JP3573918B2 - インクジェット記録シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録シートに関するものであり、更に詳しくは、インク受容層を設け、水性インクによるインクジェット方式で高品質な画像の形成を可能にし、記録後のシートの波打ちが少ない優れた特性を持つインクジェット記録シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録シートに付着させ、画像、文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。又、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。更に、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
インクジェット記録方式で使用される記録シートとしては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録シートに対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録シートとしては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が均一で必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、経時や環境で画質の変化がないこと例えば、耐光性、耐水性、耐オゾン性に優れていること等が要求される。
【0004】
このような要求に対して、従来からいくつかの提案が行われてきた。インク吸収性向上や印字ドットの拡散防止に対しては支持体上にインク受容層を設ける方法(特開昭52−9074号公報、同58−72495号公報等)、インク受容層中におけるインク中の染料成分の分布状態が色彩性や鮮鋭性に影響することに着目して、染料成分を吸着する特定の剤を用いる方法(特開昭55−144172号公報)が示されている。又、耐光性、耐水性、耐オゾン性を向上させるために、塩基性オリゴマーを含有させること(特開昭60−11389号公報)、基材中又は基材上の塗工層にポリビニルアミン共重合物を用いること(特開昭64−8085号公報)等が開示されている。
【0005】
しかしながら、これらの特性に対する要求は次第に高度になり、厳しくなる一方で、インクジェット記録装置が安価でしかも鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像をパーソナルコンピューターレベルで簡単に得ることができるようになったことから、インクジェット記録装置は、特定の人に使用される特殊な記録装置から汎用の記録装置に変遷してきており、又、画像も印刷物や写真に匹敵するような品質のものが得られることから、自作の絵はがきやデジタル写真のプリンタとしての用途にも使われるようになっている。この場合は絵はがきや写真プリントのもつ質感や触感が要求されるようにもなった。更に、このような用途においては打込むインク量が多く、基紙にまで達するインク溶媒によって記録後のシートに波打ちを生じ、見栄えが悪くなるという問題も発生している。従って、これらの特性を確保することがインクジェット記録装置やインクジェット記録シートの必要条件となっているのが現状である。
【0006】
更に、用途の多様化に伴って、ポスターやPOPアートに使用されたり、裏面に粘着剤層を設けて、価格表示用ラベル、商品表示(バーコード)用ラベル、品質表示用ラベル、計量表示用ラベル、広告宣伝用ラベル(ステッカー)等のラベル用途、広い範囲の被着体に良く接着し、貼り付け作業が簡単なため、他面に粘着層を介して感熱特性、磁気特性、オフセット印刷適性を有するシート等と貼り合わせて複合した機能を付加させることも可能となることから、切符、定期券、各種カード等への応用も広がりつつある。
【0007】
インクは、溶剤タイプと水性タイプに分類されるが、価格、安全性、取り扱いの容易性等から水性インクが多く、特にこのような用途の多様化により、水性インクが抱える印字面に水が付着した際に発生するインクの滲みだしの防止、及び基紙にまで到達した水分によるシートの波打ちの改良等が重要な課題となっている。しかし、この課題に対する取り組みは十分に行われていないのが現状であり、インク吸収体としての機能を有する木材パルプを主体成分とする支持体をインクジェット記録シートの媒体とする該記録シートにおいては、更に重要且つ早期に解決しなければならない課題となっている。
【0008】
インクジェット記録シートの形態としては、所謂、上質紙・ボンド紙等に代表される普通紙タイプと上質紙等の紙、合成紙、合成樹脂フィルム等の支持体面上にインク受容層を設けた塗工タイプに大別される。塗工タイプのインクジェット記録シートは、塗設されたインク受容層の種々特性が印字品質に直接影響することから、吸収性にたいしては顔料の比表面積や形状の選択、色彩性や色再現性等については顔料の透明性や屈折率の検討、画像品質にたいしては塗層構造や表面形状等、用紙の波打ち等の改善は水中伸度の検討、及び塗工方法等について種々検討がなされてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水性インクを用いるインクジェット記録方式において、画像記録後のシートの波打ちが少ない見栄えの良いインクジェット記録シートを提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述のような印字品質が良好で、画像記録後の記録シートの波打ちを低減した性能を達成するために鋭意研究した結果、基紙の密度を普通のコート原紙や上質紙より高く製造し、その上にインク受容層を設けることで、従来の