JP3726890B2 - プリント用複合メッシュシート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント用複合メッシュシートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は水性インク及び油性インクにより画像を鮮明に描画プリントするのに好適なプリント用複合メッシュシートに関するものである。本発明のプリント用複合メッシュシートは、広告媒体、掲示媒体、日除けテント、ブラインド、建築用工事シート、及びスポーツ施設用シート(例えばテニスコート遮光用シートなど)などに有用であって、インクジェットプリンターを用いても、画像を容易に、かつ高生産効率をもってプリントすることができるという利点を有するものである。また、本発明のプリント用複合メッシュシートは、画像をきわめて鮮明に描画することができるという利点を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の印刷によりメッシュシート上に所望の画像(文字、模様など)を描画し、これを広告媒体、掲示媒体、建築用工事シート、及びスポーツ施設用シート(例えばプール用、又はテニスコート遮光用シートなど)などとして用いることが知られている。
従来、インクジェット印刷に用いられるメッシュシートは、それを構成する樹脂被覆糸条の交叉部が盛り上がっており、また、描画された画像を構成するインクドットの真円度が低いため画像の鮮明さが低く、またプリントされたインクがメッシュシートの樹脂被覆糸条の裏側に滲み出るという問題点が知られている。この現象はインクの裏まわりと称されている。
【0003】
インクジェット印刷に用いられるメッシュシートは、白色系が多く、かつ軟質ポリ塩化ビニル系樹脂により被覆されているメッシュシート構成糸条の遮光性が低いため、メッシュシートの1面(描画面)に水性又は油性インクにより画像を描画したとき、この画像が、メッシュシートの他の面(非描画面)に、不鮮明な画像として透視されるという不都合があり、特にメッシュシートの描画面における可視光の照度が、非描画面における可視光の照度より高い場合、描画面に描画された画像が、非描画面に透けて見え、非描画面側に位置している人々に不快感を与えることがある。
【0004】
メッシュシートは、本来、構成糸条の間隙に多数の空孔部が形成されているものであり、この空孔部は光を透過する。従って、従来から、メッシュシートは、その糸条間隙空孔を透過する光を利用し、このメッシュシートにより囲われた内側空間の照度を高くするという目的により利用されている。この場合、従来技術においては、メッシュシート構成糸条の遮光率を意図的に高くして、メッシュシートを透過する光量を削減するという処理は、ほとんど施されることがなかった。このように、メッシュシート構成糸条の遮光率が低いことにより、メッシュシートの描画面に描画された画像が、メッシュシートの反対側非描画面においても、上記画像が不必要に、かつ不鮮明に透視されるという不都合を生じていた。
【0005】
実開平5−93831には、繊維糸条の全周を不透明な樹脂で被覆して、メッシュシートの両面にプリントすることを可能にしている。しかし、この場合、樹脂被覆層の隠蔽性が不十分であると、描画が裏面に透けて見えたり、また隠蔽性を高くするために被覆層に添加する隠蔽材料の添加量が増大すると、樹脂被覆層の強度が低下するという問題が生じている。
【0006】
また、特開平8−190355及び特開平8−263005には、裏面を暗色に着色して、描画面の画像を鮮明にする処方が記載されている。しかし、この場合、両面に鮮明な画像を描画することはできない。そこで、上記不都合を回避することが可能な、両面印刷可能なプリント用メッシュシートの出現が強く要望されていたのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水性インク及び油性インクのいずれにおいても画像を鮮明に描画プリントするのに好適なプリント用複合メッシュシートを提供しようとするものである。特に本発明は、描画された画像を構成するインクドットの真円度が高く、画像がより鮮明であり、またインクの裏まわりが無く、メッシュシートの隠蔽性が高いため、両面に鮮明な画像を描画することも可能であり、屋外の過酷な使用条件下においても、被覆樹脂層の剥離、脱落などによる損傷が少ないプリント用複合メッシュシートを提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリント用複合メッシュシートは、繊維糸条から構成された粗目編織物を含む基布と、この基布構成糸条の露出周面の全面を被覆している樹脂被覆層とを有する複合メッシュシートであって、
(1)前記樹脂被覆層が少なくとも1種の可撓性高分子材料を含み、
(2)前記樹脂被覆層により被覆された糸条の断面形状が前記複合メッシュシート表面に沿う方向に偏平化されていて、この偏平断面の、前記複合メッシュシート表面に平行な方向の長さL1と、それに直角な方向の長さL2との比L1:L2が1.3:1〜5:1の範囲内にあり、
(3)前記複合メッシュシートの、前記樹脂被覆繊維糸条間に形成された透孔の合計面積が、前記複合メッシュシートの表面全面積の0.20〜0.5であり、
前記樹脂被覆層のマンセル明度が8.0以上であり、及び/又は前記基布のマンセル明度が7.5以下である。
ことを特徴とするものである。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記基布が着色されていてもよい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記基布が、マンセル明度7.5〜4.0の範囲に着色されていてもよい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記基布の着色が、繊維の原液着色又は染料及び/又は顔料による後染め着色若しくは着色樹脂液を被覆することによる樹脂被覆着色により施されていることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記基布が難燃性を有することが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層を形成する可撓性高分子材料含有樹脂が、エチレン−エチレン性不飽和単量体共重合体、