JP3730964B2 - 駐車場管理システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、駐車場を遠隔的に管理する技術に関し、特に、その駐車場が設置された土地のオーナがその駐車場の通信機器にダイレクトにアクセスする技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
土地のオーナがその土地の有効利用によって経済的利益を得るべく、その土地に駐車場を設置して運営する場合がある。
【0003】
駐車場を運営するためには、その土地に駐車場を設置することはもとより、設置された駐車場を管理することも必要である。ここに、「管理」という用語は、駐車場の監視、警備、メンテナンス等を含む意味で使用される。しかし、そのような管理はオーナ本人が行うよりむしろ、専門的な知識や経験を有する業者がオーナに代わって行うのが一般的である。
【0004】
駐車場の管理コストを低減するために、駐車場を遠隔的に管理する技術が既に提案されている。そのような駐車場は例えば、省力化によってコストダウンを目指す無人駐車場である。
【0005】
このような事情を背景とし、特許文献1(特開2000−67391号公報)には、駐車場における端末装置と、その駐車場に対してメンテナンスを行うメンテナンス会社におけるホスト装置とをネットワークにより互いに通信可能とする技術が開示されている。
【特許文献1】
特開2000−67391号公報
【0006】
また、特許文献2(特開平8−165813号公報)には、有料駐車場の通信端末機器と、メンテナンスステーションの通信端末機器とを公衆回線により互いに接続する技術が開示されている。
【特許文献2】
特開平8−165813号公報
【0007】
さらに、特許文献3(特開2001−344698号公報)には、複数の駐車場と、それらを集中管理する事業所とをインターネットにより互いに接続する技術が開示されている。
【特許文献3】
特開2001−344698号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
駐車場が遠隔的に管理される場合、その管理者も、その駐車場が設置された土地のオーナも、その駐車場の現実の状況をダイレクトに観察することは現実には困難であり、通常、その現実の状況を表すデータを参照することによってその現実の状況を把握せざるを得ない。
【0009】
そのデータは本来、駐車場の現実の状況をそのとおりに表すはずであるが、不正行為によってデータが改ざんされる可能性を完全には否定できない。
【0010】
一方、土地に設置された駐車場をその土地のオーナに代わって管理者が管理する場合には、それらオーナと管理者との間に強い信頼関係を築くことが、その駐車場経営を円滑に進めるために重要である。
【0011】
しかし、万一、駐車場におけるデータの改ざんが行われてしまうと、その改ざんを実際に行った者を特定することが困難である等の事情ゆえに、それらオーナと管理者との間の信頼関係に亀裂が生じかねない。
【0012】
このような指摘に対し、前記特開2000−67391号公報には、さらに、駐車場の端末装置にその駐車場を管理する特定利用者のみがそのID番号nにより通信回線(ネットワーク)を介して通信することができるようにすることが開示されている。
【0013】
同公報には、さらに、駐車場の端末装置との通信により上記特定利用者がどの情報をどのように利用したかについての履歴をその駐車場の端末装置が記録するようにすれば、その履歴から、外部からの操作によって駐車場の端末装置においてデータが改ざんされたか否かを判断可能となることも開示されている。
【0014】
従来、オーナが駐車場の現実の状況を把握しようとする場合には、管理者を介して間接に把握するのが一般的であった。しかし、オーナがダイレクトに駐車場の通信機器にアクセスして必要な情報を得たいという要望がある。
【0015】
この要望を満たす一従来技術として、前記特開2001−344698号公報には、駐車場のオーナをインターネットを使用して駐車場に接続し、それにより、オーナが駐車場の稼動状況を把握可能とする技術が開示されている。
【0016】
しかし、必要な情報が駐車場の通信機器からインターネットを介して取得可能な通信環境は、従来の電話回線を介してしか必要な情報を駐車場の通信機器から取得できない通信環境に比較し、駐車場の通信機器が不正アクセスを受けてデータ改ざんが行われてしまう危険性が高い。
【0017】
以上説明した事情を背景として、本発明は、駐車場が設置された土地のオーナがその駐車場の通信機器にダイレクトにアクセスする技術を提供することを課題としてなされたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
本発明によって下記の各態様が得られる。各態様は、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0019】
(1) オーナが実質的にまたは形式的に所有する土地に設置されるとともに管理者によって管理される駐車場においてそれを管理するために使用される駐車場管理システムであって、
駐車場用コンピュータと、
その駐車場用コンピュータと、前記オーナにより使用されるオーナ用通信機器および管理者により使用される管理者用通信機器とを互いに通信可能にする駐車場用通信機器とを含み、かつ、
その駐車場用通信機器に固有の電話番号が割り当てられるとともに、その駐車場用通信機器が、それの接続相手である前記オーナ用通信機器と管理者用通信機器とのそれぞれに対し、公衆電話回線を利用して前記固有の電話番号を頼りにそれら駐車場用通信機器と接続相手との間に形成される通信チャネルを経てその駐車場用通信機器との通信を許可するものであり、
前記駐車場用コンピュータが、
前記接続相手が前記通信チャネルを経て前記駐車場用通信機器に対して行った通信の履歴を、その接続相手が前記管理者用通信機器である場合には前記オーナからのリクエストに応答してそのオーナに対して開示する一方、その接続相手が前記オーナ用通信機器である場合には前記管理者に対して開示しない選択的開示手段を含む駐車場管理システム。
【0020】
このシステムによれば、駐車場用通信機器が、オーナ用通信機器および管理者用通信機器との通信を、公衆電話回線を利用し、かつ、駐車場に固有の電話番号を頼りにそれら駐車場用通信機器とオーナ用通信機器および管理者用通信機器との間に形成される通信チャネルを経て行う。
【0021】
ここで、駐車場用通信機器が、オーナ用通信機器および管理者用通信機器との通信を、駐車場に固有の電話番号を頼りに形成された通信チャネルを経て行う場合と、ネットワークの集合体であるインターネットを利用して行う場合とを互いに比較する。
【0022】
インターネットは、よく知られているように、不特定多数の利用者を対象にしたオープンな通信ネットワークである。そのため、駐車場用コンピュータとオーナ用コンピュータおよび管理者用コンピュータとをインターネットを介して互いに接続する場合には、それらオーナおよび管理者以外の者でも駐車場用コンピュータにアクセスすることが容易である。さらに、オーナおよび管理者以外の者が駐車場用コンピュータの内部にまで侵入し、データの改ざん、破壊、漏洩、コンピュータ・ウイルスによる攻撃等を行う可能性がある。
【0023】
これに対し、駐車場に固有の電話番号を頼りに駐車場用通信機器とオーナ用通信機器および管理者用通信機器とに形成される通信チャネルは、その電話番号を知らない限り、駐車場用通信機器にアクセスすることは不可能である。
【0024】
また、オーナおよび管理者以外の者が何らかの理由で電話番号を知って駐車場用通信機器にアクセスしたとしても、その電話番号が割り当てられた駐車場用通信機器を経由しない限り、駐車場用コンピュータの内部にまで侵入することができない。したがって、駐車場用コンピュータとオーナ用コンピュータおよび管理者用コンピュータとをインターネットを介して互いに接続する場合より容易に、オーナおよび管理者以外の者が不正に駐車場用コンピュータの内部に侵入することを防止し得る。
【0025】
したがって、本項に係るシステムによれば、駐車場用コンピュータとオーナ用コンピュータおよび管理者用コンピュータとをインターネットを介して互いに接続する場合に比較し、駐車場用コンピュータのセキュリティを強化することが容易となり、ひいては、駐車場用コンピュータ内のデータの改ざんを防止することが容易となる。
【0026】
さらに、このシステムによれば、オーナが駐車場用コンピュータに、管理者を経由することなくダイレクトにアクセスして必要な情報を取得することが可能となる。
【0027】
したがって、このシステムによれば、オーナがその自由意志に従い、かつ、管理者から独立して、駐車場の実状をダイレクトに把握することが可能となる。
【0028】
一般に、駐車場用コンピュータ内のデータの信頼性は、オーナと管理者との間の信頼関係を維持するために重要な要素である。一方、上述のように、オーナのみならず管理者も、同じ駐車場用コンピュータにアクセス可能である環境においては、管理者がその駐車場用コンピュータにアクセスした履歴をオーナが閲覧可能であるようにすれば、オーナが管理者に対する不信感を抱かずに済む。
【0029】
しかしながら、同様にして、オーナが駐車場用コンピュータにアクセスした履歴を管理者が閲覧可能であるようにすると、オーナの立場からすると、オーナの行為が管理者に絶えず監視され得る状態となる。
【0030】
そうすると、オーナがその自由意志に従い、かつ、管理者から独立して、駐車場の実状をダイレクトに把握することが可能であるはずの駐車場管理システムでありながら、現実には、オーナが駐車場用コンピュータにアクセスする自由を制限されることとなる。
【0031】
これに対し、本項に係るシステムにおいては、接続相手が通信チャネルを経て駐車場用通信機器に対して行った通信の履歴が、その接続相手が管理者用通信機器である場合にはオーナからのリクエストに応答してそのオーナに対して開示される一方、その接続相手がオーナ用通信機器である場合には管理者に対して開示されない。
【0032】
