JP3734800B2 - 硬質ポリウレタンフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質ポリウレタンフォ−ムの製造方法に関する。更に詳しくは、ハイドロフルオロカーボン365mfc(HFC−365mfc)を発泡剤として用いる硬質ポリウレタンフォ−ムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から硬質ポリウレタンフォームは、断熱性、成形性、軽量高強度等の多くの特徴を有することから、断熱材料、建築材料として幅広く使用されている。
現在、発泡剤としてはオゾン層破壊能を有するハイドロクロロフルオロカーボン141b(HCFC−141b)が広く使用されている(「シーエムシー刊 ポリウレタン応用技術」等)が、今後はオゾン層破壊能のないHFC−365mfcを発泡剤として使用することが望ましいとされている(特許文献1参照)。
しかしながら、HFC−365mfcは、ポリオールへの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうという問題があった。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−306139号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、HFC−365mfcのポリオールへの溶解性を改善し、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性に優れ、フォームのセルが細かく均一な硬質ポリウレタンフォームの製法を得ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の活性水素化合物を使用することで、上記の問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0006】
すなわち本発明は、活性水素化合物(a)と有機ポリイソシアネート(b)とを、発泡剤(c)、ウレタン化触媒(d)、および必要によりその他の添加剤(e)の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(a)中に、炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a11)、アンモニアに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a12)、および炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a13)から選ばれ、(a11)、または(a11)と〔(a12)および/もしくは(a13)〕の併用である1種以上のポリオール(a1)と、必要によりアルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンにアルキレンオキサイドが付加されてなり、該アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドの含量が50質量%以下であるポリオール(a2)を、(a1)と(a2)の合計が25質量%以上含有し、(c)がハイドロフルオロカーボン365mfc(c1)からなることを特徴とする硬質ポリウレタンフォ−ムの製造方法;並びに下記活性水素化合物(a)、ハイドロフルオロカーボン365mfc(c1)からなる発泡剤(c)、および必要により、ウレタン化触媒(d)とその他の添加剤(e)から選ばれる1種以上からなる硬質ポリウレタンフォーム製造用活性水素組成物である。
(a):炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a11)、アンモニアに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a12)、および炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a13)から選ばれ、(a11)、または(a11)と〔(a12)および/もしくは(a13)〕の併用である1種以上のポリオール(a1)と、必要によりアルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンにアルキレンオキサイドが付加されてなり、該アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドの含量が50質量%以下であるポリオール(a2)を、(a1)と(a2)の合計が25質量%以上含有する活性水素化合物
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる活性水素化合物(a)は、上記(a11)、(a12)、および(a13)から選ばれる1種以上のポリオール(a1)と、必要により(a2)を含む。それぞれの化合物は2種以上を併用してもよい。また、(a1)と(a2)は、(a)中に合計で25質量%以上含有される必要がある。25質量%未満であると、HFC−365mfcの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうので、好ましくない。(a1)と(a2)の合計含有量は、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
【0008】
本発明において、ポリオール(a11)は、炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに、炭素数3以上のアルキレンオキサイド(以下AOと略記)が付加されてなるポリオールである。(a11)の出発物質の炭素数が13を超えると、(a)の粘度が高くなりすぎて好ましくない。また5価以上のポリオールを出発物質とした場合や、炭素数2のAO(エチレンオキサイド、以下EOと略記)が付加されてなるポリオールでは、HFC−365mfcの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうので、好ましくない。
とくに3〜4価のポリオールを用いると、(a12)および/または(a2)を併用しない場合に、強度の大きなフォームが得られ好ましい。
【0009】
(a11)の出発物質である、炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールとしては、2価アルコール(脂肪族ジオール、例えば、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール;および脂環式ジオール(例えば、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のシクロアルキレングリコール)、3価アルコール(脂肪族トリオール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサントリオール等のアルカントリオール)、4価アルコール(例えばペンタエリスリトール、ソルビタン、ジグリセリン等のアルカンポリオール、およびそれらもしくはアルカントリオールの分子内もしくは分子間脱水物)、等が挙げられる。
