JP4004710B2 - 能動型雑音除去装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、或る信号の伝送路内に存在する雑音等の被制御信号に対して、これと実質的に等大で逆位相の制御用信号を干渉させることによって、上記雑音等の被制御信号を能動的に減衰させる能動型雑音除去装置(ANC:Active Noise Controller)に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のような能動型雑音除去装置として、従来、例えば図4に示すような能動型消音装置が知られている。この装置は、図示しない例えば船舶や自動車等のエンジンから排出される排気音に対して、これと実質的に等大で逆位相の制御音を干渉させることによって上記排気音を消音するものである。
【0003】
即ち、同図に示すように、この装置は、排気ダクト1内をその入口側(同図の左側)から出口側(同図の右側)に向かって伝搬する排気音を収音するためのリファレンスマイクロホン2を備えている。このリファレンスマイクロホン2の出力信号(以下、この信号をリファレンス信号と言う。)Rは、図示しない増幅器により増幅され、図示しないA/D変換器によりディジタル化された後、FIR適応型ディジタルフィルタ(以下、単に、適応フィルタと言う。)3に入力される。適応フィルタ3は、これに入力される上記リファレンス信号Rに対して、所定のフィルタリング処理、例えば畳み込み和演算、を施す。
【0004】
排気ダクト1の上記リファレンスマイクロホン2が設けられている位置よりも当該排気ダクト1の出口側、即ち排気音の伝搬方向で言うところの下流側には、排気ダクト1内に音を放出する状態に、二次音源スピーカ(以下、単に、スピーカと言う。)4が設けられている。そして、このスピーカ4に、上記適応フィルタ3の出力信号(以下、この信号を消音制御信号と言う。)Aが、図示しないD/A変換器及び増幅器を介して入力される。スピーカ4は、この消音制御信号Aに応じた制御音を、排気ダクト1内に放出する。ここで、この制御音の特性が、上記排気音の特性と実質的に等大で逆位相であるときに、当該制御音により排気音を打ち消すことができる。
【0005】
排気ダクト1の上記スピーカ4が設けられている位置よりも更に下流側、例えば排気ダクト1の出口付近には、エラーマイクロホン5が設けられている。このエラーマイクロホン5は、上記制御音により排気音を打ち消した後の音、つまりは排気音のうち制御音によって完全に打ち消されずに残った所謂エラー成分を検出する。そして、このエラーマイクロホン5の出力信号(以下、この信号をエラー信号と言う。)Eは、図示しない増幅器により増幅され、図示しないA/D変換器によりディジタル化された後、LMS演算部6に供給される。このLMS演算部6には、エラー信号Eの他に、上記リファレンス信号Rも供給される。ただし、リファレンス信号Rについては、後述するFIRディジタルフィルタ(以下、単に、FIRフィルタと言う。)7を介して、LMS演算部6に供給される。
【0006】
LMS演算部6は、上記エラー信号Eの信号レベル(以下、この信号レベルを単にエラーレベルと言い、エラー信号Eと同じ符号で表わす。)が極力小さくなるように、このエラー信号Eと上記リファレンス信号RをFIRフィルタ7により処理した後の信号とに基づいて、例えば一般に知られているLMSアルゴリズムに従って、上記適応フィルタ3の伝達関数Wを更新する。具体的には、適応フィルタ3の伝達関数Wと、この適応フィルタ3の出力部からスピーカ4及び排気ダクト1の一部(スピーカ4が設けられている位置よりも下流側の部分)を介してエラーマイクロホン5の収音部までの間の伝達関数(以下、この伝達関数を二次音路(error path)と言う。)Cと、の合成による伝達関数[W×C]が、排気ダクト1内のリファレンスマイクロホン2の収音部からエラーマイクロホン5の収音部までの間の伝達関数(以下、この伝達関数を一次音路(primary path)と言う。)Pと、相補するよう、適応フィルタ3の伝達関数Wを適応制御する。このとき、上記二次音路Cを補償するために、上記FIRフィルタ7を設ける。即ち、FIRフィルタ7として、上記二次音路Cと略等価な伝達関数を有するフィルタを用いる。そして、リファレンス信号Rについては、このFIRフィルタ7により処理したあとLMS演算部6に供給することによって、当該LMS演算部6により適応フィルタ3の伝達関数Wを制御する際の上記二次音路Cの影響を排除する。
【0007】
ところで、上記のような消音装置においては、例えば、排気ダクト1内の温度等の環境の変化等により、消音対象である排気音の特性が急激に変化すると、この急激な変化に本消音装置の適応消音動作(詳しくはLMS演算部6による適応フィルタ3の伝達関数Wの適応制御)が追随できずに、上記排気音を正確に打ち消すべく制御音を生成できなくなることがある。すると、上記エラー成分、即ち排気ダクト1から排出される音、が増大して、消音効果が悪化する。そればかりか、場合によっては、本消音装置の制御系が発散して所謂制御不能な状態となり、本来排気音を打ち消すための制御音が逆に騒音として作用し、その結果、元の排気音よりも大きな音が排気ダクト1から排出されることがある。
【0008】
そこで、上記のように消音装置の制御系が発散して排気ダクト1から排出される音が増大したときに、例えば制御音の放出を停止する等により、それ以上大きな音が排気ダクト1から放出されるのを防止する、所謂フェイルセーフ機能(自動制御安全機能)を設けるのが望ましい。これを実現するために、従来は、例えばエラーレベルEを基に、本消音装置による適応消音動作が正常に行われているか否か(即ちフェイルセーフ機能を作動させるべきか否か)を判断する制御部8を、設けていた。これについて、図5を参照して説明する。