したがって、このシステムによれば、オーナの立場からすれば、駐車場用コンピュータに対する管理者の行為を監視可能となるとともに、駐車場の実状を監視する自由を管理者による監視可能性によって心理的に制限されずに済み、よって、オーナが管理者に対して不信感を抱く可能性が低減する。
【0033】
本項および下記の各項において「オーナが土地を実質的に所有する」とは、例えば、そのオーナがその土地の真正な所有者と一致することを意味し、また、「オーナが土地を形式的に所有する」とは、例えば、そのオーナがその土地の真正な所有者とは一致しないが、その真正な所有者からその土地の運用を契約等によって委託されていることを意味する。
【0034】
また、本項および下記の各項において「通信機器」には、例えば、固定電話機、移動電話機(携帯電話機、PHS、携帯情報端末等を含む。)、モデム、ターミナルアダプタTA等が含まれる。
【0035】
また、本項および下記の各項において「通信チャネル」は、例えば、有線で構成される場合と有線と無線との組合せで構成される場合とがある。
【0036】
(2) 車両が駐車可能な駐車位置が複数、前記駐車場に設置されており、その駐車場を利用した対価としてその利用者により支払われるべき駐車料金の精算を前記複数の駐車位置に関して一括して行う集中精算機として機能する(1)項に記載の駐車場管理システム。
【0037】
(3) 前記複数の駐車位置が、少なくとも1つの平面上において平面的に配置されており、
前記駐車場が、無人の時間貸し駐車場である(1)または(2)項に記載の駐車場管理システム。
【0038】
なお付言すれば、前記(1)または(2)項に係るシステムは、上述のように、複数の車両を平面的に配置して収容する形式の駐車場に限らず、複数の車両を立体的に配置して収容する立体駐車場において使用することも可能である。立体駐車場には、複数の車両を垂直面内で循環させて入庫・出庫を可能にする垂直循環式や、車両をリフトで昇降させ、複数段に設けた駐車棚にそれぞれ収容する昇降式などがある。
【0039】
(4) 前記選択的開示手段が、
前記通信履歴を通信履歴メモリに、前記接続相手が前記管理者用通信機器である場合には保存する一方、その接続相手が前記オーナ用通信機器である場合には保存しない選択的保存手段と、
前記オーナからのリクエストに応答し、前記管理者についての前記通信履歴を前記通信履歴メモリから読み出して前記オーナ用通信機器に対して出力する出力手段と
を含む(1)ないし(3)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0040】
このシステムにおいては、駐車場用通信機器の接続相手がオーナ用通信機器である場合には、駐車場用通信機器との通信の履歴が保存されず、よって、それらオーナ用通信機器と駐車場用通信機器との通信の履歴が管理者に対して開示されない。
【0041】
(5) 前記通信履歴が、前記管理者が前記駐車場用コンピュータと通信を行った時刻に関する情報と、その通信の目的に関する情報とを含む(1)ないし(4)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0042】
(6) 前記駐車場用コンピュータが、前記オーナからのリクエストに応答し、前記駐車場の実際の稼動状況と売上状況との少なくとも一方に関する情報を駐車場関連情報として前記オーナ用通信機器に送信する第1送信手段を含む(1)ないし(5)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0043】
このシステムによれば、オーナが駐車場の実際の稼動状況と売上状況との少なくとも一方に関する生の情報(オリジナルな情報)を駐車場関連情報として駐車場用コンピュータからダイレクトに、すなわち、管理者を経由せずに取得することが可能となる。
【0044】
したがって、このシステムによれば、オーナが管理者を経由して駐車場関連情報を取得する場合よりその駐車場関連情報が管理者によって改ざんされる可能性が少ない通信ルートを経てオーナが駐車場関連情報を取得することが可能となる。
【0045】
よって、このシステムによれば、オーナがデータを媒介として駐車場の実状を把握せざるを得ない状況において、オーナが駐車場の実状をできる限り正しく把握することが容易となる。
【0046】
(7) 前記管理者用通信機器に管理者用コンピュータが接続され、前記オーナ用通信機器にオーナ用コンピュータが接続され、かつ、それら管理者用コンピュータとオーナ用コンピュータとがインターネット等の通信ネットワークを介して互いに接続される通信環境のもとに使用される(6)項に記載の駐車場管理システム。
【0047】
このシステムによれば、上述の通信環境のもとに、オーナが、通信ネットワークを利用せずに、しかも、管理者用コンピュータを経由せずにダイレクトに駐車場用コンピュータにアクセスして生の駐車場関連情報を取得可能であると同時に、通信ネットワークを利用して管理者用コンピュータにアクセスして、その管理者用コンピュータにより処理された駐車場関連情報を取得可能である。
【0048】
管理者用コンピュータは、オーナ用コンピュータに送信すべき駐車場関連情報を、駐車場用コンピュータから受信した生の駐車場関連情報に対してデータ解析、統計解析、イメージ編集等を行って作成することが可能である。この場合には、オーナは、自らが駐車場用コンピュータから受信した生の駐車場関連情報より密度の濃い情報を管理者用コンピュータから受信可能となる。
【0049】
本項に係るシステムによれば、オーナは、管理者用コンピュータから受信した駐車場関連情報と、駐車場用コンピュータからダイレクトに受信した生の駐車場関連情報とが互いに整合しているか否かを判断可能となる。それら情報間に整合性が成立しないことは、オーナの立場からすれば、管理者用コンピュータにおけるデータの信頼性がないと判断する材料となり得る。
【0050】
このことは、管理者の立場からすれば、その管理者の行為がオーナによって監視され得る状態にあることとなり、管理者によるデータ改ざんが抑止される。
【0051】
一方、オーナが管理者用コンピュータから受信した駐車場関連情報と、駐車場用コンピュータからダイレクトに受信した生の駐車場関連情報とが互いに整合している場合には、管理者用コンピュータにおけるデータの信頼性が立証され、ひいては、オーナの管理者に対する信頼が確保されることとなる。
【0052】
(8) 前記第1送信手段が、前記オーナを認証した後に、前記駐車場関連情報を前記オーナ用通信機器に送信するものである(6)または(7)項に記載の駐車場管理システム。
【0053】
このシステムにおいては、駐車場用コンピュータにアクセスした者がオーナ本人であることが確認された後に、駐車場関連情報がオーナ用通信機器に送信される。
【0054】
したがって、このシステムによれば、オーナ本人でない者がオーナになりすまして不正に駐車場用コンピュータにアクセスしても、その不正アクセス者に駐車場関連情報が提供されてしまうことはない。
【0055】
本項および下記の各項において「認証」は、例えば、認証対象者に設定されたユーザIDとパスワードとを互いに照合することによって行うことが可能である。パスワードの一例としてはワンタイム・パスワードがある。また、「認証」は、認証対象者に固有の生物的特徴(例えば、指紋、網膜等)を検出することによって行うことも可能である。
【0056】
(9) 前記第1送信手段が、前記オーナからのリクエストに応答し、前記駐車場関連情報を実質的にリアルタイムに前記オーナ用通信機器に送信するものである(6)ないし(8)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0057】
このシステムによれば、オーナは、管理者を経由せずにダイレクトに駐車場用コンピュータにアクセス可能であることと、その駐車場用コンピュータから駐車場関連情報を実質的にリアルタイムに取得可能であることとの共同作用により、あたかも現実に駐車場に居てその駐車場をリアルタイムで観察しているかの如く、高いリアリティのもとに駐車場関連情報を取得することが可能となる。
【0058】
(10) 前記駐車場用コンピュータが、前記駐車場の実際の稼動状況と売上状況との少なくとも一方に関する情報を駐車場関連情報として前記管理者用通信機器に送信する第2送信手段を含む(1)ないし(9)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0059】
(11) 前記第2送信手段が、前記管理者を認証した後に、前記駐車場関連情報を前記管理者用通信機器に送信するものである(10)項に記載の駐車場管理システム。
【0060】
このシステムにおいては、駐車場用コンピュータにアクセスした者が管理者本人であることが確認された後に、駐車場関連情報が管理者用通信機器に送信される。
【0061】
したがって、このシステムによれば、管理者本人でない者が管理者になりすまして不正に駐車場用コンピュータにアクセスしても、その不正アクセス者に駐車場関連情報が提供されてしまうことはない。
【0062】
(12) 前記第2送信手段が、過去設定時間中に取得された前記駐車場関連情報を前記管理者用通信機器に定期的に送信するものである(10)または(11)項に記載の駐車場管理システム。
【0063】
(13) さらに、前記駐車場を利用した対価である駐車料金としてその利用者により投入された現金を収容する金庫を含み、かつ、
その金庫が、金庫扉と、その金庫扉を施錠するとともにその施錠を電気的に解除するロック機構とを有し、
前記駐車場用コンピュータが、その金庫扉の開錠を指令する開錠指令信号を前記管理者用通信機器から受信することに応答し、その開錠のための開錠信号を前記ロック機構に対して出力し、それにより、前記金庫扉を開錠する開錠手段を含む(1)ないし(12)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0064】
前記(1)ないし(12)項のいずれかに記載の駐車場管理システムの一例は、駐車場を利用した対価である駐車料金としてその利用者により投入された現金を収容する金庫を含むものとされる。その金庫は、一般に、金庫扉と、その金庫扉を施錠するロック機構とを有するように構成される。