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマー類、並びに天然及び合成ゴム類から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂成分を含む樹脂組成物であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂組成物が、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる架橋剤をさらに含むことが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層を形成している樹脂組成物中に、二酸化チタンをさらに含み、前記樹脂成分と二酸化チタンの固形分質量比率が100:50〜200であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層を形成している樹脂組成物中の樹脂成分と前記架橋剤との固形分質量比率が100:0.5〜15であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層が、基布を形成する粗目編織物を、前記可撓性高分子材料含有処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものであることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層が難燃性を有することが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えてさらに(2)難燃性付与剤と(3)架橋剤とを含む難燃性樹脂組成物(I)により形成された難燃性樹脂被覆層(Ia)であって、
前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記難燃性付与剤(2)が、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、および(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む、
ことが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(Ia)中に、二酸化チタン(4)をさらに含み、前記可撓性高分子材料(1)と二酸化チタン(4)との質量比率が100:50〜100:200であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(Ia)中の前記可撓性高分子材料(1)と、前記難燃性付与剤(2)と、前記架橋剤(3)との質量比率が100:50〜300:0.5〜15であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(Ia)が、基布を形成する粗目編織物を、前記難燃性樹脂組成物(I)を含む処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものであることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えて、さらに(2a)難燃性付与剤と、(2b)無機系難燃助剤と、並びに(3)架橋剤とを含む、難燃性樹脂組成物(II)により形成された難燃性樹脂被覆層(IIa)であり、
前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記難燃性付与剤(2a)が、臭素を含む少なくとも1種の難燃性付与有機化合物を含み、
前記無機系難燃助剤(2b)が、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種を含み、
前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む
ことが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(IIa)が二酸化チタン(4)をさらに含み、前記可撓性高分子材料(1)と二酸化チタン(4)との質量比が100:50〜100:200であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(IIa)中の前記可撓性高分子材料(1)と、前記難燃性付与剤(2a)と、前記無機系難燃助剤(2b)と、前記架橋剤(3)との質量比率が100:50〜200:20〜100:0.5〜15であることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記難燃樹脂被覆層(IIa)が、基布を形成する粗目編織物を、前記難燃性樹脂組成物(II)を含有する処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものであることが好ましい。
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層により被覆されている糸条の偏平化が、プレスロール押圧処理によりなされたものであることが好ましい、
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆の付着質量が50〜800g/m2であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のプリント用複合メッシュシートに用いられる基布用粗目編織物は、天然繊維、例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維など、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジー及びトリアセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、及びナイロン66などのポリアミド繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維などの公知の繊維から選ばれた少なくとも1種からなるものである。前記布帛中の繊維は、短繊維紡績糸条、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものであってもよい。合成繊維の場合、芯層/鞘層構造を有する複層繊維であってもよい。
