JP2004263449A - Pc床版架設装置及び該装置を用いたpc床版架設方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運搬手段1と、門型形態を有し台車3の走行方向に向けて延設され且つ昇降可能とされたリフター機構4とを備える。かかる構成によれば、運搬手段1で運搬されたPC床版w0をリフター機構4で受け取りこれを架設位置まで移送して架設する構成であることから、PC床版w0は運搬時の姿勢のまま平行移動され、例えPC床版w0が長尺物であっても安全且つ迅速に所定の架設位置まで移送することができ、架設作業の安全性と迅速性が向上する。また、リフター機構4の昇降動作でPC床版w0の吊上げと吊り下げが行われるため、例えばPC床版w0の移送手段とは別個にその吊上げ・吊下げ手段を備える場合に比して、PC床版架設装置全体の構成の簡略化と低コスト化が図れる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、PC床版の架設装置及びこの架設装置を用いたPC床版の架設方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、橋脚式の高架道路の建設に際しては、図47に示すように、所定間隔で構築された橋脚51間に鋼製あるいはコンクリート製の橋桁52を、道路幅方向に所定間隔をもって架設し、しかる後、これら二本の橋桁52,52上に跨がって、予め工場でのコンクリート打設により生産された短冊状の平面形態をもつ床版、所謂、PC床版53を橋桁52の一端側から他端側に向けて順次架設し、該各PC床版53,53,・・の表面を連ねてなる架設床面54を構築する。そして、この架設床面54上に、例えばアスファルト等の舗装材を設けて路面とする。
【0003】
ところで、このように橋桁52間に跨がらせてPC床版53を架設する際の架設方法としては従来より種々形態のものが提案されている。
【0004】
最も簡易な方法は、橋桁52の近傍にクレーンを設置し、このクレーンによってPC床版53を吊り上げ、そのままこれを所定の架設位置にまで移動させて架設する方法である。ところが、この架設方法は、架設作業の進行に追従して、クレーンを常に橋桁52の近傍に設置することが可能な作業条件下において有効な架設方法であって、例えば河川部分とか山岳地等のクレーンの設置に制約を受ける場所での作業には適さないものであるところ、現実の高速道路等の施工に際しては、このようなクレーンの常設が困難な作業条件下での作業を余儀なくされる場合が多い。
【0005】
ところで、このような問題は、架設現場へのPC床版53の運搬作業と、架設現場でのPC床版53の架設作業とを共にクレーンで行うという作業形態に起因するところが大きい。このような事情から、地面側から橋桁上へのPC床版の持ち上げ搬入にはクレーンを使用するとしても、それ以後の作業、即ち、PC床版の架設現場への運搬作業と架設現場でのPC床版の架設作業にはクレーンを使用せず、他の手段を用いることで上述の如き問題の解決を図るようにした技術が提案され、且つ現実に実施されている。
【0006】
例えば、図48に示すものは、既に架設されたPC床版53,53,・・上に桁行方向に向けてレール54を敷設し、このレール54上に、自走式の運搬車61と、自走式の台車上にビーム63を旋回可能に取り付けるとともに該ビーム63の先端部にウィンチ機能を備えた吊下装置64を取り付けた架設作業車62とを配置している。そして、上記運搬車61を、クレーンを使用して行われるPC床版53の積み込み位置と架設現場との間を往復走行させることで該PC床版53を順次架設現場まで運搬させる。そして、架設現場においては、上記架設作業車62のビーム63を旋回させてその吊下装置64によってPC床版53を吊り上げてこれを上記運搬車61から受け取った後、上記ビーム63を略180°旋回させて上記PC床版53を上記架設作業車62の前方側の架設部位に位置させ、しかる後、上記吊下装置64を巻き下げて上記PC床版53を架設部位に載置して架設するものである。また、上記運搬車61は、上記架設作業車62側へPC床版53を受け渡した後、直ちに積み込み位置まで引き返し、次回の架設作業に供せられるPC床版53の運搬を行うものである(非特許文献1を参照)。
【0007】
一方、図49に示したものは、既に架設されたPC床版53,53,・・上にレール73を敷設しここに運搬車71を配置する一方、PC床版未架設の橋桁52上に、ビーム74の先端部に吊下装置75を備えた自走式の架設作業車72を配置している。そして、上記運搬車71によって順次PC床版53をその積み込み位置から架設現場まで運搬する。架設現場においては、上記吊下装置75によって上記運搬車71上のPC床版53を吊上げて保持し、この状態のまま上記架設作業車72を後退走行させ、吊上保持されたPC床版53を所定の架設位置の上方に位置させ、しかる後、上記吊下装置75を巻下げて上記PC床版53を架設位置に設置するものである(非特許文献1を参照)。
【0008】
【非特許文献1】
社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会編 「PC床版設計施工マニュアル(案)」、 平成11年5月、64頁 図9.5.7及び図9.5.8。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように上掲の何れの架設方法においても、PC床版の運搬手段と架設手段とを別体構成としたことで、例え架設現場がクレーンの設置が困難な河川上等であったとしても、何ら支障なく架設作業が行えるものである。
【0010】
ところが、PC床版は短冊状の平面形状をもつ長尺物であることから、通常は、運搬車と架設作業車をそれぞれ二基づつ用意し、平行に配置された二つの橋桁のそれぞれに対応する位置の近傍に運搬車と架設作業車とを配置する。そして、橋桁間隔方向に離間して配置された二つの運搬車上にPC床版を横渡し状に跨がって積載し、これら二つの運搬車の共働によって上記PC床版を積み込み位置から架設現場まで運搬し、さらに架設現場においても橋桁間隔方向に離間して配置された二つの架設作業車を同時に使用して上記運搬車側からPC床版を受け取り且つこれを所定位置に架設するようにしている。この場合、上掲の各架設方法においては、運搬車がレール上を走行する構成としていることから、レールが直線状に延びているような運搬領域ではさほど支障は無いが、レールが大きくカーブするような運搬領域(例えば、河川を跨ぐ道路橋の前後領域等の小曲率半径領域)においては左右の運搬車の追従走行性が損なわれることから、これら二つの運搬車の共働によって長尺物であるPC床版を運搬するのが難しく、運搬作業の安全性あるいは運搬作業性とい点において問題が残るものであった。
【0011】
また、特に前者の架設方法にあっては、運搬車1から受け取ったPC床版を架設位置側まで移送する際に旋回作動を伴うことから、上記架設作業車62を単一で使用することが前提である。従って、この架設方法は、例えば架設対象のPC床版53が比較的短尺物である場合に限られ、これが長尺物である場合には旋回時の張り出し量が大きくなり作業の安全性と迅速性とが得られないという問題がある。
【0012】
さらに、後者の架設方法にあっては、架設作業車72によって吊下装置75を吊り下げた状態で、該架設作業車72全体を後退走行させるものであることから、例えばPC床版53とこれを吊り下げる吊下装置75のみを移動させるような場合に比して、上記PC床版53の所定の架設位置への正確な位置決めが困難で、それだけ作業性がさらに低劣になるということが懸念される。
【0013】
以上のような従来の問題点に鑑み、本願発明では、PC床版の架設作業を低コストで安全且つ迅速に行えるようにしたPC床版架設装置とこれを用いた架設方法を提案することを目的としてなされたものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0015】
本願の第1の発明では、平行に設置された橋桁v,v間に横渡し状態でPC床版w0を順次架設して該橋桁v,v上に架設床面wを構築するためのPC床版架設装置において、上記PC床版w0の運搬を行う運搬手段1と、上記運搬手段1よりも架設作業進行方向前方側又は後方側に配置されて該運搬手段1により運搬されたPC床版w0を受け取ってこれを橋桁v上に設置する架設手段2とを備えるとともに、上記架設手段2が、上記運搬手段1に対して接近・離間可能とされた台車3と、該台車3の走行方向に向けて延設されたビーム31の両端側にそれぞれ上下方向に向けてリフターシリンダ32,33を設けた門型形態を有し且つ上記リフターシリンダ32,33の伸縮作動によって上記ビーム31を昇降可能とするとともに上記ビーム31には該ビーム31に沿ってその軸方向へ相対移動可能にスライダー40を設け該スライダー40を介して上記PC床版w0を吊下するようにしたリフター機構4とを備えて構成されていることを特徴としている。
【0016】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係るPC床版架設装置において、上記運搬手段1が転舵可能なタイヤ車輪11A〜11Dを、上記架設手段2の上記台車3が転舵可能なタイヤ車輪24A,24Bを、それぞれ備えていることを特徴としている。
【0017】
本願の第3の発明では、上記第1又は第2の発明に係るPC床版架設装置において、上記リフター機構4の上記ビーム31が、その後部31bを上記台車3の後部よりも後方へ延出した状態で該台車3側に支持され、上記運搬手段1を上記台車3の後部側に位置せしめた状態において上記スライダー40を介して上記運搬手段1に載置された上記PC床版w0を直接吊下し得るように構成されていることを特徴としている。
【0018】
本願の第4の発明では、上記第1又は第2の発明に係るPC床版架設装置において、上記リフター機構4の上記ビーム31がその後部31bを上記台車3の後部近傍に位置させた状態で該台車3側に支持される一方、上記運搬手段1と上記台車3との間には該運搬手段1を上記台車3の後部側に位置せしめた状態において該運搬手段1に載置された上記PC床版w0を該運搬手段1側から上記台車3側へ移動させる移動機構15が備えられ、上記PC床版w0を上記運搬手段1から上記台車3側へ移動させた状態で上記スライダー40を介して吊下するように構成されていることを特徴としている。
