JP3732167B2 - 適応フィルタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、時間的に特性の変化する信号やこれに含まれる雑音等に対し、その変化分に応じて伝達関数、特にフィルタ係数を更新しながらフィルタリング処理を実行する適応フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
上記のような適応フィルタは、アクティブ消音装置や、エコー・キャンセラ、ノイズ・キャンセラ、ライン・エンハンサ等、多くの分野で応用されている。図4に、この適応フィルタを、例えばアクティブ消音装置に応用した一従来例を示す。このアクティブ消音装置は、例えばエンジン等の騒音に対し、これと実質的に等大で逆位相の音波を干渉させることにより上記騒音を減衰させるもので、その減衰の対象とする騒音は、同図において、排気ダクト1内を同図の左側から右側に向かって伝搬しているものとする。
【0003】
このアクティブ消音装置は、排気ダクト1の入口側(同図の左側)において上記騒音をリファレンスマイクロホン(1次マイクロホン)2によって収音し、このリファレンスマイクロホン2によって収音された騒音信号xk が入力されるFIR適応型ディジタルフィルタ(以下、ディジタルフィルタと称す。)3を有している。このディジタルフィルタ3は、入力された騒音信号xk に対して、後述するFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8により設定されるフィルタ係数ベクトル vWk を用いて所定のフィルタリング処理、例えば畳み込み和演算を施すもので、その演算結果yk を出力する。そして、このディジタルフィルタ3の出力yk は、反転器4によって位相が反転された後、2次音源スピーカ5に供給される。2次音源スピーカ5は、供給された上記出力yk の位相を反転した信号に応じた音波を排気ダクト1内に放音し、即ち排気ダクト1内を伝搬している騒音に干渉させ、これによって上記騒音を打ち消している。
【0004】
更に、排気ダクト1の出口側にはエラーマイクロホン(2次マイクロホン)6が配置されており、このエラーマイクロホン6によって、上記騒音を2次音源スピーカ5の放射音で打ち消した後の音、つまりは騒音と2次音源スピーカ5の放射音との誤差成分を検出している。このエラーマイクロホン6の出力は、エラー信号ek として上述したFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8に供給される。また、このFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8には、上記エラー信号ek の他に、騒音信号xk も供給されている。
【0005】
Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8は、供給された上記騒音信号xk とエラー信号ek とに応じて、ディジタルフィルタ3の伝達関数Wk と後述する伝達関数Cとの合成による伝達関数(両者を掛けて得られた伝達関数)が、排気ダクト1におけるリファレンスマイクロホン2からエラーマイクロホン6までの伝達関数Pと等しくなるように、ディジタルフィルタ3のフィルタ係数ベクトル vWk を更新する。このように、上記ディジタルフィルタ3の伝達関数Wk と伝達関数Cとの合成による伝達関数を、排気ダクト1内の伝達関数Pに等しくすることによって初めて、上記排気ダクト1内の騒音を2次音源スピーカ5の放射音により打ち消すことができる。また、排気ダクト1内の音響特性や2次音源スピーカ5の放音特性に経時的な変化が生じ、これによって排気ダクト1内の伝達関数Pが変化しても、その変化に応じて上記ディジタルフィルタ3の伝達関数Wも上記フィルタ係数ベクトル vWk の更新により変化するので、常に安定した消音効果を得ることができる。
【0006】
ところで、上記のようなアクティブ消音装置においては、ディジタルフィルタ3(詳しくは、反転器4)の出力端子(即ち2次音源スピーカ5の入力端子)からエラーマイクロホン6の配置位置までの間に伝達関数Cが存在する。従って、上記のようなディジタルフィルタ3のフィルタ係数ベクトル vWk の更新、即ち適応動作を実現するには、このアクティブ消音装置の制御系をFiltered-x LMSアルゴリズムの構成とする必要があり、このため、上記フィルタ係数ベクトル vWk の更新をFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8により実行している。
【0007】
