JP3731930B2 - 疑似接着可能な記録用紙 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録面が疑似接着可能な記録用紙に関し、特にインクジェット記録適性に優れた疑似接着可能な記録面を有する記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的に接着し、必要なときに剥離することのできる疑似接着層を設けた用紙の前記疑似接着層に、オフセット印刷機や電子写真方式のプリンターで印刷した後、前記疑似接着層同士を対向させ、圧着して1枚の葉書とすることにより、より多くの情報を安価に郵送することが行われている。
【0003】
これは、郵便法の改正に伴い、親展性を持つハガキ等として利用されているものであり、二つあるいは三つ折りの記録用紙を重ね合わせ、ハガキ状に疑似接着して内面に個人情報等の各種の情報を隠蔽した後郵送し、受取人が疑似接着部分を剥離して秘匿された情報を読み取るものである。
この場合、疑似接着可能な層上への情報の記録方法として、専ら、オフセット印刷機などによる地模様や定型情報の印刷、及び/又は電子写真方式のプリンターによる可変情報の印刷が用いられている。
【0004】
一方、インクジェット記録方法は、最近、そのランニングコストの低さと、高速記録性能の故に、従来の凸版やオフセットなどの印刷機にかわる記録方法として注目されているばかりでなく、コンピューターと組み合わせることにより、様々な可変情報に対して瞬時に対応することが可能であるので、より進んだ印刷記録方法として利用され始めている。
【0005】
この記録方法に用いる記録用紙には、▲1▼インクの吸収速度に優れ、長時間、未定着のインクが紙面上に残らないこと、▲2▼インクの吸収容量が大きく、ベタ記録部の境界が鮮明であること、▲3▼耐水性、耐光性などの画像の堅牢性に優れること、▲4▼インクドットが滲みすぎず、均一でシャープなエッジを有していること、などの性能が要求されるため、従来の疑似接着可能な記録紙の疑似接着層として、インクジェット記録法に適したものは知られていない。
【0006】
即ち、従来の疑似接着可能な記録紙の疑似接着層にインクジェット記録すると、疑似接着層のインク吸収速度や吸収容量が小さいので、記録部の境界に滲みが発生したり、印刷の後工程の巻き取り時やハガキ成形時に、未定着のインクが他の部分と擦れたり、積み重なったりして非印刷面の汚れの原因となり、正しく情報を伝達することができない。
さらに、インクを十分に乾燥した場合であっても、水に濡れたときの耐水性がないため、記録された情報が失われることがあるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は上記の欠点を解決するために鋭意検討した結果、疑似接着層の表面及び/又は内部に、特定量のポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを含有させることにより、水性インクに対する印字適性が大幅に改善されることを見い出し本発明に到達した。
従って、本発明の目的は、インクジェット記録特性に優れた疑似接着層を有する、疑似接着可能な記録用紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、基紙の表面に、接着剤を含み疑似接着可能な層を設けてなる塗工紙であって、前記疑似接着可能な層が、該層の表面及び/又は内部にポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを0.15〜0.65g/m 2 含有する記録層であることを特徴とする疑似接着可能な記録用紙によって達成された。
【0009】
本発明で使用する基紙は、従来から疑似接着層を設けるために用いられる基紙の中から適宜選択して用いることができる。
本発明における疑似接着可能な層は、主として、例えば再湿のりや天然ゴムあるいは合成ゴム等の接着剤を基材とし、これに有機顔料及び/又は無機顔料を混合することにより調製される。
【0010】
上記接着剤の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート等のアクリル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アクリルゴム系エマルジョン、SBR系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、マイクロカプセル化接着剤、及び、PVA、PEG、水溶性セルロース誘導体類、可溶性デンプン類等の水溶性高分子群を挙げることができる。
【0011】
また、上記顔料の具体例としては、合成シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、プラスチックピグメント、デンプン類などを挙げることができる。
