JP3733073B2 - 分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は分離されたマグネットを適用したインクカートリッジに係り、より詳細には、インクチャンバ内で上部と下部に分離して設けられた二つのマグネットがインクの消耗に伴ない結合する際に増加する磁束を検出してインク切れを感知するインクカートリッジに関する。
【０００２】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに使用するインクカートリッジは、その内部にインクが貯蔵されており、ヘッドを通じて印刷媒体上にインク液滴を吐出させることにより所定色相の画像を印刷する装置である。
【０００３】
図４は、米国特許第６,０１２,８０８号に開示された二つのチャンバよりなるインクカートリッジの断面図である。
【０００４】
インクカートリッジ１は、その内部の垂直隔壁３０により区分けされる二つのチャンバ１０、２０を具備する。二つのチャンバは、スポンジ２４で充填されたスポンジチャンバ２０と、垂直隔壁３０の下部に形成されたインク通路３２を通じてスポンジチャンバ２０にインクを供給するインク貯蔵チャンバ１０である。スポンジチャンバ２０の一側にはインクジェットプリンタヘッド（図示せず）にインクを供給するインク供給出口２２が形成されており、その上部には通気口２６が形成されている。垂直隔壁３０のインク貯蔵チャンバ１０側の下部には光反射板１２が設けられており、光反射板１２と向き合うインク貯蔵チャンバ１０の外部には光反射板１２に光を照射する発光部１３と、光反射板１２から反射された光を検出する受光部１４が設けられている。
【０００５】
上記構造のインクカートリッジ１においては、スポンジ２４内のインクが消耗されるとインク貯蔵チャンバ１０内のインクがスポンジ２４の毛細管の力により吸い込まれつつ供給さる。この時、通気口２６から流入する空気はインク貯蔵チャンバ１０からのインクの供給を円滑にする。インクが消耗されてインク貯蔵チャンバ１０のインクレベルが光反射板１２の位置より下がると、発光部１３からの光は光反射板１２に照射されてから反射する。反射した光を受光部１４が検出することにより、インクカートリッジ１のインク切れを感知することができる。
【０００６】
しかし、上記構造のインクカートリッジ１は、プリンタヘッド（図示せず）に装着する際にヘッド部に気泡が流入して印刷の品質を低下させるので、気泡を除去するために吸入動作を行うが、この吸入動作によりインクの一部が消耗されてしまう。また、残留インクが乱反射することなどにより、発光部１３及び受光部１４の光センサが感知エラーを起こす場合がある。さらに、光透過性のために投光性に優れたカートリッジ容器２を使用しなければならないという制約もある。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を改善するために、分離されたマグネットを適用してインク量を感知するヘッド一体型のインクカートリッジを提供することである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の主たる観点によれば、その内部に設けられた垂直隔壁によって形成された二つの第１、第２チャンバよりなるインクが貯蔵されるインク貯蔵部と、上記インク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するヘッドとを具備したインクカートリッジにおいて、上記第１チャンバは、その内部を充填するスポンジと、上記第１チャンバ内部の底部に形成されたフィルターと、上記フィルターを通過したインクを上記ヘッドに供給するインク供給管とを具備し、上記第２チャンバは、その内部を充填するインクにより浮遊してその内部に第１マグネットを含むマグネットフロートと、上記第２チャンバ内部の底部に設けられる第２マグネットとを具備し、上記第２チャンバの下方には、上記第２マグネットのみの磁束は検出しないものの、上記第２マグネットに上記マグネットフロートが結合される際に増加する磁束は検出するマグネットセンサが配設され、上記マグネットセンサからの磁束検出信号によりインク切れを検出すること、を特徴とする分離されたマグネットを適用したインクカートリッジが提供される。
【０００９】
上記記載の発明では、上記第２チャンバより吸収されたインクが上記第１チャンバ内のスポンジの気孔から上記インク供給管を通じて上記ヘッドに供給され、その際、上記フィルターによりインク内の不純物及び微細なバブルが除去され上記ヘッドの噴出口が閉塞されるのを防止する。また、上記第２チャンバ内部のインクの残量がある間は上記マグネットフロートと上記第２マグネットは分離した状態にあり、上記第２チャンバ内部のインクの残量がゼロになる時に上記マグネットフロートと上記第２マグネットが結合して増加する磁束を検出することにより、上記第２チャンバ内部のインクの残量がゼロになったことを感知することができる。このとき、上記インクカートリッジに各色ごとの複数のインク貯蔵部が設けられる場合には、上記各色のインク貯蔵部は第２チャンバ同士が隣り合うように配設され、上記各色の第２チャンバの第１マグネットが有する磁束は、隣り合う第１マグネットと相互に干渉を起こさない磁束となるようにすることが望ましい。また、上記マグネットセンサは、上記第２マグネットの磁束のみでは磁束検出信号を出力しないことが望ましい。そして、上記第１マグネットと上記第２マグネットの磁束は同じであることが好ましい。