即ち、このアクティブ消音装置においては、リファレンスマイクロホン2とFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8との間に、上記伝達関数Cを同定(モデル化)したFIRディジタルフィルタ7を設けている。そして、このFIRディジタルフィルタ7によって上記リファレンスマイクロホン2からの騒音信号xk をフィルタリング処理し、その処理した信号Rk を、Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8に入力するよう構成されている。なお、上記伝達関数Cの同定は、例えば、予めこの伝達関数Cを測定し、これを逆フーリエ変換して求めた時間領域のデータを上記ディジタルフィルタ7のフィルタ係数として設定しており、これによって上記ディジタルフィルタ7の伝達関数CIを決定している。
【0008】
上記のように構成された制御系において、Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8におけるディジタルフィルタ3のフィルタ係数(ベクトル) vWk の更新式は、数1によって表される。
【0009】
【数1】
vWk+1 = vWk +2μ・ek ・ vRk
【0010】
但し、kは、タイム(サンプリング)・インデックス、μは、収束係数である。また、 vWk は、時刻kにおけるディジタルフィルタ3のフィルタ係数ベクトルで、数2によって表される。
【0011】
【数2】
vWk =〔w0,k w1,k w2,k ・・・wL-1,k 〕T
【0012】
ここで、T は、転置を表し、wは、時変のフィルタ係数、Lは、ディジタルフィルタ3のタップ長である。また、 vRk は、FIRディジタルフィルタ7の出力信号Rk で構成されるベクトルで、数3によって表される。
【0013】
【数3】
【0014】
vCIはFIRディジタルフィルタ7のフィルタ係数ベクトルであり、時変のフィルタ係数ciを用いて、数4のように表される。
【0015】
【数4】
vCI=〔ci0 ci1 ci2 ・・・ciL-1 〕T
【0016】
また、 vXk は、時刻kにおける騒音信号(リファレンス入力信号)xk で構成されるベクトルで、数5によって表される。
【0017】
【数5】
vXk =〔xk xk-1 xk-2 ・・・xk-L+1 〕T
【0018】
上記数1において、ek の2乗期待値が最小となるように vWk+1 が更新され、即ちこの適応フィルタの適応動作が行われる。
【0019】
なお、上述したディジタルフィルタ3、反転器4、FIRディジタルフィルタ7、及びFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8については、例えばDSP(ディジタル信号処理装置)やCPU(中央演算処理装置)等によって、構成されている。そして、これらのDSPやCPU等は、図示しないメモリ等の記憶部に記憶されたプログラムに従って動作し、即ち上述の適応動作等を実行する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような制御系、特にアクティブ消音装置においては、伝達関数Cが、時間の経過と共に変化することがある。これは、例えばエンジンを運転させていると排気ダクト1内の温度が徐々に上昇し、この温度上昇により排気ダクト1内を伝搬する騒音の音速が変化(増大)すること等が起因している。これに対して、FIRディジタルフィルタ7の伝達関数CIは、一定とされているので、この伝達関数CIと上記伝達関数Cとが次第に乖離し、即ち不一致となる。これによって、エラー信号ek の2乗期待値が最小化されず、特定の周波数で騒音が消音されないばかりか、逆に不要な騒音を2次音源スピーカ5が放出するという事態が生じるという問題がある。この現象は、エンジンの運転時間が長くなればなる程、起動時からの温度変化が大きくなるので、顕著になる。
【0021】
なお、ここで、上記伝達関数CIと伝達関数Cとが乖離すると、上記エラー信号ek の2乗期待値が最小化されなくなり、例えば上記のようなアクティブ消音装置においては消音効果を得られなくなるということについて、図4から図7を参照して説明する。
【0022】
即ち、上述した数1の更新式を、フーリエ変換により周波数領域で表示し直すと、数6に示すようになる。
【0023】
【数6】
Wk+1 =Wk +2μ・F{ek ・ vRk }
但し、F{ }は、フーリエ変換を示す。
【0024】
上記数6における〔ek ・ vRk 〕は、ek と vRk との相関であり、これをフーリエ変換すると、数7に示すようになる。
【0025】
【数7】
F{ek ・ vRk }=Ek ・Rk *
なお、Ek は、ek をフーリエ変換したものである。また、Rk * は、 vRk をフーリエ変換したものの複素共役である。
【0026】
一方、FIRディジタルフィルタ7の出力信号Rk の周波数特性は、数8で表される。
【0027】
【数8】
Rk =CI・Xk