本発明においては、更に、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、導電剤、離型剤、などの助剤を添加しても良い。
【0012】
本発明における疑似接着層の表面及び/又は内部には、インクジェット記録画像に耐水性を付与する等、インクジェット記録適性を改善する観点から、水性インクに含有される染料の定着剤としてポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを0.15〜0.65g/m 2 含有させる。これは、インクジェット記録用水性インクの染料としては、近年カルボキシル基等の弱アニオン性のものを使用することがあるからである。上記ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは高分子であってもオリゴマーであっても良い。
【0013】
上記のポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは、水溶液として疑似接着層表面に塗布しても、疑似接着層の塗工液中に含有させても良い。
【0014】
本発明においては、上記定着剤を単独で用いても組み合わせて用いても良い。尚、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの水溶液を疑似接着層上に塗布する場合には、疑似接着層の乾燥前に塗布することも、乾燥後に塗布することもできる。
ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの使用量は、0.15g/m2未満では染料定着効果が十分でなく、0.65g/m2を越えると疑似接着性が不十分となる。
【0015】
本発明においては、疑似接着層の成分を種々調整することにより、その表面の、動的吸収液試験による液体転移量、吸収時間及び濡れ時間等、水性インクによる印字のための特性を調整することができる。
本発明における、動的吸液試験は、日本紙パルプ技術協会の定める「紙、板紙の液体吸収性試験方法(J TappiNo.51-87)」に準じて、所定の界面張力を持った液体を用い、動的吸液挙動を調べることによって行う。
【0016】
動的吸液試験は、液体の紙への接触時間と液体の紙への転移量の関係を明らかにするものであり、その結果は、図1に例示するように、接触時間の平方根を横軸に、液体転移量を縦軸としてプロットして得られる吸液曲線として表される。濡れ時間は、吸液曲線が傾きを示すまでの液体転移量が変化しない時間を意味し、吸収係数は濡れ時間以降の吸液曲線が有する初期勾配を意味する。濡れ時間は、試験に用いる液体の界面張力が小さい場合には、観測されないこともある。
【0017】
本発明においては、20℃、65%RHの実験条件下で、界面張力35 dyne/cmの液体を用いたときの動的吸液試験において、接触時間を75msecとした時の液体転移量は8.5〜30ml/m2 、吸収係数は1.4〜3.0ml・m -2・ms-1/2、濡れ時間は400msec以下であることが好ましく、特に、前記液体転移量は、10〜30ml/m2 であることが好ましい。
接触時間75msecにおける液体転移量が8.5ml/m2 より小さいと瞬間的なインクの紙への転移性が悪くなるので画像の定着が遅く、30ml/m2 より大きくなるとインクの転移・浸透性が良すぎるため、画像が滲み易い。
【0018】
吸収係数は液体の初期転移速度を意味するから、1.4ml・m -2・ms-1/2より小さいとインク滴の瞬間的な定着性が悪くなり、高速印刷の際に擦れたり他の部分と接触したときに、印刷面の汚れの原因となる。また、3.0ml・m -2・ms-1 /2より大きいとインク滴の滲みが大きくなるので、良好な印刷品位を得ることができない。
濡れ時間は液体が受液層内部へ浸透し始めるまで時間を意味するから、400msecより大きくなると、吸収係数が小さい場合と同様に、印刷面の汚れの原因となる。
【0019】
インクジェット記録に使用する水性インクの染料としては、その分子内にカルボキシル基等の弱アニオン性基を有しているものを使用することが好ましい。
染料は、記録層中に混合される顔料や、塗布層内に乾燥時に発生するミクロポアの表面に物理的に吸着される他、染料の持つイオン性基が定着剤と結合して水不溶性となって定着される。
本発明の記録用紙は、疑似接着性能を有する塗工層を持った特殊な用紙でありながら高速インクジェット記録が可能であり、その際のインクの乾燥性、印字品質及び画像の保存性(堅牢性)に優れた、高機能化した記録用紙である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の疑似接着可能なる記録用紙は、接着剤と顔料並びに必要に応じて助剤を添加して疑似接着組成物を調製し、これを基紙表面に塗布した後乾燥した表面に、又は、未乾燥表面に、定着剤であるポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの水溶液を塗布・乾燥することによって容易に得ることができる。ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは、予め、疑似接着剤組成物中に添加しておいても良い。この場合には、疑似接着剤組成物塗布後の定着剤水溶液の塗布は省略しても良い。