欠点を改善したインクジェット記録シートが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明のインクジェット記録シートは、天然パルプを主成分とする紙を基紙として、その少なくとも片面にインク受容層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、1.01g/cm3以上のシート密度を有する基紙の上にインク受理層を設けることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクジェット記録シートについて、詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録シートは、1.01g/cm3以上のシート密度を有する天然パルプを主成分とする紙を基紙として、その少なくとも片面にインク受容層を塗設してなるものである。
【0013】
本発明の実施に用いられる天然パルプを主成分とする基紙としては、1.01g/cm3以上のシート密度を有するものであるが、1.03g/cm3以上のものが好ましく、1.05g/cm3以上のものが更に好ましい。シート密度が1.01g/cm3以上である基紙は、具体的には以下の(1)〜(6)の方法を用いることにより、好ましくは以下の(1)〜(6)の方法を2つ以上組み合わせて用いることにより得られることが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0014】
(1)使用する天然パルプとしては、短繊維で平滑性の出やすい広葉樹パルプを多く用いる。具体的には、広葉樹パルプを60重量%以上、好ましくは75重量%以上用いる。
【0015】
(2)パルプの叩解条件としては、叩解機により長繊維分がなるべく少なくなるように叩解し、濾水度200〜330CSFになるようにする。
【0016】
(3)内添薬品を添加した紙料スラリーに適切な抄紙方法を採用して長網抄紙機により均一な地合が得られるように基紙を抄造し、ウェットパートでは多段のウェットプレス、好ましくは3段以上のウェットプレスを行い、プレスパートの最終段にはスムージングロールを設ける。
【0017】
(4)湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用いる。
【0018】
(5)基紙中あるいは基紙上に、各種の水溶性ポリマー、親水性コロイドあるいはポリマーラテックスを含有あるいは塗設せしめる。具体的には、基紙中あるいは基紙上に各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドあるいはポリマーラテックスをサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって固形塗布量として1.0g/m2以上含有あるいは塗設せしめるのが好ましい。
【0019】
(6)基紙を抄紙後マシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いてカレンダー処理を行う。
【0020】
本発明の実施に用いられる基紙を構成するパルプとしては、塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソーダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0021】
本発明の実施に用いられる基紙中には、紙料スラリー調製時に各種の添加剤を含有せしめることができる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩、脂肪酸、特公昭62−7534号に記載もしくは例示のアルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体等、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸等を、その他着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのが有利である。
【0022】
また、本発明の実施に用いられる基紙中あるいは基紙上には、各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドまたはラテックス、帯電防止剤、添加剤等から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって含有あるいは塗設せしめることができる。水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドとして、澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルローズ系ポリマーなど、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、エチレンとアクリル酸(又はメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックス、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体及びそれらのカルボキシ変性共重合体のエマルジョンもしくはラテックス等、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤など、顔料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
【0023】
本発明の実施に用いられる基紙の厚みに関しては、特に制限はないが、その坪量は40〜300g/m2のものが好ましい。
【0024】
