JP2000221163A - ガスセンサ素子 - Google Patents

ガスセンサ素子

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JP2000221163A
JP2000221163A JP11021898A JP2189899A JP2000221163A JP 2000221163 A JP2000221163 A JP 2000221163A JP 11021898 A JP11021898 A JP 11021898A JP 2189899 A JP2189899 A JP 2189899A JP 2000221163 A JP2000221163 A JP 2000221163A
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gas
ceramic
selective permeable
oxidation catalyst
sensor element
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JP11021898A
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Masao Maki
正雄 牧
Takashi Niwa
孝 丹羽
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
Takahiro Umeda
孝裕 梅田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、不完全燃焼を検出し、警報を出す
ための一酸化炭素センサ素子に関するもので、安定した
性能および寿命を実現することが課題である。 【解決手段】 加熱手段2を備えた絶縁性基板1および
一対の白金電極4を片方の面に備えた酸素イオン導電性
固体電解質3およびセラミックガス選択透過体5および
酸化触媒を備えたガスセンサ素子においてセラミックガ
ス選択透過体5の表面上の一部に酸化触媒6を担持する
構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種燃焼機器の排
ガス中の可燃性ガスを検出するセンサに関し、特に過酷
な使用環境におけるセンサ動作の安定性および耐久性に
優れたものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から提案されているガスセンサとく
に一酸化炭素を検知する化学センサとしては、電解液に
一酸化炭素を吸収して酸化する電極を設けて、一酸化炭
素濃度に比例する電流値から一酸化炭素濃度を検知する
方式(定電位電解式ガスセンサ)、貴金属などの微量の
金属元素を添加して増感したN型半導体酸化物、例えば
酸化スズなどの焼結体タイプを用いて、これらの半導体
が可燃性ガスと接触した際に電気電導度が変化する特性
を利用してガスを検知する方式(半導体式ガスセン
サ)、20μm程度の白金の細線にアルミナを添着し、
貴金属を担持したものと担持しないものとの一対の比較
素子を用いて一定温度に加熱し、可燃性ガスがこの素子
に接触して触媒酸化反応を行った際の発熱差を検出する
方式(接触燃焼式ガスセンサ)などが知られている。
【0003】例えば[文献1]大森豊明監修:「センサ
実用事典」:フジ・テクノシステム[第14章 ガスセ
ンサの基礎(春田正毅担当)、P112−130(19
86)に詳しい記述がある。
【0004】また、ジルコニア電気化学セルを構成し、
電極の一方側に白金/アルミナの触媒層を形成して一酸
化炭素を検出する固体電解質式一酸化炭素センサも提案
されている(例えば、H.OKAMOTO、H.OBAYASI AND T.KUD
O,Solid State Ionics、1、319(1980)参照)。
【0005】この固体電解質式一酸化炭素センサの原理
は、触媒層側と裸側の電極上で一種の酸素濃淡電池がで
きることによるもので、触媒層側の電極では、酸素がそ
のまま到達し、一酸化炭素が到達しない状態にあるのに
対して、裸側の電極では、酸素も一酸化炭素も到達し、
この一酸化炭素が酸素を還元し、両者の電極の間に酸素
濃淡電池が形成され、起電力出力が現れることを利用す
るものである。
【0006】またガス選択透過透過体については、セラ
ミックガス分離膜すなわち無機分離膜が提案されている
(例えば、大久保達也、諸岡成冶、「無機分離膜の現状
と今後の展開」、ケミカルエンジニアリング、12、1
[1988、1989]参照)。しかし、無機分離膜を
ガスセンサに応用することの提案は、従来においてはな
されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの化学センサ
は、いずれも以下の欠点を有している。特に、従来から
ガスセンサとして広く用いられている化学センサの最大
の課題は、それが安全性に関わる決定的なセンサである
にも拘わらず、どうしてもフェールアウトの検出システ
ムになってしまうことである。これは、原理的には、セ
ンサとしての信号が一酸化炭素を検出しないときにはゼ
ロとなり、一酸化炭素の検出により信号を出力し、また
センサの劣化によりこの出力信号が低下してしまうこと
に要因がある。
【0008】具体的にフェールアウトの問題点を説明す
ると、例えば、一酸化炭素センサを用いて一酸化炭素の
濃度の臨界値を設定し、対象の一酸化炭素濃度がこの臨
界値を越えると安全上支障がでるため機器を停止させる
条件で機器が設計されたとする。万が一のトラブルが発
生したとしても、機器としては、最終的に安全側に動作
