JP4137401B2 - 能動型雑音除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号伝送路内に存在する雑音等の被制御信号に対して、これと実質的に等大で逆位相の制御用信号を干渉させることによって、当該雑音等の被制御信号を能動的に減衰させる能動型雑音除去装置(ANC:Active Noise Controller)に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような能動型雑音除去装置として、例えば図8に示すような能動型消音装置が知られている。この装置は、図示しない例えば船舶や自動車等のエンジンから排出される排気音に対して、これと実質的に等大で逆位相の制御音を干渉させることによって、当該排気音を消音するものである。
【0003】
即ち、同図に示すように、この装置は、排気ダクト1内をその入口側(同図の左側)から出口側(同図の右側)に向かって伝搬する排気音を収音するためのリファレンスマイクロホン2を備えている。このリファレンスマイクロホン2の出力信号(以下、この信号をリファレンス信号と言う。)Rは、図示しない増幅器により増幅され、図示しないA/D変換器によりディジタル化された後、適応制御部3に入力される。適応制御部3は、例えばFIR型の適応ディジタルフィルタ(以下、単に、適応フィルタと言う。)31を内蔵しており、この適応フィルタ31は、上記リファレンス信号Rに対して、所定のフィルタリング処理、例えば畳み込み演算、を施すことにより消音制御信号Aを生成して出力する。
【0004】
排気ダクト1の上記リファレンスマイクロホン2が設けられている位置よりも当該排気ダクト1の出口側、即ち排気音の伝搬方向で言うところの下流側には、排気ダクト1内に音を放出する状態に、二次音源スピーカ(以下、単に、スピーカと言う。)4が設けられている。そして、このスピーカ4に、上記適応フィルタ31の出力する消音制御信号Aが、図示しないD/A変換器及び増幅器を介して入力される。スピーカ4は、この消音制御信号Aに応じた制御音を、排気ダクト1内に放出する。この制御音の特性が、上記排気音の特性と実質的に等大で逆位相であるときに、当該制御音により排気音を打ち消すことができる。
【0005】
排気ダクト1の上記スピーカ4が設けられている位置よりも更に下流側、例えば排気ダクト1の出口付近には、エラーマイクロホン5が設けられている。このエラーマイクロホン5は、上記制御音により排気音を打ち消した後の音、つまりは排気音のうち制御音によって完全に打ち消されずに残った所謂エラー成分、を検出する。そして、このエラーマイクロホン5の出力信号(以下、この信号をエラー信号と言う。)Eは、図示しない増幅器により増幅され、図示しないA/D変換器によりディジタル化された後、上記適応制御部3に供給される。
【0006】
適応制御部3は、上記エラー信号Eの信号レベル(以下、この信号レベルを単にエラーレベルと言い、エラー信号Eと同じ符号で表わす。)が極力小さくなるように、このエラー信号Eと上記リファレンス信号Rとに基づいて、例えば一般に知られているLMSアルゴリズムに従って、上記適応フィルタ31のフィルタ係数を更新する。具体的には、適応フィルタ31の伝達関数Wと、この適応フィルタ31の出力部からスピーカ4及び排気ダクト1の一部(スピーカ4が設けられている位置よりも下流側の部分)を介してエラーマイクロホン5の収音部までの間の伝達関数(以下、この伝達関数を二次音路(secondary path)と言う。)Cと、の合成による伝達関数[W×C]が、排気ダクト1内のリファレンスマイクロホン2の収音部からエラーマイクロホン5の収音部までの間の伝達関数(以下、この伝達関数を一次音路(primary
path)と言う。)Pと、相補になる(即ちP≒−W×Cとなる)よう、当該適応フィルタ31のフィルタ係数を更新制御する。なお、このように適応フィルタ31のフィルタ係数を更新制御することにより、上記合成伝達関数[W×C]と一次音路Pとを相補にするには、何らかの方法により上記二次音路Cを同定(推定)してこれを補償する必要がある。適応制御部3は、この二次音路Cを補償するためにこの二次音路Cと略等価な伝達関数を有する図示しない例えばFIR型のディジタルフィルタ(以下、単に、FIRフィルタと言う。)を備えている。
【0007】
ところで、上記のような消音装置においては、スピーカ4の放出する制御音が排気ダクト1内を上流側に向って伝搬して再度リファレンスマイクロホン2により収音されてしまい、所謂ハウリングが発生することがある。このようにハウリングが発生すると、この消音装置自体の制御系が発散して、排気音の消音制御が不能となることがある。そこで、このような制御系の異常を防止するための技術として、従来、特許第2886709号に開示された技術がある。
【0008】
この技術は、消音誤差信号(上記図8の消音装置におけるエラー信号に対応する信号)に基づいて、この消音誤差信号の所定時間における平均電力が前回の平均電力よりも大きくなったときに、これを上記ハウリングの発生等による制御系の異常として検知するものである。そして、この異常を検知した場合には、予め保存しておいた最適の係数列(図8の消音装置におけるフィルタ係数に対応するものであって、適応フィルタによるフィルタリング処理において前回の処理に使用された係数列)を記憶手段から呼び出して、これを現在の適応フィルタの係数列と入替えることにより、上記制御系の異常を抑制して、消音状態への移行を実現する。更に、上記異常を検知したときに、騒音信号列(図8の消音装置におけるリファレンス信号に対応する信号)を格納したバッファをクリアしてゼロにすることにより、制御系のフィードバックループ(図8において、リファレンスマイクロホン2→適応フィルタ31→スピーカ4→リファレンスマイクロホン2、という帰還ループに対応するループ)を一瞬に切断して、上記ハウリングを瞬時に防止する。なお、適応フィルタから出力される消音信号(図8における制御音に対応する信号)が規定の範囲内にないとき、及び適応フィルタがオーバーフローしたときにも、これを制御系の異常として捉え、上記と同様に、適応フィルタの係数列を入替えると共に、上記バッファをクリアする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許第2886709号に開示された従来技術によれば、上記のように、適応フィルタの係数列を予め保存しておいたもの(前回の処理で使用したもの)と入替えると共に、上記バッファをクリアすることにより、ハウリングの発生を抑制することはできるものの、その他の原因による制御系の異常に対しては、適切に対処できないことがある、という問題がある。例えば、消音対象である排気音自体の特性が急激に変化したり、或いは排気ダクト1内の極端な温度変化等により当該排気ダクト1内の伝達関数Pが急激に変化したり、各種外部要因、特にエラーマイクロホン5に対する外部雑音等の影響等により上記制御系が発散して制御不能となったりする場合等が、これに当たる。たとえ、これらの原因による制御系の異常に対して、上記従来技術により対処できたとしても、上記適応フィルタの係数列を入替えると共に上記バッファをクリアするだけの当該従来技術によれば、或る程度の安定した消音効果が得られるようになるまでには、相当な時間が掛かる。
【0010】
そこで、本発明は、上記ハウリング現象以外の様々な原因により制御系に異常が生じた場合にも、これに適切に対処して当該制御系を正常な状態に復帰させることのできる能動型雑音除去装置、を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、伝送路に入力される被制御信号を検出して、この検出結果に応じた第1の検出信号を出力する第1の検出手段と、