本発明のインクジェット記録シートは、塗工タイプのインクジェット記録シートであり、前記基紙の上に、インク受容層が設けられる。本発明で言うインク受容層とは、インク中の溶媒を浸透させ、保持または吸収するような空隙を構成する主として顔料とバインダーからなる層や、インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなる層等を指す。これらの層は単層でもそれぞれの層が1層以上多層でも、また顔料層と高分子層の組合わせでも本発明のインク受容層としてなんら問題はない。
【0025】
これらのインク受容層を前記基紙の上に設けた場合は、均一なインク受容層とすることができ、インクジェットプリンターを使用してインク受容層面に画像を記録した場合、発色性、鮮明性にすぐれ、且つ記録画像が乾燥した後もシート面の波打ちのない記録シートが得られる。
【0026】
なぜ波打ちが少ないのか理由は定かではないが、波打ちは一般的に用紙に水分が浸透すると用紙を構成するパルプの膨潤、応力緩和が起こり、再度乾燥された場合に局所的に発生した凹凸が残るためと考えられるが、基紙のシート密度を1.01g/cm3以上に抄造した場合は、パルプ間の間隙が殆どないため局所的に発生する凹凸の差が極めて少ないのではないかと推定される。
【0027】
主として顔料とバインダーからなるインク受容層を有する1つの態様では、顔料として従来公知の如何なるものも用いることができる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ、非晶質シリカ)、アルミナ或はアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベーマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、更にスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を挙げることができる。
【0028】
これら無機顔料の中でも、多孔性無機顔料が好ましく、多孔性合成非晶質シリカ、多孔性炭酸マグネシウム、多孔性アルミナ等が挙げられ、特に細孔容積の大きい多孔性合成非晶質シリカ、または多孔性アルミナ水和物が好ましく使用できる。無機顔料が非多孔性であっても塗工液調製時に凝集したり、塗工乾燥時に更に凝集し、多孔性の塗工面が形成されることで本発明のインク受容層用顔料として使用出来、これらの併用をすることはなんら問題がない。
【0029】
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で使用することができる。又、従来公知の染料を定着する目的として添加するカチオン性樹脂を併用することもできる。
【0030】
バインダーの総量は、目的とするインクジェット記録シートの特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、顔料100重量%に対して、5〜60重量%である。更に、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤等を適宜配合することもできる。
【0031】
インク中の溶媒に溶解または膨潤する主として高分子物質からなるインク受容層を有する態様では、高分子物質として例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、アクリル系ポリマー、ポリビニルアセタール系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマーが挙げられる。これらの混合物や多重の層も本発明のインク受容層として使用可能である。
【0032】
インク受容層を塗工する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス、スライドホッパー方式等の各種装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができる。
【0033】
又、塗工後には、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
【0034】
インク受容層の厚さとしては特に制限はないが、塗工量としては0.5g/m2〜50g/m2が好ましい。
【0035】
本発明における基紙のインク受容層を設ける反対側の面には、帯電防止性、搬送性、カール防止性、筆記性、糊付け性等のために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には、無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、滑剤、マット化剤、界面活性剤等を適宜組み合わせて添加せしめることが出来る。
【0036】
本発明で云うインクとは、下記の着色剤、液媒体、その他の添加剤からなる記録液体である。着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料或は食品用色素等の水溶性染料や分散染料及び着色顔料、カーボンブラック等が挙げられる。
【0037】
インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコール、モノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。その他の添加剤としては、例えば、PH調節剤、金属封鎖剤、防カビ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤、及び防錆剤等が挙げられる。
【0038】
