JP3736020B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス,石油などを燃料とする各種燃焼機器の排気ガス中に含まれる可燃性ガス、特に一酸化炭素を検出するガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一酸化炭素は、無色,無味,無臭で、空気よりやや軽い気体であるが、毒性が強く、200PPM位の低濃度でも2〜3時間呼吸すると頭痛などが生じ、3000PPM以上の濃度になると10分位の呼吸で死亡し、6000PPM以上の濃度になると数分間の呼吸で死亡する。
【0003】
一般家庭でも、一酸化炭素は、瞬間湯沸かし器,風呂釜,石油暖房器具,ガス暖房器具,炭火などから発生するので、これらの機器に内蔵させて用いたり、または、室内に設置して用いたりすることができる安価,小型で信頼性の高いガスセンサ、特に一酸化炭素を検知するガスセンサが強く要望されている。
【0004】
従来におけるガスセンサ、特に一酸化炭素を検知する化学センサとしては、以下に説明するような方式のものが提案されている。
【0005】
すなわち、一酸化炭素を吸収して酸化する電極を電解液に設け、一酸化炭素濃度に比例する電流地から一酸化炭素濃度を検知する方式の定電位電解式ガスセンサ、貴金属などの微量の金属元素を添加して増感したN型半導体酸化物、例えば酸化スズなどの焼結体タイプを用い、これらの半導体が可燃性ガスと接触すると、その電気電導度が変化する特性を利用してガスを検知する方式の半導体式ガスセンサ、20μm程度の白金の細線にアルミナを添着し、貴金属を担持したものと担持しないものとの一対の比較素子を用いて一定温度に加熱し、可燃性ガスがこの素子に接触して触媒酸化反応を行った際の発熱差を検出する方式の接触燃焼式ガスセンサなどが知られている(例えば、大森豊明監修:「センサ実用事典」:フジ・テクノシステム〔第14章 ガスセンサの基礎(春田正毅担当)、P112−130(1986)参照〕)。
【0006】
また、ジルコニア電気化学セルを構成し、電極の一方側に白金/アルミナの触媒層を形成して一酸化炭素を検出する固体電解質式一酸化炭素センサも提案されている〔例えば、H.OKAMOTO、H.OBAYASI AND T.KUDO,Solid State Ionics、1、319(1980)参照〕。
【0007】
この固体電解質式一酸化炭素センサの原理は、触媒層側と裸側との白金電極上で一種の酸素濃淡電池ができることによるもので、触媒層側の電極では、酸素がそのまま到達し、一酸化炭素が到達しない状態にあるのに対して、裸側の電極では、酸素も一酸化炭素も到達し、この一酸化炭素が酸素を還元し、両者の電極の間に酸素濃淡電池が形成され、起電力出力が現れることを利用するものである。
【0008】
また、ガスを選択して透過する透過体として、セラミックガス分離膜、すなわち無機分離膜が提案されている〔例えば、大久保達也、諸岡成冶、「無機分離膜の現状と今後の展開」、ケミカルエンジニアリング、12、1(1988、1989)参照〕が、この無機分離膜をガスセンサに応用することの提案は、従来においてはなされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来のガスセンサとして広く用いられている化学センサにあっては、それが安全性に関わる決定的なセンサであるにも拘わらず、フェールセーフのシステムを構築することができず、どうしてもフェールアウトの検出システムになってしまうという問題点があった。すなわち、センサの特性劣化により、センサ出力が低下するので、心要なときにセンサが出力を出せないことがあるという懸念があった。これは、原理的には、センサとしての信号が、一酸化炭素を検出しないときにはゼロとなり、一酸化炭素の検出により信号を出力し、また、センサの特性劣化により、この出力信号が低下してしまうということに要因がある。
【0010】
ガスセンサを燃焼機器に搭載して不完全燃焼の検出に用いる場合、不完全燃焼の危険性が増加するのは、燃焼機器をかなり使い込んだ後の状態の場合が多いが、その時には、ガスセンサの特性劣化が進行している危険性があり、ガスセンサの特性劣化により出力信号が低下すると、不完全燃焼を検出することができないという問題点があった。
【0011】
これは、化学センサの出力が低下、すなわち劣化するのは、化学センサの中心的な機能を担う電極や触媒が反応の進行とともに経時的に劣化することによるものであり、この経時的な劣化は、燃焼の排気ガス中に存在する水素,炭化水素などの還元性ガスにより触媒が還元されたり、電極表面に硫黄系化合物などが強く吸着したりして、一酸化炭素の検出反応が阻害されることに起因する。
【0012】
また、これらの化学センサでは、センサの中心的な機能を担う電極,触媒などに貴金属を用いる場合が多く、これらの貴金属は、硫黄系化合物やシリコーン系化合物に弱くて劣化し易く、耐久性の確保が非常に困難になるという問題点があった。また燃焼機器の排気ガス中に共存する炭化水素は、分子量も大きく、分子のサイズも大きいため、白金のような貴金属の表面に吸着されると、一酸化炭素のようなガスの吸着が阻害され、妨害ガスとして悪影響を及ぼすという問題点もあった。
【0013】
また、固体電解質式一酸化炭素センサの場合、その動作原理は、すでに説明したように、触媒層側の白金電極と裸側の白金電極との間で一種の酸素濃淡電池ができることによるものであり、触媒層側の電極では、酸素がそのまま到達し、一酸化炭素が到達しない状態にあるのに対して、裸側の電極では、酸素および一酸化炭素が到達し、この一酸化炭素が酸素を還元し、両者の電極の間に酸素濃淡電池が形成され、起電力出力が現れることを利用するものである。
【0014】
しかし、白金電極に、一酸化炭素よりもさらに吸着性の強いガス、例えば、亜硫酸ガスを含有する空気が接触した場合、多孔性の触媒層の拡散抵抗により、触媒層側の白金電極と裸側の白金電極とに到達する亜硫酸ガスのレベルが異なることになり、最初は、裸側の白金電極から吸着が始まり、まずセンサ出力は増加するが、しばらくすると多孔性の触媒層側の白金電極にも、亜硫酸ガスが到達することにより、センサ出力は徐々に低下し、そのうちに出力が失われる。そして、亜硫酸ガスは、一般に、ガス,石油の燃焼機器の排気ガス中に含まれているので、燃焼機器の排気ガス中に、この種の固体電解質式一酸化炭素センサを設置すると、このゼロ点のズレと出力低下との問題が避けられないものとなる。