上記第1の検出信号を処理して制御用信号を生成し、これを上記伝送路内に供給して上記被制御信号に干渉させる適応フィルタ手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出して、この検出結果に応じた第2の検出信号を出力する第2の検出手段と、
上記第1及び第2の各検出信号が入力され、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が、上記被制御信号を打ち消すのに必要な特性、例えば被制御信号の特性と実質的に等大で逆位相の特性、となる状態に、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する適応制御手段と、
所定時点におけるフィルタ係数が、基準フィルタ係数として記憶される、例えばRAM等のデータの書き替えが可能な半導体メモリ構成のフィルタ係数記憶手段と、
上記所定時点から所定期間が経過するまでの間における第2の検出信号の大きさ、例えば信号レベル、の変化を監視する第2の監視手段と、
この第2の監視手段による監視結果に基づいて、上記第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるか否かを判断するシステム制御手段と、
を具備する。
システム制御手段は、上記所定時点から上記所定期間が経過するまでの間に、第2の検出信号の信号レベルが少なくとも減少傾向にあると判断したとき、その時点(即ち上記所定時点から上記所定期間が経過した時点)での適応フィルタ手段のフィルタ係数を、上記基準フィルタ係数として、フィルタ係数記憶手段に記憶させる。一方、上記第2の検出信号の信号レベルが少なくとも増大傾向にあると判断したとき、システム制御手段は、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数として上記基準フィルタ係数を設定するよう上記適応制御手段を制御すると共に、この基準フィルタ係数を設定した状態で上記第2の検出信号の信号レベルを評価する。この評価において、即ち上記適応フィルタ手段のフィルタ係数として上記基準フィルタ係数を設定しても、第2の検出信号の信号レベルが相変わらず増大傾向にあると判断したとき、システム制御手段は、上記適応制御手段による上記適応フィルタ手段の適応制御を確実に正常化するための所定の処理、を実行するよう構成されている。
【0012】
なお、ここで言う上記所定の処理として、システム制御手段は、例えば、適応フィルタ手段のフィルタ係数を一旦クリアする、という処理を実行する。そして、このクリア処理を実行した後、システム制御手段は、適応フィルタのフィルタ係数を最初から再度更新し直すよう、上記適応制御手段を制御する。
【0013】
また、適応制御手段が、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する上で、当該適応フィルタ手段の出力側から上記伝送路の一部(下流側)を経て第2の検出手段までの間に存在する二次伝達関数、を補償するための補償用フィルタ手段、を備えている場合には、上記所定の処理として、例えば、当該補償用フィルタ手段による上記二次伝達関数の同定処理を行ってもよい。即ち、上記補償用フィルタ手段により改めて正確に二次伝達関数を補償すべく、当該補償用フィルタ手段の伝達関数を二次伝達関数に近似させるよう、システム制御手段により、上記適応制御手段を制御する。なお、この同定処理と、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数のクリア処理とを、併用して、上記所定の処理としてもよい。
【0014】
本発明によれば、第1の検出手段が、伝送路に入力される被制御信号、例えば雑音を検出して、第1の検出信号を出力する。そして、適応フィルタ手段が、この第1の検出信号を処理して、この処理結果に応じた制御用信号を、伝送路内に供給する。ここで、この制御用信号の特性が、上記雑音の特性と実質的に等大で逆位相であるときに、当該制御用信号により雑音を打ち消すことができる。この打ち消された後の雑音、換言すれば打ち消されずに残った言わばエラー成分は、第2の検出手段によって検出される。
【0015】
第2の検出手段から出力される第2の検出信号は、適応制御手段に入力される。また、この適応制御手段には、第1の検出信号も入力される。適応制御手段は、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が除去対象である上記雑音の特性と実質的に等大で逆位相となるように、換言すれば上記エラー成分が極力小さくなるように、適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する。具体的には、適応制御手段は、適応フィルタ手段の伝達関数と上記二次伝達関数との合成による合成伝達関数が、伝送路内の第1の検出手段から第2の検出手段までの間の伝達関数と、相補するように、例えばLMSアルゴリズム等の演算式に基づいて、当該適応フィルタ手段のフィルタ係数を適応制御する。これによって初めて、適応フィルタ手段から伝送路内に供給される制御用信号により、除去対象である雑音等の被制御信号を、能動的に減衰させることができる。
【0016】
ところで、上記のような制御系においては、例えば、上述したハウリング現象や、消音対象である元の雑音自体の急激な特性変化、或いは伝送路内の環境が極端に変化することによる当該伝送路の伝達関数の急激な変化、更には各種外部要因、とりわけ第2の検出手段に対する外部雑音の影響等、の様々な原因により、当該制御系の適応動作(詳しくは適応制御手段による適応フィルタ手段のフィルタ係数の適応制御)が追随できずに、上記雑音を正確に打ち消すべく制御用信号を生成できなくなることがある。すると、上記エラー成分、即ち伝送路から出力される雑音、が増大して、雑音除去効果が悪化する。そればかりか、場合によっては、制御系が発散して制御不能な状態となり、本来上記雑音を打ち消すための制御用信号が逆に一種の雑音として作用して、元の雑音よりも大きな雑音が伝送路から出力されることがある。
【0017】
そこで、本発明においては、上記伝送路から出力される信号を検出して得た第2の検出信号の大きさ、例えば信号レベル、の変化を、第2の監視手段により所定期間毎に監視する。なお、この信号レベルを監視するという方法以外にも、上記第2の検出信号の大きさを直接的または間接的に監視することのできる何らかの方法があれば、その方法により当該監視を行ってもよい。そして、上記第2の監視手段による監視結果に基づいて、システム制御手段が、制御系に異常が生じていないかどうかを判断する。そして、制御系に異常が生じている場合には、当該制御系を正常な状態に確実に復帰させるべく、所定の処理を施す。
【0018】
具体的には、システム制御手段は、上記所定期間内において、第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるか否かを判断する。ここで、例えば、当該第2の検出信号の信号レベル、即ち伝送路から出力される上記エラー成分の信号レベルが、減少傾向にあると判断した場合、システム制御手段は、制御系が正常に動作しており収束傾向にあるものと認識する。そして、システム制御手段は、その時点で適応フィルタ手段に設定されているフィルタ係数を、基準フィルタ係数として、フィルタ係数記憶手段に記憶し、即ち当該基準フィルタ係数を更新する。そして、改めて、上記第2の監視手段による監視結果に基づき、第2の検出信号の信号レベルが上記所定期間内において減少傾向にあるか否かを判断する、という上記動作を繰り返す。上記基準フィルタ係数の更新を含む当該動作の繰り返しにより、制御系は、徐々に収束し、より高い雑音除去効果が得られるようになる。