但し、Xk は、騒音信号ベクトル vXk をフーリエ変換したものである。
【0028】
上記数8の両辺の複素共役をとると、数9のようになる。
【0029】
【数9】
Rk * =〔CI・Xk 〕* =CI* ・Xk *
【0030】
よって、この数9と上記数7とを用いると、上記数6は、次の数10のように表される。
【0031】
【数10】
Wk+1 =Wk +2μ・Ek ・CI* ・Xk *
【0032】
ここで、図4に示すブロック図を、簡略化し、例えば適応動作部分(FIRディジタルフィルタ7とFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8)を省略して表すと、図5に示すようになる。同図において、各伝達関数P、W、Cを含めたこの制御系全体の伝達関数(リファレンスマイクロホン2からエラーマイクロホン6までの伝達関数)Hは、数11で表される。
【0033】
【数11】
H=P−C・W
但し、各伝達関数H、P、W、Cは、周波数fの関数である。
【0034】
この数11と、上記数10を用いると、時刻k+1における制御系全体の伝達関数Hk+1 は、数12で表される。
【0035】
【数12】
【0036】
また、この数12と同様に、時刻kにおける制御系全体の伝達関数Hk は、数13で表される。
【0037】
【数13】
Hk =P−C・Wk-1 −2μ・C・CI* ・Ek-1 ・Xk-1 *
【0038】
上記数12から数13を減算することにより、数14が得られる。
【0039】
【数14】
【0040】
ここで、上記数10を変形すると、数15が得られる。
【0041】
【数15】
Wk+1 −Wk =2μ・Ek ・CI* ・Xk *
【0042】
更に、この数15の時刻を1つずらして考えると、数16が得られる。
【0043】
【数16】
Wk −Wk-1 =2μ・Ek-1 ・CI* ・Xk-1 *
【0044】
従って、この数16を、上記数14に代入すると、次の数17を得られる。
【0045】
【数17】
【0046】
また、Ek =Hk ・Xk であるから、これを上記数17に代入すると、数18を得る。
【0047】
【数18】
【0048】
この数18は、次の数19のように変形される。
【0049】
【数19】
Hk+1 =(1−2μ・|Xk |2 ・C・CI* )・Hk
【0050】
この数19によれば、時刻kにおける伝達関数Hk が、時刻k+1においては、Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8による1回の更新を経て〔1−2μ・|Xk |2 ・C・CI* 〕倍されることを示している。
【0051】
ここで、減衰の対象とする騒音の騒音源が、例えばエンジン等である場合には、その騒音信号xk は、比較的に周期性の強い、即ち時刻kによらず周期的に略一定した信号であると考えることができる。従って、上記数19における|Xk |2 を、その平均値|X|2 AVE に置き換えると、上記数19は、数20のように表される。
【0052】
【数20】
【0053】
この数20は、適応動作を繰り返して(適応回数kを増大させて)、エラー信号ek の2乗期待値を零又は最小値に漸近させるためには、この適応フィルタの制御対象とする全ての周波数において、〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、図6に示すように、複素平面上の単位円内に存在しなければならないことを表している。なお、同図における振幅A1 、A2 、及び位相θ1 、θ2 の関係は、数21、数22で表される。
【0054】
【数21】
1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* =A1 ・exp〔jθ1 〕
【0055】
【数22】
−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* =A2 ・exp〔j(π+θ2 )〕
【0056】
上記数22において、〔2μ・|X|2 AVE 〕は実数であるから、上記位相θ2 は〔C・CI* 〕の偏角に等しい。ここで、伝達関数CIは、予め伝達関数Cを同定したものであるから、適応動作の開始当初(時刻kが小さいうち)においては、上記〔C・CI* 〕は、略|CI|2 に等しい実数であるので、このときの位相θ2 はθ2 ≒0になる。従って、適当な収束係数μを設定することにより、適応動作の開始当初においては、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕(≒〔1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|2 〕)が、複素平面上の単位円内に存在し、即ち数23の条件を満足する。
【0057】
【数23】