【0015】
さらに、本質的に、これらのセンサシステムのフェールセーフでないので、これを高い信頼性で実用化できるようにするためには、極めて耐久性において信頼度の高いガスセンサが求められるが、現在、思想的レベルにおいても、耐久性の保証を確実に確立できたセンサシステムは実現されていないという問題点もあった。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明のガスセンサは、加熱手段を備え、両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に積層した平均細孔径が1000Å以下の一対のセラミック多孔体と、その一方のセラミック多孔体に積層した酸化触媒を含有する多孔体層とを有することとしている。そして、平均細孔径が1000Å以下の一対のセラミック多孔体により、白金電極を劣化させる亜硫酸ガス等の悪影響ガスの流入を規制することができ、例え白金電極に亜硫酸ガスなどが一部流入したとしても、一対の白金電極がセラミック多孔体で被覆されているので、ほぼ同様の劣化の進行が生じることでゼロ点のバランスを変化させることが極めて少なく、長時間安定したガスセンサとしての動作が可能になる。
【0017】
また、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体は、その平均細孔径のサイズにより、異なるガスの透過特性を有する。平均細孔径が1000Å以下から10Åまでの範囲では、透過速度がガスの分子量の平均根に逆比例する特性、すなわちクヌッセン拡散の特性を示すので、灯油蒸気や亜硫酸ガス、さらには、低分子のシリコーン化合物などの分子量の大きなガスの透過を抑制することができる。平均細孔径が10Å以下では、セラミック多孔体は、分子篩型または表面拡散型の透過性を示すので、ガス分子のサイズにより流入が規制される特性、または、ガス分子と細孔内壁との親和性により多孔体内部への拡散性が決定される特性を発揮する。とくに、シリカ化合物もしくはジルコニア化合物の一種以上を含む皮膜により平均細孔径を10Å以下に制御した多孔体の場合には、細孔壁が強い疎水性を持つため、10Å以下の親水性細孔壁では細孔内で毛管凝縮を起こして細孔を閉塞してしまう懸念をもつ水蒸気について、細孔内での拡散を阻止し、水蒸気の凝縮を防止することができる。また同様に親水的な二酸化硫黄の表面拡散性も阻止し、亜硫酸ガスの流入をブロックすることができる。こられの特性により、ガスセンサの動作の基本となる白金電極への被毒影響を軽減および均等化することができる。
【0018】
また、セラミック多孔体が、白金電極と密着した構成となるため、平均細孔径が1000Å以下から10Åまでの範囲にある場合、亜硫酸ガスの流入が規制されて劣化に至る時間が延長されるのみならず、平均細孔径が、例えば100Åであった場合でも、全体の細孔の中には10Å以下の細孔径の部分も含まれておるので、その部分では、完全に亜硫酸ガスをブロックすることができる効果を有している。したがって、一部の大きな細孔を持つ部分の白金電極が、亜硫酸ガスにより劣化したとしても、他の小さな細孔の部分の白金電極は、劣化することがなく、ガスセンサの特性を継続的に発揮することができる。なお、一対のセラミック多孔体は、同一のプロセスで製作すれば、近似した細孔特性をもつため、上記の効果を充分に発揮することが可能になる。
【0019】
セラミック多孔体の基材としては、焼結法により作成される多孔性セラミックの細孔をコーティング処理し、適切な細孔特性に制御処理して用いる。セラミック多孔体の基材は、それが密着する酸素イオン導電体が、例えばイットリア安定化ジルコニア固体電解質により形成されている場合、センサ素子の耐熱衝撃性の観点からは、ジルコニアと熱膨張係数が近いアルミナ化合物もしくはジルコニア化合物を用いるのが望ましい。
【0020】
多孔性セラミックは、セラミックフィルターとして各種用途に利用されおり、例えば、ビールの酵母の分離などに利用されていることはよく知られている。その孔径は0.1μmから数μm程度であるが、このままでは、ガスの選択透過性は得られないので、その細孔を埋めて細孔径を制御する必要がある。
【0021】
細孔径の制御方法としては、細孔表面上にゾル−ゲル皮膜を形成して行う方法、または、熱分解により細孔内に皮膜を形成して細孔を制御するCVD法などが知られており、本発明における多孔体の細孔制御方法としては、公知の各種皮膜形成法は、いずれも適用可能である。ゾル−ゲル皮膜を形成して行う方法、または熱分解により細孔内に皮膜を形成して細孔を制御するCVD法のいずれの方法を選択しても、同じ方法で同じ管理条件で細孔制御したセラミック多孔体は、近似した細孔特性をもつため、これを組み合わせて用いることにより、近似した細孔特性を有する一対のセラミックを得ることができる。
【0022】
センサ素子の駆動に必要な熱源としては、ガスセンサが備える加熱手段により達成されるようにし、必要に応じて、サーミスタ,熱電対などの温度検知手段を併用して温度制御を実施することができる。加熱手段としては、電熱線,抵抗ヒータ膜など各種手段が適用でき、抵抗ヒータ膜に用いる材料としては、白金など貴金属系のものが耐久性の点では望ましく、また電熱線を用いる場合には、鉄−クロム系,ニッケル−クロム系のものを用いることができる。また、このヒータの抵抗−温度特性を利用して、センサ素子の温度制御を実施しても良い。
【0023】
このように構成したガスセンサは、以下に説明するように動作する。一般大気中、もしくは燃焼機器の排気ガス中に含まれているガスは、ガスセンサに接触すると、その一方の側では、酸化触媒を含有する多孔体層において一酸化炭素が酸化されるので、セラミック多孔体を経由して流入する量は規制され、白金電極面へは、一酸化炭素を含有しない空気が到達する。他方の側では、同様にその量は規制されるが、酸化触媒が存在しないので、白金電極面には、一酸化炭素を含有した空気が到達する。これにより一対の電極間で、酸素濃度の差が生じ、酸素イオン導電体を介して、電極間に一酸化炭素濃度に起因した起電力が発生する。
