JP3736377B2 - ポリオレフィン被覆鋼管の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン被覆鋼管に関し、更に詳しくは、樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性に優れたポリオレフィン被覆鋼管の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン被覆鋼管は、鋼管の外面に防食のためにポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を被覆したものである。ポリオレフィン被覆鋼管は長期の防食性能に優れていることから、近年、海底、極寒冷地、熱帯での使用をも前提として、天然ガス、原油、重質油を輸送するパイプライン用や建材用にも使用されるようになってきており、その適用範囲は広がってきている。
【0003】
ポリオレフィン樹脂は、無極性の樹脂であるため、化学的安定性や機械的特性は優れているが、鋼管表面との密着性には劣る。鋼管へのポリオレフィン樹脂被覆の密着性が欠如すると、ポリオレフィン被覆鋼管の耐食性及び機械的特性が低下する。このため、従来からポリオレフィン被覆と鋼管との間に接着層を介在させることが行われている。このような接着層としては、オレフィンに少量の不飽和カルボン酸またはその無水物を共重合させて得られる変性ポリオレフィン樹脂が用いられている。
【0004】
変性ポリオレフィン樹脂を接着層として介在させることにより、鋼管表面へのポリオレフィン樹脂層の初期密着性は著しく改善される。しかし、ポリオレフィン被覆鋼管が高温、湿潤環境下に長時間暴露されたり、夏冬または昼夜などの寒暖の差による長期の冷熱サイクルを受けたりすると、樹脂層の密着性が低下する。そこで、鋼管表面にリン酸塩系またはクロム酸系の下地処理を施した後、エポキシ系などのプライマー層を介してポリオレフィン樹脂の被覆層を形成している。
【0005】
このようなポリオレフィン被覆鋼管は、特開昭50−82184号公報、特開昭54−120681号公報、特開昭57−80470号公報、特開昭57−113871号公報、特開昭59−225775号公報、特開平8−187820号公報、特開平8−294669号公報、特開平8−294995号公報、特開平8−300561号公報、特開平9−234822号公報、特開平9−268376号公報、特公平3−29588号公報などに開示されている。
【0006】
ポリオレフィン被覆鋼管を製造するには、鋼管の外表面をブラスト処理し、プライマー処理を行なった後、鋼管を回転させながら管の長手方向に移送し、鋼管の外面に溶融状態のシート状樹脂を連続的に被覆する。この際、押出機のTダイから溶融状態の接着性樹脂(変性ポリオレフィン)/樹脂被覆材(ポリオレフィン)からなる二層の溶融樹脂シートを押し出し、鋼管表面にスパイラル状に重ね合わせながら被覆する方法が知られている。このような製造方法は、特開昭50−148488号公報、特開平9−76345号公報などに開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の製造方法には、以下のような問題がある。すなわち、変性ポリオレフィンのダイス幅とポリオレフィンのダイス幅とを同一幅に設定した二層ダイスのTダイから変性ポリオレフィン/ポリオレフィンの溶融樹脂をシート状に押し出して鋼管の表面にスパイラル状に被覆すると、被覆後の冷却により外側のポリオレフィンが優先的に熱収縮してポリオレフィン被覆のみが若干短くなり、内側の変性ポリオレフィンが露出する状態、すなわちひけを生じ、外観上問題が生じる。しかも、変性ポリオレフィンは紫外線に対する耐光性処方剤及び耐熱処方剤の添加処理がなされていない場合が多く、ひけが生じた状態で長期間屋外に曝されると紫外線による変性ポリオレフィンの劣化すなわち耐光性に問題が生じ、防食性能の低下の原因となるという欠点がある。
【0008】
そこで、変性ポリオレフィンのダイス幅をポリオレフィンのダイス幅より短くすることによりひけ及び耐光性の問題を解決することが考えられるが、変性ポリオレフィンのダイス幅を極端に短くした場合には、厚い部分と薄い部分とからなるパターン、すなわち厚み斑が生じやすくなる。厚み斑が生じると、外観上の問題に加えて、厚みの厚い部分が傷つきやすくなり好ましくない。
【0009】
本発明の目的は、樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性に優れたポリオレフィン被覆鋼管を製造できる方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の問題を解決するために、変性ポリオレフィン/ポリオレフィンのダイス幅の関係、変性ポリオレフィン/ポリオレフィンの溶融特性について鋭意検討した。その結果、ポリオレフィンのダイス幅に対して変性ポリオレフィンのダイス幅を短くするときに、そのカット幅を適正化することで上記課題を解決できることを見いだし本発明に至った。
【0011】