【0065】
金庫に収容された現金は、管理者が自ら駐車場に出向いてそれの金庫扉を開いて現金を回収する場合もあるが、管理者とは別の集金員がその管理者の代わりに現金を回収する場合もある。後者の場合、集金員は、金庫から現金を回収した後、その現金を管理者に運ぶ。
【0066】
これに対し、本項に係るシステムにおいては、駐車場用コンピュータが、金庫扉の開錠を指令する開錠指令信号を管理者用通信機器から受信することに応答し、その開錠のための開錠信号を、金庫扉の施錠を電気的に解除可能な形式のロック機構に対して出力し、それにより、金庫扉を開錠する。
【0067】
したがって、このシステムによれば、管理者の許可がない限り、集金員が金庫扉を開いて金庫から現金を回収することが禁止され、それにより、管理者が遠隔的に集金員の行動を管理することが容易となる。
【0068】
(14) 前記駐車場用コンピュータが、前記開錠信号の出力に先立ち、前記金庫に収容されている現金である売上金の額に関連する情報を前記駐車場関連情報として前記管理者用通信機器に送信する第3送信手段を含む(13)項に記載の駐車場管理システム。
【0069】
特に、管理者とは別の集金員がその管理者の代わりに駐車場の金庫から現金を回収する場合には、本来、回収された現金であるとして集金員から管理者に渡された現金の額が、金庫に真に収容されていた現金すなわち売上金の額と一致するはずである。しかし、売上金の一部または全部をその集金員が不正に搾取する可能性がないわけではない。
【0070】
これに対し、本項に係るシステムにおいては、駐車場用コンピュータが、開錠信号の出力に先立ち、金庫に収容されている現金である売上金の額に関連する情報を管理者用通信機器に送信する。
【0071】
したがって、このシステムによれば、金庫扉が開けられる前に金庫に真に収容されている売上金の額を管理者が遠隔的に把握可能となり、よって、集金員が売上金の一部または全部を不正に搾取する行為を抑止することが容易となる。
【0072】
(15) さらに、前記金庫扉が施錠されたか否かを検出するセンサを含み、かつ、前記駐車場用コンピュータが、そのセンサからの信号に基づき、前記開錠手段が前記開錠信号を出力してからの経過時間が許容時間を超えた場合には、前記金庫扉が必要以上に長い時間開錠状態にあることを表す信号を前記管理者用通信機器に送信する第4送信手段を含む(13)または(14)項に記載の駐車場管理システム。
【0073】
このシステムによれば、駐車場管理システムの金庫扉が開いたままで放置されている事態を検出可能となる。
【0074】
(16) オーナが実質的にまたは形式的に所有する土地に設置されるとともに管理者によって管理される駐車場においてそれを管理するために使用される駐車場管理システムであって、
駐車場用コンピュータと、
その駐車場用コンピュータと、前記オーナにより使用されるオーナ用通信機器および管理者により使用される管理者用通信機器のうちの少なくとも管理者用通信機器とを互いに通信可能にする駐車場用通信機器と、
前記駐車場を利用した対価である駐車料金としてその利用者により投入された現金を収容する金庫であって、金庫扉と、その金庫扉を施錠するとともにその施錠を電気的に解除するロック機構とを有するものと
を含み、かつ、
前記駐車場用コンピュータが、その金庫扉の開錠を指令する開錠指令信号を前記管理者用通信機器から受信することに応答し、その開錠のための開錠信号を前記ロック機構に対して出力し、それにより、前記金庫扉を開錠する開錠手段を含む駐車場管理システム。
【0075】
このシステムによれば、前記(13)項に係るシステムと同様な事情を背景にしつつ、管理者の許可がない限り、集金員が金庫扉を開いて金庫から現金を回収することが禁止され、それにより、管理者が遠隔的に集金員の行動を管理することが容易となる。
【0076】
(17) 前記駐車場用コンピュータが、前記開錠信号の出力に先立ち、前記金庫に収容されている現金である売上金の額に関連する売上金額関連情報を前記管理者用通信機器に送信する第1送信手段を含む(16)項に記載の駐車場管理システム。
【0077】
このシステムによれば、前記(14)項に係るシステムと同様な事情を背景にしつつ、金庫扉が開けられる前に金庫に真に収容されている売上金の額を管理者が遠隔的に把握可能となり、よって、集金員が売上金の一部または全部を不正に搾取する行為を抑止することが容易となる。
【0078】
(18) さらに、前記金庫扉が施錠されたか否かを検出するセンサを含み、かつ、前記駐車場用コンピュータが、そのセンサからの信号に基づき、前記開錠手段が前記開錠信号を出力してからの経過時間が許容時間を超えた場合には、前記金庫扉が必要以上に長い時間開錠状態にあることを表す信号を前記管理者用通信機器に送信する第2送信手段を含む(16)または(17)項に記載の駐車場管理システム。
【0079】
このシステムによれば、前記(15)項に係るシステムと同様に、駐車場管理システムの金庫扉が開いたままで放置されている事態を検出可能となる。
【0080】
(19) さらに、
当該駐車場管理システムに取外し可能に装着されるリムーバル・メモリであって、その装着状態においては前記駐車場用コンピュータに電気的に接続され、それにより、その駐車場用コンピュータの指令に応じてデータを保存するものと、前記駐車場に車両が駐車される状態を管理するために、前記駐車場用コンピュータと共同して電気的に作動する駐車装置と
を含み、かつ、
前記駐車場用コンピュータが、その駐車装置の作動状態を表す状態信号をその駐車装置から受信し、その受信した状態信号を、その駐車装置の作動状態の履歴を表す状態履歴として前記リムーバル・メモリに保存する保存手段を含む(1)ないし(18)項のいずれかに記載の駐車場管理システム。
【0081】
このシステムにおいては、駐車場において使用される駐車装置の作動状態の履歴を表す状態履歴がリムーバル・メモリに保存される。
【0082】
したがって、このシステムによれば、リムーバル・メモリを当該システムから取り外して必要な機器に装着することにより、駐車装置の故障解析等のためにそれの状態履歴を利用することが可能となる。
【0083】
本項における「リムーバル・メモリ」の一例は、メモリカードである。
【0084】
また、本項において「駐車装置」は、例えば、駐車券発行機、精算機、金庫、定期券リーダ、監視盤、領収書プリンタ、駐車場に対する車両に進入・退出を規制するゲート装置、駐車場に設置された各駐車位置(車室等)に対する車両に進入・退出を規制するロック装置(例えば、フラップ板、昇降板等の可動部材を利用して車両の動きを機械的に邪魔して規制するもの)等のうちの少なくとも1つを含む。
【0085】
(20) (1)ないし(19)項のいずれかに記載の駐車場管理システムと前記管理者用通信機器を経て接続され、前記管理者により使用される管理者用コンピュータであって、
前記駐車場用コンピュータから受信した駐車場関連情報に基づき、前記駐車場に対して支払われた駐車料金の総額を前記オーナの総収入額として計算する総収入額計算手段を含む管理者用コンピュータ。
【0086】
土地のオーナに代わって管理者が管理を行う駐車場の経営の実情においては、その駐車場による現実の売上額の多少を問わず、オーナとの契約で定めた定額の費用が土地使用料としてオーナに支給されるのが通常である。
【0087】
したがって、このような方式で土地使用料の額が決定される場合には、駐車場経営の状況の良否を問わず、その土地使用料の額が保証されるため、オーナが自ら駐車場の経営状況や経営方針に強い関心や懸念を抱くことは不可欠ではない。
【0088】
本発明者は新規な経営方式を案出した。その経営方式によれば、土地のオーナが自ら経営者として駐車場を経営し、その駐車場経営による売上金はすべてオーナに帰属する。しかし、その駐車場経営に必要な管理は管理者に委託し、その対価である管理費をオーナがそれの売上金から管理者に支給する。
【0089】
この新規な、オーナ主導の経営方式を採用する場合には、オーナが自ら、駐車場の経営状況や経営方針に強い関心や懸念を抱く傾向が増加する。同時に、オーナが自ら駐車場の稼動状況や売上状況を積極的に把握したいという要望が増す。
【0090】
これに対し、本項に係る管理者用コンピュータによれば、前記(1)ないし(19)項のいずれかに記載の駐車場管理システムと前記管理者用通信機器を経て接続されることにより、オーナが駐車場用コンピュータにダイレクトにアクセス可能となる。
【0091】
したがって、オーナが自ら駐車場の稼動状況や売上状況を積極的に把握したいという要望を満たすことが容易となる。
【0092】
さらに、この管理者用コンピュータによれば、駐車場用コンピュータから受信した駐車場関連情報に基づき、駐車場に対して支払われた駐車料金の総額がオーナの総収入額として自動的に計算される。
【0093】
(21) さらに、前記計算されたオーナの総収入額と、そのオーナの総収入の一部を前記管理者に、その管理者がそのオーナに代わって前記駐車場を管理した対価である管理費として分配する際の分配率とに基づき、その管理費の額を計算する管理費額計算手段を含む(20)項に記載の管理者用コンピュータ。
【0094】
この管理者用コンピュータによれば、管理者が土地のオーナに代わって駐車場を管理した対価である管理費が自動的に計算される。
【0095】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のさらに具体的な実施の形態の一つを図面に基づいて詳細に説明する。
【0096】
本発明の一実施形態に従う駐車場管理システムは、複数の駐車場を一括して遠隔的に管理する集中管理システムの一部として使用される。
【0097】
図1には、その集中管理システムを構成する複数の要素であって情報を相互にやりとりするもの相互の関係が概念的にブロック図で示されている。
【0098】
その集中管理システムにより、複数の駐車場AないしZが一括して集中管理センタ10の管理者により管理される。それら駐車場AないしZはそれぞれ、複数のオーナAないしZが所有する土地に設置されている。各駐車場の警備は警備会社12の警備員により行われる。各駐車場のメンテナンスは、メンテナンス会社14の保守員により行われる。各駐車場の金庫(後に詳述する。)からの集金は、それら駐車場間を巡回する集金車16に乗車している集金員により行われる。ただし、警備員、保守員および集金員は、集中管理センタ10を経営する会社に勤務する者とすることが可能である。