【0009】
同図は、リファレンス信号Rの信号レベル(以下、この信号レベルを単にリファレンスレベルと言い、リファレンス信号Rと同じ符号で表わす。)とエラーレベルEとの関係を表わすグラフである。なお、同図では、横軸にリファレンスレベルRを表し、縦軸にエラーレベルEを表わしている。
【0010】
同図において、実線Xは、制御音の放出を停止している状態、即ち非消音動作時、における上記各レベルR及びEの関係を表す。この実線のグラフXから明らかなように、非消音動作時には、排気ダクト1の入口側から入力された排気音はそのまま排気ダクト1の出力側から排出されるので、リファレンスレベルRとエラーレベルEとは略比例関係にある。なお、同図の横軸上の[R0]は、リファレンスレベルRの最大値であり、即ちエンジンから最も大きい排気音が排出されているときのリファレンスレベルRである。
【0011】
一方、上記グラフXと略平行を成すグラフYは、本消音装置による適応消音動作が正常に実行されており、所期の消音効果が得られているときの、上記各レベルR及びEの関係を表し、厳密には各リファレンスレベルRにおけるエラーレベルEの最大値、を表す。このグラフYによれば、本消音装置により適応消音動作が正常に行われているときには、少なくともα[dB]以上の消音効果が得られることになる。
【0012】
即ち、同図によれば、各リファレンスレベルRにおいて、エラーレベルEがグラフYで表される値以下である場合には、適応消音動作が正常に実行されており、所期の消音効果が得られているものと見なすことができる。そして、エラーレベルEがグラフYで表される値を超えた場合には、適応消音動作に異常が生じ、消音効果が悪化したと見なすことができる。更に、エラーレベルEがグラフXで表される値を超えた場合には、消音効果を得るどころか却って排気音が増大し、消音装置の制御系が制御不能な状態になったと見なすことができる。
【0013】
そこで、同図に点線Zで示すように、正常に適応消音動作が行われているときのエラーレベルE(即ちグラフYで表される値)の最大値Eon0よりも若干大きいレベルEthに、或る基準レベルを設ける。そして、制御部8により、この基準レベルEthとエラーレベルEとを比較する。制御部8は、エラーレベルEが基準レベルEthを超えたときに、適応消音動作に異常が生じたものと判断する。そして、上記フェイルセーフ機能として、例えば、適応フィルタ3の伝達関数Wを一旦クリア(W=0)すると共に、LMS演算部6による適応フィルタ3の伝達関数Wの適応動作を最初から実行し直すよう、これら適応フィルタ3及びLMS演算部6を制御する。これにより、排気ダクト1から元の排気音よりも大きな音が排出されるという上記不具合を防止できる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来技術によれば、適応消音動作に異常が生じたか否かの判断基準となる上記基準レベルEthが、リファレンスレベルRの大きさに関係なく常に一定であるので、次のような問題がある。即ち、リファレンスレベルR(元の排気音)が比較的に小さいときに、適応消音動作に異常が生じ、例えば元の排気音よりも大きい音が排気ダクト1から排出されたとしても、上記エラーレベルEが基準レベルEthを超えない限り、制御部8は、当該適応消音動作の異常を検知できないという問題がある。この場合、エラーレベルEが基準レベルEthを超えるまでの間、適応消音動作が異常であるという極めて不安定かつ好ましくない状態が継続することになる。
【0015】
また、上記従来技術によれば、例えば消音装置の図示しない電源スイッチをONする等により消音動作を開始した直後であって、未だ十分な消音効果が得られていない状態にあるとき、制御部8は、これを、適応消音動作が異常である、と誤認識してしまう。これでは、消音動作を開始したあと、直ぐにフェイルセーフ機能が働いてしまい、いつまで経っても、所期の消音効果を得ることができない。これを回避する方法として、例えば、消音動作を開始したあと、所期の消音効果が得られるまでの所定時間だけ、制御部8の動作を停止させる方法が考えられる。しかし、消音動作を開始してから所期の消音効果が得られるまでに要する時間は、エンジンを含む消音装置全体の構成や動作環境等によってまちまちである。従って、この制御部8の動作を所定時間停止させるという方法では、装置の信頼性等に欠ける。
【0016】
そこで、本発明は、上記消音装置等のような能動型雑音除去装置において、当該装置の制御系が制御不能となったときに、これを確実に検出し、ひいては従来よりも信頼性の高いフェイルセーフ機能を実現できる技術を、提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、伝送路に入力される被制御信号を検出して、この検出結果に応じた第1の検出信号を出力する第1の検出手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出して、この検出結果に応じた第2の検出信号を出力する第2の検出手段と、
上記第1の検出信号を処理して、この処理して得た制御用信号を上記伝送路内に供給する適応型フィルタ手段と、
上記第1及び第2の各検出信号が入力され、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が、上記被制御信号を打ち消すのに必要な特性、例えば被制御信号の特性と実質的に等大で逆位相の特性、となる状態に、適応型フィルタ手段による処理内容を制御する適応型フィルタ制御手段と、
