JP3735312B2 - 橋梁の架設方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定領域の上方に橋梁を架設する橋梁の架設方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、線路や道路等の交通路(所定領域)の上方に跨線橋や跨道橋を架設する方法としては、橋梁をトラッククレーン等の揚重機を用いて交通路の上方に架設する方法や、交通路の周囲に設置された作業架台で橋梁を製作して順次に送り出し、交通路の上方に架設する手延べ工法が存在する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の橋梁の架設方法では、以下の問題が存在している。
まず、揚重機を用いて橋梁を架設する方法では、揚重機の作業範囲が狭いため、交通路内に揚重機を設置する必要があり、交通路の車線規制や通行止め等の交通規制を行うことにより交通渋滞が発生し、交通路の交通環境に多大な影響を与えてしまうという問題が存在する。
また、手延べ工法では、橋梁を油圧式のジャッキ等により作業架台から送り出すため、橋梁の搬送速度が遅く、作業効率が非常に低いとともに、送り出し作業を行う作業架台が大型化し、作業架台の設置及び解体に係る期間が長期化してしまうとともに、作業用地が拡大してしまうという問題が存在する。
【0004】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、橋梁の架設手段の所定領域内への進入を制限することにより、所定領域内の環境に対する影響を低減した状態で、所定領域の上方に簡易かつ短期間に橋梁を搬送して架設することができる橋梁の架設方法を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決すべく構成されるものであり、請求項1に記載の発明は、橋梁の架設方法であって、(1)ステージ上で橋梁を製作し、橋梁の昇降手段を備えた車両を、所定領域を中心に相対するようにして配置し、一方の車両を、ステージに形成された開口部を通過させてステージ内に移動させ、昇降手段を上昇させて橋梁を一方の車両から少なくとも所定領域を横断可能な長さ又は他方の車両に設置可能な長さが突出するようにして、一方の車両の昇降手段に設置する橋梁設置段階と、(2)一方の車両を、橋梁の突出部を前方として所定領域に向けて移動させ、所定領域の上方を横断した橋梁の突出部を、他方の車両の昇降手段により支持する車両移動段階と、(3)橋梁を、各車両の昇降手段を用いて予め設置されている橋脚又は橋台に受け替えることにより、所定領域の上方に架設する橋梁架設段階とを含むことを特徴としている。
【0006】
ここで、所定領域は、線路、道路等の交通路又は構造物等が存在する領域など限定されるものではないが、本発明は、橋梁架設位置の下方に橋梁の架設手段を設置することができない領域や、橋梁架設位置の下方に架設時のみ短期間だけ橋梁の架設手段を設置可能な領域に適用することが有効である。
また、車両の移動手段は限定されるものではなく、ゴムタイヤ、キャタピラ等を用いてもよい。さらに、駆動力も限定されるものではない。
【0007】
この発明によれば、橋梁を、車両から所定領域を横断可能な長さ又は他方の車両に設置可能な長さが突出した状態で、所定領域の上方に搬送することにより、車両の所定領域内への進入を制限し、所定領域内の環境に対する影響を低減した状態で、短期間に所定領域の上方に橋梁を架設することができる。
また、施工現場において、橋梁の搬送手段の組み付け及び解体を行う必要がなく、さらに、橋梁を送り出すための大型の架台を設置する必要がないため、作業用地を縮小することができる。
また、車両による橋梁の搬送速度が速いため、架設作業の作業効率を高めることができる。
したがって、本発明では、例えば、線路の上方に跨線橋を設置する場合など、所定領域(線路)内に車両を進入させることができない場合であっても、予め設置されている橋脚に橋梁を架設することができる。また、切り通しの道路の上方に跨道橋を設置する場合など、所定領域(道路)内に短期間だけ車両を設置することができる場合は、夜間等の交通の停止時間帯に道路内に車両を移動させ、道路の側壁に設けられた橋台に橋梁を設置し、道路上に橋梁を架設することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の橋梁の架設方法であって、橋梁設置段階において、橋梁を一方の車両の昇降手段に押し付けることにより、橋梁を平衡状態にすることを特徴としている。
【0009】
ここで、橋梁を一方の車両の昇降手段に押し付ける手段は限定されるものではなく、例えば、橋梁にウェイトを設置して荷重を付加してもよい。
【0010】
この発明によれば、橋梁を昇降手段に押し付けることにより、搬送中の橋梁の平衡状態が保たれるため、所定領域の横断距離が長く、橋梁の突出量が大きい場合であっても安定した状態で搬送することができる。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の橋梁の架設方法であって、橋脚は、橋梁の幅員方向に、車両が通過可能な間隔を空けて設置されていることを特徴としている。