【0024】
白金電極に吸着するとガスセンサの動作に悪影響を及ぼす灯油蒸気やシリコーンオリゴマーなどは、1000Å以下に細孔制御されたセラミック多孔体により、電極部にはほとんど到達できない。また、亜硫酸ガスについても、著しく流入を規制されるが、細孔径の大きな細孔から優先的に進入して一部の白金電極を劣化させることがある。しかし、大部分は細孔径の小さな部分であるので、白金電極は、動作可能であり、出力特性は、一対の電極の酸素濃度の比に関係するので、酸素濃度比はほとんど変化することがなく、結果として経時的にはゼロ点に安定化できる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態は、加熱手段を備えたガスセンサにおいて、両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有する多孔体層を積層したものである。
【0026】
ガスセンサが備えた加熱手段により、ガスセンサは、固体電解質素子の駆動に必要な400〜500℃程度の温度に保持される。そこで、一酸化炭素を含有しない空気の場合、空気がガスセンサと接触すると、一対の白金電極の酸素濃度レベルは、同じであるため起電力出力は生じない。一酸化炭素を含有した空気が接触すると、一対の白金電極の片方の白金電極には、酸化触媒を含有した多孔体層において一酸化炭素が酸化され、一酸化炭素を含まない空気が到達し、他方の白金電極には、一酸化炭素を含有した空気が到達するため、この一酸化炭素により、電極に吸着する酸素が還元され、電極間に起電力出力が発生して一酸化炭素の出力が現れる。
【0027】
また、亜硫酸ガスなどのように白金電極に吸着すると酸素の吸着を妨害するガスは、平均細孔径が1000Å以下の一対のセラミック多孔体で流入が規制またはブロックされ、長寿命化が達成できる。また、亜硫酸ガスなどが一部流入することがあっても、一対の白金電極に同時に流入するため、電極間の酸素濃度のバランスが崩れることはなく、ゼロ点の移動の不安定も解除される。このように、白金電極が保護されているのに対して、触媒層は、そのまま露出した状態にあるので、触媒層の劣化が懸念される面があるが、その点の問題は少ない。その第一の理由は、触媒層は、一般の酸化触媒を用いても、動作温度が400〜500℃と一酸化炭素の酸化活性が得られる200〜300に対して余裕があることによる。第二の理由は、膜厚の面でも高々十数ミクロンの膜厚にしかできない電極に対して、触媒層はミリのレベルに設定でき、極めて余裕があるので触媒層の劣化の心配は極めて少ないためである。
【0028】
また、第2の実施の形態は、加熱手段を備えたガスセンサにおいて、両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には酸化触媒を含有する多孔体層を積層し、他方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有しない多孔体層を積層したものである。
【0029】
ガスセンサが備えた加熱手段により、ガスセンサは、固体電解質素子の駆動に必要な400〜500℃程度の温度に保持され、ガスセンサの動作と耐久性に対する効果は第一の実施の形態で説明した場合と同様である。ただし、第1の実施の形態の場合と比較すると、第1の実施の形態の場合には、多孔性触媒層による拡散抵抗の寄与が、両方の白金電極の間で異なるのに対して、この実施の形態の場合は、一対の電極への被検出ガスの拡散抵抗は、両方の白金電極の間で同じになるため、ゼロ点の安定性は更に優れたものとなる。
【0030】
また、第3の実施の形態は、表面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の両面に平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有する多孔体層を、他方のセラミック多孔体の表面には、ヒータ膜層を形成したものである。
【0031】
ヒータ膜層により、固体電解質素子の駆動に必要な温度が得られ、多孔体の表面にヒータ膜層を形成したにも拘らず、多孔体の細孔特性は殆ど変化することがなく、ガスの流出入に対する制御作用には変化がない。また、ヒータ膜層は、多孔体の細孔径を制御した後で形成しても、あるいは、ヒータ膜層を形成した後に細孔を制御しても良い。このガスセンサの動作および耐久性ならびにゼロ点の安定性に関する効果は既に説明した場合と同様である。
【0032】
また、第4の実施の形態は、酸化触媒を含有する多孔体層を酸化触媒を担持したセラミック繊維層により形成するか、酸化触媒を含有しない多孔体層をセラミック繊維層により形成したものである。
【0033】
セラミック繊維としては、アルミナ,シリカ,ジルコニアなどからなる繊維を一種以上含むものを用い、酸化触媒としては、白金,パラジウムなどの貴金属をγ−アルミナなどの微粒状の多孔性担体に担持したものやマンガン,銅,ニッケル,コバルト,鉄などの遷移金属の酸化物または複合酸化物を微粒状にしたものをそのまま用いるか、または前記貴金属の場合と同様に担体に担持したものを用いることができる。
【0034】
これらの酸化触媒粉末をセラミック繊維と混抄して酸化触媒を含有したセラミック繊維不織布とし、または酸化触媒粉末を含有させなければセラミックペーパーになり、これらのセラミック繊維不織布、またはセラミックペーパーを、熱膨張係数に合わせて調合したガラスペーストやアルカリ金属珪酸塩系または金属リン酸塩系の接着剤を用いて平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体に接合して多孔体層とする。
【0035】
このようにして形成した酸化触媒を含有する多孔体層は、極めて通気性に優れ、検出ガスに対する通気抵抗を発生することがなく、良好なガスの透過体になる。特に、一酸化炭素などの還元性ガスは、この多孔体層内を拡散する間に完全に酸化される。
【0036】
また、第5の実施の形態は、酸化触媒を含有する多孔体層を、酸化触媒を分散保持した琺瑯皮膜層により形成したものである。
