JP3322010B2 - 樹脂被覆用クロメート処理剤およびそれを用いたポリオレフィン樹脂被覆鋼材の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆用クロメート処理剤およびそれを用いたポリオレフィン樹脂被覆鋼材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来より高温での耐食
性や耐陰極剥離性に優れた、パイプライン、配管用鋼管
や鋼管杭、鋼矢板、鉄筋等に用いられるポリオレフィン
樹脂被覆の下地処理に用いられるクロメート処理剤およ
びそれを用いたポリオレフィン樹脂被覆鋼材の製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】パイプライン等に用いられるポリオレフ
ィン樹脂被覆鋼管を例にとって説明するが、高温で耐食
性が要求される厳しい環境に曝される鋼管は、一般に防
食層として高耐食性を有するポリオレフィン樹脂等の外
被で被覆されており、ポリオレフィン被覆鋼管の外被と
鋼管の間には密着性と機械特性を保つために変性ポリオ
レフィン系接着樹脂が接着層として使用されている。
【0003】しかし、この接着層と金属との接着性は、
一次接着力は高いものの腐食環境に曝されると接着力の
低下が生じ、ポリオレフィン樹脂が剥離してしまう。ま
た、パイプラインの場合は数十年以上使用されるため、
その防食対策としてポリオレフィン樹脂被覆と併用して
電気防食が施されるが、パイプライン施工時等に鋼面ま
で達する庇がポリオレフィン樹脂についた場合、この庇
部の鋼面が陰極となり、防食電流によりアルカリが生ず
る。そのため、防食電流により鋼管は防食されるが、反
面発生したアルカリによってポリオレフィン被覆防食層
が剥離するいわゆる陰極剥離が生じて大きな問題となる
ことがある。
【0004】その対策として、クロメート処理やエポキ
シ樹脂等のプライマーを接着下地処理として鋼管表面に
適用することが行われている。
【0005】しかしながら、近年パイプライン内の流送
物の高温化に伴い、従来以上の高温における耐水性およ
び耐陰極剥離性が重要な課題となってきている。
【0006】さらに、特開昭60−23039号公報に
は、クロム酸系化成前処理後にアミノ系シランカップリ
ング剤を塗布した積層体の製造方法が提案されており、
特開昭63−243279号公報には、クロメート処理
中のCr3+/Cr6+を1以下としたクロム酸に、原子比
でSi/Crが0.4〜0.8(重量比で0.22〜
0.43)のコロイド状シリカと水溶性有機物を添加し
た下地処理方法及び下地処理液が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
60−23039号公報や特開昭63−243279号
公報で開示された下地処理は常温近傍での耐水性や耐陰
極剥離性には効果が大きいが、80℃またはそれ以上の
高温環境下では長期にわたり樹脂被覆鋼材の接着性能を
維持することが難しく、高温耐水性や高温耐陰極剥離性
については未だ十分な性能を得るには至っていない。
【0008】さらに、ポリオレフィン樹脂被覆鋼材の接
着下地処理に用いるクロメート処理剤は循環使用される
ため少なくとも1カ月以上の貯蔵が必要となる場合が多
いが、クロメート処理剤を作製した後1カ月経過して使
用した場合、その高温耐水性、高温耐陰極剥離性を維持
するのは難しく、クロメート処理剤の貯蔵安定性にも優
れたポリオレフィン樹脂被覆鋼材の製造方法の確立が要
望されていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の問
題点を解決すべく検討を重ねた結果、下記の知見を得、
本発明を完成するに至った。
【0010】高温における耐陰極剥離性は、クロメー
ト処理剤に含まれるCr3+とCr6+の比であるCr3+
Cr6+と高い相関があり、有機系還元剤を添加してCr
6+をCr3+に還元してCr3+/Cr6+を1〜9とするこ
とにより、その処理剤を用いて製造した樹脂被覆鋼材の
高温における耐陰極剥離性が著しく向上すること。
【0011】クロメート処理剤中にシリカを全クロム
に対する重量比で0.5〜2.5含有させることで一次
密着力が高まり、被覆層に庇があった場合に陰極防食時
にアルカリが発生しても、クロメート処理皮膜の安定性
を保つことができること。
【0012】さらに、有機還元剤によりCr3+/Cr
