JP2003177761A - 適応フィルタ - Google Patents

適応フィルタ

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JP2003177761A JP2002244643A JP2002244643A JP2003177761A JP 2003177761 A JP2003177761 A JP 2003177761A JP 2002244643 A JP2002244643 A JP 2002244643A JP 2002244643 A JP2002244643 A JP 2002244643A JP 2003177761 A JP2003177761 A JP 2003177761A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常に正常な適応動作を実現する。 【解決手段】 排気ダクト1を伝搬する騒音を2次音源
スピーカから放音される音波によって打ち消すために、
FIR適応型ディジタルフィルタ3の伝達関数Wとこの
フィルタ3とエラーマイクロホン6との間に存在する伝
達関数Cとの合成伝達関数が、排気ダクト1の伝達関数
Pと等しくなるように、Filtered-x LMSアルゴリズム
実行部8によってフィルタ3の伝達関数Wを制御する。
この制御系をFiltered-x LMSアルゴリズム構成とする
ために、伝達関数Cを同定したFIRディジタルフィル
タ7についても、伝達関数Cが変化した場合、伝達関数
Cと等しくなるまで、フィルタ7の伝達関数CIの振幅
または位相を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、時間的に特性の変
化する信号やこれに含まれる雑音等に対し、その変化分
に応じて伝達関数、特にフィルタ係数を更新しながらフ
ィルタリング処理を実行する適応フィルタに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】上記のような適応フィルタは、アクティ
ブ消音装置や、エコー・キャンセラ、ノイズ・キャンセ
ラ、ライン・エンハンサ等、多くの分野で応用されてい
る。図4に、この適応フィルタを、例えばアクティブ消
音装置に応用した一従来例を示す。このアクティブ消音
装置は、例えばエンジン等の騒音に対し、これと実質的
に等大で逆位相の音波を干渉させることにより上記騒音
を減衰させるもので、その減衰の対象とする騒音は、同
図において、排気ダクト1内を同図の左側から右側に向
かって伝搬しているものとする。
【0003】このアクティブ消音装置は、排気ダクト1
の入口側(同図の左側)において上記騒音をリファレン
スマイクロホン(1次マイクロホン)2によって収音
し、このリファレンスマイクロホン2によって収音され
た騒音信号xk が入力されるFIR適応型ディジタルフ
ィルタ(以下、ディジタルフィルタと称す。)3を有し
ている。このディジタルフィルタ3は、入力された騒音
信号xk に対して、後述するFiltered-x LMSアルゴリズ
ム実行部8により設定されるフィルタ係数ベクトル vW
k を用いて所定のフィルタリング処理、例えば畳み込み
和演算を施すもので、その演算結果yk を出力する。そ
して、このディジタルフィルタ3の出力yk は、反転器
4によって位相が反転された後、2次音源スピーカ5に
供給される。2次音源スピーカ5は、供給された上記出
力yk の位相を反転した信号に応じた音波を排気ダクト
1内に放音し、即ち排気ダクト1内を伝搬している騒音
に干渉させ、これによって上記騒音を打ち消している。
【0004】更に、排気ダクト1の出口側にはエラーマ
イクロホン(2次マイクロホン)6が配置されており、
このエラーマイクロホン6によって、上記騒音を2次音
源スピーカ5の放射音で打ち消した後の音、つまりは騒
音と2次音源スピーカ5の放射音との誤差成分を検出し
ている。このエラーマイクロホン6の出力は、エラー信
号ek として上述したFiltered-x LMSアルゴリズム実行
部8に供給される。また、このFiltered-x LMSアルゴリ
ズム実行部8には、上記エラー信号ek の他に、騒音信
号xk も供給されている。
【0005】Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8は、
供給された上記騒音信号xk とエラー信号ek とに応じ
て、ディジタルフィルタ3の伝達関数Wk と後述する伝
達関数Cとの合成による伝達関数(両者を掛けて得られ
た伝達関数)が、排気ダクト1におけるリファレンスマ
イクロホン2からエラーマイクロホン6までの伝達関数
Pと等しくなるように、ディジタルフィルタ3のフィル
タ係数ベクトル vWkを更新する。このように、上記デ
ィジタルフィルタ3の伝達関数Wk と伝達関数Cとの合
成による伝達関数を、排気ダクト1内の伝達関数Pに等
しくすることによって初めて、上記排気ダクト1内の騒
音を2次音源スピーカ5の放射音により打ち消すことが
できる。また、排気ダクト1内の音響特性や2次音源ス
ピーカ5の放音特性に経時的な変化が生じ、これによっ
て排気ダクト1内の伝達関数Pが変化しても、その変化
に応じて上記ディジタルフィルタ3の伝達関数Wも上記
フィルタ係数ベクトル vWk の更新により変化するの
で、常に安定した消音効果を得ることができる。
【0006】ところで、上記のようなアクティブ消音装
置においては、ディジタルフィルタ3(詳しくは、反転
器4)の出力端子(即ち2次音源スピーカ5の入力端
子)からエラーマイクロホン6の配置位置までの間に伝
達関数Cが存在する。従って、上記のようなディジタル
フィルタ3のフィルタ係数ベクトル vWk の更新、即ち
適応動作を実現するには、このアクティブ消音装置の制
御系をFiltered-x LMSアルゴリズムの構成とする必要が
あり、このため、上記フィルタ係数ベクトル vWk の更
新をFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8により実行し
ている。
【0007】即ち、このアクティブ消音装置において
は、リファレンスマイクロホン2とFiltered-x LMSアル
ゴリズム実行部8との間に、上記伝達関数Cを同定(モ
デル化)したFIRディジタルフィルタ7を設けてい
る。そして、このFIRディジタルフィルタ7によって
上記リファレンスマイクロホン2からの騒音信号xk を
フィルタリング処理し、その処理した信号Rk を、Filt