【0010】
上記出発物質のポリオール(2種以上併用してもよい)に付加する炭素数3以上のAOとしては、炭素数3〜8のものが好ましく、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−、1,4−および2,3−ブチレンオキサイド(以下BOと略記)、スチレンオキサイド、ならびにこれらの2種以上の併用(ブロック及び/又はランダム付加)等が挙げられる。これらの中で、好ましくはPOおよび/またはBOであり、さらに好ましくはPOである。
なお、EOは用いないのが好ましいが、HFC−365mfcの溶解性に悪影響を及ぼさない範囲であれば(例えばAO中20質量%以下、特に10質量%以下)用いることもできる〔(a12)、(a13)についても同様〕。
AO付加時に用いる触媒としては、通常用いられるアルカリ触媒(KOH、NaOH、CsOH等)の他、後述する特開2000−344881号公報に記載の触媒、特開平11−120300号公報に記載の触媒(過塩素酸マグネシウム等)を用いてもよい。
(a11)の活性水素当量は、好ましくは60〜250であり、さらに好ましくは下限が80、上限が220、特に好ましくは下限が100、上限が200である。
【0011】
(a12)は、アンモニアを出発物質として、炭素数3以上のAOが付加されてなるポリオールであり、同じ構造のポリオールも含まれる。
アンモニアを出発物質として、EOが付加されてなるポリオールでは、HFC−365mfcの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうので、好ましくない。
付加させる炭素数3以上のAOとしては、(a11)におけるものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
(a12)の活性水素当量は、好ましくは60〜250であり、さらに好ましくは下限が70、上限が220、特に好ましくは下限が80、上限が200である。
【0012】
(a13)は、炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンに、炭素数3以上のAOが付加されてなるポリオールである。
(a13)の出発物質の炭素数が13を超えると、(a)の粘度が高くなりすぎて好ましくない。またEOが付加されてなるポリオールでは、HFC−365mfcの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうので、好ましくない。
【0013】
(a13)の出発物質である炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンとしては、モノアルキルアミン(例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミンおよびn−オクチルアミン)、モノシクロアルキルアミン(例えば、シクロヘキシルアミン)等が挙げられる。これらの中で好ましいものはモノアルキルアミンである。
付加させる炭素数3以上のAOとしては、(a11)におけるものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
(a13)の活性水素当量は、好ましくは60〜250であり、さらに好ましくは下限が70、上限が200、特に好ましくは下限が80、上限が160である。
これらの(a1)中で、好ましいものは、(a11)、並びに(a11)と〔(a12)および/または(a13)〕の併用である。(a11)と〔(a12)および/または(a13)〕の質量比は、好ましくは(20〜100):(0〜80)である。
【0014】
本発明において、活性水素化合物(a)中には、これらの(a1)以外に、必要により、アルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンにAOが付加されてなり、該AO中のEOの含量が50質量%以下であるポリオール(a2)が含まれる。
(a2)の出発物質の(ポリ)アルキレンポリアミンの炭素数が13以上となったり、アルキレン基の炭素数が7以上となると、(a2)の粘度が高くなりすぎて好ましくない。付加されるAO中のEOの含量が50質量%を超えると、HFC−365mfcの溶解性が低くなり好ましくない。EOの含量は、好ましくは48質量%以下である。
【0015】
(a2)の出発物質である、アルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンとしては、モノアルキレンジアミン(例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミン)、ジアルキレントリアミン(例えば、ジエチレントリアミンおよびジプロピレントリアミン)、複素環式ポリアルキレンポリアミン類(例えば、ピペラジンおよびN−アミノエチルピペラジン)、並びにこれら以外のポリアルキレンポリアミン(例えば、トリエチレンテトラアミンおよびテトラエチレンペンタアミン)等が挙げられる。
これら(ポリ)アルキレンポリアミンに付加するAOとしては、前述の炭素数3以上のAOとEOが挙げられる。2種以上のAOを用いる場合の付加形式は、ブロック付加、ランダム付加のいずれでもよい。AOとして好ましいものは、POおよび/またはBO、並びにこれらとEOの併用であり、さらに好ましくはPO、およびPOとEOの併用である。
(a2)の活性水素当量は、好ましくは60〜250であり、さらに好ましくは下限が65、上限が220、特に好ましくは下限が70、上限が200である。
【0016】
活性水素化合物(a)中には、HFC−365mfcの溶解性を損なわない範囲で、(a11)、(a12)、(a13)および(a2)以外の、通常の硬質ウレタンフォーム用に使用される活性水素化合物(a3)を併用することができる。
【0017】
(a3)としては、例えば、前述の炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールにEOを含むAOが付加されてなるポリオール(例えばグリセリンのEO付加物)、5〜10価またはそれ以上の脂肪族ポリオールにAOが付加されてなるポリオール(例えばソルビトールのPO付加物、ソルビトールのEO付加物、ショ糖のPO付加物)、アンモニアにEOを含むAOが付加されてなるポリオール(例えばアンモニアのEO付加物、トリエタノールアミンのPO付加物)、(ポリ)アルキレンポリアミンのAO付加物であって付加されるAO中のEO含量が50質量%を超えるもの〔例えば、エチレンジアミンのPO/EO=30/70(質量比)付加物〕、多価フェノールのAO付加物(例えば、ビスフェノールAのPO付加物)、ポリエステルポリオール(前記2〜4価の脂肪族アルコールもしくはそのAO低モル付加物と、炭素数4〜18の脂肪族もしくは芳香族ポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体との縮合反応物、例えば無水フタル酸とジエチレングリコールの縮合反応物)、およびノボラック(フェノールとホルムアルデヒドの縮合物;例えば米国特許第3265641号明細書に記載のポリフェノール等)のAO付加物等が挙げられる。