するように機器を設計するのがフェールセーフの設計思
想になるが、従来からの化学センサ方式の一酸化炭素セ
ンサの場合、劣化のトラブルにより、実際には、一酸化
炭素がある臨界値以上に発生しているにも拘わらず動作
しないという危険性を含んでいる。これはシステムがフ
ェールセーフになっておらず、フェールアウトになって
いるためで、システムの安全性からすると致命的な問題
となる。
【0009】これは、センサの故障に関して、加熱手段
の断線などの問題は検出できたとしても、センサ自体が
劣化したか否かの判定ができていないことと関係する。
また、機器の寿命よりもセンサのライフが短いことにも
関係する。
【0010】ガスセンサを燃焼機器に搭載して不完全燃
焼の検出の目的に用いる場合、不完全燃焼の危険性が増
加するのは、燃焼機器をかなり使い込んだ後の状態にあ
る場合の方が多いが、そのときにはガスセンサの劣化が
進行している可能性があり、ガスセンサの劣化により出
力信号が低下すると不完全燃焼を検出できないという問
題点があった。
【0011】これは、化学センサの出力が低下、すなわ
ち劣化するのは、化学センサの中心的な機能を担う電極
や触媒が反応の進行とともに経時的に劣化することによ
るものであり、この劣化は、燃焼の排気ガス中に存在す
る水素、炭化水素などの還元性ガスで触媒が還元された
り、電極表面に硫黄系化合物などが強く吸着したりし
て、一酸化炭素の検出反応が阻害されることによる。こ
れらの化学センサでは、センサ機能の中心を担う電極ま
たは触媒などに貴金属を用いる場合が多いが、これらの
貴金属は、硫黄系化合物やシリコーン系化合物に弱くて
劣化し易く、耐久性の確保が非常に困難になるという問
題点があった。また燃焼機器の排気ガスに共存する炭化
水素は、分子量も大きく、分子のサイズも大きいため、
白金のような貴金属表面に吸着すると、一酸化炭素の吸
着が阻害され、妨害ガスとして悪影響を及ぼすという問
題点もあった。
【0012】さらに、本質的にセンサシステムがフェー
ルセーフでないため、これを高い信頼性で実用化できる
ようにするためには、極めて耐久性において信頼度が高
いセンサが求められるが、現在、思想的レベルにおいて
も耐久性の保証をきちんと確立できたセンサシステムは
実現されていないという問題点もあった。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明のガスセンサ素子は、加熱手段を備えた
絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備えた酸
素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス選択透
過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子においてセ
ラミックガス選択透過体の表面上の一部に酸化触媒を担
持した構成を用いる。
【0014】本発明の基本思想は、センサの劣化は、大
部分が共存ガスによって生じるので、一酸化炭素の検出
に必要なガス以外の共存ガスは、固体電解質素子の電極
部に触れさせないようにすれば、半永久的な耐久性が実
現でき、半永久的な耐久性が実現できれば、実用的に
は、フェールアウトが問題にはならないという考え方で
ある。すなわち、上記ガス選択透過体を介して、固体電
解質素子の電極に被検出ガスを含む気体が接触する構成
によって、センサ寿命に悪影響を及ぼす共存ガスの電極
面への到達を規制するものである。すなわち酸素イオン
導電体を用いる固体電解質式一酸化炭素センサの最大の
課題である電極の一酸化炭素以外のガス例えば亜硫酸ガ
スによる劣化に対して、細孔径を制御してなるガス選択
透過体によりその電極面への侵入を抑制または遮断する
ことで防止するものである。
【0015】ガス選択透過体は、その細孔を制御した多
孔体を用いて、多孔体中におけるガスの透過速度の違い
を利用して、被検出ガスと検出に不要な共存ガスとの分
離を行う。
【0016】一般に多孔体の細孔内での気体分子の透過
機構は、以下のように変化する。気相での流れは、分子
間の衝突が支配的な粘性流領域から、細孔サイズが小さ
くなるとともに、分子−細孔壁間の衝突が支配的なKnud
sen(クヌッセン)拡散領域に移行する。この時、分子
の個々の性質が現れるようになり、透過速度の比は理論
的には、分子量の比の平方根で与えられる。さらに、細
孔が小さくなり、分子のサイズになると、気体分子は流
れに垂直な方向の運動の自由度を失い、気体として存在
することができなくなる。この状態を分子篩と呼んでい
る。また、分子が細孔の壁面に吸着しつつ輸送される表
面拡散が気相流と併存する。とくに、圧力が毛管凝縮圧
を越えると、吸着層が全細孔を覆うため、表面拡散は毛
管凝縮流に移行する。
【0017】固体電解質式一酸化炭素の場合には、ガス
検知素子の動作に必要な一酸化炭素と酸素に対して、悪
影響を及ぼす亜硫酸ガスおよび灯油蒸気などの炭化水素
ガスなどの共存ガスとは、分子量が異なるので、クヌッ
セン拡散領域の細孔サイズで、個体電解質上の電極部へ
の流入を規制することができる。さらに、表面拡散、毛
管凝縮流、分子篩を利用することで、分離能を高めるこ
とができる。本発明では、とくに、オングストロームオ
ーダーでの細孔径の制御と、細孔内の表面の化学的な改
質を目的とした細孔内への被膜形成により、有効なガス
選択透過性を多孔体に付与して用いる。
【0018】本発明の構成上におけるもう一つのポイン
トは、片方の電極へ流入する一酸化炭素を酸化する目的
に用いる酸化触媒の配置構成にある。本発明では、酸化
触媒をセラミックガス選択透過体の表面上の一部に担持
