JP2996770B2 - 適応制御装置および適応形能動消音装置 - Google Patents

適応制御装置および適応形能動消音装置

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JP2996770B2 JP3156399A JP15639991A JP2996770B2 JP 2996770 B2 JP2996770 B2 JP 2996770B2 JP 3156399 A JP3156399 A JP 3156399A JP 15639991 A JP15639991 A JP 15639991A JP 2996770 B2 JP2996770 B2 JP 2996770B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、出力信号が希望の信号
となるようにフィルタ係数を設定・更新する適応制御技
術および能動消音制御系で用いるフィルタ係数を適応的
に求めて更新する適応制御系を備えた適応形能動消音技
術を適用した適応制御装置および適応形能動消音装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】最近、音響制御技術を応用した能動消音
装置が出現している。この能動消音装置は、通常、音源
から出た音をセンサで検出し、このセンサの出力信号を
所定のフィルタ係数を持つフィルタに通して得られた信
号によって例えばスピーカのような発音器を動作させ、
この発音器から出た音によって制御対象点における音源
音を能動的に打消すように構成されている。基本的な考
え方は米国特許第2,043,416号に述べられてい
る。
【0003】このような能動消音装置では、消音に必要
なフィルタ係数はディジタル・フィルタの原理を用いて
求められている。すなわち、空間系の伝達関数をH
(ω)、空間に入力される信号をX(ω)とすると、周
波数領域での出力Y(ω)は、 Y(ω)=H(ω)・X(ω) … (1) で表されるが、時間領域での出力は、たたみ込み積分、
【0004】
【数1】 によって表される。ここで、h(t)はインパルス応答
と呼ばれている。
【0005】なお、この明細書では周波数領域を大文字
で(Y,H,X,S,G,M,L,E等)で表し、時間
領域を小文字(y,h,x,s,g,m,l,e等)で
表している。
【0006】(2) 式から判るように、周波数領域におい
ては、積の形で表される出力は、時間領域では入力され
た時間領域の値をτずつ順次遅らせた値にインパルス応
答を掛けた、これらの積の和から得られる。すなわち、
τの遅れを持たせる遅延器と積和演算で(1) 式と同等の
ことが実現できる。実際の制御等では、積分範囲が有限
であり、またその演算をディジタル的に実行するのが普
通である。したがって、(2) 式に相当する式は次のよう
になる。
【0007】
【数2】
【0008】これは、一般にFIR(Finite Impules R
esponse )フィルタと呼ばれている。(3) 式におけるh
(k)がインパルス応答、つまりこのフィルタの係数で
ある。ところで、能動消音装置では、消音制御に用いる
インパルス応答、即ちフィルタ係数を予め求めておく必
要がある。
【0009】このフィルタ係数の求め方を図11を参照し
ながら説明する。図11には、ダクト1内に収容されてい
る音源2から出た音がダクト1の開口部3から外部へ漏
れ出るのを能動消音装置4で防止している例が示されて
いる。センサ、たとえば振動を検出する加速度ピックア
ップ5は、音源2から発生する音を、この音の相関の高
い別の信号を使って検出する。信号処理装置6にはFI
Rフィルタを構成するのに必要なフィルタ係数がセット
されている。スピーカ7は消音に必要な能動音を発生
し、評価用マイク8は消音対象点での消音効果を評価す
るために設けられる。
【0010】今、音源2から評価用マイク8までの伝達
関数をLとし、スピーカ7から評価用マイク8までの伝
達関数をMとし、音源2が発生する音響信号(加速度ピ
ックアップ5で検出する信号)をSとすると、評価用マ
イク8で観測される信号Iは、 I=S・L+S・G・M … (4) となる。ここで、Gは消音するために必要な伝達関数で
ある。消音対象点において音源音が完全に打ち消された
とき、(4) 式におけるIはI=0となる。したがって、
Gは、 G=−L/M … (5) でなければならない。通常、(5) 式の演算は高速フーリ
エ変換を用いて周波数領域で実行される。その結果を逆
フーリエ変換することによってインパルス応答が求めら
れる。求められたインパルス応答は、信号処理装置6内
にフィルタ係数としてセットされる。
【0011】しかし、上記のように構成された能動消音
装置4は、空間の伝達系が経年変化等により変化した
り、音源自体の性状(たとえば相関性)が変化すると、
(5) 式に基づいて求められた固定的なフィルタ係数では
発生音に対応できなくなり、十分な消音効果を得ること
はできない。
【0012】そこで、最近では上述した不具合に対処す
るために適応制御の手法を採用した適応形能動消音装置
(例えば日本音響学会講演論文集、P367-368、管路用電
子消音システムの研究、適応型DSMシステム)が出現
している。適応形能動消音装置にも種々の方式がある
が、最もシンプルなものは、信号処理装置6に適応制御
器としての機能を持たせ、たとえば評価用マイク8の出
力Iが一定レベルを越えた時点毎に、評価用マイク8の
出力Iが最小となる伝達関数Gを求め、このGに基づい
て信号処理装置6内のフィルタ係数が適応的に更新され
る。すなわち、この適応形能動消音装置は、信号Sにフ
ィルタ係数を掛けてスピーカ7から能動音を出力させた
ときに、この能動音と音源2からの音とを合成した音が
評価用マイク8の位置において最小になる伝達関数Gを
求め、このGからインパルス応答、つまりフィルタ係数
を求めている。このように構成された適応形能動消音装
置では、音源2の連続運転を許容した状態でフィルタ係
数を適応的に求めることができるので、音源2への制約
が少なく、しかも全体の構成を単純化できる利点があ
る。しかしながら、上記のように構成された適応形能動
消音装置にあっては次のような問題があった。
【0013】すなわち、上記構成の適応形能動消音装置
における適応制御系等価回路は図12のようになる。同図
において、Mはスピーカ7から評価用マイク8までの伝
