JP3728891B2 - ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法 Download PDF

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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29BPREPARATION OR PRETREATMENT OF THE MATERIAL TO BE SHAPED; MAKING GRANULES OR PREFORMS; RECOVERY OF PLASTICS OR OTHER CONSTITUENTS OF WASTE MATERIAL CONTAINING PLASTICS
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Description

【0001】
本発明は、切粉やカケが少なく、かつ形状の揃ったポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法に関する。更に詳しくは、回転刃の構造を改良することによって切断性能を改良したポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法にある。
【0002】
【従来の技術】
押出機を用いて熱可塑性樹脂に熱安定剤や着色剤、ガラス繊維やフイラー類等の各種添加剤を配合して溶融混練した樹脂組成物はコンパクトディスクや光ディスク、OA機器部品、電気電子部品、医療機器部品、自動車部品等多くの成形材料として使用される。
上記の樹脂組成物は、通常、添加剤を含有する溶融した熱可塑性樹脂を押出機からダイスノズルを介して押出した後冷却固化して得られたストランドを、固定刃と回転体外周に形成された回転刃とを用いて切断し樹脂ペレットとして使用されている。
【0003】
一方、樹脂組成物の成形に際しては、原料ペレット中の「切粉あるいは切屑」や「カケ」の存在が大きな問題となる。「カケ」とは、樹脂ペレットが切れたり割れたりしたものである。
これ等の原料中に切粉やカケが存在すると射出成形機や押出成形機の喰込安定性が低下し、それによる空気の巻き込みや可塑化時間の変動が生じ良好な成形部品が得られず不良率が大きくなる。
また、微細な切粉は原料の空力輸送ラインや、成形機のホッパーまわりを汚染したり、フィルター等を目詰りさせる原因にもなるなど様々なトラブルをひきおこすことが問題となっている。
【0004】
このため最近では各樹脂メーカーともカッター切断後のペレットを微粉除去機を通して微粉を除去する操作を行なうことが多くなっている。
しかしこれ等の方法で除去したとしても細かい微粉は除去出来ても、大きい粉体更にはカケ等は完全に除去出来ていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる切粉、カケの発生がなく、常に一定形状の樹脂ペレットを得ることができる樹脂ペレットの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上述の問題を解決するために検討した結果、切屑やカケの発生の原因は、回転カッターによる切断時に切断されたペレットが回転刃にだきこまれ、再度回転刃と固定刃との会合部分に送られてしまうため、所謂多重切りが発生することによることが判明した。さらには、このような多重切りを抑制することによって切屑やカケの発生を抑制できるとの認識の下に検討を行ない、切断する樹脂温度と回転刃のすくい角が、樹脂の付着現象に大きく影響し、特定温度下で特定のすくい角の回転刃を有する回転カッタを使用すれば樹脂ペレットのだき込みが防止でき、その結果多重切りを抑制できることが判明した。
【0007】
本発明はかかる知見に基づいてなされたものであって、固定部に設けられた固定刃と、回転体の外周に突設され固定刃近接位置を回転軌跡として回転する回転刃とからなるカッターを用いて長尺状のポリカーボネート樹脂を切断するポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法において、切断時の樹脂の表面温度を150℃以下とすると共に回転刃のすくい角が15〜50度であるカッターを用いて切断することを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる熱可塑性樹脂とは熱によって可塑化成形可能な樹脂一般を指称し、特に工業的に広く使用されているポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等のエンジニアリングプラスチック樹脂が適する。