−1<〔1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|2 〕<1
【0058】
従って、この数23を満足し得る適応動作の開始当初においては、エラー信号ek の2乗期待値は、零又は最小値に漸近するので、正常な適応動作が実現され、例えばアクティブ消音装置においては消音効果を得ることができる。
【0059】
しかし、上述したように、何らかの原因、例えば上記アクティブ消音装置においては排気ダクト1内の温度上昇による音速の変化により、このアクティブ消音装置の制御対象とする周波数範囲内において、上記2つの伝達関数C、CIが乖離すると、上記〔C・CI* 〕が複素数となり、その偏角である位相θ2 が大きくなる。そして、この位相θ2 が大きくなり過ぎると、例えば図7に示すように、上述した〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、単位円の外にはみ出してしまうことがある。
【0060】
このように、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、単位円の外にはみ出してしまうと、それ以降の適応動作によって、エラー信号ek における上記伝達関数C、CIが乖離する周波数成分の振幅が増大し、これによって、上記エラー信号ek の2乗期待値が、零又は最小値に収束しなくなる。従って、正常な適応動作を実現することができなくなり、例えばアクティブ消音装置においては、消音効果を得ることができなくなる。即ち、上記のようなアクティブ消音装置において確実に消音効果を得る(正常な適応動作を実現する)ためには、上記伝達関数CIが、上記伝達関数Cに対して、常に十分な精度で同定されていなければならない。
【0061】
本発明は、伝達関数Cに変化が生じても、この伝達関数Cの変化に応じて伝達関数CIを変化させることによって、常に安定した適応動作を実現することのできる適応フィルタを提供することを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、第1の伝達関数を有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手段と、上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定制御手段とを、具備する。そして、上記同定制御手段は、
1−2μ・|X| 2 AVE ・C・CI *
(但し、μは収束係数、Xは第1の検出手段の出力信号をフーリエ変換した値、|X| 2 AVE は|X k | 2 の平均値(kはタイム・インデックス)、Cは第2の伝達関数、CIは * は同定手段の伝達関数CIの複素共役である。)
が複素平面上の単位円内に収まるように上記同定手段の伝達関数の振幅を更新する、適応フィルタである。
【0063】
請求項2記載の発明は、第1の伝達関数を有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手段と、上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定制御手段と、を具備する。そして、上記同定制御手段は、
1−2μ・|X| 2 AVE ・C・CI *
(但し、μは収束係数、Xは第1の検出手段の出力信号をフーリエ変換した値、|X| 2 AVE は|X k | 2 の平均値(kはタイム・インデックス)、Cは第2の伝達関数、CIは * は同定手段の伝達関数CIの複素共役である。)
が複素平面上の単位円内に収まるように上記同定手段の伝達関数の位相を更新する、適応フィルタである。
【0066】
【発明の実施の形態】
本発明の参考の形態について、図1を参照して説明する。同図に示すように、このアクティブ消音装置は、上述した図4に示す従来のアクティブ消音装置において、リファレンスマイクロホン2から出力される騒音信号xk とエラーマイクロホン6から出力されるエラー信号ek とが入力される伝達関数演算部9を設けたものである。そして、この伝達関数演算部9によって、上記騒音信号xk とエラー信号ek とに応じて、FIRディジタルフィルタ7の伝達関数CIを更新するよう構成したものである。なお、これ以外の構成については、上記図4の従来技術と同様であり、同等部分には同一符号を付し、その構成についての詳細な説明を省略する。
【0067】
即ち、伝達関数演算部9は、例えば次の数24に示す更新式に基づいて、FIRディジタルフィルタ7の伝達関数CIとして新たに設定する伝達関数CINEW を算出する。そして、この算出結果CINEW を、上記伝達関数CIに代えて、新たに上記ディジタルフィルタ7に設定し、即ち上記伝達関数CIを更新させるものである。
【0068】
【数24】