本発明のポリオレフィン被覆鋼管の製造方法は、鋼管の表面に、押出機のダイスより変性ポリオレフィンとポリオレフィンとからなる二層の溶融樹脂シートを押し出し、鋼管側を変性ポリオレフィンとして二層を重ねてスパイラル状に被覆することによりポリオレフィン被覆鋼管を製造するにあたり、変性ポリオレフィンのダイス幅をWMP (mm)、ポリオレフィンのダイス幅をWP (mm)、ポリオレフィンの収縮率をSP、変性ポリオレフィンの溶融粘度をηMP (poise)、ポリオレフィンの溶融粘度をηP (poise)、樹脂層のねらい膜厚みをT(mm)としたとき、前記変性ポリオレフィンのダイス幅WMP (mm)を前記ポリオレフィンのダイス幅WP (mm)よりもカット幅WC (mm)だけ短くし、前記カット幅を下記(1)式
WP×SP≦WC≦(WP/2)−T×(ηP/ηMP) …(1)
で表される範囲に設定したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0013】
本発明で用いられる鋼管の種類や寸法は特に制限されないが、例えば炭素鋼、ステンレス鋼などの合金鋼からなる鋼管、及びメッキ鋼管が挙げられる。
【0014】
まず、鋼管外面にアルカリ脱脂またはグリッドもしくはショットによるブラスト処理などの慣用手段を施し、鋼管外面からミルスケールを除去して表面を清浄化する。
【0015】
次に、クロメート処理剤を用いて鋼管外面に化成処理を施す。クロメート処理剤としては、高分子有機質の還元剤により全クロムに対する6価のクロムの重量比が0.35〜0.65の範囲になるよう部分還元したクロム酸処理剤を用いることが好ましい。なお、反応型または電解型クロメート処理剤を用いることもできる。また、シリカ微粉末を添加したシリカ系クロメート処理剤を用いることもできる。化成処理の具体的な方法としては、ブラスト処理した鋼管の外面にクロメート処理剤を塗布した後、鋼管を80〜180℃に加熱してクロメート処理剤を焼き付ける。クロメート処理剤の塗布方法としては、ブラシによるしごき塗布、ロールによるロール塗布、刷毛塗布、スプレー塗布などの方法が用いられる。鋼管の加熱によるクロメート処理剤の焼き付け方法としては、高周波誘導加熱やバーナー加熱などの方法が用いられる。
【0016】
次に、化成処理層の上にプライマー層を形成する。プライマー組成物としては例えばエポキシ、顔料及び硬化剤を含む混合物からなるエポキシプライマーが一般的に用いられるが、これに限定されず、エポキシウレタン樹脂、ポリビニルアルコールなどのプライマーを用いることもできる。エポキシとしては、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルやビスフェノールFのジグリシジルエーテルなどが用いられる。顔料としてはシリカ、酸化チタンなどの微粒子粉末が用いられる。硬化剤としては、脂環式アミン、脂肪族アミン、ジシアンジアミド、変性イミダゾールなどが用いられる。プライマー処理の具体的な方法としては、化成処理した鋼管の外面にプライマー組成物を塗布した後、鋼管表面を100〜200℃程度に加熱して、プライマー塗膜を硬化させプライマー層を形成する。プライマー組成物の塗布方法としては、スプレー塗布、ロール塗布、刷毛塗布、しごき塗布、流れ塗布などの方法が用いられる。プライマー層の膜厚は10〜100μmの範囲が好ましい。鋼管の加熱方法としては、高周波誘導加熱、遠赤外線加熱、ガス加熱などの方法が用いられる。
【0017】
以下、本発明において用いられるポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂について説明する。
【0018】
ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなど公知のポリオレフィンを用いることができる。
【0019】
変性ポリオレフィン樹脂としては、上記のポリオレフィン樹脂をマレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸もしくはその酸無水物で変性したもの、またはその変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したものなど公知の変性ポリオレフィン樹脂を用いることができる。また、上記のポリオレフィン樹脂に、少量の他のα−オレフィン(アクリル酸など)を共重合体させたものも用いることができる。
【0020】
次いで、鋼管の表面にプライマー層を介して、鋼管側を変性ポリオレフィン樹脂、外側をポリオレフィン樹脂とする二層のポリオレフィン樹脂を被覆する。被覆層の密着性の点から、鋼管と接着する接着層には、外側になる被覆層のポリオレフィン樹脂と同種の変性ポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。すなわち、被覆層がポリエチレン樹脂の場合には接着層として変性ポリエチレン樹脂を使用し、被覆層がポリプロピレン樹脂の場合には接着層として変性ポリプロピレン樹脂を使用することが好ましい。具体的には、変性ポリオレフィン及びポリオレフィンの溶融樹脂をシート状にTダイから押出して二層の樹脂シートを形成し、その二層の樹脂シートをスパイラル状に重ね合わせながら鋼管に被覆する。溶融樹脂をTダイからシート状に押出して樹脂シートを被覆する温度は一般的に180℃〜260℃の範囲に設定される。その後、冷却装置によって冷却し、ポリオレフィン被覆鋼管を得る。