【0019】
一方、上記所定期間内において、第2の検出信号の信号レベルが増大傾向にあると判断した場合、システム制御手段は、制御系に何らかの異常が生じて当該制御系が発散傾向にあるものと認識する。そして、システム制御手段は、適応フィルタ手段のフィルタ係数を、上記フィルタ係数記憶手段に記憶されている基準フィルタ係数、換言すれば制御系が正常に動作しているときのフィルタ係数、と入れ替える(厳密には、このフィルタ係数の入れ替えを実現するよう適応制御手段を制御する)。そして、このフィルタ係数を入れ替えることによって、制御系が正常な状態に戻るか否かを評価する。
【0020】
この評価において、例えば、上記増加傾向にあった第2の検出信号の信号レベルが減少傾向に転じる、とする。この場合、システム制御手段は、発散傾向にあった制御系が収束傾向となり正常な状態に戻りつつあるものと認識する。そして、改めて、上記第2の監視手段による監視結果に基づき、第2の検出信号の信号レベルが上記所定期間内において減少傾向にあるか否かを判断する、という上記動作を繰り返す。なお、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を正常なときのもの(基準フィルタ係数)と入れ替えることによって、制御系が比較的顕著に収束傾向に戻る場合には、その時点で適応フィルタ手段に設定されているフィルタ係数、即ち当該制御系を比較的顕著に収束傾向に戻すことのできるフィルタ係数を、新たな基準フィルタ係数として、フィルタ係数記憶手段に記憶する(即ち基準フィルタ係数を更新する)ようにしてもよい。このようにすれば、当該制御系の収束傾向を促進することができる。
【0021】
上記とは反対に、適応フィルタ手段のフィルタ係数を正常なときのものと入れ替えても、第2の検出信号の信号レベルが相変わらず増加傾向にある場合には、システム制御手段は、現状のままでは制御系の発散傾向を抑制することが不可能であると認識する。そして、システム制御手段は、当該制御系を確実に正常化するための所定の処理を行い、例えば適応フィルタ手段のフィルタ係数を一旦クリアしたり、或いは上記二次伝達関数を改めて同定し直したり、更にはこれらフィルタ係数のクリア処理と二次伝達関数の同定処理とを同時に実行したりする。これにより、制御系は、正常な状態に確実に復帰する。特に、制御系が極端に発散した場合には、所謂中途半端な処理を施すよりも、上記所定の処理を実行することにより制御系を言わば初期の状態に戻した方が、当該制御系を早期に正常化するのに極めて有効である。
【0022】
なお、上記所定期間内において、第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にもなくまた増大傾向にもなく即ち不変であると判断した場合、システム制御手段は、制御系は収束する方向に向かってはいないものの少なくともその動作は比較的に安定している、と認識する。そして、システム制御手段は、基準フィルタ係数を更新したり、或いは適応フィルタ手段に当該基準フィルタ係数を設定したりすることなく、第2の監視手段による監視結果に基づき、第2の検出信号の信号レベルが所定期間内において減少傾向にあるか否かを判断する、という上記動作を繰り返す。
【0023】
ところで、上記のように第1及び第2の各検出信号に基づいて適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する場合、より厳密に言うと、上記各検出信号を周波数領域で分析せずに雑音除去対象とする全周波数帯域にわたって一様に上記フィルタ係数を更新制御する場合、適応制御手段は、上記各検出信号の各特性が互いに無相関になるように、当該フィルタ係数の更新制御を実行する。従って、例えば、元の雑音レベルが大きい周波数帯域においては、上記フィルタ係数の更新制御により当該雑音レベルが低減されるものの、元の雑音レベルが小さい周波数帯域においては、当該雑音レベルが却って増大するという現象が起こり得る。ただし、このような場合でも、全周波数帯域にわたって雑音レベルを見ると、当該雑音レベルは低減していることになり、所謂表面的には雑音除去効果が得られている状態となる。この現象は、上記フィルタ係数の更新制御が進展する程、顕著になる傾向がある。
【0024】
従って、上記のような言わば過剰なフィルタ係数の更新制御により、一部の周波数帯域において雑音レベルが元のレベルよりも増大したとしても、単に第2の検出信号の信号レベルを全周波数帯域にわたって一様に監視するだけでは、当該一部の周波数帯域における雑音レベルの増大を検知することができない。このことは、上述した特許第2886709号に開示された従来技術においても、同様である。そこで、このような過剰なフィルタ係数の更新制御を防止するために、本発明においては、次のように構成してもよい。
【0025】
即ち、上記第2の検出信号を複数の周波数帯域の信号成分に分割する帯域分割手段、を設ける。そして、この帯域分割手段によって分割して得た各周波数帯域毎の第2の検出信号の信号レベルの変化を、第2の監視手段によって、監視する。これに伴い、システム制御手段については、全ての周波数帯域において、上記第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるときに、当該第2の検出信号の信号レベルが全体的に減少傾向にあるものと判断する。一方、一部の周波数帯域、例えばいずれか1つの周波数帯域において、上記第2の検出信号の信号レベルが増大傾向にあるときには、当該第2の検出信号の信号レベルが全体的に増大傾向にあると判断するよう、構成する。このようにすれば、上記過剰なフィルタ係数の更新制御による一部の周波数帯域における雑音レベルの増大現象を防止できる。
【0026】
また、適応フィルタ手段に基準フィルタ係数を設定した状態で第2の検出信号の信号レベルを評価する場合にも、上記帯域分割手段によって分割して得た各周波数帯域毎に、当該評価を行ってもよい。即ち、上記適応フィルタ手段に基準フィルタ係数を設定した状態で、第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるか、それとも増大傾向にあるかを、上記各周波数帯域毎に評価する。ここで、全ての周波数帯域において、上記基準フィルタ係数設定後の第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるとき、当該第2の検出信号の信号レベルが全体的に減少傾向に転じたものと判断する。一方、一部の周波数帯域、例えばいずれか1つの周波数帯域において、第2の検出信号の信号レベルが増大傾向にあると判断したとき、当該第2の検出信号の信号レベルが全体的に増大傾向にあると判断して、上記所定の処理を実行するよう、システム制御手段を構成する。
【0027】
更に、本発明においては、第1の検出信号の信号レベルに基づいて、除去対象とする雑音自体の変化を捉え、この雑音自体に急激な変化が生じたときに、即座に上記所定の処理を実行することにより、当該雑音自体の急激な変化に対処するよう構成してもよい。具体的には、次のように構成する。
【0028】