した構成を持たせる。酸化触媒を担持させる部分は、大
部分のガスが酸素イオン導電性固体電解質上の片方の白
金電極に流入する部分に対応する部分である。これによ
り、電極間での酸素濃淡電池を形成するものである。
【0019】一酸化炭素を酸化するための触媒の能力に
ついては、固体電解質素子を駆動させるための加熱手段
により、素子全体が400〜500℃に加熱されて用い
られるので、酸化触媒としては、格別に著しい高活性を
備えていなかったとしても、温度的に十分な余裕がある
ため、セラミックガス選択透過体の表面上の一部に担持
する構成のレベルで十分な機能が見込めるためである。
本構成により、ガス選択透過体と酸化触媒とが、一体化
した構成になり、別途多孔性触媒をセンサ素子に配する
場合と比較して、ガスセンサ素子は、極めて作りやすい
構成になる。
【0020】酸素イオン導電性固体電解質素子を駆動さ
せる熱源としては、アルミナなどの耐熱絶縁性基板上に
加熱手段を形成して用いる。加熱手段としては、抵抗ヒ
ータ膜などの手段が適用でき、抵抗ヒータ膜に用いる材
料としては、白金など貴金属系のものが耐久性の点では
望ましい。また加熱手段と併用して、必要に応じて、サ
ーミスタ、熱電対などの温度検知手段を併用して温度制
御を実施しても良い。
【0021】ガス選択透過体のベースとなるセラミック
の多孔体基材について以下に説明する。セラミックの多
孔体基材は、すでに多孔性セラミックまたは多孔性ガラ
スとして市販されているものを用いて作製する。多孔性
セラミックまたは多孔性ガラスはセラミックフィルター
として各種用途に利用されおり、例えば、ビールの酵母
の分離などに利用されていることはよく知られている。
その孔径は0.05μmから数μm程度であるが、このま
までは、ガスの選択透過性は得られないので、その細孔
を埋めて細孔径を制御する必要がある。
【0022】細孔径の制御方法としては、細孔表面上に
ゾル−ゲル皮膜を形成して行う方法。または、熱分解に
より細孔内に皮膜を形成して細孔を制御するCVD法な
どが有力な方法であるが、これまで知られている各種皮
膜形成法が適用可能である。
【0023】この中で、例えば、金属アルコキシドの分
解反応(ゾルゲル法)やCVD反応を利用する方法は有
効で、細孔径をガスの分子拡散領域の孔径まで制御する
ことができる。これらの方法によると孔径は、平均細孔
径で10Å以下の均一な細孔に制御できる。ゾルゲル法
よりは、CVD法の方が細孔径をより細かく均一に制御
することができる。この場合の細孔のサイズは、ガス分
子のサイズまでにする必要があり、多孔体の細孔内にお
けるガスの移動は、細孔表面の物質とガスとの相互作用
の影響も加わり、現実には複雑な拡散特性をもつが、基
本的にはガス透過過程は、分子篩拡散または表面拡散の
領域になり、分子のサイズの大きな分子の透過を著しく
阻害するかまたは、細孔内壁との親和性によって拡散特
性が規制されるような特性をもつようにして、大きなサ
イズの分子または細孔内壁との親和性の低い分子は、ガ
ス選択透過体を通過することができないようにする必要
がある。
【0024】本発明の構成で、細孔径を制御したセラミ
ックガス選択透過体と電極が密着するように配置して構
成されるので、多孔体の細孔径分布が、仮に不均一で欠
陥(大きな細孔)が含まれたとして、その部分の電極は
被毒ガスにより、被毒して劣化することがあっても、正
常な細孔に接触する電極部は、保護され劣化が避けられ
ることになる。
【0025】本発明のガスセンサの動作について、以下
に説明する。すなわち、一般大気中、もしくは燃焼機器
の排ガス中に含まれるガスは、必ずガス選択透過体の細
孔を経由して電極に流入するが、ガス選択透過体の細孔
径より分子サイズの大きなガスたとえば、灯油蒸気やシ
リコーンオリゴマーなどは、電極表面へ透過できないま
たは透過が著しく規制される。またSO2やNO2などの
反応性ガスは、分子量が大きいことと細孔壁との親和性
が悪く細孔内を拡散し難く、ガス検知部までほとんど到
達できなくなる。酸素、一酸化炭素、窒素などの低分子
のガス分子はクヌッセン拡散に近い状態でガス検知部に
自由に到達できる。水蒸気は、細孔壁との親和性が悪い
ため、細孔内で毛管凝縮することはなく、したがって細
孔が閉塞してしまうこともない。以上の構成により白金
電極の劣化を防止するため、ガスセンサの長寿命化が見
込める。酸素イオン導電性固体電解質上の電極へは、一
酸化炭素については、ガス選択透過体の表面の一部に設
けられた酸化触媒により、片側の電極には、一酸化炭素
を含まない状態で、他方の電極には、一酸化炭素を含ん
だ状態で到達するので、酸素濃淡電池が形成され、一酸
化炭素を含む空気に対しては、起電力出力が得られる。
【0026】ガス選択透過体を介して、固体電解質素子
の電極面に被検出ガスを含む気体が到達する構成を用い
ることで、一般には、ガス検知素子を単独で用いる場合
と比較して、応答性が損なわれたり、感度が低下したり
することが懸念される。本発明のガスセンサは、応答性
には、ほとんど影響しない。ガス選択透過体は、検出対
象ガスである一酸化炭素の透過を妨害するものではない
ため当然の挙動である。また、感度については、固体電
解質素子の場合には、センサ出力の若干の低下が認めら
れる。ただし、これは実用上支障のないレベルである。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態は、加
熱手段を備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方
の面に備えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミ
ックガス選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ
素子においてセラミックガス選択透過体の表面上の一部
に酸化触媒を担持して構成する。詳細には、加熱手段を
備えた絶縁性基板の加熱手段のない面と、片方の面に一
対の白金電極を形成した酸素イオン導電性固体電解質の
非電極面とを積層接合し、固体電解質の電極面側に表面
上の一部に酸化触媒を担持したセラミックガス選択透過
体をさらに積層接合して構成する。接合は、無機接着剤
または、ガラスなどを用いて、外周や面の機能上支障の
ない面内の部分について行う。酸化触媒としては、細孔
制御したコーティングの上にそのままかまたは、γアル
ミナなどの耐熱性多孔性担体をウオッシュコートした上
に、鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルトなどの遷移
金属酸化物や複合酸化物および白金、パラジウム、ロジ
ウムなどの貴金属を担持した触媒のいずれも用いること
ができる。耐水蒸気安定性の観点からは、貴金属系が望
ましい。
【0028】このような構成において、一酸化炭素を含
んだ空気がセンサ素子に到達した場合、固体電解質上の
電極間で酸素濃淡電池が形成され、一酸化炭素濃度に対
応した起電力出力が間違いなく得られる。すなわち、絶
縁性基板上の加熱手段により酸素イオン導電性固体電解
質平板の動作および酸化触媒の触媒活性に必要な温度が
確保される。いずれも途中のガス選択透過体を介して、
酸素イオン導電性固体電解質の一対の電極へは、片方
は、一酸化炭素を触媒酸化した後の空気、他方はそのま
ま一酸化炭素を含有した空気が到達する。従って、両電
極間には、酸素濃度の差が発生し、一酸化炭素濃度に関
係した起電力出力が得られる。
【0029】上記の構成により、酸素イオン導電性固体
電解質式一酸化炭素センサの最大の課題である電極の劣
化は、以下のように防止される。電極を劣化させるガス
は、細孔径を制御して成るセラミックガス選択透過体に
より電極面への流入が規制またはブロックされることで
電極の劣化が防止される。とくに電極とガス選択透過体
とが密着した配置であるため、本実施形態の場合には、
分子サイズの大きな妨害ガスが流入しても、その細孔に
密着しているガス検知素子の部分は局部的に劣化するこ
とがあっても、異常のない大部分の細孔については、効
果が持続するため、実用的な信頼性のレベルが高いガス
センサが実現できる。以上により、従来から課題であっ
た化学センサの最大の弱点である不安定性、すなわちガ
ス検知素子の中心の機能を担う電極の劣化により、ゼロ
点が経時的に大きく移動したり、センサ出力が低下した
りするなどの耐久性にまつわる問題点を解消できる。
【0030】本発明の第二の実施の形態は、加熱手段を
備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備
えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス
選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子にお
いて酸化触媒をセラミックガス選択透過体の素子として
の外表面側の一部に担持して構成する。酸化触媒は、セ
ンサ素子において、ガス選択透過体の外側面の一部に配
置される。センサ素子の形成法は、第1の実施の形態の
場合と同様、各要素を積層し接合して行う。本構成にお
いて、一酸化炭素の検出能力を備えていることおよびそ
の際にガス選択透過体により固体電解質上の電極が保護
されることは、第1の実施例の場合と同様である。
【0031】本構成では、酸化触媒がガスの流れの前流
側に配置されるため、ガス選択透過体により保護されな
いが、センサの製造面で作りやすい利点がある。このよ
うにして構成したセンサが耐久性および動作の安定性の
面で優れていることは第一の実施の形態の場合と同様で
ある。
【0032】本発明の第三の実施の形態は、加熱手段を
備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備
えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス
選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子にお
いて酸化触媒をセラミックガス選択透過体の素子として
の内表面側の一部に担持して構成する。センサ素子の形
成法は、第1の実施の形態の場合と同様、各要素を積層
し接合して行う。
【0033】本構成において、一酸化炭素の検出能力を
備えていることおよびその際にガス選択透過体により固
体電解質上の電極が保護されることは、第1の実施例の
場合と同様である。
【0034】本構成では、酸化触媒がガスの流れの後流
側に配置されるため、酸化触媒もガス選択透過体により
保護され被毒防止効果を受ける。このようにして構成し
たセンサが耐久性および動作の安定性の面で優れている
ことは第一の実施の形態の場合と同様である。
【0035】本発明の第四の実施の形態は、加熱手段を
備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備
えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス
選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子にお
いて、酸化触媒として、セラミック多孔体の一部に酸化