【0021】
本発明の方法においては、変性ポリオレフィンのダイス幅WMPを、鋼管の進行方向側で、ポリオレフィンのダイス幅WPよりも所定のカット幅WCだけ短くする。このカット幅WCは、変性ポリオレフィンのダイス幅をWMP、ポリオレフィンのダイス幅をWP、ポリオレフィンの収縮率をSP、変性ポリオレフィンの溶融粘度をηMP、ポリオレフィンの溶融粘度をηP、樹脂層のねらい膜厚みをTとしたとき、下記(1)式
WP×SP≦WC≦(WP/2)−T×(ηP/ηMP) …(1)
で表される範囲に設定される。以下、(1)式についてより詳細に説明する。
【0022】
変性ポリオレフィンのダイスのカット幅WCは、(ポリオレフィンのダイス幅WP)×(ポリオレフィンの収縮率SP)以上とする必要がある。カット幅がWP×SPより短いと、ひけを生じて外観が悪化するうえに、長期間屋外で曝されると紫外線による被覆層の劣化すなわち耐光性に問題が生じるので好ましくない。
【0023】
なお、ポリオレフィンの収縮率はJIS−Z1709の収縮包装用フィルムに準拠する方法により以下のようにして測定される。2mm厚みの無延伸シートを成形し、溶融樹脂をシート状にTダイから押出して樹脂シートを被覆する温度すなわち180〜260℃の範囲内の所定温度に設定された熱媒液に20秒浸漬する。そして、次式に従って収縮率SPを求める。
【0024】
収縮率SP=(L0−L)/L0
ここで、L0は収縮前の試験片の長さ(100mm)、Lは収縮後の試験片の長さ(mm)である。
【0025】
一方、変性ポリオレフィンのダイスのカット幅WCは、(ポリオレフィンのダイス幅WP/2)−(樹脂層のねらい膜厚みT)×{(ポリオレフィンの溶融粘度ηP)/(変性ポリオレフィンの溶融粘度ηMP)}以下とする必要がある。
【0026】
ここで、プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂層、ポリオレフィン樹脂層の合計膜厚である樹脂層ねらい膜厚みを例えば4mmとし、樹脂層の合計膜厚が3.5〜4.5mmの範囲で、最大膜厚と最小膜厚との差が1mm以内であれば厚み斑の許容範囲とする。合計膜厚が3.5mm未満では、物の衝突などによる衝撃により被覆が割れたり、傷ついたりするように衝撃性が低下する。合計膜厚が4.5mmを超えると樹脂のコストアップにつながる。樹脂厚みにおける最大膜厚と最小膜厚との差すなわち厚み斑はさらに重要であり、厚み斑が1mmを超えると外観が不均一になるうえに厚みの厚い部分が傷つきやすくなるので好ましくない。
【0027】
なお、これらの厚みはJIS−K7130のプラスチックフィルム及びシートの厚さ測定方法に準拠する方法により電磁式膜厚計などを用いて測定される。また、変性ポリオレフィン樹脂層の厚みは変性ポリオレフィン樹脂層及びポリオレフィン樹脂層の合計膜厚の5%〜20%程度が一般的である。
【0028】
また、変性ポリオレフィン及びポリオレフィンの溶融粘度は東洋精機株式会社製キャピログラフ(ダイス:L=20mm、D=1mm)を用い、溶融樹脂をシート状にTダイから押出し樹脂シートを被覆する温度すなわち180℃〜260℃の範囲内の所定温度でせん断速度に対する溶融粘度の関係を測定する。そして、せん断速度101sec-1の際の溶融粘度[poise]を変性ポリオレフィンの溶融粘度及びポリオレフィンの溶融粘度とする。
【0029】
カット幅WCが、(WP/2)−T×(ηP/ηMP)を超えると、厚み斑が1mmを超え、外観が不均一になるうえに厚みの厚い部分が傷つきやすくなるので好ましくない。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0031】
表1にポリオレフィン樹脂及び変性ポリオレフィン樹脂の物性と、ダイスの寸法をまとめて示す。表2にポリオレフィン被覆鋼管の評価結果をまとめて示す。なお、評価方法は次の通りである。
【0032】
1.ひけ性評価
変性ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂の二層を被覆し、冷却した後、外側のポリオレフィンの熱収縮によりポリオレフィン被覆のみが若干短くなって内側の変性ポリオレフィンが露出しているかどうか、すなわちひけ状況を目視により判定した。外側のポリオレフィン被覆がひけてないものを○、ひけているものを×と判定した。
【0033】
2.耐光性評価
ポリオレフィン被覆鋼管をサンシャインウェザーメーター照射により試験した。試験はカーボンアーク灯式の促進耐候試験機を用い、ブラックパネル温度63℃、相対湿度50%、照射時間5000時間の条件で紫外線照射を行ない、試験後に目視観察して変性ポリオレフィン樹脂及びポリオレフィン樹脂をそれぞれ評価した。表面性状に異常が認められなかったものを○、クラックなどの異常が発生しているものを×と判定した。
【0034】