即ち、上記所定時点から上記所定期間が経過するまでの間における上記第1の検出信号の信号レベルの変化量を監視するための第1の監視手段、を設ける。これに伴い、システム制御手段については、上記第1の監視手段による監視結果に基づいて、当該所定時点から所定期間が経過するまでの間に上記第1の検出信号の信号レベルが所定の程度以上に変化したか否かを判断するよう構成する。ここで、例えば、第1の検出信号の信号レベル、即ち雑音レベルが、所定の程度以上に変化していないと判断しているときは、当該雑音自体に急激な変化が生じていないものと認識する。そして、上記のように、第2の監視手段による監視結果に基づいて、第2の検出信号の信号レベルが減少傾向にあるか否かを判断する。一方、上記第1の検出信号の信号レベルが所定の程度以上に変化したと判断したときには、上記雑音自体に急激な変化が生じたものと認識し、即座に上記所定の処理を実行するよう、システム制御手段を構成する。
【0029】
なお、上記のように所定時点から所定期間が経過するまでの間に第1の検出信号の信号レベルが所定の程度以上に変化したか否かを判断するためのシステム制御手段の具体的な態様は、次の通りである。
【0030】
まず、上記所定時点における上記第1の検出信号の信号レベルを所定の基準レベルとして記憶するための基準記憶手段、を設ける。この基準記憶手段もまた、上記フィルタ係数記憶手段と同様、例えばRAM等の半導体メモリ等により構成できる。そして、上記システム制御手段により、上記所定時点から上記所定期間が経過した時点での第1の検出信号の信号レベルと、基準レベルと、を比較する。ここで、例えば第1の検出信号の信号レベルと基準レベルとの差が、所定の程度に対応する所定の範囲内であって、これら第1の検出信号の信号レベルと基準レベルとが略同等であると見なせるとき、当該第1の検出信号の信号レベルは所定の程度以上に変化していないものと判断する。これと同時に、その時点での第1の検出信号の信号レベルを、基準レベルとして、基準記憶手段に記憶させ、即ち当該基準レベルを更新するよう、システム制御手段を構成する。一方、上記所定期間が経過した時点での第1の検出信号の信号レベルと基準レベルとの差が、上記所定の範囲内にないとき、当該第1の検出信号の信号レベルが所定の程度以上に変化したものと判断して、即座に上記所定の処理を実行するよう、システム制御手段を構成する。
【0031】
なお、本発明は、音波、例えばエンジンから排出される排気音、を除去対象とする能動型消音装置、に応用できる。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の能動型雑音除去装置を例えば能動型消音装置に応用する場合の第1の実施の形態について、図1から図5を参照して説明する。
【0033】
図1は、本第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本第1の実施の形態は、上述した図8に示す従来の消音装置に対して、エラーレベル検出部6と、システム制御部7と、記憶部8とを、設けたものである。これ以外の構成については、上記図8と同様であるので、同等部分には図8と同一符号を付して、これらの詳細な説明を省略する。
【0034】
上記のうち、エラーレベル検出部6は、これに入力されるエラー信号Eの信号レベル(即ちエラーレベルE)を検出するもので、その検出結果をシステム制御部7に供給する。システム制御部7は、例えばCPU(中央演算処理装置)構成のもので、上記エラー検出部6から供給される検出結果に基づいて、予め記憶部8に記憶されている制御プログラムに従って、例えば図2のフローチャートに示すように、適応制御部3を制御する。なお、記憶部8は、例えばROMやRAM等の半導体メモリ構成のもので、この記憶部8には、上記制御プログラム以外に、後述する基準フィルタ係数Woと基準エラーレベルEoとを、それぞれ記憶するための領域が、設けられている。
【0035】
即ち、本消音装置を起動すると、システム制御部7は、まず、初期設定を行う(ステップS2)。具体的には、所定の自己診断(セルフチェック)を行った後、適応フィルタ31のフィルタ係数をクリアする。このフィルタ係数をクリアした状態においては、適応フィルタ31の伝達関数WはW=0となるので、スピーカ4からは何ら制御音は放出されず、所謂能動消音動作自体を停止している状態にある。そして、この状態で、上述した二次音路Cを補償するための図示しないFIRフィルタにより、当該二次音路Cを同定する。この二次音路Cの同定は、当該同定を精度良く実行するのに十分な或る一定時間だけ行ってもよいし、何らかの方法により当該同定精度を監視してその精度が十分なものであると見なせる程度に達するまで行ってもよい。そして、この二次音路Cの同定作業を終えた後、適応制御部3による適応フィルタ31のフィルタ係数の更新制御を、所定時間、例えば所期の消音効果が得られる程度にまで実行し、一連の初期設定を終了する。
【0036】
上記初期設定を終えた後、システム制御部7は、現時点dで適応フィルタ31に設定されているフィルタ係数Wdと、現時点dでのエラーレベル(詳しくはエラーレベル検出部6によって検出して得たレベル)Edとを、それぞれ上記基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEoとして、上記記憶部8に記憶する(ステップS4)。そして、上記時点dから所定期間が経過する(d=d+1となる)までの間、適応フィルタ31のフィルタ係数の更新制御を実行する(ステップS6)。
【0037】
上記時点dから上記所定期間が経過すると(d=d+1となると)、システム制御部7は、当該所定期間が経過した時点d(=d+1)におけるエラーレベルEdと、上記記憶部8に記憶されている基準エラーレベルEoとを、比較する(ステップS8)。ここで、上記所定期間が経過した時点dでのエラーレベルEdが上記基準エラーレベルEo以下であるとき(NOの場合)、システム制御部7は、本消音装置の制御系が収束する傾向にあり、消音効果が向上するものと判断する。そして、システム制御部7は、その時点dにおけるフィルタ係数WdとエラーレベルEdをそれぞれ新たな基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEoとすべく、上記ステップS4に戻る。これにより、上記所定期間が経過した時点dにおけるエラーレベルEdとフィルタ係数Wdとが、それぞれ新たな基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEoとして、記憶部8に記憶され、即ちこれら基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEoがそれぞれ更新される。
【0038】
一方、上記ステップS8において、上記所定期間が経過した時点d(=d+1)でのエラーレベルEdが上記基準エラーレベルEoよりも大きいとき(YESの場合)、システム制御部7は、本消音装置の制御系に何らかの異常が生じて当該制御系が発散する傾向にあるために、消音効果が悪化したものと判断する。すると、システム制御部7は、その時点dで適応フィルタ31に設定されているフィルタ係数Wdを、上記基準フィルタ係数Wo、換言すれば制御系が正常に動作しているときのフィルタ係数Wo、に入れ替える(ステップS10)。そして、このようにフィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えることによって、制御系が正常な状態に戻って消音効果が向上し直すか否かを、判断する。
【0039】