【0019】
上記第5の発明では、上記第1又は第2の発明に係るPC床版架設装置において、上記リフター機構4の上記ビーム31が、上記台車3に対してその車長方向に移動可能に支持され且つその第1のビーム位置においてはその後部31bが上記台車3の後部側に位置した上記運搬手段1上に延出する一方、第2のビーム位置においてはその前部31aが上記台車3の前方側へ延出するように構成され、上記第1のビーム位置において上記スライダー40を介して上記運搬手段1上から上記PC床版w0を吊下し得るように構成されていることを特徴としている。
【0020】
本願の第6の発明では、平行に設置された橋桁v,v間に横渡し状態でPC床版w0を順次架設して該橋桁v,v上に架設床面wを構築するPC床版架設方法において、走行面w上に、上記PC床版w0を運搬する運搬手段1と、架設作業進行方向に延設した状態で支持され且つ昇降可能とされたビーム31にその軸方向に相対移動可能にスライダー40を取り付けてなるリフター機構4を備えた架設手段2とを、上記架設手段2が架設方向前端寄りに位置するように架設作業進行方向に前後させて配置した状態で、上記運搬手段1により上記PC床版w0を上記架設手段2の近傍位置まで運搬する「運搬工程」と、上記運搬手段1上の上記PC床版w0を上記架設手段2側の上記スライダー40に吊下可能に連結した後、上記リフター機構4を上昇させて上記スライダー40を介して上記PC床版w0を吊下支持する「受取工程」と、上記運搬手段1から受け取った上記PC床版w0を上記スライダー40の移動によって上記橋桁v,v上の架設位置側へ移送する「移送工程」と、上記リフター機構4を降下させて上記PC床版w0を上記架設位置に載置する「載置工程」とを経て上記橋桁v,v上に上記PC床版w0を順次架設することを特徴としている。
【0021】
本願の第7の発明では、上記第6の発明に係るPC床版架設方法において、上記運搬手段1と上記架設手段2とを、橋桁間隔方向に適宜離間させて配置し、複数の上記運搬手段1,1を同時使用して上記「運搬工程」を実行すると共に、複数の上記架設手段2,2を同時使用して上記「受取工程」と「移送工程」及び「載置工程」を実行することを特徴としている。
【0022】
【発明の効果】
本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0023】
▲1▼ 本願の第1の発明では、平行に設置された橋桁v,v間に横渡し状態でPC床版w0を順次架設して該橋桁v,v上に架設床面wを構築するためのPC床版架設装置において、上記PC床版w0の運搬を行う運搬手段1と、上記運搬手段1よりも架設作業進行方向前方側又は後方側に配置されて該運搬手段1により運搬されたPC床版w0を受け取ってこれを橋桁v上に設置する架設手段2とを備えるとともに、上記架設手段2を、上記運搬手段1に対して接近・離間可能とされた台車3と、該台車3の走行方向に向けて延設されたビーム31の両端側にそれぞれ上下方向に向けてリフターシリンダ32,33を設けた門型形態を有し且つ上記リフターシリンダ32,33の伸縮作動によって上記ビーム31を昇降可能とするとともに上記ビーム31には該ビーム31に沿ってその軸方向へ相対移動可能にスライダー40を設け該スライダー40を介して上記PC床版w0を吊下するようにしたリフター機構4とで構成している。
【0024】
従って、この発明のPC床版架設装置によれば、
(イ) 上記運搬手段1により運搬されたPC床版w0を上記リフター機構4を用いて該運搬手段1から受け取りこれを架設位置まで移送する構成であることから、このPC床版w0は運搬時における姿勢のまま平行移動され、従って、例えば上掲従来技術における「旋回作動により移送を行う」構成の場合のように、移送時にPC床版w0の姿勢あるいは旋回中心からの距離が変化するというようなことがなく、例え上記PC床版w0が長尺物であったとしてもこれを安全且つ迅速に所定の架設位置まで移送することができ、架設作業の安全性と迅速性(作業性)が向上する、
(ロ) 上記リフター機構4の昇降動作によってPC床版w0の吊上げ(運搬手段1からの受け取り)と吊り下げ(架設位置への載置)とを行う構成であって、上記リフター機構4は移送機能と吊上げ・吊下げ機能を兼備し、従って従来の架設方法のようにPC床版w0の移送手段とは別個に該PC床版w0の吊上げ・吊下げ手段を備える必要がなく、それだけPC床版架設装置全体の構成の簡略化と低コスト化が図れる、
(ハ) PC床版w0の移送及び架設作業時には、上記架設手段2の上記台車3はこれを走行面w上に固定し、上記リフター機構4に設けられた上記スライダー40のみを上記ビーム31に沿って移動させれば良く、従って、従来の架設方法のように架設作業車全体がPC床版を吊下支持した状態で移動する必要がある場合に比して、作業性が良好であり、且つPC床版w0の架設位置への位置決めも容易且つ精度良く行うことができ、延いては架設作業の信頼性・的確性が向上する、
(ニ) 走行面w上に上記運搬手段1と架設手段2とが共に配置され、しかも上記運搬手段1が架設手段2よりも架設作業進行方向の後方側又は前方側に位置していることから、該運搬手段1が後方側に配置されている場合(即ち、上記架設手段2が架設作業進行方向前方側へ向けて前進する場合)も、該運搬手段1が前方側に配置されている場合(即ち、上記架設手段2が架設作業進行方向前方側へ向けて後退する場合)も、共に、上記架設手段2が上記運搬手段1から受け取ったPC床版w0の架設作業を行っている間に、上記運搬手段1は上記架設手段2の動作とは無関係に、例えば次回の架設作業において使用される新たなPC床版w0の運搬を行うなど単独で作業を行うことができ、架設作業における作業性の向上が図れる、
等の効果が得られる。
【0025】
▲2▼ 本願の第2の発明に係るPC床版架設装置によれば、上記▲1▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明のPC床版架設装置では、上記運搬手段1が転舵可能なタイヤ車輪11A〜11Dを、上記架設手段2の上記台車3が転舵可能なタイヤ車輪24A,24Bを、それぞれ備えているので、例えば、架設されたPC床版面を走行面wとし、ここに上記運搬手段1と架設手段2を直接配置し且つこれを走行させても該架設床面wが損傷するということがなく、作業上の信頼性が向上する。
【0026】
また、上記運搬手段1が転舵可能なタイヤ車輪11A〜11Dを、上記架設手段2の上記台車3が転舵可能なタイヤ車輪24A,24Bをそれぞれ備えていることから、例えば、運搬対象のPC床版w0が長尺物であり、これを運搬するために上記運搬手段1を複数設置し、これら各運搬手段1の共働によってPC床版w0を運搬するような場合、例え運搬経路が小曲率半径の湾曲経路であったとしても、これら複数の運搬手段1を容易に同調させて、PC床版w0を安全且つ迅速的確に運搬することができる。さらに、上記架設手段2も架設作業の進行に伴ってこれを移動させることが必要となるが、その場合にも上記台車3が転舵可能なタイヤ車輪24A,24Bを備えることで、上記架設手段2を安全に且つ移動させることができる。
【0027】
▲3▼ 本願の第3の発明に係るPC床版架設装置によれば、上記▲1▼又は▲2▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明のPC床版架設装置では、上記リフター機構4の上記ビーム31を、その後部31bが上記台車3の後部よりも後方へ延出した状態で該台車3側に支持し、上記運搬手段1を上記台車3の後部側に位置せしめた状態において上記スライダー40を介して上記運搬手段1に載置された上記PC床版w0を直接吊下し得るように構成しているので、上記運搬手段1で運搬されたPC床版w0を架設手段2の台車3側に預けることなく上記スライダー40で直接吊下し、後は該スライダー40を移動させ、且つ上記リフター機構4の上記ビーム31を降下させるのみによって上記PC床版w0を所定の架設位置に架設できる。従って、例えば上記PC床版w0を上記台車3に一旦預けた後、上記スライダー40によって吊下するような場合に比して、作業工程の簡略化と作業の迅速化が可能となり、それだけ施工コストの低廉化が促進される。
【0028】
▲4▼ 本願の第4の発明に係るPC床版架設装置によれば、上記▲1▼又は▲2▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明のPC床版架設装置では、上記リフター機構4の上記ビーム31をその後部31bが上記台車3の後部近傍に位置した状態で該台車3側に支持させる一方、上記運搬手段1と上記台車3との間には該運搬手段1を上記台車3の後部側に位置せしめた状態において該運搬手段1に載置された上記PC床版w0を該運搬手段1側から上記台車3側へ移動させる移動機構15を備え、上記PC床版w0を上記運搬手段1から上記台車3側へ移動させた状態で上記スライダー40を介して吊下するように構成しているので、上記移動機構15の付設によって、例えば上記ビーム31の長さを長くすることなく上記PC床版w0の受け取りを容易とすることができ、この結果、上記移動機構15の付設費用が上記ビーム31の長さ変更に伴う費用に比して安価であることから、架設装置の低コスト化が促進される。
【0029】
▲5▼ 本願の第5の発明に係るPC床版架設装置によれば、上記▲1▼又は▲2▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明のPC床版架設装置では、上記リフター機構4の上記ビーム31を、上記台車3に対してその車長方向に移動可能に支持し且つその第1のビーム位置においてはその後部31bを上記台車3の後部側に位置した上記運搬手段1上に延出させる一方、第2のビーム位置においてはその前部31aを上記台車3の前方側へ延出させるように構成し、上記第1のビーム位置において上記スライダー40を介して上記運搬手段1上から上記PC床版w0を吊下し得るように構成しているので、上記ビーム31を上記架設手段2の前後方向へ移動可能とすることで、該ビーム31の長さを長くすることなく上記リフター機構4によって上記運搬手段1からの上記PC床版w0の受け取りと、受取後における上記PC床版w0の架設作業とが可能であり、その結果、架設装置のコンパクト化が促進される。
