JP3713819B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般大気中、もしくはガス、石油を燃料とする各種燃焼機器の排気ガス中の可燃性ガス、とくに一酸化炭素を検出するガスセンサに関し、燃焼機器の排気ガスの幅広い環境変化に対しても安定で、さらに耐久性の面でも優れた特性を備えたものである。
【0002】
【従来の技術】
一酸化炭素は無色、無味、無臭の気体で、空気よりやや軽いが毒性が強く20PPM位の低濃度でも2〜3時間呼吸すると頭痛などが生じ、3000PPM以上の濃度になると10分位、6000PPM以上の濃度では、数分間の呼吸で死亡する。
【0003】
一般家庭でも、一酸化炭素は瞬間湯沸かし器、風呂釜、石油暖房器具・ガス暖房器具炭火などから発生するので、これらの機器に内蔵して用いたり、または室内に設置して用いたりできる安価で小型で信頼性の高い一酸化炭素ガス検知センサが強く要望されている。
【0004】
従来から提案されているガスセンサ、とくに一酸化炭素を検知する化学センサとしては、電解液中に一酸化炭素を吸収して酸化する電極を設け、一酸化炭素濃度に比例する電流値から一酸化炭素濃度を検知する方式(定電位電解ガスセンサ)、貴金属などの微量の金属元素を添加して増感したn型半導体酸化物、例えば酸化スズの焼結体を用い、これらの半導体が可燃性ガスと接触した際に電気電導度が変化する特性を利用してガスを検知する方式(半導体型ガスセンサ)、20μm程度の白金の細線にアルミナを添着し、貴金属を担持したものと担持しないものとの一対の比較素子を用いて一定温度に加熱し、可燃性ガスがこの素子に接触して触媒酸化反応を行った際の発熱差を検出する方式(接触燃焼式ガスセンサ)などが知られている[例えば大森豊明監修:「センサ実用事典」:フジ・テクノシステム第14章ガスセンサの基礎(春田正毅担当)、P112−130(1986)参照]。
【0005】
また、ジルコニア電気化学セルを構成し、電極の一方側に白金/アルミナの触媒層を形成して一酸化炭素ガスを検出する固体電解質式一酸化炭素センサも提案されている[例えば、H.OKAMOTO、H.OBAYASI AND T.KUDO、Solid State Ionics、1、319(1980)参照]。
【0006】
この固体電解質式一酸化炭素センサの原理は、触媒層側と裸側の電極上で一種の酸素濃淡電池ができることによるもので、触媒層側の電極では、酸素がそのまま到達し、一酸化炭素が到達しない状態にあるのに対して、裸側の電極では、酸素も一酸化炭素も到達し、この一酸化炭素が酸素を還元し、両者の電極の間に酸素濃淡電池が形成され、起電力出力が現れることを利用するものである。
【0007】
また、ガス選択透過膜については、セラミックガス選択透過膜すなわち無機分離膜が提案されているが[例えば、大久保達也、諸岡成冶、「無機分離膜の現状と今後の展開」、ケミカルエンジニアリング、12、1(1988、1989)参照]、無機分離膜をガスセンサに応用することの提案は、従来においてはなされていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来からガスセンサとして広く用いられている化学センサの最大の課題は、それが安全性に関わる決定的なセンサであるにも拘わらず、どうしてもフェールアウトの検出システムになってしまうことである。これは、原理的にはセンサとしての信号が一酸化炭素を検出しないときにはゼロとなり、一酸化炭素の検出により信号を出力し、またセンサの劣化によりこの出力信号が低下してしまうことに要因がある。
【0009】
ガスセンサを燃焼機器に搭載して不完全燃焼の検出の目的に用いる場合、不完全燃焼の危険性が増加するのは、燃焼機器をかなり使い込んだ後の状態の場合の方が多いが、そのときにはガスセンサの劣化が進行している危険性があり、ガスセンサの劣化により出力信号が低下すると不完全燃焼を検出できないという問題点があった。
【0010】
これは、化学センサの出力が低下するのは、すなわち劣化するのは、化学センサの中心的な機能を担う電極や触媒が反応の進行とともに経時的に劣化することによるものであり、この劣化は、燃焼の排気ガス中に存在する水素、炭化水素などの還元性ガスで触媒が還元されたり、電極表面に硫黄系化合物などが強く吸着したりして、一酸化炭素の検出反応が阻害されることによる。これらの化学センサでは、センサ機能の中心を担う電極または触媒などに貴金属を用いる場合が多いが、これらの貴金属は硫黄系化合物やシリコーン系化合物に弱くて劣化し易く、耐久性の確保が非常に困難になるという問題点があった。また燃焼機器の排気ガスに共存する炭化水素は、分子量も大きく、分子のサイズも大きいため、白金のような貴金属の表面に吸着すると、一酸化炭素の吸着が阻害され、妨害ガスとして悪影響を及ぼすという問題点もあった。
【0011】