達関数を示し、Lは音源2から評価用マイク8までの伝
達関数を示している。また、eは評価用マイク8で観測
された誤差信号を示し、この誤差信号eが零となるよう
に伝達関数Gが決定される。しかし、図12の構成から判
るように、従来装置に組込まれた適応制御系では、伝達
関数Mの影響分が誤差信号eに含まれた状態で適応制御
されるため、eが零となるようには動作しない。すなわ
ち、図11の構成において求められる新しいフィルタ計数
(インパルス応答)
【0014】
【数3】 となる。ただし、細字は時間領域であることを示し、太
字は列ベクトルであることを示している。ここで図11に
示す装置は、
【0015】
【数4】 の計算を実行していない。このため、図11に示す適応制
御器では所望の値に収束することができない。したがっ
て、図12に示す構成の適応制御系を組込んだ適応形能動
消音装置では、良好な消音効果が得られないという問題
があった。
【0016】上述の如く、音源の連続運転を許容した状
態でフィルタ係数を適応的に更新できる機能を備えた従
来の適応形能動消音装置にあっては、誤差信号に含まれ
ている伝達関数の影響分によって収束が妨げられ、本来
の適応制御を実現できない問題があった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】このように音源の連続
運転を許容した状態でフィルタ係数を適応的に更新でき
る機能を備えた従来の適応形能動消音装置にあっては、
誤差信号に含まれている伝達関数の影響分によって収束
が妨げられ、本来の適応制御を実現できない問題があっ
た。
【0018】本発明は、上記問題点を解決するために成
されたもので高性能で小型の適応制御装置および誤差信
号に含まれている伝達関数の影響分を除去した状態で適
応処理が行え、もって良好な消音制御を実行できる適応
形能動消音装置を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
あっては、音源から出た音を第1のセンサ手段で検出
し、この第1のセンサ手段の出力信号を所定のフィルタ
係数を有するフィルタ処理手段に供給して得られたフィ
ルタ処理信号で発音手段を動作させ、この発音手段から
出た音によって制御対象点における音源音を能動的に打
消す能動消音制御系と、前記制御対象点に設けられ、こ
の制御対象点における音を検出して検出信号を出力する
第2のセンサ手段および前記第1のセンサ手段の出力信
号を入力し、前記能動消音制御系が対象としている系の
状態に対応させて前記フィルタ係数を適応的に更新する
適応制御系とから構成される適応形能動消音装置におい
て、
【0020】前記適応制御系は、適応処理時に前記能動
消音制御系を停止させる手段と、前記発音手段から前記
第2のセンサ手段までの空間系の遅れおよび計算処理に
要する遅れに相当する伝達関数によって前記第1のセン
サ手段または前記第2のセンサ手段の出力信号を補正す
る補正系とを備えてなることを特徴としている。
【0021】請求項2に記載の発明にあっては、音源か
ら出た音を第1のセンサ手段で検出し、この第1のセン
サ手段の出力信号を所定のフィルタ係数を有するフィル
タ処理手段に供給して得られたフィルタ処理信号で発音
手段を動作させ、この発音手段から出た音によって制御
対象点における音源音を能動的に打消す能動消音制御系
と、前記制御対象点に設けられ、この制御対象点におけ
る音を検出して検出信号を出力する第2のセンサ手段お
よび前記第1のセンサ手段の出力信号を入力し、前記能
動消音制御系が対象としている系の状態に対応させて前
記フィルタ係数を適応的に更新する適応制御系とから構
成される適応形能動消音装置において、
【0022】前記適応制御系は、前記発音手段から前記
第2のセンサ手段までの空間系の遅れおよび計算処理に
要する遅れに相当する伝達関数によって前記第1のセン
サ手段または前記第2のセンサ手段の出力信号を補正す
る補正系と、この補正系を通った前記第1のセンサ手段
の出力信号および前記第2のセンサ手段の出力信号を入
力し、前記能動消音制御系が消音動作を実行している状
況下において前記第2のセンサ手段の出力信号を零にし
得るフィルタ係数を誤差フィルタ係数として求める誤差
係数算出手段と、この誤差係数算出手段によって求めら
れた誤差フィルタ係数と前記能動消音制御系に現在セッ
トされているフィルタ係数とから新たなるフィルタ係数
を求め、前記能動消音制御系のフィルタ係数を上記新た
なフィルタ係数に更新する更新制御手段とを備えている
ことを特徴としている。
【0023】
【0024】
【0025】請求項に記載の発明にあっては、出力信
号が希望信号となるようにフィルタ係数を設定し、更新
する適応制御演算手段と、以前のフィルタ係数および設
定および更新により得られる最新のフィルタ係数を記憶
する記憶手段と、この記憶手段の最新のフィルタ係数を
記憶する記憶手段と、この記憶手段の最新のフィルタ係
数と以前のフィルタ係数との和および差の一方を算出す
る演算手段と、この演算手段により得られた演算結果に
応じて入力信号をデジタルフィルタ処理する出力手段
と、前記記憶手段と前記適応制御手段、前記演算手段お
よび前記出力手段との間で信号の伝送を行うために前記
記憶手段と前記各々の手段とを結合するバスラインと、
前記適応制御演算手段と前記出力手段との動作タイミン
グを設定するクロック発生手段と、前記出力信号により
適応制御すべき機器と適応制御評価点との間の伝達関数
に相当するフィルタ係数を用いて入力信号をフィルタ処
理する伝達関数補正手段と、から構成されることを特徴
としている。
【0026】
【作用】請求項1および請求項2に記載された発明にあ
っては、補正系の存在によって、適応制御処理時に発音
器から消音評価用のセンサまでの空間系の遅れや計算処
理に要する遅れに相当する伝達関数の影響分を除去でき
る。したがって、本来の適応制御処理を実行できること
になる。
【0027】
【0028】請求項記載の発明によれば、適応制御演
算手段の誤差信号に含まれる伝達特性を補正した信号処
理を一帯で行うことが出来るために、高速な処理が可能
となり、信号処理プログラムが簡単になり、さらには全
体の小型化を計ることが出来る。
【0029】
【実施例】本発明の適応形能動消音装置および適応制御
装置の一実施例について、図面を参照しながら説明す
る。
【0030】なお、本発明の適応形能動消音装置におい