【0037】
この場合は、結合材が水溶液系のアルカリ金属珪酸塩または金属リン酸塩ではなく、ガラスフリットである点で前記の無機耐熱皮膜層の場合と異なり、また、無機耐熱皮膜層の焼成温度が約300℃であるのに対し、琺瑯皮膜層の場合は、少なくとも600℃から800℃程度の高温の焼成が必要になる。
【0038】
また、第6の実施の形態は、セラミック多孔体の基材として、アルミナ化合物もしくはジルコニア化合物の群から選定した一種以上の化合物を用いたものである。
【0039】
アルミナ化合物もしくはジルコニア化合物は、酸素イオン導電体と熱膨張係数が近く、各要素を積層して接合した場合、耐熱安定性の高いガスセンサを構成することができる。アルミナ化合物もしくはジルコニア化合物の群から選定して形成した多孔体は、原料粉末を均一に分散し、ドクターブレードなどでシート状に成型し、これを焼結し、必要な寸法に切断して作製する。原料粉末の組成,粒度および焼結温度を最適化することで、0.1から1μm程度の平均細孔径を持つ多孔体が得られる。有機性樹脂粉末を混合して成型することにより、さらに平均細孔径が0.05μm程度と細かい多孔体を得ることができる。この多孔体は、ゾル−ゲル法、または、CVD法により細孔制御すれば、平均細孔径が1000Å以下の多孔体が得られる。
【0040】
さらに、第7の実施の形態は、ガスセンサを構成する各要素の間をガラスペーストまたは無機接着剤によりシール接合するものである。
【0041】
ガラスペースト,無機接着剤はペースト化し、スクリーン印刷することにより、必要なパターンを作製することができ、ペーストを所定のパターンに塗布,印刷した後、目的の要素同士を焼成して接合することによりガスセンサが構成される。そして、白金電極および白金電極からのリード線の取り出し部を避けて、有効なパターンで強固な接合を得ることができる。
【0042】
以下、本発明の実施例について図1ないし図9を参照して説明する。
【0043】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1におけるガスセンサの断面概念図を示すものである。図1において、1は加熱手段で、鉄クロムやニクロムなどの電熱線をコイル状にして接触加熱させる手段、あるいは厚膜印刷により形成した抵抗膜により加熱する手段などを用いることができる。ガスセンサは、以下に説明するような形態に構成され、加熱手段1により、動作に必要な300〜500℃の温度域に加熱されて用いる。2は酸素イオン導電体で、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)やセリア安定化ジルコニア(CSZ)などのセラミックバルクを適用することができる。3は酸素イオン導電体2の両面上に形成した一対の白金電極、4は一対の白金電極3の上にそれぞれ配置した平均細孔径が1000Å以下の一対の多孔体、5は一方の多孔体4の上に配置した酸化触媒を含有する多孔体層である。そして、これら酸素イオン導電体2と、一対の白金電極3,3と、一対の多孔体4,4と、多孔体層5とを順次積層して板状のガスセンサが形成される。
【0044】
多孔体層5は、酸化触媒を含有し、通気性を有する層で、酸素,一酸化炭素のようなガスを容易に通過させ、その通過する際に、酸化触媒が活性を発揮して一酸化炭素を完全に酸化する。また、多孔体層5は、金属またはセラミックなどからなる多孔体の内部に、貴金属系または金属酸化物系の酸化触媒を担持または保持させることにより構成される。このようにして構成した酸化触媒を含有する多孔体層5は、200〜300℃の温度条件の下で、十分に一酸化炭素を完全酸化する能力を発揮するが、ガスセンサ6の動作温度は、加熱手段1により300〜500℃に設定されているため、一酸化炭素を酸化するには、十分に余裕を持った状態にある。
【0045】
酸素イオン導電体2はセラミックバルクの形態で適用し、セラミックバルクは、酸素イオン導電体の原料組成物をプレス成型法やドクターブレードなどにより成型した後、焼成し、ついで所定の寸法に切断して形成している。
【0046】
白金電極3を形成するには、酸素イオン導電体2の表面を、所定のパターンにマスキングした状態で、スパッタリング法または電子ビーム蒸着法などの薄膜法で形成することができ、また、別の形成法としては、白金系ペーストを用いて所定のパターンにスクリーン印刷をした後、焼成する厚膜印刷法でも形成することができる。また、酸素イオン導電体2を形成するセラミックバルクの焼成前におけるグリーンシートを用い、スクリーン印刷した後、セラミックの焼結も含めて同時焼成することにより、白金電極3を形成することもできる。なお、白金電極3は、使用時の特性を安定させるため、すなわち熱影響により白金が凝集することを避けるため、あらかじめ、1000℃以上の温度で1時間程度、焼成しておくことが望ましい。
【0047】
多孔体4は、ガスが白金電極3へ流入するのを規制する目的で配置しているが、セラミック多孔体を基材とし、皮膜処理により平均細孔径が1000Å以下になるように制御して作製されるのが好ましい。すなわち、アルミナあるいはジルコニアなどを焼結法により作製した細孔径が0.1〜1μmのセラミック製多孔性基材を用い、ゾル−ゲル法もしくはCVD法により細孔制御皮膜を形成し、1000Å以下の平均細孔径に細孔を制御して作製する。用いるセラミック製多孔性基材は、セラミック粉末をそのまま、もしくは樹脂などの有機化合物と混合して所定の形状に成型し、ついで、完全焼結する温度よりも低温側で焼結して作製するが、この焼結法で作製される多孔性基材の平均細孔径は、0.1μmが限度である。したがって、ガスセンサに用いるためには、焼結法で作製された多孔性基材の細孔は、コーティングにより形成した皮膜により孔径を制御処理する必要がある。なお、焼結法で作製された多孔性基材は精密濾過膜として一般に市販されているので、この市販品をセラミック製多孔性基材として用いることができる。
【0048】
次に、ゾル−ゲル法により細孔制御皮膜を形成して、細孔を制御する方法について説明する。
【0049】