【0030】
▲6▼ 本願の第6の発明に係るPC床版架設方法では、平行に設置された橋桁v,v間に横渡し状態でPC床版w0を順次架設して該橋桁v,v上に架設床面wを構築するPC床版架設方法において、走行面w上に、上記PC床版w0を運搬する運搬手段1と、架設作業進行方向に延設した状態で支持され且つ昇降可能とされたビーム31にその軸方向に相対移動可能にスライダー40を取り付けてなるリフター機構4を備えた架設手段2とを、上記架設手段2が架設方向前端寄りに位置するように架設作業進行方向に前後させて配置した状態で、上記運搬手段1により上記PC床版w0を上記架設手段2の近傍位置まで運搬する「運搬工程」と、上記運搬手段1上の上記PC床版w0を上記架設手段2側の上記スライダー40に吊下可能に連結した後、上記リフター機構4を上昇させて上記スライダー40を介して上記PC床版w0を吊下支持する「受取工程」と、上記運搬手段1から受け取った上記PC床版w0を上記スライダー40の移動によって上記橋桁v,v上の架設位置側へ移送する「移送工程」と、上記リフター機構4を降下させて上記PC床版w0を上記架設位置に載置する「載置工程」とを経て上記橋桁v,v上に上記PC床版w0を順次架設するようにしている。
【0031】
従って、この発明のPC床版架設方法によれば、
(イ) 上記運搬手段1により運搬されたPC床版w0を上記リフター機構4を用いて該運搬手段1から受け取りこれを架設位置まで移送することから、このPC床版w0は運搬時における姿勢のまま平行移動され、従って、例えば上掲従来技術における「旋回作動により移送を行う」方法の場合のように、移送時にPC床版w0の姿勢あるいは旋回中心からの距離が変化するというようなことがなく、例え上記PC床版w0が長尺物であったとしてもこれを安全且つ迅速に所定の架設位置まで移送することができ、安全且つ迅速に架設作業を行うことができる。
【0032】
(ロ) 上記PC床版w0の吊上げ作業(運搬手段1からの受け取り作業)と吊り下げ作業(架設位置への載置作業)とが上記リフター機構4の昇降動作によって行われるので、上記リフター機構4は移送機能と吊上げ・吊下げ機能を兼備し、従って、例えば従来の架設方法のようにPC床版w0の移送作業と該PC床版w0の吊上げ・吊下げ作業とが別個の手段を用いて行われる場合に比して、架設作業全体の作業性が向上し、延いては施工コストの低コスト化が促進される。
【0033】
(ハ) PC床版w0の移送及び架設作業時には、上記架設手段2の上記台車3はこれを走行面w上に固定し、上記リフター機構4に設けられた上記スライダー40のみを上記ビーム31に沿って移動させけば良く、従って、従来の架設方法のように架設作業車全体がPC床版を吊下支持した状態で移動する必要がある場合に比して、作業性が良好であり、且つPC床版w0の架設位置への位置決めも容易且つ精度良く行うことができ、延いては架設作業の信頼性・的確性が向上する、
(ニ) 走行面w上に上記運搬手段1と架設手段2とが共に配置され、しかも上記運搬手段1が架設手段2よりも架設作業進行方向の後方側又は前方側に位置していることから、該運搬手段1が後方側に配置されている場合(即ち、上記架設手段2が架設作業進行方向前方側へ向けて前進する場合)も、該運搬手段1が前方側に配置されている場合(即ち、上記架設手段2が架設作業進行方向前方側へ向けて後退する場合)も、共に、上記架設手段2が上記運搬手段1から受け取ったPC床版w0の架設作業を行っている間に、上記運搬手段1は上記架設手段2の動作とは無関係に、例えば次回の架設作業において使用される新たなPC床版w0の運搬を行うなど単独で作業を行うことができ、架設作業における作業性の向上が図れる、
等の効果が得られる。
【0034】
▲7▼ 本願の第7の発明に係るPC床版架設方法では、上記▲6▼に記載の効果に加えて次のような特有の効果が得られる。即ち、この発明のPC床版架設方法によれば、上記運搬手段1と上記架設手段2とを、上記架設床面w上に橋桁間隔方向に適宜離間させて配置し、複数の上記運搬手段1,1を同時使用して上記「運搬工程」を実行すると共に、複数の上記架設手段2,2を同時使用して上記「受取工程」と「移送工程」及び「載置工程」を実行するようにしているので、例え上記PC床版w0が長尺物であってもこれを安定的に運搬し且つこれを迅速且つ的確に所要の架設位置に架設することができるなど、特に長尺のPC床版w0を架設する場合における作業性の向上と施工コストの低下とが促進される。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0036】
I:第1の実施形態
図1及び図2には、本願発明の第1の実施形態にかかるPC床版架設装置Z1を示している。このPC床版架設装置Z1は、短冊状の平面形状をもつ長尺物であるPC床版w0(図47を参照)を所定の積み込み位置から架設位置まで運搬し、且つこれを架設位置に載置して架設するためのものであって、次述する運搬車1と架設作業車2とを備えて構成される。
【0037】
ところで、このPC床版架設装置Z1は、図1に示すように、架設床面w(特許請求の範囲中の「走行面」に該当する)上に設置されて所要の作業を行うことを前提とするものであって、そのため、このPC床版架設装置Z1の設置に先立って上記架設床面wの構築作業が行われる。即ち、上記PC床版架設装置Z1を用いた架設作業の準備段階として、先ず、PC床版w0の積み込み位置となる場所の近傍にPC床版積込み用のクレーン装置を設置する。そして、この積み込み用のクレーンを用いて橋桁v上にPC床版w0を所定数架設し(以下、説明の便宜上、橋桁v上に架設されたPC床版w0を「既架設PC床版w1」と称する)、この架設された複数の既架設PC床版w1,w1,・・で構成される所定長さをもつ架設床面wを構築する。
【0038】
このように事前作業によって構築された架設床面w上に次述の運搬車1と架設作業車2とからなるPC床版架設装置Z1を載置し、以後、この架設床面wを走行面として利用し、且つ上記PC床版架設装置Z1を用いてPC床版w0の架設作業を行うものである。また、上記積み込み位置は、当初設置位置に固定されるものではなく、上記運搬車1による運搬距離を最短化する意味から、上記架設床面wが上記PC床版架設装置Z1を用いた架設作業の進行に伴って次第に前方へ向かって延設されるのに対応して、順次、架設現場寄りに移動される。但し、かかる積込み位置の移動は、移動先にクレーンの設置スペース及びPC床版w0の搬入載置スペースを確保できることが条件とされる。
【0039】
さらに、上述のように、この実施形態において架設対象となるPC床版w0は短冊状の平面形状をもつ長尺物であることから、PC床版架設装置Z1を橋桁間隔方向に複数(例えば2つ)配置し、これら複数のPC床版架設装置Z1の共働によってこれを運搬し且つ所定位置に架設するものであるが、以下の説明においてはこれら複数のPC床版架設装置Z1のうちの一方側を例に採り、その構造等を説明することとする。
【0040】
a:運搬車1の構造等
上記運搬車1は、特許請求の範囲中の「運搬手段」に該当するものであって、長矩形の平面形状をもつ車体フレーム1aにその車長方向に適宜離間して四組のタイヤ車輪11A〜11Dを取り付ける(即ち、「四軸構造」である)とともに、該車体フレーム1aの後部には駆動装置等を備えた機械部13を配置している。そして、上記各タイヤ車輪11A〜11Dのうち、上記車体フレーム1aの前部寄りに配置された二つのタイヤ車輪11A,11Bは転舵機構を備えており、これによって上記運搬車1は転舵走行が可能とされている。
【0041】
また、上記車体フレーム1aの前部寄り位置には、受台12が備えられ、この受台12上にPC床版w0を載置して運搬するようになっている。
【0042】
b:架設作業車2の構造等
上記架設作業車2は、特許請求の範囲中の「架設手段」に該当するものであって、次述の台車3とリフター機構4とを備えて構成される。
【0043】
b−1:台車3
上記台車3は、次述する一対のスライド支持機構21,21を所定間隔をもって平行配置してこれを車体とし、これに前後一対のタイヤ車輪24A,24Bを取り付けて構成されている。そして、これら前後一対のタイヤ車輪24A,24Bのうち、台車3の前部寄りに位置するタイヤ車輪24Aは転舵機構を備えており、これによって上記台車3は転舵走行が可能となっている。また、タイヤ車輪24A,24Bの駆動装置等は、上記台車3の側部に配置した機械部23内に収容されている。
【0044】
ここで、上記スライド支持機構21は、上記タイヤ車輪24A,24Bが取り付けられた固定筒21Aと該固定筒21A内に相対摺動自在に内挿されたスライド筒21Bとを備えるとともに、該スライド筒21Bを上記固定筒21Aとの間に跨がって内装配置した油圧シリンダ(図示省略)によって伸縮駆動することで、図1に示すように上記固定筒21Aからその前方側へ上記スライド筒21Bが大きく延出した「延出姿勢」と、図6に示すように上記スライド筒21Bが上記固定筒21A内に後退して収納された「後退姿勢」との間で姿勢変更可能とされている。尚、上記スライド支持機構21の「延出姿勢」においては、図1に示すように、上記スライド筒21Bの先端は、後述するリフター機構4側のリフターシリンダ32の下端部に連結可能とされる。
【0045】
また、上記台車3の後部寄り位置には、ジャッキ25が台車前後方向に起倒自在に取り付けられている。このジャッキ25は、図1に示すようにこれが直立した「直立姿勢」と、図6に示すように台車前方側へ倒伏した「倒伏姿勢」の間で姿勢変更自在とされており、その「直立姿勢」においては次述するリフター機構4側のビーム31の中間位置を支持し得るようになっている。
【0046】
b−2:リフター機構4
上記リフター機構4は、所定長の直状形態をもつビーム31と、該ビーム31の先端31a側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた前側リフターシリンダ32と、該ビーム31の他端31b側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた後側リフターシリンダ33と、該後側リフターシリンダ33の下端に横設固定された横ビーム35の左右両端にそれぞれ上下方向に向けて取り付けられた左右一対のサブシリンダ34,34とを備えて構成され、全体として略H形の側面視形態を有している。
