JPH09234822A - 外面ポリエチレン被覆鋼管 - Google Patents
外面ポリエチレン被覆鋼管Info
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- JPH09234822A JPH09234822A JP4525196A JP4525196A JPH09234822A JP H09234822 A JPH09234822 A JP H09234822A JP 4525196 A JP4525196 A JP 4525196A JP 4525196 A JP4525196 A JP 4525196A JP H09234822 A JPH09234822 A JP H09234822A
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Abstract
機械的特性と耐食性を有し、耐冷熱サイクル性が良好
で、特に−60℃でタガネ打込みによる厳しい衝撃にも耐
え、溶融押出量が大きく、効率よく製造できるポリエチ
レン被覆鋼管。 【解決手段】 鋼管外面に、下から順にクロメート層、
エポキシ系プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂接着
層、およびポリエチレン系樹脂被覆層を有する外面ポリ
エチレン被覆鋼管において、接着層を 0.1〜1.0 mm、接
着層と被覆層の合計膜厚を2〜6mmとし、かつ被覆層を
重量平均分子量 120,000〜200,000 の高圧法低密度ポリ
エチレンを90重量%以上含有するポリエチレン樹脂単
独、またはこのポリエチレン樹脂100 重量部とエチレン
−酢酸ビニル共重合体7重量部以下との混合物から形成
する。
Description
よく製造でき、−60℃から60℃までの広い温度範囲で使
用可能な外面ポリエチレン被覆鋼管 (以下、単にポリエ
チレン被覆鋼管という) に関するものである。
リエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂
を厚膜被覆した外面ポリオレフィン被覆鋼管 (以下、単
にポリオレフィン被覆鋼管という) は、防食性能に優れ
ているため、原油や天然ガス輸送用のラインパイプとし
て使用されている。
地、砂漠などの過酷な環境下での油田開発が増えるにつ
れて、ラインパイプの使用環境も過酷化の一途を辿って
いる。特に、シベリヤなどの極寒地でのラインパイプの
使用保証温度は、従来は−45℃までであったが、最近は
−60℃までに及ぶ極低温環境でのラインパイプの需要が
増えている。
+60℃の高温に及ぶ広い温度範囲で使用できるポリオレ
フィン被覆鋼管に対する需要が高まっているが、従来の
ポリオレフィン被覆鋼管では、低温または高温のいずれ
かでの機械的特性と耐食性が十分でなく、このような需
要に対応することができなかった。特に−45〜−60℃の
極低温については、以前は需要があまりなかったため、
どのような材料が適しているのか全く解明されていない
のが現状である。
料であるため、化学的安定性や機械的特性は優れている
が、鋼管のような極性を有する表面との密着性に乏しい
という難点がある。鋼管へのポリオレフィン被覆の密着
性が欠如すると、ポリオレフィン被覆鋼管の耐食性と機
械的特性が低下する。このため、ポリオレフィン被覆と
鋼管との間に、接着層として、オレフィンを少量の不飽
和カルボン酸 (例、マレイン酸) もしくはその無水物と
共重合させて得られる変性ポリオレフィン樹脂を介在さ
せ、この接着層の上にポリオレフィン樹脂を被覆するこ
とが従来より行われている。
在させることにより、鋼管表面へのポリオレフィン樹脂
層の初期密着性は著しく改善されるが、高温、湿潤環境
下に長時間曝されたり、夏冬または昼夜などの寒暖の差
による長期の冷熱サイクルを受けると、密着性の低下が
起こる。この対策として、鋼管表面にまず、リン酸塩系
またはクロム酸系の化成処理層、またはエポキシ系プラ
イマー層、またはその両者を設けてから、上記の接着層
と被覆層を形成することが行われている。
レフィン被覆鋼管は、鋼管の外面に、下から順に下地化
成処理層とエポキシ系プライマー層の一方または両方、
変性ポリオレフィン樹脂の接着層、ならびにポリオレフ
ィン樹脂の被覆層を有している。
して、特開昭57−113881号公報には、鋼管の外面に、ク
ロム酸系またはリン酸塩系の下地化成処理層、エポキシ