【0099】
警備会社12とメンテナンス会社14はいずれも、インターネットを介して集中管理センタ10と接続されている。警備会社12およびメンテナンス会社14は、集中管理センタ10からの通報に応答し、指定された駐車場に警備員および保守員を派遣する。集金車16は、無線または移動電話により、必要な指示を集中管理センタ10から受ける。
【0100】
各駐車場と集中管理センタ10は、公衆電話回線(公衆網、公衆通信回線)PNにより互いに通信可能となっている。同様にして、各駐車場と各オーナは、公衆電話回線PNにより互いに通信可能となっている。さらに、集中管理センタ10と各オーナは、インターネットによって互いに通信可能となっている。
【0101】
図2には、各駐車場において使用される各種機器(以下、「各駐車場の構成要素」ともいう。)がブロック図で概念的に表されている。駐車場は、車両が駐車するための駐車位置(「車室」ともいう。)を複数備えている。
【0102】
それら複数の駐車位置は平面的に配置されており、各駐車位置ごとに駐車装置20を備えている。駐車装置20は、例えば、対応する駐車位置に対する車両の出入りを監視するセンサ、その駐車位置からの車両の退出を選択的に規制するロック装置等を含むように構成されている。ロック装置は、よく知られているように、例えば、邪魔板としてのフラップ板を選択的に起立または上昇させて車両の動きを機械的に邪魔する形式とされる。
【0103】
それら複数の駐車装置20に1つの集中精算機30が電気的に接続されている。集中精算機30は、駐車場を利用した対価としてその利用者によって支払われるべき駐車料金の精算を複数の駐車位置に関して一括して行うように設計されている。なお、集中精算機30を1つの駐車場に複数設置するようにして本発明を実施することが可能である。
【0104】
この集中精算機30は、コンピュータ40と金庫42と紙幣収容部44とつり銭収容部46と出力器48とを備えている。
【0105】
コンピュータ40は、各駐車位置ごとに、駐車装置20からの信号に基づいて車両の駐車時間を計算し、その計算された駐車時間に応じ、かつ、予め定められた料金体系(後述)に従って駐車料金を計算する。
【0106】
金庫42は、そのようにして計算された駐車料金を支払うために駐車場の利用者により投入された現金を収容する金庫室を有している。この金庫42は、金庫扉と、その金庫扉を施錠するとともにその施錠を電磁的に解除する電磁ロック54とを備えている。この金庫42は、さらに、金庫扉が施錠状態にあることを検出するセンサ56も備えている。
【0107】
紙幣収容部44は、駐車場の利用者によって投入された紙幣を収容する部分であり、収容されている紙幣の枚数が許容枚数を超えたことを検出するセンサ60を備えている。
【0108】
つり銭収容部46は、駐車場の利用者に返却すべきつり銭(硬貨)を予め収容しておく部分であり、つり銭の額が不足したことを検出するセンサ64を備えている。
【0109】
出力器48は、請求された駐車料金を駐車場の利用者が支払ったことを示す領収書を発行するための機器である。この出力器48は、領収書を作成するために、必要事項を用紙に印刷して発行するためのプリンタ68を備えている。この出力器48は、さらに、用紙切れを検出するセンサ70も備えている。
【0110】
そして、図2に示すように、電磁ロック54、センサ56、センサ60、センサ64、プリンタ68およびセンサ70は、コンピュータ40に電気的に接続されている。
【0111】
そのコンピュータ40にはさらに、メモリ74も接続されている。このメモリ74においては、それの本体部に対して取り外し可能に装着されるメモリカード76が使用される。このメモリカード76は、書換え可能な不揮発性メモリとして機能する。
【0112】
そのコンピュータ40にはさらに、通信機器80も接続されている。この通信機器80の一例はPHSである。この通信機器80にはそれに固有の電話番号が割り当てられている。したがって、発呼者(発信者)は、公衆電話回線を利用して、その通信機器80に固有の電話番号を頼りにそれら通信機器と発呼者との間に通信チャネルを形成することが可能である。その形成された通信チャネルを経て、それら通信機器80と発呼者とは相互に情報を交換できる。
【0113】
ここに、通信機器80の発呼者として予定されている者は、当該集中精算機30を使用する駐車場が設置されている土地のオーナ(例えば、駐車場AについてはオーナA)と、その駐車場を管理する集中管理センタ10の管理者のみである。
【0114】
すなわち、本実施形態においては、オーナと管理者とがそれぞれ、通信機器80の接続相手として予定された者なのである。
【0115】
図3に示すように、コンピュータ40は、よく知られているように、CPU90とROM92とRAM94とがバス96により互いに接続されて構成されている。ROM92には、駐車料金の精算等を行うための基本制御プログラムと、補助制御プログラムとが予め記憶されている。
【0116】
補助制御プログラムは、定期連絡プログラムと、電磁ロック制御プログラムと、管理者通信プログラムと、オーナ通信プログラムと、通信履歴保存プログラムと、状態履歴保存プログラムとを含んでいる。
【0117】
それらプログラムの内容を概略的に説明する。
【0118】
定期連絡プログラムは、駐車場の状況について管理者に定期的に(例えば、1日1回、決められた時刻に)連絡するためのプログラムである。電磁ロック制御プログラムは、電磁ロック54を制御して金庫扉の開錠・施錠を制御するためのプログラムである。管理者通信プログラムは、管理者からの発呼に応じてその管理者と通信を行うためのプログラムである。オーナ通信プログラムは、オーナからの発呼に応じてそのオーナと通信を行うためのプログラムである。通信履歴保存プログラムは、管理者との通信履歴は保存するがオーナとの通信履歴は保存しないためのプログラムである。そして、状態履歴保存プログラムは、集中精算機30内の各種機器および各駐車装置20のそれぞれの状態を表す状態信号の履歴を状態履歴としてメモリカード76に保存するためのプログラムである。それらプログラムの詳細は後に、対応するフローチャートを参照しつつ説明する。
【0119】
図4には、メモリ74にストアされる各種データの内容が概略的に示されている。このメモリ74にストアされるデータは、駐車場関連データ(駐車場関連情報を表す)とユーザ認証データと通信履歴データと状態履歴データとに分類される。
【0120】
駐車場関連データは、例えば、駐車場の稼動状況を例えば各駐車位置ごとに表す稼動状況データと、駐車時間に応じて駐車料金の額を計算する際に参照される料金体系を表す料金体系データと、駐車場の売上状況を例えば各駐車位置ごとに表す売上状況データとを含むように構成される。稼動状況データと売上状況データは、前記基本制御プログラムの実行によって作成される。料金体系データが変更されれば、同じ駐車時間に対応する駐車料金が変更される。
【0121】
ユーザ認証データは、例えば、各オーナおよび管理者のそれぞれについてのユーザIDおよびパスワードをそれぞれ表すデータを含むように構成される。
【0122】
通信履歴データは、管理者との通信履歴を、その通信の時刻と目的とを含むように表すデータを含むように構成される。
【0123】
状態履歴データは、前記状態履歴を表すデータを含むように構成される。以上説明した複数のデータのうち少なくともこの状態履歴データは、メモリカード76にストアされ、駐車場において使用される各種機器の故障解析等に利用可能とされる。
【0124】
図5には、前記定期連絡プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0125】
この定期連絡プログラムは繰返し実行される。各回の実行時には、まず、ステップS1(以下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じとする。)において、コンピュータ40のタイマを利用することにより、この定期連絡プログラムの前回の実行時から、この定期連絡プログラムについて予め設定されたサイクルタイムが経過したか否かが判定される。経過していない場合には、判定がNOとなり、直ちにこの定期連絡プログラムの一回の実行が終了し、経過した場合には、判定がYESとなり、S2に移行する。
【0126】
このS2においては、メモリ74から必要なデータが読み出される。必要なデータは例えば、前記稼動状況データと売上状況データとを含んでいる。
【0127】
その後、S3において、その読み出されたデータが公衆回線を経て集中管理センタ10に送信される。
【0128】
以上で、この定期連絡プログラムの一回の実行が終了する。
【0129】
なお付言すれば、本実施形態においては、コンピュータ40の作動により、集中精算機30が集中管理センタ10から自立して、当該駐車場の稼動状況データおよび売上状況データを集中管理センタ10に送信するようになっているが、管理サーバ100の作動により、集中管理センタ10が自ら集中精算機30にアクセスして必要な情報、すなわち、当該駐車場の稼動状況データおよび売上状況データを集中精算機30から収集するようにして本発明を実施することが可能である。このようにすれば、集中計算機30の負荷が軽減される。
【0130】
この場合、管理サーバ100は例えば、各集中精算機30ごとに(または駐車場ごとに)予め定められた時刻が到来するごとに、公衆回線を介して各集中精算機30に、必要な情報を集中管理センタ10に発信することを指示するための情報発信指示を出力する。その情報発信指示に応答して各集中精算機30は、必要な情報を集中管理センタ10に送信する。その結果、集中管理センタ10は、各駐車場の各集中精算機30から受信した必要な情報を各時刻に関連付けて保存することが可能となる。
【0131】
図6には、前記電磁ロック制御プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0132】