即ち、システム制御部7は、上記ステップS10においてフィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えた後、そのときのエラーレベルEd’と、基準エラーレベルEoとを、比較する(ステップS12)。ここで、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えた後のエラーレベルEd’が、上記基準エラーレベルEo以下であるとき(NOの場合)、システム制御部7は、当該フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えることによって制御系が正常な状態に戻り消音効果が向上し直したものと判断する。そして、システム制御部7は、その時点でのエラーレベルEd’及びフィルタ係数Wdを新たな基準エラーレベルEo及び基準フィルタ係数Woとすべく、上記ステップS4に戻る。
【0040】
これとは反対に、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えても、依然として、当該基準フィルタ係数Woに入れ替えた後のエラーレベルEd’が基準エラーレベルEoよりも大きい場合(ステップS12においてYESの場合)には、システム制御部7は、現状のままでは制御系がより一層発散して制御不能となる可能性が高いと判断する。そして、システム制御部7は、当該制御部を正常な状態に確実に復帰させるべく、ステップS2に戻り、上記初期設定を実行し直し、詳しくはフィルタ係数Wdをクリアした状態で二次音路Cを同定し直す。これにより、制御系は、言わば初期の状態に戻る。そして、このように制御系を初期の状態に戻した後、システム制御部7は、上記フィルタ係数Wdの更新制御を最初からやり直す。このように処理することにより、例えば上述したハウリング現象や排気音自体の特性が急激に変化する等により制御系に異常が生じても、当該制御系を早期かつ確実に正常化できる。
【0041】
なお、本第1の実施の形態では、上記のように、ステップS12において依然として発散傾向にある制御系を正常化するために(YESの場合)、ステップS2に戻って初期設定を実行し直すように構成(プログラム)しているが、これに限らない。即ち、発散傾向にある制御系を正常化できるのであれば、上記初期設定以外の方法により、当該制御系を正常化してもよい。
【0042】
また、上記フィルタ係数Wdを更新制御することにより消音効果が向上しているか否を判断する際の周期(ステップS6における時点dから上記所定期間が経過するまでの時点d=d+1までの時間差「+1」)については、消音装置の用途や規模等に応じて適宜決定できるよう可変構成とするのが望ましい。
【0043】
そして、ステップS8において、上記所定期間が経過した時点d(=d+1)におけるエラーレベルEdと、基準エラーレベルEoとを、比較するよう構成したが、これに限らない。例えば、上記所定期間が経過するまで(時点dから時点d+1まで)の間のエラーレベルEdの平均値と、上記基準エラーレベルEoとを、比較するよう構成してもよい。また、エラーレベル検出部6に、エラーレベルEdを積分する等、当該エラーレベルEdを平滑化する機能、を設けてもよい。このようにすれば、背景雑音等の影響を排除でき、より安定した動作を実現できる。このことは、ステップS12についても、同様である。即ち、ステップS12において、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えた後のエラーレベルEd’を平滑化し、この平滑化して得たエラーレベルEd’と基準エラーレベルEdとを比較するよう、構成してもよい。
【0044】
更に、本第1の実施の形態では、エラーレベル検出部6によりエラーレベルEdを検出することにより、言わばエラー信号Eの大きさを監視するよう構成したが、これに限らない。例えば、エラー信号Eの周波数や位相等、当該エラー信号Eに含まれる上記エラーレベルEd以外の他の物理量を検出することにより、当該エラー信号Eの大きさを直接的または間接的に監視してもよい。
【0045】
また、上記エラーレベル検出部6は、システム制御部7に内蔵した構成としてもよい。これらエラーレベル検出部6とシステム制御部7とを組み合わせた構成が、特許請求の範囲に記載の第2の監視手段に対応する。また、システム制御部7は、特許請求の範囲に記載のシステム制御手段にも対応する。そして、排気ダクト1内が、特許請求の範囲に記載の伝送路に対応し、リファレンスマイクロホン2及びエラーマイクロホン5が、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2の各検出手段に対応し、二次音路Cが、特許請求の範囲に記載の二次伝達関数に対応する。更に、記憶部8が、特許請求の範囲に記載のフィルタ係数記憶手段及び第2の基準記憶手段に対応する。そして、基準エラーレベルEoは、特許請求の範囲に記載の基準値とは別の、言わば第2の基準値となる。
【0046】
上記図2におけるステップS8及びステップS12に代えて、例えば図3に示すようなステップS80及びステップS120を、設けてもよい。即ち、図3におけるステップS80においては、エラーレベルEdと基準エラーレベルEoとを比較する際に、当該エラーレベルEdの比較対象となる基準エラーレベルEoに、所謂マージン(余裕値)αを設ける。具体的には、エラーレベルEdが、基準エラーレベルEoから所定のマージンαを差し引いて得た値[Eo−α]よりも小さいときに始めて(Ed<Eo−αのとき)、システム制御部7は、制御系が収束傾向にあるものと見なす。この場合、システム制御部7は、ステップS4に戻り、基準フィルタ係数Woと基準エラーレベルEoとを更新する。
【0047】
一方、上記ステップS80において、エラーレベルEdが、基準エラーレベルEoに対して上記マージンαを足して得た値[Eo+α]よりも大きいとき(Ed>Eo+αのとき)には、システム制御部7は、制御系が発散傾向にあるものと見なす。この場合、システム制御部7は、ステップS10に進み、適応フィルタ31のフィルタ係数Wdを、基準フィルタ係数Woに入れ替える。
【0048】
なお、ステップS80において、エラーレベルEdが、基準エラーレベルEoから上記マージンαを差し引いて得た値[Eo−α]以上であって、かつ当該基準エラーレベルEoに対して上記マージンαを足して得た値[Eo+α]以下の範囲内にあるとき(Eo−α≦Ed≦Eo+αのとき)、システム制御部7は、これらエラーレベルEdと基準エラーレベルEoとは略等価であり、制御系は比較的に安定しているものと見なす。この場合、システム制御部7は、基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEoを更新したり、或いは適応フィルタ31のフィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えたりすることなく、そのままステップS6に戻り、上記フィルタ係数Wdの更新制御を継続する。
【0049】
また、図3におけるステップS120においては、次のような処理を行う。即ち、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えた後のエラーレベルEd’と、基準エラーレベルEoと、を比較する際にも、当該エラーレベルEd’の比較対象となる基準エラーレベルEoに、マージンαを設ける。具体的には、上記エラーレベルEd’が、基準エラーレベルEoに対してマージンαを足して得た値[Eo+α]よりも大きいとき(Ed’>Eo+αのとき)、システム制御部7は、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えても依然として制御系が発散傾向にあるものと見なす。この場合、システム制御部7は、制御系を初期の状態に戻すべく、ステップS2に戻り、初期設定を行う。