ered-x LMSアルゴリズム実行部8に入力するよう構成さ
れている。なお、上記伝達関数Cの同定は、例えば、予
めこの伝達関数Cを測定し、これを逆フーリエ変換して
求めた時間領域のデータを上記ディジタルフィルタ7の
フィルタ係数として設定しており、これによって上記デ
ィジタルフィルタ7の伝達関数CIを決定している。
【0008】上記のように構成された制御系において、
Filtered-x LMSアルゴリズム実行部8におけるディジタ
ルフィルタ3のフィルタ係数(ベクトル) vWk の更新
式は、数1によって表される。
【0009】
【数1】vWk+1 = vWk +2μ・ek ・ vRk
【0010】但し、kは、タイム(サンプリング)・イ
ンデックス、μは、収束係数である。また、 vWk は、
時刻kにおけるディジタルフィルタ3のフィルタ係数ベ
クトルで、数2によって表される。
【0011】
【数2】 vWk =〔w0,k w1,k w2,k ・・・wL-1,k 〕T
【0012】ここで、T は、転置を表し、wは、時変の
フィルタ係数、Lは、ディジタルフィルタ3のタップ長
である。また、 vRk は、FIRディジタルフィルタ7
の出力信号Rk で構成されるベクトルで、数3によって
表される。
【0013】
【数3】vRk =〔CIT VXk CITV
Xk-1 ・・・CITVXk-L+1 〕T
【0014】CIはFIRディジタルフィルタ7のフ
ィルタ係数ベクトルであり、時変のフィルタ係数ciを
用いて、数4のように表される。
【0015】
【数4】 CI=〔ci0 ci1 ci2 ・・・ciL-1T
【0016】また、 vXk は、時刻kにおける騒音信号
(リファレンス入力信号)xk で構成されるベクトル
で、数5によって表される。
【0017】
【数5】 vXk =〔xk xk-1 xk-2 ・・・xk-L+1 〕T
【0018】上記数1において、ek の2乗期待値が最
小となるように vWk+1 が更新され、即ちこの適応フィ
ルタの適応動作が行われる。
【0019】なお、上述したディジタルフィルタ3、反
転器4、FIRディジタルフィルタ7、及びFiltered-x
LMSアルゴリズム実行部8については、例えばDSP
(ディジタル信号処理装置)やCPU(中央演算処理装
置)等によって、構成されている。そして、これらのD
SPやCPU等は、図示しないメモリ等の記憶部に記憶
されたプログラムに従って動作し、即ち上述の適応動作
等を実行する。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
制御系、特にアクティブ消音装置においては、伝達関数
Cが、時間の経過と共に変化することがある。これは、
例えばエンジンを運転させていると排気ダクト1内の温
度が徐々に上昇し、この温度上昇により排気ダクト1内
を伝搬する騒音の音速が変化(増大)すること等が起因
している。これに対して、FIRディジタルフィルタ7
の伝達関数CIは、一定とされているので、この伝達関
数CIと上記伝達関数Cとが次第に乖離し、即ち不一致
となる。これによって、エラー信号ek の2乗期待値が
最小化されず、特定の周波数で騒音が消音されないばか
りか、逆に不要な騒音を2次音源スピーカ5が放出する
という事態が生じるという問題がある。この現象は、エ
ンジンの運転時間が長くなればなる程、起動時からの温
度変化が大きくなるので、顕著になる。
【0021】なお、ここで、上記伝達関数CIと伝達関
数Cとが乖離すると、上記エラー信号ek の2乗期待値
が最小化されなくなり、例えば上記のようなアクティブ
消音装置においては消音効果を得られなくなるというこ
とについて、図4から図7を参照して説明する。
【0022】即ち、上述した数1の更新式を、フーリエ
変換により周波数領域で表示し直すと、数6に示すよう
になる。
【0023】
【数6】Wk+1 =Wk +2μ・F{ek ・ vRk } 但し、F{ }は、フーリエ変換を示す。
【0024】上記数6における〔ek ・ vRk 〕は、e
k と vRk との相関であり、これをフーリエ変換する
と、数7に示すようになる。
【0025】
【数7】F{ek ・ vRk }=Ek ・Rk * なお、Ek は、ek をフーリエ変換したものである。ま
た、Rk * は、 vRkをフーリエ変換したものの複素共
役である。
【0026】一方、FIRディジタルフィルタ7の出力
信号Rk の周波数特性は、数8で表される。
【0027】
【数8】Rk =CI・Xk 但し、Xk は、騒音信号ベクトル vXk をフーリエ変換
したものである。
【0028】上記数8の両辺の複素共役をとると、数9
のようになる。
【0029】
【数9】Rk * =〔CI・Xk 〕* =CI* ・Xk *
【0030】よって、この数9と上記数7とを用いる
と、上記数6は、次の数10のように表される。
【0031】
【数10】Wk+1 =Wk +2μ・Ek ・CI* ・Xk *
【0032】ここで、図4に示すブロック図を、簡略化
し、例えば適応動作部分(FIRディジタルフィルタ7
とFiltered-x LMSアルゴリズム実行部8)を省略して表
すと、図5に示すようになる。同図において、各伝達関
数P、W、Cを含めたこの制御系全体の伝達関数(リフ
ァレンスマイクロホン2からエラーマイクロホン6まで
の伝達関数)Hは、数11で表される。
【0033】
【数11】H=P−C・W 但し、各伝達関数H、P、W、Cは、周波数fの関数で
ある。
【0034】この数11と、上記数10を用いると、時
刻k+1における制御系全体の伝達関数Hk+1 は、数1
2で表される。
【0035】
【数12】 Hk+1 =P−C・Wk+1 =P−C(Wk +2μ・Ek ・CI* ・Xk * ) =P−C・Wk −2μ・C・CI* ・Ek ・Xk *
【0036】また、この数12と同様に、時刻kにおけ
る制御系全体の伝達関数Hk は、数13で表される。
【0037】
【数13】Hk =P−C・Wk-1 −2μ・C・CI*
Ek-1 ・Xk-1 *
【0038】上記数12から数13を減算することによ
り、数14が得られる。
【0039】
【数14】Hk+1 −Hk =−C(Wk −Wk-1 )−2μ
・C・CI* ・Ek ・Xk *+2μ・C・CI* ・Ek-1
・Xk-1 *
【0040】ここで、上記数10を変形すると、数15
が得られる。
【0041】
【数15】Wk+1 −Wk =2μ・Ek ・CI* ・Xk *
【0042】更に、この数15の時刻を1つずらして考