この電磁ロック制御プログラムも繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S31において、公衆回線を経て管理者から、金庫扉の開錠を許可する旨の開錠指令信号が入力されたか否かが判定される。今回は、入力されてはいないと仮定すれば、判定がNOとなり、直ちにこの電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、今回は、入力されたと仮定すれば、判定がYESとなり、S32に移行する。
【0133】
このS32においては、金庫扉を開錠するための開錠信号が電磁ロック54に対して出力される。その結果、電磁ロック54が金庫扉の施錠を解除し、それにより、金庫扉が開錠可能となる。この状態においては、前記集金員が金庫42から現金を回収することが可能となる。
【0134】
その後、S33において、前記センサ56からの信号に基づき、金庫扉が施錠されたか否かが判定される。続いて、S34において、S32において開錠信号が出力されてから許容時間が経過したか否かが判定される。今回は、経過してはいないと仮定すれば、判定がNOとなり、S33に戻る。
【0135】
それらS33およびS34の実行が繰り返された結果、許容時間の経過前に金庫扉の施錠が検出された場合には、S33の判定がYESとなり、直ちにこの電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、許容時間の経過前に金庫扉の施錠が検出されなかった場合には、S34の判定がYESとなり、S35において、その旨管理者に通報される。以上で、この電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。
【0136】
なお付言すれば、管理者が開錠指令信号を駐車場に対して送信する場合には、それに先立ち、集中管理センタ10において、前記定期連絡プログラムの最新回の実行によって駐車場から集中管理センタ10に送信された駐車場関連データに基づき、その時点で金庫42に収容されている現金の額が売上金額として集計される。
【0137】
したがって、上述のようにして集金員によって金庫扉が開けられて金庫42から現金が回収されてそれが集中管理センタ10に運ばれれば、その運ばれた現金の額と、上述のようにして集計された売上金額とを対比可能となる。
【0138】
図7には、前記管理者通信プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0139】
この管理者通信プログラムも繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S51において、公衆回線を経て管理者から、その管理者がそれのコンピュータ(後述する)に入力したユーザIDが取り込まれる。次に、S52において、公衆回線を経て管理者から、その管理者が入力したパスワードが取り込まれる。
【0140】
続いて、S53において、S51およびS52においてそれぞれ取り込まれたユーザIDとパスワードとの組合せが前記メモリ74のユーザ認証データ内に存在するか否かを判定することにより、今回の管理者を認証できたか否かが判定される。
【0141】
今回は、認証できたと仮定すれば、判定がYESとなり、S54において、公衆回線を経て管理者から送信された指示に従い、必要な処理が行われる。以上で、この管理者送信プログラムの一回の実行が終了する。
【0142】
これに対し、今回は、今回の管理者を認証できなかったと仮定すれば、S53の判定がNOとなり、S55において、今回の管理者(本当の管理者になりすました者)との通信が切断される。以上で、この管理者送信プログラムの一回の実行が終了する。
【0143】
図8には、前記オーナ通信プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0144】
このオーナ通信プログラムも繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S71において、公衆回線を経てオーナから、そのオーナがそれのコンピュータ(後述する)に入力したユーザIDが取り込まれる。次に、S72において、公衆回線を経てオーナから、そのオーナが入力したパスワードが取り込まれる。
【0145】
続いて、S73において、S71およびS72においてそれぞれ取り込まれたユーザIDとパスワードとの組合せが前記メモリ74のユーザ認証データ内に存在するか否かを判定することにより、今回のオーナを認証できたか否かが判定される。
【0146】
今回は、認証できたと仮定すれば、判定がYESとなり、S74において、メモリ74から駐車場関連データが読み出され、それが公衆回線を経てオーナに送信される。
【0147】
その読み出される駐車場関連データは、本実施形態においては、例えば、駐車場全体または駐車位置ごとについての売上状況を時間ごとに表すデータを含むように構成される。このデータは、オーナによる今回のアクセス時刻が属する1時間より過去の各時間ごとに売上状況を表すデータとされる。このデータは、例えば、同じオーナが同じ集中精算機30に前回アクセスした時刻(またはそれが属する時間)から今回アクセスした時刻(またはそれが属する時間より1時間前の時間)まで、各時間ごとに売上状況を表すデータとすることが可能である。いずれにしても、オーナは、自分の土地に設置されている駐車場の売上状況を実質的にリアルタイムで把握することが可能となる。
【0148】
さらに、上記読み出される駐車場関連データは、本実施形態においては、例えば、オーナによる今回のアクセス時刻が属する日より過去の期間を対象に、駐車場全体または駐車位置ごとについての売上状況を日ごと、週ごとおよび月ごとに表すデータを含むように構成される。
【0149】
ただし、売上状況を日ごと、週ごとおよび月ごとに表すデータは、上述の、各時間ごとに売上状況を表すデータに基づいて計算可能である。したがって、売上状況を日ごと、週ごとおよび月ごとに表すデータを上記駐車場関連データに含ませる代わりに、各時間ごとに売上状況を表すデータをオーナのコンピュータのメモリに蓄積し、そのコンピュータにその計算のための専用ソフトを実行させることにより、売上状況を日ごと、週ごとおよび月ごとに表すデータをオーナのコンピュータによって作成して閲覧することが可能である。このようにすれば、集中計算機30の負荷が軽減される。
【0150】
以上のようにしてS74が実行された後、S75において、今回のオーナから、管理者の通信履歴を開示したい旨の履歴開示要求(オーナからのリクエスト)が出されたか否かが判定される。今回は、出されたと仮定すれば、判定がYESとなり、S76において、その管理者の通信履歴が前記メモリ74から読み出されて今回のオーナに送信される。以上で、このオーナ通信プログラムの一回の実行が終了する。
【0151】
以上、今回のオーナを認証できた場合を説明したが、認証できなかった場合には、S73の判定がNOとなり、S77において、今回のオーナ(本当のオーナになりすました者)との通信が切断される。以上で、このオーナ送信プログラムの一回の実行が終了する。
【0152】
図9には、前記通信履歴保存プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0153】
この通信履歴保存プログラムも繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S101において、通信機器80が外部との通信中であるか否かが判定される。外部との通信中ではない場合には、判定がNOとなり、直ちにこの通信履歴保存プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、外部との通信中である場合には、判定がYESとなり、S102に移行する。
【0154】
このS102においては、今回の通信の発呼者が、当該駐車場のオーナであるか否かが判定される。そのオーナである場合には、判定がNOとなり、直ちにこの通信履歴保存プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、今回の通信の発呼者が、当該駐車場のオーナではない場合、すなわち、管理者である場合には、判定がYESとなり、S103に移行する。
【0155】
このS103においては、コンピュータ40のタイマにより、現在時刻が計測される。その現在時刻には例えば、各回の通信の終了時刻を選ぶことが可能である。
【0156】
その後、S104において、今回の管理者により入力された通信目的コードが取り込まれる。この通信目的コードは、今回の管理者が今回の通信を行う目的を表すコードであり、例えば、当該駐車場の各構成要素の監視を通信目的とすることを表すコードや、当該駐車場における金庫扉の開錠を通信目的とすることを表すコード、当該駐車場における駐車装置を遠隔的に操作することを通信目的とすることを表すコード等を含んでいる。
【0157】
続いて、S105において、今回の管理者に関連付けて、前記計測された現在時刻と、前記取り込まれた通信目的コードとの組合せが通信履歴データとしてメモリ74に保存される。
【0158】
以上で、この通信履歴保存プログラムの一回の実行が終了する。
【0159】
図10には、前記状態履歴保存プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0160】
この状態履歴保存プログラムも繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S131において、当該駐車場の各構成要素から状態信号が取り込まれる。次に、S132において、前記タイマにより現在時刻が計測される。
【0161】
その後、S133において、各構成要素に関連付けて、その計測された現在時刻と、前記取り込まれた状態信号との組合せが状態履歴データとして、メモリ74のうちのメモリカード76に保存される。
【0162】
以上で、この状態履歴保存プログラムの一回の実行が終了する。
【0163】
図11に示すように、集中管理センタ10には、それぞれコンピュータを有する管理サーバ100とウェブサーバ102とデータベースサーバ104とが設置されている。