3.厚み斑性評価
プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂層及びポリオレフィン樹脂層の合計の樹脂層ねらい膜厚みを2.0mm、4.0mm、6.0mmとし、鋼管側を変性ポリオレフィンとして変性ポリオレフィン/ポリオレフィンの二層からなる溶融樹脂をシート状にTダイから押出し、スパイラル状に重ね合わせながら被覆した。その後、電磁式膜厚計にて膜厚測定を行なった。最大膜厚と最小膜厚の差を厚み斑とし、厚み斑が1mm以内のものを○、厚み斑が1mm以上のものを×と判定した。
【0035】
(実施例1)
炭素鋼鋼管(外径24インチ、厚み17.5mm、長さ12m)の外面をショットブラスト処理した後、鋼管を8rpm/minの回転速度で回転させながら、送りピッチ150mm/1回転(鋼管の直進方向の移動速度1.2m/min)で移動させ、その外周面にクロメート処理剤(コスマー100:関西ペイント(株)製)を塗布した後、80℃に加熱して焼付け、鋼管上にクロメート処理層を形成した。クロメート処理層の上に、エポキシ系プライマーを乾燥膜厚が40〜50μmになるようにスプレー塗布し、140℃で加熱硬化させプライマー層を形成した。
【0036】
次に、220℃に設定された押出機の二層Tダイより接着層となる無水マレイン酸変性ポリエチレン(MPE)及び被覆層となる高密度ポリエチレン(PE)を押出し、プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂層及びポリオレフィン樹脂層のねらい膜厚みが4.0mmとなるようにスパイラル状に重ね合わせながら被覆した。被覆後ただちに水冷することによりポリエチレン被覆鋼管を得た。
【0037】
高密度ポリエチレンの220℃における溶融粘度は50000poise、無水マレイン酸変性ポリエチレンの220℃における溶融粘度は40000poiseであった。高密度ポリエチレンの収縮率は0.04(4%)であった。
【0038】
本実施例においては、二層Tダイとして、高密度ポリエチレンのダイスが厚さ1.8mm、幅750mm、無水マレイン酸変性ポリエチレンのダイスが厚さ0.2mm、幅600mm(カット幅150mm)であるものを用いた。このカット幅WCは、
WP×SP≦WC≦(WP/2)−T×(ηP/ηMP)
の関係を満たしている。
【0039】
得られたポリエチレン被覆鋼管は、樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0040】
(実施例2〜5、比較例1〜3)
表1に示すように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅を様々に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン被覆鋼管を得た。これらのポリエチレン被覆鋼管の評価結果を表2に示す。
【0041】
表1及び表2から明らかなように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅WCがWP×SP≦WC≦{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}の関係を満たしている実施例2〜5はいずれも樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0042】
これに対して、カット幅WCがWP×SPより小さい比較例1及び2は、樹脂被覆層のひけ性及び耐光性に劣っていた。また、カット幅WCが(WP/2)−T×(ηP/ηMP)より大きい比較例3は厚み斑性に劣っていた。
【0043】
(実施例6〜8、比較例4〜6)
表1に示すように、ポリエチレンのダイス幅を500mmとし、変性ポリエチレンのダイスのカット幅を様々に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン被覆鋼管を得た。これらのポリエチレン被覆鋼管の評価結果を表2に示す。
【0044】
表1及び表2から明らかなように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅WCがWP×SP≦WC≦{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}の関係を満たしている実施例6〜8はいずれも樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0045】
これに対して、カット幅WCがWP×SPより小さい比較例4及び5は、樹脂被覆層のひけ性及び耐光性に劣っていた。また、カット幅WCが{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}より大きい比較例6は厚み斑性に劣っていた。
【0046】
(実施例9〜14、比較例7〜10)
表1に示すように、220℃での溶融粘度が異なる変性ポリエチレン樹脂を用い、変性ポリエチレンのダイスのカット幅を様々に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン被覆鋼管を得た。これらのポリエチレン被覆鋼管の評価結果を表2に示す。