【0012】
この発明によれば、橋梁を搬送する車両が橋脚間を通過して所定領域の近傍まで移動することができるため、所定領域を横断するために必要となる橋梁の突出量が低減され、橋梁を搬送する際の安定性を高めることができる。
【0015】
また、請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の橋梁の架設方法であって、橋梁に設けた指標の相対的な距離及び角度を計測手段により計測し、この計測手段による計測値に基づき、橋梁の位置及び姿勢を示す位置データを作成することを特徴としている。
【0016】
ここで、計測手段としては、例えば、車両の外部に設置したCCDカメラと、CCDカメラの撮影方向に光波を照射する光波測距器とから構成された計測手段があり、橋梁に設けた指標をCCDカメラで捕捉することにより、光波測距器が指標の相対的な距離及び角度を計測するものである。なお、計測手段の設置は、車両の外部に設置する構成や、他方の車両に設置する構成など限定されるものではなく、施工現場に対応して適宜に定められるものである。
【0017】
この発明によれば、位置データにより橋梁の位置及び姿勢を確認しながら搬送して架設することができるため、施工ミスが防止され、作業効率を高めることができる。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の橋梁の架設方法であって、車両及び昇降手段は、橋梁の架設計画における位置及び姿勢を示す架設計画位置データと、橋梁の位置データとの誤差に基づき車両及び昇降手段を作動させ、橋梁の位置を補正する位置補正手段を備えていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、位置補正手段により橋梁の位置を自動的に補正するため、橋梁の架設作業が簡易化され、作業効率を高めることができる。
【0020】
したがって、本発明の橋梁の架設方法では、橋梁の搬送手段である車両の所定領域への進入を制限し、橋梁を安定させて所定領域の上方に簡易に搬送して架設するため、所定領域内の環境に対する影響を低減した状態で、短期間に所定領域の上方に橋梁を架設することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0022】
本発明の実施形態に係る橋梁の架設方法は、所定領域の上方に橋梁を架設する方法であり、交通路や構造物が存在する領域など、各種の所定領域に適用可能である。
【0023】
まず、本発明の第1実施形態として、線路の上方に橋梁を架設する場合を例として説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁を搬送する際を示した側面図、(b)は橋梁を線路の上方で搬送する際を示した側面図である。図2は、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁を橋脚に架設する際を示した側面図、(b)は橋梁の架設後を示した側面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、図1(b)のA−A断面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る作業架台を示した図で、(a)は側面図、(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【0024】
まず、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法における各装置について説明する。
橋梁1は、図2(b)に示すように、線路Sの上方に構築される跨線橋の一部であり、線路Sの直上に配置される部位である。
橋脚2は、図2(b)及び図3に示すように、橋梁1を支持する柱であり、橋梁1の四隅を支持するようにして4本の橋脚2が立設されている。
【0025】
走行台車10A,10Bは、図1、図2及び図3に示すように、運転室11と、ゴムタイヤを備えた台車部12と、台車部12上に設置された昇降ジャッキ装置13とから構成され、エンジンにより自走可能である。また、走行台車10A,10Bは、橋梁1を搬送するための搬送用走行台車10Aと、搬送された橋梁1の一端を支持するための支持用走行台車10Bとから構成され、搬送用走行台車10Aは、台車部12及び昇降ジャッキ装置13を備えている。なお、本実施形態では、走行台車10A,10Bの車幅は、橋梁1の幅員方向に立設された橋脚2,2の間隔よりも小さい構成となっている。
昇降ジャッキ装置13は、図3に示すように、橋梁1を載置するための四周枠組である載荷部14と、載荷部14の四隅を支持する4本の油圧シリンダー15が立設された台座部16とから構成され、油圧シリンダー15の伸縮により載荷部14が昇降可能となっている。
【0026】