【0164】
管理サーバ100は、主に、各駐車場の管理を行うためのデータ処理を行うことを目的とする。ウェブサーバ102は、主に、集中管理センタ10が作成したホームページに掲載されている情報をオーナがインターネット上で閲覧することを可能にしたり、その他必要な情報をオーナを始めとするユーザに発信したり、必要な情報・指示を警備会社12およびメンテナンス会社14に通報することを目的とする。
【0165】
データベースサーバ104は、それら管理サーバ100とウェブサーバ102とに接続されている。データベースサーバ104は、主に、管理サーバ100により作成されたデータをデータベース106に保存したり、必要な情報をデータベース106において検索したり、必要な情報をデータベース106からウェブサーバ102に供給することを目的とする。
【0166】
管理サーバ100とウェブサーバ102は、通信機器110に接続されている。この通信機器110の一例は、モデム(アナログ公衆回線の場合)と電話機との組合せ、ターミナルアダプタ(デジタル公衆回線の場合)と電話機との組合せ、または移動電話機(無線通信の場合)である。いずれの例においても、電話機には固有の電話番号が割り当てられている。
【0167】
図12には、管理サーバ100のハードウエア構成がブロック図で概念的に表されている。この管理サーバ100は、プロセッサ120とプログラムメモリ122とデータメモリ124とがバス126により互いに接続されたコンピュータを主体として構成されている。
【0168】
図12に示すように、プログラムメモリ122には、集計プログラム、状態監視プログラム、ユーザ登録・変更プログラムおよびオーナ収入額計算プログラムを始めとする各種プログラムが予め記憶されている。
【0169】
それらプログラムの内容を概略的に説明する。
【0170】
集計プログラムは、各駐車場ごとに、そこから受信した駐車場関連データに基づき、駐車場の稼動状況や売上状況を集計するためのプログラムである。
【0171】
状態監視プログラムは、各駐車場ごとに、駐車場の各構成要素の状態を監視するためのプログラムである。
【0172】
ユーザ登録・変更プログラムは、中央管理センタ10がインターネット上において情報を発信するサービスの利用を希望するユーザ(オーナ、管理者、警備会社12またはメンテナンス会社14)を登録するとともに、その登録内容を適宜変更するためのプログラムである。
【0173】
オーナ収入額計算プログラムは、前記集計プログラムによる集計結果に基づき、各駐車場ごとに、駐車場の総売上額を、対応するオーナの総収入額として計算するとともに、そのうちの一部を管理者に支払うべき管理費として計算するためのプログラムである。
【0174】
図13には、前記集計プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0175】
この集計プログラムは、管理者からの起動指令に応じて実行される。その実行時には、まず、S201において、集計に必要な情報が各駐車場またはデータベース106から収集される。次に、S202において、その収集されたデータが予め定められた解析規則に従って解析される。
【0176】
続いて、S203において、その解析結果に基づき、各駐車場について別々に、売上額の時間ごとの推移を表す駐車場別時間毎売上表が作成される。その作成結果はデータベースサーバ104を介してデータベース106に保存される。
【0177】
その後、S204において、前記解析結果に基づき、各駐車場について別々に、売上額の日ごとの推移を表す駐車場別日毎売上表が作成される。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0178】
続いて、S205において、前記解析結果に基づき、各駐車場について別々に、売上額の週ごとの推移を表す駐車場別週毎売上表が作成される。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0179】
その後、S206において、前記解析結果に基づき、各駐車場について別々に、売上額の月ごとの推移を表す駐車場別月毎売上表が作成される。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0180】
続いて、S207において、前記解析結果に基づき、各駐車場について別々に、各駐車位置ごとの売上額を表す駐車場別位置毎売上表が作成される。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0181】
その後、S208において、各駐車場について別々に、駐車場の金庫42からの料金の収集に関する駐車場別料金収集報告書が作成される。この報告書は、例えば、そのオーナの駐車場の名称および所在地、データの最終更新日付、現金総合計、料金収集期間、コイン枚数等を含んでいる。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0182】
続いて、S208において、各駐車場について別々に、駐車場の金庫42から収集された料金のうちの不正料金に関する駐車場別不正料金報告書が作成される。この報告書は、例えば、そのオーナの駐車場の名称および所在地、データの最終更新日付、未払金額合計や、不正料金が課された車両に関する、駐車位置、入出庫時刻、駐車時間、駐車料金等を含んでいる。その作成結果もデータベース106に保存される。
【0183】
以上で、この集計プログラムの一回の実行が終了する。
【0184】
図14には、前記状態監視プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0185】
この状態監視プログラムは繰返し実行される。各回の実行時には、まず、S231において、センサ70からの信号に基づき、用紙切れが発生しているか否かが判定される。発生していれば、S232において、その旨がインターネットを介してメンテナンス会社14に通報され、発生していなければ、S232がスキップされる。
【0186】
いずれの場合にも、その後、S233において、センサ64からの信号に基づき、つり銭収容部46においてつり銭不足が発生しているか否かが判定される。発生していれば、S234において、その旨がインターネットを介してメンテナンス会社14に通報され、発生していなければ、S234がスキップされる。
【0187】
いずれの場合にも、その後、S235において、センサ60からの信号に基づき、紙幣収容部44においてそこにストックされている紙幣の枚数が許容枚数を超えているか否か、すなわち、紙幣ストックオーバーが発生しているか否かが判定される。発生していれば、S236において、その旨がインターネットを介してメンテナンス会社14に通報され、発生していなければ、S236がスキップされる。
【0188】
いずれの場合にも、その後、S237において、当該駐車場における各駐車装置20等からの信号に基づき、いずれかの駐車位置に同じ車両が異常に長い時間駐車し続けている結果、その車両の利用者に現時点において課金される駐車料金の額が高額であるか否か、すなわち、高額課金駐車が行われているか否かが判定される。行われていれば、S238において、その旨がインターネットを介して警備会社12に通報され、行われていなければ、S238がスキップされる。
【0189】
いずれの場合にも、その後、S239において、当該駐車場の各構成要素からの信号に基づき、各構成要素の作動状態に異常が発生しているか否かが判定される。発生していれば、S240において、その旨がインターネットを介してメンテナンス会社14に通報され、発生していなければ、S240がスキップされる。
【0190】
いずれの場合にも、その後、S241において、当該駐車場の各構成要素からの信号等に基づき、当該駐車場のいずれかの駐車装置20の遠隔操作(例えば、それのフラップ板を起立させて、対応する駐車位置への車両進入を阻止するため)が必要であるか否かが判定される、必要であれば、S242において、その遠隔操作のための信号が公衆回線を介して駐車場に送信されてその遠隔操作が行われ、必要でなければ、S242がスキップされる。
【0191】
いずれの場合にも、以上で、この状態監視プログラムの一回の実行が終了する。
【0192】
図15には、前記ユーザ登録・変更プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0193】
このユーザ登録・変更プログラムは、ユーザから登録リクエストまたは変更リクエストが出されることに応じて実行される。その実行時には、まず、S251において、今回のユーザのリクエストが登録に関するものであるか否かが判定される。今回は、登録に関するリクエストであると仮定すれば、判定がYESとなり、S252に移行する。
【0194】
このS252においては、ユーザがそれのコンピュータに入力したユーザIDがインターネットを介して取り込まれる。続いて、S253において、そのユーザIDがユーザによって確認されるのが待たれ、確認されたならば、S254において、そのユーザのためにパスワードが設定される。
【0195】
その後、S255において、その設定されたパスワードがインターネットを介してユーザのコンピュータの画面上に表示される。続いて、S256において、それらユーザIDとパスワードとの組合せが今回のユーザの識別情報(例えば、氏名、住所、電話番号等)に関連付けてデータベース106に登録される。
【0196】
以上で、このユーザ登録・変更プログラムの一回の実行が終了する。
【0197】
これに対し、今回のユーザのリクエストが変更に関するものである場合には、S251の判定がNOとなり、S257に移行する。
【0198】
このS257においては、ユーザが先に入力したデータを変更するためにそのユーザのコンピュータに入力されたデータがインターネットを介して取り込まれる。続いて、S258において、その表示されたデータがユーザによって確認されるのが待たれ、確認されたならば、S259において、その確認されたデータに従い、今回のユーザに関連付けて先に登録された内容が変更される。
【0199】