上記第2の検出信号の信号レベルと或る第1の基準レベルとを比較して、第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えたとき、異常検知信号を出力する異常検知手段と、
上記第1の検出信号の信号レベルが大きいほど上記第1の基準レベルを増大させる状態に、第1の検出信号の信号レベルに応じて第1の基準レベルを自動的に変化させる第1の基準レベル制御手段と、
を具備するものである。
【0018】
本発明によれば、第1の検出手段が、伝送路に入力される被制御信号、例えば雑音を検出して、第1の検出信号を出力する。そして、適応型フィルタ手段が、この第1の検出信号を処理して、この処理結果に応じた制御用信号を、伝送路内に供給する。ここで、この制御用信号の特性が、上記雑音の特性と実質的に等大で逆位相であるときに、当該制御用信号により雑音を打ち消すことができる。この打ち消された後の雑音、換言すれば打ち消されずに残った言わばエラー成分は、第2の検出手段によって検出される。
【0019】
第2の検出手段から出力される第2の検出信号は、適応型フィルタ制御手段に入力される。適応型フィルタ制御手段は、この第2の検出信号と第1の検出信号とに基づいて、上記制御用信号の特性が除去対象である上記雑音の特性と実質的に等大で逆位相となるように、換言すれば上記エラー成分が極力小さくなるように、適応型フィルタ手段の処理内容を制御する。具体的には、適応型フィルタ制御手段は、適応型フィルタ手段の伝達関数と、この適応型フィルタ手段の出力側から伝送路の一部(下流側)を経て第2の検出手段までの間に存在する伝達関数と、の合成による合成伝達関数が、伝送路内の第1の検出手段から第2の検出手段までの間の伝達関数と、相補するように、例えばLMSアルゴリズム等の演算式に基づいて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を適応制御する。これによって初めて、適応型フィルタ手段から伝送路内に供給される制御用信号により、除去対象である雑音を、能動的に減衰させることができる。
【0020】
ところで、上記のような制御系においては、例えば、伝送路内の環境の変化等により、除去対象である雑音の特性が急激に変化すると、この急激な変化に本制御系の適応動作(詳しくは適応型フィルタ制御手段による適応型フィルタの伝達関数の適応制御)が追随できずに、上記雑音を正確に打ち消すべく制御用信号を生成できなくなることがある。すると、上記エラー成分、即ち伝送路から出力される雑音、が増大して、雑音除去効果が悪化する。そればかりか、場合によっては、本制御系が発散して制御不能な状態となり、本来上記雑音を打ち消すための制御用信号が逆に一種の外部雑音として作用し、これによって、元の雑音よりも大きな雑音が伝送路から出力されることがある。
【0021】
そこで、本発明においては、上記のように制御系が発散して制御不能となる等、本雑音除去装置による適応雑音除去動作に異常が生じたときに、これを検知するための異常検知手段を設ける。即ち、異常検知手段は、第2の検出信号の信号レベルと或る第1の基準レベルとを比較する。そして、第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えたときに、異常検知手段は、本雑音除去装置による適応雑音除去動作に異常が生じたものと判断し、その旨を表す異常検知信号を出力する。従って、この異常検知信号が出力されることにより、本雑音除去装置の適応雑音除去動作に異常が生じたことを、検知できる。なお、この異常検知信号が出力されたときに、例えば、上記適応型フィルタ手段の伝達関数を一旦クリアすると共に、適応型フィルタ制御手段による適応型フィルタ手段の伝達関数の適応動作を最初から実行し直すようにすれば、元の雑音よりも大きな雑音が伝送路から出力されるという上記不具合を回避できる。
【0022】
ただし、本発明のような雑音除去装置においては、通常、適応雑音除去動作が正常に実行されているときには、第2の検出信号の信号レベルは、第1の検出信号の信号レベルに概ね比例する。従って、上記のように、第2の検出信号の信号レベルに基づいて適応雑音除去動作に異常が生じているか否かを判断する場合には、その判断基準となる第1の基準レベルを、第1の検出信号の信号レベルに応じて変化させなければ、正確な判断を実現できない。この正確な判断を実現するために、本発明では、第1の検出信号の信号レベルが大きいほど第1の基準レベルを増大させるように、第1の検出信号の信号レベルに応じて第1の基準レベルを自動的に変化させる第1の基準レベル制御手段、を設ける。
【0023】
なお、上記第1の基準レベルは、第1の検出信号の信号レベルに応じて、本雑音除去装置が正常に適応雑音除去動作を実行しているときの第2の検出信号の信号レベルの最大値よりも大きく、かつ、伝送路内に対して制御用信号を非供給としている所謂非能動雑音除去動作時の第2の検出信号の信号レベル(即ち元の雑音レベル)以下、の範囲内のレベルに設定するのが望ましい。このようにすれば、本雑音除去装置による適応雑音除去動作に異常が生じたときに、この異常が原因で元の雑音よりも大きな雑音が出力される以前に、当該異常を確実に検知できる。
【0024】
