板と放電空間を介して対向する背面基板に列方向に延び行方向に並設された複数の列電極が設けられ、この列電極と行電極対とが交差する位置の放電空間に、少なくとも列方向に延びる縦壁部を有する隔壁によって仕切られた単位発光領域が形成されているとともに、隔壁の縦壁部と誘電体層との間に行方向に隣接する単位発光領域間を連通する隙間が形成されているプラズマディスプレイパネルにおいて、前記前面基板または背面基板の少なくとも一方の行方向に隣接する単位発光領域間を仕切る隔壁の縦壁部に対向する部分に、フローティング電極が設けられていることを特徴としている。
【0020】
第1の発明によるプラズマディスプレイパネルは、画像形成のために、各単位発光領域において行電極対の互いに対向する透明電極間において面放電が発生された際に、この一対の透明電極間のギャップの近傍に発生する面放電が行方向において隣接する隣の単位発光領域の一対の透明電極に飛び移ろうとすると、この面放電が行方向に隣接している単位発光領域間を仕切る隔壁の縦壁部に対向するように設けられたフローティング電極によって引き付けられることによって、面放電が隣りの単位発光領域の透明電極まで達するのが阻止される。
【0021】
従って、上記第1の発明によれば、行方向において隣接する他の単位発光領域に面放電が広がるのが抑制されて、隣接する単位発光領域間において放電の干渉が生じるのが防止され、これによって、安定した画像の表示を行うことが出来るようになる。
【0022】
第2の発明によるプラズマディスプレイパネルは、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加えて、前記フローティング電極が、透明導電膜または金属膜によって形成されていることを特徴としている。
【0023】
この第2の発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、フローティング電極が透明導電膜または金属膜によって形成されていることによって、プラズマディスプレイパネルの行方向において隣接する単位発光領域間において画像形成の際に発生される面放電が隣の単位発光領域に飛び移ろうとした際に、この二つの単位発光領域間に位置するように設けられたフローティング電極が面放電を引き付けるので、面放電が隣の単位発光領域内に達することが出来ず、これによって、行方向において隣接する単位発光領域間において放電の干渉が生じるのが防止されて、安定した画像の表示を行うことが出来るようになる。
【0024】
第3の発明によるプラズマディスプレイパネルは、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加えて、前記行電極対の互いに所定のギャップを挟んで対向する透明電極がそれぞれ単位発光領域ごとに独立した島状に形成されており、前記フローティング電極が、行方向において互いに隣接する二つの単位発光領域の透明電極の先端部の間の位置またはこの二つの単位発光領域の透明電極の先端部の間の位置に対向する位置に、それぞれ設けられていることを特徴としている。
【0025】
この第3の発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、行電極対の互いに所定のギャップを挟んで対向する透明電極がそれぞれ単位発光領域ごとに独立した島状に形成されているプラズマディスプレイパネルにおいて、フローティング電極が、行方向において互いに隣接する二つの単位発光領域の透明電極の先端部間に対応する位置に位置されていることにより、面放電がもっとも多く発生する透明電極の先端部分における他の単位発光領域への放電の干渉を有効に防止することが出来る。
【0026】
第4の発明によるプラズマディスプレイパネルは、前記目的を達成するために、第3の発明の構成に加えて、前記フローティング電極が、前記一対の透明電極の一方の先端部分に対向する位置から他方の先端部分に対向する位置まで延びていることを特徴としている。
【0027】
この第4の発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、行方向において互いに隣接する二つの単位発光領域間において、それぞれ一対の透明電極の一方の先端部分に対向する部分と他方の先端部分に対向する部分とこの一対の透明電極間のギャップに対向する部分間にフローティング電極が介在されることにより、隣接する二つの単位発光領域間における面放電の飛び移りをより有効に阻止して、放電の干渉の発生を防止することが出来るようになる。