【0047】
表1及び表2から明らかなように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅WCがWP×SP≦WC≦{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}の関係を満たしている実施例9〜14はいずれも樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0048】
これに対して、カット幅WCがWP×SPより小さい比較例7及び9は、樹脂被覆層のひけ性及び耐光性に劣っていた。また、カット幅WCが{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}より大きい比較例8及び10は厚み斑性に劣っていた。
【0049】
(実施例15〜20、比較例11〜14)
樹脂層ねらい膜厚みをそれぞれ2mm(実施例15〜17、比較例11、12)及び6mm(実施例18〜20、比較例13、14)とし、表1に示すように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅を様々に変更した以外は実施例1と同様にしてポリエチレン被覆鋼管を得た。これらのポリエチレン被覆鋼管の評価結果を表2に示す。
【0050】
表1及び表2から明らかなように、変性ポリエチレンのダイスのカット幅WCがWP×SP≦WC≦{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}の関係を満たしている実施例15〜20はいずれも樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0051】
これに対して、カット幅WCがWP×SPより小さい比較例11及び13は、樹脂被覆層のひけ性及び耐光性に劣っていた。また、カット幅WCが{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}より大きい比較例12及び14は厚み斑性に劣っていた。
【0052】
(実施例21、23、比較例15、16)
表1に示すように、樹脂種をポリプロピレン(PP)及び無水マレイン酸変性ポリプロピレン(MPP)に変更し(溶融粘度は240℃での値)、変性ポリプロピレンのダイスのカット幅を様々に変更し、二層Tダイより240℃で押出した以外は実施例1と同様にしてポリプロピレン被覆鋼管を得た。これらのポリプロピレン被覆鋼管の評価結果を表2に示す。
【0053】
表1及び表2から明らかなように、変性ポリプロピレンのダイスのカット幅WCがWP×SP≦WC≦{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}の関係を満たしている実施例21及び23はいずれも樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性において優れていた。
【0054】
これに対して、カット幅WCがWP×SPより小さい比較例15は、樹脂被覆層のひけ性及び耐光性に劣っていた。また、カット幅WCが{(WP/2)−T×(ηP/ηMP)}より大きい比較例16は厚み斑性に劣っていた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリオレフィン被覆鋼管は従来のポリオレフィン被覆鋼管に比べ樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性に優れている。また、本発明のポリオレフィン被覆鋼管は、天然ガス、原油、重質油を輸送するパイプライン用や建材用にも問題なく用いることができる高耐食性を有する。このように本発明の方法を用いれば、煩雑な工程を経ることなく、樹脂被覆層のひけ性、耐光性、厚み斑性に優れたポリオレフィン被覆鋼管を製造できるので、その経済的価値は極めて高い。
Claims (1)
- 鋼管の表面に、押出機のダイスより変性ポリオレフィンとポリオレフィンとからなる二層の溶融樹脂シートを押し出し、鋼管側を変性ポリオレフィンとして二層を重ねてスパイラル状に被覆することによりポリオレフィン被覆鋼管を製造するにあたり、
変性ポリオレフィンのダイス幅をWMP (mm)、ポリオレフィンのダイス幅をWP (mm)、ポリオレフィンの収縮率をSP、変性ポリオレフィンの溶融粘度をηMP (poise)、ポリオレフィンの溶融粘度をηP (poise)、樹脂層のねらい膜厚みをT(mm)としたとき、前記変性ポリオレフィンのダイス幅WMP (mm)を前記ポリオレフィンのダイス幅WP (mm)よりもカット幅WC (mm)だけ短くし、前記カット幅を下記(1)式
WP×SP≦WC≦(WP/2)−T×(ηP/ηMP) …(1)
で表される範囲に設定したことを特徴とするポリオレフィン被覆鋼管の製造方法。
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