作業架台20は、線路Sの領域外に設置された作業台であり、図4に示すように、橋梁1を製作するためのステージ21と、ステージ21上に設置された移動式門型クレーン22とから構成され、ステージ21の幅員方向における中央部には全長に渡って、昇降ジャッキ装置13の載荷部14が通過可能な幅の開口部23が設けられている。
【0027】
次に、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法について説明する。
(1)橋梁設置段階
まず、図4に示すように、作業架台20のステージ21の下方に橋梁1の各部材を積載したトラック(図示せず)を配置し、橋梁1の各部材を移動式門型クレーン22のホイスト24を用いてステージ21上に設置する。そして、移動式門型クレーン22をステージ21の長手方向に移動させ、ステージ21上で橋梁1を製作する。
【0028】
また、搬送用台車10Aをステージ21の下方に移動させ、ステージ21上の橋梁1が台車部12,12から線路S側に突出する位置に停止させる。このとき、橋梁1の突出量を少なくとも線路Sを横断可能な長さとする。
そして、昇降ジャッキ装置13の載荷部14を上昇させ、載荷部14上に橋梁1を載置する。この状態では、橋梁1が突出部の重量により傾いてしまうため、突出部の重量と均等若しくはそれ以上の重量のウェイト3を、橋梁1において載荷部14の直上となる位置に設置し、橋梁1を載荷部14に押し付けることにより橋梁1を平衡状態にする。これにより、橋梁1が載荷部14に安定した状態で載置される。
【0029】
(2)車両移動段階
次に、図1(a)に示すように、搬送用走行台車10Aを、橋梁1の突出部を前方にして線路Sに向けて移動させる。さらに、線路Sを挟んで搬送用走行台車10Aと相対する位置に配置した支持用走行台車10Bを、線路Sに向けて移動させる。
ここで、線路Sの周辺には、図1及び図3に示すように、4本の橋脚2が橋梁1の四隅を支持する位置に立設されているが、走行台車10A,10Bは橋梁1の幅員方向に立設された橋脚2,2の間隔よりも小さいため、橋脚2,2と干渉することなく移動することができる。
【0030】
次に、図1(b)に示すように、搬送用走行台車10Aが搬送する橋梁1の突出部は、線路Sを横断可能な長さであるため、搬送用台車10Aが線路Sの近傍に移動した際には、橋梁1の突出部が線路Sの上方を横断した状態となる。
そして、線路Sを横断した橋梁1の突出部の下方に支持用走行台車10Bを配置し、支持用走行台車10Bの昇降ジャッキ装置13の載荷部14を上昇させ、載荷部14により橋梁1の突出部を支持する。さらに、搬送用走行台車10Aの線路S側の昇降ジャッキ装置13の載荷部14を下降させ、各走行台車10A,10Bの昇降ジャッキ装置13により橋梁1の両端を支持して水平状態にする。
【0031】
(3)橋梁架設段階
次に、図2(a)に示すように、各走行台車10A,10Bにより橋梁1を架設位置まで搬送し、各走行台車10A,10Bの昇降ジャッキ装置13を下降させて橋梁1を4本の橋脚2に設置することにより、橋梁1を線路Sの上方に架設し、ウェイト3を撤去する。
最後に、図2(b)に示すように、各走行台車10A,10Bをそれぞれ線路Sと反対の方向に移動させ、橋梁1の架設作業を完了する。
【0032】
したがって、本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法では、橋梁1の搬送手段である走行台車10A,10Bを線路S内に進入させることなく、橋梁1を安定した状態で線路Sの上方に簡易に搬送するため、線路Sの交通環境に対する影響を低減した状態で、短期間に線路Sの上方に橋梁1を架設することができる。
【0033】
ここで、前記橋梁の架設方法の各段階において、橋梁の位置及び姿勢を示す3次元位置データを作成する構成について説明する。
図5は本発明の実施形態に係る位置データ作成装置を示すブロック図である。3次元位置データは、橋梁1の位置及び姿勢を示すデータであり、図5に示すように、橋梁1の四隅に設けられた各指標を走行台車10A,10Bの外部に設置した計測装置30を用いて計測し、その計測値に基づき位置データ作成装置40により3次元位置データを作成するものである。
【0034】
計測装置30は、図5に示すように、指標を捕捉するためのCCDカメラ31と、CCDカメラ31の撮影方向に光波を照射することにより、指標の相対的な距離、角度を計測する光波測距器32とから構成されている。
位置データ作成装置40は、図5に示すように、コンピュータにより構成され、光波測距器32による各指標の計測値から橋梁1の3次元位置データを作成するデータ作成手段41と、モニタ又はプリンタ等の出力手段42とから構成されている。
【0035】
次に、橋梁1の3次元位置データの作成方法について説明する。
まず、橋梁1の四隅に板部材等の指標を設け、CCDカメラ31により指標を捕捉する。このとき、光波測距器32からCCDカメラ31の撮影方向に光波が照射され、指標の相対的な距離及び角度が計測される。さらに、全ての各指標の計測値を求め、この計測値を位置データ作成装置40のデータ作成手段41に送る。
計測値を受信したデータ作成手段41は、各指標の計測値に基づき橋梁1の四隅の位置関係を算出し、橋梁1の位置及び姿勢を示す3次元位置データを作成して出力手段42に送る。