【0010】
前記基布用粗目編織物は、難燃性を付与する目的をもって、例えば、難燃性付与剤及び樹脂バインダーを含むエマルジョン及び溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により難燃前処理を予め施しておいてもよい。難燃性付与剤には格別な制限はなく、公知の薬剤を適宜に使用できる。また、合成繊維の場合、糸を製造する段階にて糸原料に難燃性付与剤を予め添加して糸を製造してもよい。この場合でも難燃性付与剤には格別の制限はなく、公知の薬剤を適宜使用できる。
【0011】
本発明のプリント用複合メッシュシートを構成する樹脂被覆糸条は、前記複合メッシュシート表面に沿う方向に偏平化された断面形状を有するものである。この樹脂被覆された糸条に、所望の偏平化された断面形状を与えるためには、この糸条が複合メッシュシートの表面にほゞ直角方向に施される押圧処理により変形して偏平化されやすいものであることが好ましく、このためにメッシュシートを構成する糸条として無撚り糸、又は甘撚り糸が用いられることが好ましい。甘撚り糸とは、好ましくは150t/m以下の撚り数を有するもので、さらに好ましくは120t/m以下の撚り数であり、さらに好ましくは撚り数は100t/m以下であり、さらに好ましくは50〜100t/mである。また糸条はもともと偏平な断面形状を有しているものであってもよく、例えば引揃え糸、又は甘撚り双糸などであってもよい。
【0012】
また基布用粗目編織物の組織は織物、編物、いずれであってもよい。更に基布の編織組織にも格別の制限はないが、例えば、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目布状の編織物が好適に用いられる。
図1に示されているように、本発明に使用される粗目織物1は、それぞれ間隔をあけて配置された経糸2及び緯糸3により織成されたものであって、経緯糸の間に透孔14が形成されている。
前記基布用粗目編織物の目付は30〜700g/m2であることが好ましく、また基布用粗目編織物の透孔面積率は、粗目編織物の面積に対して0.20〜0.5であり、0.20〜0.45であることが好ましい。透孔面積率とは、糸条間に形成されている透孔の合計面積の、粗目編織物の全表面積に対する比(%)である。
【0013】
前記基布の、マンセル明度は7.5以下、好ましくは、4.0〜7.5であり及び/又は、前記樹脂被覆層のマンセル明度は8.0以上である。基布のマンセル明度が7.5を超え、かつ前記樹脂被覆層のマンセル明度が8.0未満であると、繊維糸条の遮光性が不十分になり、表面側の画像が裏面に透けて見え、このため両面に鮮明な画像を描画することができなくなる。基布を所望マンセル明度を示すように着色する方法には格別の制限はないが、例えば、予め原着された繊維からなる編織物を基布として用いる方法、又は樹脂バインダーを含む顔料分散液により基布用編織物を着色する方法、基布用編織物を染料をもって染色する方法、及び着色された高分子材料で基布用編織物を被覆する方法などがある。高い耐水性、及び吸水防止性を有する着色基布を得るために、顔料着色用分散液に撥水処理剤等を添加してもよい。また基布用粗目編織物は接着剤などの処理剤により前処理されていてもよい。
【0014】
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、基布用粗目編織物を構成する繊維糸条が、難燃性を有し、従って基布が難燃性を有することが好ましい。
すなわち、基布用粗目編織物は、難燃性を付与する目的をもって、例えば、難燃性付与剤及び樹脂バインダーを含むエマルジョン及び溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により難燃前処理を予め施しておいてもよい。難燃性付与剤には格別な制限はなく、公知の薬剤例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、ヘキサブロモベンゼン、及びデカブロモビフェニルエーテルなどを、基布質量に対して5〜20質量%の付与量で付与することによって適宜に使用できる。また、合成繊維の場合、糸を製造する段階にて糸原料に難燃性付与剤を予め添加して糸を製造してもよい。この場合でも難燃性付与剤には格別の制限はなく、公知の薬剤例えばトリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びトリス(2,3ジブロモプロピル)ホスフェートなどを糸原料質量に対して5〜20%の付与量で適宜付与できる。
【0015】
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、基布を構成する糸条は、その露出周面の全面を、樹脂被覆層により被覆されている。
前記樹脂被覆層は無彩色であってもよく、あるいは有彩色であってもよいが、そのマンセル明度は8.0以上であり、及び/又は基布のマルセル明度が7.5以下である。樹脂被覆層のマンセル明度が8.0未満であり、かつ基布のマンセル明度が7.5を超える場合は、色相によっては描画像が不鮮明になり、プリント画像の色相調製が煩雑になる。
【0016】
本発明のプリント用複合メッシュシートの基布糸条の樹脂被覆層に用いられる可撓性高分子材料としては、ポリオレフィン系樹脂好ましくはエチレンとエチレン性不飽和単量体との共重合樹脂、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル成分の含有率は50〜90質量%であることが好ましい)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びエチレン−バ−サチック酸ビニル共重合体など;アクリル系樹脂、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなど;ポリエステル系樹脂;ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ酢酸ビニル系樹脂などの汎用熱可塑性樹脂類;アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などの熱可塑性エラストマー類;並びに天然及び合成ゴムなどから選ばれた少なくとも1種を含むものである。また可撓性を妨げない範囲で熱硬化性樹脂、その他の高分子材料を使用することもできる。ハロゲンを含まない樹脂が環境を配慮して、特に好ましく用いられる。