【0050】
一方、上記ステップS120において、エラーレベルEd’が、基準エラーレベルEoから上記マージンαを差し引いて得た値[Eo−α]よりも小さいとき(Ed<Eo−αのとき)、システム制御部7は、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えることによって、制御系が収束傾向に転じたものと判断する。この場合、システム制御部7は、ステップS4に戻り、基準フィルタ係数Woと基準エラーレベルEoとを更新する。
【0051】
そして、このステップS120においても、エラーレベルEd’が、基準エラーレベルEoから上記マージンαを差し引いて得た値[Eo−α]以上であって、かつ当該基準エラーレベルEoに対して上記マージンαを足して得た値[Eo+α]以下の範囲内にあるとき(Eo−α≦Ed≦Eo+αのとき)、システム制御部7は、これらエラーレベルEd’と基準エラーレベルEoとは略等価であり、制御系は比較的に安定しているものと見なす。この場合、システム制御部7は、基準フィルタ係数Wd及び基準エラーレベルEoを更新したり、或いは再度初期設定を行ったりすることなく、そのままステップS6に戻り、上記フィルタ係数Wdの更新制御を継続する。
【0052】
なお、上記ステップS80においてエラーレベルEdの比較対象となる各[Eo−α]および[Eo+α]と、ステップS120においてエラーレベルEd’の比較対象となる各値[Eo−α]および[Eo+α]と、のそれぞれにおけるマージンαを、同一としたが、これらを別々の値としてもよい。
【0053】
そして、本第1の実施の形態においては、本発明を能動型消音装置に応用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、一般に知られているエコーキャンセラ等のように、能動型雑音消音装置以外の雑音除去装置にも、本発明を応用できることは言うまでもない。
【0054】
ところで、上記図1に示すように、リファレンス信号R及びエラー信号Eに基づいて適応フィルタ31のフィルタ係数を更新制御する場合、厳密に言うと、上記各信号R及びEを周波数領域で分析せずに消音対象とする全周波数帯域(所謂オーバオール値)にわたって一様に上記フィルタ係数Wdを更新制御する場合、適応制御部3は、上記各信号R及びEの各特性が互いに無相関になるように、当該フィルタ係数Wdの更新制御を実行する。従って、例えば図4に誇張して示すように、元の排気音レベル(リファレンスレベルR)が大きい周波数帯域(同図では低周波数側の帯域)においては、上記フィルタ係数の更新制御により当該排気音レベルが低減されるものの、元の排気音レベルが小さい周波数帯域(同図では高周波数側の帯域)においては、当該排気音レベルが却って(平均的なエラーレベルEにまで)増大するという言わば逆転現象が起こり得る。ただし、同図からも判るように、全周波数帯域にわたって排気音レベルを見ると、当該排気音レベルは全体的に低減していることになり、表面的には一定の消音効果が得られている状態となる。この現象は、上記フィルタ係数の更新制御が進展する程、顕著になる傾向がある。
【0055】
このような言わば過剰なフィルタ係数の更新制御による逆転現象は、上記図1のように単にエラーレベルEを全周波数帯域にわたって一様に監視するだけでは、当該一部の周波数帯域における排気音レベルの増大を検知することはできない。このことは、上述した特許第2886709号に開示された従来技術においても、同様である。そして、この逆転現象が、例えば人間の聴覚が最も敏感であると言われている1kHz乃至2kHzの周波数帯域で発生した場合、聴感的には消音効果が悪化することになり、好ましくない。そこで、このようなフィルタ係数の過剰な更新制御を防止するためには、図5に示すように構成するのが望ましい。
【0056】
即ち、同図に示すように、上記エラー信号Eを複数の周波数帯域f1、f2、・・・、fNの信号成分に分割する帯域分割部9、を設ける。そして、この帯域分割部9によって分割して得た各周波数帯域f1、f2、・・・、fN毎のエラーレベルEdを、エラーレベル検出部6によって、監視する。なお、このエラーレベル検出部6には、上記帯域分割部9を経由しないエラー信号(オーバオール値)Eそのものも入力される。
【0057】
システム制御部7は、上記エラーレベル検出部6によって検出して得た上記各周波数帯域f1、f2、・・・、fN毎のエラーレベルEdを監視する。そして、これら各周波数帯域f1、f2、・・・、fN毎に、例えば上記図2におけるステップS8を実行する。ここで、全ての周波数帯域f1、f2、・・・、fNにおいて、エラーレベルEdが基準エラーレベルEo以下であると判断したとき(ステップS8においてNOのとき)に、システム制御部7は、制御系が正常に動作しているものと判断して、ステップS4に戻る。一方、各周波数帯域f1、f2、・・・、fNの一部、例えばいずれか1つの帯域において、上記エラーレベルEdが基準エラーレベルEoよりも大きいと判断したとき(ステップS8においてYESのとき)、システム制御部7は、フィルタ係数の更新制御が過剰に行われていると判断する。そして、システム制御部7は、適応フィルタ31のフィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えるべく、ステップS10に進む。なお、ここで言うステップS8に代えて、上記図3におけるステップS80を実行する場合も、同様である。
【0058】
上記と同様に、図2のステップS12においても、システム制御部7は、上記各周波数帯域f1、f2、・・・、fN毎に、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えた後のエラーレベルEd’が、基準エラーレベルEoよりも大きいか否かを、判断する。ここで、全ての周波数帯域f1、f2、・・・、fNにおいて、当該エラーレベルEd’が基準エラーレベルEo以下であると判断したとき(ステップS12においてNOの場合)、システム制御部7は、上記フィルタ係数Wdを基準フィルタ係数Woに入れ替えることにより制御系が正常な状態に戻ったものと判断して、ステップS4に戻る。一方、各周波数帯域f1、f2、・・・、fNの一部、例えばいずれか1つの帯域において、上記エラーレベルEd’が基準エラーレベルEoよりも大きいと判断したとき(ステップS12においてYESのとき)、システム制御部7は、その一部の周波数帯域において制御系が発散する傾向にあると判断する。そして、システム制御部7は、当該一部の周波数帯域を含む全ての周波数帯域f1、f2、・・・、fNにおいて、制御系を正常な状態に確実に復帰させるべく、ステップS2に戻り、上記初期設定を実行し直す。なお、ここで言うステップS12に代えて、上記図3におけるステップS120を実行する場合も、同様である。
【0059】