樹脂もしくは変性エポキシ樹脂からなる熱硬化性プライ
マー層、変性ポリオレフィン系接着層、ならびにポリエ
チレン樹脂被覆層を有するポリエチレン被覆鋼管が開示
されている。プライマー層は、例えばビスフェノールA
型エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との混合物を塗布し、
加熱して塗膜を硬化させることにより形成される。この
ポリエチレン被覆鋼管は、常温および高温での耐食性
(耐陰極電解剥離性により評価)には優れているもの
の、常温での接着強度が低く、また−45℃を下回る極低
温域での耐衝撃性に劣る。
に、クロム酸系化成処理層および/またはエポキシ系プ
ライマー層を形成し、その上に変性ポリエチレン樹脂の
接着層を介して架橋ポリエチレン樹脂層を積層したポリ
エチレン被覆鋼管が開示されている。しかし、このポリ
エチレン被覆鋼管は、高温での耐久性には優れるもの
の、−60℃という極低温下では、架橋ポリエチレン樹脂
の被覆層が脆化し、ASTM法による落重衝撃試験に供した
場合に被覆層に割れが発生する。
としてガラス転移(Tg)が80℃以上の高Tg型エポキシ樹脂
を、接着層として低温脆化温度が−20℃以下の無水マレ
イン酸変性ポリプロピレン樹脂を、被覆層として結晶性
エチレン−プロピレンブロックコポリマーを主成分とす
る低温脆化温度が0℃以下の樹脂をそれぞれ使用した、
ポリプロピレン被覆鋼管が記載されている。この被覆鋼
管も高温での機械的特性と耐食性には優れているが、−
30℃以下の低温域では、被覆層の低温脆化を生じ、その
使用が不可能となる。
性に優れ、−60℃から60℃に及ぶ広い温度範囲での使用
が可能なポリオレフィン被覆鋼管を提供することであ
る。具体的には、効率よく溶融押出被覆することができ
るように溶融押出量が比較的大きいポリオレフィン樹脂
を被覆層に用い、上記温度範囲の全域で被覆層が優れた
密着性および耐食性を示し、長期の冷熱サイクル後も被
覆層が剥離せず、かつ−60℃の極低温でも被覆層が脆化
せず、タガネ打込みといった厳しい衝撃試験に耐える、
ポリオレフィン被覆鋼管を提供することである。
60℃の広い温度範囲で使用可能なポリオレフィン被覆鋼
管の開発を目指して研究を続けてきた。その結果、ビス
フェノール型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテ
ル、アミン系硬化剤および反応促進剤を含み、さらにノ
ボラック型エポキシ樹脂を含んでいてもよいエポキシ系
組成物から形成されたTgが60〜80℃のプライマー層の上
に、低温脆化温度−50℃、変性率0.2 %以上の変性ポリ
オレフィン樹脂を接着層として形成したポリオレフィン
被覆鋼管が、上記温度範囲で使用可能であることを見出
した。このポリオレフィン被覆鋼管は、−60℃の極低温
でASTM法に準拠した落重衝撃試験で30Jに及ぶ衝撃に耐
える。しかし、寒冷地でのラインパイプのハンドリング
や運搬作業を想定すると、さらに厳しい衝撃試験 (例、
タガネ打込み) に耐えることが望ましい。
リエチレン100 重量部と、高圧法低密度ポリエチレン10
〜50重量部と、場合によりエチレン−酢酸ビニル共重合
体7重量部以下とからなるポリエチレン系樹脂組成物か
ら構成すると、−60℃でのタガネ打込みにも耐える優れ
た低温耐衝撃性を持ったポリエチレン被覆鋼管が得られ
ることを見出した。しかし、このポリエチレン系樹脂組
成物は、溶融粘度が高く、単位時間当たりの溶融押出量
が低いため、これを用いて溶融押出被覆法によりポリエ
チレン被覆鋼管を製造する場合の生産性が低いという問
題がある。
結果、ポリエチレンとして高圧法低密度ポリエチレンを
使用した場合には、平均分子量によって低温衝撃性が大
きく変化することを見出した。即ち、高圧法低密度ポリ
エチレンでは、平均分子量が非常に大きくなると、極低
温での低温衝撃性が著しく改善され、しかも高分子量で
も被覆時の溶融押出性は直鎖低密度ポリエチレンより優
れていることが判明した。従って、このような高分子量
の高圧法低密度ポリエチレンから被覆層を構成すると、
上記温度範囲で使用可能で、−60℃での厳しい衝撃試験
に耐え、かつ高い生産性で製造できるポリエチレン被覆
鋼管が得られる。本発明はこの知見に基づいて完成した
ものである。
下から順に下地化成処理層、エポキシ系プライマー層、