【0017】
可撓性高分子材料として用いられるオレフィン樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂を用いることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂としては、高圧法のラジカル共重合方式で製造され、酢酸ビニル成分含有率が低い樹脂、及び低圧溶液重合法で製造され、酢酸ビニル成分含有率の高い樹脂のいずれを用いてもよい。エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂中に占める酢酸ビニル成分含有率は、50〜95質量%であることが好ましく、更に好ましくは70〜90質量%である。酢酸ビニル成分含有率が50質量%未満では、得られる樹脂の柔軟性が不十分になることがあり、酢酸ビニル成分含有率が95質量%を超えると、得られる樹脂の耐熱強度が低下し、また製品に粘着性が生ずるという欠点を生ずることがある。エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂としては。酢酸ビニル成分含有率が前記範囲内にあるものを、単独で用いてもよいし、また、酢酸ビニル成分含有率の異る共重合体の2種以上を混合して用いてもよい。
【0018】
可撓性高分子材料用アクリル系樹脂としては、アクリル酸あるいはメタアクリル酸のアルキルエステル類、及びこれらと架橋性官能基を含有するα,β−エチレン性不飽和単量体とを共重合して得られる変性アクリル酸エステル共重合体が好適に用いられる。アクリル酸あるいはメタアクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチルエステル、及び(メタ)アクリル酸ノルマル及びイソプロピルエステルなどから選ばれた少なくても1種のアルキルエステル、またはこれらアルキルエステルの共重合体からなるものである。ここに表記される(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタアクリル酸の両者を含むものであり、以下同様に表記する。また、これらに共重合される、架橋性官能基含有α,β−エチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基含有単量体、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、及びマレイン酸など;エポキシド基含有単量体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、及びアリルグリシジルエーテルなど;アミノ基含有単量体、例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びビニルピリジンなど;水酸基含有単量体、例えばアリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び多価アルコールのモノアリルエーテルなど;イソシアネート基含有単量体、例えばアリルイソシアネートなど;から選ぶことができる。これらアクリル系樹脂は、乳化重合法、縣濁重合法、溶液重合法、塊状重合法など、いずれの重合法で得られたものでもよいが、低温時の柔軟性を維持するため、ガラス転移温度が0℃以下であることが望ましく、また、更に柔軟性を付与する目的から、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムなどの合成ゴムを添加してもよい。
【0019】
可撓性高分子材料用ウレタン系樹脂としては、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られる樹脂を用いることができる。このウレタン系樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びポリカーボネート系ジオールなどを使用することができる。また、ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。特に、ポリオール成分としてポリカーボネート系ジオールを用い、ジイソシアネート成分として脂肪族ジイソシアネートを用いて得られたポリカーボネート系ウレタン系樹脂が、耐候性、耐久性が高く、本発明に好適である。
【0020】
前記樹脂被覆層にはその耐水性、耐候性、樹脂強度の低下を抑制するために、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む架橋剤が添加されることが好ましい。
本発明に架橋剤として用いられるアジリジン系化合物としては、分子内にアジリジニル基を含有するものであればよく、分子内に2個のアジリジニル基を含有する化合物、例えば、ジフェニルメタン−ビス−4−4’−N−N’−ジエチレンウレアなど、及び分子内に3個のアジリジニル基を含有する化合物、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕などが用いられる。
【0021】
本発明において架橋剤として用いられるカルボジイミド系化合物としては、有機ジイソシアネートを、そのカルボジイミド化を促進する触媒、例えば、ホスホレン化合物、金属カルボニル錯体化合物、及び燐酸エステルなどの存在下で、脱炭酸縮合反応させることにより得られたものが好適に用いられる。具体的に述べるならば、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド 、ジ−P−トルオイルカルボジイミド、及びトリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどを用いることができる。特には、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどのように多官能カルボジイミドは、耐久性がすぐれているので、本発明に好適に用いられる。
【0022】
本発明において架橋剤として用いられるオキサゾリン系化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られるオキサゾールから誘導・生成される化合物が好適に用いられる。例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、並びにスチレン、又はアクリル系化合物などのポリマーにオキサゾリル基をグラフトして得られる多官能オキサゾリンポリマーが用いられる。特には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)などのような多官能オキサゾリンは耐久性がすぐれているので、本発明に好ましく用いられる。