さらに本質的にセンサシステムがフェールセーフでないため、これを高い信頼性で実用化できるようにするためには、極めて耐久性において信頼度が高いセンサが求められるが、現在、思想的レベルにおいても耐久性の保証をきちんと確立できたセンサシステムは実現されていないという問題点もあった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決するために、本発明のガスセンサは、検出部に進入するガスはガス選択透過体を通して流入させることとしている。
【0013】
そしてガス選択透過体は、その細孔サイズにより少し働きが異なるが、10Å以下では分子篩効果によりあるサイズ以上の分子を透過させなく、また、10〜1000Åレベルではクヌッセン拡散領域となり、透過速度が分子量の平方根に逆比例する特性を有する。検出に必要なガスとしては、一酸化炭素、酸素、これらの反応により生じる二酸化炭素、妨害ガスとなる二酸化硫黄、灯油蒸気などがあるが、それらのガスには分子量差があるため、細孔のサイズにより、高精度で分離することができ、あるいは高分子のものは流入が規制されるので、酸化触媒、白金電極などへの被毒影響を軽減化することができる。なお、ガス選択透過体としては、その材質は耐熱性の観点からセラミック製を用いるのが望ましい。
【0014】
ガスセンサを動作させるための熱源としては、ガスセンサが備える加熱手段により達成されるようにし、必要に応じてサーミスタ、熱電対などの温度検知手段を併用して温度制御を実施する。加熱手段としては、電熱線、抵抗ヒータ膜など各種手段が適用でき、抵抗ヒータ膜に用いる材料としては、白金など貴金属系のものが耐久性の点では望ましく、また電熱線を用いる場合には、鉄−クロム系、ニッケル−クロム系のものが用いることができる。
【0015】
本発明の基本思想は、一酸化炭素の検出に必要なガス以外のガスはガスセンサに触れさせないようにすれば、半永久的な耐久性が実現でき、半永久的な耐久性が実現できれば、実用的にはフェールアウトは問題にはならないという考え方である。
【0016】
セラミックのガス選択透過体について以下に説明する。セラミックガス選択透過体は、すでに多孔性セラミックまたは多孔性ガラスとして市販されているものを用いて作製する。多孔性セラミックまたは多孔性ガラスはセラミックフィルターとして各種用途に利用されており、例えば、ビールの酵母の分離などに利用されていることはよく知られている。その孔径は0.05μmから数μm程度であるが、このままでは、ガスの選択透過性は得られないので、その細孔を埋めて細孔径を制御する必要がある。
【0017】
細孔径の制御方法としては、細孔の中にゾル−ゲル皮膜を形成して行う方法、または、熱分解により細孔内に皮膜を形成して細孔を制御するCVD法などが知られており、これまで知られている各種皮膜形成法が適用可能である。この中で、例えば金属アルコキシドの分解反応(ゾル−ゲル法)やCVD反応を利用して細孔径をガスの分子拡散領域の孔径まで制御することができ、これらの方法によると、孔径は2Åから数Å程度までの均一な細孔に制御できる。この場合の細孔のサイズは、ガス分子のサイズにする必要があり、細孔内のガスの移動は、細孔表面の物質とガスとの相互作用の影響も加わり、現実には複雑な拡散特性をもつが、基本的にはガス透過速度は、クヌッセン拡散から分子篩の拡散の領域になり、ガスの分子量の平方根に逆比例するかまたは分子サイズの大きな分子の透過を著しく阻害する特性をもつようにして大きなサイズの分子は、ガス選択透過体を通過することができないようにする必要がある。
【0018】
そこで、3〜100Åに、実用的には5〜100Å、好ましくは3〜10Åと100Å以下に細孔径を制御したセラミック製で管状のガス選択透過体を用い、基本的にはセンサ素子を内部に収納したような状態でガスセンサを構成することが好ましい。
【0019】
すなわち、一般大気中、もしくは燃焼機器の排ガス中に含まれるガスは、最初に、3〜100Åに、実用的には5〜100Å、好ましくは3〜10Åに細孔制御された細孔へと拡散するが、細孔径より分子サイズの大きなガスたとえば、灯油蒸気やシリコーンオリゴマーなどは、ガス選択透過体の細孔を透過してセンサ素子の内部のガス検知部へ到達できない。また亜硫酸ガス(SO)や二酸化窒素(NO)などの反応性ガスは、分子量が大きいので細孔内を拡散し難く、ガス検知部まで到達する量が減少する。酸素、一酸化炭素、窒素などの低分子のガス分子はクヌッセン拡散に近い状態でガス検知部に自由に到達できる。
【0020】
このように細孔径のサイズが極めて重要で細孔径が100Å以上となるとガスの選択透過性が得られなくなるので、ガスの選択透過性が十分に発揮できるようにするためには、3〜10Åの細孔径にすることが望ましい。この場合、ガスの拡散は分子篩の領域となり完全な選択透過性が得られ、10Å以上100Åまでの場合には、クヌッセン拡散の領域になり、大きなサイズの分子は流入を規制されるため、白金電極または酸化触媒の劣化を防止し、長寿命化の寄与が期待できる。
【0021】
ガス選択透過体の形状は、円筒状、袋状、平板状など各種の形状が適用可能である。各種形状の酸素イオン導電性固体電解質素子をガス選択透過体と組み合わせて用いることができる。酸素イオン導電性固体電解質としては、各種材質が適用可能であるが、実用的にはイットリア安定化ジルコニアを用いるのが望ましい。