上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、第1の基準レベルをどれくらいのレベルに設定するのかのデータは、予めテーブルとして備えておいてもよい。即ち、第1の検出信号の様々な信号レベルと、これら各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき各第1の基準レベルと、の関係を表すテーブルデータを、予め第1の基準レベル記憶手段に記憶しておく。そして、実際に雑音除去動作を実行する際には、この第1の基準レベル記憶手段に記憶されているテーブルデータを参照しながら、現実の第1の検出信号の信号レベルに対応する第1の基準レベルを、選択的に設定する。このように、第1の検出信号の各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき各第1の基準レベルを予め用意しておけば、例えば第1の検出信号の信号レベルが急激に変動しても、この変動に追随して適切な第1の基準レベルを設定できる。なお、第1の基準レベル記憶手段は、例えばROMやRAM等の半導体メモリ等により構成できる。
【0025】
上記第1の基準レベル記憶手段に代えて、例えば、実際の第1の検出信号の信号レベルに応じて、その都度、設定すべき第1の基準レベルを導出する第1の基準レベル導出手段を設けてもよい。即ち、この第1の基準レベル導出手段は、実際の第1の検出信号の信号レベルに応じて、適応雑音除去動作が正常に行われているときの第2の検出信号の信号レベルの最大値よりも所定レベル大きいレベル、または、非雑音除去動作時の第2の検出信号の信号レベル(即ち雑音レベル)と略同等若しくはこの信号レベルよりも所定レベル小さいレベル、を導出する。そして、この第1の基準レベル導出手段によって導出して得たレベルを、第1の基準レベルとして設定する。このようにすれば、上記半導体メモリ構成の第1の基準レベル記憶手段を設ける必要がない。
【0026】
また、異常検知手段については、制御用信号の信号レベルと或る第2の基準レベルとを比較するようにも構成してもよい。この場合、制御用信号の信号レベルが第2の基準レベルを超え、かつ、第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えたときにのみ、適応雑音除去動作に異常が生じたものと判断して、上記異常検知信号を出力するよう構成する。換言すれば、制御用信号の信号レベルが第2の基準レベル以下であるときには、第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えたとしても、上記適応雑音除去動作の異常ではないと判断して、異常検知信号を出力しないようにする。このように、適応雑音除去動作に異常が生じているか否かを判断する際に、制御用信号の信号レベルが第2の基準レベルを超えていることを条件として付加することにより、次のような作用を奏する。
【0027】
例えば、今、本発明の能動型雑音除去装置の電源スイッチをONする等により雑音除去動作を開始した直後であって、未だ十分な雑音除去効果が得られていないとする。この状態で、異常検知手段が、例えば第2の検出信号の信号レベルのみに基づいて本能動型雑音除去装置による適応雑音除去動作に異常が生じているか否かを判断した場合、当該異常検知手段は、現在の状態を、上記適応雑音除去動作に異常が生じている状態である、と誤認識してしまう。
【0028】
ところが、雑音除去動作を開始した直後においては、制御用信号の信号レベルは小さく、制御系の適応動作が正常に進むに連れて、当該制御用信号の信号レベルは大きくなる。従って、この制御用信号の信号レベルが、小さいか否かによって、雑音除去動作を開始した直後であるか否かを判断できる。即ち、第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えている場合でも、この制御用信号の信号レベルが比較的に小さい場合には、適応雑音除去動作に異常が生じたのではなく、現在、未だ雑音除去動作を開始した直後であるために、上記第2の検出信号の信号レベルが第1の基準レベルを超えている状態にある、と認識できる。よって、制御用信号の信号レベルが上記或る第2の基準レベルよりも大きいことを条件に、第2の検出信号の信号レベルに基づいて適応雑音除去動作が正常であるか否かを判断すれば、上記のような誤認識を防止できる。
【0029】
なお、第1の検出信号の信号レベル、即ち除去対象である雑音のレベル、が大きいほど、この雑音を打ち消すべく制御用信号のレベルも大きくなければならない。従って、上記のように、制御用信号の信号レベルに基づいて雑音除去動作を開始した直後であるか否かを判断する場合には、その判断基準となる第2の基準レベルを、第1の検出信号の信号レベルに応じて変化させなければ、正確な判断を実現できない。この正確な判断を実現するためには、上記第1の基準レベル制御手段と同様、第1の検出信号の信号レベルが大きいほど第2の基準レベルを増大させるように、第1の検出信号の信号レベルに応じて第2の基準レベルを自動的に変化させる第2の基準レベル制御手段、を設ければよい。
【0030】
なお、上記第2の基準レベルは、第1の検出信号の信号レベルに応じて、制御用信号により除去対象である雑音を正常に打ち消すのに必要な(即ち所期の消音効果を得るのに必要な)当該制御用信号の信号レベル以上のレベル、に設定するのが望ましい。このようにすれば、元の雑音レベルに応じて、換言すれば伝送路内の環境に応じて、雑音除去動作が開始された直後であるか否かを確実に検知できる。
【0031】