(a3)の活性水素当量は、好ましくは60〜250である。
【0018】
通常の硬質ウレタンフォーム用に使用される活性水素化合物のうち、(a1)および(a2)は、特にHFC−365mfcの溶解性が良好であるためプレミックスの貯蔵安定性が良く、フォームのセルが細かく均一となるが、(a3)は、一般的にHFC−365mfcの溶解性が低く、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性が悪かったり、フォームのセルが不揃いになったり、粗大になってしまうので、(a)中に多量に(75質量%を超える量)用いるのは好ましくない。
【0019】
(a11)、(a12)、(a13)および(a2)が特にHFC−365mfcの溶解性が良好であるが、(a2)のみを単独で使用するのは好ましくない。(a2)は、イソシアネートとのウレタン化を促進する触媒となるポリアミン系化合物であるため、(a)として(a2)を単独で使用すると、異常発熱によりフォーム内部が焼けてしまうことがあるからである。したがって、(a11)、(a12)および(a13)から選ばれる1種以上のポリオール(a1)を必須成分として(a)中に含有し、(a2)は必要により用い、かつ(a2)を用いる場合は必ず(a1)と併用する必要がある。
【0020】
本発明の硬質ポリウレタンフォームの製造方法は、各種の成形法に適用できる。例えば、スラブ成形、モールド式成形(パネル成形、合成木材成形、冷凍・冷蔵庫キャビネット成形、冷凍・冷蔵庫用ドア成形等)、内外筒間式パイプ断熱材成形、ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形が挙げられる。
【0021】
上記スラブ成形とは、ボックス内に原液を注入して、または連続走行コンベア上に原液を吐出し自由発泡・硬化させてブロック状のフォームを得る成形方法を;モールド式成形とは、モールド内に原液を射出注入し発泡・硬化させる成形を;内外筒間式パイプ断熱材成形とは、内外筒間に原液を注入するパイプ断熱材成形を;ボード成形とは、連続して供給される面材上にスプレーまたはポアリングにより原液を吐出し、上下面のコンベア内で発泡・硬化させる成形を;オープン式パネル成形とは、縦型モールド中の面材間にオープンで原液を注入して発泡・硬化させるパネル成形を;面材式パイプ断熱材成形とは、パイプ内部の囲い中に面材を走らせ、その上に原液を吐出し、流延発泡・硬化させるパイプ断熱材成形を;スプレー式パイプ断熱材成形とは、回転するパイプ上面に原液を吹付けて発泡・硬化させるパイプ断熱材成形を;スプレー式断熱層成形とは、壁、屋根、タンク等に原液を吹付けて発泡・硬化させる断熱層成形を;それぞれ意味する。
上記面材とは、硬質ポリウレタンフォームと一体成形されるものであり、例えば、クラフト紙、ポリエチレンコーティングされたクラフト紙、ポリエチレンシート、鋼板(亜鉛鋼板等)が挙げられる。
【0022】
本発明の製造方法において、スラブ成形、モールド式成形、または内外筒間式パイプ断熱材成形する場合、(a11)を用いるのが好ましい。とくに(a11)が炭素数3以上の1,2−AO付加物であって、末端1級OH化率が40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であると、硬化性が向上し、生産性が良好となる。
【0023】
なお、本発明において、末端1級OH化率は、予め試料をエステル化の前処理した後に 1H−NMR法により算出する値である。すなわち、 1H−NMRにより、1級水酸基の結合したメチレン基の含有部と2級水酸基の結合したメチン基の含有部との合計部に対する、1級水酸基の結合したメチレン基の含有部の比率を求め、これを末端水酸基の末端1級OH化率とするものである。
【0024】
1H−NMR法を以下に例示する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmの 1H−NMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し25℃で約5分間放置してポリエーテルポリオールをトリフルオロ酢酸エステルとして、分析用試料とする。
ここで重水素化溶媒とは、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド、重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
【0025】
<NMR測定>
通常の条件で 1H−NMR測定を行う。
<末端水酸基の末端1級OH化率の計算方法>
1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基の結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測されるから、末端水酸基の1級OH化率を次の計算式により算出する。
{末端水酸基の1級OH化率(%)}=[p/(p+2×q)]×100
p:4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値
q:5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値
【0026】
末端1級OH化率が40%以上である(a11)は、例えば、前述の炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに、特定の触媒の触媒の存在下で、炭素数3以上の1,2−AOを付加させて得ることができる。
【0027】
上記特定の触媒としては、特開2000−344881号公報に記載のものが挙げられる。具体的には、フッ素原子、(置換)フェニル基および/または3級アルキル基が結合したホウ素もしくはアルミニウム化合物であり、トリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、ジフェニル−t−ブチルアルミニウム、トリ(t−ブチル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、ビス(ペンタフルオロフェニル)−t−ブチルアルミニウムなどが挙げられる。
これらの中で好ましいものは、トリフェニルボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであり、さらに好ましいのはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランおよびトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである。
【0028】