【0022】
また、固体電解質式ガスセンサに用いる白金電極は、極めて硫黄化合物の被毒に弱いという課題がある。硫黄化合物は、分子篩域までの細孔が実現すれば、流入はほぼ完全に規制されるが、実用的にはこれは困難な面がある。クヌッセン拡散域では、硫黄化合物、たとえば亜硫酸ガスは、流入が規制されるが、一部が流入するのは規制できない。そこで進入する亜硫酸ガスなどの酸性ガスを白金電極に到達させないため、アルカリ吸収体をセラミック繊維とともに混抄したセラミックペーパー層を触媒層の前流側に位置させるか、またはアルカリ吸収体を混在させた触媒層を設けるかして酸性ガスを吸収除去することが好ましい。
【0023】
また鉄、マンガン、銅、ニッケル、クロム、コバルトなどの金属酸化物系酸化触媒を貴金属系酸化触媒の上層に配置することで、経時的に触媒層の活性を向上させることができ、またこれらの金属酸化物系酸化触媒は、アルカリ吸収体としても働くので、白金電極の保護と経時的な劣化による活性の低下を防止することができる。
【0024】
平板状のガス選択透過体の細孔内に触媒を担持する構成も耐久性向上を意図しており、ガスの透過の規制される細孔内に触媒が配置されるため、触媒の劣化が進行し難く、実際に細孔のサイズが分布を持っているような場合にも、細かいサイズの部分にある触媒は極めて安定して継続的に機能を発揮し長寿命に繋がる。
【0025】
また固体電解質式ガスセンサの一酸化炭素の検出出力は、450℃付近で最大であるが、この動作を初期には500〜550℃に設定しておき、これを時間経過とともに温度を下げていくことで、経時的にセンサ出力を高めることができるので、フェールアウトのセンサ特性に対して、これをカバーするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態は、加熱手段とガスの出入り口に設けたガス選択透過体を備えたガスセンサにおいて、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の白金電極を形成し、その一方の白金電極上に酸化触媒をセラミック繊維とともに抄紙した触媒層を形成し、さらにその上に積層してアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層を形成し、他方の白金電極上にアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層を形成したものである。
【0027】
検出ガスは、全てガス選択透過体を通過して進入するため、分子量の大きな妨害ガスは進入が防止または規制される。特に白金電極の被毒に悪影響を与える亜硫酸ガスや二酸化窒素などの酸性ガスは仮に一部が進入したとしても、アルカリ吸収体で吸収されて除去されるため、触媒層および白金電極への到達が阻止され、長寿命化に繋がる。アルカリ吸収体としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩を主成分とするセラミック混合物や亜硫酸ガスや二酸化窒素などの酸性ガスと反応する金属酸化物を含有するセラミック混合物などを10〜100メッシュ程度の粒度に造粒して用いるのが望ましい。白金電極への酸素ガスの通気性は、セラミック繊維の中に触媒が通気性を阻害しない状態で分散されているので全く支障はなく、また触媒粉末をセラミック繊維ととおに混抄したセラミックペーパーは、無機接着剤で接着したり、無機繊維を用いて白金電極上に固定して保持しても良い。
【0028】
用いる電極は、白金電極系に限定されるが、これは必要なパターンにマスキングした状態でスパッタリングや電子ビーム蒸着により薄膜に形成しても良いし、また必要なパターンでの無電解メッキで形成しても良い。さらに少し性能は劣るが白金ペーストを用いたスクリーン印刷による厚膜印刷法で所定のパターンに形成しても良い。
【0029】
第2の実施の形態は、加熱手段およびガスの出入り口にガス選択透過体を備えたガスセンサにおいて酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の白金電極を形成し、その一方の白金電極上に酸化触媒およびアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した皮膜層を形成し、他方の白金電極上にアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層を形成したものである。
【0030】
アルカリ吸収体が酸化触媒とともにランダムに混在した状態となっているが、酸性ガスの吸収効果は、上記の場合と同様であり、白金電極への被毒ガスの到達が防止されるためセンサの長寿命が見込まれる。
【0031】
第3の実施の形態は、加熱手段およびガスの出入り口にガス選択透過体を備えたガスセンサにおいて、酸素イオン導電性固体電解質の表面に一対の白金電極を形成し、その一方の白金電極上に貴金属系酸化触媒をセラミック繊維とともに抄紙した第一の触媒層を形成し、さらにその上に積層して金属酸化物系酸化触媒をセラミック繊維とともに抄紙した第二の触媒層を形成し、他方の白金電極上にアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層を形成したものである。