CINEW =(1−ERATIO 1/n )/(2μ・|X|2 AVE ・CIOLD * )
なお、ERATIO =Ek+n /Ek 、nは、この伝達関数CINEW の更新ステップ数で、n=1、2、・・・である。また、CIOLD * は、更新前の伝達関数CIの複素共役である。
【0069】
以下に、この数24の導出過程を説明する。即ち、今、適応動作の開始時刻(時刻0)から時刻kの間においては、伝達関数CIは、伝達関数Cに対して、十分な精度で同定しているものとする。この状態においては、上述したように、C・CI* ≒|CI|2 の関係が成り立つので、上述の数20より、次の数25が導かれる。
【0070】
【数25】
Hk =(1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|2 )k ・H0
【0071】
次に、時刻k+1から時刻k+nの間において、伝達関数Cが、CNEW に変化しているものとすると、このときの制御系全体における伝達関数Hk+n は、数26で表される。
【0072】
【数26】
Hk+n =(1−2μ・|X|2 AVE ・CNEW ・CI* )n ・Hk
【0073】
ここで、時刻k及び時刻k+nにおけるエラー信号特性Ek 及びEk+n は、数27及び数28で表される。
【0074】
【数27】
Ek =Hk ・XAVE
但し、XAVE は、Xk の平均値である。
【0075】
【数28】
Ek+n =Hk+n ・XAVE
【0076】
数27におけるEk は、エラー信号eで構成されるエラー信号ベクトル vEk をフーリエ変換したもので、次の数29で表される。これは、数28におけるEk+n についても同様である。
【0077】
【数29】
vEk =〔ek ek-1 ek-2 ・・・ek-L+1 }T
【0078】
この数27と数28との比ERATIO をとると、数30のようになる。
【0079】
【数30】
ERATIO =Ek+n /Ek =Hk+n /Hk
【0080】
そして、この数30に、上記数26を代入すると、数31が得られる。
【0081】
【数31】
ERATIO =(1−2μ・|X|2 AVE ・CNEW ・CI* )n
【0082】
この数31は、次の数32のように変形できる。
【0083】
【数32】
CNEW =(1−ERATIO 1/n )/(2μ・|X|2 AVE ・CI* )
【0084】
即ち、この伝達関数CNEW (伝達関数Cが変化した結果)を、FIRディジタルフィルタ7の新たな伝達関数CINEW として用いることによって、上記伝達関数Cの変化に応じて、ディジタルフィルタ7の伝達関数CIを更新させることができる。従って、この数31の伝達関数CNEW を、CINEW に置き換えることにより、上述の数24が導出される。なお、この数31におけるCI* については、FIRディジタルフィルタ7の更新前の伝達関数(複素共役)であるので、上記更新用の新たな伝達関数CINEW と区別するために、上記数24においてはCIOLD * としている。
【0085】
また、一般に、上記数31における〔2μ・|X|2 AVE ・CNEW ・CI* 〕の絶対値は、1よりも十分に小さい値となる。従って、上記数28で表される比ERATIO は、次の数33に示すように近似できる。
【0086】
【数33】
ERATIO ≒1−2nμ・|X|2 AVE ・CNEW ・CI*
【0087】
そして、この数33を、伝達関数CNEW についての式に変形すると、数34のようになる。
【0088】
【数34】
CNEW =(1−ERATIO )/(2nμ・|X|2 AVE ・CI* )
【0089】
従って、上述の数24の代わりに、次に示す数35を使用して、ディジタルフィルタ7の新たな伝達関数CINEW を算出し、これを上記ディジタルフィルタ7に設定してもよい。
【0090】
【数35】
CINEW =(1−ERATIO )/(2nμ・|X|2 AVE ・CIOLD * )
【0091】
なお、上記数24及び数35に示す更新式は、周波数領域で表現した伝達関数であるので、実際にFIRディジタルフィルタ7のフィルタ係数の更新値を決定するには、上記数24及び数35により求めた伝達関数CINEW を、逆フーリエ変換することにより時間領域のデータに置き換える必要がある。
【0092】
上記のような更新演算を行う伝達関数演算部9もまた、DSPやCPU等によって構成されていおり、これらのCPUやDSP等は、上述した記憶部に記憶されているプログラムに従って、上記伝達関数CIの更新制御(数24及び数35の演算)等を実行する。また、この伝達関数CIの更新制御において、その演算に必要となるパラメータ、例えば収束係数μや更新前の伝達関数CIOLD 等についても、上記記憶部に記憶されている。
【0093】