えると、数16が得られる。
【0043】
【数16】 Wk −Wk-1 =2μ・Ek-1 ・CI* ・Xk-1 *
【0044】従って、この数16を、上記数14に代入
すると、次の数17を得られる。
【0045】
【数17】
【0046】また、Ek =Hk ・Xk であるから、これ
を上記数17に代入すると、数18を得る。
【0047】
【数18】 Hk+1 −Hk =−2μ・C・CI* ・Hk ・Xk ・Xk * =−2μ・|Xk |2 ・C・CI* ・Hk
【0048】この数18は、次の数19のように変形さ
れる。
【0049】
【数19】 Hk+1 =(1−2μ・|Xk |2 ・C・CI* )・Hk
【0050】この数19によれば、時刻kにおける伝達
関数Hk が、時刻k+1においては、Filtered-x LMSア
ルゴリズム実行部8による1回の更新を経て〔1−2μ
・|Xk |2 ・C・CI* 〕倍されることを示してい
る。
【0051】ここで、減衰の対象とする騒音の騒音源
が、例えばエンジン等である場合には、その騒音信号x
k は、比較的に周期性の強い、即ち時刻kによらず周期
的に略一定した信号であると考えることができる。従っ
て、上記数19における|Xk|2 を、その平均値|X
2 AVE に置き換えると、上記数19は、数20のよう
に表される。
【0052】
【数20】 Hk+1 =(1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* )・Hk =(1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI*k+1 ・H0
【0053】この数20は、適応動作を繰り返して(適
応回数kを増大させて)、エラー信号ek の2乗期待値
を零又は最小値に漸近させるためには、この適応フィル
タの制御対象とする全ての周波数において、〔1−2μ
・|X|2 AVE ・C・CI*〕が、図6に示すように、
複素平面上の単位円内に存在しなければならないことを
表している。なお、同図における振幅A1 、A2 、及び
位相θ1 、θ2 の関係は、数21、数22で表される。
【0054】
【数21】1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* =A1
・exp〔jθ1
【0055】
【数22】−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* =A2
exp〔j(π+θ2 )〕
【0056】上記数22において、〔2μ・|X|2
AVE 〕は実数であるから、上記位相θ 2 は〔C・C
* 〕の偏角に等しい。ここで、伝達関数CIは、予め
伝達関数Cを同定したものであるから、適応動作の開始
当初(時刻kが小さいうち)においては、上記〔C・C
* 〕は、略|CI|2 に等しい実数であるので、この
ときの位相θ2 はθ2 ≒0になる。従って、適当な収束
係数μを設定することにより、適応動作の開始当初にお
いては、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI*
(≒〔1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|2 〕)が、複
素平面上の単位円内に存在し、即ち数23の条件を満足
する。
【0057】
【数23】 −1<〔1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|2 〕<1
【0058】従って、この数23を満足し得る適応動作
の開始当初においては、エラー信号ek の2乗期待値
は、零又は最小値に漸近するので、正常な適応動作が実
現され、例えばアクティブ消音装置においては消音効果
を得ることができる。
【0059】しかし、上述したように、何らかの原因、
例えば上記アクティブ消音装置においては排気ダクト1
内の温度上昇による音速の変化により、このアクティブ
消音装置の制御対象とする周波数範囲内において、上記
2つの伝達関数C、CIが乖離すると、上記〔C・CI
* 〕が複素数となり、その偏角である位相θ2 が大きく
なる。そして、この位相θ2 が大きくなり過ぎると、例
えば図7に示すように、上述した〔1−2μ・|X|2
AVE ・C・CI* 〕が、単位円の外にはみ出してしまう
ことがある。
【0060】このように、上記〔1−2μ・|X|2
AVE ・C・CI* 〕が、単位円の外にはみ出してしまう
と、それ以降の適応動作によって、エラー信号ek にお
ける上記伝達関数C、CIが乖離する周波数成分の振幅
が増大し、これによって、上記エラー信号ek の2乗期
待値が、零又は最小値に収束しなくなる。従って、正常
な適応動作を実現することができなくなり、例えばアク
ティブ消音装置においては、消音効果を得ることができ
なくなる。即ち、上記のようなアクティブ消音装置にお
いて確実に消音効果を得る(正常な適応動作を実現す
る)ためには、上記伝達関数CIが、上記伝達関数Cに
対して、常に十分な精度で同定されていなければならな
い。
【0061】本発明は、伝達関数Cに変化が生じても、
この伝達関数Cの変化に応じて伝達関数CIを変化させ
ることによって、常に安定した適応動作を実現すること
のできる適応フィルタを提供することを目的とする。
【0062】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明は、第1の伝達関数を有する
伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手段と、
上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手
段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上
記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記第1及
び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに応じ
て、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応型フ
ィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第2の
伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝達関