以上で、このユーザ登録・変更プログラムの一回の実行が終了する。
【0200】
図16には、前記オーナ収入額計算プログラムの内容がフローチャートで概念的に表されている。
【0201】
このオーナ収入額計算プログラムは、管理者から計算リクエストが出されることに応じて実行される。その実行時には、まず、S271において、データベース106から読み出された必要なデータに基づき、月ごとまたは年ごとの当該駐車場の売上額がオーナの総収入額として計算される。その計算された総収入額は、集中管理センタ10においては管理サーバ100の表示装置の画面(図示しない)上に、オーナにおいてはコンピュータ140の液晶ディスプレイ148の画面上にそれぞれ、管理者およびオーナからのそれぞれの表示指令に応じて表示される。さらに、その計算された総収入額は、今回のオーナに関連付けてデータベース106にストアされる。
【0202】
次に、S272において、データメモリ124から分配率が読み出される。駐車場経営による総収入額のうち管理費として管理者に分配すべき分配率が各オーナに関連付けてデータメモリ124に予め記憶されており、このS272においては、管理者により指定されたオーナにつき、そのオーナに関連付けてデータメモリ124に記憶されている分配率が読み出される。
【0203】
続いて、S273において、その読み出された分配率と、前記計算された総収入額とに基づき、今回のオーナが管理者に支払うべき管理費の額が計算される。例えば、それら分配率と総収入額の積として管理費額が計算される。その計算された管理費額は、集中管理センタ10においては管理サーバ100の表示装置の画面(図示しない)上に、オーナにおいてはコンピュータ140の液晶ディスプレイ148の画面上にそれぞれ、管理者およびオーナからのそれぞれの表示指令に応じて表示される。
【0204】
その後、S274において、その計算された管理費額が今回のオーナに関連付けてデータベース106にストアされる。
【0205】
以上で、このオーナ収入額計算プログラムの一回の実行が終了する。
【0206】
図17には、ウェブサーバ102により各ユーザのコンピュータの画面上の表示が時間と共に遷移する様子がブロック図で表されている。
【0207】
同図に示すように、ウェブサーバ102によればまず、トップページが表示される。このトップページに対し、ユーザが、オーナと管理者と警備会社12とメンテナンス会社14とのうち該当するものを選択すれば、その選択に対応するログインページが表示される。
【0208】
いずれのログインページに対しても、ユーザは、ユーザIDとパスワードとを入力することを要求される。
【0209】
その入力結果によって今回のユーザが認証されれば、今回のユーザがオーナまたは管理者である場合にはそれぞれのトップページがユーザの画面上に表示される。ユーザが、それぞれのトップページに対し、閲覧することを希望する情報の種類またはタイトルを選択すれば、その選択に応じた情報がデータベース106から読み出されてユーザの画面上に表示される。
【0210】
同図に示すように、今回のユーザがオーナである場合には、自分の駐車場につき、駐車場別時間毎売上表等を閲覧することができる。それら売上表は、前記集計プログラムの実行によって作成されたものである。図18には、駐車場別時間毎売上表を例にとり、オーナが閲覧可能な情報が画面イメージで示されている。
【0211】
これに対し、今回のユーザが警備会社12である場合には、各駐車場の各構成要素に関する故障情報が警備会社12のコンピュータの画面上に表示される。
【0212】
また、今回のユーザがメンテナンス会社14である場合には、各駐車場の各構成要素に関するメンテナンス指示がメンテナンス会社14のコンピュータの画面上に表示される。
【0213】
図19には、オーナが使用するコンピュータ140とそれに接続された通信機器144とが示されている。コンピュータ140は、入力装置としてのマウス146と、出力装置としての液晶ディスプレイ148とを備えている。通信機器144の一例は、モデム(アナログ公衆回線の場合)と電話機との組合せ、ターミナルアダプタ(デジタル公衆回線の場合)と電話機との組合せ、または移動電話機(無線通信の場合)である。いずれの例においても、電話機には固有の電話番号が割り当てられている。
【0214】
オーナは、それらコンピュータ140と通信機器144とを利用することにより、公衆回線を経て、自分の土地に設置された駐車場にダイレクトにアクセスして必要な情報を得ることと、インターネットを介して管理者のウェブサーバ102にアクセスして必要な情報を管理者から得ることとを選択的に行うことが可能である。駐車場にダイレクトにアクセスする場合には、その駐車場に関する生の情報を取得できるのに対し、管理者にアクセスする場合には、駐車場に関する、生の情報が編集された情報を取得できる。
【0215】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、コンピュータ40が前記(1)項における「駐車場用コンピュータ」の一例を構成し、通信機器144が同項における「オーナ用通信機器」の一例を構成し、通信機器110が同項における「管理者用通信機器」の一例を構成し、コンピュータ40のうち、図8のS75およびS76ならびに図9の通信履歴保存プログラムを実行する部分が同項における「選択的開示手段」の一例を構成しているのである。
【0216】
さらに、本実施形態においては、メモリ74のうち、通信履歴データを記憶すべき部分が前記(4)項における「通信履歴メモリ」の一例を構成し、コンピュータ40のうち、図9の通信履歴保存プログラムを実行する部分が同項における「選択的保存手段」の一例を構成し、コンピュータ40のうち、図8のS75およびS76を実行する部分が同項における「出力手段」の一例を構成しているのである。
【0217】
さらに、本実施形態においては、コンピュータ40のうち、図8のS74を実行する部分が前記(6)項における「第1送信手段」の一例を構成しているのである。
【0218】
さらに、本実施形態においては、管理サーバ100とウェブサーバ102とが互いに共同して前記(7)項における「管理者用コンピュータ」の一例を構成し、コンピュータ140が同項における「オーナ用コンピュータ」の一例を構成しているのである。
【0219】
さらに、本実施形態においては、コンピュータ40のうち、図8のS71ないしS73を実行する部分が前記(8)項における「第1送信手段」の一例を構成しているのである。
【0220】
さらに、本実施形態においては、コンピュータ40のうち、図8のS74を実行する部分が前記(8)項における「第1送信手段」の一例を構成しているのである。
【0221】
さらに、本実施形態においては、電磁ロック54が前記(13)項における「ロック機構」の一例を構成し、コンピュータ40のうち、図6のS31およびS32を実行する部分が同項における「開錠手段」の一例を構成しているのである。
【0222】
さらに、本実施形態においては、コンピュータ40のうち、図5の定期連絡プログラムを実行する部分が前記(14)項における「第3送信手段」の一例を構成しているのである。
【0223】
さらに、本実施形態においては、電磁ロック54が前記(16)項における「ロック機構」の一例を構成し、コンピュータ40のうち、図6のS31およびS32を実行する部分が同項における「開錠手段」の一例を構成しているのである。
【0224】
さらに、本実施形態においては、コンピュータ40のうち、図5の定期連絡プログラムを実行する部分が前記(17)項における「第1送信手段」の一例を構成しているのである。
【0225】
さらに、本実施形態においては、管理サーバ100のうち、図16のS271を実行する部分が前記(20)項における「総収入額計算手段」の一例を構成しているのである。
【0226】
さらに、本実施形態においては、管理サーバ100のうち、図16のS272およびS273を実行する部分が前記(21)項における「管理費額計算手段」の一例を構成しているのである。
【0227】
なお付言すれば、以上説明した各プログラムは適宜変更して実施することが可能である。
【0228】
図20には、前記電磁ロック制御プログラムの一変更例がフローチャートで概念的に、かつ、集金員の作業工程および集中管理センタ10の管理者の作業工程と時間的に関連付けて表されている。
【0229】
この例においては、キーによって機械的に開錠可能なプロテクタによって金庫42が保護されており、そのため、集金員はキーによってプロテクタを開錠した後でないと金庫42にアクセスすることができない。
【0230】
さらに、この例においては、金庫42のロック部が、シリンダと、それに移動可能に係合させられた可動部材としてのロッドとを含むように構成されており、そのロッドの位置が電磁ロック54により、施錠位置と開錠位置とに移動させられる。金庫扉の開状態においてロッドが施錠位置に位置させられ、この状態から集金員が金庫扉を閉じると、その金庫扉がセルフロックされる。
【0231】
図20に示すように、指定された駐車場に到着した集金員は、まず、S301において、持参したキーを用いてプロテクタを開錠する。次に、S302において、携帯電話等の電話を用いて集中管理センタ10を呼び出す。
【0232】
その後、S331において、集中管理センタ10において管理者がその電話を受け取り、続いて、S332において、管理者は、前記開錠指令信号を前記公衆回線を経て当該集中精算機30に送信する。
【0233】
その後、その集中精算機30において電磁ロック制御プログラムが実行される。この電磁ロック制御プログラムにおいては、まず、S351において、集中管理センタ10から開錠指令信号が入力されたか否かが判定される。今回は、入力されてはいないと仮定すれば、判定がNOとなり、直ちにこの電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、今回は、集中管理センタ10から開錠指令信号が入力されたと仮定すれば、判定がYESとなり、S352に移行する。
【0234】
このS352においては、前記ロッドを開錠位置に移動させるために開錠信号が電磁ロック54に対して出力される。その後、S353において、電磁ロック54が開錠されて集金員が金庫扉を開くことが可能な状態にあることを表示するために、「OPEN」というイメージが集中精算機30の料金表示部等の表示部に表示される。