【００１０】
【発明の実施の形態】
図１は、本実施形態に係る分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ１００の平面図である。図２は、図１の３−３’線に沿って切開した断面図である。図１及び図２のインクカートリッジ１００は、イエロー、マゼンタ、シアンの３色のインクが３つのインク貯蔵部１０２に各々貯蔵されるカラーインクカートリッジである。各インクの貯蔵部１０２は、図２のインクの貯蔵部１０２の構造と同一である。
【００１１】
インクカートリッジ１００は、インクを貯蔵するインク貯蔵部１０２と、インクを液滴形態として吐出するヘッド１４０と、を具備する。インク貯蔵部１０２は、その内部の上部から底部に渡って垂直に設けられた隔壁１１０によって、第１チャンバ１２０と第２チャンバ１６０に区切られる。隔壁１１０の下部にはインク通路１１２が形成される。
【００１２】
第１チャンバ１２０は、その内部をほぼ充填するスポンジ１２２を具備する。スポンジ１２２の底部には、このスポンジ１２２と接触してインク内の不純物及び微細なバブルをフィルタリングすることによってヘッド１４０の噴出口が閉塞されるのを防止するフィルター１３０が具備される。フィルター１３０の下部には、インク供給管１３２を通じてインクが供給されるヘッド１４０が、フレキシブル印刷回路（ｆｌｅｘｉｂｌｅ ｐｒｉｎｔｅｄ ｃｉｒｃｕｉｔ：ＦＰＣ）１４２と共に設けられる。第１チャンバ１２０の上部には、スポンジ１２２からインクが抜け出ることにより生じる気泡による過度の負圧を防止するように通気口１２４が形成されている。スポンジ１２２はポリウレタンフォームよりなる。
【００１３】
第２チャンバ１６０は、チャンバ内部を充填するインクにより浮遊するマグネットフロート１７０と、第２チャンバ１６０の下部に固定設置される第２マグネット１６２と、を具備する。マグネットフロート１７０は、発泡成形したポリプロピレン樹脂よりなり、その内部の底部に第１マグネット１７２が設けられる。第１マグネット１７２はプラスチックマグネットである。
【００１４】
第１マグネット１７２においては、その磁束が強すぎて隣接する他のカラーの第２チャンバ１６０’に設けられた第１マグネット１７２'と干渉を起こして、第２チャンバ１６０のインクレベルが下がっているにもかかわらず第１マグネット１７２が下降しない、といった現象が発生しないような構成をとらなければならない。一方で、第１マグネット１７２が第２チャンバ１６０の底部に到達した際には、第２チャンバ１６０の下方に所定距離だけ離隔して設けられたマグネットセンサ１８０によって第１マグネット１７２の磁束が検出されるように、所定水準以上の磁束を有さなければならない。したがって、本実施形態においては、上記干渉現象を排除し、かつマグネットセンサ１８０が磁束を検出ができるよう、マグネット１６２と１７２を分離して設け、両マグネットが結合した際に磁束が増加するようにした。
【００１５】
マグネットセンサ１８０はホール効果センサであり、本実施形態においては、磁石のＳ極を感知する。したがって、第１マグネット１７２及び第２マグネット１６２は、その下部にＳ極がくるように配置される。本実施形態においては、第１マグネット１７２及び第２マグネット１６２の磁束は各々３００ガウスであり、上記マグネットセンサ１８０を第２マグネット１６２の下部から約４ｍｍ離隔して設けた。
【００１６】
図３は、ホール効果センサ１８０の一例を示した図である。ホール効果センサ１８０は、センサ部１８２と３本のリード線１８３、１８４、１８５からなる。第１リード線１８３には３．３Ｖ直流電圧が印加される。第２リード線１８４は接地される。第３リード線１８５は出力線であり、センサ部１８２から所定値以上の磁束が検出される場合は出力電圧３．３Ｖを出力し、所定値未満の磁束が検出される場合は０Ｖを出力することにより、所定値以上の磁束検出信号を出力する。
【００１７】
上記構造のインクカートリッジ１００がインク切れを感知する過程を以下に説明する。
【００１８】