なお、この図5における帯域分割部9が、特許請求の範囲に記載の帯域分割手段に対応する。この帯域分割部9は、例えば一般に知られているフーリエ変換回路や、その他の直交変換回路により、実現できる。また、上記各周波数帯域f1、f2、・・・、fNにそれぞれ通過帯域を有する複数のバンド・パス・フィルタを並列に組み合せたフィルタ群や、複数のハイ・パス・フィルタとロー・パス・フィルタとを組み合せることによっても、当該帯域分割部9を実現できる。更に、ソフトウェア処理によっても、当該帯域分割部9を実現できる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6及び図7を参照して説明する。図6は、本第2の実施の形態の概略構成を示す図である。同図に示すように、本第2の実施の形態は、上記図1に示す第1の実施の形態に対して、リファレンス信号Rが入力され当該リファレンス信号Rの信号レベル(即ちリファレンスレベルR)を検出するためのリファレンスレベル検出部10、を設けたものである。そして、このリファレンスレベル検出部10によって検出して得たリファレンスレベルRをも、システム制御部7に供給するよう、構成したものである。本第2の実施の形態におけるシステム制御部7の動作内容を、図7に示す。
【0061】
同図に示すように、本第2の実施の形態では、上記図2に示す第1の実施の形態の手順において、ステップS8とステップS10との間に、新たなステップS14を設けたものである。また、ステップS4において、上述した基準フィルタ係数Wo及び基準エラーレベルEo以外に、所定時点dでのリファレンスレベルRdを、基準リファレンスレベルRoとして、記憶部8に記憶するよう構成(プログラム)している。これ以外の各ステップについては、上記図2と同様であるので、これら同等部分の詳細な説明は省略する。
【0062】
即ち、本第2の実施の形態におけるシステム制御部7は、上記ステップS14において、上記所定時点dから所定期間が経過した時点(d=d+1)でのリファレンスレベルRdと上記基準リファレンスレベルRoとを比較する。ここで、例えば、これら両者の差(Rd−Ro)が所定の範囲内にあるとき、厳密には当該両者の差の絶対値(|Rd−Ro|)が或るマージンβ以下の場合(YESの場合)、システム制御部7は、消音対象である排気音自体のレベル(即ちリファレンスレベルRd)が余り変動していないものと判断して、ステップS10に進む。一方、このステップS14において、上記絶対値(|Rd−Ro|)が上記マージンβよりも大きい場合(NOの場合)、システム制御部7は、排気音自体のレベルが極端に変動したものと判断する。そして、システム制御部7は、現状のままでは制御系がより一層発散する可能性があると判断して、即座にステップS2に戻り、初期設定を実行し直す。
【0063】
この第2の実施の形態によれば、消音対象である排気音自体が極端に変動して、この変動に制御系が追随できずに発散する可能性があるときでも、瞬時にこれを察知して、当該制御系を正常な状態に復帰させることができる。
【0064】
なお、上記ステップS14は、ステップS6とステップS8との間に設けてもよい。ただし、制御系が比較的に安定しているときには、排気音自体のレベルが余り変動していないこと(即ちステップS14においてYESとなること)は明らかであるので、上記図7のように、ステップS8とステップS10との間に当該ステップS14を設ける方が、制御系全体としての動作効率は良い。
【0065】
本第2の実施の形態における基準リファレンスレベルRoが、特許請求の範囲に記載の所定の基準値に対応し、この基準リファレンスレベルRoの記憶(保存)先となる記憶部8が、特許請求の範囲に記載の基準記憶手段に対応する。そして、上記マージンβ(厳密には±β)が、特許請求の範囲に記載の所定の範囲に対応し、ひいては所定の程度に対応する。
【0066】
また、図7に示すフローチャートにおいても、ステップS8及びステップS12に代えて、上記図3に示すステップS80及びステップS120と同様のステップを設けてもよい。更に、本第2の実施の形態では、リファレンスレベル検出部10によりリファレンスレベルEdを検出することにより、言わばリファレンス信号Rの大きさを監視するよう構成したが、これに限らない。例えば、リファレンス信号Rの周波数や位相等、当該リファレンス信号Rに含まれる上記リファレンスレベルRd以外の他の物理量を検出することにより、当該リファレンス信号Eの大きさを直接的または間接的に監視してもよい。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、制御系に何らかの異常が生じて当該制御系が発散する傾向にあるとき、まず、適応フィルタ手段のフィルタ係数を、当該制御系が正常なときのものに入れ替える。そして、このフィルタ係数を入れ替えることにより制御系が正常な状態に戻る場合には、そのまま継続して当該フィルタ係数の更新制御を実行する。一方、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を入れ替えても制御系が正常な状態に戻らない場合には、当該制御系を確実に復帰させるための所定の処理を実行する。従って、ハウリング現象に係らず、例えば除去対称とする雑音自体の特性が急激に変化する等の様々な要因により、制御系に異常が生じたとしても、これらの異常に対し確実に対処して当該制御系を復帰させることができる、という効果がある。
【0068】
また、第2の検出信号を複数の周波数帯域の信号成分に分割して、これら各周波数帯域毎に当該第2の検出信号の信号レベルを監視すれば、上述した所謂過剰なフィルタ係数の更新制御を防止することもできる。即ち、この過剰なフィルタ係数の更新制御による一部の周波数帯域における雑音レベルの増大を防止できる、という効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を能動型消音装置に応用した場合の第1の実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】 同実施の形態における制御部の動作内容を表すフローチャートである。
【図3】 図2における一部の処理内容を変更したフローチャートである。
【図4】 同実施の形態においてフィルタ係数が過剰に更新制御されている状態を示すグラフである。
【図5】 同実施の形態においてフィルタ係数の過剰な更新制御を防止するための機能を備えた概略構成図ある。
【図6】 本発明を能動型消音装置に応用した場合の第2の実施の形態を示す概略構成図である。
【図7】 同実施の形態における制御部の動作内容を表すフローチャートである。
【図8】 従来の能動型消音装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 排気ダクト
2 リファレンスマイクロホン
3 適応制御部
4 二次音源スピーカ
5 エラーマイクロホン
6 エラーレベル検出部
7 システム制御部
8 記憶部
31 適応フィルタ
Claims (8)
- 伝送路に入力される被制御信号を検出して、この検出結果に応じた第1の検出信号を出力する第1の検出手段と、
上記第1の検出信号を処理して制御用信号を生成し、これを上記伝送路内に供給して上記被制御信号に干渉させる適応フィルタ手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出して、この検出結果に応じた第2の検出信号を出力する第2の検出手段と、
上記第1及び第2の各検出信号が入力され、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が、上記被制御信号を打ち消すのに必要な特性となる状態に、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する適応制御手段と、
所定時点における上記フィルタ係数が、基準フィルタ係数として記憶されるフィルタ係数記憶手段と、
上記所定時点から所定期間が経過するまでの間における上記第2の検出信号の大きさの変化を監視する第2の監視手段と、