【0032】
金属酸化物系酸化触媒としては、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、クロムなどの遷移金属酸化物を主成分とする複合酸化物または混合物を用いるが、これらの金属酸化物は、酸性ガスの亜硫酸ガスや二酸化窒素ガスをよく吸収するアルカリ吸収体としても機能する。
【0033】
また一酸化炭素の酸化機能は、貴金属系酸化触媒の方が活性が高いので、アルカリ吸収体として作用して酸性ガスを吸収した金属酸化物系酸化触媒が劣化すると、ついで貴金属系酸化触媒が酸化触媒としての機能を発揮することになり経時的に触媒活性が向上する特性を示すことができる。これは、劣化の進行によりセンサ出力が低下するというフェールアウト性をカバーすることになる。
【0034】
第4の実施の形態は、同一面上に一対の白金電極を形成し、その一方の白金電極上に酸化触媒およびアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した皮膜層を形成し、他方の白金電極上にもアルカリ吸収体をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層を形成した平板状の酸素イオン導電性固体電解質と、裏面にヒータ膜のような加熱手段を形成した平板状のガス選択透過体とを、一対の白金電極、触媒層、皮膜層の外周部においてガラス材により接合シールして平板状のガスセンサにしたものである。
【0035】
検出ガスは、平板状のガス選択透過体のみを通して流入し、ガス中の酸性ガスが一部通過したとしてもアルカリ吸収体を含む吸収層で吸収される。酸化触媒触を含む被膜層と対向する一方の白金電極と吸収層に対向する他方の白金電極とで酸素濃淡電池が形成され、一酸化炭素の濃度に対応したセンサ出力、すなわち起電力が得られる。
【0036】
第5の実施の形態は、同一面上に一対の白金電極を形成した平板状の酸素イオン導電性固体電解質と、この一方の白金電極に対向する領域の細孔内に酸化触媒を担持し、裏面にヒータ膜のような加熱手段を形成した平板状のガス選択透過体とを一対の白金電極の外周部においてガラス材により接合シールしたものである。
【0037】
酸化触媒がガス選択透過体の細孔内に形成されているため、あるサイズ以下の細孔内に存在する酸化触媒は劣化する可能性が極めて低くなり、長期間にわたって触媒の活性が維持される。
【0038】
第6の実施の形態は、ガス選択透過体として、アルミナもしくはフォルステライトを用いたものである。
【0039】
酸素イオン導電性固体電解質として、安価なイットリア安定化ジルコニアを用いるのが経済的であるが、イットリア安定化ジルコニアを用いて信頼性の高いガスセンサ素子を構成するには、ジルコニアと熱膨張係数が近似している材料を用いる必要があり、アルミナもしくはフォルステライトは熱膨張係数が近似しており効果的である。
【0040】
第7の実施の形態は、初期動作温度を500〜550℃に設定し、設定温度制御手段を用い、ガスセンサの動作時間に基づいて経時的に温度を下げるようにしたものである。イットリア安定化ジルコニアを用いた固体電解質式ガスセンサは、一酸化炭素について450℃付近で最大のセンサ出力を示すが、センサ温度を一定値に設定した場合、経時的に酸化触媒、白金電極の劣化が起こると、センサ出力は徐々に低下することになるので、初期設定では、センサ出力が小さい側の上記温度域に設定し、仮に、劣化が起こったとしても動作温度を初期設定温度から下げていくことでセンサ出力を増大させることができ、フェールアウトのセンサ特性をカバーすることができる。
【0041】
以下本発明の実施例について図1ないし図7を用いて説明する。
【0042】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の固体電解質式ガスセンサの断面概念図を示すものである。図1において、1は加熱手段で、鉄クロムやニクロムの電熱線をコイル状にして、接触加熱させても良く、また厚膜印刷により抵抗膜を形成して用いても良いが、この加熱手段1により、ガスセンサは必要な400〜500℃の温度域に加熱される。2はガス選択透過体で、形状は管状、平板状、袋状などの各種形状が適用可能であり、センサ素子部へ流入するガスが全てこのガス選択透過体2を通して行われるように構成する必要がある。本実施例の場合には、管状のガス選択透過体2を用い、その両端はシール材10を用いてシールする構成を採用している。シール材10としては、アルミナゾル、コロイダルシリカ、アルカリ金属珪酸塩、金属燐酸塩などの無機結合材を用いた接着材やガラス系組成物を用いる。
【0043】
つぎに、ガス選択透過体2の作製法の中で有力な方法であるゾル−ゲル法による多孔質体の細孔径の制御方法について説明する。基本製法は、精密濾過膜として一般に市販されている1ミクロンレベルの細孔を持つセラミック多孔体を基材として用いて、この細孔を閉じて作製するものである。