【0028】
第5の発明によるプラズマディスプレイパネルは、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加えて、前記フローティング電極が、対向する隔壁の縦壁部に沿って延びる本体部と一体的に形成されて縦壁部に対して直交する方向に延びる幅広部を有していることを特徴としている。
【0029】
この第5の発明によるプラズマディスプレイパネルによれば、フローティング電極に、隔壁の縦壁部に対して直交する方向、すなわち、フローティング電極の本体部に対して直角向きに延びる幅広の部分によって、隔壁の縦壁部に対向するように形成されるために幅が狭くなっている本体部が前面基板または背面基板から剥離するのが防止される。
第6の発明によるプラズマディスプレイパネルは、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加えて、前記誘電体層の列方向に隣接する単位発光領域の間の部分に対向する部分に、行方向に延びるとともに背面基板側に突出する嵩上げ誘電体層が形成され、この嵩上げ誘電体層と隔壁の縦壁部との間が接触していることによって、隔壁の縦壁部と誘電体層との間に行方向に隣接する単位発光領域間を連通する隙間が形成されていることを特徴としている。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の最も好適と思われる実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明を行う。
【0031】
図1ないし6は、この発明によるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)の実施形態の一例を示すものであって、図1はPDPの行電極対と隔壁との関係を模式的に表す平面図であり、図2は図1のV1−V1線における断面図、図3は図1のV2−V2線における断面図、図4は図1のW1−W1線における断面図、図5は図1のW2−W2線における断面図、図6は図1のW3−W3線における断面図である。
【0032】
この図1ないし6において、表示面である前面ガラス基板10の背面に、複数の行電極対(X,Y)が、前面ガラス基板10の行方向(図1の左右方向)に延びるように平行に配列されている。
【0033】
行電極Xは、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Xaと、前面ガラス基板10の行方向に延びて透明電極Xaの狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Xbによって構成されている。
【0034】
行電極Yも同様に、T字形状に形成されたITO等の透明導電膜からなる透明電極Yaと、前面ガラス基板10の行方向に延びて透明電極Yaの狭小の基端部に接続された金属膜からなるバス電極Ybによって構成されている。
【0035】
この行電極XとYは、前面ガラス基板10の列方向(図1の上下方向)に交互に配列されており、バス電極XbとYbに沿って並列されたそれぞれの透明電極XaとYaが、互いに対となる相手の行電極側に延びて、透明電極XaとYaの幅広部の頂辺が、それぞれ所要の幅の放電ギャップgを介して互いに対向されている。
【0036】
バス電極Xb,Ybは、それぞれ表示面側の黒色導電層Xb’,Yb’と背面側の主導電層Xb”,Yb”の二層構造に形成されている。
【0037】
さらに、前面ガラス基板10の背面には、行電極Xの互いに隣接するT字形状の透明電極Xaの幅広部の間の中間位置と行電極Yの互いに隣接するT字形状の透明電極Yaの幅広部の間の中間位置に、それぞれ、方形のフローティング電極F1がそれぞれ形成されている。
【0038】
このフローティング電極F1は、行電極X,Yの透明電極Xa,Yaと同じITO等の透明導電膜、または、バス電極Xb,Ybと同じ材質の金属膜によって形成される。
【0039】
そして、このフローティング電極F1は、行電極X,Yの透明電極Xa,Yaおよびバス電極Xb,Ybを形成する際に、パターニング等の手法によって、同時に形成される。
【0040】