また、上記数24及び数35の更新式においては、|X|2 AVE を、これに代えて、時刻kにおける|X|2 の値、即ち|Xk |2 、または、現時刻k+nにおける|X|2 の値、即ち|Xk+n |2 に置き換えることもできる。
【0094】
更に、伝達関数Cが、伝達関数CIと乖離する速度は、それほど急峻なものではないので、サンプリング数kが1ずつ増加する(即ち上記数24及び数35においてnをn=1とする)毎に、伝達関数CIを更新する必要はなく、例えば複数サンプリング(即ちn≧2とする)毎に1回程度の更新でもよい。このように、更新サイクルを長くすることによって、上記数24及び数35の演算時間を稼ぐことができ、即ち上記演算を実行するDSPやCPU等に対する負担を軽減することができる。
【0095】
また、上記数24及び数35により上記伝達関数CIの更新を行うと、この伝達関数CIは、その振幅及び位相共に新たな値に変化するが、この伝達関数CIの振幅を変化させずに、位相θCI(θCI=arg〔CI〕)のみを変化させることにより、上記伝達関数CIを更新してもよい。この位相θCIのみを変化させる更新式は、上記数24及び数35から導出することができる。即ち、数24からは、次の数36が導出される。
【0096】
【数36】
【0097】
また、この数36から、数37が導出される。
【0098】
【数37】
θCINEW =arg〔ERATIO 1/n −1〕±π+arg〔CIOLD 〕
【0099】
一方、数35からは、次の数38が導出される。
【0100】
【数38】
【0101】
また、この数38から、数39が導出される。
【0102】
【数39】
θCINEW =arg〔ERATIO −1〕±π+arg〔CIOLD 〕
【0103】
即ち、上記数36乃至数39のいずれかの演算により、伝達関数CIを更新させてもよい。このように、伝達関数CIの位相θCIのみを変化させた場合でも、上述の図6及び図7における位相θ2 は零となるので、エラー信号ek の2乗期待値は零又は最小値へと収束し、即ち正常な適応動作を実現できる。
【0104】
なお、上記のように位相θCIのみを更新させる場合は、例えば図7に示すように、〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円からはみ出した周波数についてのみ更新を行ってもよいし、この適応フィルタが制御対象とする全周波数領域について上記更新を行ってもよい。
【0105】
また、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、単位円をはみ出したか否かにより上記位相θCIの更新を行うのではなく、この〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、予め定めたある値を越えたか否かを判断し、この値を越えた周波数についてのみ上記更新を行うよう構成してもよい。
【0106】
上記のように、本参考形態によれば、何らかの原因、例えばアクティブ消音装置においては排気ダクト1内の温度上昇により生じる音速の変化等によって、伝達関数Cに変化が生じると、その変化した伝達関数CNEW (を算出した結果)が、FIRディジタルフィルタ7の新たな伝達関数CINEW として更新される。即ち、上記伝達関数Cが一定とされている従来技術とは異なり、伝達関数Cの変化に応じて、ディジタルフィルタ7の伝達関数CIも更新される。従って、ディジタルフィルタ7の伝達関数CIは、伝達関数Cに対して常に十分な精度で同定された状態になる。このような状態においては、適応フィルタの適応動作により、エラー信号ek の2乗期待値は零又は最小値に収束されるので、常に正常な適応動作を実現することができ、例えばアクティブ消音装置においては常に安定した消音効果を得ることができる。
【0107】
なお、本参考形態における排気ダクト1が、特許請求の範囲に記載の伝送路に対応し、この排気ダクト1内の伝達関数Pが、第1の伝達関数に対応する。そして、リファレンスマイクロホン2及びエラーマイクロホン6が、各々第1及び第2の検出手段に対応する。また、ディジタルフィルタ3が、特許請求の範囲に記載の適応型フィルタ手段に対応し、Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8が、フィルタ制御手段に対応する。そして、ディジタルフィルタ3の出力端子からエラーマイクロホン6の配置位置までの伝達関数Cが、第2の伝達関数に対応する。更に、FIRディジタルフィルタ7が、同定手段に対応し、伝達関数演算部9が、同定制御手段に対応する。
【0108】
次に、本発明に係る適応フィルタの1実施の形態について、図2及び図3を参照して説明する。なお、本実施の形態も、上述した参考形態と同様に、上記適応フィルタをアクティブ消音装置に応用したもので、その概略構成は、図1と同様である。この実施の形態と上記参考形態とが異なるところは、伝達関数演算部9におけるディジタルフィルタ7の伝達関数CIの更新(演算)方法のみであるので、本実施の形態においては、その概略構成についての詳細な説明は省略する。