ジルコニウムイソプロボキシドやテトラエトキシシランなどの金属アルコキシドを加水分解した後、塩酸等の触媒条件の下で縮重合させてゾル溶液を作成する。このゾル溶液と貫通する孔をもつセラミック製多孔性基材とを接触させ、例えば多孔性基材をゾル溶液中に浸漬させると、毛細管現象によりゾル溶液が孔内に吸引され、この状態でゾル溶液を乾燥させると、多孔性基材の細孔内でゾル溶液の濃縮、さらにはゲル化が起こり、さらに、加熱すると、ゲル化から焼結が進行し、細孔を制御するコーティング膜が形成される。また、ゾル溶液を多孔性基材を用いて濾過することによりコーテング膜を形成することもできる。
【0050】
このように、孔内にゲル化したゾルを存在させることにより、細孔径を制御することができる。そして、多孔性基材における細孔表面の濡れ性,ゾルの溶剤,ゾルの濃度,浸漬時間,セラミックの引き上げ速度などを調整することにより、1000Å以下の比較的均質な細孔径を持つ多孔体4が得られる。
【0051】
このようにして作製した多孔体4における細孔内でのガス流の特性は、平均細孔径のレベルにより異なるが、1000Å〜10Åの平均細孔径の場合には、クヌッセン拡散特性を示し、分子量の平方根に逆比例するガス透過特性を示すことが確認されている。また、平均細孔径が10Å以下になると、高分子量のガスは通過させないので有効な分子篩効果を示すことも確認されている。さらに、孔の内部に形成したゲル皮膜との相互作用により、ガス透過性に選択性が発生する。すなわち、ガス分子とゲル分子との分子間には、永久双曲子間の相互作用による配向力、および永久双曲子と誘起双曲子との間の誘起力、ならびにファンデルワールス相互作用による力などに基づく分散力により、ガス透過の選択性、表面拡散性が発生する。
【0052】
酸化触媒を含有する多孔体層5は、セラミックまたは金属の通気性多孔体を用い、その表面上に酸化触媒を担持する方法で形成することができるが、酸化触媒および多孔形成材等を混合したバインダー系の触媒材を用い、乾式法または湿式法により、通気性多孔体の表面に触媒皮膜を形成しても良い。また、酸化触媒の層を、平均細孔径が1000Å以下の多孔体の表面に直接形成しても良いし、酸化触媒を含有する多孔層のみを単独で形成し、これを平均細孔径が1000Å以下の多孔体の表面に接合して形成しても良い。
【0053】
ガスセンサは、以上説明したようにして形成した各要素を、接合剤6により接合し、図1に示すような積層構造の固体電解質型とする。なお、接合剤6としては、例えば、ガラスペーストや金属リン酸塩やアルカリ金属珪酸塩などの無機接着剤を用いることができる。
【0054】
このような形態の固体電解質型のガスセンサは、その耐久特性の点で最も課題となる白金電極3が、多孔体4により十分に保護されているので、ゼロ点の経時的なドリフトが極めて少なく、信頼性の高い特性を示すものが得られる。なお、酸化触媒を含有する多孔体層5の表面は保護されていないが、酸化触媒それ自体は、白金電極3と比較して反応温度の面および膜厚の面からも十分余裕があるので、特性に問題が生ずることはない。
【0055】
(実施例2)
図2は、本発明の実施例2におけるガスセンサの断面概念図を示すものである。基本的な構成は、実施例1の場合と同様であるが、酸化触媒を含有しない多孔体層7を配置していることが相違する。すなわち、細孔径が1000Å以下の一方の多孔体4の表面には、酸化触媒を含有した多孔体層5を配置し、他方の多孔体4の表面には、酸化触媒を含有しない多孔体層7を配置している。
【0056】
実施例1の場合には、白金電極3への拡散抵抗を比較すると、酸化触媒を含有する多孔体層5が存在することに起因する拡散抵抗によって、酸化触媒を含有する多孔体層5が存在する側におけるガスの透過が、他方側よりも劣るため電極間の酸素濃度にズレを生ずるので、経時的には、ゼロ点は安定したものとなるが、初期におけるゼロ点のズレを補正する必要がある。
【0057】
しかし、この実施例の場合は、この初期におけるゼロ点のズレを除去するため、酸化触媒を含有する多孔体層5による拡散抵抗に見合う拡散抵抗を、酸化触媒を含有しない多孔体層7を配置することで補正するものである。これにより、ガスセンサのゼロ点における微妙なズレは修正され、また、酸化触媒を含有しない多孔体層7を設けることで、1000Å以下の平均細孔径を持つ多孔体4は、汚染などから保護される。なお、この酸化触媒を含有しない多孔体層7を設けた場合の基本的な動作や効果は、実施例1の場合と同様である。
【0058】
(実施例3)
図3(A)は、本発明の実施例3におけるガスセンサの断面概念図を示し、図3(B)は、同ガスセンサにおけるヒータ膜層の模式図を示している。図3(A)において、2は酸素イオン導電体で、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)やセリア安定化ジルコニア(CSZ)などのセラミックバルクを適用することができる。3は酸素イオン導電体2の両面上に形成した一対の白金電極、4は一対の白金電極3の上にそれぞれ配置した平均細孔径が1000Å以下の一対の多孔体、5は一方の多孔体4の上に配置した酸化触媒を含有する多孔体層、8は他方の多孔体4の上に配置したヒータ膜層である。
【0059】
多孔体層5は、酸化触媒を含有し、通気性を有する層で、酸素,一酸化炭素のようなガスを容易に通過させ、その通過する際に、酸化触媒が活性を発揮して一酸化炭素を完全に酸化する。酸化触媒を含有する多孔体層5とは反対側に位置する多孔体4の表面には、ヒータ膜層8が形成されている。このヒータ膜層8は、平均細孔径が1000Å以下の多孔体4において、白金電極3が配置された面とは反対側の面に、図3(B)に示すように、耐熱性や耐食性の観点から貴金属系皮膜を用い、無電解メッキ法や厚膜印刷法などにより、所定のパターンおよび所定の抵抗値を持つように設計して形成されている。このヒータ膜層8は、電圧を加えて発熱させ、ガスセンサとしての動作に必要な400〜500℃の温度が得られるようになっている。なお、貴金属系皮膜からなるヒータ膜層8における抵抗値の温度特性を利用することにより、ヒータ膜層8の温度制御をすることもできる。実施例1において説明した方法により、細孔制御をして平均細孔径を1000Å以下とした多孔体4を用い、その片面に、メッキや厚膜印刷によりパターンを形成したのち、この多孔体4と、両面に白金電極3を配置した酸素イオン導電体2とをガラスペーストなどの接合剤6により接合する。このような形態に構成することにより、特性の安定化および長寿命化が達成されたガスセンサが得られる。