触媒を担持したものを用いて、前記担持体を酸素イオン
導電性固体電解質とセラミックガス選択透過体との間に
配して構成する。本構成の場合もセンサ素子の形成法
は、第1の実施の形態の場合と同様、各要素を積層し接
合して行う。
【0036】酸化触媒を担持するセラミック多孔体は、
ジルコニア系もしくは、アルミナ系などのセラミック多
孔体で、細孔制御を行う前のセラミック多孔体もしくは
細孔制御の皮膜形成したガス選択透過体をそのまま用い
る。酸化触媒としては、そのままかもしくは、γアルミ
ナなどの耐熱性多孔性担体をウオシュコートした上に、
鉄、マンガン、銅、ニッケル、コバルトなどの遷移金属
酸化物や複合酸化物および白金、パラジウム、ロジウム
などの貴金属を担持した触媒のいずれも用いることがで
きる。耐水蒸気安定性の観点からは、貴金属系が望まし
い。
【0037】本構成において、一酸化炭素の検出能力を
備えていることおよびその際にガス選択透過体により固
体電解質上の電極が保護されることは、第1の実施例の
場合と同様である。
【0038】本構成でも酸化触媒がガスの流れの後流側
に配置されるため、酸化触媒系は、前流側のガス選択透
過体により保護され被毒防止効果を受ける。このように
して構成したセンサが耐久性および動作の安定性の面で
優れていることは第一の実施の形態の場合と同様であ
る。
【0039】本発明の第五の実施の形態は、加熱手段を
備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備
えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス
選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子にお
いて、酸化触媒として、セラミック多孔体の一部に酸化
触媒を担持したものを用いて、前記担持体をセラミック
ガス選択透過体の外表面側に配して構成する。セラミッ
ク多孔体およびその表面上への酸化触媒の担持は、第4
の実施の形態の場合と同様である。第4の実施の形態と
は、酸化触媒を担持したセラミック多孔体をセラミック
ガス選択透過体の前流側に配置する点が異なる。本構成
において、一酸化炭素の検出能力を備えていることおよ
びその際にガス選択透過体により固体電解質上の電極が
保護されることは、第1の実施例の場合と同様である。
このようにして構成したセンサが耐久性および動作の安
定性の面で優れていることは第一の実施の形態の場合と
同様である。
【0040】本発明の第六の実施の形態は、加熱手段を
備えた絶縁性基板および一対の白金電極を片方の面に備
えた酸素イオン導電性固体電解質およびセラミックガス
選択透過体および酸化触媒を備えたガスセンサ素子にお
いて、酸化触媒として、酸化セリウムおよびジルコニ
ア、シリカの群から選定した一種以上を含む被膜上にパ
ラジウム、白金、ロジウムの群から選定した一種以上の
貴金属を担持してなる触媒を用いて構成する。ジルコニ
ア、シリカは、セラミック多孔体の細孔制御の目的に用
いる。すなわち、焼結法で作製されたセラミック多孔体
(平均細孔径がル0.1μmから1μm程度)の細孔をコ
ーティングにより選択透過性が発揮される細孔サイズに
制御する。ジルコニア、シリカの皮膜の形成法は、ソル
ゲルなどの湿式法またはCVD法など乾式法のいずれの
方法を用いても良い。これらの皮膜は、アルミナなど比
較してとくに耐酸性が優れており、疎水性も備えている
ため、燃焼機器の排ガス系という過酷な環境で、有効な
ガス選択透過性を発揮できる。一方、酸化セリウムは、
酸化触媒の反応活性を高める目的で用いる。酸化触媒の
表面に吸着される酸素のドナーとしての役割を見込んで
用いるものである。これも湿式乾式のいずれでも適用可
能である。2コートで、ジルコニア、シリカ皮膜上に形
成して用いても良いが、混合したゾル液を用いて、1コ
ートで形成して用いても良い。パラジウム、白金、ロジ
ウムの群から選定した一種以上の貴金属は、一酸化炭素
を分子状吸着して反応するため遷移金属酸化物と比較す
ると耐久性に優れており、水蒸気が共存する環境での安
定性に優れている。これらの貴金属は、適切な酸溶液を
用いて、ガス選択透過体もしくは、セラミック多孔体基
板を浸漬またはスプレーにて噴霧して塗布した後、乾燥
焼成還元して用いる。還元は、水素気流中もしくは、水
素化硼素ナトリウムなどの還元剤溶液中で還元して用い
るが、還元操作は、省略することもできる。本構成にお
いて、一酸化炭素の検出能力を備えていることおよびそ
の際にガス選択透過体により固体電解質上の電極が保護
されることは、第1の実施例の場合と同様である。この
ようにして構成したセンサが耐久性および動作の安定性
の面で優れていることは第一の実施の形態の場合と同様
である。
【0041】
【実施例】以下本発明の実施例について図1ないし図5
を用いて説明する。
【0042】(実施例1)図1は本発明の実施例1のガ
スセンサ素子の断面概念図を示すものである。図1にお
いて、1はアルミナなどの耐熱性を備えた絶縁性基板、
2は、白金抵抗印刷膜などより形成した加熱手段であ
る。3は、酸素イオン導電性固体電解質で、イットリア
安定化ジルコニア(イットリア8モル%品)などの平板
状のものである。酸素イオン導電性固体電解質平板の片
面に一対の電極としての白金電極4が形成されている。
白金電極4は、厚膜印刷法やスパッタリング、電子ヒ゛ーム
蒸着法などの真空系製膜法により、0.3μmから20
μmの膜厚に形成して用いる。スクリーンやマスクを用
いて必要なパターンに電極を形成する。前記一対の電極
に対向して細孔径を制御したセラミックガス選択透過体