ては、消音するために必要な伝達関数を収束させるこ
と、すなわち、この伝達関数を最適値にもっていくこ
と、および収束された伝達関数を用いて消音することが
基本となっているが、これらについては実施例の中で順
次説明する。 (実施例1)
【0031】図1は、本発明の適応形能動消音制御装置
の第1の実施例を示すものであるが、これには、適応形
能動消音装置11を使ってダクト1内に収容されている音
源2から出た音がダクト1の開口部3から外部へ漏れ出
るのを防止している例が示されている。適応形能動消音
装置11は、能動消音制御系12と、この能動消音制御系12
のフィルタ係数を適応的に更新する適応制御系13とで構
成されている。
【0032】能動消音制御系12は、音源2が発生する音
と相関の高い別の信号、たとえば音源2の振動を検出す
る加速度ピックアップ等からなるセンサ14と、このセン
サ14の出力信号Sがスイッチ15を介して入力される信号
処理装置16と、この信号処理装置16の出力によって駆動
されるスピーカ17とで構成されている。信号処理装置16
は入力信号Sを増幅する増幅器、信号SをA/D変換す
るA/D変換器、デジタル信号が入力され、たたみ込み
演算する所定のフィルタ係数を持つFIRフィルタと、
このFIRフィルタを通った信号をD/A変換するD/
A変換器等により構成される。
【0033】一方、適応制御系13は、センサ14の出力信
号Sを一定時間(T)だけ遅延させて出力する遅延器18
と、この遅延器18を通った信号を入力する適応制御器19
と、ダクト1の開口部3に配置された評価用マイク20
と、この評価用マイク20の出力を一定時間(T)だけ遅
延させる遅延器21と、この遅延器21を通った信号にスピ
ーカ17から評価用マイク20までの伝達関数M(実際には
計算処理に要する遅れに相当する伝達関数も含む。)の
逆関数M-1を掛けて出力する補正用の逆フィルタ22と、
逆フィルタ22の出力Rと適応制御器19の適応フィルタの
出力と和を誤差信号eとして適応制御器19に与える加算
器23とで構成されている。
【0034】適応制御器19、逆フィルタ22および加算器
23は、ディジタル信号処理系によって構成されている。
また、適応制御器19は、誤差信号eが一定レベルを越え
た時点毎に動作する。適応制御器19が動作している間
は、スイッチ15がオフに制御される。次に、上記のよう
に構成された適応形能動消音装置の動作を説明する。
【0035】定常時には、スイッチ15がオンに制御され
て能動消音系12の動作によって制御対象点、つまり評価
用マイク20の設けられている位置の音源音が最小に保た
れる。
【0036】音源2の性質及び状態等が変化すると、消
音に必要な条件が崩れるので、評価用マイク20の設けら
れている位置において、あるレベル以上の音源音が観測
されるようになる。評価用マイク20の出力信号は、遅延
器21、逆フィルタ22、加算器23を通り、誤差信号eとし
て適応制御器19に与えられる。誤差信号eのレベルが定
めれた値を越えると、スイッチ15がオフ制御され、同時
に適応制御器19が動作を開始する。なお、遅延器18およ
び21は逆フィルタ22で生じる遅れを補償するために設け
られている。
【0037】適応制御器19は、遅延器18を介して与えら
れた入力信号Xと、加算器23を介して与えられた誤差信
号eと、適応制御器19に内蔵されているフィルタ係数G
との間で次の演算を行う。 E=L・M-1・X・D−X・D・G … (6) なお、(6) 式において、Dは遅延器18および21が持つ
伝達関数であり、Xはセンサ14の出力信号Sに相当する
値である。適応制御器19は、(6) 式のE、つまり誤差信
号eが零になるように内部のフィルタ係数Gを調整す
る、即ちフィルタ係数Gを収束する。したがって、 G=(L・M-1・D)/D=L・M-1 … (7) なるフィルタ係数が算出される。
【0038】次に、上述のようにして収束されたフィル
タ係数Gを用いて、能動制御により消音が行われる。こ
の場合、収束フィルタ係数Gが信号処理装置16に転送さ
れ、信号処理装置16のフィルタ係数が転送された新しい
フィルタ係数に更新される。フィルタ係数の更新後、ス
イッチ15がオンされることによって、通常の能動消音制
御が行われる。即ち、信号処理装置16は更新されたフィ
ルタ係数Gに対応する消音信号をスピーカ17に出力す
る。これにより、スピーカ17は音源2から発生する音と
は逆相の音を発生し、消音が行われる。
【0039】上記実施例によると、評価用マイク20の出
力信号経路に、スピーカ17から評価用マイク20までの伝
達関数Mの逆関数M-1を持つ逆フィルタ22が介在されて
いるので、この逆フィルタ22により評価用マイク20の出
力信号に含まれている伝達関数Mの影響分が補正され
る。したがって、適応制御系13が処理、即ちフィルタ係
数Gの収束を実行するとき、伝達関数Mの影響を除去で
き、本来の適応制御処理を実現できる。この結果、伝達
関数Lが変化したとき、この変化に対応させて能動消音
制御系12のフィルタ係数を最適に修正することでき、消
音動作を良好に行わせることができる。 (実施例2)
【0040】次に図2は本発明の第2の実施例を示すも
ので、この図2には第2の実施例に係る適応形能動消音
装置11a が示されている。この図では、図1と同一部分
が同一符号で示されている。したがって、重複する部分
の詳しい説明は省略する。この実施例に係る適応形能動
消音装置11a が図1に示すものと異なる点は、適応制御
系13a 構成にある。
【0041】すなわち、この実施例では、センサ14の出
力信号Sが補正用の順フィルタ24を介して適応制御器19
に入力され、また評価マイク20の出力信号R′は加算器
23に直接与えられている。順フィルタ24は、スピーカ17
から評価用マイク20までの伝達関数M(実際には計算に
要する遅れに相当する伝達関数も含む。)を持つように
設定されている。このような構成であると、適応制御器
19に入力される誤差信号eは、 E=X・L−X・M・G … (8) となる。適応制御器19は、誤差信号eが零となるように
内部のフィルタ係数Gを収束する。したがって、 G=L/M … (9) なるフィルタ係数が算出されることになる。このように
して求められたフィルタ係数は信号処理装置16にセット
される。したがって、この場合も適応制御系13aが処