【0060】
(実施例4)
図4は、本発明の実施例4のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図を示すものである。図4において、10はセラミック繊維層で、酸化触媒9を担持したものは多孔体層5に適用することができる。酸化触媒9は、遷移金属酸化物または複合酸化物を含む粉末、またはアルミナなどのセラミック粉末の表面上に白金やパラジウムなどの貴金属を担持したものよりなる。セラミック繊維層10は、アルミナ繊維,シリカ・アルミナ繊維,ジルコニア繊維などの繊維を一種以上用いてセラミックペーパー層に形成している。
【0061】
多孔体層5として形成するには、例えば、セラミック繊維と酸化触媒粉末とをアルミナゾルやコロイダルシリカなどのバインダーとともに懸濁して水溶液化し、ついで、これを濾過し、乾燥し、焼成する抄紙法を用いることにより、通気性に優れた不織布状のセラミック繊維層10の中に酸化触媒9を適度に分散させた多孔体層5を得ることができる。このようにして形成した多孔体層5は、極めて優れた酸化触媒の活性を有し、空気の透過性も良好なものとなり、酸化触媒の配合量およびセラミック繊維の密度などを調整することで、触媒活性に余裕を持たせ、しかも十分な通気性を備えた多孔体層5に形成することができる。そして、この酸化触媒を含有する多孔体層5を適用することで、活性が高く、SO2 などの被毒ガスにも強い通気性の触媒層が得られ、長寿命のガスセンサを実現することができる。
【0062】
また、酸化触媒9を担持していないセラミック繊維層は、酸化触媒を含有しない多孔体層7としても用いることができる。
【0063】
(実施例5)
図5は、本発明の実施例5のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図を示すものである。
【0064】
図5において、11はプラズマ溶射により形成した溶射皮膜層で、酸化触媒9を保持している。12は酸化触媒9とともにプラズマ溶射皮膜を形成する皮膜形成粉末である。この溶射皮膜層11は、酸化触媒9および皮膜形成粉末12により形成され、多孔体層5に適用することができる。
【0065】
プラズマ溶射法は、成膜速度が早く、多孔質皮膜が形成し易いという特長があり、酸化触媒を含有する多孔性の皮膜の形成には望ましい方法である。プラズマ溶射法によると、何種類かの原料粉末を同時に供給することができるので、基板に密着する部分は、密着性の良い組成を構成し、また表面層は、厚み方向にしたがって触媒の含有量を増大させるような構成にすることも可能である。貴金属をアルミナなどのセラミック担体に担持した触媒粉末を供給するか、または遷移金属酸化物粉末とジルコニア,アルミナ,チタニア,シリカなどの皮膜形成粉末とを同時に供給するかしてプラズマ溶射法による溶射皮膜を形成し、溶射皮膜層11とする。原料粉末の粒度および基材温度を調整することにより、溶射で形成した皮膜層11の多孔度は調整することができる。なお、プラズマ溶射法自体は、微粒子を送り込んで薄い緻密な皮膜を形成することは苦手であるが、普通に溶射皮膜を形成する場合は、粗い粒子を用いることになるので、厚めで通気性のある多孔体層を形成することができ、また、トーチまたはワークを動かすことにより必要な面積の部分に溶射皮膜を形成することができる。また、成膜速度が早いため、生産性にも優れ、皮膜の機械的強度も強く、安定性も高いものとなる。そして、酸化触媒9と皮膜形成粉末12とをプラズマ溶射して形成した溶射皮膜層11を、酸化触媒を含有する多孔体層5に適用することで、長寿命のガスセンサが得られ、生産性の面でも有利なものと
なる。
【0066】
(実施例6)
図6は、本発明の実施例5のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図を示すものである。
【0067】
図6において、13は酸化触媒9を分散保持した無機耐熱皮膜層で、例えば、以下に説明するような手順で作製され、多孔体層5に適用することができる。酸化触媒9は、貴金属系または金属酸化物系のものを用い、これをアルカリ金属珪酸塩または金属リン酸塩の結合材、および基材との熱膨張係数を合わせるためのアルミナ,シリカ,ジルコニアなどの充填材、およびアルコール類などの多孔形成材ならびに界面活性剤などの分散助材を、ボールミルやアトライタなどの分散機により分散させて水系のスラリーを作製し、このスラリーを基材上に塗布し、乾燥焼成して造膜する。このようにして形成した皮膜は、乾燥焼成により、水分を除去したあとが空隙になり、しかも酸化触媒9が分散保持された多孔質な皮膜になるので、酸化触媒を有する多孔体層5として用いることができる。
【0068】
また、多孔度は、充填材の量、酸化触媒9の粒径の大きさ、あるいは、アルコール化合物などの多孔形成材との併用により改善することができる。そして、この無機耐熱皮膜層13は、特別な設備を必要とせず、安価に良質で高信頼性を有する多孔性触媒膜を形成するので、酸化触媒を有する多孔体層5に適用すると、長寿命のガスセンサが得られ、生産性も優れている。なお、この無機耐熱皮膜層13を造膜する基材として平均細孔径が1000Å以下の多孔体を用いると、ガスセンサの多孔体4に直接接合した形態となり、その信頼性は高いものとなる。
【0069】
(実施例7)
図7(A)は、本発明の実施例7のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図、図7(B)はその要部拡大模式図を示すものである。
【0070】
図7において、14は酸化触媒9を分散した琺瑯皮膜層である。琺瑯皮膜は、ガラス成分が溶融した緻密な皮膜があるが、構成される成分の粒子径を粗く選定し、セルローズ,ポリビニールアルコール,ポリエチレンなどのよう有機物の粒子あるいは繊維を添加して皮膜を形成すれば、焼成時に除去される有機物のあとが空隙になり、多孔質な皮膜を得ることができる。そこで、このような多孔質な琺瑯皮膜を形成した後に、貴金属のような酸化触媒9を担持すれば、図7(B)に示すように、琺瑯皮膜内部の空隙に酸化触媒9が担持された多孔性の琺瑯皮膜層14を得ることができる。また、貴金属のような酸化触媒を担持した粉末および金属酸化物系の粉末を用い、ガラスフリットおよび基材との熱膨張係数を合わせるためのセラミック粉末および多孔形成材とともに、分散してスラリーを作製し、このスラリーを平均細孔径が1000Å以下の多孔性基材に塗布し、乾燥焼成することにより、琺瑯皮膜層14を形成することもできる。