【0021】
【発明の効果】
本発明の記録用紙は、疑似接着可能な層がインクジェット記録適性を有するので、定型情報であると可変情報であるとにかかわらず、インクジェットプリンターによって一度に高速記録することができ、これによって多量の情報を安価に郵送するのに特に好適である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例および比較例で行った試験方法および評価基準は次の通りであり、「%」は特に記載のない限り「重量%」を表す。
【0023】
(1)インクジェット記録による印刷品質の評価
インクジェットプリンター(MJ700−V2C:セイコーエプソン株式会社製)、及び界面張力約50 dyne/cmの黒色インクを用いて印刷を行い、印刷品質について下記の基準で官能検査を行った。
(a)滲み
・滲みによる文字のつぶれのほとんどないもの・○
・滲みによる文字のつぶれがあるが解読に支障のないもの・・・△
・滲みによる文字のつぶれのあるもの・・・・・×
【0024】
(b)画像保存性(堅牢性)
・水に浸した時に画像の乱れや滲みのないもの・○
・水に浸した時に画像の乱れや滲みはあるが解読に支障のないもの・・△
・水に浸した時に画像の乱れや滲みのあるもの・×
(c)画像定着速度
・ベタ(4mmx100mm)部印字後10秒以内に定着するもの・・・○
・ベタ(4mmx100mm)部印字後10秒以内に定着しないもの・・×
【0025】
(2)接着力
試料を20℃、65%RHの環境下に24時間以上置いた後、ローラータイプのプレス機を用いて60kgf/cmの圧力で加圧接着し、2時間後、JIS K6854に準じてT剥離試験を行った。
・接着力が適度で剥離後に表面にほとんど欠陥がないもの・・・○
・接着力が不適当であるもの・・・・・・・・・・・×
【0026】
実施例1.
接着剤としてメチルメタクリレートグラフト共重合天然ゴムラテックス100部(固形分:クォーユー化成株式会社製のGS5−50.55%)、重量平均粒子径2.5μmの合成シリカ75部、及びアセチル化デンプン85部を混合して疑似接着剤組成物を得た。次に、この接着剤組成物を104.5g/m2の酸性上質紙表面に、塗布量が5g/m2(固形分換算)となるように塗布し、さらに、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン(昭和高分子製PF−60C)の4.5%水溶液をポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンが0.3g/m2となるように塗布し、記録用紙▲1▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例2.
酸性上質紙の代わりに坪量80g/m2 の中性上質紙を用いた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲2▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示た通りである。
【0029】
実施例3.
合成シリカの使用量を50部、アセチル化デンプン量を135部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲3▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0030】
実施例4.
合成シリカの使用量を50部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲4▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0031】
実施例5.
合成シリカの使用量を50部、アセチル化デンプンの使用量を110部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲5▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0032】
比較例1.
実施例1で使用したシリカの量を40部、アセチル化デンプンの量を25部に変えると共に、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを塗布しなかった他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲6▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着性、及び印刷品質を測定・評価した結果は、表1に示した通りである。
【0033】
比較例2.
ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを塗布しなかった他は実施例4と全く同様にして記録用紙▲7▼を得た。この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は、表1に示した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】動的吸液試験による吸液曲線の例を示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録面が疑似接着可能な記録用紙に関し、特にインクジェット記録適性に優れた疑似接着可能な記録面を有する記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、一時的に接着し、必要なときに剥離することのできる疑似接着層を設けた用紙の前記疑似接着層に、オフセット印刷機や電子写真方式のプリンターで印刷した後、前記疑似接着層同士を対向させ、圧着して1枚の葉書とすることにより、より多くの情報を安価に郵送することが行われている。
【0003】
これは、郵便法の改正に伴い、親展性を持つハガキ等として利用されているものであり、二つあるいは三つ折りの記録用紙を重ね合わせ、ハガキ状に疑似接着して内面に個人情報等の各種の情報を隠蔽した後郵送し、受取人が疑似接着部分を剥離して秘匿された情報を読み取るものである。
この場合、疑似接着可能な層上への情報の記録方法として、専ら、オフセット印刷機などによる地模様や定型情報の印刷、及び/又は電子写真方式のプリンターによる可変情報の印刷が用いられている。
【0004】
一方、インクジェット記録方法は、最近、そのランニングコストの低さと、高速記録性能の故に、従来の凸版やオフセットなどの印刷機にかわる記録方法として注目されているばかりでなく、コンピューターと組み合わせることにより、様々な可変情報に対して瞬時に対応することが可能であるので、より進んだ印刷記録方法として利用され始めている。
【0005】
この記録方法に用いる記録用紙には、▲1▼インクの吸収速度に優れ、長時間、未定着のインクが紙面上に残らないこと、▲2▼インクの吸収容量が大きく、ベタ記録部の境界が鮮明であること、▲3▼耐水性、耐光性などの画像の堅牢性に優れること、▲4▼インクドットが滲みすぎず、均一でシャープなエッジを有していること、などの性能が要求されるため、従来の疑似接着可能な記録紙の疑似接着層として、インクジェット記録法に適したものは知られていない。
【0006】
即ち、従来の疑似接着可能な記録紙の疑似接着層にインクジェット記録すると、疑似接着層のインク吸収速度や吸収容量が小さいので、記録部の境界に滲みが発生したり、印刷の後工程の巻き取り時やハガキ成形時に、未定着のインクが他の部分と擦れたり、積み重なったりして非印刷面の汚れの原因となり、正しく情報を伝達することができない。
さらに、インクを十分に乾燥した場合であっても、水に濡れたときの耐水性がないため、記録された情報が失われることがあるという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は上記の欠点を解決するために鋭意検討した結果、疑似接着層の表面及び/又は内部に、特定量のポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを含有させることにより、水性インクに対する印字適性が大幅に改善されることを見い出し本発明に到達した。
従って、本発明の目的は、インクジェット記録特性に優れた疑似接着層を有する、疑似接着可能な記録用紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記の目的は、基紙の表面に、接着剤を含み疑似接着可能な層を設けてなる塗工紙であって、前記疑似接着可能な層が、該層の表面及び/又は内部にポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを0.15〜0.65g/m 2 含有する記録層であることを特徴とする疑似接着可能な記録用紙によって達成された。
【0009】
本発明で使用する基紙は、従来から疑似接着層を設けるために用いられる基紙の中から適宜選択して用いることができる。
本発明における疑似接着可能な層は、主として、例えば再湿のりや天然ゴムあるいは合成ゴム等の接着剤を基材とし、これに有機顔料及び/又は無機顔料を混合することにより調製される。
【0010】
上記接着剤の具体例としては、例えば、メチルメタクリレート等のアクリル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アクリルゴム系エマルジョン、SBR系エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル系エマルジョン、マイクロカプセル化接着剤、及び、PVA、PEG、水溶性セルロース誘導体類、可溶性デンプン類等の水溶性高分子群を挙げることができる。
【0011】
また、上記顔料の具体例としては、合成シリカ、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、プラスチックピグメント、デンプン類などを挙げることができる。
本発明においては、更に、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、導電剤、離型剤、などの助剤を添加しても良い。
【0012】