この第2の監視手段による監視結果に基づいて、上記第2の検出信号の大きさが減少傾向にあるか否かを判断し、少なくとも該第2の検出信号の大きさが減少傾向にあると判断したとき、その時点での上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を上記基準フィルタ係数として上記フィルタ係数記憶手段に記憶させ、少なくとも上記第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断したとき、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数として上記基準フィルタ係数を設定するよう上記適応制御手段を制御すると共に、この基準フィルタ係数を設定した状態で上記第2の検出信号の大きさを評価し、この評価において少なくとも該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断したとき、上記適応制御手段による上記適応フィルタ手段の制御を正常化するための所定の処理を実行する、システム制御手段と、
を具備し、さらに、
上記第2の検出信号を複数の周波数帯域の信号成分に分割する帯域分割手段を備え、
上記第2の監視手段は、上記帯域分割手段によって分割して得た上記各周波数帯域毎の上記第2の検出信号の大きさの変化を監視する状態に構成され、
上記システム制御手段は、上記第2の監視手段による上記各周波数帯域毎の監視結果に基づいて、これら全ての周波数帯域において上記第2の検出信号の大きさが減少傾向にあるときに、該第2の検出信号の大きさが減少傾向にあると判断し、少なくとも一部の該周波数帯域において該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあるときに、該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断する状態に構成された、
能動型雑音除去装置。 - 上記システム制御手段は、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数として上記基準フィルタ係数を設定した状態で上記第2の検出信号の大きさを評価する際、上記帯域分割手段によって分割して得た上記各周波数帯域の少なくとも一部において該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあるときに、該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断する状態に構成された、
請求項1に記載の能動型雑音除去装置。 - 伝送路に入力されそれ自体の特性が急激に変化することのある被制御信号を検出して、この検出結果に応じた第1の検出信号を出力する第1の検出手段と、
上記第1の検出信号を処理して制御用信号を生成し、これを上記伝送路内に供給して上記被制御信号に干渉させる適応フィルタ手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出して、この検出結果に応じた第2の検出信号を出力する第2の検出手段と、
上記第1及び第2の各検出信号が入力され、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が、上記被制御信号を打ち消すのに必要な特性となる状態に、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する適応制御手段と、
所定時点における上記フィルタ係数が、基準フィルタ係数として記憶されるフィルタ係数記憶手段と、
上記所定時点から所定期間が経過するまでの間における上記第2の検出信号の大きさの変化を監視する第2の監視手段と、
この第2の監視手段による監視結果に基づいて、上記第2の検出信号の大きさが減少傾向にあるか否かを判断し、少なくとも該第2の検出信号の大きさが減少傾向にあると判断したとき、その時点での上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を上記基準フィルタ係数として上記フィルタ係数記憶手段に記憶させ、少なくとも上記第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断したとき、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数として上記基準フィルタ係数を設定するよう上記適応制御手段を制御すると共に、この基準フィルタ係数を設定した状態で上記第2の検出信号の大きさを評価し、この評価において少なくとも該第2の検出信号の大きさが増大傾向にあると判断したとき、上記適応制御手段による上記適応フィルタ手段の制御を正常化するための所定の処理を実行する、システム制御手段と、
を具備し、さらに、
上記所定時点から上記所定期間が経過するまでの間における上記第1の検出信号の大きさの変化量を監視する第1の監視手段を備え、
上記システム制御手段は、上記第1の監視手段による監視結果に基づいて、上記所定時点から上記所定期間が経過するまでの間に上記第1の検出信号の大きさが所定の程度以上に変化したか否かを判断し、該第1の検出信号の大きさが該所定の程度以上に変化していないと判断しているときに、上記第2の監視手段による監視結果に基づいて上記第2の検出信号の大きさが減少傾向にあるか否かを判断し、該第1の検出信号の大きさが該所定の程度以上に変化したと判断したとき、即座に上記所定の処理を実行するよう構成された、
能動型雑音除去装置。 - 上記所定時点における上記第1の検出信号の大きさが所定の基準値として記憶される基準記憶手段を備え、
上記システム制御手段は、上記所定時点から上記所定期間が経過するまでの間に上記第1の検出信号の大きさが上記所定の程度以上に変化したか否かを判断する際、該所定時点から該所定期間が経過した時点での該第1の検出信号の大きさと上記基準値とを比較して、これら両者の差が該所定の程度に対応する所定の範囲内にあるときに、該第1の検出信号の大きさが該所定の程度以上に変化していないものと判断すると共に、その時点での該第1の検出信号の大きさを新たな該基準値として上記基準記憶手段に記憶させ、該所定期間が経過した時点における該差が該範囲内にないときに、該第1の検出信号の大きさが該所定の程度以上に変化したものと判断する状態に構成された、
請求項3に記載の能動型雑音除去装置。 - 上記システム制御手段は、上記所定の処理として、少なくとも上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を一旦クリアするよう上記適応制御手段を制御する状態に構成された、
請求項1ないし4のいずれかに記載の能動型雑音除去装置。 - 上記適応制御手段は、上記適応フィルタ手段のフィルタ係数を更新制御する上で該適応フィルタ手段の出力側から上記伝送路を経て上記第2の検出手段までの間に存在する二次伝達関数を補償するための補償用フィルタ手段、を備えており、
上記システム制御手段は、上記所定の処理として、少なくとも上記補償用フィルタ手段の伝達関数を上記二次伝達関数に近似させるよう上記適応制御手段を制御する状態に構成された、
請求項1ないし5のいずれかに記載の能動型雑音除去装置。 - 上記被制御信号が音波である、
請求項1ないし6のいずれかに記載の能動型雑音除去装置。 - 上記音波がエンジンから排出される排気音である、
請求項7に記載の能動型雑音除去装置。
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