【0071】
琺瑯皮膜を形成する場合においては、ガラス分を焼結するために、最低600℃以上の高い焼成温度が必要となるが、高い焼成温度により、有機物系の多孔形成材は完全に燃焼し、有効な空隙が形成されるので、長寿命で信頼性の高い多孔性の酸化触媒を含有する多孔体層5が得られ、高信頼性のガスセンサを実現することができる。
【0072】
(実施例8)
図8(A)は、本発明の実施例8のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図、図8(B)はその要部拡大模式図である。
【0073】
図8(A)において、15は酸化触媒9を担持した金属繊維焼結体層で、金属繊維の不織布を焼結したものである。この金属繊維焼結体層15は、例えば、ジルコニア,セリア,アルミナなどを含有するフェライト系の耐熱ステンレス鋼の繊維を用いて不織布とし、これを焼結して安定化させ、さらにその繊維表面に酸化触媒を担持したものである。すなわち、図8(B)に示すように、ステンレス系耐熱金属焼結体を形成する金属繊維片16の上に、ウオッシュコート17を介して酸化触媒9が担持されている。なお、ウオッシュコート17としては、アルミナゾル,シリカゾルなどで形成した多孔性皮膜が望ましく、酸化触媒としては、白金,パラジウムなどの貴金属系の触媒が望ましい。また、ウオッシュコート17に、酸素供給体としての機能をもつセリカなどにより補助処理をすると、さらに高活性が得られる。
【0074】
このような、酸化触媒9を担持した金属繊維焼結体層15は、通気性に優れ、高い酸化触媒活性を持ち、しかも、担持された触媒層の機械的強度も高く、高信頼性を有するものであるので、酸化触媒を含有する多孔体層5として用いると、高信頼性のガスセンサを実現することができる。
【0075】
(実施例9)
図9は、本発明の実施例9のガスセンサにおけるセラミック多孔体の要部断面概念図を示すものである。平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体4は基材にアルミナ化合物,ジルコニア化合物の群から選定して形成した多孔体基板18を用いる。この多孔体基板18は、アルミナ化合物粉末,ジルコニア化合物粉末を原料として用い、粒度分布を選定し、焼成温度を低温側に調整して焼結することにより作製するか、有機物の微粉末を含有させて成型し、焼結により除去された有機物の抜けた空隙を細孔に利用することにより作製する。多孔体基板18の原料として、アルミナ化合物またはジルコニア化合物の群から選定して用いる理由は、多孔性基材18と白金電極3を配置した酸素イオン導電体2とを密着させる必要性から、酸素イオン導電体2との熱膨張係数を合わせるためである。このような基材を用いることにより、密着させる材料間の熱膨張係数は近く、耐熱的に安定度の高いガスセンサを形成することができる。
【0076】
また、セラミック多孔体の基材18の平均細孔径が1000Å以下の多孔体になるように、細孔の制御をするには、シリカ化合物,ジルコニア化合物の群から選定した一種以上の化合物からなる皮膜19を形成することにより実現できる。細孔径が10Å以下になると、その細孔内の拡散は、表面拡散または分子篩拡散領域になり、細孔を形成する壁とガスとの親和性により拡散特性が支配されるようになる。この条件下で、細孔壁の表面を親水性材料により構成すると、細孔内で水が凝縮して細孔が閉塞される懸念があるが、細孔壁の表面を疎水性材料、例えば、シリカ化合物,ジルコニア化合物の群から選定した一種以上の化合物よりなる皮膜19を形成すると、この懸念は解消され、白金電極3を劣化させる亜硫酸ガスも親水性であるため、完全に侵入を阻止することができる。
【0077】
したがって、このようなセラミック多孔体4を用いたガスセンサは、白金電極3が十分に保護され、極めて長寿命のガスセンサを実現することができる。
【0078】
つぎに、効果に関わる実験結果について記載する。
【0079】
酸素イオン導電体2として、イットリア安定化ジルコニア(イットリア8mol%品)の市販焼結品(寸法:10mm×10mm×0.35mm)を用い、その両面の中央部に、6×8mmの寸法で、以下の形態の白金電極3を形成した。
【0080】
(1)基板温度を250℃とし、スパッタリングにより0.5μmの膜厚で白金電極を形成する
(2)基板温度を300℃とし、電子ビーム蒸着により0.5μmの膜厚で白金電極を形成する
(3)1300℃で焼成し、焼成膜を厚くする、厚膜印刷により10μmの膜厚で白金電極を形成する
なお、この白金電極3の端部からは、市販の白金ペーストを用いて、0.1mmの径の白金リード線を取り出している。
【0081】
次に、酸化触媒を含有したセラミック繊維不織布よりなるセラミック繊維層10を多孔体層として用い、このセラミック繊維層10は、以下の手順で作製した。先ず酸化触媒については、粒径が40/60メッシュのγアルミナの上に、塩化白金酸,塩化パラジウムの硝酸,塩酸水溶液を吸着させた後、水素化ホウ素ナトリウム水溶液にて還元して生成した0.1wt%の白金およびパラジウムを担持して触媒を作製し、ついで、シリカアルミナ繊維とともに700g/m2の坪量にて混抄して厚み1mmのシートとする。
【0082】
多孔体層5の基材としては、粒度分布および焼成温度を調整して作製した平均細孔径が0.2μmで寸法が10mm×10mm×0.8mmのジルコニア多孔体基板を用い、この基板をジルコニアイソプロポキシドを主成分とするアルコキシド溶液に浸漬処理して細孔制御を行った。細孔制御には、アルコキシドの20Wt%溶液を用い、この溶液を基板に塗り重ねることでより細かい細孔を作製するようにした。
【0083】