数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝達関
数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出手段
と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2の伝
達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の検出
手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定手段
の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定制御
手段とを、具備し、上記同定制御手段は、上記第2の検
出手段の出力信号のうち所定の時間間隔内において増加
した周波数成分を検出し、この周波数成分が減少するま
で、上記同定手段の伝達関数の振幅を上記周波数につい
て変化させる。
【0063】請求項2記載の発明は、第1の伝達関数を
有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手
段と、上記伝送路から出力される信号を検出する第2の
検出手段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこ
れを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記
第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに
応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応
型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第
2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝
達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝
達関数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出
手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2
の伝達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の
検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定
手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定
制御手段とを、具備し、上記同定制御手段は、上記第2
の検出手段の出力信号のうち所定の時間間隔内において
増加した周波数成分を検出し、この周波数成分が減少す
るまで、上記同定手段の伝達関数の位相を上記周波数に
ついて変化させる。
【0064】請求項3記載の発明は、第1の伝達関数を
有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手
段と、上記伝送路から出力される信号を検出する第2の
検出手段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこ
れを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記
第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに
応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応
型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第
2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝
達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝
達関数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出
手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2
の伝達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の
検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定
手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定
制御手段とを、具備し、上記同定制御手段は、所定の時
間間隔で該時間内における上記第2の検出手段の出力信
号の自乗値の変化を検出し、上記時間間隔内において上
記自乗値が増加したとき、この自乗値が減少するまで、
上記同定手段の伝達関数の振幅を変化させる。
【0065】請求項4記載の発明は、第1の伝達関数を
有する伝送路に入力される信号を検出する第1の検出手
段と、上記伝送路から出力される信号を検出する第2の
検出手段と、上記第1の検出手段の出力信号を処理しこ
れを上記伝送路に放出する適応型フィルタ手段と、上記
第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これらに
応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記適応
型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在する第
2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1の伝
達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段の伝
達関数を制御するフィルタ制御手段と、上記第1の検出
手段と上記フィルタ制御手段との間に介在し、上記第2
の伝達関数を同定する同定手段と、上記第1及び第2の
検出手段の出力信号を入力し、これらに応じて上記同定
手段の伝達関数を上記第2の伝達関数と相補にする同定
制御手段とを、具備し、上記同定制御手段は、所定の時