上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、第2の基準レベルをどれくらいのレベルに設定するのかのデータは、予めテーブルとして備えておいてもよい。即ち、第1の検出信号の様々な信号レベルと、これら各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき各第2の基準レベルと、の関係を表すテーブルデータを、上述した第1の基準レベル記憶手段と同様の第2の基準レベル記憶手段に、予め記憶しておく。そして、雑音除去動作を開始した後は、この第2の基準レベル記憶手段に記憶されているテーブルデータを参照しながら、現実の第1の検出信号の信号レベルに対応する第2の基準レベルを、選択的に設定する。このように、第1の検出信号の各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき各第2の基準レベルを予め用意しておけば、雑音除去動作の開始時点での伝送路内の環境に応じて、即座に適切な第2の基準レベルを設定できる。なお、この第2の基準レベル記憶手段も、上記第1の基準レベル記憶手段と同様、例えばROMやRAM等の半導体メモリ等により構成できる。
【0032】
上記第2の基準レベル記憶手段に代えて、例えば、実際の第1の検出信号の信号レベルに応じて、その都度、設定すべき第2の基準レベルを導出する第2の基準レベル導出手段を設けてもよい。即ち、この第2の基準レベル導出手段は、実際の第1の検出信号の信号レベルに応じて、制御用信号により除去対象である雑音を正常に打ち消すのに必要な(即ち所期の消音効果を得るのに必要な)当該制御用信号の信号レベルと略同等若しくはこの信号レベルよりも所定レベル大きいレベルを導出する。そして、この第2の基準レベル導出手段によって導出して得たレベルを、第2の基準レベルとして設定する。このようにすれば、上記半導体メモリ構成の第2の基準レベル記憶手段を設ける必要がない。
【0033】
なお、本発明は、音波を除去対象とする能動型消音装置、に応用できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の能動型雑音除去装置を例えば能動型消音装置に応用する場合の一実施の形態について、図1から図3を参照して説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施の形態は、上述した図4に示す従来の消音装置において、エラー信号Eのみが入力される制御部8に代えて、リファレンス信号R、エラー信号E及び消音制御信号Aが入力される例えばCPU(中央演算処理装置)構成の制御部9を設けたものである。なお、これ以外の構成については、上記図4の従来技術と同様であるので、同等部分には図4と同一符号を付して、それらの詳細な説明を省略する。
【0036】
即ち、本実施の形態もまた、上記従来の消音装置と同様、上述したフェイルセーフ機能を実現すべく、エラーレベルEに基づいて、適応消音動作に異常が生じていないかどうかを判断するものである。ただし、本実施の形態では、リファレンスレベルRに応じて、当該判断の基準となる基準レベルEthを変化させるところに特徴を有しており、この点が本実施の形態の上記従来技術と大きく異なるところである。更に、この判断を行う際の前提条件として、消音制御信号Aの信号レベルが上記基準レベルEthとは異なる所定の基準レベルAth以上であること、という条件を付加する点も、本実施の形態の大きな特徴である。
【0037】
例えば、今、図示しないエンジンから最も大きい排気音が排出されており、スピーカ4から制御音を放出していない非消音動作状態にあるとする。この状態で、所謂初期設定として、まず、リファレンスレベルRが、R=R0となるように、リファレンス信号Rを増幅するための図示しない増幅器のゲインを調整する。これと同様に、エラーレベルEについても、E=Eoff0となるように、エラー信号Eを増幅するための図示しない増幅器のゲインを調整する。次に、上記エンジンから最も大きい排気音が排出されている状態で、スピーカ4から制御音を放出させて適応消音動作を実行する。そして、この適応消音動作が正常に実行されている状態で、消音制御信号Aの信号レベル(以下、この信号レベルを単に制御出力レベルと言い、消音制御信号Aと同じ符号で表す。)が、A=A0となるように、当該消音制御信号Aを増幅するための図示しない増幅器のゲインを調整する。なお、本実施の形態の消音装置により適応消音動作が正常に行われているときには、少なくともα[dB]以上の消音効果が得られるものとする。
【0038】
上記初期設定を終えた後、非消音動作状態にあるときと、適応消音動作がが正常に行われているときとの、リファレンスレベルRとエラーレベルEとの関係をグラフで表すと、上述した図5と同様、それぞれ図2に実線X、Yで示すようになる。即ち、グラフXで示すように、非消音動作時には、リファレンスレベルRとエラーレベルEとは、略比例する。そして、適応消音動作が正常に実行されているときは、グラフYで示すように、エラーレベルEは、各リファレンスレベルRにおいて、少なくとも上記グラフXで表されるエラーレベルEよりもα[dB]以上小さい値となる。また、図示しないが、正常に適応消音動作が実行されているときには、制御出力レベルAも、リファレンスレベルRに比例する。
【0039】
ここで、リファレンスレベルRの最大値R0を含む任意の複数のリファレンスレベルR、例えば当該最大値R0を基準とする所定間隔毎のリファレンスレベルR0、R1、R2、・・・(R0>R1>R2・・・)、における、非消音動作時のエラーレベルEを、それぞれEoff0、Eoff1、Eoff2、・・・とする。そして、適応消音動作が正常に行われているときの、上記各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・におけるエラーレベルEの最大値を、それぞれEon0、Eon1、Eon2、・・・とする。更に、上記各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・に対して、所期の消音効果を得るのに必要な制御出力レベルAを、それぞれA0、A1、A2、・・・とし、厳密にはマージンβを考慮してA0±β、A1±β、A2±β、・・・とする。これらの関係を纏めると、次の表1のようになる。