理、即ちフィルタ係数の収束を実行するとき、伝達関数
Mの影響を除去でき、本来の適応制御処理を実現できる
ことになる。この場合には、逆フィルタM-1を求める必
要がなく、この逆フィルタM-1を求めるためのいわゆる
因果性を保つための遅れ要素を設ける必要がないので、
構成の単純化を図ることができる。 (実施例3)次に図3は本発明の第3の実施例に係るも
ので、特に電気冷蔵庫に適用される適応能動消音装置11
b に示されている。
【0042】上記実施例では、適応制御、即ちフィルタ
係数の収束と、能動制御、即ち能動消音とを交互に行っ
ているが、この実施例では、能動消音制御系12が消音動
作を連続的に行っている状態のままで適応制御系13b に
よってフィルタ係数Gの収束が行われる。
【0043】即ち、この実施例では、信号処理装置16に
設定されているフィルタ係数Gに従って消音動作が行わ
れているとき、消音しきれない分を消音するために必要
なフィルタ係数G′が適応制御器19で求められ、この適
応制御器19で求められたフィルタ係数G′と信号処理装
置16に現在設定されているフィルタ係数Gとを加算して
新たなフィルタ係数を求め、この新フィルタ係数を信号
処理装置16に設定転送する補正用演算器25が、図2の実
施例に示される適応制御器19と信号処理装置16との間に
設けられている。
【0044】すなわち、信号処理装置16に現在設定され
ているフィルタ係数をG、適応制御器19に設定されてい
るフィルタ係数をG′とすると、適応制御器19における
誤差信号eは、 E=(X・M・G・+X・L)−X・M・G′ …(10) となる。適応制御器19は誤差信号eが零となるようにフ
ィルタ係数G′を収束する。従って、調整後に適応制御
器19に設定されたフィルタ係数G′は、 G′=L/M+G=L/M−(L/M)old …(11) となる。Gは信号処理装置16に現在設定されているフィ
ルタ係数であり、L/Mは系の状態が変化したことによ
って新たに求められたフィルタ係数である。そして−
(L/M)old はGと等価である。(11)式で求められた
G′は、信号処理装置16に設定されているフィルタ係数
Gに基づいて消音がなされているとき、その能動消音制
御系12の状態変化等で生じた消音対象点での誤差分から
求めたフィルタ係数の誤差分を示していることになる。
したがって、能動消音制御系の状態変化に対応させるに
は、信号処理装置16に設定されているフィルタ係数Gは
新たなフィルタ係数Gnew new =−L/M=G−G′ …(12) に修正されればよいことになる。補正用係数演算器25
は、(12)式の演算を行ない、この新たなフィルタ係数G
new を信号処理装置16にセットする役目を果たしてい
る。
【0045】したがって、上記構成であると、能動消音
制御系12で消音動作を実行させながら前回消音できなか
った成分を検知して、より消音効果が得られる方向へフ
ィルタ係数を迅速に更新することができるので、能動消
音制御系の状態が変化した場合であっても良好な消音が
実現できる。次に、図3の実施例において、新しいフィ
ルタ係数Gnew を求めるために用いられ、順フィルタ24
に設定される伝達関数Mを求める方法を説明する。
【0046】第1のステップにおいて、図4に示される
ようにホワイトノイズ発生器31からホワイトノイズ信号
がスピーカ17および適応制御器19に供給される。これに
より、マイク20からはスピーカ17から評価用マイク20ま
での伝達関数Mに応じた信号が出力され、この信号が加
算器23を介して適応制御器19に入力される。適応制御器
19はホワイトノイズ発生器31から入力されるホワイトノ
イズ信号と加算器23からの誤差信号eとから伝達関数M
を算出し、この伝達関数Mをフィルタ係数として同定す
る。
【0047】第2のステップにおいて、ホワイトノイズ
発生器31がオフにされ、上記のようにして求められたフ
ィルタ係数(M)が適応制御器19からデジタルフィルタ
24に転送される。このとき、信号処理装置16には、初期
値としてフィルタ0が設定される。
【0048】第3のステップにおいて、音源2が付勢さ
れ、信号Sがフィルタ24および信号処理装置16に入力さ
れる。この信号Sは係数(M)に設定されたフィルタ24
を介して適応制御器19に入力される。信号制御装置16は
信号Sにより伝達関数G(=L/M)に設定される。こ
れに対して、適応制御器19はフィルタ24からの入力信号
を受けて演算を行い、誤差信号eが収束したときに、そ
のときに得られたフィルタ係数G′=(L/M)が反転
され、信号制御装置16に転送される。即ち、これは、信
号処理装置16にGnew =G−G′が設定されることと等
価になる。
【0049】第4のステップにおいて、前記第3のステ
ップにより求められた係数を用いて、適応制御器19が適
応動作を実行する。この時、適応制御器19に同定される
係数G′は次式のようになる。 G′=L/M+G=L/M+(−L/M)old この式は、信号処理装置16に現在設定されている係数G
と真のフィルタ係数L/Mとの誤差を求めることにな
る。
【0050】第5のステップにおいて、補正用係数演算
器25はGnew =(−L/M)=G−G′を演算し、新た
なフィルタ係数Gを新たなフィルタ係数として信号処理
装置16に転送する。以下、フィルタ係数が収束するまで
ステップ4および5が繰り返される。 (実施例4)
【0051】次に図5には、本発明の第4の実施例に係
る適応形能動消音装置11c が示されている。この図では
図3と同一部分が同一符号で示されている。したがっ
て、重複する部分の詳しい説明は省略する。
【0052】この実施例に係る適応形能動消音装置11c
が図3に示すものと異なる点は、評価用マイク20の出力
信号R′が直接に、適応制御器19a に誤差信号として導
入されていることにある。この実施例によると、適応制
御19a から適応フィルタ出力を外部へ送出する必要がな
いので、適応制御器19a の構成を単純化することができ
る。
【0053】
【数5】
【0054】図3までの実施例では、eは加算器23によ
って求められているが、図5の実施例では、eを求める
演算は空間的に求められる。即ち、能動スピーカ17から
の音aと音源2からの音bとからeが求められる。即
ち、 e=a+b …(15) 能動制御では、このeが0になることが要求される式(1
5)は、式(14)において、eが0になることと等化とな