【0109】
即ち、何らかの原因、例えばアクティブ消音装置においては排気ダクト1内の温度上昇により生じる音速の変化等によって、伝達関数Cに変化が生じると、上述したように、この適応フィルタの適応動作が不安定な方向へと向かい、その結果、エラー信号ek が増加する。そこで、伝達関数演算部9により、これに入力された上記エラー信号ベクトル vEk をフーリエ変換し、これによってエラー信号ek の周波数特性、即ちEk を算出する。
【0110】
次に、時刻kから、n時間経過後のエラー信号ベクトル vEk+n をフーリエ変換し、これによって上記エラー信号ek+n の周波数特性、即ちEk+n を算出する。
【0111】
そして、上記Ek とEk+n とを比較し、上記時間nの間に、エラー信号ek が増加した周波数成分を検出する。
【0112】
このエラー信号ek が増加した周波数におけるディジタルフィルタ7の伝達関数CIを、次のいずれかの方法により更新する。
【0113】
即ち、上記周波数における伝達関数CIの振幅を小さくするよう、この伝達関数CIの振幅特性を更新する。これによって、この伝達関数CIの複素共役CI* の絶対値も小さくなり、上述した数22における〔2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕の絶対値A2 も小さくなる。この状態を複素平面で表すと、例えば図2に示すようになる。
【0114】
同図(a)に示すように、上述した〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、複素平面上の単位円の外にはみ出している場合でも、上記絶対値A2 を小さくすることにより、同図(b)に示すように、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕を、単位円内に収めることができる場合がある。このように、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円内に収まると、この適応フィルタの適応動作が正常化され、上記エラー信号ek の増加が抑制され、即ち伝達関数Cの変化に応じてディジタルフィルタ7の伝達関数CIが更新されることになる。
【0115】
一方、上記のように伝達関数CIの振幅特性を更新するのではなく、伝達関数CIの位相特性のみを更新する方法がある。
【0116】
即ち、上記伝達関数Cの変動が、上述したように排気ダクト1内の温度上昇により生じる音速の変化が原因である場合、この適応フィルタの適応動作の開始当初(エンジンの運転当初)の状態を複素平面で表すと、例えば図3(a)に示すようになる。この状態においては、伝達関数C及びCIは互いに略等しいので、〔C・CI* 〕は略実数となり、即ちこの偏角に相当する位相θ2 はθ2 ≒0となる。従って、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕は、複素平面上の単位円内に存在する。
【0117】
ここで、時間の経過に伴い、排気ダクト1内(詳しくは、2次音源スピーカ5とエラーマイクロホン6との間)の温度が徐々に上昇し、これによって排気ダクト1内における音速が速くなってくると、上記伝達関数Cの位相が正の方向に回転することになる。即ち、この伝達関数Cの位相と伝達関数CIの複素共役CI* の位相とを足した上記位相θ2 が、正の方向に回転し、これによって、例えば図3(b)に示すように、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円の外にはみ出てしまう。
【0118】
よって、この場合は、上記CI* の位相を負の方向に回転させるよう伝達関数CIを更新し、これによって上記位相θ2 を負の方向に回転させて、例えば図3(c)に示すように、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円内に収まるようにする。このように、上記CI* の位相を負の方向に回転させるには、伝達関数CIの位相を正の方向に回転させればよい。なお、以上は、排気ダクト1内の温度が徐々に上昇する場合についてであるが、これとは逆に、排気ダクト1内の温度が徐々に下降する場合には、上記伝達関数CIの位相を負の方向に回転させるよう更新する。
【0119】
なお、上記のように伝達関数CIの振幅特性又は位相特性のみを更新させるのではなく、この振幅特性及び位相特性の両方を更新させる方法もある。
【0120】
そして、上記のいずれかの方法により、ディジタルフィルタ7の伝達関数CIを徐々に更新させると共に、常にエラー信号の周波数特性Ek から、その適応結果を監視する。そして、この監視の結果、上記Ek が減少し始めたら、上記伝達関数CIの更新を停止する。