AOの付加条件についても上記公報に記載の方法と同様でよく、例えば、生成する開環重合体に対して、通常0.0001〜10質量%、好ましくは0.001〜1質量%の上記触媒を用い、通常0〜250℃、好ましくは20〜180℃で反応させる。
【0029】
なお、従来のポリエーテルポリオールの製造方法として、アルカリ触媒存在下にPO等の1,2−AOを反応させる方法で得られるポリエーテルポリオールの末端OH基の1級OH化率は極めて低く(例えば、水酸化カリウムを用いた場合は通常5%以下)、ほとんどの末端OH基は2級OH基である。このため、このポリオールはイソシアネートとの反応性が小さく、イソシアネート基との反応性を向上するために、さらにEOを付加させる方法が知られている。ところが、EOを付加させるとHFC−365mfcの溶解性が低下するので、炭素数3以上の1,2−AO付加物であって、末端1級OH化率が高いものを用いるのが好ましい。
【0030】
本発明において、ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、またはスプレー式断熱層成形する場合、特に(a2)を含む(a)を用いると、生産性が良好となる。(a2)はポリイソシアネートとの反応が速いため、オープンとなっている部分からの発泡液の漏れ防止、壁面等からの垂れ防止等に効果がある。
【0031】
本発明において、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、またはスプレー式断熱層成形する場合、(a)が(a11)と(a2)を含むのが好ましい。さらに(a11)が炭素数3以上の1,2−AO付加物であって、末端1級OH化率が40%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上であると、発泡液の壁面等からの垂れ防止、発泡層の壁面等からの剥がれ防止に非常に効果がある。
【0032】
(a)の活性水素当量は、好ましくは60〜250である。
スラブ成形においては、(a)の活性水素当量は、さらに好ましくは下限が100、上限が220、特に好ましくは下限が120、上限が200である。
モールド式成形、および内外筒間式パイプ断熱材成形においては、(a)の活性水素当量は、さらに好ましくは下限が80、上限が200、特に好ましくは下限が100、上限が180である。
ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形においては、(a)の活性水素当量は、さらに好ましくは下限が65、上限が200、特に好ましくは下限が70、上限が150である。
【0033】
(a)中の各成分の配合質量比(%)は、(a1)[(a11)+(a12)+(a13)]:(a2):(a3)が、好ましくは(10〜100):(0〜90):(0〜50)、さらに好ましくは(15〜100):(0〜85):(0〜30)である。(a1)と(a2)の質量比は、好ましくは(15〜100):(0〜85)、さらに好ましくは(20〜100):(0〜80)である。スラブ成形、モールド式成形、および内外筒間式パイプ断熱材成形の場合、(a1):(a2):(a3)は、とくに好ましくは、(50〜100):(0〜50):(0〜30)、最も好ましくは(75〜100):(0〜25):(0〜25)である。これらの成形法において、末端1級OH化率が40%以上の1,2−AO付加物である(a11)を用いる場合、(a)中の(a11)の含有量は、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、(a1)中の(a11)の含有量は、好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。
【0034】
ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形の場合、(a1):(a2):(a3)は、とくに好ましくは、(15〜90):(10〜85):(0〜30)、最も好ましくは(20〜60):(40〜80):(0〜25)である。また、(a1)と(a2)の質量比は、好ましくは(15〜90):(10〜85)、さらに好ましくは(20〜60):(40〜80)である。
面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形で、末端1級OH化率が40%以上の1,2−AO付加物である(a11)と、(a2)を併用する場合、(a)中の(a11)と(a2)の合計含有量は、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。また、(a11)と(a2)の質量比は、好ましくは(5〜70):(30〜95)、さらに好ましくは(10〜50):(50〜90)である。
【0035】
本発明で用いられる有機ポリイソシアネート(b)としては、従来からポリウレタンフォームに使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシヌアレート基、またはオキサゾリドン基含有変成物など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0036】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネートおよびこれらのイソシアネートの粗製物などが挙げられる。具体例としては、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0037】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI、ショ糖変性TDI、ひまし油変性MDIなどが挙げられる。
これらのうちで好ましいものは、TDI、MDI、粗製TDI、粗製MDI、ショ糖変性TDI、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIから選ばれた一種以上の有機ポリイソシアネートであるである。
【0038】
ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)の当量比×100]は、好ましくは60〜500、さらに好ましくは80〜350、とくに好ましくは90〜300である。
【0039】
本発明において発泡剤(c)としては、HFC−365mfc(c1)を用いる。(c1)は、オゾン層破壊能がない、沸点が40℃である、熱伝導度が小さいことから硬質ポリウレタンフォーム製造用の発泡剤として最適である。またその他のオゾン層破壊能がない発泡剤(c2)も、プレミックスが分離したり、フォームの熱伝導率が大きくなったり、フォームのセルが粗大になったりしない範囲で併用することができる。(c2)としては、例えば、その他のHFC類(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245caおよびHFC−245fa)、低沸点炭化水素(沸点が−5〜50℃の炭化水素、例えば、ブタン、n−ペンタン、i−ペンタンおよびシクロペンタン)、液化炭酸ガス、水等が挙げられる。