る。後は、式(13)におけるeに式(15)を代入することに
より、eが0となるための
【0055】
【数6】 即ち消音に用いるフィルタ係数が求められる。
【0056】尚、図1の実施例においても、適応制御器
19と信号処理装置16との間に補正用係数演算器25を設
け、さらにスイッチ15を無くすことによって図3あるい
は図5に示す実施例と同様の制御を実現することができ
る。
【0057】以上述べた実施例によれば、音源の連続運
転を許容した状態で、しかも誤差信号に含まれる伝達系
の影響分を考慮に入れた適応制御処理を行うことができ
るので、効果のある適応制御処理を実行でき、消音効果
を向上させることができる。 (実施例5)
【0058】次に図6は、本発明の第5の実施例を示す
ものである。この実施例にも先の実施例と同様に適応形
能動消音装置111 を使ってダクト101 内に収容されてい
る音源102 から出た音がダクト101 の開口部103 から外
部へ漏れ出るのを防止している例が示されている。
【0059】適応形能動消音装置111 は、大きく分け
て、能動消音制御系112 と、この能動消音制御系112 の
フィルタ係数を適応的に更新する適応制御系113 とで構
成されている。
【0060】能動消音制御系112 は、音源102 が発生す
る音と相関の高い別の信号、たとえば音源102 の振動を
検出する加速度ピックアップ等からなるセンサ114 と、
このセンサ114 の出力信号Sを増幅し、A/D変換した
後に所定のフィルタ係数Gによってフィルタ処理するF
IRフィルタを有し、このFIRフィルタを通った信号
をD/A変換して出力する信号処理装置115 と、この信
号処理装置115 の出力によって駆動されるスピーカ116
とで構成されている。一方、適応制御系113 は、第1の
適応制御系121 と、第2の適応制御系122と、更新制御
系123 とで構成されている。
【0061】第1の適応制御系121 は、スピーカ116 と
制御対象点に設けられた評価用マイク124 との間の伝達
関数Mに相当するフィルタ係数に設定されてセンサ114
の出力信号Sを通過させる順フィルタ125 と、この順フ
ィルタ125 を通った出力信号Sを入力する適応制御器12
6 と、評価用マイク124 の出力信号Iおよび適応制御器
126 のフィルタ出力を加算し、この加算信号を誤差信号
1 として適応制御器126 に与える加算器127 で構成さ
れている。適応制御器126 は、誤差信号e1 が最小とな
るように内蔵されたFIRフィルタのフィルタ係数G1
を調整する。すなわち、誤差信号e1 は、 E1 =(S・G・M+S・L)−S・M・G1 で表される。E1 =0より、G1 は、 G1 =(S・G・M+S・L)/S・M =G+L/M =G−Gnew (Gnew =−L/M) …(16) に調整される。ここで、Lは音源102 から評価用マイク
124 までの伝達関数に相当するフィルタ係数を示してい
る。(16)式において、Gは信号処理装置115 に現在設定
されているフィルタ係数を示し、Gnew は系の変化に伴
なって信号処理装置115 に本来設定されるべき新たなフ
ィルタ係数を示している。
【0062】したがって、適応制御器126 おいては、信
号処理装置115 に現在設定されているフィルタ係数Gと
信号処理装置115 に本来設定されるべき新たなフィルタ
係数Gnew との差のフィルタ係数G1 が求められること
になる。
【0063】第2の適応制御系122 は、入力信号を2倍
に増幅して符号反転させる反転増幅器128 および伝達関
数Mに相当するフィルタ係数に設定された順フィルタ12
9 および信号処理装置115 に現在設定されているフィル
タ係数Gと同じフィルタ係数に設定されたフィルタ130
で構成されてセンサ114 の出力信号Sを上記順に通す直
列系統131 と、この直列系統131 を通過したセンサ114
の出力信号Sと評価用マイク124 の出力信号Iとを加算
する加算器132 と、伝達関数Mに相当するフィルタ係数
に設定されてセンサ114 の出力信号Sを通過させる順フ
ィルタ133 と、この順フィルタ133 を通過した出力信号
Sを入力信号として導入する適応制御器134 と、加算器
132 の出力と適応制御器134 のフィルタ出力とを加算
し、この加算信号を誤差信号e2 として適応制御器134
に与える加算器135 とで構成されている。適応制御器13
4 は、誤差信号e2 が最小となるように内蔵されたFI
Rフィルタのフィルタ係数G2 を調整する。すなわち、
誤差信号e2 は、 E2 =S・G・M+S・L+(−2)・S・M・G−S・M・G2 で表される。E2 =0より、G2 は、 G2 =(−S・G・M+S・L)/S・M =L/M−G =G+Gnew …(17) に調整される。(17)式において、Gは信号処理装置
115 に現在設定されているフィルタ係数を示し、Gnew
は系の変化に伴なわせて信号処理装置115 に本来設定さ
れるべき新たなフィルタ係数を示している。
【0064】したがって、適応制御器134 おいて、信号
処理装置115 に現在設定されているフィルタ係数Gと信
号処理装置115 に本来設定されるべき新たなフィルタ係
数Gnew との和に(−1)を乗じたフィルタ係数G2
求められることになる。
【0065】一方、更新制御系123 は、適応制御器134
で求められたフィルタ係数と同じフィルタ係数G2 に設
定されたフィルタ136 と、適応制御器126 で求められた
フィルタ係数と同じフィルタ係数G1 に設定されたフィ
ルタ137 と、フィルタ136 を通過した出力信号Sとフィ
ルタ137 を通過した出力信号Sとを加算する加算器138
と、出力信号Sを2倍に増幅する増幅器139 と、この反
転増幅器139 の出力信号を入力信号として導入する適応
制御器149 と、加算器138 の出力信号と適応制御器149
のフィルタ出力とを加算し、この加算信号を誤差信号e
3 として適応制御器149 に与える加算器150 と、適応制
御器149 で求められたフィルタ係数G3 で信号処理装置
115 のフィルタ係数を更新するとともにフィルタ130 の
フィルタ係数をG3 に更新する係数転送器151 とで構成
されている。なお、適応制御器134 で求められたフィル
タ係数G2 および適応制御器126 で求められたフィルタ
係数G1 は、一定の時間間隔で図示しない係数転送器に