6+が1以上とした溶液は、1カ月後にはシリカを伴った
沈澱を生じ、貯蔵安定性が低下すること。
【0013】しかし、クロメート処理剤のpHを3以
下とすることによりクロメート処理層中のCr3+とCr
6+の比Cr3+/Cr6+が1以上の場合でもシリカの沈澱
を生じることなく貯蔵安定性に優れたクロメート処理剤
が得られ、事前にクロメート処理剤を作製しておくこと
が可能となり、その処理剤を継続的に使用して製造した
ポリオレフィン樹脂被覆鋼材であっても高温における耐
陰極剥離性も向上すること。
【0014】ここに本発明は、Cr3+とCr6+の比
がCr3+/Cr6+で1〜9であり、シリカを全クロ
ムに対する重量比で0.5〜2.5含有し、さらにpH
が、1〜3である樹脂被覆用クロメート処理剤である。
【0015】
【0016】別の態様としては、鋼材表面に、クロメー
ト処理層、プライマー層、変性ポリオレフィン接着樹脂
層、ポリオレフィン樹脂被覆層を順次積層させた樹脂被
覆鋼材の製造方法に関し、前記クロメート処理層を、有
機系還元剤を添加してCr3+とCr6+の比をCr
3+/Cr6+を1〜9とし、シリカを全クロムに対す
る重量比0.5〜2.5添加し、さらにpHを1〜3
としたクロメート処理剤で形成するポリオレフィン樹脂
被覆鋼材の製造方法である。
【0017】
【作用】次に本発明を詳細に説明する。
【0018】まず、本発明の樹脂被覆用クロメート処理
剤について説明する。
【0019】クロメート処理剤中のクロムは、Cr3+
Cr6+の比Cr3+/Cr6+を1〜9とすることが必要で
ある。なお、ここでCr3+、Cr6+の比Cr3+/Cr6+
は、Cr3+とCr6+をそれぞれCr2 3 とCrO3
換算した重量で求めた比をいう。
【0020】Cr3+/Cr6+が1未満の場合にはクロメ
ート被膜中の可溶性Cr6+が増大し、高温での耐水性お
よび耐陰極剥離性が著しく低下する。またCr3+/Cr
6+が9を超える場合にはCr6+比が小さくなりすぎ、鋼
材(Fe)とCrとの酸化還元反応が十分進まないため
反応層が十分に形成されず、高温での耐水性および耐陰
極剥離性が著しく低下する。
【0021】一方、Cr3+/Cr6+が9を超えた場合、
処理液を1カ月貯蔵するとクロメート処理剤に添加した
シリカの沈澱が生じ、高温耐水性、高温耐陰極剥離性に
優れたポリオレフィン被覆鋼材を継続的に得ることがで
きない。
【0022】したがって、クロメート処理層中のクロム
は、Cr3+とCr6+の比Cr3+/Cr6+を1〜9とし
た。好ましくは1を超え5以下である。
【0023】上記のCr3+とCr6+の比Cr3+/Cr6+
を1〜9とするには、クロメート処理剤に有機系還元剤
を添加しCr6+をCr3+に還元させて調整する。その有
機系還元剤としては、メタノール、エタノール、グリセ
リン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタ
ンジオール、ヘキサンジオール、デンプンなどを用いれ
ばよい。
【0024】さらに、クロメート処理剤に、シリカを全
クロム量に対する重量比で0.5〜2.5含有させる。
シリカを含有させることにより一次密着力が高まるとと
もに、陰極防食により発生したアルカリ存在下でもクロ
メート被膜を安定化させることができる。なお、ここで
全クロムとは、Cr3+とCr6+をそれぞれCr2
CrOに換算した重量の和をいう。
【0025】微粒子シリカの含有量が全クロム量に対す
る重量比で0.5未満ではアルカリ中での安定性が低下
し、高温耐水性、高温耐陰極剥離性が低下する。一方、
含有量が全クロム量に対する重量比で2.5を超えると
クロメート被膜中のシリカの占める割合が多くなり過
ぎ、高温耐水性や高温耐陰極剥離性が低下する。さら
に、含有量が全クロム量に対する重量比で2.5を超え
ると、後述するようにクロメート処理剤の貯蔵安定性が
低下し、継続的にポリオレフィン樹脂被覆鋼材を製造す
る場合に、Cr3+/Cr6+が1以上のクロメート処理液
であっても作製後1カ月後にはシリカの沈澱を生じ、ク
ロメート処理剤の貯蔵安定性が低下する。その結果、継
続的に高温耐水性や高温耐陰極剥離性に優れたポリオレ
フィン被覆鋼材を得ることができなくなる。
【0026】したがって、シリカの含有量は全クロム量
に対する重量比で0.5〜2.5とした。好ましくは、
1.0〜2.0である。
【0027】なお、ここで用いるシリカは、たとえば日