本発明における疑似接着層の表面及び/又は内部には、インクジェット記録画像に耐水性を付与する等、インクジェット記録適性を改善する観点から、水性インクに含有される染料の定着剤としてポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを0.15〜0.65g/m 2 含有させる。これは、インクジェット記録用水性インクの染料としては、近年カルボキシル基等の弱アニオン性のものを使用することがあるからである。上記ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは高分子であってもオリゴマーであっても良い。
【0013】
上記のポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは、水溶液として疑似接着層表面に塗布しても、疑似接着層の塗工液中に含有させても良い。
【0014】
本発明においては、上記定着剤を単独で用いても組み合わせて用いても良い。尚、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの水溶液を疑似接着層上に塗布する場合には、疑似接着層の乾燥前に塗布することも、乾燥後に塗布することもできる。
ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの使用量は、0.15g/m2未満では染料定着効果が十分でなく、0.65g/m2を越えると疑似接着性が不十分となる。
【0015】
本発明においては、疑似接着層の成分を種々調整することにより、その表面の、動的吸収液試験による液体転移量、吸収時間及び濡れ時間等、水性インクによる印字のための特性を調整することができる。
本発明における、動的吸液試験は、日本紙パルプ技術協会の定める「紙、板紙の液体吸収性試験方法(J TappiNo.51-87)」に準じて、所定の界面張力を持った液体を用い、動的吸液挙動を調べることによって行う。
【0016】
動的吸液試験は、液体の紙への接触時間と液体の紙への転移量の関係を明らかにするものであり、その結果は、図1に例示するように、接触時間の平方根を横軸に、液体転移量を縦軸としてプロットして得られる吸液曲線として表される。濡れ時間は、吸液曲線が傾きを示すまでの液体転移量が変化しない時間を意味し、吸収係数は濡れ時間以降の吸液曲線が有する初期勾配を意味する。濡れ時間は、試験に用いる液体の界面張力が小さい場合には、観測されないこともある。
【0017】
本発明においては、20℃、65%RHの実験条件下で、界面張力35 dyne/cmの液体を用いたときの動的吸液試験において、接触時間を75msecとした時の液体転移量は8.5〜30ml/m2 、吸収係数は1.4〜3.0ml・m -2・ms-1/2、濡れ時間は400msec以下であることが好ましく、特に、前記液体転移量は、10〜30ml/m2 であることが好ましい。
接触時間75msecにおける液体転移量が8.5ml/m2 より小さいと瞬間的なインクの紙への転移性が悪くなるので画像の定着が遅く、30ml/m2 より大きくなるとインクの転移・浸透性が良すぎるため、画像が滲み易い。
【0018】
吸収係数は液体の初期転移速度を意味するから、1.4ml・m -2・ms-1/2より小さいとインク滴の瞬間的な定着性が悪くなり、高速印刷の際に擦れたり他の部分と接触したときに、印刷面の汚れの原因となる。また、3.0ml・m -2・ms-1 /2より大きいとインク滴の滲みが大きくなるので、良好な印刷品位を得ることができない。
濡れ時間は液体が受液層内部へ浸透し始めるまで時間を意味するから、400msecより大きくなると、吸収係数が小さい場合と同様に、印刷面の汚れの原因となる。
【0019】
インクジェット記録に使用する水性インクの染料としては、その分子内にカルボキシル基等の弱アニオン性基を有しているものを使用することが好ましい。
染料は、記録層中に混合される顔料や、塗布層内に乾燥時に発生するミクロポアの表面に物理的に吸着される他、染料の持つイオン性基が定着剤と結合して水不溶性となって定着される。
本発明の記録用紙は、疑似接着性能を有する塗工層を持った特殊な用紙でありながら高速インクジェット記録が可能であり、その際のインクの乾燥性、印字品質及び画像の保存性(堅牢性)に優れた、高機能化した記録用紙である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の疑似接着可能なる記録用紙は、接着剤と顔料並びに必要に応じて助剤を添加して疑似接着組成物を調製し、これを基紙表面に塗布した後乾燥した表面に、又は、未乾燥表面に、定着剤であるポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンの水溶液を塗布・乾燥することによって容易に得ることができる。ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンは、予め、疑似接着剤組成物中に添加しておいても良い。この場合には、疑似接着剤組成物塗布後の定着剤水溶液の塗布は省略しても良い。
【0021】
【発明の効果】
本発明の記録用紙は、疑似接着可能な層がインクジェット記録適性を有するので、定型情報であると可変情報であるとにかかわらず、インクジェットプリンターによって一度に高速記録することができ、これによって多量の情報を安価に郵送するのに特に好適である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、実施例および比較例で行った試験方法および評価基準は次の通りであり、「%」は特に記載のない限り「重量%」を表す。
【0023】
(1)インクジェット記録による印刷品質の評価
インクジェットプリンター(MJ700−V2C:セイコーエプソン株式会社製)、及び界面張力約50 dyne/cmの黒色インクを用いて印刷を行い、印刷品質について下記の基準で官能検査を行った。