変性ポリオレフィン樹脂からなる接着層、及びポリエチ
レン系樹脂からなる被覆層を有する外面ポリエチレン被
覆鋼管において、接着層の厚みが 0.1〜1.0 mm、接着層
と被覆層の合計厚みが2〜6mmであり、かつ被覆層が重
量平均分子量 120,000〜200,000 の高圧法低密度ポリエ
チレンを90重量%以上含有するポリエチレン樹脂からな
るか、またはこのポリエチレン樹脂100 重量部とエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体7重量部以下との混合物からな
る、ことを特徴とする、外面ポリエチレン被覆鋼管であ
る。
は、鋼管の外面上に、下から順に下地の化成処理層、エ
ポキシ系プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂からな
る接着層、およびポリエチレン樹脂からなる被覆層とい
う4層の被覆を有している。
ない。鋼管は、ステンレス鋼等の合金鋼製のものでもよ
いが、原油や天然ガス輸送用のラインパイプには通常は
炭素鋼鋼管が用いられる。また、メッキ鋼管も使用でき
る。上記の被覆を施す前に、アルカリ脱脂、グリッドも
しくはショットによるブラスト処理といった慣用手段に
より、鋼管外面からミルスケールを除去し、表面を清浄
化しておくことが好ましい。
(クロメート処理液) またはリン酸塩系処理液を用いて
常法により形成することができる。クロメート処理液
は、防食性と生産性の観点から、シリカ微粉末と6価お
よび3価のクロムイオンを含有する塗布型部分還元クロ
メート処理液が好ましいが、反応型または電解型クロメ
ート処理液も使用できる。塗布型クロメート処理液は、
リン酸などの添加成分をさらに含有しうる。クロメート
処理 (リン酸等を添加した場合も含む) の付着量は、全
Cr付着量として50〜1000 mg/m2、特に50〜500 mg/m2 の
範囲内が好ましい。リン酸塩化成処理は、リン酸亜鉛ま
たはリン酸鉄を含有する反応型リン酸塩処理液を用いて
実施することが好ましいが、電解型リン酸塩処理でもよ
い。
層を形成する。エポキシ系プライマー層は、エポキシ樹
脂と硬化剤および必要に応じて反応促進剤 (触媒) とを
含有するプライマー組成物を、スプレー塗り、ローラ塗
り、刷毛塗り、しごき塗り、流れ塗りなどの公知方法に
より塗布し、次いで高周波誘導加熱、遠赤外線加熱、ガ
ス加熱などの手段で加熱し、塗膜を硬化させることによ
って形成することができる。エポキシ系プライマー層の
膜厚は、5〜100 μm、特に10〜50μmの範囲が好まし
い。
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変
性エポキシ樹脂、その他の各種のグリシジルエーテル型
もしくはグリシジルエステル型エポキシ樹脂から選んだ
1種もしくは2種以上が使用できるが、好ましいエポキ
シ樹脂はビスフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とす
るものである。硬化剤としてはアミン系硬化剤が好まし
い。
スフェノールA型エポキシ樹脂を主成分とするビスフェ
ノール型エポキシ樹脂、フェニルグリシジルエーテル、
アミン系硬化剤および反応促進剤を含み、さらにノボラ
ック型エポキシ樹脂を含んでいてもよいエポキシ系プラ
イマー組成物から形成され、プライマー層のガラス移転
温度(Tg)は60〜80℃である。このプライマー組成物から
プライマー層を形成することにより、ポリエチレン被覆
鋼管の耐食性と低温耐衝撃性が改善される。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、エポキシ当量が 1
70〜3000程度のものが好ましい。ビスフェノール型エポ
キシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のみから
なることが好ましいが、他のビスフェノール型エポキシ
樹脂(例、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ビスフェノールF型エポキシ樹脂など)も、少量 (即
ち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の30重量%以下)
であれば併用できる。
系とフェノールノボラック系のいずれでもよい。エポキ