本アエロジル社製のアエロジル200、アエロジル30
0、アエロジルOX050、アエロジル380や、日本
シリカ工業社製のニップシールE200、ニップシール
E200A、ニップシール300A、ニップシールL3
00などの微粒子シリカを用いると、水に分散した状態
でコロイド状となるため好適であり、これらの微粒子シ
リカを1種または2種以上用いることが望ましい。
【0028】上記のクロメート処理剤は、従来から用い
られているクロメート処理剤に有機系還元剤を添加して
Cr3+とCr6+の比をCr3+/Cr6+を1〜9に調整
し、さらに全クロムに対する重量比が0.5〜2.5の
シリカを添加することで得ることができる。
【0029】そのクロメート処理剤を用いてクロメート
処理層を形成することにより、従来より高温での耐水性
や耐陰極剥離性に優れたポリオレフィン樹脂被覆鋼材を
製造することができる。
【0030】つぎに、継続的に高温での耐水性および耐
陰極剥離性に優れたポリオレフィン被覆鋼材を得る場
合、クロメート処理剤のpHを1〜3とすることが好ま
しい。
【0031】pHが1未満の場合は、遊離アニオンがク
ロメート被膜とプライマー界面に濃化して高温耐水性や
高温耐陰極剥離性が低下する。一方、pHが3を超える
と、Cr3+/Cr6+が1以上の場合にクロメート処理剤
の作製1カ月後にクロメート溶液にシリカを伴った沈澱
が生じ、クロメート処理剤の貯蔵安定性が低下し、その
低下した処理剤を用いてポリオレフィン被覆鋼材を製造
した場合は、高温耐水性と高温耐陰極剥離性に優れたポ
リオレフィン被覆鋼材を得ることができない。
【0032】したがって、貯蔵安定性に優れたクロメー
ト処理剤を必要とする場合は、クロメート処理剤のpH
を1〜3とするのが好ましい。
【0033】添加する酸としては、公知の酸、例えば燐
酸、硝酸、硫酸、酢酸等を用いればよい。また、pHを
1〜3とするための酸の添加量としては、遊離アニオン
の影響からクロメート用液中の全クロム1に対して重量
比で2以下にするのが好ましい。
【0034】つぎに、本発明のポリオレフィン樹脂被覆
鋼材の製造方法について説明する。
【0035】まず、本発明に用いる鋼材の材質として
は、炭素鋼、低合金鋼やステンレス鋼等の合金鋼等でも
よい。また鋼材としては、ラインパイプや配管等で使用
する鋼管の他、鋼管杭、鋼矢板、鉄筋等の種々の形状の
鋼材に適用できる。
【0036】被覆される鋼材は、その外表面を予め公知
のショットブラスト、グリッドブラスト、サンドブラス
トなどの物理的手段や酸洗、アルカリ脱脂などの化学的
手段及びそれらを適切に組み合わせて、表面を洗浄化し
ておくことが好ましい。
【0037】クロメート処理層は上記の樹脂被覆用クロ
メート処理剤を用いて形成するが、そのクロム付着量
は、高温耐水性や高温耐陰極剥離性に対する効果、一次
密着力の低下防止の点から、全クロム量が25mg/m
2 〜1000mg/m2 とすることが好ましい。
【0038】プライマー層は、公知のエポキシ樹脂、硬
化剤を主成分とし、無機顔料を所望により添加したもの
で形成される。代表的なエポキシ樹脂としては、ビスフ
ェノールA、フェノールノボラックタイプ等が、硬化剤
としては、アミン系硬化剤、ジシミンジアミド系硬化剤
やイミダゾール系硬化剤等が挙げられ、ニ液硬化型プラ
イマーまたは硬化剤をマイクロカプセル化した潜在硬化
性一液型プライマーも使用できる。また不飽和エポキシ
エステルとアクリル酸エステルモノマー、重合反応開始
剤を混合した活性エネルギー硬化型プライマーも使用で
きる。
【0039】防食層となるポリオレフィン樹脂皮膜は接
着強度が比較的低いため、プライマーと樹脂層との界面
に接着剤層として変性ポリオレフィン接着樹脂層を介在
させる。接着樹脂層としては、無水マレイン酸変性ポリ
オレフィン樹脂が特に高い接着性を示すので好ましい
が、その他、エチレン共重合体(例,エチレン/酢酸ビ
ニル共重合体)系の樹脂や、アクリル酸あるいはカルボ
ン酸変性ポリオレフィン樹脂なども使用可能である。接
着樹脂層の厚みは特に限定されず、樹脂の種類によって
も異なるが、一般には0.1〜0.5mm程度である。
【0040】ポリオレフィン樹脂被覆層に用いる樹脂
は、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、ポリプロピ
レン等が用いられるが、また少量のプロピレン、酢酸ビ