【0047】
上記ビーム31には、スライダー40が相対摺動自在に取り付けられている。そして、このスライダー40は、上記ビーム31の上面側に配置したスライド駆動部37によって該ビーム31に沿ってその軸方向にスライドされる。即ち、上記スライド駆動部37は、ロッド端が固定され且つチューブ端が転動自在とされた油圧シリンダ38と、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ前端に設けたシーブ44Aを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Aと、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ後端に設けたシーブ44Bを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Bとを備え、上記油圧シリンダ38が伸縮作動するとき、上記スライダー40が上記ビーム31に沿ってその軸方向にスライドするように構成されている。また、上記スライダー40には、所定長さの吊用ワイヤーロープ42が取り付けられている。
【0048】
上記前側リフターシリンダ32は、そのロッド端を下方に向けた状態で、そのチューブの軸方向中間位置が上記ビーム31の先端31a側に固定されている。そして、このチューブの下端部には、上記スライド支持機構21のスライド筒21Bの先端部が連結可能とされている。
【0049】
上記後側リフターシリンダ33は、そのロッド端を下方に向けた状態で、そのチューブの下端寄り位置が上記ビーム31の後端31b側に固定されている。そして、この後側リフターシリンダ33のロッド端に上記横ビーム35が横設状態で取り付けられるとともに、該横ビーム35の左右両端部にはそれぞれサブシリンダ34,34が、そのロッド端を下方に向けるとともにチューブの下端部を上記横ビーム35に固定した状態で取り付けられている。従って、上記後側リフターシリンダ33が伸縮すると、上記横ビーム35と上記一対のサブシリンダ34とが一体的に昇降する。また、上記サブシリンダ34は、上記後側リフターシリンダ33と独立して伸縮作動し、そのロッド端(即ち、接地部)と上記後側リフターシリンダ33との上下方向間隔(即ち、上記ビーム31の接地高さ位置)を変更する。
【0050】
尚、上記一対のサブシリンダ34,34の間隔寸法は、上記運搬車1の幅寸法よりも大きな寸法に設定されており、該運搬車1の存在の有無に拘わらず上記各サブシリンダ34,34を接地させ得るようになっている。また、上記後側リフターシリンダ33の側部には油圧ホース収納部36が設けられている。
【0051】
上記架設作業車2は、図1に示すように、上記ジャッキ25を「直立姿勢」に、上記スライド支持機構21を「延出姿勢」に、それぞれ設定し、上記ジャッキ25によって上記ビーム31の中間部を支持させるとともに、上記スライド筒21Bの先端を上記前側リフターシリンダ32の下端側に連結し上記ビーム31の一端31a側を支持させた姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「格納姿勢」という)と、図6に示すように、上記台車3とリフター機構4とを切り離すとともに上記ビーム31を上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって上記ビーム31の両端で接地支持した姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「作業姿勢」という)とを選択的に取り得るようになっている。
【0052】
この場合、上記ビーム31の長さは、上記リフター機構4が「格納姿勢」に設定された状態において、上記台車3の後端より後方側へ大きく張り出し、上記台車3の後端近傍に位置する上記運搬車1の後部寄り部位に位置するような長さに設定されている。
【0053】
c:PC床版架設装置Z1を用いたPC床版w0の架設作業の説明
続いて、上述のごとき構成を備えた上記PC床版架設装置Z1を用いて橋桁v上にPC床版w0を順次架設して架設床面wを構築する場合の作業手順及び各装置の作動等を、図4〜図12を参照しつつ説明する。
【0054】
先ず、上記PC床版架設装置Z1を予め構築された架設床面w上に載置し、且つ該PC床版架設装置Z1を運搬車1と架設作業車2とに分離する。そして、運搬車1はこれをPC床版w0の積込位置に、上記架設作業車2はこれを上記架設床面wの最前端に位置する架設現場の近傍にそれぞれ位置させる。
【0055】
そして、先ず、図4に示すように、上記運搬車1の上記受台12上にPC床版w0を移載する。このPC床版w0の移載は、PC床版置き場に搬入載置されているPC床版w0を、クレーンを用いて吊下しこれを上記運搬車1の受台12上に積載することで行われる。上記PC床版w0の移載が完了すると、上記運搬車1を走行させ、これを上記架設作業車2の後端近傍まで運搬する。
【0056】
この場合、上記運搬車1が転舵走行が可能な構造であることから、例えばPC床版w0の長手方向に所定間隔をもって並置した二つの運搬車1,1を用いて上記PC床版w0を運搬する場合、例え運搬経路が小曲率半径をもつ屈曲路であったとしても、上記各運搬車1,1の転舵操作によって上記PC床版w0を容易且つ安全に運搬することができ、運搬作業性が良好となる。また、上記運搬車1は、前後方向に四つの車軸をもつ「四軸構造」とされていることから、上記架設床面w構成する各PC床版w1間の隙間に何れか一軸又は二軸の車輪が落ち込んでも、他の二軸又は三軸の車輪で上記運搬車1が支えられ、これが大きく上下動することが確実に防止され、運搬作業の安全性が確保される。
【0057】
尚、このとき、上記ビーム31側に設けられた上記スライダー40は、上記運搬車1上に積載されたPC床版w0の直上に位置している。また、上記リフター機構4は「格納姿勢」に設定されている。
【0058】
次に、図5に示す状態において、上記前側リフターシリンダ32を伸長させてこれを橋桁v上のリフター受台pに接地させると同時に、上記後側リフターシリンダ33と左右一対の上記サブシリンダ34,34とを適宜伸長させて該各サブシリンダ34,34を、上記運搬車1をその幅方向に跨いだ状態で、上記架設床面w上に接地し、これら前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって上記ビーム31を支持する。
【0059】
この状態で、図6に示すように、上記前側リフターシリンダ32と上記スライド支持機構21との連結を解除し且つ該スライド支持機構21を「後退姿勢」に設定するとともに、上記ジャッキ25を「直立姿勢」から「倒伏姿勢」に姿勢変更する。この状態では、上記リフター機構4は、上記台車3から切り離され、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって自力設置されている。
【0060】
次に、図7に示すように、上記スライダー40の吊用ワイヤーロープ42を上記運搬車1側の上記PC床版w0に連結し、上記各シリンダ32,33,34を適宜伸長させて上記PC床版w0を上記スライダー40に吊下させ、該PC床版w0を上記運搬車1の受台12から浮上させる。しかる後、上記運搬車1を、次回の架設作業に使用されるPC床版w0の運搬を行うべく、積込位置側に帰還させる。上記運搬車1の帰還後の状態が図8に示す状態である。
【0061】
次に、上記PC床版w0の架設作業に移る。即ち、図8の状態から、上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側に向けてスライドさせ、該スライダー40に吊下された上記PC床版w0を上記台車3の後方側からその上方を通って前方側へ移動させ、図9に示すように、該PC床版w0を目標とする架設位置の直上に位置させる。
【0062】
次に、図10に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを縮小させて上記ビーム31を降下させ、上記スライダー40に吊下された上記PC床版w0を上記橋桁v上の架設位置に載置する。
【0063】
次に、図11に示すように、上記吊用ワイヤーロープ42を上記PC床版w0から切り離し、しかる後、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを伸長させて上記ビーム31を上昇させるとともに、上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側から後端31b側へスライドさせる。
【0064】
しかる後、上記ジャッキ25を「直立姿勢」に、上記スライド支持機構21を「延出姿勢」にそれぞれ姿勢変更する。そして、この状態で、図12に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを縮小させて上記ビーム31を降下させ、これを上記ジャッキ25に支持させるとともに、上記前側リフターシリンダ32の下端部を上記スライド支持機構21のスライド筒21Bの先端に連結してこれを支持させる。この状態では、上記リフター機構4は「格納姿勢」とされる。
【0065】
以上で、上記PC床版w0の架設作業が完了する。かかる一連の作業を順次繰り返して行うことで、上記橋桁v上に順次PC床版w0が架設され、上記架設床面wが前方に向けて延長され、最終的に所要の長さをもつ架設床面wが構築されるものである。
【0066】
II:第2の実施形態
図13及び図14には、本願発明の第2の実施形態にかかるPC床版架設装置Z2を示している。このPC床版架設装置Z2は、短冊状の平面形状をもつ長尺物であるPC床版w0(図47を参照)を所定の積み込み位置から架設位置まで運搬し、且つこれを架設位置に載置して架設するためのものであって、次述する運搬車1と架設作業車2とを備えて構成される。
【0067】