【0235】
その後、集金員が、S303において、金庫扉を開き、続いて、S303において、金庫42から現金を回収する。集金員は本来であれば、その集金が終了したら速やかに、S305において、金庫扉を閉じるはずである。
【0236】
そのような集金員による集金に並行し、電磁ロック制御プログラムにおいては、S354において、電磁ロック54の開錠から設定時間が経過するのが待たれ、経過したならば、S355において、その時点において金庫扉が実際に閉じられているか否かを問わず、前記ロッドを施錠位置に移動させるために施錠信号が電磁ロック54に対して出力される。
【0237】
その後、S356において、前記「OPEN」というイメージの表示が解除される。続いて、S357において、前記センサ56からの信号に基づき、金庫扉が実際に閉じられたか否かが判定される。今回は、閉じられていると仮定すれば、判定がYESとなり、直ちにこの電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。これに対し、今回は、金庫扉が未だ閉じられてはいないと仮定すれば、判定がNOとなり、S358に移行する。
【0238】
このS358においては、前記施錠信号の出力から設定時間が経過したか否かが判定される。経過していない場合には、S357に戻るが、経過した場合には、金庫42が異常である旨、すなわち、金庫扉が異常に長い時間開かれている旨集中管理センタ10に通報される。以上で、この電磁ロック制御プログラムの一回の実行が終了する。
【0239】
その後、集中管理センタ10の管理者は、S333において、金庫42が異常である旨の通報が集中精算機30からあったか否かを判定する。その通報があった場合には、判定がYESとなり、S334において、その異常に対処するための措置の一例として、警備会社12またはメンテナンス会社14への通報を行う。以上で、集中管理センタ10の管理者による一連の作業が終了する。
【0240】
一方、集金員は、金庫扉を閉じた後、S306において、プロテクタを施錠する。以上で、集金員による一連の作業が終了する。
【0241】
なお付言すれば、本実施形態においては、各駐車場の各種機器に異常が生じた場合には、警備会社12とメンテナンス会社14とのそれぞれに対する通報がインターネットを介して行われるようになっているが、異常が生じた駐車場の集中精算機30が自動的に、公衆回線を介して警備会社12とメンテナンス会社14とに通報するようにして本発明を実施することが可能である。
【0242】
この場合、警備会社12とメンテナンス会社14とはそれぞれ、その公衆回線での通報に応答してインターネットを介して集中管理センタ10にアクセスし、それにより、その通報に係る駐車場の異常の内容を確認することが可能である。
【0243】
以上、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、前記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に従う駐車場管理システムが使用される集中管理システムのハードウエア構成を系統的に示すブロック図である。
【図2】図1における各駐車場に設置されている各集中精算機のハードウエア構成を系統的に示すブロック図である。
【図3】図2におけるコンピュータのハードウエア構成を概念的に表すブロック図である。
【図4】図2におけるメモリに記憶される各種データの内容を概念的に表すブロック図である。
【図5】図3における定期連絡プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図6】図3における電磁ロック制御プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図7】図3における管理者通信プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図8】図3におけるオーナ通信プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図9】図3における通信履歴保存プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図10】図3における状態履歴保存プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図11】図1における集中管理センタに設置された各種機器を系統的に示すブロック図である。
【図12】図11における管理サーバ100のハードウエア構成を概念的に表すブロック図である。
【図13】図12における集計プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図14】図12における状態監視プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図15】図12におけるユーザ登録・変更プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図16】図12におけるオーナ収入額計算プログラムの内容を概念的に表すフローチャートである。
【図17】図11におけるウェブサーバ102により各ユーザのコンピュータの画面上の表示が時間と共に遷移する様子を概念的に表すブロック図である。
【図18】図17における駐車場別時間毎売上表の一例を画面イメージで示す図である。
【図19】図1におけるオーナにより使用される各種機器を示す斜視図である。
【図20】前記電磁ロック制御プログラムの一変更例の内容を概念的に、かつ、集金員による作業工程と集中管理センタ10の管理者による作業工程とに時期的に関連付けて表すフローチャートである。
【符号の説明】
10 集中管理センタ
30 集中精算機
40 コンピュータ(駐車場用コンピュータ)
42 金庫
54 電磁ロック
56 センサ
80 通信機器(駐車場用通信機器)
100 管理サーバ
102 ウェブサーバ
104 データベースサーバ
110 通信機器(管理者用通信機器)
140 コンピュータ(オーナ用コンピュータ)
144 通信機器(オーナ用通信機器)
Claims (5)
- オーナが実質的にまたは形式的に所有する土地に設置されるとともに管理者によって管理される駐車場においてそれを管理するために使用される駐車場管理システムであって、
駐車場用コンピュータと、
その駐車場用コンピュータと、前記オーナにより使用されるオーナ用通信機器および管理者により使用される管理者用通信機器のうちの少なくとも管理者用通信機器とを互いに通信可能にする駐車場用通信機器と、
前記駐車場を利用した対価である駐車料金としてその利用者により投入された現金を収容する金庫であって、金庫扉と、その金庫扉を電気的に施錠するとともにその施錠を電気的に解除するロック機構とを有するものと
を含み、かつ、
その金庫は、それのロック部が、シリンダと、それに移動可能に係合させられた可動部材とを含むように構成されており、その可動部材が前記ロック機構により、前記金庫扉が施錠される施錠位置と開錠される開錠位置とに移動させられ、前記金庫扉の開状態において前記可動部材が前記施錠位置に位置させられる施錠状態で前記金庫扉が閉じられると、その金庫扉がセルフロックされるように構成されており、
前記駐車場用コンピュータは、
前記金庫扉の開錠を指令する開錠指令信号を前記管理者用通信機器から受信することに応答し、その開錠のための開錠信号を前記ロック機構に対して出力する開錠信号出力手段と、
前記開錠信号の出力から設定時間が経過した場合に、前記金庫扉が実際に閉じられているか否かを問わず、その金庫扉を施錠するための施錠信号を前記ロック機構に対して出力する施錠信号出力手段と
を含む駐車場管理システム。 - 前記駐車場用コンピュータは、さらに、前記開錠信号の出力に先立ち、前記金庫に収容されている現金である売上金の額に関連する売上金額関連情報を前記管理者用通信機器に送信する売上金額関連情報送信手段を含む請求項1に記載の駐車場管理システム。
- さらに、
前記金庫扉が閉じられたか否かを検出するセンサと、
表示部と
を含み、かつ、
前記開錠信号出力手段は、前記開錠指令信号を前記管理者用通信機器から受信することに応答し、前記開錠信号を前記ロック機構に対して出力するとともに、前記金庫扉を開くことが可能な状態にあることを前記表示部において表示し、
前記施錠信号出力手段は、前記開錠信号の出力から前記設定時間が経過した場合に、前記金庫扉が実際に閉じられているか否かを問わず、前記施錠信号を前記ロック機構に対して出力するとともに、前記金庫扉を開くことが可能な状態にあることの表示を前記表示部において解除し、
前記駐車場用コンピュータは、さらに、
前記施錠信号の出力後、前記センサからの信号に基づき、前記金庫扉が閉じられたか否かを判定し、閉じられていない場合には、前記施錠信号の出力からの経過時間が許容時間を超えたか否かを判定し、超えた場合には、前記金庫扉が必要以上に長い時間、開状態にあることを表す信号を前記管理者用通信機器に送信する特定信号送信手段を含む請求項1または2に記載の駐車場管理システム。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の駐車場管理システムと前記管理者用通信機器を経て接続され、前記管理者により使用される管理者用コンピュータであって、
前記駐車場用コンピュータから受信した駐車場関連情報に基づき、前記駐車場に対して支払われた駐車料金の総額を前記オーナの総収入額として計算する総収入額計算手段を含む管理者用コンピュータ。 - さらに、
前記計算されたオーナの総収入額と、そのオーナの総収入の一部を前記管理者に、その管理者がそのオーナに代わって前記駐車場を管理した対価である管理費として分配する際の分配率とに基づき、その管理費の額を計算する管理費額計算手段を含む請求項4に記載の管理者用コンピュータ。
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