ニル、アクリル酸、アクリル酸エステル等の他のオレフ
ィンまたはビニルモノマーが共重合されていてもよい。
特にポリプロピレン被覆の場合、ポリエチレン成分を1
0〜50%含有しているポリプロピレンが好ましく、特
にポリエチレン成分をブロック共重合させたものがさら
に好ましい。ポリプロピレンは、低温で脆化しやすく、
ポリエチレン部分の効果により低温脆化が著しく改善さ
れるためである。
【0041】なお、このポリオレフィン樹脂には慣用の
酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、充填剤等の添加剤を
含有させてもよい。特に、酸化防止剤の含有は好まし
い。
【0042】また、接着剤層を介したポリオレフィン樹
脂層の被覆方法は、溶融丸ダイ共押出被覆や溶融Tダイ
押出被覆等を使用した慣用の方法で行うことができる。
【0043】
【実施例】グリッドブラストにより外表面の除錆度をS
a3に調整した直径216mmの配管用炭素鋼鋼管(J
IS G 3452)を、管移動速度3m/minで搬
送ロール上を移動させながら誘導加熱器を用いて鋼管外
表面温度を60℃に加熱し、その鋼管外表面に、アエロ
ジル200(日本アエロジル社製)とグリセリンを用い
て、表1に示すように種々のCr3+/Cr6+比、シリカ
含有量及びpHに調製したクロメート処理剤を作成後、
直ちに全クロム付着量が250mg/m2 になるように
しごき塗りしクロメート処理層を形成した。次いで、熱
硬化プライマーとしてニ液型アミン硬化エポキシプライ
マー(イ)、またはマイクロカプセル化したイミダゾー
ル系硬化剤とジシアンジアミド硬化剤を含有する一液型
プライマー(ロ)を用いて膜厚20μmになるように塗
布し、誘導加熱器により加熱硬化させてプライマー層を
形成した。以上の下地処理を施した鋼管に、溶融丸ダイ
共押出装置により無水マレイン酸変性ポリプロピレン
(三菱油化( 株) 製、商品名モディックP−300)か
らなる接着層(0.3mm厚)を介してポリプロピレン
樹脂(三菱油化( 株) 製、BC−8D:プロピレン−エ
チレンブロック共重合体)外被(2.2mm厚)を被覆
し、外面ポリプロピレン被覆鋼管を得た。
【0044】また、グリッドブラストにより外表面を調
整した直径114mmの配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452)
を、管移動速度13m/minで搬送ロール上を移動さ
せながら誘導加熱器を用いて鋼管外表面温度を60℃に
加熱し、その鋼管外表面に表1に示すクロメート処理剤
を作製後、直ちに全クロム付着量が250mg/m
なるようにしごき塗りしクロメート処理層を形成した。
次いで、エポキシ系紫外線硬化プライマー(ハ)を20
μmの厚みにしごき塗布法により塗布し,続いて直ちに
それぞれ集光型2KW高圧水銀ランプを3灯づつ備え付
けた2基の照射装置(各基の長さ50cm)を通過さ
せ、2秒間の紫外線による管全周照射(管表面での照射
エネルギー:17000J/m2 )を行って、プライマ
ー層の硬化被膜を形成した。この硬化プライマー層の上
に、溶融丸ダイ共押装置により、無水マレイン酸変性ポ
リプロピレン(三菱油化( 株) 製、商品名モディックP
−300)からなる接着層(0.3mm厚)を介してポ
リプロピレン樹脂(三菱油化( 株) 製、BC−8D:プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体)外被(2.2m
m厚)を被覆した。
【0045】
【表1】
【0046】上記のプライマー(イ)〜(ハ)を用いた
樹脂被覆鋼管から150mm×70mmに切りだしたサ
ンプルを、熱塩水浸漬試験(浸漬温度90℃,3%Na
Cl,100日間)を行い、試験後サンプル端面からの
浸水幅を測定して二次密着力を評価した。また、試験片
の被覆層に鋼面に達する直径5mmの人工傷を設け、こ
れを80℃に保った3%NaCl食塩水に接液させて飽
和カロメル電極に対して−1.5Vの電位として15日
間保持し、15日後の人工傷からの剥離距離を測定して
陰極電解剥離性を評価した。その結果を表2〜表4に示
す。
【0047】さらに、表1に示すクロメート処理剤を作
成後1カ月放置し、沈澱の有無を観察すると共に、再度
上記と同様の方法でポリオレフィン樹脂被覆鋼管を製造
し、同条件での熱塩水浸漬試験および陰極剥離試験を行
い評価した。その結果を表2〜表4に合わせて示す.