間間隔で該時間内における上記第2の検出手段の出力信
号の自乗値の変化を検出し、上記時間間隔内において上
記自乗値が増加したとき、この自乗値が減少するまで、
上記同定手段の伝達関数の位相を変化させる。
【0066】
【発明の実施の形態】本発明の参考の形態について、図
1を参照して説明する。同図に示すように、このアクテ
ィブ消音装置は、上述した図4に示す従来のアクティブ
消音装置において、リファレンスマイクロホン2から出
力される騒音信号xk とエラーマイクロホン6から出力
されるエラー信号ek とが入力される伝達関数演算部9
を設けたものである。そして、この伝達関数演算部9に
よって、上記騒音信号xk とエラー信号ek とに応じ
て、FIRディジタルフィルタ7の伝達関数CIを更新
するよう構成したものである。なお、これ以外の構成に
ついては、上記図4の従来技術と同様であり、同等部分
には同一符号を付し、その構成についての詳細な説明を
省略する。
【0067】即ち、伝達関数演算部9は、例えば次の数
24に示す更新式に基づいて、FIRディジタルフィル
タ7の伝達関数CIとして新たに設定する伝達関数CI
NEWを算出する。そして、この算出結果CINEW を、上
記伝達関数CIに代えて、新たに上記ディジタルフィル
タ7に設定し、即ち上記伝達関数CIを更新させるもの
である。
【0068】
【数24】CINEW =(1−ERATIO 1/n )/(2μ・
|X|2 AVE ・CIOLD * ) なお、ERATIO =Ek+n /Ek 、nは、この伝達関数C
NEW の更新ステップ数で、n=1、2、・・・であ
る。また、CIOLD * は、更新前の伝達関数CIの複素
共役である。
【0069】以下に、この数24の導出過程を説明す
る。即ち、今、適応動作の開始時刻(時刻0)から時刻
kの間においては、伝達関数CIは、伝達関数Cに対し
て、十分な精度で同定しているものとする。この状態に
おいては、上述したように、C・CI* ≒|CI|2
関係が成り立つので、上述の数20より、次の数25が
導かれる。
【0070】
【数25】Hk =(1−2μ・|X|2 AVE ・|CI|
2 k ・H0
【0071】次に、時刻k+1から時刻k+nの間にお
いて、伝達関数Cが、CNEW に変化しているものとする
と、このときの制御系全体における伝達関数Hk+n は、
数26で表される。
【0072】
【数26】Hk+n =(1−2μ・|X|2 AVE ・CNEW
・CI*n ・Hk
【0073】ここで、時刻k及び時刻k+nにおけるエ
ラー信号特性Ek 及びEk+n は、数27及び数28で表
される。
【0074】
【数27】Ek =Hk ・XAVE 但し、XAVE は、Xk の平均値である。
【0075】
【数28】Ek+n =Hk+n ・XAVE
【0076】数27におけるEk は、エラー信号eで構
成されるエラー信号ベクトル vEkをフーリエ変換した
もので、次の数29で表される。これは、数28におけ
るEk+n についても同様である。
【0077】
【数29】 vEk =〔ek ek-1 ek-2 ・・・ek-L+1 }T
【0078】この数27と数28との比ERATIO をとる
と、数30のようになる。
【0079】
【数30】ERATIO =Ek+n /Ek =Hk+n /Hk
【0080】そして、この数30に、上記数26を代入
すると、数31が得られる。
【0081】
【数31】ERATIO =(1−2μ・|X|2 AVE ・C
NEW ・CI*n
【0082】この数31は、次の数32のように変形で
きる。
【0083】
【数32】CNEW =(1−ERATIO 1/n )/(2μ・|
X|2 AVE ・CI*
【0084】即ち、この伝達関数CNEW (伝達関数Cが
変化した結果)を、FIRディジタルフィルタ7の新た
な伝達関数CINEW として用いることによって、上記伝
達関数Cの変化に応じて、ディジタルフィルタ7の伝達
関数CIを更新させることができる。従って、この数3
1の伝達関数CNEW を、CINEW に置き換えることによ
り、上述の数24が導出される。なお、この数31にお
けるCI* については、FIRディジタルフィルタ7の
更新前の伝達関数(複素共役)であるので、上記更新用
の新たな伝達関数CINEW と区別するために、上記数2
4においてはCIOLD * としている。
【0085】また、一般に、上記数31における〔2μ
・|X|2 AVE ・CNEW ・CI* 〕の絶対値は、1より
も十分に小さい値となる。従って、上記数28で表され
る比ERATIO は、次の数33に示すように近似できる。
【0086】
【数33】 ERATIO ≒1−2nμ・|X|2 AVE ・CNEW ・CI*
【0087】そして、この数33を、伝達関数CNEW
ついての式に変形すると、数34のようになる。
【0088】
【数34】CNEW =(1−ERATIO )/(2nμ・|X
2 AVE ・CI*
【0089】従って、上述の数24の代わりに、次に示
す数35を使用して、ディジタルフィルタ7の新たな伝
達関数CINEW を算出し、これを上記ディジタルフィル
タ7に設定してもよい。
【0090】
【数35】CINEW =(1−ERATIO )/(2nμ・|
X|2 AVE ・CIOLD *
【0091】なお、上記数24及び数35に示す更新式
は、周波数領域で表現した伝達関数であるので、実際に
FIRディジタルフィルタ7のフィルタ係数の更新値を
決定するには、上記数24及び数35により求めた伝達
関数CINEW を、逆フーリエ変換することにより時間領
域のデータに置き換える必要がある。
【0092】上記のような更新演算を行う伝達関数演算
部9もまた、DSPやCPU等によって構成されていお
り、これらのCPUやDSP等は、上述した記憶部に記
憶されているプログラムに従って、上記伝達関数CIの
更新制御(数24及び数35の演算)等を実行する。ま
た、この伝達関数CIの更新制御において、その演算に
必要となるパラメータ、例えば収束係数μや更新前の伝
達関数CIOLD 等についても、上記記憶部に記憶されて
いる。
【0093】また、上記数24及び数35の更新式にお
いては、|X|2 AVE を、これに代えて、時刻kにおけ
る|X|2 の値、即ち|Xk |2 、または、現時刻k+
nにおける|X|2 の値、即ち|Xk+n |2 に置き換え
ることもできる。
【0094】更に、伝達関数Cが、伝達関数CIと乖離
する速度は、それほど急峻なものではないので、サンプ