【0121】
なお、上記においては、エラー信号の周波数特性Eを監視して、その増加傾向にある周波数成分についてのみ伝達関数CIを更新させたが、これに限らず、例えばエラー信号ek の自乗値ek 2 を監視し、この自乗値ek 2 を基に上記伝達関数CIを更新させてもよい。即ち、エラー信号の自乗値ek 2 が増加傾向にあるときに、上記伝達関数CIをその周波数全体(この適応フィルタの制御対象とする周波数全体)にわたって、その振幅を小さくしたり、位相を回転させるよう構成してもよい。これによって、上記のようにエラー信号ek をわざわざフーリエ変換してその周波数特性Ek を算出する必要がないので、伝達関数演算部9を構成するDSPやCPU等に対する処理の負担を軽減させることができる。
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、第2の伝達関数Cが変化しても、上述した[1−2μ・|X| 2 AVE ・C・CI * ]が複素平面上の単位円に収まるように、当該第2の伝達関数Cを同定するための同定手段の伝達関数CIが更新される。従って、常に安定した適応動作を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考形態に係る適応フィルタを実施したアクティブ消音装置のブロック図である。
【図2】本発明の1実施形態の適応フィルタにおける適応動作を示す複素平面図で、(a)は、適応動作の不安定状態を示し、(b)は、安定状態を示す図である。
【図3】図2とは異なる方式でアクティブ消音装置の適応動作を実現した場合の複素平面図で、(a)は、適応動作の開始当初を示し、(b)は、適応動作の不安定状態を示し、(c)は、安定状態を示す図である。
【図4】従来の適応フィルタをアクティブ消音装置に応用した状態を示すブロック図である。
【図5】アクティブ消音装置における信号の流れを簡略化したブロック図である。
【図6】アクティブ消音装置における適応動作の安定状態を複素平面で表した図である。
【図7】アクティブ消音装置における適応動作の不安定状態を複素平面で表した図である。
【符号の説明】
1 排気ダクト
2 リファレンスマイクロホン
3 FIR適応型ディジタルフィルタ
4 反転器
5 2次音源スピーカ
6 エラーマイクロホン
7 FIRディジタルフィルタ
8 Filtered-x LMSアルゴリズム実行部
9 伝達関数演算部
Claims (2)
- 第1の伝達関数を有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、
上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、
上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、
上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定制御手段と、
を具備し、
上記同定制御手段は、
1−2μ・|X| 2 AVE ・C・CI *
(但し、μは収束係数、Xは第1の検出手段の出力信号をフーリエ変換した値、|X| 2 AVE は|X k | 2 の平均値(kはタイム・インデックス)、Cは第2の伝達関数、CIは * は同定手段の伝達関数CIの複素共役である。)
が複素平面上の単位円内に収まるように上記同定手段の伝達関数の振幅を更新する、
適応フィルタ。 - 第1の伝達関数を有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手段と、
上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、
上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、
上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、
上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定制御手段と、
を具備し、
上記同定制御手段は、
1−2μ・|X| 2 AVE ・C・CI *
(但し、μは収束係数、Xは第1の検出手段の出力信号をフーリエ変換した値、|X| 2 AVE は|X k | 2 の平均値(kはタイム・インデックス)、Cは第2の伝達関数、CIは * は同定手段の伝達関数CIの複素共役である。)
が複素平面上の単位円内に収まるように上記同定手段の伝達関数の位相を更新する、
適応フィルタ。
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