ところで、このPC床版架設装置Z2は、図13に示すように、架設床面w(特許請求の範囲中の「走行面」に該当する)上に設置されて所要の作業を行うことを前提とするものであって、そのため、このPC床版架設装置Z2の設置に先立って上記架設床面wの構築作業が行われる。即ち、上記PC床版架設装置Z2を用いた架設作業の準備段階として、先ず、PC床版w0の積み込み位置となる場所の近傍にPC床版積込み用のクレーン装置を設置する。そして、この積み込み用のクレーンを用いて橋桁v上にPC床版w0を所定数架設し(以下、説明の便宜上、橋桁v上に架設されたPC床版w0を「既架設PC床版w1」と称する)、この架設された複数の既架設PC床版w1,w1,・・で構成される所定長さをもつ架設床面wを構築する。
【0068】
このように事前作業によって構築された架設床面w上に次述の運搬車1と架設作業車2とからなるPC床版架設装置Z2を載置し、以後、この架設床面wを走行面として利用し且つ上記PC床版架設装置Z2を用いて上記PC床版w0の架設作業を行うものである。また、上記積み込み位置は、当初設置位置に固定されるものではなく、上記運搬車1による運搬距離を最短化する意味から、上記架設床面wが上記PC床版架設装置Z2を用いた架設作業の進行に伴って次第に前方へ向かって延設されるのに対応して、順次、架設現場寄りに移動される。但し、かかる積込み位置の移動は、移動先にクレーンの設置スペース及びPC床版w0の搬入載置スペースを確保できることが条件とされる。
【0069】
さらに、上述のように、この実施形態において架設対象となるPC床版w0は短冊状の平面形状をもつ長尺物であることから、PC床版架設装置Z2を橋桁間隔方向に複数(例えば2つ)配置し、これら複数のPC床版架設装置Z2の共働によってこれを運搬し且つ所定位置に架設するものであるが、以下の説明においてはこれら複数のPC床版架設装置Z2のうちの一方側を例に採り、その構造等を説明することとする。
【0070】
a:運搬車1の構造等
上記運搬車1は、特許請求の範囲中の「運搬手段」に該当するものであって、長矩形の平面形状をもつ車体フレーム1aにその車長方向に適宜離間して四組のタイヤ車輪11A〜11Dを取り付ける(即ち、「四軸構造である」)とともに、該車体フレーム1aの後部には駆動装置等を備えた機械部13を配置している。そして、上記各タイヤ車輪11A〜11Dのうち、上記車体フレーム1aの前部寄りに配置された二つのタイヤ車輪11A,11Bは転舵機構を備えており、これによって上記運搬車1は転舵走行が可能とされている。
【0071】
また、上記車体フレーム1aの前部寄り位置には、受台12が備えられ、この受台12上にPC床版w0を載置して運搬するようになっている。そして、この実施形態のものでは、上記受台12を、上記車体フレーム1aに車体前後方向に向けて配置した移動用油圧シリンダ15(特許請求の範囲中の「移動機構15」に該当する)の伸縮動作によって、図13に実線図示するように上記運搬車1側の位置と、同図に鎖線図示するように次述の架設作業車2側の位置との間で移動させ得るように構成している。
【0072】
b:架設作業車2の構造等
上記架設作業車2は、特許請求の範囲中の「架設手段」に該当するものであって、次述の台車3とリフター機構4とを備えて構成される。
【0073】
b−1:台車3
上記台車3は、次述する一対のスライド支持機構21,21を所定間隔をもって平行配置してこれを車体とし、これに前後一対のタイヤ車輪24A,24Bを取り付けて構成されている。そして、これら前後一対のタイヤ車輪24A,24Bのうち、台車3の前部寄りに位置するタイヤ車輪24Aは転舵機構を備えており、これによって上記台車3は転舵走行が可能となっている。また、タイヤ車輪24A,24Bの駆動装置等は、上記台車3の側部に配置した機械部23内に収容されている。
【0074】
ここで、上記スライド支持機構21は、上記タイヤ車輪24A,24Bが取り付けられた固定筒21Aと該固定筒21A内に相対摺動自在に内挿されたスライド筒21Bとを備えるとともに、該スライド筒21Bを上記固定筒21Aとの間に跨がって内装配置した油圧シリンダ(図示省略)によって伸縮駆動することで、図1に示すように上記固定筒21Aからその前方側へ上記スライド筒21Bが大きく延出した「延出姿勢」と、図21に示すように上記スライド筒21Bが上記固定筒21A内に後退して収納された「後退姿勢」との間で姿勢変更可能とされている。尚、上記スライド支持機構21の「延出姿勢」においては、図13に示すように、上記スライド筒21Bの先端は、後述するリフター機構4側のリフターシリンダ32の下端部に連結可能とされる。
【0075】
また、上記台車3の後部寄り位置には、ジャッキ25が台車前後方向に起倒自在に取り付けられている。このジャッキ25は、図13に示すようにこれが直立した「直立姿勢」と、図21に示すように台車前方側へ倒伏した「倒伏姿勢」の間で姿勢変更自在とされており、その「直立姿勢」においては次述するリフター機構4側のビーム31の中間位置を支持し得るようになっている。
【0076】
b−2:リフター機構4
上記リフター機構4は、所定長の直状形態をもつビーム31と、該ビーム31の先端31a側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた前側リフターシリンダ32と、該ビーム31の他端31b側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた後側リフターシリンダ33と、該後側リフターシリンダ33の下端に横設固定された横ビーム35の左右両端にそれぞれ上下方向に向けて取り付けられた左右一対のサブシリンダ34,34とを備えて構成され、全体として略H形の側面視形態を有している。
【0077】
上記ビーム31には、スライダー40が相対摺動自在に取り付けられている。そして、このスライダー40は、上記ビーム31の上面側に配置したスライド駆動部37によって該ビーム31に沿ってその軸方向にスライドされる。即ち、上記スライド駆動部37は、ロッド端が固定され且つチューブ端が転動自在とされた油圧シリンダ38と、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ前端に設けたシーブ44Aを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Aと、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ後端に設けたシーブ44Bを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Bとを備え、上記油圧シリンダ38が伸縮作動するとき、上記スライダー40が上記ビーム31に沿ってその軸方向にスライドするように構成されている。また、上記スライダー40には、所定長さの吊用ワイヤーロープ42が取り付けられている。
【0078】
上記前側リフターシリンダ32は、そのロッド端を下方に向けた状態で、そのチューブの軸方向中間位置が上記ビーム31の先端31a側に固定されている。そして、このチューブの下端部には、上記スライド支持機構21のスライド筒21Bの先端部が連結可能とされている。
【0079】
上記後側リフターシリンダ33は、そのロッド端を下方に向けた状態で、そのチューブの下端寄り位置が上記ビーム31の後端31b側に固定されている。そして、この後側リフターシリンダ33のロッド端に上記横ビーム35が横設状態で取り付けられるとともに、該横ビーム35の左右両端部にはそれぞれサブシリンダ34,34が、そのロッド端を下方に向けるとともにチューブの下端部を上記横ビーム35に固定した状態で取り付けられている(図15を参照)。従って、上記後側リフターシリンダ33が伸縮すると、上記横ビーム35と上記一対のサブシリンダ34とが一体的に昇降する。また、上記サブシリンダ34は、上記後側リフターシリンダ33と独立して伸縮作動し、そのロッド端(即ち、接地部)と上記後側リフターシリンダ33との上下方向間隔(即ち、上記ビーム31の接地高さ位置)を変更する。
【0080】
尚、上記一対のサブシリンダ34,34の間隔寸法は、上記運搬車1の幅寸法よりも大きな寸法に設定されており、該運搬車1の存在の有無に拘わらず上記各サブシリンダ34,34を接地させ得るようになっている。また、上記後側リフターシリンダ33の側部には油圧ホース収納部36が設けられている。
【0081】
上記架設作業車2は、図13に示すように、上記ジャッキ25を「直立姿勢」に、上記スライド支持機構21を「延出姿勢」に、それぞれ設定し、上記ジャッキ25によって上記ビーム31の中間部を支持させるとともに、上記スライド筒21Bの先端を上記前側リフターシリンダ32の下端側に連結し上記ビーム31の一端31a側を支持させた姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「格納姿勢」という)と、図21に示すように、上記台車3とリフター機構4とを切り離すとともに上記ビーム31を上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって上記ビーム31の両端で接地支持した姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「作業姿勢」という)とを選択的に取り得るようになっている。
【0082】
この場合、上記ビーム31の長さは、上記リフター機構4が「格納姿勢」に設定された状態において、その後端31bが上記台車3の後端部近傍に位置するような寸法に設定されている。
【0083】
c:PC床版架設装置Z2を用いたPC床版w0の架設作業の説明
続いて、上述のごとき構成を備えた上記PC床版架設装置Z2を用いて橋桁v上にPC床版w0を順次架設して架設床面wを構築する場合の作業手順及び各装置の作動等を、図16〜図26を参照しつつ説明する。
【0084】
先ず、上記PC床版架設装置Z2を予め構築された架設床面w上に載置し、且つ該PC床版架設装置Z2を運搬車1と架設作業車2とに分離する。そして、運搬車1はこれをPC床版w0の積込位置に、上記架設作業車2はこれを上記架設床面wの最前端に位置する架設現場の近傍にそれぞれ位置させる。
【0085】