【0044】
アルミニウムイソプロボキシドやテトラエトキシシランなどの金属アルコキシドを加水分解した後、塩酸等の触媒条件下で縮重合させてゾル溶液を作成する。このゾル溶液は貫通する細孔を有する親水性の多孔性セラミックと接触させることにより、毛管力で水が吸引され、多孔性セラミックの細孔内でゾルの濃縮さらにはゲル化が起こる。必要により、ゾル溶液を多孔性セラミックを用いて濾過する方法も採用でき、この現象を利用して、細孔径の制御が可能になる。
【0045】
多孔性セラミックの細孔を金属アルコキシドから得たゾル水溶液とを接触させると、具体的には多孔性セラミックをソル溶液中に短時間浸漬させた後乾燥すると、細孔内でゲル化が起こり、細孔が閉塞される。多孔性セラミックの細孔表面の濡れ性、ゾルの濃度、浸漬時間を調整することにより2〜数Åレベルで均一な細孔径の制御ができる。
【0046】
ゾル−ゲル法以外にはCVD法を用い、流通系で化合物を熱分解させながら多孔性セラミックの細孔内に酸化物を形成成長させることにより細孔制御を行っても良い。この方法は円筒状のセラミックガス選択透過体を作製する方法として優れている。
【0047】
このようにして作製した細孔は、高分子量のガスは通過させなく、また細孔の内部に生成しているゲル皮膜との相互作用により、ガス透過性に選択性が発生する。すなわち、ガス分子とゲル分子との分子間力は永久双極子間の相互作用による配向力および永久双極子と誘起双極子間の誘起力およびファンデルワールス相互作用に基づく分散力により、ガス透過性に選択性が発生する。
【0048】
3は酸素イオン導電性固体電解質で、イットリア安定化ジルコニアなどを用い、この酸素イオン導電性固体電解質3の表面上に一対の白金電極4が形成されている。白金電極4は、所定のパターンにマスキングし、電子ビーム蒸着やスパッタリングなどにより薄膜を形成するのが特性的に有利で、早い応答性および大きなセンサ出力が得られる。しかし、特性は劣るがペーストを用いてスクリーン印刷した後、焼成して形成する厚膜印刷法や転写法により形成しても良い。図1では平板状の酸素イオン導電性固体電解質3の表、裏に、白金電極4を形成している。片方の白金電極4の上には、酸化触媒5をセラミック繊維とともに混抄して作製した触媒層6と、さらにこの上に積層してアルカリ吸収体7セラミック繊維とともに混抄した吸収層8を形成する。他方の白金電極4上には、アルカリ吸収体7をセラミック繊維とともに抄紙した吸収層9を形成する。
【0049】
酸化触媒5としては、白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属を多孔性担体上に担持した貴金属系触媒や、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルト、クロム系などの遷移金属酸化物などを含む混合物または複合酸化物触媒を用いることができ、シリカ、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック繊維と前記触媒粉末とをアルミナゾルやコロイダルシリカなどの無機結合材とともに水などの分散媒に分散攪拌したのち、フイルターで抄紙し、プレス、乾燥してシート状に作製する。金属酸化物微粉末を用いて抄紙する場合には、出来上がりの皮膜の通気性を改善するため10〜100メッシュ程度の粒度に造粒して用いるのが望ましい。
【0050】
アルカリ吸収体7としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩を主成分として結合材により多孔性の硬化体として用いるが、アルカリ吸収体7は造粒して用いるのが望ましい。
【0051】
つぎに、上記のようにして形成した固体電解質式ガスセンサの動作について説明する。ガスセンサの動作に必要な温度は、加熱手段1により供給され、燃焼ガスの排気流路にこのガスセンサを設置する。燃焼ガスはガス選択透過体2を介して検知部に流入するので、酸素イオン導電性固体電解質3へ流入するガスは選択され、被毒ガスの亜硫酸ガスは、ほとんど流入しないか、流入しても極めて規制された酸素イオン導電性状態となる。検出に必要な酸素、一酸化炭素のガスはガス選択透過体2による選択に影響されないので酸素イオン導電性固体電解質3に流入するので、この固体電解質3により一酸化炭素ガスの濃度に応じた起電力が出力され検出できる。亜硫酸ガスが一部流入したとしても、吸収層8、9のアルカリ吸収体7により吸収され、酸化触媒5、白金電極4は保護される。
【0052】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2の固体電解質式ガスセンサの概念図を示すものである。図1で説明した実施例1では、酸化触媒5をセラミック繊維とともに混抄した触媒層6の上にアルカリ吸収体7をセラミック繊維とともに混抄した吸収層8を形成しているのに対して、この実施例ではアルカリ吸収体7を酸化触媒5とともにセラミック繊維と混抄した一層から成る皮膜層11を形成しており、それ以外の構成は図1の場合と同様である。この実施例においては、酸化触媒5を含むの皮膜層11が実施例1の場合の積層よりは薄く形成できるので、酸素イオン導電性固体電解質3をガス選択透過体2の中に収納する際に、ガスセンサの寸法を小型化できる利点がある。被毒ガスである亜硫酸ガスなどの酸性ガスによる被毒防止効果については、酸化触媒5の保護の効果では実施例1の場合より劣るが、白金電極4の保護の効果は、実施例1の場合と同様である。