よってフィルタ136 ,137 に転送される。適応制御器14
9 は、誤差信号e3 が最小となるように内蔵されたFI
Rフィルタのフィルタ係数G3 を調整する。すなわち、
誤差信号e3 は、 E3 =2・S・G3 +(S・G1 +S・G2 ) =2・S・G3 +S(G−Gnew )+S(−(G+Gnew )) =2・S・G3 −2・S・Gnew で表される。E3 =0より、G3 は、 G3 =Gnew …(18) に調整される。このG3 は、つまり新たなフィルタ係数
new が係数転送器151によってそのまま信号処理装
置115 およびフィルタ130 に転送される。したがっ
て、信号処理装置115 のFIRフィルタは、次に新たな
フィルタ係数が転送されてくるまでフィルタ係数Gnew
を使って信号を処理する。
【0066】上記構成であると、スピーカ116 から評価
用マイク124 までの伝達関数Mを補償するための順フィ
ルタ125 ,129 ,133 を設けているので、能動消音制御
を行いながら適応処理を実行したときに問題となる伝達
関数Mの影響を除くことができ、本来の適応制御を実現
できる。また、(18)式から判るように、更新制御系123
に設けられた適応制御器149 を使って、信号処理装置11
5 に新たに設定すべきフィルタ係数G3 =Gnew を直接
求めるようにしている。
【0067】したがって、求められたフィルタ係数G3
を信号処理装置115 に転送し、この信号処理装置115 に
新たなフィルタ係数G3 を転写すればよく、新たなフィ
ルタ係数G3 を求めるための複雑で、しかもノイズの影
響を受け易い計算処理を必要としない。このため、系の
変化に対応させて最適なフィルタ係数を能動消音制御系
112 に設定でき、良好な消音制御を実現できる。
【0068】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。上述した実施例では更新制御系123 に
適応制御器を組み込んでいるが、図7に示すように、適
応制御器126 で求められたフィルタ係数G1 と適応制御
器134 で求められたフィルタ係数G2 とを加算し、これ
に−1/2のゲインを掛けて得た値を新たなフィルタ係
数Gnew として出力する更新制御系123aを用いてもよ
い。
【0069】この場合には前記実施例と違って、新たな
フィルタ係数Gを直接的に求めることはできないが、加
算と言った簡単な手段で新たなフィルタ係数Gを求める
ことができるので、構成の簡単化に寄与できる。
【0070】以上述べた実施例によれば、能動消音制御
を行ないながら、この能動消音制御に必要なフィルタ係
数を伝達系の影響を受けることなく、簡単かつ精度良く
求めることができるので、良好な消音効果を発揮させる
ことができる。 (実施例6)次に本発明に係る第6の実施例を示す。
【0071】上記実施例において、図3の実施例による
と、適応制御器19の他に、適応制御器19により、求めら
れたフィルタ係数を信号処理装置16に送るための補正用
係数演算器25が必要である。また、フィルタ係数を信号
処理装置16に転送するときには、適応制御器19のタップ
数分の転送(例えばデジタルフィルタに128 タップを使
用していれば、128 回の転送)が必要となる。この転送
は消音動作と同時に実行できないために一度消音出力を
停止させてからフィルタ係数が転送される。このため、
自動的に更新されたフィルタ係数を信号処理装置16に転
送している間は消音動作が実行できない。そこで、この
ようなことを改善した実施例が図8に示されている。
【0072】図8の実施例によると、適応制御装置231
は、伝達関数補正回路233 と、適応制御演算回路235
と、演算/記憶/出力回路237 と、同期クロック発生回
路239とにより構成される。適応制御演算回路235 と演
算/記憶/出力回路237 とは共通のバス263 により結合
されている。
【0073】伝達関数補正回路233 は、インパルス応答
関数を設定されており、入力端子241 から入力された入
力信号Xをフィルタ処理、即ち入力信号Xをたたみ込み
積分(convolution integrate)し、たたみ込み積分結
果を適応制御演算回路235 に出力する。適応制御演算回
路235 には、次式(19)のアルゴリズムが設定されてい
る。
【0074】
【数7】 式(19)が設定された適応制御演算回路235 には、この回
路235 の出力信号と希望信号dとの誤差信号eが入力さ
れる。
【0075】演算/記憶/出力回路237 は、適応制御回
路235 からの出力(自動的に設定及び更新されたフィル
タ係数)が入力される共通のメモリ251 と、演算回路25
3と、出力端子255 から出力信号を出力する出力回路256
とにより構成され、これらは共通バス259 によって結
合される。
【0076】共通メモリ251 には、適応制御演算回路23
5 および出力回路257 に使用されるインパルス応答関数
が設定される。この場合、適応制御演算回路235 に設定
されるインパルス応答関数と出力信号255 を求めるため
に入力信号をデジタルフィルタ処理する出力回路257 に
使用されるインパルス応答関数とは共通化される。
【0077】同期クロック発生回路239 は、適応制御演
算回路235、出力回路257 に同期クロックを出力し、こ
の同期クロックに従って求められたフィルタ係数は出力
回路257 でもそのまま同時に共通化して使用される。こ
のため、実時間で出力信号255 が求められる。
【0078】演算回路253 は、適応制御演算回路235 に
より求められたインパルス応答関数を用いて以前のイン
パルス応答関数との和や差を求めるなどの演算を行い、
適用する応用例に従って共通メモリの内容を処理する。
この演算は適応制御と同時に実行できないために必然的
に若干のシステムの遅れが生じる。
【0079】共通メモリ251 は、演算回路253 および出
力回路257 とそれぞれ共通バス259により接続され、共
通データとするインパルス応答関数を受け渡している。
また、共通メモリ251 には、概略的には図9に示される
ようにフィルタ係数が記憶される。
【0080】
【数8】
【0081】同期クロック発生回路239 からの1クロッ
クに応じて演算回路253 は、例えば演算の時には、次式
(20)の演算を高速にするために演算をパラレルに実行
して求めた係数を新たなフィルタ係数として共通メモリ