ポリカーボネート樹脂としては、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体または共重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称、ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0009】
ポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、二塩基酸とジアミンなどの重縮合によって得られるポリアミドを用いることができる。具体的にはε−カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α−ピロリドン、α−ピペリドンなどの重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミンなどのジアミンとテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸などのジカルボン酸とを重縮合せしめて得られる重合体またはこれらの共重合体、例えば、ナイロン4、6、7、8、11、12、6.6、6.9、6.10、11、6.12、6T、6/6.6、6/12、6/6Tなどが挙げられる。
【0010】
ポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブチレンテレフタレート/ブチレンドデカジオエート)共重合体などの熱可塑性ポリエステルが挙げられる。
【0011】
これ等の熱可塑性樹脂の1種又は2種以上を組み合わせて使用することが出来る。本発明ではこれ等の熱可塑性樹脂のうち特にポリカーボネート樹脂を使用した時にその効果が顕著である。
また、これ等の熱可塑性樹脂に種々の熱安定剤や抗酸化剤、着色剤、更にはガラス繊維やフイラー等の添加剤を配合して押出機を通して溶融混練することも出来る。
【0012】
本発明で使用する押出機としては特に制限はないが通常一軸又は二軸スクリュー押出機が一般的である。押出機内で溶融混練した樹脂又は樹脂組成物は押出機先端のノズルを通して押出され水などの冷却媒体中で冷却された後カッターで切断される。この時の冷却条件として冷却媒体の温度と冷却長を調節することによってストランド表面を適切な温度以下に調節することができる。
【0013】
本発明において使用されるカッターは、図1に示される構造のものを使用することができる。
図1において、カッター1は、固定部2を有し、固定部2の隅角部には固定刃3が形成されている。
また、固定刃3の隣接位置には、軸4を回転軸として回転する回転体5が配設され、回転体5の外周には複数の回転刃6,6が回転体5の周方向に所定の間隔おいて列設されており、回転刃6,6は固定刃3の近接位置を回転刃6,6の回転外周軌跡として回転するように構成されている。
【0014】
固定刃3、回転刃6,6の材質は特に限定されるものではないがステライト又は超硬質鋼(JISでK20,K30)及び超硬合金等が主として用いられる。
回転体5の外周に突設される回転刃6,6の刃数は特に制約はなく任意の数とすることができるが一般には4〜100、好ましくは15〜50である。
回転刃6,6は回転体5の外周に回転体5の回転軸方向に、かつ、回転軸に対して一定距離を保持するように形成される。このとき回転刃6,6を円周方向に捩れた形状に形成することができる。即ち、回転刃6,6は図2に示すように側面からみたとき回転軸に対してヘリカル角度θ1 をもつように形成することができ、ヘリカル角度θ1 は0〜10度好ましくは0.5〜5度、より好ましくは1〜3度とされる。
【0015】
また、回転刃6,6はその先端が回転刃の回転方向に傾斜した形状に突設され、本発明は、そのすくい角を15〜50度の範囲とするところに特徴を有する。
すくい角とは、図3に示すように、回転刃6の断面をみたとき、回転刃6の内側、即ち回転刃6の進行方向側壁7と固定刃3とのなす角度θ2 を言い、この角度を15度〜50度、より好ましくは20度〜40度とする。15度以下であると一旦切断したペレットの一部が刃に巻き上げられて回転刃上を一周又は二周以上回り、同時切断をくり返す。更に巻き上げられたペレットや切粉、カケの一部はローラーカバーなどに付着しまわりを汚染すると同時にある程度蓄積すると回転刃上に落下して再切断されて再び細かい微粉やカケに成長する。すくい角が50℃以上ではカケ防止の効果は大きいが刃の強度が低下してくるので長期間の運転に支障をきたし好ましくない。また、角度だけでなくフトコロ長lについても短くすればペレットの巻き上げは低減出来るが通常は3〜50mmであるが好ましくは5〜30mm、より好ましくは8〜10mmである。
【0016】