(c2)として好ましいものは、HFC−245fa、n−ペンタン、シクロペンタンおよび水である。水は少量で発泡効果が高いためさらに好ましい。
【0040】
(c1)の使用量は、(a)100質量部当たり、好ましくは10〜200質量部、さらに好ましくは15〜150質量部、とくに好ましくは20〜100質量部である。
その他必要により併用される他の発泡剤(c2)の使用量は、プレミックスが分離したり、フォームの熱伝導率が大きくなったり、フォームのセルが粗大にならなったりしないように調整する。
水の使用量は、(a)100質量部あたり、好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは0.2〜3質量部である。その他のHFC類の使用量は、(a)100質量部あたり、好ましくは100質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、とくに好ましくは1〜30質量部である。低沸点炭化水素の使用量は、(a)100質量部あたり、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは1〜30質量部である。液化炭酸ガスの使用量は、(a)100質量部あたり、好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
(c)中の(c1)の含量は、好ましくは30〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%、とくに好ましくは60〜99.5質量%である。
【0041】
本発明において使用されるウレタン化触媒(d)は、ポリウレタン反応に通常使用される触媒、例えばアミン系触媒〔トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N、N、N’、N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル(カルボン酸塩)など〕および/または金属触媒(オクチル酸第一スズ、ジラウリル酸ジブチル第二スズ、オクチル酸鉛など)を使用することができる。触媒の使用量は(a)100質量部当たり、好ましくは0.001〜6質量部である。
【0042】
本発明の製造法においては、必要により通常用いられる添加剤(e)を用いることができる。
(e)としては、整泡剤(ジメチルシロキサン系整泡剤、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤等のシリコーン整泡剤など);酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系など)や紫外線吸収剤(トリアゾール系、ベンゾフェノン系など)のような老化防止剤;無機塩(炭酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維など)、ウィスカー(チタン酸カリウムウィスカーなど)のような充填材;難燃剤〔リン酸エステル類、ハロゲン化リン酸エステル類(例えばクロロアルキルフォスフェート)など〕;可塑剤(フタル酸エステル類など);接着剤(変性ポリカプロラクトンポリオールなど);着色剤(染料、顔料);抗菌剤;抗カビ剤;重合禁止剤;ラジカル重合開始剤(アゾ化合物、過酸化物など);連鎖移動剤(アルキルメルカプタン類など)等が挙げられる。特に難燃剤としてハロゲン化リン酸エステル類の併用はさらに難燃効果を高めることができるため好ましい。
【0043】
(a)100質量部に対するこれらの添加剤の使用量に関しては、整泡剤は、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは0.2〜5質量部である。老化防止剤は、好ましくは1質量部以下、さらに好ましくは0.01〜0.5質量部である。充填剤は、好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。難燃剤は、好ましくは150質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下、とくに好ましくは1〜30質量部である。可塑剤は、好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。これら以外の上記添加剤は、好ましくは1質量部以下である。
【0044】
本発明の方法によるポリウレタンフォームの製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、(a)、(c)、(d)、および必要により(e)を所定量混合する(原料液温:10〜40℃)。次いで、ポリウレタン低圧(例えば0.05〜5MPa)もしくは高圧(例えば5〜25MPa)注入発泡機または撹拌機を使用して、この混合物(活性水素成分)と有機ポリイソシアネート(b)とを急速混合する。(c)、(d)および(e)の少なくとも一部は、あらかじめ(b)に配合してもよい。得られた混合液(発泡原液)をボックス内に注入して、自由発泡・硬化させてブロック状の硬質ポリウレタンスラブフォームを得ることができる。また、連続走行コンベア上に原液を吐出し自由発泡・硬化させてブロック状のフォームを得るスラブ成形、前記のモールド式成形、内外筒間式パイプ断熱材成形、ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形等でも硬質ポリウレタンフォームを得ることができる。モールドを用いる場合、モールド温度は15〜60℃が好ましく、充填率は100〜300%が好ましい。脱型時間は2〜20分が好ましい。
また、得られる硬質ポリウレタンフォームの全密度およびコア密度は、10〜500kg/m3 が好ましい。
【0045】
本発明の方法で製造される硬質ポリウレタンフォームの用途はとくに限定されず、通常硬質ポリウレタンフォームが使用される用途に広く用いられるが、発泡剤にHFC−365mfcを使用しているため、オゾン層を破壊することなく、プレミックスの貯蔵安定性が良好であり、フォームのセルが細かく均一であることから、とくに建材や冷凍・冷蔵庫用の断熱材として好適に利用できる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「部」は質量基準である。
【0047】
実施例1〜18および比較例1〜22〔硬質ポリウレタンフォーム製造用活性水素成分(ポリオールプレミックス)の作成、その貯蔵安定性の評価〕
表1〜8に示した配合処方に従って、(a)、(c)、(d)および(e)を配合し、混合物をガラスビンに入れ、プラスチック製の蓋にて密栓して、25℃にて24時間放置し混合物の外観を評価した。
性能試験の結果を表1〜8の▲1▼に示す
<プレミックス作成24時間後の外観評価基準>
○透明、△カスミ、×分離
【0048】
実施例1〜3および比較例1〜5(硬質ポリウレタンフォームのスラブ成形試験評価)