【0040】
【表1】
Figure 0004004710
【0041】
この表1及び上記図2から明らかなように、正常に適応消音動作が行われているときのエラーレベルEの最大値、換言すれば正常に適応消音動作が行われていると見なすことのできるエラーレベルEの下限値は、各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・毎に異なる。従って、エラーレベルEに基づいて適応消音動作が正常に実行されているか否かを判断する場合には、その判断基準となる基準レベルEthを、各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・に応じて変化させれば、当該判断を確実に実現できる。
【0042】
具体的には、例えば図2に点線Z’で示すように、各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・に応じて、上記基準レベルEthを、グラフYで表されるエラーレベルEよりも所定レベルγだけ大きいレベル(Eon0+γ、Eon1+γ、Eon2+γ、・・・)に設定する。より具体的には、表2に示すように、リファレンスレベルRがR=R0のときは、基準レベルEthをEth=Eon0+γとし、リファレンスレベルRがR1以上R0未満(R1≦R<R0)のときには、Eth=Eon1+γとする。そして、リファレンスレベルRがR2以上R1未満(R2≦R<R1)のときには、Eth=Eon2+γとし、以下、同様にリファレンスレベルRに応じて基準レベルEthを設定する。
【0043】
【表2】
Figure 0004004710
【0044】
そして、制御部9により、実際のリファレンスレベルRに応じた基準レベルEthとエラーレベルEとを比較する。制御部9は、エラーレベルEが基準レベルEthを超えたときに、適応消音動作に異常が生じたものと判断する。そして、上記フェイルセーフ機能として、例えば、適応フィルタ3の伝達関数Wを一旦クリア(W=0)すると共に、LMS演算部6による適応フィルタ3の伝達関数Wの適応動作を最初から実行し直すよう、これら適応フィルタ3及びLMS演算部6を制御する。これにより、消音装置を最初の正常な状態に戻すことができる。
【0045】
ただし、制御部9は、上記のように適応消音動作が正常に行われているか否かを判断する際に、その前提条件として、制御出力レベルAが、上述した所定の基準レベルAth以上であることを要求する。即ち、消音動作を開始した直後であって、未だ十分な消音効果が得られていないときに、上記エラーレベルEのみに基づいて当該判断をした場合、制御部9は、現在の状態を、適応消音動作が正常に行われていない状態である、と誤認識してしまう。
【0046】
そこで、制御部9は、制御出力レベルAを監視することによって、消音動作を開始した直後であるか否かを判断する。即ち、消音動作を開始した直後においては、制御出力レベルは小さく、この消音動作が正常に実行されるに従って、制御出力レベルは徐々に大きくなる。従って、この制御出力レベルが、小さいか否かによって、消音動作を実行した直後であるか否かを判断できる。
【0047】
具体的には、上記基準レベルAthとして、例えば所期の消音効果を得るのに必要な制御出力レベルAを設定する。より具体的には、上記表2に示すように、各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・に応じて、所期の消音効果を得るのに必要な制御出力レベルAの最小値A0−β、A1−β、A2−β、・・・を、上記基準レベルAthとして設定する。そして、制御部9により、実際のリファレンスレベルRに応じた基準レベルAthと制御出力レベルAとを比較する。制御部9は、制御出力レベルAが基準レベルAth以上であって、かつ、エラーレベルEが上記基準レベルEthを超えているときにのみ、適応消音動作に異常が生じたものと判断して、上記フェイルセーフ機能を作動させる。一方、制御出力レベルAが基準レベルAthよりも小さい場合には、エラーレベルEが上記基準レベルEthを超えていても、これを適応消音動作の異常と判断せず、上記フェイルセーフ機能を作動させないようにする。このようにすれば、消音動作を開始した直後の状態を、適応消音動作に異常が生じたと誤認識する上記不具合を回避できる。
【0048】
なお、制御部9は、上記表2に示すような各リファレンスレベルR0、R1、R2、・・・に応じて設定すべき各基準レベルEth、Athに係るテーブルデータを、予め図示しない例えば半導体メモリ構成の記憶部に記憶している。そして、実際に上記判断を行う際には、この記憶部に記憶されているテーブルデータを参照しながら、実際のリファレンスレベルRに応じた各基準レベルEth、Athを選択的に設定する。
【0049】
また、上記基準レベルEthは、非消音動作時のエラーレベルE(図2のグラフX)よりも小さい値に設定するのが望ましい。このようにすれば、消音動作時において、当該消音動作に異常が生じたときに、エラーレベルEが上記非消音動作時のレベルに達する以前に、フェイルセーフ機能が作動する。従って、元の排気音よりも大きな音が排気ダクト1から排出されるのを確実に防止できる。
【0050】
更に、上記各基準レベルEth、Athについては、上記のように予めテーブルデータ化して上記記憶部に記憶しなくても、実際のリファレンスレベルRに応じて、その都度、演算により導出するよう構成してもよい。即ち、制御部9により、次の数1及び数2に基づいて、各基準レベルEth、Athを導出する。