シ樹脂として、2官能性のビスフェノール型エポキシ樹
脂に多官能性のノボラック型エポキシ樹脂を併用するこ
とで、比較的低温でプライマーを迅速に硬化させること
が可能となる。従って、プライマーを比較的低温で熱硬
化させる場合には、ノボラック型エポキシ樹脂を添加す
ることが好ましい。
ー組成物の粘度調整のため添加される。アミン系硬化剤
としては、変性複素環式ジアミン、変性脂肪族ポリアミ
ン、変性芳香族ポリアミン、変性ポリアミドアミンなど
が例示されるが、低温耐衝撃性と耐食性の観点からは、
変性複素環式ジアミンが好ましい。
ル系反応促進剤を使用することができる。上記エポキシ
系プライマー組成物の各成分の配合割合は、ビスフェノ
ール型エポキシ樹脂40〜80重量部、ノボラック型エポキ
シ樹脂0〜30重量部、フェニルグリシジルエーテル15〜
35重量部、アミン系硬化剤10〜45重量部、反応促進剤
1.5〜4.5 重量部である。このエポキシ系プライマー組
成物は、従来品と同様に、硬化剤および反応促進剤と他
の成分とを分離した2液型組成物として調製することが
簡便であるが、マイクロカプセル化技術を利用して1液
型組成物とすることもできる。
オレフィン樹脂からなる接着層を介してポリエチレン系
樹脂からなる被覆層を形成する。この両層は、予熱した
鋼管に樹脂を溶融押出被覆することにより形成できる。
鋼管の溶融押出被覆は、一般に丸ダイ法 (丸ダイから押
出されたチューブ状の溶融樹脂フィルムを鋼管に被覆す
る) 、またはTダイ法 (Tダイから押出された溶融樹脂
フィルムを鋼管にラセン状に巻きつけていく) により行
われる。被覆の順序としては、接着層の樹脂と被覆層の
樹脂を順に溶融押出被覆する積層法と、接着層の樹脂と
被覆層の樹脂を同時に溶融押出被覆する共押出法が可能
である。積層法の場合、接着層の被覆は粉末樹脂を静電
塗装する粉末塗装法によって行うこともできる。
ン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル
酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸またはその無
水物との共重合により変性した変性ポリオレフィン樹脂
から形成する。被覆層がポリエチレン系樹脂であること
から、接着層のポリオレフィンもポリエチレンであるこ
とが好ましい。接着層の厚みは 0.1〜1.0 mmとする。接
着層が0.1 mmより薄いと、被覆層の鋼管への密着性が低
下する。接着層に用いる変性ポリオレフィン樹脂は高価
であるため、接着層を1.0 mmより厚くすると、製造コス
トが著しく高くなる。好ましい接着層の厚みは 0.2〜0.
7 mmである。
して好ましいのは、低温脆化温度が−50℃以下、変性率
が0.2 %以上の、無水マレイン酸で変性されたポリエチ
レンであり、より好ましくは低温脆化温度が−60℃以
下、変性率が0.25%以上の、無水マレイン酸で変性され
た直鎖低密度ポリエチレンである。ここで、変性率と
は、樹脂中の変性材料 (例、無水マレイン酸) の含有率
(共重合率、重量%) である。
−オレフィンを共重合させて中・低圧法により製造され
る低密度のポリエチレン樹脂であって、高圧法低密度ポ
リエチレンが分子中に多くの短鎖、長鎖の分岐鎖を有す
るのとは異なり、共重合させたα−オレフィンにより長
さと数を制御された少量の短い分岐鎖がポリエチレン直
鎖に結合してなる、高密度ポリエチレンに近い分子構造
を有する。
構成するポリエチレン樹脂は、重量平均分子量(Mw)が 1
20,000〜200,000 、好ましくは 125,000〜180,000 の高
圧法低密度ポリエチレンを少なくとも90重量% (好まし
くは95重量%以上、より好ましくは100 重量%) 含有す
る。高圧法低密度ポリエチレンは、エチレンを 200〜28
0 ℃、 100〜300 MPa といった高温・高圧下で重合させ
て得られるポリエチレンであり、前述したように、分子
中の多くの長鎖、短鎖の分岐鎖を有し、密度が0.910〜
0.929 と低いため、高圧法低密度ポリエチレンと呼ばれ
る。
は45,000〜120,000 程度であるから、本発明で用いるの
は、高圧法低密度ポリエチレンとしては非常に高分子量
のものである。低密度ポリエチレンを被覆層に用いるこ
とは従来より知られているが、これまで分子量は特に考
慮されていなかった。本発明では、高圧法低密度ポリエ
チレンの平均分子量が低温衝撃性に大きく影響し、従来