(b)以外を所定量配合したポリオールプレミックスを高圧発泡機のポリオール成分用タンクに、(b)をイソシアネートタンクに仕込み、それぞれ25℃に温度調節し、15MPaで衝突混合して、25℃に温度調節した上部が解放された箱(アルミ製、縦×横×高さ=600mm×600mm×300mm)に注入した後、20分後に脱型し、硬質スラブフォームを得た。
性能試験の結果を表1および2に示す。
【0049】
実施例4〜11および比較例6〜13(硬質ポリウレタンフォームのモールド式パネル成形試験評価)
(b)以外を所定量配合したポリオールプレミックスを高圧発泡機のポリオール成分用タンクに、(b)をイソシアネートタンクに仕込み、それぞれ25℃に温度調節し、15MPaで衝突混合して、40℃に温度調節したモールド(アルミ製、縦×横×高さ=3000mm×1000mm×100mm、上下型に厚み0.1mmの亜鉛鋼板を面材としてセット)に注入した後、20分後に脱型し、硬質ポリウレタンパネルフォームを得た。
性能試験の結果を表3および4に示す。
【0050】
実施例12〜14および比較例14〜16(硬質ポリウレタンフォームのボード成形試験評価)
(b)以外を所定量配合したポリオールプレミックスを高圧発泡機のポリオール成分用タンクに、(b)をイソシアネートタンクに仕込み、それぞれ25℃に温度調節し、6MPaでスプレー衝突混合して、50℃に温度調節した連続供給される2枚の面材のクラフト紙に吹き付けた。直ちに2枚のクラフト紙は50℃に温調されたダブルコンベア(間隔50mm)内に導かれ、その中で発泡・硬化させた。原液吹き付けから5分後に、成形品はダブルコンベアから排出され、直ちにカット(3000mm×1000mm×50mm)して、硬質ポリウレタンボードフォームを得た。
性能試験の結果を表5および6に示す。
【0051】
実施例15〜18および比較例17〜22(硬質ポリウレタンフォームのスプレー式断熱層成形試験評価)
(b)以外を所定量配合したポリオールプレミックスを高圧発泡機のポリオール成分用タンクに、(b)をイソシアネートタンクに仕込み、それぞれ25℃に温度調節し、6MPaでスプレー衝突混合して、25℃に温度調節した石綿スレート板(900×900×6mm)に吹き付けし、硬質ポリウレタンフォームを得た。なおフォームの厚みが約25mmになるように1層吹き付けした。
性能試験の結果を表7および8に示す。
【0052】
<使用原料の記号の説明>
ポリオール(a)
(a11−1):プロピレングリコールのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。プロピレングリコール76g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO204g(3.52モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a11−2):グリセリンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。グリセリン92g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO328g(5.66モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a11−3):トリメチロールプロパンのPO付加物、活性水素当量=120、末端1級OH化率=5%以下。トリメチロールプロパン134g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO226g(3.90モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
【0053】
(a11−4):ペンタエリスリトールのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。ペンタエリスリトール136g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO424g(7.31モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a11−5):グリセリンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=80%。特開2000−344881号公報記載の方法でグリセリン92g(1モル)にトリスペンタフルオロフェニルボランを触媒としてPO328g(5.66モル)を付加させたのち、触媒を除去した。
(a11−6):ペンタエリスリトールのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=80%。特開2000−344881号公報記載の方法でペンタエリスリトール136g(1モル)にトリスペンタフルオロフェニルボランを触媒としてPO424g(7.31モル)を付加させたのち、触媒を除去した。
【0054】
(a12−1):アンモニアのPO付加物、活性水素当量=110、末端1級OH化率=5%以下。アンモニア17g(1モル)に無触媒でPO174g(3モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてPO139g(2.40モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a12−2):トリイソプロパノールアミンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。トリイソプロパンールアミン(アンモニアのPO付加物)191g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO229g(3.95モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
【0055】
(a13−1):エチルアミンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。エチルアミン45g(1モル)に無触媒でPO116g(2モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてPO119g(2.05モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a13−2):n−ブチルアミンのPO付加物、活性水素当量=110、末端1級OH化率=5%以下。n−ブチルアミン73g(1モル)に無触媒でPO116g(2モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてPO31g(0.53モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
【0056】
(a2−1):エチレンジアミンのPO付加物、活性水素当量=73、末端1級OH化率=5%以下。エチレンジアミン60g(1モル)に無触媒でPO232g(4モル)付加させた。