本発明におけるインクジェット記録シートは、水性インク用のインクジェット記録シートとしての使用に留まらず、記録時に液状であるインクを使用するどのような記録シートとして用いることもできる。例えば、熱溶融性物質、染顔料等を主成分とする熱溶融性インクを樹脂フィルム、高密度紙、合成紙などの薄い支持体上に塗布したインクシートを、その裏面より加熱し、インクを溶融させて転写する熱転写記録用受像シート、熱溶融性インクを加熱溶融して微小液滴化、飛翔記録するインクジェット記録シート、油溶性染料を溶媒に溶解したインクを用いたインクジェット記録シート、着色顔料を有機溶媒に分散したインクを用いたインクジェット記録シート、光重合型モノマー及び無色又は有色の染顔料を内包したマイクロカプセルを用いた感光感圧型ドナーシートに対応する受像シート等が挙げられる。
【0039】
これらの記録シートの共通点は、記録時にインクが液体状態である点である。液状インクは、硬化、固化又は定着までに、記録シートのインク受容層の深さ方向又は水平方向に対して浸透又は拡っていく。上述した各種記録シートは、それぞれの方式に応じた吸収性を必要とするもので、本発明のインクジェット記録シートを上述した各種の記録シートとして利用しても何ら制限しない。更に、複写機・プリンター等に広く使用されている電子写真記録方式のトナーを加熱定着する記録シートとして、本発明におけるインクジェット記録シートを使用することもできる。
【0040】
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り重量部及び重量%を示す。
【0041】
【実施例】
【0042】
実施例1〜5
広葉樹漂白クラフトパルプ85重量%、及び針葉樹漂白サルファイトパルプ15重量%から成る混合パルプを表1に記載された叩解度になるように叩解後、パルプ100重量部に対して、カチオン化澱粉3重量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2重量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.4重量部、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4重量部を添加して紙料スラリーを調製した。その後、紙料スラリーを長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートで3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール5重量%のサイズプレス液を20g/m2サイズプレスし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8重量%になるように乾燥し、表1に示す組合わせでマシンカレンダー処理して、坪量150g/m2の表1に記載される密度を有するインクジェット記録シート用の基紙を製造した。
【0043】
比較例1〜3
広葉樹漂白クラフトパルプ85重量%と針葉樹漂白クラフトパルプ15重量%からなる混合パルプを表1に示す叩解度になるように叩解し、パルプ100重量部に対して、両性澱粉(ケイト3210、王子ナショナル社製)を0.7部、及びアルキルケテンダイマーサイズ剤(サイズパインK903、荒川化学工業社製)を0.1部添加し、長網抄紙機で紙匹を形成し、ウェットパートでは2段のウェットプレスを行ったが、スムージングロール処理は行わず、引き続く乾燥パートでの緊度プレスも行わずに乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール5重量%のサイズプレス液を20g/m2サイズプレスし、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8重量%になるように乾燥し、表1に示す組合わせでマシンカレンダー処理して、坪量150g/m2の表1に記載された密度を有する比較例1〜3の基紙を製造した。
【0044】
[インクジェット記録シートの作製]
上記により作製した基紙に、インク受容層組成物として、アルミナゾルAS−3(触媒化成社製)5部(固形分)、ポリビニルアルコールMA−26(信越化学社製)1部(固形分)及び水からなる固形分約10%の塗工液を調製し、バーコーターにより乾燥塗工量15g/m2になるように塗工、乾燥してインクジェット記録シートを作製した。
【0045】
以上、実施例及び比較例で作製したインクジェット記録シートについて、下記の評価方法により評価し、その結果をまとめて表1に示す。
【0046】
[画像記録後の波打ち]
画像記録後の波打ちは、色相、明度の範囲が広く、高精細な写真画像を描画し、1日放置して乾燥後の記録面の波打ちを目視で次のような5段階で評価した。
◎;画像記録後の波打ちが非常に良好
○;画像記録後の波打ちがかなり良好
◇;画像記録後の波打ちが良好
△;画像記録後の波打ちがやや不良
×;画像記録後の波打ちが不良
【0047】
【表1】
【0048】
表1の結果、基紙の密度が1.01g/cm3以上のものを使った実施例では画像記録乾燥後の波打ちが良好なものが得られることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
以上から、本発明のインクジェット記録シート用基紙、即ち蜜度が1.01g/cm3の基紙を用い、該基紙上に、インク受容層を塗工したインクジェット記録シートは、画像記録乾燥後の波打ちが優れた塗工タイプのインクジェット記録シートが得られる。
Claims (1)
- 天然パルプを主成分とする紙を基紙として、その少なくとも片面にインク受容層を塗設してなるインクジェット記録シートにおいて、該基紙が、1.01g/cm3以上のシート密度を有することを特徴とするインクジェット記録シート。
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