リング数kが1ずつ増加する(即ち上記数24及び数3
5においてnをn=1とする)毎に、伝達関数CIを更
新する必要はなく、例えば複数サンプリング(即ちn≧
2とする)毎に1回程度の更新でもよい。このように、
更新サイクルを長くすることによって、上記数24及び
数35の演算時間を稼ぐことができ、即ち上記演算を実
行するDSPやCPU等に対する負担を軽減することが
できる。
【0095】また、上記数24及び数35により上記伝
達関数CIの更新を行うと、この伝達関数CIは、その
振幅及び位相共に新たな値に変化するが、この伝達関数
CIの振幅を変化させずに、位相θCI(θCI=arg
〔CI〕)のみを変化させることにより、上記伝達関数
CIを更新してもよい。この位相θCIのみを変化させる
更新式は、上記数24及び数35から導出することがで
きる。即ち、数24からは、次の数36が導出される。
【0096】
【数36】 θCINEW =arg〔(1−ERATIO 1/n )/ (2μ・|X|2 AVE ・CIOLD * )〕 =arg〔(1−ERATIO 1/n )/CIOLD * 〕 =arg〔1−ERATIO 1/n 〕−arg〔CIOLD * 〕 =arg〔1−ERATIO 1/n 〕+arg〔CIOLD
【0097】また、この数36から、数37が導出され
る。
【0098】
【数37】θCINEW =arg〔ERATIO 1/n −1〕±π
+arg〔CIOLD
【0099】一方、数35からは、次の数38が導出さ
れる。
【0100】
【数38】 θCINEW =arg〔(1−ERATIO )/ (2nμ・|X|2 AVE ・CIOLD * )〕 =arg〔(1−ERATIO )/CIOLD * 〕 =arg〔1−ERATIO 〕−arg〔CIOLD * 〕 =arg〔1−ERATIO 〕+arg〔CIOLD
【0101】また、この数38から、数39が導出され
る。
【0102】
【数39】θCINEW =arg〔ERATIO −1〕±π+a
rg〔CIOLD
【0103】即ち、上記数36乃至数39のいずれかの
演算により、伝達関数CIを更新させてもよい。このよ
うに、伝達関数CIの位相θCIのみを変化させた場合
でも、上述の図6及び図7における位相θ2 は零となる
ので、エラー信号ek の2乗期待値は零又は最小値へと
収束し、即ち正常な適応動作を実現できる。
【0104】なお、上記のように位相θCIのみを更新さ
せる場合は、例えば図7に示すように、〔1−2μ・|
X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円からはみ出した周波
数についてのみ更新を行ってもよいし、この適応フィル
タが制御対象とする全周波数領域について上記更新を行
ってもよい。
【0105】また、上記〔1−2μ・|X|2 AVE ・C
・CI* 〕が、単位円をはみ出したか否かにより上記位
相θCIの更新を行うのではなく、この〔1−2μ・|X
2 AVE ・C・CI* 〕が、予め定めたある値を越えた
か否かを判断し、この値を越えた周波数についてのみ上
記更新を行うよう構成してもよい。
【0106】上記のように、本参考形態によれば、何ら
かの原因、例えばアクティブ消音装置においては排気ダ
クト1内の温度上昇により生じる音速の変化等によっ
て、伝達関数Cに変化が生じると、その変化した伝達関
数CNEW (を算出した結果)が、FIRディジタルフィ
ルタ7の新たな伝達関数CINEW として更新される。即
ち、上記伝達関数Cが一定とされている従来技術とは異
なり、伝達関数Cの変化に応じて、ディジタルフィルタ
7の伝達関数CIも更新される。従って、ディジタルフ
ィルタ7の伝達関数CIは、伝達関数Cに対して常に十
分な精度で同定された状態になる。このような状態にお
いては、適応フィルタの適応動作により、エラー信号e
k の2乗期待値は零又は最小値に収束されるので、常に
正常な適応動作を実現することができ、例えばアクティ
ブ消音装置においては常に安定した消音効果を得ること
ができる。
【0107】なお、本参考形態における排気ダクト1
が、特許請求の範囲に記載の伝送路に対応し、この排気
ダクト1内の伝達関数Pが、第1の伝達関数に対応す
る。そして、リファレンスマイクロホン2及びエラーマ
イクロホン6が、各々第1及び第2の検出手段に対応す
る。また、ディジタルフィルタ3が、特許請求の範囲に
記載の適応型フィルタ手段に対応し、Filtered-x LMSア
ルゴリズム実行部8が、フィルタ制御手段に対応する。
そして、ディジタルフィルタ3の出力端子からエラーマ
イクロホン6の配置位置までの伝達関数Cが、第2の伝
達関数に対応する。更に、FIRディジタルフィルタ7
が、同定手段に対応し、伝達関数演算部9が、同定制御
手段に対応する。
【0108】次に、本発明に係る適応フィルタの1実施
の形態について、図2及び図3を参照して説明する。な
お、本実施の形態も、上述した参考形態と同様に、上記
適応フィルタをアクティブ消音装置に応用したもので、
その概略構成は、図1と同様である。この実施の形態と
上記参考形態とが異なるところは、伝達関数演算部9に
おけるディジタルフィルタ7の伝達関数CIの更新(演
算)方法のみであるので、本実施の形態においては、そ
の概略構成についての詳細な説明は省略する。
【0109】即ち、何らかの原因、例えばアクティブ消
音装置においては排気ダクト1内の温度上昇により生じ
る音速の変化等によって、伝達関数Cに変化が生じる
と、上述したように、この適応フィルタの適応動作が不
安定な方向へと向かい、その結果、エラー信号ek が増
加する。そこで、伝達関数演算部9により、これに入力
された上記エラー信号ベクトル vEk をフーリエ変換
し、これによってエラー信号ek の周波数特性、即ちE
k を算出する。
【0110】次に、時刻kから、n時間経過後のエラー
信号ベクトル vEk+n をフーリエ変換し、これによって
上記エラー信号ek+n の周波数特性、即ちEk+n を算出
する。
【0111】そして、上記Ek とEk+n とを比較し、上
記時間nの間に、エラー信号ek が増加した周波数成分
を検出する。
【0112】このエラー信号ek が増加した周波数にお
けるディジタルフィルタ7の伝達関数CIを、次のいず
れかの方法により更新する。
【0113】即ち、上記周波数における伝達関数CIの
振幅を小さくするよう、この伝達関数CIの振幅特性を
更新する。これによって、この伝達関数CIの複素共役
CI* の絶対値も小さくなり、上述した数22における