(a2−2):エチレンジアミンのPO−EO付加物、活性水素当量=125、末端1級OH化率=50%、付加されるAO中のEO47質量%。エチレンジアミン60g(1モル)に無触媒でPO232g(4モル)付加させ、さらに無触媒でEO208g(4.73モル)を付加させた。
(a2−3):ジエチレントリアミンのPO−EO付加物、活性水素当量=150、末端1級OH化率=50%、付加されるAO中のEO37質量%。ジエチレントリアミン103g(1モル)に無触媒でPO406g(7モル)付加させ、さらに無触媒でEO241g(5.48モル)を付加させた。
(a2−4):N−アミノエチルピペラジンのPO付加物、活性水素当量=120、末端1級OH化率=5%以下。N−アミンエチルピペラジン129g(1モル)に無触媒でPO231g(3.98モル)を付加させた。
【0057】
(a3−1):プロピレングリコールのEO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=95%以上。プロピレングリコール76g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO204g(4.64モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−2):グリセリンのPO−EO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=35%、付加されるAO中のEO24質量%。グリセリン92g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO250g(4.31モル)を付加させ、さらにEO78g(1.77モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−3):トリメチロールプロパンのEO付加物、活性水素当量=120、末端1級OH化率=95%以上。トリメチロールプロパン134g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてEO226g(5.14モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−4):ペンタエリスリトールのPO−EO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=30%、付加されるAO中のEO29質量%。ペンタエリスリトール136g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO300g(5.17モル)を付加させ、さらにEO124g(2.82モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−5):ショ糖のPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。ショ糖342g(1モル)にトリメチルアミンを触媒としてPO778g(13.4モル)を付加させた。
【0058】
(a3−6):ソルビトールのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。ソルビトール182g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO658g(11.3モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−7):アンモニアのEO付加物、活性水素当量=110、末端1級OH化率=95%以上。アンモニア17g(1モル)に無触媒でEO132g(3モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてEO181g(4.11モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−8):トリエタノールアミンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。トリエタノールアミン(アンモニアのEO付加物)149g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO271g(4.67モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−9):エチルアミンのEO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=95%以上。エチルアミン45g(1モル)に無触媒でEO88g(2モル)付加させ、水酸化カリウムを触媒としてEO147g(3.34モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
【0059】
(a3−10):n−ブチルアミンのEO−PO付加物、活性水素当量=110、末端1級OH化率=45%、付加されるAO中のEO60質量%。n−ブチルアミン73g(1モル)に無触媒でEO88g(2モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてPO59g(1.02モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−11):エチレンジアミンのEO付加物、活性水素当量=73、末端1級OH化率=95%以上。エチレンジアミン60g(1モル)に無触媒でEO232g(5.27モル)を付加させた。
(a3−12):エチレンジアミンのPO−EO付加物、活性水素当量=125、末端1級OH化価率=55%、付加されるAO中のEO60質量%。エチレンジアミン60g(1モル)に無触媒でPO174g(3モル)付加させ、さらに無触媒でEO266g(6.05モル)を付加させた。
(a3−13):ジエチレントリアミンのPO−EO付加物、活性水素当量=150、末端1級OH化率=50%、付加されるAO中のEO54質量%。ジエチレントリアミン103g(1モル)に無触媒でPO300g(5.17モル)付加させたのち、さらに無触媒でEO347g(7.89モル)を付加させた。
【0060】
(a3−14):N−アミノエチルピペラジンのEO付加物、活性水素当量=120、末端1級OH化率=95%以上。N−アミンエチルピペラジン129g(1モル)に無触媒でEO231g(5.25モル)を付加させた。
(a3−15):トリレンジアミンのPO付加物、活性水素当量=140、末端1級OH化率=5%以下。トリレンジアミン122g(1モル)に無触媒でPO232g(4.00モル)付加させ、さらに水酸化カリウムを触媒としてPO206g(3.55モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−16):ビスフェノールAのPO付加物、活性水素当量=201、末端1級OH化率=5%以下。ビスフェノールA228g(1モル)に水酸化カリウムを触媒としてPO174g(3.00モル)を付加させたのち、常法により触媒を除去した。