5を設ける。細孔径を制御したセラミックガス選択透過
体5の表面の一部には酸化触媒6が形成されている。
【0043】シール7は、酸素イオン導電体固体電解質
平板3と細孔径を制御したセラミックガス選択透過体5
とを接合することに加えて、被検出ガスがバイパスして
白金電極4へ到達することがなく、ガス選択透過体5の
みを介して流入するようにしたものである。各種無機接
着剤やガラス組成物を用いて接合する。いずれの場合
も、組成的に熱膨張係数を調整したものを用いる必要が
ある。
【0044】シール7は図1では端部に設けているが、
ガス選択透過体5と酸素イオン導電性固体電解質3の白
金電極4を含まない対向した接触面に設けてもよい。
【0045】酸化触媒は、ガスの透過特性を備え一酸化
炭素含有ガスが透過する間に一酸化炭素を酸化する特性
を備えたものであればよく、各種の耐熱性多孔体に酸化
触媒を担持したものを用いることができる。その形成方
法はガス選択透過体の基材を酸化触媒成分を含有する溶
液中に浸漬または、スプレーにて塗布した後、乾燥焼成
して形成する。酸化触媒は、その場合に細孔の中にも形
成されるが、細孔内に酸化触媒が形成されていてもセン
サ素子としての動作上支障はない。
【0046】固体電解質式ガスセンサの動作温度400
〜500℃は加熱手段2により提供される。酸素イオン
導電性固体電解質3の白金電極の片方の上には、一酸化
炭素を含有する空気が、他方の電極には、酸化触媒によ
り一酸化炭素を除去された空気が、セラミックガス選択
透過体の細孔内を拡散した上で到達し、両電極間で一酸
化炭素濃度に対応した酸素濃淡電池型起電力が得られ
る。これにより一酸化炭素濃度が検出される。また固体
電解質式ガスセンサの電極に吸着して寿命に悪影響を及
ぼすガス成分は、細孔径を制御したセラミック製ガス選
択透過体5により、電極面への到達を抑制または阻止さ
れるため電極の長寿命化が図れる。
【0047】セラミックガス選択透過体5は、アルミナ
あるいはジルコニアなどの焼結法により作製された細孔
径が0.1〜1μmのセラミック製多孔体基材を用い
て、ゾルゲル法もしくは、CVD法により、細孔表面上
に細孔制御皮膜を形成し用いる。セラミック原料粉末を
そのままもしくは樹脂などの有機物と混合して所定の形
状に成型した後、完全焼結する温度よりも低温側で焼結
して作製する。焼結法で作製される多孔体の平均細孔径
は、0.1μmが限度である。したがって、本発明の目
的に用いるためには、焼結法で作製された多孔性基材を
用いて、その細孔をコーティング膜により処理する必要
がある。焼結法で作製された、多孔体は精密濾過膜とし
て一般に市販されているので、本発明においても、セラ
ミック製多孔性基材は、この市販品を用いることができ
る。
【0048】次に、ゾルゲル法による、細孔制御方法に
ついて、以下で説明する。ジルコニウムイソプロボキシ
ドやテトラエトキシシランなどの金属アルコキシドを加
水分解後、塩酸等の触媒条件下で縮重合させて目的のゾ
ル溶液を作成する。このゾル溶液を貫通する孔をもつ多
孔性セラミックと接触、例えば多孔性セラミックをゾル
中に浸漬すると、毛管力によりゾル溶液が吸引され、こ
のゾルを乾燥させると、多孔性セラミックの細孔内でゾ
ルの濃縮さらにはゲル化が起こる。さらに、加熱を進め
ると、ゲル化から焼結が進みコーティング膜が形成され
る。必要により、ゾル溶液を多孔性セラミックを用いて
濾過する方法も採用できる。この方法を利用して、細孔
径の制御が可能になる。多孔性セラミックの細孔表面の
濡れ性、ゾルの溶剤、ゾルの濃度、浸漬時間、セラミッ
クの引き上げ速度などを調整することで比較的均質な細
孔径を持つガス選択透過体が得られる。
【0049】ゾル-ゲル法以外にCVD法で、流通系で
化合物を熱分解させながら多孔体の細孔内に酸化物皮膜
を形成成長させることで細孔制御を行っても良い。
【0050】ガス選択透過体5の基材の材質について記
載する。熱膨張係数の観点において、ガス選択透過体の
基材は、アルミナ化合物もしくはジルコニア化合物を用
いるのが望ましい。
【0051】またガス選択透過体の細孔制御に用いる細
孔制御被膜の材質は、ジルコニア、シリカまたはその混
合物を用いるのが望ましい。ガス選択透過体を特に、1
0Å以下の平均細孔径にした場合に有効になる。10Å
以下の細孔は、ガス選択透過体の外部より内部に流れる
ガス流において高分子量のガスは通過させない有効な分
子篩効果を示す。また孔の内部に生成しているゲル皮膜
すなわち細孔制御処理被膜との相互作用により、ガス透
過性に選択性がでる。すなわち、ガス分子とゲル分子と
の分子間力は、永久双曲子間の相互作用による配向力お
よび永久双曲子と誘起双曲子間の誘起力およびファンデ
ルワールス相互作用などに基づく分散力によるガス透過
の選択性、すなわち表面拡散性をもつが、シリカもしく
はジルコニアの一種以上を含む疎水性の細孔制御皮膜
は、10Å以下の領域の細孔径を持つ多孔体を適用する
上で課題となる水蒸気の毛管凝縮による細孔閉塞の問題
がなく、SO2などの白金電極を劣化させるガスの進入
を完全にブロックすることができる。
【0052】(実施例2)図2は本発明の実施例2のガ
スセンサ素子の要部斜視概念図を示すものである。図2
において、センサ素子の構成は、酸化触媒が、ガス選択
透過体5のセンサ素子としての外表面側に形成されてい
る点以外は、図1と同様である。酸化触媒は、ガス選択
透過体の外側に配置されているので、その保護効果はな
いが、触媒部については、固体電解質の動作温度が高
く、能力的に余裕があるため、特に触媒毒に対する保護
が無くとも、実用耐久特性に、大きな支障はない。本構
成において、酸化触媒は、ペースト状にてガス選択透過