前面ガラス基板10の背面には、さらに、行電極対(X,Y)およびフローティング電極Fを被覆するように誘電体層11が形成されており、この誘電体層11の背面に、互いに隣接する行電極対(X,Y)の隣り合うバス電極XbおよびYbと対向する位置及び隣り合うバス電極Xbとバス電極Ybの間の領域と対向する位置に、誘電体層11の背面側に突出する嵩上げ誘電体層11Aが、バス電極XbおよびYbと平行に延びるように形成されている。
【0041】
この誘電体層11および嵩上げ誘電体層11Aの背面側には、これらを被覆するMgOからなる保護層12が形成されている。
一方、前面ガラス基板10と平行に配置された背面ガラス基板13の表示側の面上には、列電極Dが、各行電極対(X,Y)の互いに対となった透明電極XaおよびYaに対向する位置において行電極対(X,Y)と直交する方向(列方向)に延びるように、互いに所定の間隔を開けて平行に配列されている。
【0042】
背面ガラス基板13の表示側の面上には、さらに、列電極Dを被覆する白色の誘電体層14が形成され、この誘電体層14上に、隔壁15が形成されている。隔壁15は、互いに平行に配列された各列電極Dの間の位置において列方向に延びる縦壁15aと、嵩上げ誘電体層11Aに対向する位置において行方向に延びる横壁15bとによって井桁状に形成されている。
【0043】
そして、この隔壁15によって、前面ガラス基板10と背面ガラス基板13の間の放電空間Sが、各行電極対(X,Y)において対となった透明電極XaとYaに対向する部分毎に升目状に区画されて、それぞれ方形の放電セルCが形成されている。
【0044】
この隔壁15は、その表示面側に形成されたが黒色層(光吸収層)15’と背面側の白色層(光反射層)15”の二層構造に形成されており、放電セルCに面する側壁面がほぼ白色(すなわち、光反射層)になるように構成されている。
【0045】
この隔壁15の横壁15bの表示側の面には、嵩上げ誘電体層11Aが保護層12を介して当接されて、列方向に並んでいる各放電セルC間が横壁15bと嵩上げ誘電体層11Aによって閉塞されている。
【0046】
また、隔壁15の縦壁15aの表示側の面には、誘電体層11の背面が隙間rを介して対向されており、さらに、行電極Xの互いに隣接するT字形状の透明電極Xaの幅広部の間の中間位置と行電極Yの互いに隣接するT字形状の透明電極Yaの幅広部の間の中間位置に形成された一対のフローティング電極F1が、対向されている。
【0047】
放電セルCに面する隔壁15の縦壁15aおよび横壁15bの側面と誘電体層14の表面には、これらの五つの面を全て覆うように蛍光体層16がそれぞれ形成されている。
この蛍光体層16の色は、各放電セルC毎にR,G,Bの色が行方向に順に並ぶように設定される。
そして、各放電セルCの放電空間内には、放電ガスが封入されている。
【0048】
上記のPDPは、行電極対(X,Y)がそれぞれマトリクス表示画面の1表示ライン(行)Lを構成し、また、井桁状の隔壁15によって放電空間Sが升目状に区画されることにより、それぞれ方形の放電セルCが形成されている。
【0049】
このPDPにおける画像表示は、従来のPDPと同様に行われる。
【0050】
すなわち、先ず、アドレス操作により、各放電セルCにおいて行電極対(X,Y)と列電極Dとの間で選択的に放電が行われ、全表示ラインLに点灯セル(誘電体層11に壁電荷が形成された放電セル)と消灯セル(誘電体層11に壁電荷が形成されなかった放電セル)とが、表示する画像に対応して、パネル上に分布される。
【0051】
このアドレス操作の後、全表示ラインLにおいて一斉に、行電極対(X,Y)に対して交互に放電維持パルスが印加され、この放電維持パルスが印加される毎に、各点灯セルにおいて面放電が発生される。
【0052】
以上のようにして、点灯セルにおける面放電により紫外線が発生され、放電空間S内のR,G,Bの各蛍光体層16がそれぞれ励起されて発光することにより、表示画面が形成される。
【0053】
そして、このとき、発生される面放電が列方向において隣接する放電セルCに広がって行こうとすると、この列方向に隣接している放電セルC間を閉塞している嵩上げ誘電体層11Aと隔壁15の横壁15bによって、その広がりが阻止される。
【0054】