そして、先ず、図16に示すように、上記運搬車1の上記受台12上にPC床版w0を移載する。このPC床版w0の移載は、PC床版置き場に搬入載置されているPC床版w0を、クレーンを用いて吊下しこれを上記運搬車1の受台12上に積載することで行われる。上記PC床版w0の移載が完了すると、上記運搬車1を走行させ、これを上記架設作業車2の後端近傍まで運搬する。
【0086】
この場合、上記運搬車1が転舵走行が可能な構造であることから、例えばPC床版w0の長手方向に所定間隔をもって並置した二つの運搬車1,1を用いて上記PC床版w0を運搬する場合、例え運搬経路が小曲率半径をもつ屈曲路であったとしても、上記各運搬車1,1の転舵操作によって上記PC床版w0を容易且つ安全に運搬することができ、運搬作業性が良好となる。また、上記運搬車1は、前後方向に四つの車軸をもつ「四軸構造」とされていることから、上記架設床面w構成する各PC床版w1間の隙間に何れか一軸又は二軸の車輪が落ち込んでも、他の二軸又は三軸の車輪で上記運搬車1が支えられ、これが大きく上下動することが確実に防止され、運搬作業の安全性が確保される。
【0087】
尚、このとき、上記ビーム31側に設けられた上記スライダー40は、上記運搬車1上に積載されたPC床版w0の直上に位置している。また、上記リフター機構4は「格納姿勢」に設定されている。
【0088】
次に、図18に示すように、上記移動用油圧シリンダ15を伸長させて、上記運搬車1側にある上記受台12を上記台車3側に移動させる。この受台12の移動によって、ここに載置された上記PC床版w0は、上記運搬車1側から上記台車3側に受け渡されることになる。このPC床版w0の受け渡しが完了すると、図19に示すように、上記運搬車1を次回の架設作業に使用されるPC床版w0の運搬を行うべく、積込位置側に帰還させる。このPC床版w0の受け渡し完了状態では、上記PC床版w0の直上に上記スライダー40が位置している。
【0089】
しかる後、図20に示すように、上記前側リフターシリンダ32を伸長させてこれを橋桁v上のリフター受台pに接地させると共に、上記後側リフターシリンダ33と左右一対の上記サブシリンダ34,34とを適宜伸長させて該各サブシリンダ34,34を、上記運搬車1をその幅方向に跨いだ状態で、上記架設床面w上に接地し、これら前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって上記ビーム31を支持する。
【0090】
次に、図21に示すように、上記前側リフターシリンダ32と上記スライド支持機構21との連結を解除し且つ該スライド支持機構21を「後退姿勢」に設定するとともに、上記ジャッキ25を「直立姿勢」から「倒伏姿勢」に姿勢変更する。この状態では、上記リフター機構4は、上記台車3から切り離され、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33及びサブシリンダ34によって自力設置されている。しかる後、上記各シリンダ32,33,34を適宜伸長させて上記ビーム31を上昇させ、この状態で上記スライダー40の吊用ワイヤーロープ42を上記PC床版w0に連結し吊下可能状態とする。
【0091】
さらに、図22に示すように、上記各シリンダ32,33,34をさらに伸長させて上記PC床版w0を上記スライダー40側に吊下しこれを上記台車3から浮上させる。そして、図23に示すように、上記PC床版w0を吊下した状態のまま、上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側に向けてスライドさせ、該スライダー40に吊下された上記PC床版w0を上記台車3の上方からその前方側へ移動させて目標とする架設位置の直上に位置させる。
【0092】
しかる後、図24に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを縮小させて上記ビーム31を降下させ、上記スライダー40に吊下された上記PC床版w0を上記橋桁v上の架設位置に載置する。
【0093】
次に、図25に示すように、上記吊用ワイヤーロープ42を上記PC床版w0から切り離し、しかる後、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを伸長させて上記ビーム31を上昇させるとともに、上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側から後端31b側へスライドさせる。さらに、上記ジャッキ25を「直立姿勢」に、上記スライド支持機構21を「延出姿勢」にそれぞれ姿勢変更する。
【0094】
そして、この状態から、図26に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを縮小させて上記ビーム31を降下させ、これを上記ジャッキ25に支持させるとともに、上記前側リフターシリンダ32の下端部を上記スライド支持機構21のスライド筒21Bの先端に連結してこれを支持させる。この状態では、上記リフター機構4は「格納姿勢」とされる。
【0095】
以上で、上記PC床版w0の架設作業が完了する。かかる一連の作業を順次繰り返して行うことで、上記橋桁v上に順次PC床版w0が架設され、上記架設床面wが前方に向けて延長され、最終的に所要の長さをもつ架設床面wが構築されるものである。
【0096】
III:第3の実施形態
図27及び図28には、本願発明の第3の実施形態にかかるPC床版架設装置Z3を示している。このPC床版架設装置Z3は、短冊状の平面形状をもつ長尺物であるPC床版w0(図47を参照)を所定の積み込み位置から架設位置まで運搬し、且つこれを架設位置に載置して架設するためのものであって、次述する運搬車1と架設作業車2とを備えて構成される。
【0097】
ところで、このPC床版架設装置Z3は、図1に示すように、架設床面w(特許請求の範囲中の「走行面」に該当する)上に設置されて所要の作業を行うことを前提とするものであって、そのため、このPC床版架設装置Z3の設置に先立って上記架設床面wの構築作業が行われる。即ち、上記PC床版架設装置Z3を用いた架設作業の準備段階として、先ず、PC床版w0の積み込み位置となる場所の近傍にPC床版積込み用のクレーン装置を設置する。そして、この積み込み用のクレーンを用いて橋桁v上にPC床版w0を所定数架設し(以下、説明の便宜上、橋桁v上に架設されたPC床版w0を「既架設PC床版w1」と称する)、この架設された複数の既架設PC床版w1,w1,・・で構成される所定長さをもつ架設床面wを構築する。
【0098】
このように事前作業によって構築された架設床面w上に次述の運搬車1と架設作業車2とからなるPC床版架設装置Z3を載置し、以後、この架設床面wを走行面として利用し、且つ上記PC床版架設装置Z1を用いてPC床版w0の架設作業を行うものである。また、上記積み込み位置は、当初設置位置に固定されるものではなく、上記運搬車1による運搬距離を最短化する意味から、上記架設床面wが上記PC床版架設装置Z3を用いた架設作業の進行に伴って次第に前方へ向かって延設されるのに対応して、順次、架設現場寄りに移動される。但し、かかる積込み位置の移動は、移動先にクレーンの設置スペース及びPC床版w0の搬入載置スペースを確保できることが条件とされる。
【0099】
さらに、上述のように、この実施形態において架設対象となるPC床版w0は短冊状の平面形状をもつ長尺物であることから、PC床版架設装置Z3を橋桁間隔方向に複数(例えば2つ)配置し、これら複数のPC床版架設装置Z3の共働によってこれを運搬し且つ所定位置に架設するものであるが、以下の説明においてはこれら複数のPC床版架設装置Z3のうちの一方側を例に採り、その構造等を説明することとする。
【0100】
a:運搬車1の構造等
上記運搬車1は、特許請求の範囲中の「運搬手段」に該当するものであって、長矩形の平面形状をもつ車体フレーム1aにその車長方向に適宜離間して四組のタイヤ車輪11A〜11Dを取り付ける(即ち、「四軸構造」である)とともに、該車体フレーム1aの後部には駆動装置等を備えた機械部13を配置している。そして、上記各タイヤ車輪11A〜11Dのうち、上記車体フレーム1aの前部寄りに配置された二つのタイヤ車輪11A,11Bは転舵機構を備えており、これによって上記運搬車1は転舵走行が可能とされている。
【0101】
また、上記車体フレーム1aの前部寄り位置には、受台12が備えられ、この受台12上にPC床版w0を載置して運搬するようになっている。
【0102】
b:架設作業車2の構造等
上記架設作業車2は、特許請求の範囲中の「架設手段」に該当するものであって、次述の台車3とリフター機構4とを備えて構成される。
【0103】
b−1:台車3
上記台車3は、一対のフレーム体22,22を所定間隔をもって平行配置してこれを車体とし、これに前後一対のタイヤ車輪24A,24Bを取り付けて構成されている。そして、これら前後一対のタイヤ車輪24A,24Bのうち、台車3の前部寄りに位置するタイヤ車輪24Aは転舵機構を備えており、これによって上記台車3は転舵走行が可能となっている。また、タイヤ車輪24A,24Bの駆動装置等は、上記台車3の側部に配置した機械部23内に収容されている。
【0104】
また、上記台車3の前端寄りと後端寄りの前後二位置には、その上端に次述のビーム31を摺動自在に支持するためのスライド支持機構26を備えたジャッキ25が、その軸心方向(伸縮方向)を上下方向に向けた状態でそれぞれ固定されている。
【0105】
b−2:リフター機構4
上記リフター機構4は、所定長の直状形態をもつビーム31と、該ビーム31の先端31a側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた前側リフターシリンダ32と、該ビーム31の他端31b側に該ビーム31に直交するように上下方向に向けて取り付けられた後側リフターシリンダ33とを備えて構成され、全体として略H形の側面視形態を有している。
【0106】