の一般品より高分子量であるMwが120,000 以上のものを
使用すると、−60℃の極低温で高い耐衝撃性を示すとい
う、これまで知られていなかった新規な知見を見出した
ため、このような高分子量の高圧法低密度ポリエチレン
を使用する。
ンの重量平均分子量が120,000 を下回ると、ポリエチレ
ン被覆鋼管の低温耐衝撃性が低下し、−60℃でのタガネ
打込みといった厳しい衝撃試験に耐えることができなく
なる。一方、このポリエチレンの重量平均分子量が200,
000 を超えると、樹脂の溶融粘度が高くなりすぎ、溶融
押出量が少なくなって、溶融押出被覆によるポリエチレ
ン被覆鋼管の生産性が悪化する。
ンは、少量 (10重量%以下、好ましくは5重量%以下)
であれば、他のポリエチレン (例、中・低圧法により製
造される高密度もしくは直鎖低密度ポリエチレン、分子
量が上記範囲外の高圧法低密度ポリエチレン、架橋ポリ
エチレン、各種の共重合ポリエチレンなど) を含有して
いてもよい。しかし、このような他のポリエチレンの含
有量がポリエチレン全体の10重量%を超えると、極低温
で耐衝撃性が低下する。
ンを主とする場合には、低温靱性が低いため低温耐衝撃
性に劣る。また、被覆層のポリエチレンが直鎖低密度ポ
リエチレンを主とする場合には、低温耐衝撃性は高い
が、前述したように溶融押出被覆時の押出量が小さく、
ポリエチレン被覆鋼管の生産性が低下する。
子量を有する高圧法低密度ポリエチレンを90重量%以上
含有するポリエチレン樹脂100 重量部とエチレン−酢酸
ビニル共重合体7重量部以下 (好ましくは5重量部以
下) との混合物から構成することもできる。少量のエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を配合することにより、被覆
層の−60℃での耐衝撃性をさらに向上させることができ
る。しかし、その配合量が7重量部を上回ると、ポリエ
チレン系樹脂のビカット軟化点が低くなりすぎ、ポリエ
チレン被覆鋼管の高温耐衝撃性が低下する。
の接着層とポリエチレン系樹脂の被覆層の合計厚みを2
〜6mmの範囲内とする。接着層と樹脂層の合計厚みが2
mmを下回ると、60℃での高温耐衝撃性が低下する。一
方、この合計厚みが6mmを上回ると、残留応力の増加に
より−60℃での低温耐衝撃性および耐冷熱サイクル性が
低下し、コスト的にも不利である。上記2層の好ましい
合計厚みは 2.5〜5mmである。
0 mmであるから、合計厚みを2〜6mmとするには、被覆
層の厚みが 1.0〜5.9 mmであればよい。しかし、十分な
耐食性を確保するには、被覆層の厚みは1.5 mm以上とす
ることが好ましく、より好ましくは2〜4mmの範囲であ
る。
として、低温靱性に優れた高分子量の高圧法低密度ポリ
エチレンを使用し、下地に化成処理とエポキシ系プライ
マー塗布とを併用することで、低温耐衝撃性が著しく向
上し、−60℃での厳しい衝撃試験に耐える。しかも、耐
冷熱サイクル性、高温耐衝撃性および高温耐食性も良好
である。さらに、上記の高圧法低密度ポリエチレンは、
直鎖低密度ポリエチレンとは異なり、溶融押出量が大き
いので、ポリエチレン被覆鋼管の生産性が阻害されな
い。その結果、本発明のポリエチレン被覆鋼管は、−60
℃から60℃の広い温度範囲で使用可能であり、かつ高い
生産性で製造することができる。
さ10 m) の外面をショットブラスト処理した後、シリカ
含有塗布型部分還元クロメート処理液 (Cr6+/全Cr比=
0.59〜0.65、リン酸を含有) をシゴキ塗りし、80℃に3
分間加熱して焼付け、全Cr付着量が250 mg/m2 のクロメ
ート層を形成した。
イマー組成物を乾燥膜厚が20μmとなるようにエアスプ
レーで塗布し、130 ℃に1分間加熱して塗膜を硬化さ
せ、Tgが74℃のエポキシ系プライマー層を形成した。使
用したエポキシ系プライマー組成物は、ビスフェノール
Aジグリシジルエーテル60重量部、フェニルグリシジル
エーテル20重量部、変性複素環式ジアミン硬化剤35重量
部、およびイミダゾール系反応促進剤3重量部からなる
ものであった。
ちに接着層を構成する変性ポリエチレン樹脂と、被覆層
を構成する表1に示すポリエチレン系樹脂を、それぞれ
Tダイ法にて順に押出被覆し、水冷して、ポリエチレン
被覆鋼管を得た。使用した変性ポリエチレン樹脂は、無
水マレイン酸により変性された直鎖低密度ポリエチレン