【0051】
【数1】
Eth=Eon+γ
ここで、Eonは、正常に適応消音動作が実行されているとき(即ち所期の消音効果が得られているとき)のエラーレベルEの最大値であり、リファレンスレベルRによって変化する。
【0052】
【数2】
Ath=A−β
ここで、Aは、上述したように、正常な適応消音動作を実現する(即ち所期の消音効果を得る)ために必要な制御出力レベルの所謂定格値であり、リファレンスレベルRによって変化する。
【0053】
このように、実際のリファレンスレベルRに応じて、その都度、各基準レベルEth、Athを導出すれば、制御部9の負担が増加するものの、本実施の形態の構成要素から上記記憶部を省略できる。また、例えば図3に点線Z"で示すように、基準レベルEthについては、上記図2の場合と異なり、リファレンスレベルRに応じて、連続的に設定できる。このことは、図示しないが、基準レベルAthについても、同様である。
【0054】
なお、本実施の形態においては、排気音という音波を減衰の対象とする能動型消音装置に本発明を応用する場合について説明したが、これに限らない。例えば、電気信号や電波等を減衰の対象とするエコーキャンセラ等の他の装置にも、本発明を応用できる。
【0055】
また、適応フィルタ3の伝達関数Wを適応制御するのにLMSアルゴリズムを用いたが、これ以外のアルゴリズムを用いてもよいし、これらのアルゴリズムを用いない他の方法によって、上記伝達関数Wの適応制御を行ってもよい。更に、上述した二次音路Cを補償するためのFIRフィルタ7についても、その伝達関数を当該二次音路Cの変化に応じて適応制御(所謂同定)するよう構成してもよい。
【0056】
そして、制御部9については、CPU構成としたが、これに限らない。即ち、純粋なハードウェア回路によって、制御部9を構成してもよい。また、上記フェイルセーフ機能を作動させる際(即ち、適応フィルタ3の伝達関数Wをクリアして、LMS演算部6による適応制御を最初から実行し直す際)に、その旨を表すメッセージ等を、図示しない表示装置等に表示させてもよい。
【0057】
更に、消音動作を開始した直後であるか否かの判断基準となる上記基準レベルAthについては、リファレンスレベルRに応じて変化させたが、常に一定としてもよい。また、エラーレベルEに基づいて適応消音動作が正常であるか否かを判断する際、制御出力レベルAが上記基準レベルAthよりも大きいことを前提条件とすることにより、消音動作開始直後の状態を適応消音動作が異常であると誤認識するのを防止したが、これに限らない。例えば、消音動作を開始したあと、所期の消音効果が得られるまでの所定時間だけ、制御部9の動作を停止させることによって、当該誤認識を防止してもよい。
【0058】
なお、本実施の形態における排気ダクト1が、特許請求の範囲に記載の伝送路に対応し、リファレンスマイクロホン2及びエラーマイクロホン5が、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2の検出手段に対応する。そして、適応フィルタ3が、特許請求の範囲に記載の適応型フィルタ手段に対応し、LMS演算部6及びFIRフィルタ7から成る部分が、特許請求の範囲に記載の適応型フィルタ制御手段に対応する。更に、制御部9が、特許請求の範囲に記載の異常検知手段、第1及び第2の基準レベル制御手段に対応し、基準レベルEth及びAthが、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1及び第2の基準レベルに対応する。そして、これら各基準レベルEth及びAthとリファレンスレベルRとの関係を表すテーブルデータを記憶した図示しない記憶部が、特許請求の範囲に記載の第1及び第2の基準レベル記憶手段に対応する。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、エラー成分を検出して得た第2の検出信号の信号レベルに基づいて適応雑音除去動作に異常が生じたか否かを判断する際、その判断基準である第1の基準レベルを、除去対象である雑音等の被制御信号を検出して得た第1の検出信号の信号レベルに応じて変化させる。従って、この第1の基準レベルに対応する基準レベルEthを常に一定とする上述した従来技術とは異なり、上記雑音等のレベル、即ち伝送路内の環境、に応じて、適応雑音除去動作に異常が生じたか否かを正確に判断でき、ひいては信頼性の高いフェイルセーフ機能を実現できるという効果がある。
【0060】
また、制御用信号の信号レベルを監視して、この信号レベルが所期の消音効果を得るのに必要なレベル以上であることを条件に、第2の検出信号の信号レベルに基づいて適応雑音除去動作が正常であるか否かを判断する機能、をも付加できる。この機能を付加すれば、雑音除去動作を開始した直後に当該雑音除去動作が異常であると誤認識するのを防止でき、より信頼性の高いフェイルセーフ機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を能動型消音装置に応用した場合の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】同実施の形態における制御部の機能を概念的に表すグラフである。
【図3】図2とは別の例を表すグラフである。
【図4】従来の能動型消音装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】従来の能動型消音装置における制御部の機能を概念的に表すグラフである。
【符号の説明】
1 排気ダクト