【0053】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3の固体電解質ガスセンサの断面概念図を示すものであり、実施例1および実施例2の場合と比較して異なるのは、酸化触媒5を含む触媒層6および被膜層11の構成である。この実施例3では、貴金属系の酸化触媒12をセラミック繊維とともに混抄した第一の触媒層6に積層して、金属酸化物系の酸化触媒13をセラミック繊維とともに混抄した第二の触媒層14を形成して用いる。
【0054】
貴金属系の酸化触媒12は、白金、パラジウム、ロジウムなどの貴金属元素の一種以上の元素をγアルミナなどの多孔質担体に担持して用いる。担体の粒度は、10〜100メッシュの範囲のものを用いるのが、通気性の面および抄紙工程を効率的に進める上で望ましい。
【0055】
金属酸化物系の酸化触媒13としては、鉄、マンガン、銅、ニッケル、クロム、コバルトなどの遷移金属の酸化物やペロブスカイト、スピネル構造などを持つ複合酸化物などを用いる。これらの酸化触媒は、一酸化炭素を酸化する触媒機能に加えて、被毒物質の亜硫酸ガスなどの酸性ガスを吸収または吸着する作用を有する。また一般的に、貴金属系の酸化触媒に対して金属酸化物系の酸化触媒の方が用いる量が多くなるので被毒に対しては、貴金属系の酸化触媒よりは、金属酸化物系の酸化触媒の方が耐久性が高くなる。この金属酸化物系酸化触媒の示す酸性ガスの吸収反応または吸着反応は結果的には、酸化触媒を劣化させることになるが、逆に下層にある貴金属系の酸化触媒12や白金電極4を被毒から保護する働きを持つことになる。また一般に一酸化炭素の酸化反応の活性は貴金属系の酸化触媒12の方が優れているため、一酸化炭素の酸化反応の面では、予め酸化能力の点で余裕がある状態に構成しておけば、経時的に上層の触媒層14劣化すると、酸化活性の高い下層の触媒層6が酸化反応に機能することになり、長寿命化の面で有利になる。ガスセンサとしての動作およびガス選択透過体2の効果は、実施例1および実施例2の場合と同様である。
【0056】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4における固体電解質ガスセンサの断面概念図を示すものであり、平板状に構成した例である。図4において、平板状の酸素イオン導電性固体電解質3の同一平面上に一対の白金電極4を形成し、その一方の白金電極4の上に酸化触媒5およびアルカリ吸収体7をセラミック繊維とともに混抄した皮膜層11を形成し、他方の白金電極4の上にアルカリ吸収体7をセラミック繊維とともに混抄した吸収層9を形成し、この状態で酸素イオン導電性固体電解質3と裏面にヒータ膜からなる加熱手段15を形成した平板状のガス選択透過体2とをガラス材16を用いて接合シールしてガスセンサを構成する。ここで用いるガラス材16としては、酸素イオン導電性固体電解質3およびガス選択透過体2と熱膨張係数差を生じないような材料を選択して用いる。なお、ガスセンサを構成する各要素は、既に実施例1で説明したと同様の方法で作製される。
【0057】
センサの駆動に必要な加熱は、加熱手段15で行われ、ガス選択透過体2はその片面に加熱手段15が形成してあるが、そのガス選択透過性は全く損なわれることはない。一酸化炭素の検出に必要な酸素および一酸化炭素また触媒反応により形成される二酸化炭素は、ガス選択透過体2を介して出入りでき、これにより一酸化炭素を検出して、起電力出力が発生する。ガスセンサとしての耐久性に関しては、分子量の大きな亜硫酸ガスや灯油蒸気などは、ガス選択透過体2によりその流入が規制されることで先ず保護され、もし一部の亜硫酸ガスが流入したとしても、吸収層9および被膜層11のアルカリ吸収体7で吸収されるので、酸化触媒5、白金電極4の被毒は保護されることにより長寿命のガスセンサが実現できる。
【0058】
(実施例5)
図5は本発明の実施例5における固体電解質式ガスセンサの断面概念図を示すもので、実施例4の場合と同様に平板状に構成した例である。この実施例5の構成では、平板状の酸素イオン導電性固体電解質3の同一平面上に一対の白金電極4を形成し、一方の白金電極4に対向する領域の細孔内に酸化触媒17を担持し、裏面にヒータ膜からなる加熱手段15を形成した平板状のガス選択透過体2と、前記の酸素イオン導電性固体電解質3とを一対の白金電極4の外周を囲むようにガラス材16によりシールしている。細孔内に担持する酸化触媒17は、貴金属系の酸化触媒の水溶液を、細孔部分のみは開孔し、他はマスキングして閉孔した状態のガス選択透過体2により濾過して吸着させた後、フォルマリンアルカリや水素化硼素ナトリウムなどの還元剤溶液を用いる湿式法または300〜500℃程度の加熱下で水素気流中で還元する乾式法により作製することができる。