インクカートリッジ１００は、使用開始時においては、各カラー別に各々設けられた二つのチャンバ１２０、１６０にインクが充填されている。印刷時には、第１チャンバ１２０内のスポンジ１２２の気孔からインク供給管１３２を通じてヘッド１４０にインクが供給される。インクが使用されていくと同時に通気口１２４より空気が流入するので、スポンジ１２２はその気孔の毛細管の力でインク通路１１２を通じて第２チャンバ１６０のインクを吸収する。マグネットフロート１７０は、第２チャンバ１６０のインクレベルの下降と共に下方に移動し、インクが切れた状態において第２チャンバ１６０の底部に着いて第２マグネット１６２と接触して磁束が増加する。マグネットセンサ１８０は、磁束が増加するとセンサ部１８２が作動して第３リード線１８５の出力部を通じて３.３Ｖ電圧を出力し、インクカートリッジ内のインクが切れた状態を知らせる。
【００１９】
【発明の効果】
本発明に係る分離されたマグネットを適用したインクカートリッジは、第１チャンバの内部を充填するスポンジの底部にフィルターが具備されるので、インク内の不純物及び微細なバブルを除去し、ヘッドの噴出口が閉塞されて印刷の品質が低下するのを防止することができる。また、マグネットセンサを使用するので透明材質のカートリッジ容器を使用する必要がない。更に、マグネットを上下に分離して設置することによって、カラーごとに設けられるインク貯蔵部間での磁力干渉を防止しつつも磁束検出に必要な磁束を形成でき、インク切れの検出エラーが発生するのを防止することができる。
【００２０】
以上、本発明に係る好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術思想の範囲内において、各種の修正例および変更例を想定し得るものであり、それらの修正例および変更例についても本発明の技術範囲に包含されるものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の望ましい実施例に係る分離されたマグネットを適用したインクカートリッジの平面図である。
【図２】図１の３−３’線の断面図である。
【図３】ホール効果センサの一例を示す図面である。
【図４】従来の二つのチャンバよりなるインクカートリッジの断面図である。

Claims (7)

1. その内部に設けられた垂直隔壁によって形成された二つの第１、第２チャンバよりなるインクが貯蔵されるインク貯蔵部と、前記インク貯蔵部のインクを印刷媒体に液滴として放出するヘッドとを具備したインクカートリッジにおいて、
   前記第１チャンバは、その内部を充填するスポンジと、前記第１チャンバ内部の底部に形成されたフィルターと、前記フィルターを通過したインクを前記ヘッドに供給するインク供給管とを具備し、
   前記第２チャンバは、その内部を充填するインクにより浮遊してその内部に第１マグネットを含むマグネットフロートと、前記第２チャンバ内部の底部に設けられる第２マグネットとを具備し、
   前記第２チャンバの下方には、前記第２マグネットのみの磁束は検出しないものの、前記第２マグネットに前記マグネットフロートが結合される際に増加する磁束は検出するマグネットセンサが配設され、
   前記マグネットセンサからの磁束検出信号によりインク切れを検出すること、
   を特徴とする分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
2. 前記インクカートリッジに各色ごとの複数のインク貯蔵部が設けられるとき、
   前記各色のインク貯蔵部は第２チャンバ同士が隣り合うように配設され、
   前記各色の第２チャンバの第１マグネットが有する磁束は、隣り合う第１マグネットと相互に干渉を起こさない磁束であることを特徴とする請求項１に記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
3. 前記第１マグネットと前記第２マグネットの磁束は同じであることを特徴とする請求項１または２のいずれかに記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
4. 前記マグネットフロートは発泡成形されたポリプロピレン樹脂よりなること、を特徴とする請求項１または２のいずれかに記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
5. 前記第１マグネットはプラスチックマグネットであること、を特徴とする請求項１または２のいずれかに記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
6. 前記マグネットセンサは一定磁束以上が検出される時その検出信号を出力するホール効果センサであること、を特徴とする請求項１または２のいずれかに記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。
7. 前記スポンジはポリウレタンフォームであること、を特徴とする請求項１または２のいずれかに記載の分離されたマグネットを適用したインクカートリッジ。

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