(a)滲み
・滲みによる文字のつぶれのほとんどないもの・○
・滲みによる文字のつぶれがあるが解読に支障のないもの・・・△
・滲みによる文字のつぶれのあるもの・・・・・×
【0024】
(b)画像保存性(堅牢性)
・水に浸した時に画像の乱れや滲みのないもの・○
・水に浸した時に画像の乱れや滲みはあるが解読に支障のないもの・・△
・水に浸した時に画像の乱れや滲みのあるもの・×
(c)画像定着速度
・ベタ(4mmx100mm)部印字後10秒以内に定着するもの・・・○
・ベタ(4mmx100mm)部印字後10秒以内に定着しないもの・・×
【0025】
(2)接着力
試料を20℃、65%RHの環境下に24時間以上置いた後、ローラータイプのプレス機を用いて60kgf/cmの圧力で加圧接着し、2時間後、JIS K6854に準じてT剥離試験を行った。
・接着力が適度で剥離後に表面にほとんど欠陥がないもの・・・○
・接着力が不適当であるもの・・・・・・・・・・・×
【0026】
実施例1.
接着剤としてメチルメタクリレートグラフト共重合天然ゴムラテックス100部(固形分:クォーユー化成株式会社製のGS5−50.55%)、重量平均粒子径2.5μmの合成シリカ75部、及びアセチル化デンプン85部を混合して疑似接着剤組成物を得た。次に、この接着剤組成物を104.5g/m2の酸性上質紙表面に、塗布量が5g/m2(固形分換算)となるように塗布し、さらに、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン(昭和高分子製PF−60C)の4.5%水溶液をポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンが0.3g/m2となるように塗布し、記録用紙▲1▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0027】
【表1】
【0028】
実施例2.
酸性上質紙の代わりに坪量80g/m2 の中性上質紙を用いた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲2▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示た通りである。
【0029】
実施例3.
合成シリカの使用量を50部、アセチル化デンプン量を135部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲3▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0030】
実施例4.
合成シリカの使用量を50部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲4▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0031】
実施例5.
合成シリカの使用量を50部、アセチル化デンプンの使用量を110部に変えた他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲5▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は表1に示した通りである。
【0032】
比較例1.
実施例1で使用したシリカの量を40部、アセチル化デンプンの量を25部に変えると共に、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを塗布しなかった他は、実施例1と全く同様にして記録用紙▲6▼を得た。
この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着性、及び印刷品質を測定・評価した結果は、表1に示した通りである。
【0033】
比較例2.
ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを塗布しなかった他は実施例4と全く同様にして記録用紙▲7▼を得た。この記録用紙を用いて、動的吸液性、接着力、及び印刷品質を測定・評価した結果は、表1に示した通りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】動的吸液試験による吸液曲線の例を示した図である。
Claims (4)
- 基紙の表面に、接着剤を含み疑似接着可能な層を設けてなる塗工紙であって、前記疑似接着可能な層が、該層の表面及び/又は内部にポリアミンポリアミドエピクロロヒドリンを0.15〜0.65g/m 2 含有する記録層であることを特徴とする疑似接着可能な記録用紙。
- 20℃、65%RHの実験条件下における、界面張力 35 dyne/ cmの液体を用いた記録層の動的吸液試験において、接触時間を 75msec とした時の液体転移量が 10 〜 30ml /m 2 である請求項1に記載された、疑似接着可能な記録用紙。
- 20℃、65%RHの実験条件下における、界面張力 35 dyne/ cmの液体を用いた記録層の動的吸液試験において、吸収係数が 1.4 〜 3.0ml ・・ ml -2 ・ msec -1/2 である請求項1又は2に記載された、疑似接着可能な記録用紙。
- 20℃、65%RHの実験条件下における、界面張力 35 dyne/ cmの液体を用いた記録層の動的吸液試験において、濡れ時間が100 msec 以下である請求項1〜3の何れかに記載された、疑似接着可能な記録用紙。
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