図1のカッター1は切断された樹脂ペレット8の飛散防止と安全性のためローラーカバー9を設けると共に、樹脂ストランドを供給するためのフィードローラ10a,10bを有している。
図1に示すカッター1を用いて樹脂ペレット8を製造するときは、所望の添加剤が配合された熱可塑性樹脂が押出機11で200〜300℃に加熱溶融され、ダイス12のダイスノズル13を介してストランド14が押出成形されて冷却槽(図示せず)内の冷却媒体に導かれ冷却固化される。冷媒としては空気、水や有機溶媒があるが水が一般的である。冷却の方式としては空冷と組み合わせる多段方式でもよい。
【0017】
冷却媒体槽で冷却固化されたストランドはカッター入口のフィードローラー10a,10bで引き取られ固定刃3と回転刃6,6によって切断されペレット8,8となる。
切断時のストランドの表面温度は150℃以下、より好ましくは130℃以下とされる。
表面温度が150℃以上に高くなるとストランド中心部の樹脂層が充分に固化しきれず、従って上述の回転刃のすくい角を最適化しても刃への付着量が増加して効果がなくなる。
なお、表面温度は150℃以下では特に問題はないが本発明の効果が顕著なのは150℃〜30℃、好ましくは130℃〜50℃である。
【0018】
【発明の効果】
従来の技術では、すくい角とカケ、切り屑との関係については知られておらず、刃の強度を上げ寿命を長くすると言うような観点から、すくい角は10度以下程度とされていた。
本発明は、15〜50度という従来の認識とは全く異なる角度のすくい角の回転刃を有する回転カッタを用いるものであり、このようなカッタを用いることにより、カケや切り屑の少ない樹脂ペレットを得ることが可能となった。
【0019】
【実施例】
以下本発明を実施例により更に詳細に説明するが本発明はその要旨を越えない限り実施例には何ら制約されるものではない。
(実施例1)
ポリカーボネート(三菱化学製ノバレックス7022PJ(登録商標)分子量15000)にフォスファイト系抗酸化剤0.02重量部と脂肪族エステル系の離形剤0.06重量部を押出機(日本製鋼所P115−28AB−V型1軸スクリュー、L/D=30押出温度280℃押出量250〜280kg/Hr)で溶融混練した後、60〜80℃の水中冷却槽に2m長に亘り浸漬した後いすず化工製SCR−310型のストランドカッタを用いてカッティングし3.0mmφ×2.8mmのペレットサイズのものを得るべく調整した。
【0020】
表−1の実施例−1〜5にカッター回転刃のすくい角とストランドの表面温度を本発明範囲内に設定した結果を示す。また、実施例−3、4は更にふところ長さとヘリカル角を変化させた場合の結果を示した。
比較例としてすくい角またはストランドの表面温度を発明範囲外に設定した場合の結果を示した。
【0021】
・切粉の測定方法は、米国ペレストロン社製ペレストロンディダスターP−80型を用いて、条件:風速35m3 /minで測定した。
・ストランドの表面温度の測定方法は、キーエンス社赤外温度計IT2−50を用いて測定した。
【0022】
【表1】
Figure 0003728891
【0023】
【発明の効果】
表−1の結果から明らかの如く、本発明の効果は非常に大きくカケ、切粉の発生量著しくこのため本発明によって得られたペレットは射出成形時の喰込み安定性が増加し、空気などの巻き込みやその他のトラブルが少なくなるためディスク分野や医療機器分野の材料としての価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するカッターの一例を示す縦断面図
【図2】回転刃の側面図
【図3】回転刃の断面図
【符号の説明】
1 カッター
2 固定部
3 固定刃
5 回転体
6 回転刃
8 ペレット
10a,10b フィードローラー
11 押出機
12 ダイス
13 ダイスノズル

Claims (2)

  1. 固定部に設けられた固定刃と、回転体の外周に突設され固定刃近接位置を回転軌跡として回転する回転刃とからなるカッターを用いて長尺状のポリカーボネート樹脂を切断するポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法において、切断時の樹脂の表面温度を150℃以下とすると共に、回転刃のすくい角が15〜50度であるカッターを用いて切断することを特徴とするポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
  2. 溶融したポリカーボネート樹脂を押出機からダイスノズルを介して押出した後冷却固化して得られたストランドを固定刃と回転刃で切断する請求項1記載のポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法。
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