〔2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕の絶対値A2 も小
さくなる。この状態を複素平面で表すと、例えば図2に
示すようになる。
【0114】同図(a)に示すように、上述した〔1−
2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が、複素平面上の単
位円の外にはみ出している場合でも、上記絶対値A2
小さくすることにより、同図(b)に示すように、上記
〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕を、単位円内
に収めることができる場合がある。このように、上記
〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円内に
収まると、この適応フィルタの適応動作が正常化され、
上記エラー信号ek の増加が抑制され、即ち伝達関数C
の変化に応じてディジタルフィルタ7の伝達関数CIが
更新されることになる。
【0115】一方、上記のように伝達関数CIの振幅特
性を更新するのではなく、伝達関数CIの位相特性のみ
を更新する方法がある。
【0116】即ち、上記伝達関数Cの変動が、上述した
ように排気ダクト1内の温度上昇により生じる音速の変
化が原因である場合、この適応フィルタの適応動作の開
始当初(エンジンの運転当初)の状態を複素平面で表す
と、例えば図3(a)に示すようになる。この状態にお
いては、伝達関数C及びCIは互いに略等しいので、
〔C・CI* 〕は略実数となり、即ちこの偏角に相当す
る位相θ2 はθ2 ≒0となる。従って、上記〔1−2μ
・|X|2 AVE ・C・CI* 〕は、複素平面上の単位円
内に存在する。
【0117】ここで、時間の経過に伴い、排気ダクト1
内(詳しくは、2次音源スピーカ5とエラーマイクロホ
ン6との間)の温度が徐々に上昇し、これによって排気
ダクト1内における音速が速くなってくると、上記伝達
関数Cの位相が正の方向に回転することになる。即ち、
この伝達関数Cの位相と伝達関数CIの複素共役CI *
の位相とを足した上記位相θ2 が、正の方向に回転し、
これによって、例えば図3(b)に示すように、上記
〔1−2μ・|X|2 AVE ・C・CI* 〕が単位円の外
にはみ出てしまう。
【0118】よって、この場合は、上記CI* の位相を
負の方向に回転させるよう伝達関数CIを更新し、これ
によって上記位相θ2 を負の方向に回転させて、例えば
図3(c)に示すように、上記〔1−2μ・|X|2
AVE ・C・CI* 〕が単位円内に収まるようにする。こ
のように、上記CI* の位相を負の方向に回転させるに
は、伝達関数CIの位相を正の方向に回転させればよ
い。なお、以上は、排気ダクト1内の温度が徐々に上昇
する場合についてであるが、これとは逆に、排気ダクト
1内の温度が徐々に下降する場合には、上記伝達関数C
Iの位相を負の方向に回転させるよう更新する。
【0119】なお、上記のように伝達関数CIの振幅特
性又は位相特性のみを更新させるのではなく、この振幅
特性及び位相特性の両方を更新させる方法もある。
【0120】そして、上記のいずれかの方法により、デ
ィジタルフィルタ7の伝達関数CIを徐々に更新させる
と共に、常にエラー信号の周波数特性Ek から、その適
応結果を監視する。そして、この監視の結果、上記Ek
が減少し始めたら、上記伝達関数CIの更新を停止す
る。
【0121】なお、上記においては、エラー信号の周波
数特性Eを監視して、その増加傾向にある周波数成分に
ついてのみ伝達関数CIを更新させたが、これに限ら
ず、例えばエラー信号ek の自乗値ek 2 を監視し、こ
の自乗値ek 2 を基に上記伝達関数CIを更新させても
よい。即ち、エラー信号の自乗値ek 2 が増加傾向にあ
るときに、上記伝達関数CIをその周波数全体(この適
応フィルタの制御対象とする周波数全体)にわたって、
その振幅を小さくしたり、位相を回転させるよう構成し
てもよい。これによって、上記のようにエラー信号ek
をわざわざフーリエ変換してその周波数特性Ek を算出
する必要がないので、伝達関数演算部9を構成するDS
PやCPU等に対する処理の負担を軽減させることがで
きる。
【0122】
【発明の効果】本発明のうち、請求項1、2に記載の発
明によれば、第2の検出手段の出力信号を監視すること
により、第2の伝達関数に変化が生じている周波数につ
いてのみ、同定手段の伝達関数を更新させることによ
り、第2の検出手段の出力信号を抑制し、即ち適応動作
を正常化させているので、常に安定した適応動作を実現
することができる。
【0123】請求項3、4に記載の発明によれば、第2
の検出手段の出力信号の変化を、その自乗値で検出し、
これに応じて同定手段の伝達関数を更新させているの
で、請求項1、2記載の発明と同様な効果を奏する。ま
た、第2の検出手段の出力信号における増加分の周波数
成分を検出(算出)する必要がないので、同定制御手段
の(演算)処理負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の参考形態に係る適応フィルタを実施し
たアクティブ消音装置のブロック図である。
【図2】本発明の1実施形態の適応フィルタにおける適
応動作を示す複素平面図で、(a)は、適応動作の不安
定状態を示し、(b)は、安定状態を示す図である。
【図3】図2とは異なる方式でアクティブ消音装置の適
応動作を実現した場合の複素平面図で、(a)は、適応
動作の開始当初を示し、(b)は、適応動作の不安定状
態を示し、(c)は、安定状態を示す図である。
【図4】従来の適応フィルタをアクティブ消音装置に応
用した状態を示すブロック図である。
【図5】アクティブ消音装置における信号の流れを簡略
化したブロック図である。
【図6】アクティブ消音装置における適応動作の安定状
態を複素平面で表した図である。
【図7】アクティブ消音装置における適応動作の不安定
状態を複素平面で表した図である。
【符号の説明】
1 排気ダクト 2 リファレンスマイクロホン 3 FIR適応型ディジタルフィルタ 4 反転器 5 2次音源スピーカ 6 エラーマイクロホン 7 FIRディジタルフィルタ 8 Filtered-x LMSアルゴリズム実行部 9 伝達関数演算部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の伝達関数を有する伝送路に入力さ