上記ビーム31には、吊用ワイヤーロープ42を備えたスライダー40が相対摺動自在に取り付けられている。また、このスライダー40は、固定用ワイヤーロープ41を介して上記各ジャッキ25,25に連結可能とされている。さらに、上記ビーム31の上面側には、上記スライダー40を上記ビーム31に沿ってその軸方向にスライド駆動するスライド駆動部37が設けられている。尚、上記スライド駆動部37は、ロッド端が固定され且つチューブ端が転動自在とされた油圧シリンダ38と、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ前端に設けたシーブ44Aを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Aと、一端が上記スライダー40に固定されるとともに他端が上記油圧シリンダ38のチューブ後端に設けたシーブ44Bを経て索端止45に固定された移動用ワイヤーロープ39Bとを備え、上記油圧シリンダ38が伸縮作動するとき、上記スライダー40と上記ビーム31とが該ビーム31の軸方向に相対的にスライドするように構成されている。
【0107】
そして、上記スライド駆動部37の駆動力は、図27に示すように、上記スライダー40が各固定用ワイヤーロープ41,41を介して上記各ジャッキ25,25に連結され該スライダー40と上記各ジャッキ25,25との相対移動が規制された状態では、固定状態にある上記スライダー40に対して上記ビーム31をスライドさせるように作用する。これに対して、図33に示すように、上記各固定用ワイヤーロープ41,41が取り除かれ、上記スライダー40が上記各ジャッキ25,25に対して相対移動し得る状態では、上記スライド駆動部37の駆動力は、固定状態にある上記ビーム31に対して上記スライダー40をスライドさせるように作用する。
【0108】
上記前側リフターシリンダ32は、そのロッド端を下方に向けた状態で、そのチューブの軸方向中間位置が上記ビーム31の先端31a側に固定されている。また、上記後側リフターシリンダ33は、そのロッド端を下方に向けた状態で上記ビーム31の後端31b側に固定されている。また、上記後側リフターシリンダ33の側部には油圧ホース収納部36が設けられている。
【0109】
上記架設作業車2は、図27に示すように、上記各ジャッキ25を伸長させてこれら二つのジャッキ25,25によって上記ビーム31の中間部と後端31b寄り部位とを支持させるとともに上記スライダー40を上記各固定用ワイヤーロープ41によって上記各ジャッキ25,25に連結してこれら両者の相対移動を規制した姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「格納姿勢」という)と、図33に示すように、上記各固定用ワイヤーロープ41を取り除き上記スライダー40を上記各ジャッキ25に対して相対移動可能とするとともに、上記ビーム31を上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33によって上記ビーム31の両端で接地支持した姿勢(以下、この時の架設作業車2の姿勢を「作業姿勢」という)とを選択的に取り得るようになっている。
【0110】
尚、上記ビーム31の長さは、図27に示すように、上記架設作業車2が「格納姿勢」に設定された状態において、上記後側リフターシリンダ33が上記台車3の後端部に位置し、また上記前側リフターシリンダ32が上記台車3の前端との間に上記PC床版w0の昇降動作を許容するに十分な間隔を確保し得るような位置となるように設定されている。
【0111】
c:PC床版架設装置Z3を用いたPC床版w0の架設作業の説明
続いて、上述のごとき構成を備えた上記PC床版架設装置Z3を用いて橋桁v上にPC床版w0を順次架設して架設床面wを構築する場合の作業手順及び各装置の作動等を、図29〜図46を参照しつつ説明する。
【0112】
先ず、上記PC床版架設装置Z3を予め構築された架設床面w上に載置し、且つ該PC床版架設装置Z3を運搬車1と架設作業車2とに分離する。そして、運搬車1はこれをPC床版w0の積込位置に、上記架設作業車2はこれを上記架設床面wの最前端に位置する架設現場の近傍にそれぞれ位置させる。
【0113】
そして、先ず、図29に示すように、上記運搬車1の上記受台12上にPC床版w0を移載する。このPC床版w0の移載は、PC床版置き場に搬入載置されているPC床版w0を、クレーンを用いて吊下しこれを上記運搬車1の受台12上に積載することで行われる。上記PC床版w0の移載が完了すると、上記運搬車1を走行させ、これを上記架設作業車2の後端近傍まで運搬する。
【0114】
この場合、上記運搬車1が転舵走行が可能な構造であることから、例えばPC床版w0の長手方向に所定間隔をもって並置した二つの運搬車1,1を用いて上記PC床版w0を運搬する場合、例え運搬経路が小曲率半径をもつ屈曲路であったとしても、上記各運搬車1,1の転舵操作によって上記PC床版w0を容易且つ安全に運搬することができ、運搬作業性が良好となる。また、上記運搬車1は、前後方向に四つの車軸をもつ「四軸構造」とされていることから、上記架設床面w構成する各PC床版w1間の隙間に何れか一軸又は二軸の車輪が落ち込んでも、他の二軸又は三軸の車輪で上記運搬車1が支えられ、これが大きく上下動することが確実に防止され、運搬作業の安全性が確保される。
【0115】
尚、このとき、上記ビーム31側に設けられた上記スライダー40は、上記運搬車1上に積載されたPC床版w0の直上に位置している。また、上記リフター機構4は「格納姿勢」に設定されている。
【0116】
次に、図31に示すように、上記スライド駆動部37により上記スライダー40が上記ビーム31の先端31a寄りに移動するように駆動力を与える。この場合、上記スライダー40は上記ジャッキ25,25との相対移動が規制されていので、上記駆動力は上記スライダー40に対して上記ビーム31をその後端31b側へ移動させるように働き、該ビーム31は上記各ジャッキ25,25の先端に設けた上記スライド支持機構26に支持された状態でその後端31b側に移動する。この状態では、上記ビーム31の前端31a側の上記前側リフターシリンダ32は上記架設床面wの前端近傍の直上に位置し、また後端31b側の上記後側リフターシリンダ33は上記運搬車1に載置された上記PC床版w0より後方位置の直上に位置される。
【0117】
次に、図32に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを共に伸長させ、該前側リフターシリンダ32はこれを上記架設床面wの前端部に、上記後側リフターシリンダ33はこれを上記運搬車1上に、それぞれ接地させる。これによって上記リフター機構4は上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33により自立設置される。
【0118】
次に、図33に示すように、上記各ジャッキ25,25を縮小させてこれを上記ビーム31から離間させるとともに、上記各固定用ワイヤーロープ41,41を取り外し、さらにこの状態で、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを所定量だけ伸長させて上記吊用治具43を上記台車3側から浮上させ、そのまま上記スライド駆動部37を作動させて上記スライダー40を上記ビーム31の後端31b側に送り、上記吊用治具43に上記運搬車1側に載置された上記PC床版w0を取り付ける。
【0119】
次に、図34に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とをさらに伸長させて上記ビーム31を上昇させ、上記スライダー40によって上記PC床版w0を吊下する。さらに、図35に示すように、上記スライド駆動部37によって上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側にスライドさせて上記PC床版w0を上記台車3側の受台12の直上に位置させるとともに、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33とを共に縮小させて、図36に示すように上記PC床版w0を上記受台12上に載置する。
【0120】
次に、図37に示すように、再度、上記各ジャッキ25,25を伸長させて上記スライド支持機構26,26によって上記ビーム31を支持するとともに、上記スライダー40を上記各固定用ワイヤーロープ41,41によって上記各ジャッキ25,25に連結する。そして、この状態において、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33を共に縮小させて、上記リフター機構4を「格納姿勢」に設定する。
【0121】
次に、図38に示すように、上記運搬車1を次のPC床版w0の運搬作業に移行させる。しかる後、図39に示すように、上記スライド駆動部37によって上記ビーム31を上記スライダー40に対して前方側へスライドさせ、さらに図40に示すように、再度上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33を伸長させてこれらを共に接地させ、上記ビーム31を自立設置状態とする。
【0122】
次に、図41に示すように、上記ジャッキ25を縮小させて上記ビーム31かせ離間させるとともに、上記固定用ワイヤーロープ41,41を取り外して上記スライダー40を上記ビーム31に対してスライド可能とする。
【0123】
しかる後、図42に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33をさらに伸長させて上記ビーム31を上昇させ、上記スライダー40によって上記PC床版w0を吊下するとともに、図43に示すように上記スライダー40を上記ビーム31の先端31a側へスライドさせて上記PC床版w0を所定の架設位置の直上に位置させ、さらに図44に示すように、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33を共に縮小させて上記ビーム31を降下させ上記PC床版w0を架設位置に載置する。
【0124】
次に、図45に示すように、上記吊用治具43を上記PC床版w0から切り離すとともに、上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33を共に伸長させて上記ビーム31を上昇させ、さらに上記スライダー40を上記ビーム31の後端31b側へスライドさせて上記吊用治具43を上記台車3側の受台12上に載置する。
【0125】