(a3−17):無水フタル酸とジエチレングリコールの縮合物、活性水素当量=160、末端1級OH化率=95%以上。無水フタル酸148g(1モル)とジエチレングリコール222g(2.09モル)を脱水縮合させた。
【0061】
有機ポリイソシアネート(b)
(b−1):日本ポリウレタン(株)製「ミリオネートMR−100」(粗製MDI、NCO%=31%)
(b−2):日本ポリウレタン(株)製「ミリオネートMR−200」(粗製MDI、NCO%=31%)
【0062】
発泡剤(c)
(c1):HFC−365mfc
(c2−1):水
(c2−2):HFC−245fa
(c2−3):シクロペンタン
【0063】
ウレタン化触媒(d)
(d−1):サンアプロ(株)製アミン系触媒「MS−1B」
(d−2):活剤ケミカル(株)製「ミニコL−1020」(トリエチレンジアミンの33質量%ジプロピレングリコール溶液)
(d−3):サンアプロ(株)製アミン系触媒「U−cat 2160」
(d−4):オクチル酸鉛
【0064】
添加剤(e)
(e−1):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製「SF−2936F」(ジメチルシロキサン系整泡剤)
(e−2):東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製「SH−193」(ジメチルシロキサン系整泡剤)
(e−3):トリスクロロプロピルフォスフェート
【0065】
試験例
硬質ポリウレタンフォームの試験
▲2▼:セル状態を目視評価した。
○均一で細かい、×不均一で粗大
▲3▼:フォームのスコーチ(焼け)状態を目視評価した。
○焼けなし、×中心部分に焼けあり
▲4▼:ポリウレタンフォームの全体密度(kg/m3)
▲5▼:ポリウレタンフォームのコア密度(kg/m3)
▲6▼:ポリウレタンフォームの圧縮強さ(kPa)
(上記▲4▼〜▲6▼の測定はJIS A 9511に準拠)
▲7▼:ポリウレタンフォームの熱伝導率(mW/m・K)
(上記▲7▼の測定はJIS A 1412に準拠)
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】
【表8】
【0074】
上記結果から、(a3)を用いたものに比べて、(a1)および必要により(a2)を(a)の25質量%以上用いたものは、HFC−365mfcの溶解性が良好なことがわかる。一般にオキシエチレン単位があるとHFC−365mfcの溶解性が悪くなる。このことはトリエタノールアミンのPO付加物についても同様である。しかし(ポリ)アルキレンポリアミンについては特異的に、付加するAO中のEOの含量が50質量%以下であれば、オキシエチレン単位を有してもHFC−365mfcの溶解性が悪くならない。
【0075】
【発明の効果】
本発明の方法で製造される硬質ポリウレタンフォームは、オゾン層破壊能のないHFC−365mfcを発泡剤として使用し、さらにHFC−365mfcのポリオールへの溶解性が良好なため、ポリオールプレミックスの貯蔵安定性に優れ、フォームのセルが細かく均一な硬質ポリウレタンフォームが得られる。このため、建材や電気冷凍・冷蔵庫の断熱材として広く利用できる。
Claims (7)
- 活性水素化合物(a)と有機ポリイソシアネート(b)とを、発泡剤(c)、ウレタン化触媒(d)、および必要によりその他の添加剤(e)の存在下で反応させて硬質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(a)中に、炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a11)、アンモニアに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a12)、および炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a13)から選ばれ、(a11)、または(a11)と〔(a12)および/もしくは(a13)〕の併用である1種以上のポリオール(a1)と、必要によりアルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンにアルキレンオキサイドが付加されてなり、該アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドの含量が50質量%以下であるポリオール(a2)を、(a1)と(a2)の合計が25質量%以上含有し、(c)がハイドロフルオロカーボン365mfc(c1)からなることを特徴とする硬質ポリウレタンフォ−ムの製造方法。
- (a11)が1,2−アルキレンオキサイドが付加されてなる末端1級OH化率が40%以上のポリオールであり、スラブ成形、モールド式成形、および内外筒間式パイプ断熱材成形から選ばれる成形法を用いる請求項1記載の製造方法。
- (a)が(a2)を含み、ボード成形、オープン式パネル成形、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形から選ばれる成形法を用いる請求項1記載の製造方法。
- (a11)が1,2−アルキレンオキサイドが付加されてなる末端1級OH化率が40%以上のポリオールであり、面材式パイプ断熱材成形、スプレー式パイプ断熱材成形、およびスプレー式断熱層成形から選ばれる成形法を用いる請求項3記載の製造方法。
- (c1)の使用量が、(a)100質量部に対して10〜200質量部である請求項1〜4のいずれか記載の製造方法。
- (a)の活性水素当量が60〜250である請求項1〜5のいずれか記載の製造方法。
- 下記活性水素化合物(a)、ハイドロフルオロカーボン365mfc(c1)からなる発泡剤(c)、および必要により、ウレタン化触媒(d)とその他の添加剤(e)から選ばれる1種以上からなる硬質ポリウレタンフォーム製造用活性水素組成物。
(a):炭素数が2〜12且つ2〜4価の脂肪族ポリオールに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a11)、アンモニアに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a12)、および炭素数1〜12のモノハイドロカルビルアミンに炭素数3以上のアルキレンオキサイドが付加されてなるポリオール(a13)から選ばれ、(a11)、または(a11)と〔(a12)および/もしくは(a13)〕の併用である1種以上のポリオール(a1)と、必要によりアルキレン基の炭素数が2〜6且つ炭素数が2〜12の(ポリ)アルキレンポリアミンにアルキレンオキサイドが付加されてなり、該アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドの含量が50質量%以下であるポリオール(a2)を、(a1)と(a2)の合計が25質量%以上含有する活性水素化合物
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