体の表面に塗布焼成するかまたは、スプレーにてガス選
択透過体表面上に塗布焼成して作製する。本実施例にお
いては、酸化触媒はいずれも黒色系であり、触媒面が目
視で観測可能でその分布状態が確認できるため、センサ
素子の組立が行いやすい利点がある。本構成における一
酸化炭素センサとしての動作および電極の耐久性に関し
ては、実施例1の場合と同様である。
【0053】(実施例3)図3は本発明の実施例3のガ
スセンサ素子の断面概念図を示すものである。図3にお
いて、センサ素子の構成は、酸化触媒が、ガス選択透過
体の内面側にあることを除いて、図1および図2と同様
である。酸化触媒は、ガス選択透過体の内側に配置され
ているので、保護される効果が認められる。ガス選択透
過体上への酸化触媒の形成方法は、実施例2の場合と同
様である。本実施例において、酸化触媒がガス選択透過
体の効果によって、被毒から保護されるので、更に高耐
久性が見込める。実施例2の構成と実施例3の構成と
は、燃焼機器の排気ガスの環境で実施例2の場合には、
比較的クリーンな天然ガスなどの排気ガス環境での適用
また、実施例3の構成の場合には、石油燃焼機器などの
排気ガスの組成が厳しい環境の場合に用いるなどの使い
分けが可能である。本実施例における一酸化炭素センサ
としての動作および電極の耐久性に関しては、実施例1
の場合と同様である。
【0054】(実施例4)図4は本発明の実施例4のガ
スセンサ素子の断面概念図を示すものである。
【0055】図4において、酸化触媒6をセラミック多
孔体8の一部に担持した状態においてガス選択透過体5
と白金電極4を形成した酸素イオン導電性固体電解質3
との間に配置てある点を除いては基本的に図1と同様で
ある。本実施例で用いるセラミック多孔体は、熱膨張率
を合わせる観点において、細孔制御を行う前のセラミッ
ク多孔体を用いるのが望ましい。セラミック多孔体8上
への酸化触媒6の担持方法は先の実施例の場合と同様で
ある。本実施例においても、酸化触媒がガス選択透過体
の効果によって、被毒から保護されるので、更に高耐久
性が見込めることは、実施例3の場合と同様である。本
実施例における一酸化炭素センサとしての動作および電
極の耐久性が改善される効果に関しては、実施例1の場
合と同様である。
【0056】(実施例5)図5は本発明の実施例5のガ
スセンサ素子の断面概念図を示すものである。図5にお
いて、酸化触媒6をセラミック多孔体8の一部に担持し
た状態においてガス選択透過体5の外側に配置されてい
る点を除いては、基本的に図1と同じである。本実施例
で用いるセラミック多孔体8は、熱膨張率を合わせる観
点において、細孔制御を行う前のセラミック多孔体を用
いるのが望ましい。セラミック多孔体8上への酸化触媒
6の担持方法は先の実施例の場合と同様である。本実施
例においては、酸化触媒がガス選択透過体の外側に配置
されるため、ガス選択透過体の被毒防止の保護を受けな
いが、酸化触媒の活性に余裕があるため、実用耐久には
支障がない。本実施例における一酸化炭素センサとして
の動作および電極の耐久性が改善される効果に関して
は、実施例1の場合と同様である。
【0057】以下に本発明の効果に関わる実験結果を記
載する。酸素イオン導電性固体電解質として、イットリ
ア安定化ジルコニア(イットリア8モル%品)の市販焼
結品(寸法:10mm×10mm×0.35mm)を用いた。
この両面の中央部に6×8mmの寸法で、一対の電極を形
成した。電極は、1300℃焼成にて、焼成膜厚で、厚
膜印刷により10μmの膜厚で形成した。
【0058】セラミックガス選択透過体は、以下の手順
で作製した。ドクターブレード法にて、粒度分布および
焼成温度を調整して作製したジルコニア多孔体基板(平
均細孔径が0.2μmで寸法が10mm×10mm×0.5m
mに切断したもの)を用いて、ジルコニアイソプロポキ
シドを主成分とするアルコキシド溶液に浸漬処理して細
孔制御を行った。細孔制御は、アルコキシドの20Wt%
溶液を用いて、塗り重ねることでより細かい細孔を作製
するようにした。なお、平均細孔径は、ポロシメータを
用いて水銀圧入法で評価した。平均細孔径は、塗り重ね
回数1回で0.1μm、3回で0.08μmとなったので
3回塗り重ねたものをサンプルとして用いた。耐熱性基
材としては、アルミナ(寸法が10mm×10mm×0.6
mm)を用いて、白金ヘ゜ーストにて抵抗皮膜を形成した。抵
抗値は、約10Ωであった。
【0059】次にガス選択透過体への酸化触媒は、以下
の手順で担持した。
【0060】(1)触媒担持サンプル1 ガス選択透過体平板を1/2だけ貴金属塩混合溶液中に
浸漬処理して、0.1wt%の白金および0.1wt%パラ
ジウムを担持した(塩化白金酸、塩化パラジウムの硝
酸、塩酸水溶液を吸着させた後、水素化ホウ素ナトリウ
ム水溶液にて還元)後、還元処理した。
【0061】(2)触媒担持サンプル2 コロイド状セリアゾル液を用いて浸漬処理した後、乾燥
焼成してガス選択透過体平板上に酸化皮膜を形成した。
あとは同じ手順でその半分に貴金属を担持した。
【0062】上記の各要素を積層して図1に示す構造の
ガスセンサ素子を試作した。ガスセンサ素子を積層する
ための接合剤は、市販の無機接着剤「スミセラム」(商
品名)を用いておこなった。
【0063】本試作センサについて、ヒータ通電により
約450℃とした状態で、流通型の試験装置を用いて、
1000ppmの一酸化炭素を通気して、センサ出力を評
価した結果、サンプル1で8mV、サンプル2で13mV
の出力が得られた。サンプル1では、触媒活性が不足し
ていたものと考えられる。別途試作したサンプルによ
り、貴金属濃度を0.3wt%としたところ、サンプル2