作業員は、出力手段42に表示された3次元位置データにより橋梁1の位置及び姿勢を確認する。
【0036】
したがって、前記橋梁の架設方法の各段階において3次元位置データを作成し、橋梁1の位置及び姿勢を確認しながら架設作業を行うことにより、施工ミスが防止され、作業効率を高めることができる。
【0037】
また、搬送中の橋梁1の位置及び姿勢と架設計画に誤差が生じた場合に、橋梁1の3次元位置データを用いて誤差が自動的に補正されるように構成してもよい。
図6は本発明の実施形態に係る位置補正装置を示すブロック図である。
位置補正装置50は、図6に示すように、架設計画における橋梁1の位置及び姿勢を示す架設計画位置データを格納する架設計画位置データベース51と、架設計画位置データの検索抽出手段52と、架設計画位置データと3次元位置データとを比較して誤差を検出する誤差検出手段53とから構成されている。
また、走行台車10A,10Bには、図6に示すように、誤差に基づき走行台車10A,10B及び各昇降ジャッキ装置13を自動的に作動させて誤差を補正する制御手段60が設置されている。
【0038】
次に、橋梁1の誤差の補正方法について説明する。
まず、位置データ作成装置40により作成された3次元位置データを誤差検出手段53に入力するとともに、この3次元位置データに対応する架設計画位置データを架設計画位置データベース51から検索抽出手段52により抽出し、誤差検出手段53に入力する。
各種データが入力された誤差検出手段53は、3次元位置データと架設計画位置データとを比較して誤差を算出し、この誤差を走行車両10A,10Bの制御手段60に送る。
そして、制御手段60は、誤差に基づき走行台車10A,10B及び各昇降ジャッキ装置13を作動させて橋梁1の誤差を補正する。
【0039】
この構成によれば、橋梁1の架設作業において橋梁1の位置及び姿勢が自動的に補正されるため、施工ミスが確実に防止され、作業効率をより高めることができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁の架設位置を示した側断面図、(b)は橋脚及び橋台を設置した際を示した側断面図、(c)は橋梁を道路の上方で搬送する際を示した側断面図である。図8は、本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法の作業台を示した正面断面図である。
【0041】
本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法は、第1実施形態と略同様の構成であり、切り通しの道路の上方に橋梁を架設する方法である。
【0042】
まず、図7(a)に示した切り通しの道路Dにおける右側の斜面70を掘削し、図7(b)に示すように、道路Dと直交する方向に延長した掘削溝71を構築する。掘削溝71内には、図8に示すように、橋梁1を製作するための作業台80が設置されており、この作業台80は、掘削溝71の両側の地上面に設置されたステージ81,81と、掘削溝71の矢板であるとともに、ステージ81を安定させるための支持板82と、ステージ81,81上に設置された移動式門型クレーン82とから構成され、両側のステージ81,81の間隔は、搬送用走行台車10Aの昇降ジャッキ装置13が通過可能な幅になっている。
さらに、図7(b)に示すように、幅員方向に所定間隔で立設された橋脚2,2を掘削溝71内に設けるとともに、道路Dを挟んで橋脚2,2と相対する位置の道路Dの斜面70に、橋梁1の一端を設置するための橋台72を構築する。
【0043】
そして、第1実施形態と同様にして、作業台80のステージ81上で橋梁1を製作し、橋梁1を搬送用走行台車10Aの載荷部14に安定した状態で載置する。
次に、図7(c)に示すように、搬送用走行台車10Aを、橋梁1の突出部を前方にして道路Dに向けて移動させ、橋梁1の突出部が道路Dの中央分離帯73の上方を横断した状態にする。この状態で橋梁1の突出部の下方となる道路D上に支持用走行台車10Bを配置する。
次に、各走行台車10A,10Bの昇降ジャッキ装置13により橋梁1の両端を支持して搬送し、橋梁1の先端部を橋台72に設置するとともに、後端部を橋脚2,2に設置することにより、橋梁1を道路Dの上方に架設する。
最後に、各走行台車10A,10Bを道路D上から移動させ、橋梁1の架設作業を完了する。
ここで、前記第2実施形態に係る橋梁の架設方法では、各走行台車10A,10Bが道路D上に配置されることから、道路Dの通行停止や車線規制を行う必要があるが、短期間に橋梁1を架設することができるため、夜間等の交通の停止時間帯に橋梁1を架設することで、道路Dの交通に対する影響を大幅に低減することができる。
【0044】
したがって、本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法では、橋梁1の搬送手段である走行台車10A,10Bを道路D内に短期間だけ進入させ、橋梁1を安定した状態で道路Dの上方に簡易に搬送するため、道路の交通環境に対する影響を低減した状態で、短期間に道路Dの上方に橋梁1を架設することができる。