であり、低温脆化温度が−60℃、変性率が0.22%であっ
た。
ニル共重合体 (EVA)は酢酸ビニル含有率が3重量%
のものであった。接着層の厚み、接着層と被覆層の合計
厚み、被覆層の樹脂組成、および被覆層に用いたポリエ
チレン樹脂またはその組成物のTダイ押出量 (135 ℃で
測定) を表1に示す。
撃性、高温耐衝撃性、高温耐食性、冷熱サイクル性を下
記の方法により試験した。試験結果を表1に併せて示
す。
切り出した 300×300 mmの試験片を、低温恒温恒湿槽中
で冷却し、−60℃に30分間保持した。冷却後の試験片の
被覆面に人力にてタガネ (市販品、刃渡り22mm) を打ち
込み、目視により試験片の被覆の割れ発生の有無を判定
した。
切り出した 300×300 mmの試験片の被覆面を、60℃の恒
温室内でASTM G-14 法に準拠した落重衝撃試験に供し、
ピンホールテスターにより電圧10 kV で試験片のピンホ
ール発生の有無を判定した。結果は、ピンホール発生が
認められない最大衝撃値により示した。
剥離性により評価した。ポリエチレン被覆鋼管から切り
出した 200×200 mmの試験片の被覆面に、鋼面素地が露
出するまで直径9mmのドリルホールを開け、これを60℃
恒温下で3%食塩水に浸漬し、SCE 標準電極に対して−
1.5 Vの電圧を試験片に印加した。この条件下で30日間
放置した後、ドリルホール部分のポリエチレン層を切除
し、その周囲の被覆剥離径を測定した。
から切り出した 150×70 mm の試験片を、−60℃×1時
間→昇温3時間→70℃×1時間→降温7時間からなる一
連の熱サイクルに20回曝した。その後、試験片の端面に
おけるポリエチレン皮膜の剥離の有無を目視により観察
した。
のポリエチレン被覆鋼管は、−60℃から60℃までの広範
囲の温度域において、優れた機械的特性、耐食性を有
し、耐冷熱サイクル性も良好である。特に、−60℃でタ
ガネ打込みという厳しい衝撃に耐え、低温耐衝撃性が著
しく向上している。また、Tダイによる溶融押出量が大
きく、ポリエチレン被覆鋼管の生産性も良好である。従
って、本発明のポリエチレン被覆鋼管は、−60℃から60
℃の広い温度範囲で使用可能であり、かつ効率よく生産
できる。
チレンの重量平均分子量が120,000を下回ると−60℃で
の低温耐衝撃性が低下し、200,000 を上回ると溶融押出
量が小さくなって、生産性が低下する。また、樹脂層の
合計厚みが6mmを超えると、−60℃での低温耐衝撃性と
耐冷熱サイクル性が低下し、2mmより薄いと高温耐衝撃
性が低下する。さらに、被覆層が直鎖低密度ポリエチレ
ンを主成分とする場合には被覆層の押出量低下が顕著で
あり、高密度ポリエチレンを主成分とする場合には−60
℃での低温耐衝撃性の低下が顕著である。
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼管の外面に、下から順に下地化成処理
層、エポキシ系プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂
からなる接着層、及びポリエチレン系樹脂からなる被覆
層を有する外面ポリエチレン被覆鋼管において、接着層
の厚みが 0.1〜1.0 mm、接着層と被覆層の合計厚みが2
〜6mmであり、かつ被覆層が重量平均分子量 120,000〜
200,000 の高圧法低密度ポリエチレンを90重量%以上含
有するポリエチレン樹脂からなることを特徴とする、外
面ポリエチレン被覆鋼管。 - 【請求項2】 鋼管の外面に、下から順に下地化成処理
層、エポキシ系プライマー層、変性ポリオレフィン樹脂
からなる接着層、及びポリエチレン系樹脂からなる被覆
層を有する外面ポリエチレン被覆鋼管において、接着層
の厚みが 0.1〜1.0 mm、接着層と被覆層の合計厚みが2
〜6mmであり、かつ被覆層が重量平均分子量 120,000〜
200,000 の高圧法低密度ポリエチレンを90重量%以上含
有するポリエチレン樹脂100 重量部とエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体7重量部以下との混合物からなることを特
徴とする、外面ポリエチレン被覆鋼管。
Priority Applications (1)
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