と同レベルの出力が得られることを確認した。
【0064】さらに100ppmの亜硫酸ガスを通しての
加速試験により、本試作センサ素子の耐久性を評価し
た。試験は、一般大気に100ppmの濃度の亜硫酸ガス
を添加した空気を連続通気し、間欠的に亜硫酸ガスと止
め、一般空気のみを通気してのゼロ点の安定性の確認
と、1500ppmの一酸化炭素含有空気を送気してのセ
ンサの起電力出力を確認している。対比サンプルとして
同時に試作した細孔径制御を行わない通常のセラミック
フィルタすなわち、0.2μmの平均細孔径の素子の場
合は、ゼロ点が100mV以上もずれた上に、約100
時間で出力が出なくなった。
【0065】これに対して、上記試作センサについて
は、サンプル1およびサンプル2ともに、約700時間
の経過後もガスセンサのゼロ点は安定し、センサ出力も
ほとんど変化が認められなかった。以上のように、本発
明のセンサ素子においては、亜硫酸ガス等の被毒ガスに
対して固体電解質の電極部は、有効に遮断されると考え
られ、きわめて長寿命が実現できる。
【0066】
【発明の効果】本発明のガスセンサは以上説明したよう
な形態で実施され、次の効果が得られる。
【0067】(1)一酸化炭素の検出に関し、フェール
アウトの弱点をカバーすることが出来、実用上のフェー
ルセーフが見込める。このように素子構成の信頼性が高
く燃焼機器等に設置するのに好適である。
【0068】(2)化学センサの実用面において、従来
から最大の課題とされていた耐久性に関して、妨害ガス
の電極面への到達を規制する細孔径を制御したセラミッ
クガス選択透過体を用いる構成によりガスセンサへの被
毒影響を持つ酸性ガスを有効にブロックできるという効
果により飛躍的な長寿命化が見込まれ、極めて高信頼性
のガスセンサシステムが構築できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係わるガスセンサ素子を示
す断面図
【図2】本発明の実施例2に係わるガスセンサ素子を示
す断面図
【図3】本発明の実施例3に係わるガスセンサ素子を示
す断面図
【図4】本発明の実施例4に係わるガスセンサ素子を示
す断面図
【図5】本発明の実施例5に係わるガスセンサ素子を示
す断面図
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 加熱手段 3 酸素イオン導電性固体電解質 4 白金電極 5 セラミックガス選択透過体 6 酸化触媒 8 セラミック多孔体
フロントページの続き (72)発明者 鶴田 邦弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 梅田 孝裕 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BF05 BF07 BJ03 BM07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱手段を備えた絶縁性基板と、前記絶縁
    性基板の前記加熱手段に対応する面に設けた酸素イオン
    導電性固体電解質と、前記酸素イオン導電性電解質の上
    に設けた一対の電極と、セラミックガス選択透過体と、
    酸化触媒を備えたガスセンサ素子においてセラミックガ
    ス選択透過体の表面上の一部に酸化触媒を担持してなる
    ガスセンサ素子。
  2. 【請求項2】酸化触媒をセラミックガス選択透過体の素
    子としての外表面側の一部に担持してなる請求項1記載
    のガスセンサ素子。
  3. 【請求項3】酸化触媒をセラミックガス選択透過体の素
    子としての内表面側の一部に担持してなる請求項1記載
    のガスセンサ素子。
  4. 【請求項4】酸化触媒として、セラミック多孔体の一部
    に酸化触媒を担持したものを用いて、前記担持体を酸素
    イオン導電性固体電解質とセラミックガス選択透過体と
    の間に配してなる請求項1記載のガスセンサ素子。
  5. 【請求項5】酸化触媒として、セラミック多孔体の一部
    に酸化触媒を担持したものを用いて、前記担持体をセラ
    ミックガス選択透過体の外表面側に配してなる請求項1
    記載のガスセンサ素子。
  6. 【請求項6】酸化触媒として、酸化セリウムおよびジル
    コニア、シリカの群から選定した一種以上を含む被膜上
    にパラジウム、白金、ロジウムの群から選定した一種以
    上の貴金属を担持してなる触媒を用いてなる請求項1記
    載のガスセンサ素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005049115A (ja) * 2003-07-29 2005-02-24 Kyocera Corp 酸素センサ
WO2023135966A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 パナソニックIpマネジメント株式会社 電気化学式ガスセンサ、電子機器、ガスフィルタ、ガスフィルタの製造方法及び電気化学式ガスセンサの製造方法

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WO2023135966A1 (ja) * 2022-01-14 2023-07-20 パナソニックIpマネジメント株式会社 電気化学式ガスセンサ、電子機器、ガスフィルタ、ガスフィルタの製造方法及び電気化学式ガスセンサの製造方法

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