251 に設定する。 W1 ″=W1 ″−W1 ′ W2 ″=W2 ″−W2 ′ ・ ・ ・ WN ″=WN ″−WN ′ …(20)
【0082】式(19)より解るようにLMS(Least
Mean Square )のアルゴリズムでは、N個のフィルタ係
数を一度に更新できるので、計算開始の第1のスタート
パルスにおいて式(19)の演算をした時にN個の新しい係
数Wi ′すなわち、W1 ′,W2 ′,・・・,WN ′が
求められる。第2のスタートパルスにおいて式(20)の演
算がパラレルに実行される。この場合、各変数は互いに
独立しているので、このパラレル演算には問題がない。
このパラレル演算の結果は共通メモリ251 のアドレスW
1 ″に記憶される。従って、以前のWi ″は瞬時に消去
される。このWi ″は出力専用フィルタの係数であるの
で、出力値には、Wi ″のデジタルフィルタ演算結果が
そのまま反映される。従って、式(19)を演算するために
使用されるフィルタ係数はWi ″をそのまま用いればよ
い。次に上記構成の適応制御装置による適応制御方法を
説明する。
【0083】入力信号xが入力されると、出力信号yに
より適応制御すべき機器(図示せず)と適応制御評価点
(図示せず)との間の伝達関数と入力信号xに関与する
伝達関数との誤差分を補正するための伝達関数補正回路
233 を入力信号xが通過し、その後、この入力信号xと
希望信号との誤差信号245 が加算器249 よって求められ
る。適応制御演算回路235 は、誤差信号245 が零となる
ようにフィルタ係数を自動的に設定および更新する。自
動的に設定及び更新されたフィルタ係数は共通メモリ25
1 に記憶される。共通メモリ251 に順次記憶されたフィ
ルタ係数は、演算回路253 に送り込まれ、この演算回路
253 により最新のフィルタ係数と以前のフィルタ係数と
の和および差等が求められる。この演算結果は再び共通
メモリ251 に記憶される。記憶されたフィルタ係数を用
いて出力回路257 は入力信号xをデジタルフィルタ処理
し、フィルタ処理信号を出力信号yとして出力する。こ
のとき、同期クロック発生回路239 からの同期クロック
は、適応制御演算回路235 と出力回路257 との同期をと
る。
【0084】上記のような実施例によると、適応制御装
置が一体回路(基板上に回路素子を一体的に組み込みあ
るいはICとして1チップ)で構成できる。従って、適
応制御装置が小型化でき、共通メモリ251 を使用して一
度にフィルタ係数を更新することができる。故に、適応
制御システムの変化に対しても敏速に対応できる。 (実施例7)次に本発明に係る第7実施例を示す。
【0085】上記実施例では、共通メモリ251 を設置し
て同期クロック発生回路239 からの同期クロックに従
い、フィルタ係数を全部同時に更新させていたが、適応
機器によっては、フィルタ係数の変化が望ましくない場
合が生じる。
【0086】例えば、音響系の適応制御装置が音で出力
すると、音響系の急激な変化により、フィルタ係数が急
激に変化し、その変化点でパルス状の音が発生すること
がある。
【0087】そこで、フィルタ係数の更新を、サンプリ
ングクロックに同期させて、1点もしくは数点ずつ単位
タップに分けて実行させるようにする。当然、フィルタ
係数がNタップあれば、インパルス応答関数の全点の転
送に、N×サンプリングクロック時間に相当する時間を
要するが、1点もしくは単位タップ毎にフィルタ係数を
更新するので、出力回路257 からの出力の急激な変化が
なくなる。
【0088】図10に示すように、サンプリングクロック
265 は、入出力に使用される。適応動作267 は指定時間
後に適応制御装置の動作を停止させる。そのとき、共通
メモリ251 には、適応制御演算回路235 によって求めら
れたフィルタ係数が蓄えられている。これらフィルタ係
数の和や差を求める演算回路253 はフィルタ係数の演算
を、サンプリングクロック以後に1タップもしくは数タ
ップ分実行する。
【0089】図10から明らかなように、フィルタ係数の
演算269 とフィルタ係数の転送271はサンプリングクロ
ック265 間に終了するように動作タイミングが設定され
ている。これは適応制御演算回路235の演算結果の出力
中に転送動作が起こらないようにするためである。
【0090】図10のタイミングチャートを用いれば、必
ずしも図9の構成のように一体構成で共通メモリを形成
する必要がなく、各回路素子を単独で用い、それら回路
素子を選択的に結合してもよい。
【0091】上述した実施例によると、適応制御装置の
誤差信号の補正が必要となっても、適応制御と補正とを
実行する一体回路を構成することができ、かつ共通メモ
リ251 を同期のとれた状態でパラレル処理ができるの
で、高速演算が可能となる。また、各回路は一体にまと
めることができるので、装置が小型化できる。特に、フ
ィルタ係数の誤差を求めて、それより真の係数を求める
誤差適応制御法を使用するときに係数を求める回路が専
用化されているので、制御プログラムが簡単化できる。
【0092】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、高
性能で小型の適応制御装置および誤差信号に含まれてい
る伝達関数の影響分を除去した状態で適応処理が行え、
もって良好な消音制御を実行できる適応形能動消音装置
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の適応形能動消音装置の第1実施例
を示すブロック構成図。
【図2】 本発明の適応形能動消音装置の第2実施例
を示すブロック構成図。
【図3】 本発明の適応形能動消音装置の第3実施例
を示すブロック構成図。
【図4】 図3の第3実施例のフィルタに設定される
フィルタ係数を求めるための回路図。
【図5】 本発明の適応形能動消音装置の第4実施例
を示すブロック構成図。
【図6】 本発明の適応形能動消音装置の第5実施例
を示すブロック構成図。
【図7】 本発明の適応形能動消音装置の第6実施例
を示すブロック構成図。
【図8】 本発明の第7実施例に係り、適応制御装置
を示すブロック構成図。
【図9】 図8に示される共通メモリに記憶されるフ
ィルタ係数のテーブルを示す図。
【図10】 本発明の適応制御装置の適応演算回路によ
るフィルタ係数の演算および転送のタイミングを示すタ