さらに、透明電極XaとYaの幅広部間のギャップgの近傍に発生する面放電が、隙間rを介して行方向に隣接する隣の放電セルCの透明電極XaとYaに飛び移ろうとした場合には、この面放電は、この行方向に隣接している放電セルC間の隙間rに対向する位置に設けられたフローティング電極Fに引き付けられることによって、隣接している放電セルCの透明電極XaとYaまで達することが出来ず、二つの放電セルCの間に位置する隔壁15の縦壁15aの部分で、隣接する隣の放電セルCへの移動が阻止される。
【0055】
これによって、面放電の行方向への広がりが抑制されて、この行方向において隣接する放電セルC間において放電の干渉が生じるのが防止される。
【0056】
なお、各放電セルCへの放電ガスの封入や放電セルCからの放電ガスの排気は、誘電体層11と縦壁15aとの間に形成された隙間rを通して行われ、さらに、行方向において隣接する放電セルC間において連鎖的に放電を生じさせるプライミング効果も、この隙間rを介して確保される。
【0057】
図7は、この発明によるPDPの実施形態の第2の例を模式的に表す平面図である。
【0058】
この第2の例におけるPDPは、上述した第1の例のフローティング電極Fが互いに隣接する二つの透明電極Xaの幅広部の間および隣接する二つの透明電極Yaの幅広部の間にそれぞれ一対ずつ、すなわち、一つの縦壁15aにそれぞれ二個ずつ対向するように形成されているのに対し、前面ガラス基板10(図2参照)の背面側の縦壁15aに対向する部分の互いに隣接する二つの透明電極Xaの幅広部の間から隣接する二つの透明電極Yaの幅広部の間に延びるフローティング電極F2が、一個ずつ形成されているものである。
他の部分の構成は、第1の例と同様であり、同一の符号が付されている。
【0059】
この第2の例のPDPにおいても、透明電極XaとYaの幅広部間のギャップgの近傍に発生する面放電が行方向に隣接する隣の放電セルCの透明電極XaとYaに飛び移ろうとした際に、この行方向に隣接している放電セルC間の隙間rに対向する位置に設けられたフローティング電極F2に面放電が引き付けられることによって、隣接する隣の放電セルCへの移動が阻止され、これによって、この行方向において隣接する放電セルC間における放電の干渉の発生が防止される。
【0060】
そして、この第2の例のPDPによれば、フローティング電極F2が、第1の例のように互いに隣接する二つの透明電極Xaの幅広部の間と隣接する二つの透明電極Yaの幅広部の間だけでなく、互いに隣接する二つの行電極対(X,Y)のそれぞれのギャップgの間にも設けられることによって、さらに効果的に、行方向において隣接する放電セルCの透明電極Xa,Yaへの面放電の飛び移りが抑制されて、放電の干渉が防止される。
【0061】
図8は、この発明によるPDPの実施形態の第3の例を模式的に表す平面図である。
【0062】
この第3の例におけるPDPは、上述した第1の例のPDPと同様に、フローティング電極F3が、前面ガラス基板10(図2参照)の背面の互いに隣接する二つの透明電極Xaの幅広部の間および隣接する二つの透明電極Yaの幅広部の間にそれぞれ一対ずつ、すなわち、一つの縦壁15aにそれぞれ二個ずつ対向するように形成されている。
【0063】
そして各フローティング電極F3は、二つの透明電極Xaの間と二つの透明電極Yaの間からそれぞれバス電極XbとYbの方向に延長されて、その端部に縦壁15aに対して直交する方向に延びる幅広部F3aが一体的に形成されたT字形状をしている。
【0064】
この第3の例におけるPDPは、隔壁15の縦壁15aに対向するように形成されるフローティング電極F3の幅の狭い本体部F3bが剥離するのを、この本体部F3bと直角向きに形成された幅広部F3aによって防止することが出来る。
【0065】
図9は、この発明によるPDPの実施形態の第4の例を示す図4と同じ部分の断面図である。
【0066】
この第4の例におけるPDPは、上述した第1ないし3の例のPDPにおいてフローティング電極F1,F2,F3が前面ガラス基板10側に形成されていたのに対し、フローティング電極F4が、背面ガラス基板13上の隣接する二つの列電極Dの中間位置の縦壁15aと対向する部分に形成されているものである。なお、このフローティング電極F4の形状は、第1ないし3の例の何れの形状でも選択することが出来る。
【0067】
この第4の例におけるPDPも、フローティング電極F4により、その形状に対応して、第1ないし3の例の場合と同様に、行方向において隣接する放電セルC間における放電の干渉の発生を防止することが出来る。
【0068】