しかる後、上記各ジャッキ25,25を伸長させ、この状態で上記前側リフターシリンダ32と後側リフターシリンダ33を共に縮小させて上記ビーム31を上記各ジャッキ25,25によって支持するとともに、上記スライダー40を上記各固定用ワイヤーロープ41,41によって上記各ジャッキ25,25に連結して上記架設作業車2を「格納姿勢」とする。
【0126】
以上で、上記PC床版w0の架設作業が完了する。かかる一連の作業を順次繰り返して行うことで、上記橋桁v上に順次PC床版w0が架設され、上記架設床面wが前方に向けて延長され、最終的に所要の長さをもつ架設床面wが構築されるものである。
【0127】
IV:その他
上記各実施形態においては、共に架設床面wを走行面とし、この架設床面w上に上記運搬車1と架設作業車2とを配置し、これらを架設作業方向前方側へ向けて前進させながら順次橋桁上にPC床版w0を架設する(前進工法)ようにしているが、本願発明は係る構造に限定されるものではなく、例えば橋桁上に上記運搬車1と架設作業車2とを配置し、これらを架設作業方向前方側へ向けて後退させながら順次橋桁上にPC床版w0を架設するように構成する(後退工法)こともできるものである。
【0128】
尚、この後退工法を採用する場合には、前進工法を採用する上記各実施形態の場合とは逆に、上記運搬車1が上記架設作業車2よりも架設作業方向前方側に位置するようにこれらを配置することが必要である。また、この後退工法を採用する場合には、通常、橋桁上に作業用のレールを付設しこのレールを走行面として上記運搬車1及び架設作業車2を配置することから、これら運搬車1及び架設作業車2には鉄車輪が備えられることになるが、例えば橋桁の幅寸法が十分に大きい場合にはタイヤ車輪を採用しこれを直接橋桁上を走行させるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の第1の実施形態に係るPC床版架設装置の側面図である。
【図2】図1に示したPC床版架設装置の平面図である。
【図3】図1のIII〜矢視図である。
【図4】図1に示したPC床版架設装置を用いたPC床版架設方法における第1作業工程の説明図である。
【図5】第2作業工程の説明図である。
【図6】第3作業工程の説明図である。
【図7】第4作業工程の説明図である。
【図8】第5作業工程の説明図である。
【図9】第6作業工程の説明図である。
【図10】第7作業工程の説明図である。
【図11】第9作業工程の説明図である。
【図12】第10作業工程の説明図である。
【図13】本願発明の第2の実施形態に係るPC床版架設装置の側面図である。
【図14】図13に示したPC床版架設装置の平面図である。
【図15】図13のXV〜矢視図である。
【図16】図13に示したPC床版架設装置を用いたPC床版架設方法における第1作業工程の説明図である。
【図17】第2作業工程の説明図である。
【図18】第3作業工程の説明図である。
【図19】第4作業工程の説明図である。
【図20】第5作業工程の説明図である。
【図21】第6作業工程の説明図である。
【図22】第7作業工程の説明図である。
【図23】第9作業工程の説明図である。
【図24】第10作業工程の説明図である。
【図25】第11作業工程の説明図である。
【図26】第12作業工程の説明図である。
【図27】本願発明の第3の実施形態に係るPC床版架設装置の側面図である。
【図28】図27に示したPC床版架設装置の平面図である。
【図29】図27に示したPC床版架設装置を用いたPC床版架設方法における第1作業工程の説明図である。
【図30】第2作業工程の説明図である。
【図31】第3作業工程の説明図である。
【図32】第4作業工程の説明図である。
【図33】第5作業工程の説明図である。
【図34】第6作業工程の説明図である。
【図35】第7作業工程の説明図である。
【図36】第8作業工程の説明図である。
【図37】第9作業工程の説明図である。
【図38】第10作業工程の説明図である。
【図39】第11作業工程の説明図である。
【図40】第12作業工程の説明図である。
【図41】第13作業工程の説明図である。
【図42】第14作業工程の説明図である。
【図43】第15作業工程の説明図である。
【図44】第16作業工程の説明図である。
【図45】第17作業工程の説明図である。
【図46】第18作業工程の説明図である。
【図47】橋桁に対するPC床版の一般的な架設状態説明図である。
【図48】従来のPC床版架設装置の構造説明図である。
【図49】従来のPC床版架設装置の構造説明図である。
【符号の説明】
1は運搬車、2は架設作業車、3は台車、4はリフター機構、11A〜11Dはタイヤ車輪、12は受台、13は機械部、15は移動用油圧シリンダ、21はスライド支持機構、22はフレーム体、23は機械部、24A及び24Bはタイヤ車輪、25はジャッキ、26はスライド支持機構、31はビーム、32は前側リフターシリンダ、33は後側リフターシリンダ、34はサブシリンダ、35はビーム、36は油圧ホース収納部、37はスライド駆動部、38は油圧シリンンダ、39は移動用ワイヤーロープ、40はスライダー、41は固定用ワイヤーロープ、42は吊用ワイヤーロープ、43は吊用治具、wは形成床面、w1は既架設PC床版、w0は架設用PC床版、vは橋桁、pはリフター受台、Z1〜Z3はPC床版架設装置である。
Claims (7)
- 平行に設置された橋桁(v),(v)間に横渡し状態でPC床版(w0)を順次架設して該橋桁(v),(v)上に架設床面(w)を構築するためのPC床版架設装置であって、
PC床版(w0)の運搬を行う運搬手段(1)と、上記運搬手段(1)よりも架設作業進行方向前方側又は後方側に配置されて該運搬手段(1)により運搬されたPC床版(w0)を受け取ってこれを橋桁(v)上に設置する架設手段(2)とを備えるとともに、
上記架設手段(2)が、上記運搬手段(1)に対して接近・離間可能とされた台車(3)と、該台車(3)の走行方向に向けて延設されたビーム(31)の両端側にそれぞれ上下方向に向けてリフターシリンダ(32),(33)を設けた門型形態を有し且つ上記リフターシリンダ(32),(33)の伸縮作動によって上記ビーム(31)を昇降可能とするとともに上記ビーム(31)には該ビーム(31)に沿ってその軸方向へ相対移動可能にスライダー(40)を設け該スライダー(40)を介して上記PC床版(w0)を吊下するようにしたリフター機構(4)とを備えて構成されていることを特徴とするPC床版架設装置。 - 請求項1において、
上記運搬手段(1)が転舵可能なタイヤ車輪(11A〜11D)を、上記架設手段(2)の上記台車(3)が転舵可能なタイヤ車輪(24A,24B)を、それぞれ備えていることを特徴とするPC床版架設装置。 - 請求項1又は2において、
上記リフター機構(4)の上記ビーム(31)が、その後部(31b)を上記台車(3)の後部よりも後方へ延出した状態で該台車(3)側に支持され、上記運搬手段(1)を上記台車(3)の後部側に位置せしめた状態において上記スライダー(40)を介して上記運搬手段(1)に載置された上記PC床版(w0)を直接吊下し得るように構成されていることを特徴とするPC床版架設装置。 - 請求項1又は2において、
上記リフター機構(4)の上記ビーム(31)がその後部(31b)を上記台車(3)の後部近傍に位置させた状態で該台車(3)側に支持される一方、
上記運搬手段(1)と上記台車(3)との間には該運搬手段(1)を上記台車(3)の後部側に位置せしめた状態において該運搬手段(1)に載置された上記PC床版(w0)を該運搬手段(1)側から上記台車(3)側へ移動させる移動機構(15)が備えられ、上記PC床版(w0)を上記運搬手段(1)から上記台車(3)側へ移動させた状態で上記スライダー(40)を介して吊下するように構成されていることを特徴とするPC床版架設装置。 - 請求項1又は2において、
上記リフター機構(4)の上記ビーム(31)が、上記台車(3)に対してその車長方向に移動可能に支持され且つその第1のビーム位置においてはその後部(31b)が上記台車(3)の後部側に位置した上記運搬手段(1)上に延出する一方、第2のビーム位置においてはその前部(31a)が上記台車(3)の前方側へ延出するように構成され、上記第1のビーム位置において上記スライダー(40)を介して上記運搬手段(1)上から上記PC床版(w0)を吊下し得るように構成されていることを特徴とするPC床版架設装置。 - 平行に設置された橋桁(v),(v)間に横渡し状態でPC床版(w0)を順次架設して該橋桁(v),(v)上に架設床面(w)を構築するPC床版架設方法であって、
走行面(w)上に、上記PC床版(w0)を運搬する運搬手段(1)と、架設作業進行方向に延設した状態で支持され且つ昇降可能とされたビーム(31)にその軸方向に相対移動可能にスライダー(40)を取り付けてなるリフター機構(4)を備えた架設手段(2)とを、上記架設手段(2)が架設方向前端寄りに位置するように架設作業進行方向に前後させて配置した状態で、
上記運搬手段(1)により上記PC床版(w0)を上記架設手段(2)の近傍位置まで運搬する「運搬工程」と、
上記運搬手段(1)上の上記PC床版(w0)を上記架設手段(2)側の上記スライダー(40)に吊下可能に連結した後、上記リフター機構(4)を上昇させて上記スライダー(40)を介して上記PC床版(w0)を吊下支持する「受取工程」と、
上記運搬手段(1)から受け取った上記PC床版(w0)を上記スライダー(40)の移動によって上記橋桁(v),(v)上の架設位置側へ移送する「移送工程」と、
上記リフター機構(4)を降下させて上記PC床版(w0)を上記架設位置に載置する「載置工程」と、
を経て上記橋桁(v),(v)上に上記PC床版(w0)を順次架設することを特徴とするPC床版架設方法。 - 請求項6において、
上記運搬手段(1)と上記架設手段(2)とを、橋桁間隔方向に適宜離間させて配置し、複数の上記運搬手段(1),(1)を同時使用して上記「運搬工程」を実行すると共に、複数の上記架設手段(2),(2)を同時使用して上記「受取工程」と「移送工程」及び「載置工程」を実行することを特徴とするPC床版架設方法。
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