イミングチャート図。
【図11】 従来の適応形能動消音装置のブロック構成
図。
【図12】 図11の等価回路図。
【符号の説明】
1 ダクト 2 音源 3 開口部 11 適応形能動消音装置 11a適応形能動消音装置 11b適応形能動消音装置 11c適応形能動消音装置 12 能動消音系 13 適応制御系 13a適応制御系 13b適応制御系 13c適応制御系 14 センサ 15 スイッチ 16 信号処理装置 17 スピーカ 18 遅延器 19 適応制御器 19a適応制御器 20 評価用マイク 21 遅延器 22 逆フィルタ 23 加算器 24 順フィルタ 25 補正用係数演算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−168914(JP,A) 特開 昭61−296392(JP,A) 特開 昭62−48910(JP,A) 特開 平4−263297(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 1/00 G10K 11/16 G10K 11/178

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音源から出た音を第1のセンサ手段で検
    出し、この第1のセンサ手段の出力信号を所定のフィル
    タ係数を有するフィルタ処理手段に供給して得られたフ
    ィルタ処理信号で発音手段を動作させ、この発音手段か
    ら出た音によって制御対象点における音源音を能動的に
    打消す能動消音制御系と、前記制御対象点に設けられ、
    この制御対象点における音を検出して検出信号を出力す
    る第2のセンサ手段および所望の伝達関数を持つ順フィ
    ルタを介した前記第1のセンサ手段からの出力信号を入
    力し、前記能動消音制御系が対象としている系の状態に
    対応させて前記フィルタ係数を適応的に更新する適応制
    御系と、から構成される適応形能動消音装置において、 前記適応制御系は、 適応処理時に前記能動消音制御系を停止させる手段と、 前記発音手段から前記第2のセンサ手段までの空間系の
    遅れおよび計算処理に要する遅れに相当する伝達関数に
    よって前記第1のセンサ手段または前記第2のセンサ手
    段の出力信号を補正する補正系と、 を備えてなることを特徴とする適応形能動消音装置。
  2. 【請求項2】 音源から出た音を第1のセンサ手段で検
    出し、この第1のセンサ手段の出力信号を所定のフィル
    タ係数を有するフィルタ処理手段に供給して得られたフ
    ィルタ処理信号で発音手段を動作させ、この発音手段か
    ら出た音によって制御対象点における音源音を能動的に
    打消す能動消音制御系と、前記制御対象点に設けられ、
    この制御対象点における音を検出して検出信号を出力す
    る第2のセンサ手段および所望の伝達関数を持つ順フィ
    ルタを介した前記第1のセンサ手段からの出力信号を入
    力し、前記能動消音制御系が対象としている系の状態に
    対応させて前記フィルタ係数を適応的に更新する適応制
    御系と、から構成される適応形能動消音装置において、 前記適応制御系は、 前記発音手段から前記第2のセンサ手段までの空間系の
    遅れおよび計算処理に要する遅れに相当する伝達関数に
    よって前記第1のセンサ手段または前記第2のセンサ手
    段の出力信号を補正する補正系と、 この補正系を通った前記第1のセンサ手段の出力信号お
    よび前記第2のセンサ手段の出力信号を入力し、前記能
    動消音制御系が消音動作を実行している状況下において
    前記第2のセンサ手段の出力信号を零にし得るフィルタ
    係数を誤差フィルタ係数として求める誤差係数算出手段
    と、 この誤差係数算出手段によって求められた誤差フィルタ
    係数と前記能動消音制御系に現在セットされているフィ
    ルタ係数とから新たなるフィルタ係数を求め、前記能動
    消音制御系のフィルタ係数を上記新たなフィルタ係数に
    更新する更新制御手段と、 を備えていることを特徴とする適応形能動消音装置。
  3. 【請求項3】 出力信号が希望信号となるようにフィル
    タ係数を設定し、更新する適応制御演算手段と、以前の
    フィルタ係数および設定および更新により得られる最新
    のフィルタ係数を記憶する記憶手段と、この記憶手段の
    最新のフィルタ係数を記憶する記憶手段と、この記憶手
    段の最新のフィルタ係数と以前のフィルタ係数との和お
    よび差の一方を算出する演算手段と、この演算手段によ
    り得られた演算結果に応じて入力信号をデジタルフィル
    タ処理する出力手段と、前記記憶手段と前記適応制御手
    段、前記演算手段および前記出力手段との間で信号の伝
    送を行うために前記記憶手段と前記各々の手段とを結合
    するバスラインと、前記適応制御演算手段と前記出力手
    段との動作タイミングを設定するクロック発生手段と、
    前記出力信号により適応制御すべき機器と適応制御評価
    点との間の伝達関数に相当するフィルタ係数を用いて入
    力信号をフィルタ処理する伝達関数補正手段と、から構
    成されることを特徴とする適応制御装置。
  4. 【請求項4】 前記記憶手段は、前記以前のフィルタ係
    数を記憶する第1記憶手段と、前記設定および更新によ
    り得られる最新のフィルタ係数を記憶する第2記憶手段
    とから構成され、前記演算手段は、前記第1記憶手段と
    前記第2記憶手段との間でパラレル処理を実行するパラ
    レル演算処理手段を含むことを特徴とする請求項3記載
    の適応制御装置。
  5. 【請求項5】 前記伝達関数補正手段と前記適応制御演
    算手段とから求められたフィルタ係数を用いて前記出力
    手段から出力する際に、前記適応制御演算手段の持つタ
    ップ数を単位タップに分けて、これらの単位タップ毎に
    前記クロック発生手段のクロックに同期させ、前記単位
    タップに従って前記フィルタ係数を出力することを特徴
    とする請求項4記載の適応制御装置。
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