そして、この第4の例の場合には、透明電極XaとYaが第1ないし3の例の場合のように放電セルCごとに島状に独立して形成されていないPDPに対しても適用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態における第1の例を模式的に表す平面図である。
【図2】図1のV1−V1線における断面図である。
【図3】図1のV2−V2線における断面図である。
【図4】図1のW1−W1線における断面図である。
【図5】図1のW2−W2線における断面図である。
【図6】図1のW3−W3線における断面図である。
【図7】この発明の実施形態における第2の例を模式的に表す平面図である。
【図8】この発明の実施形態における第3の例を模式的に表す平面図である。
【図9】この発明の実施形態における第4の例を模式的に表す断面図である。
【図10】従来のプラズマディスプレイパネルを模式的に示す平面図である。
【図11】図10のV3−V3線における断面図である。
【図12】図10のW4−W4線における断面図である。
【図13】図10のW5−W5線における断面図である。
【符号の説明】
10 …前面ガラス基板(前面基板)
11 …誘電体層
11A …嵩上げ誘電体層
12 …保護層
13 …背面ガラス基板(背面基板)
14 …誘電体層
15 …隔壁
15a …縦壁
15b …横壁
F1,F2,F3,F4…フローティング電極
F3a …幅広部
F3b …本体部
X …行電極
Y …行電極
Xa …透明電極
Ya …透明電極
Xb …バス電極
Yb …バス電極
D …列電極
S …放電空間
C …放電セル(単位発光領域)
g …ギャップ
r …隙間
Claims (6)
- 前面基板の背面側に行方向に延び列方向に並設されてそれぞれ表示ラインを形成する複数の行電極対とこの行電極対を被覆する誘電体層が形成され、前面基板と放電空間を介して対向する背面基板に列方向に延び行方向に並設された複数の列電極が設けられ、この列電極と行電極対とが交差する位置の放電空間に、少なくとも列方向に延びる縦壁部を有する隔壁によって仕切られた単位発光領域が形成されているとともに、隔壁の縦壁部と誘電体層との間に行方向に隣接する単位発光領域間を連通する隙間が形成されているプラズマディスプレイパネルにおいて、
前記前面基板または背面基板の少なくとも一方の行方向に隣接する単位発光領域間を仕切る隔壁の縦壁部に対向する部分に、フローティング電極が設けられていることを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 前記フローティング電極が、透明導電膜または金属膜によって形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記行電極対の互いに所定のギャップを挟んで対向する透明電極がそれぞれ単位発光領域ごとに独立した島状に形成されており、前記フローティング電極が、行方向において互いに隣接する二つの単位発光領域の透明電極の先端部の間の位置またはこの二つの単位発光領域の透明電極の先端部の間の位置に対向する位置に、それぞれ設けられている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記フローティング電極が、前記一対の透明電極の一方の先端部分に対向する位置から他方の先端部分に対向する位置まで延びている請求項3に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記フローティング電極が、対向する隔壁の縦壁部に沿って延びる本体部と一体的に形成されて縦壁部に対して直交する方向に延びる幅広部を有している請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
- 前記誘電体層の列方向に隣接する単位発光領域の間の部分に対向する部分に、行方向に延びるとともに背面基板側に突出する嵩上げ誘電体層が形成され、この嵩上げ誘電体層と隔壁の縦壁部との間が接触していることによって、隔壁の縦壁部と誘電体層との間に行方向に隣接する単位発光領域間を連通する隙間が形成されている請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
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