【0059】
つぎにこのガスセンサの動作について説明する。
【0060】
ガスセンサの駆動に必要な加熱は、加熱手段15で行われ、ガス選択透過体2にはその片面に加熱手段155が形成してあるが、そのガス選択透過性は全く損なわれることはない。一対の白金電極4のうち、酸化触媒17に対向する一方の白金電極4には、酸素は支障なく到達するが、細孔内の酸化触媒17によって完全に酸化されてしまうために一酸化炭素は到達しない。他方の白金電極4へは、一酸化炭素、酸素が到達するので、一酸化炭素を検出して、起電力出力が発生する。
【0061】
酸化触媒17は細孔内に存在しているので、触媒は裸の場合と比較して亜硫酸ガスなどの被毒から保護され、ガス選択透過体2の被毒防止効果は、すでに記載した実施例の場合と同様である。
【0062】
実施例4および実施例5における構成の場合、いずれも異種材料が加熱下で接触する条件にあることから熱安定性が課題になり、酸素イオン導電性固体電解質3として、イットリア安定化ジルコニアを用いる場合、ガス選択透過体2の材料としては、イットリア安定化ジルコニアと熱膨張係数が近いアルミナまたはフォルステライトを用いるのが望ましい。
【0063】
平板状のガス選択透過体2の作製法は以下の手順で行うことができる。先ず、焼結法によりて多孔体化し、ドクターブレード法などで平板に作製した平板状多孔体を実施例1の場合に記載したゾル−ゲル法やCVD法などにより細孔経を閉塞させ、径を制御して作製する。多孔体の内部に細孔を含むので、この空気孔が熱衝撃を緩衝して熱膨張収縮のサイクルに強くなる利点がある。
【0064】
つぎに上記で説明した本実施例によるガスセンサについてその耐久性を評価した試験結果を示す。
【0065】
ガス選択透過体は、一般に焼結法により作製された精密濾過用の目的に用いられているものをセラミックフィルターのベースとし、これを加工して作製する。焼結法により作製されるセラミックフィルターは、細孔径が0.1ミクロンが限界であるので、これをガス選択透過の目的に利用できるようにするためには、この細孔を塞ぐ処理が必要である。そこで、市販のアルミナ精密濾過管(3.0/2.5mmφ)を用い、これをアルミニウムポリマーにより塞いでガス選択透過体とした。
【0066】
アルミニウムポリマーはゾル−ゲル法により作製した。すなわちアルミニウムイソプロポキシドを80℃にて24時間加水分解したのち、塩酸触媒下で煮沸下で48時間重合反応させて作製した。ガス選択透過体の処理は、先のポリマー溶液中にアルミナ精密濾過管を約10秒間浸漬したのち約8時間室温で乾燥させ、ついで50K/hで773Kまで焼成して作製した場合には、細孔径は、約800Åと大きかった。次に、アルミナポリマーを用いて、約3分間、濾過管で濾過させた後、約8時間室温で乾燥させ、ついで50K/hで773Kまで焼成する操作を何回か繰り返して細孔径の制御を行った処、ベーマイト膜はγアルミナに変化していた。分画分子量の評価および走査型電子顕微鏡で直接確認したところ約4回の処理で細孔径は約50Åであった。このようにして、セラミック製ガス選択透過管を作製し、35cmの長さで処理し、必要なサイズにダイヤモンドカッターで切断してセンサに用いた。
【0067】
1.5×8mm(板厚:0.25mm)のジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア:イットリア8MOL%品)の基板温度を300℃とし、その表裏面に電極面積1×6mmの寸法で対向するようにスパッタリングにより白金電極を作製し、市販の白金ペーストを用いて、0.1mmの白金リード線を接合した。
【0068】
次に触媒層および吸収層は以下の手順で作製した。
【0069】
先ず触媒層については、粒径が40/60メッシュのγアルミナ上に0.1wt%の白金およびパラジウムを坦持し、塩化白金酸、塩化パラジウムの硝酸、塩酸水溶液を吸着させた後、水素化ホウ素ナトリウム水溶液にて還元して触媒を作製し、シリカアルミナ繊維とともに700g/mの坪量にて混抄し、0.5mmの触媒含有セラミックシートを作製した。
【0070】
また吸収層として、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、アルミン酸石灰を重量部で1/1/1に配合し、水を加えて造粒して60/80メッシュの粉末とし、この粉末を前記と同様にして、シリカアルミナ繊維と混抄して坪量600g/mで0.3mmの膜厚のアルカリ吸収体含有セラミックシートを作製した。
【0071】
触媒含有のシートおよびアルカリ吸収体含有シートをそれぞれカッターでジルコニア基板と同じ寸法に切断した後、アルミナゾルを用いてジルコニア基板上に、片側の表面は触媒含有のシートを下にアルカリ吸収体含有のシートを上に積層し、また他側の表面はアルカリ吸収体含有のシートのみを接着したのち、ガス選択透過体(寸法12mm)の中に収納し、白金リード線を取り出した状態で、充填材を含む珪酸塩系接着材で、管状のガス選択透過体の両端をシールして実施例1の場合と同じ構成の素子とし、以下素子Aとする。比較例として、ジルコニア基板の片面に触媒含有のシートのみを接着した素子を素子Bとし、この素子を上記と同様の構成で筒状のガス選択透過体に収納した素子を素子Cとして作製した。