    れる信号を検出する第1の検出手段と、 上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手
    段と、 上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送
    路に放出する適応型フィルタ手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記
    適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在す
    る第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1
    の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段
    の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、 上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介
    在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関
    数と相補にする同定制御手段と、を具備し、 上記同定制御手段は、上記第2の検出手段の出力信号の
    うち所定の時間間隔内において増加した周波数成分を検
    出し、この周波数成分が減少するまで、上記同定手段の
    伝達関数の振幅を上記周波数について変化させる適応フ
    ィルタ。
  2. 【請求項2】 第1の伝達関数を有する伝送路に入力さ
    れる信号を検出する第1の検出手段と、 上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手
    段と、 上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送
    路に放出する適応型フィルタ手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記
    適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在す
    る第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1
    の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段
    の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、 上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介
    在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関
    数と相補にする同定制御手段と、を具備し、 上記同定制御手段は、上記第2の検出手段の出力信号の
    うち所定の時間間隔内において増加した周波数成分を検
    出し、この周波数成分が減少するまで、上記同定手段の
    伝達関数の位相を上記周波数について変化させる適応フ
    ィルタ。
  3. 【請求項3】 第1の伝達関数を有する伝送路に入力さ
    れる信号を検出する第1の検出手段と、 上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手
    段と、 上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送
    路に放出する適応型フィルタ手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記
    適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在す
    る第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1
    の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段
    の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、 上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介
    在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関
    数と相補にする同定制御手段と、を具備し、 上記同定制御手段は、所定の時間間隔で該時間内におけ
    る上記第2の検出手段の出力信号の自乗値の変化を検出
    し、上記時間間隔内において上記自乗値が増加したと
    き、この自乗値が減少するまで、上記同定手段の伝達関
    数の振幅を変化させる適応フィルタ。
  4. 【請求項4】 第1の伝達関数を有する伝送路に入力さ
    れる信号を検出する第1の検出手段と、 上記伝送路から出力される信号を検出する第2の検出手
    段と、 上記第1の検出手段の出力信号を処理しこれを上記伝送
    路に放出する適応型フィルタ手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて、上記適応型フィルタ手段の伝達関数と上記
    適応型フィルタ手段及び上記第2の検出手段間に存在す
    る第2の伝達関数との合成による伝達関数が、上記第1
    の伝達関数と相補する状態に、上記適応型フィルタ手段
    の伝達関数を制御するフィルタ制御手段と、 上記第1の検出手段と上記フィルタ制御手段との間に介
    在し、上記第2の伝達関数を同定する同定手段と、 上記第1及び第2の検出手段の出力信号を入力し、これ
    らに応じて上記同定手段の伝達関数を上記第2の伝達関
    数と相補にする同定制御手段と、を具備し、 上記同定制御手段は、所定の時間間隔で該時間内におけ
    る上記第2の検出手段の出力信号の自乗値の変化を検出
    し、上記時間間隔内において上記自乗値が増加したと
    き、この自乗値が減少するまで、上記同定手段の伝達関
    数の位相を変化させる適応フィルタ。
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