なお、第2実施形態に係る橋梁の架設方法において、橋梁1の位置及び姿勢を示す3次元位置データを作成する構成や、3次元位置データを用いて橋梁1の位置及び姿勢を補正する構成にすることができることはいうまでもない。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0046】
【発明の効果】
本発明の橋梁の架設方法によれば、車両から所定領域を横断可能な長さが突出した橋梁を、安定した状態で所定領域の上方に搬送することができるため、車両の所定領域内への進入を制限することにより、所定領域内の環境に対する影響を低減した状態で、短期間に所定領域の上方に橋梁を架設することができる。
また、橋梁の位置データを作成する構成では、橋梁の位置及び姿勢を確認しながら搬送して架設することができるため、施工ミスが防止され、作業効率を高めることができる。さらに、位置補正手段により橋梁の位置を自動的に補正する構成では、橋梁の架設作業を簡易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁を搬送する際を示した側面図、(b)は橋梁を線路の上方で搬送する際を示した側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁を橋脚に架設する際を示した側面図、(b)は橋梁の架設後を示した側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、図1(b)のA−A断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る作業架台を示した図で、(a)は側面図、(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る位置データ作成装置を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態に係る位置補正装置を示すブロック図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法を示した図で、(a)は橋梁の架設位置を示した側断面図、(b)は橋脚及び橋台を設置した際を示した側断面図、(c)は橋梁を道路の上方で搬送する際を示した側断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る橋梁の架設方法の作業台を示した正面断面図である。
【符号の説明】
1・・・・橋梁
2・・・・橋脚
10A・・・・搬送用走行台車
10B・・・・支持用走行台車
12・・・・台車部
13・・・・昇降ジャッキ装置
20・・・・作業架台
30・・・・計測装置
40・・・・位置データ作成装置
41・・・・データ作成手段
50・・・・位置補正装置
53・・・・誤差検出手段
60・・・・制御装置
71・・・・掘削溝
72・・・・橋台
80・・・・作業台

Claims (5)

  1. 以下の段階を含むことを特徴とする橋梁の架設方法。
    (1)ステージ上で橋梁を製作し、
    前記橋梁の昇降手段を備えた車両を、所定領域を中心に相対するようにして配置し、
    前記一方の車両を、前記ステージに形成された開口部を通過させて前記ステージ内に移動させ、前記昇降手段を上昇させて前記橋梁を前記一方の車両から少なくとも前記所定領域を横断可能な長さ又は前記他方の車両に設置可能な長さが突出するようにして、前記一方の車両の前記昇降手段に設置する橋梁設置段階。
    (2)前記一方の車両を、前記橋梁の突出部を前方として前記所定領域に向けて移動させ、
    前記所定領域の上方を横断した前記橋梁の突出部を、前記他方の車両の前記昇降手段により支持する車両移動段階。
    (3)前記橋梁を、前記各車両の前記昇降手段を用いて予め設置されている橋脚又は橋台に受け替えることにより、前記所定領域の上方に架設する橋梁架設段階。
  2. 前記橋梁設置段階において、前記橋梁を前記一方の車両の前記昇降手段に押し付けることにより、前記橋梁を平衡状態にすることを特徴とする請求項1に記載の橋梁の架設方法。
  3. 前記橋脚は、前記橋梁の幅員方向に、前記車両が通過可能な間隔を空けて設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の橋梁の架設方法。
  4. 前記橋梁に設けた指標の相対的な距離及び角度を計測手段により計測し、
    前記計測手段による計測値に基づき、前記橋梁の位置及び姿勢を示す位置データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の橋梁の架設方法。
  5. 前記車両及び前記昇降手段は、前記橋梁の架設計画における位置及び姿勢を示す架設計画位置データと、前記橋梁の位置データとの誤差に基づき前記車両及び前記昇降手段を作動させ、前記橋梁の位置を補正する位置補正手段を備えていることを特徴とする請求項に記載の橋梁の架設方法。
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