なお、平均細孔径は、ポロシメータを用い、水銀圧入法により評価した処、塗り重ね回数が1回の場合は0.1μm、3回の場合は0.08μm、5回の場合は0.02μmを示した。また、ポロシメータの測定には限界があるが、上記の細孔制御の処理操作をすることにより、1回の塗り重ねの場合でも、最も細かい細孔は、20Å程度まで形成されていることが確認された。
【0084】
以上のようにして作製した各要素を積層して図1に示す構成のガスセンサを試作した。なお、ガスセンサを構成するために、各要素を積層して接合する接合剤としては、市販の無機接着剤「スミセラム」(商品名)を用いた。
【0085】
上記のようにして構成したガスセンサの450℃における1000ppmの一酸化炭素ガスに対する出力および応答性を評価した結果は(表1)示す通りで、細孔を制御することにより、出力は低下するが、応答性はほとんど変化していない。なお、応答性は括弧で示し、単位は、出力がmV、応答性が秒で表示している。
【0086】
【表1】
Figure 0003736020
【0087】
さらに、流通型の試験装置を用い、100ppmの亜硫酸ガスを通しての加速試験により、上記のように構成したガスセンサの耐久性を評価した。未処理のもの、すなわち、0.2μmの平均細孔径の多孔体基板を用いた場合は、白金電極の種類に関係なく、ゼロ点が100mV以上もずれた上に、約50時間で出力が出なくなった。これに対して、平均細孔径が0.1μm以下の多孔体基板を用いた場合は、500時間の経過後も、すべてのガスセンサの出力は、変化がなく、ゼロ点移動は、厚膜印刷白金電極,スパッタリング白金電極,電子ビーム蒸着白金電極の順で安定性が高く、いずれも5mV以内に入っていた。厚膜印刷白金電極を用い、平均細孔径が0.02μmの多孔体基板を用いた場合は、ゼロ点のズレが、0.5mV以内と極めて高い安定性を示した。
【0088】
ちなみに、これらのガスセンサを、ガスまたは石油燃焼機器の排気ガス流路に設置した場合の条件を想定すると、上記の試験は、50〜100倍程度の加速性が見込まれ、実燃焼機器においては25000から50000時間に匹敵するので、ガス給湯機自体のライフの5000時間、石油暖房機等のライフの15000時間に対して、高い安全率を提供することができ、耐久性に関して優れた効果が期待できる。
【0089】
【発明の効果】
本発明のガスセンサは以上説明したような形態で実施され、次のような効果を奏する。
【0090】
1)一酸化炭素の検出におけるフェールアウトの弱点をカバーすることが出来、素子構成の信頼性が高く、燃焼機器等に設置するのに好適である。
【0091】
2)化学センサの実用面において、従来から最大の課題とされていた耐久性について、妨害ガスのセンサ素子への到達を規制する多孔体を用い、多孔体によりセンサの弱点になる電極をガードする構成にすることにより、ガスセンサへの被毒影響を持つ酸性ガスを規制し、または、完全にブロックして飛躍的な長寿命化が見込まれ、極めて高信頼性のガスセンサシステムが構築できる。
【0092】
3)構成がシンプルで、プロセス的な生産性にも優れ、安価なガスセンサが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1におけるガスセンサの断面概念図
【図2】 本発明の実施例2におけるガスセンサの断面概念図
【図3】 (A)本発明の実施例3におけるガスセンサの断面概念図
(B)同ガスセンサにおけるヒータ膜層の模式図
【図4】 本発明の実施例4のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図
【図5】 本発明の実施例5のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図
【図6】 本発明の実施例6のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図
【図7】 (A)本発明の実施例7のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図
(B)同多孔体層の要部拡大模式図
【図8】 (A)本発明の実施例8のガスセンサにおける酸化触媒を含有する多孔体層の断面概念図
(B)同多孔体層の要部拡大模式図
【図9】 本発明の実施例9におけるガスセンサの断面概念図
【符号の説明】
1 加熱手段
2 酸素イオン導電体
3 白金電極
4 セラミック多孔体
5、7 多孔体層
8 ヒータ膜層
9 酸化触媒
10 セラミック繊維層
11 溶射皮膜層
12 皮膜形成粒末
13 無機耐熱皮膜層
14 琺瑯皮膜層
15 金属繊維焼結体層
18 多孔体基板
19 皮膜

Claims (7)

  1. 加熱手段を備えたガスセンサにおいて、両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には酸化触媒を含有する多孔体層を積層したガスセンサ。
  2. 加熱手段を備えたガスセンサにおいて、両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有する多孔体層を、他方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有しない多孔体層を、それぞれ積層したガスセンサ。
  3. 両面に一対の白金電極を形成した酸素イオン導電体の表面に、平均細孔径が1000Å以下のセラミック多孔体を積層し、その一方のセラミック多孔体の表面には、酸化触媒を含有する多孔体層を、他方のセラミック多孔体の表面には、ヒータ膜層を形成したガスセンサ。
  4. 酸化触媒を含有する多孔体層が、酸化触媒を担持したセラミック繊維層である請求項1ないし3のいずれか1項記載のガスセンサ。
  5. 酸化触媒を含有する多孔体層が、酸化触媒を分散保持した無機耐熱皮膜層である請求項1ないし3のいずれか1項記載のガスセンサ。
  6. 酸化触媒を含有する多孔体層が、酸化触媒を担持した金属繊維焼結体層である請求項1ないし3のいずれか1項記載のガスセンサ。
  7. 積層した各要素の間を、ガラスペーストまたは無機接着剤により接合した請求項1ないし6のいずれか1項記載のガスセンサ。
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