【0072】
素子A、B、Cについて、流通型のガスセンサ特性評価試験装置を用い、450℃の大気中における一酸化炭素濃度とセンサ出力特性とを評価した結果は図6に示す通りである。図6からガスセンサの一酸化炭素の検出能力には差がないことが分かる。
【0073】
素子Aの温度特性を図7に示すと、この図7より、出力は、400℃付近で最大となることが分かる。従って素子温度は初期動作温度を500〜550℃に設定しておき、設定温度制御手段を用いて、センサの動作時間に基づいて経時的に下げることでセンサ出力を高めることが可能になる。一般に化学センサの出力は経時的劣化により低下し、固体電解質式ガスセンサの場合も例外ではないので、上記手段により化学センサの劣化にともなうフェールアウト性の弱点をカバーすることができる。
【0074】
次に耐久性の影響を評価するために、燃焼機器(FF式ガス給湯機)の排ガス流路に素子A、B、Cを設置し、排ガスに亜硫酸ガスを100PPM添加してセンサの特性変化を評価した。素子Bは、約50時間で劣化したのに対して素子A、Cは2500時間経過しても異常は認められず現在も継続試験中であり、耐久性に関して有効な効果を確認した。
【0075】
【発明の効果】
本発明のガスセンサは以上説明したような形態で実施され、次の効果が得られる。
【0076】
(1)一酸化炭素の検出に関し、フェールアウトの弱点をカバーすることが出来、素子構成の信頼性が高く燃焼機器等に設置するのに好適である。
【0077】
(2)化学センサの実用面において、従来から最大の課題とされていた耐久性に関して、妨害ガスのセンサ素子への到達を規制するガス選択透過体を用い、この中にガスセンサを収納し、ガスセンサへの被毒影響を持つ酸性ガスを吸収するアルカリ吸収体を設ける2重の防止効果により飛躍的な長寿命化が見込まれ、極めて高信頼性のガスセンサシステムが構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1におけるガスセンサの断面概念図
【図2】 本発明の実施例2におけるガスセンサの断面概念図
【図3】 本発明の実施例3におけるガスセンサの断面概念図
【図4】 本発明の実施例4におけるガスセンサの断面概念図
【図5】 本発明の実施例5におけるガスセンサの断面概念図
【図6】 本発明の実施例におけるガスセンサのセンサ出力特性の評価試験結果を示すグラフ
【図7】 本発明の実施例におけるガスセンサの温度特性の評価試験結果を示すグラフ
【符号の説明】
1、15 加熱手段
2 ガス選択透過体
3 酸素イオン導電性固体電解質
4 白金電極
5、12、13、17 酸化触媒
6、14 触媒層
7 アルカリ吸収体
8、9 吸収層
11 被膜層

Claims (7)

  1. 加熱手段とガスの出入り口に設けたガス選択透過体と、酸素イオン導電性固体電解質の表面に設けた一対の白金電極と、一方の白金電極上に形成した酸化触媒とセラミック繊維とを含む触媒層およびアルカリ吸収体とセラミック繊維とを含む吸収層の積層と他方の白金電極上に形成したアルカリ吸収体とセラミック繊維とを含む吸収層とを有するガスセンサ。
  2. 加熱手段と、ガスの出入り口に設けたガス選択透過体と、酸素イオン導電性固体電解質の表面に設けた一対の白金電極と、一方の白金電極上に形成した酸化触媒、アルカリ吸収体およびセラミック繊維を含む皮膜層と、他方の電極上に形成したアルカリ吸収体およびセラミック繊維を含む吸収層とを有するガスセンサ。
  3. 加熱手段と、ガスの出入り口に設けたガス選択透過体と、酸素イオン導電性固体電解質の表面に設けた一対の白金電極と、一方の白金電極上に形成した貴金属系酸化触媒とセラミック繊維とを含む触媒層および金属酸化物系酸化触媒とセラミック繊維とを含む触媒層の積層と、他方の白金電極上に形成したアルカリ吸収体とセラミック繊維とを含む吸収層とを有するガスセンサ。
  4. 平板状の酸素イオン導電性固体電解質の同一面上に一対の白金電極を設け、一方の白金電極上に酸化触媒、アルカリ吸収体およびセラミック繊維を含む皮膜層を形成し、他方の白金電極上にアルカリ吸収体およびセラミック繊維を含む吸収層を形成し、前記酸素イオン導電性固体電解質と裏面に加熱手段を形成したガス選択透過体とを接合シールしたガスセンサ。
  5. 同一面上に一対の白金電極を形成した平板状の酸素イオン導電性固体電解質と、一方の白金電極に対向する領域の細孔内に酸化触媒を担持し、裏面に加熱手段を形成したガス選択透過体とを接合シールしたガスセンサ。
  6. ガス選択透過体として、アルミナもしくはフォルステライトのいずれかを用いた請求項4または5のいずれか1項記載のガスセンサ。
  7. 初期動作温度は500〜550℃とし、動作時間に基づいて経時的に温度を下げる設定温度制御手段を備えた請求項1ないし6のいずれか1項記載のガスセンサ。
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