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表1〜表4から、本発明例のクロメート処
理剤1〜32を作製後直ちに塗布して樹脂被覆を行った
サンプルは、3%NaCl中90℃の浸漬で100日後
の剥離は全く見られず、80℃で15日後の耐陰極剥離
性も非常に優れた性能を発揮することが分かる。但し、
33のように、クロメート処理剤のpHが1未満では、
遊離アニオンの影響により高温耐水性、高温耐陰極剥離
性が低下する。
【0052】また、作成後1カ月後のクロメート処理剤
を用いた試験結果においては、pHを1〜3の範囲のサ
ンプルは、クロメート処理液に沈澱はみられず、高温で
の耐水性、耐陰極剥離性を共に維持したポリオレフィン
樹脂被覆鋼管を得ることができる。
【0053】さらに、pHが3を超える24〜28では
1カ月後にはクロメート処理剤中に沈澱が生じ、そのク
ロメート処理剤を用いて作製したサンプルの高温耐水
性、高温耐陰極剥離性が低下している。
【0054】一方、全クロム量に対するシリカの含有量
が重量比で0.5未満や2.5超えた比較例のクロメー
ト処理剤34〜37は、処理剤作製直後の塗布および1
カ月後の塗布共に、塩水浸漬試験、陰極剥離試験共に性
能の低下がみられ、シリカの含有量が2.5超えでは1
カ月後にはクロメート処理剤中に沈澱が生じ、そのクロ
メート処理剤を用いて作製したサンプルの高温耐水性、
高温耐陰極剥離性が著しく低下していることが分かる。
【0055】さらに、Cr3+/Cr6+を有機還元剤で調
整して本発明範囲から外れた比較例の38〜42では、
Cr3+/Cr6+が1未満の場合はサンプルの高温耐陰極
剥離性が著しく低下し、Cr3+/Cr6+が9超えでは作
製直後から沈澱が生じ始め、サンプルの高温耐水性、高
温耐陰極剥離性が低下している。
【0056】また、作成後1カ月後にクロメート処理剤
を用いて製造したサンプルの試験結果においても、Cr
3+/Cr6+が9超えでクロメート処理剤中に沈澱が生じ
性能が著しく低下している。
【0057】
【発明の効果】本発明に係る樹脂被覆用クロメート処理
剤によれば、クロメート処理層中のCr3+/Cr6+を特
定範囲とし、クロメート処理剤に特定量のシリカを含有
させることにより従来にない優れた高温耐水性、高温耐
陰極剥離性を有するポリオレフィン樹脂被覆鋼材を得る
ことができる。さらに本発明のクロメート処理剤を特定
のpHにすることにより貯蔵安定性が優れ、その優れた
ポリオレフィン樹脂被覆鋼材を継続的に製造することが
できるため、その経済効果は著しいものがある。
【0058】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B05D 7/24 302 B05D 7/24 302G (56)参考文献 特開 平6−101061(JP,A) 特開 平5−214552(JP,A) 特開 平6−93463(JP,A) 特開 平6−41765(JP,A) 特開 平5−195243(JP,A) 特開 平4−377(JP,A) 特開 平3−234527(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 22/00 - 22/86 B05D 3/10 B05D 7/14 B05D 7/24 302

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr3+とCr6+の比がCr3+/Cr
    6+で1〜9であり、シリカを全クロムに対する重量比
    で0.5〜2.5含有し、さらにpHが、1〜3である
    ことを特徴とする樹脂被覆用クロメート処理剤。
  2. 【請求項2】鋼材表面に、クロメート処理層、プライマ
    ー層、変性ポリオレフィン接着樹脂層、ポリオレフィン
    樹脂被覆層を順次積層させる樹脂被覆鋼材の製造方法で
    あって、前記クロメート処理層を、有機系還元剤を添加
    してCr3+とCr6+の比をCr3+/Cr6+を1
    〜9とし、シリカを全クロムに対する重量比0.5〜
    2.5添加し、さらにpHを1〜3としたクロメート処
    理剤で形成することを特徴とするポリオレフィン樹脂被
    覆鋼材の製造方法。
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