2 リファレンスマイクロホン
3 適応フィルタ
4 二次音源スピーカ
5 エラーマイクロホン
6 LMS演算部
7 FIRディジタルフィルタ
9 制御部

Claims (10)

  1. 伝送路に入力される被制御信号を検出して、この検出結果に応じた第1の検出信号を出力する第1の検出手段と、
    上記伝送路から出力される信号を検出して、この検出結果に応じた第2の検出信号を出力する第2の検出手段と、
    上記第1の検出信号を処理して、この処理して得た制御用信号を上記伝送路内に供給する適応型フィルタ手段と、
    上記第1及び第2の各検出信号が入力され、これら各検出信号に基づいて、上記制御用信号の特性が、上記被制御信号を打ち消すのに必要な特性となる状態に、上記適応型フィルタ手段による処理内容を制御する適応型フィルタ制御手段と、
    上記第2の検出信号の信号レベルと或る第1の基準レベルとを比較して、該第2の検出信号の信号レベルが該第1の基準レベルを超えたとき、異常検知信号を出力する異常検知手段と、
    上記第1の検出信号の信号レベルが大きいほど上記第1の基準レベルを増大させる状態に、該第1の検出信号の信号レベルに応じて該第1の基準レベルを変化させる第1の基準レベル制御手段と、
    を具備する能動型雑音除去装置。
  2. 上記第1の基準レベル制御手段が、上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、上記第1の基準レベルを、上記制御用信号により上記被制御信号を略正常に打ち消していると見なせる状態にあるときの上記第2の検出信号の信号レベルの最大値よりも大きく、上記伝送路内に対して上記制御用信号を非供給としたときの上記第2の検出信号の信号レベル以下、の範囲内のレベルに設定する状態に構成された、請求項1に記載の能動型雑音除去装置。
  3. 上記第1の基準レベル制御手段が、予め上記第1の検出信号の様々な信号レベルとこれら各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき上記各第1の基準レベルとの関係をデータ化して記憶した第1の基準レベル記憶手段を備え、この第1の基準レベル記憶手段に記憶されているデータに基づいて上記第1の検出信号の信号レベルに対応する上記第1の基準レベルを選択的に設定する状態に構成された、請求項2に記載の能動型雑音除去装置。
  4. 上記第1の基準レベル制御手段が、上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、上記制御用信号により上記被制御信号を略正常に打ち消していると見なせる状態にあるときの上記第2の検出信号の信号レベルの最大値よりも所定レベル大きいレベル、または、上記伝送路内に対して上記制御用信号を非供給としたときの上記第2の検出信号の信号レベルと略同等若しくは該信号レベルよりも所定レベル小さいレベル、を導出する第1の基準レベル導出手段を備え、この第1の基準レベル導出手段によって導出して得たレベルを上記第1の基準レベルとして設定する状態に構成された、請求項2に記載の能動型雑音除去装置。
  5. 上記異常検知手段が、上記制御用信号の信号レベルと或る第2の基準レベルとを比較して、該制御用信号の信号レベルが該第2の基準レベルを超えかつ上記第2の検出信号の信号レベルが上記第1の基準レベルを超えたときに上記異常検知信号を出力し、上記制御用信号の信号レベルが上記第2の基準レベル以下であるときには上記第2の検出信号の信号レベルが上記第1の基準レベルを超えたとしても上記異常検知信号を非出力とする状態に構成された、請求項1に記載の能動型雑音除去装置。
  6. 上記第1の検出信号の信号レベルが大きいほど上記第2の基準レベルを増大させる状態に、該第1の検出信号の信号レベルに応じて該第2の基準レベルを変化させる第2の基準レベル制御手段、を設けた、請求項5に記載の能動型雑音除去装置。
  7. 上記第2の基準レベル制御手段が、上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、上記第2の基準レベルを、上記制御用信号により上記被制御信号を略正常に打ち消すのに必要な該制御用信号の信号レベル以上のレベルに設定する状態に構成された、請求項6に記載の能動型雑音除去装置。
  8. 上記第2の基準レベル制御手段が、予め上記第1の検出信号の様々な信号レベルとこれら各信号レベルに応じてそれぞれ設定すべき上記各第2の基準レベルとの関係をデータ化して記憶した第2の基準レベル記憶手段を備え、この第2の基準レベル記憶手段に記憶されているデータに基づいて上記第1の検出信号の信号レベルに対応する上記第2の基準レベルを選択的に設定する状態に構成された、請求項7に記載の能動型雑音除去装置。
  9. 上記第2の基準レベル制御手段が、上記第1の検出信号の信号レベルに応じて、上記制御用信号により上記被制御信号を略正常に打ち消すのに必要な該制御用信号の信号レベルと略同等若しくはこの信号レベルよりも所定レベル大きいレベルを導出する第2の基準レベル導出手段を備え、この第2の基準レベル導出手段によって導出して得たレベルを上記第2の基準レベルとして設定する状態に構成された、請求項7に記載の能動型雑音除去装置。
  10. 上記被制御信号が、音波であって、上記能動型雑音除去装置が、上記音波を除去する能動型消音装置である、請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10に記載の能動型雑音除去装置。
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