【0023】
本発明において、架橋剤として用いられるイソシアネート系化合物としては、脂肪族ジイソシアネート類、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなど;脂環式ジイソシアネート類、例えば、イソホロンジイソシアネート、及び水添トリレンジイソシアネートなど、芳香族ジイソシアネート類;例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びキシレンジイソシアネートなど;イソシアヌレート類、例えば、トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)イソシアヌレート、及びトリス(3−イソシアネートメチルベンジル)イソシアヌレートなど;前記イソシアネート化合物のイソシアネート基末端をフェノール類、オキシム類、アルコール類、又はラクタム類等のブロック化剤でブロックして得られるブロックイソシアネート化合物類;並びに、前記化合物のイソシアネート基の一部にエチレングリコールなど親水性単量体が付加された変性イソシアヌレート化合物類、などを例示することができる。分散性、耐水性の改良及び基布への接着性向上の観点から、特に、ブロックイソシアネート化合物、及びイソシアネート基の1個にエチレングリコールなど親水性単量体が付加された変性三量化イソシアヌレート化合物を用いることが好ましい。
【0024】
本発明において架橋剤として用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなるものが好ましく用いられる。
【0025】
前記架橋剤用シラン系カップリング剤としては、アミノシラン類、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど;エポキシシラン類、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど;ビニルシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど;メルカプトシラン類、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど、が挙げられる。
【0026】
前記架橋剤用チタン系カップリング剤としては、アルコキシ類、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、及びテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンなど;アシレート類、例えば、トリ−n−ブトキシチタンステアレート、及びイソプロポキシチタントリステアレートなどが挙げられる。
前記架橋剤用ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、及びテトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。
前記架橋剤用アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。また、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。
上記架橋剤の中で、特に耐水性、耐候性にすぐれているγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシランを用いることが好ましい。
【0027】
これら架橋剤化合物は単独で用いてもよいし、また、2種以上を併用してもよい。架橋剤の添加量は、樹脂被覆層の樹脂成分に対して0.5〜15固形分質量%であることが好ましい。その添加量が0.5質量%未満では、得られる樹脂被覆層の耐水性、耐候性が不十分になることがあり、またそれが15質量%を超ええると、製品の柔軟性が損なわれるという問題を生ずることがある。
【0028】
前記樹脂被覆層中には樹脂成分とともに白色顔料、例えば二酸化チタンが含まれていてもよく、樹脂成分と二酸化チタンとの固形分質量比率は、100:50〜200であることが好ましく、更に好ましくは100:80〜150である。二酸化チタンの質量比率が50質量%未満では、樹脂被覆層の隠蔽性が低く描画が裏面に透けて見えることがあり、二酸化チタンの質量比率が200質量%を超えると得られる樹脂被覆層の樹脂強度が不十分になり、屈曲耐久性が不十分になることがある。
【0029】
本発明のプリント用複合メッシュシートは、前述のように粗目編織物を含む基布を有し、この基布を構成する糸条の露出周面の全面上には、それを被覆する樹脂被覆層が形成されている。
図2は本発明のプリント用複合メッシュシートの一例として、粗目織物組織を有するシート11の平面図であり、シート11は樹脂被覆された経糸12及び緯糸13とからなり、経緯糸の間に透孔14が形成されている。
図3は、図2の線A−Aに沿う断面図であって、経糸2と緯糸3とは、交差部15において交差して互いに直接接触しており、経糸2及び緯糸3のこの相互接触面を除く露出周面の全面が樹脂被覆層16により被覆されている。勿論、樹脂被覆層が経糸と緯糸との交差部の非露出面をも被覆していてもよい。従って、経糸2と緯糸3とは、その交差部15において、樹脂被覆層16により、被覆固定されていて、糸ずれの発生が防止されている。
【0030】
本発明のプリント用複合メッシュシートの、樹脂被覆された糸条の断面形状における偏平化の程度は、樹脂被覆された糸条の断面形状における、複合メッシュシート(1)又は(2)の表面に平行な方向の長さ(長径)L1 と、複合メッシュシート表面に直角をなす方向の長さ(短径)L2 との比L1:L2(以下、これを断面偏平比と記す)により表わされ、本発明の樹脂被覆糸条においては、断面偏平比L1:L2が、1.3:1〜5:1の範囲内にあり、1.5:1〜2.5:1であることが好ましく、例えば2:1であることが、さらに好ましい。
図4は、図2に示された複合メッシュシート(1)の、線B−Bに沿う糸条断面図である。図4において樹脂被覆糸条12は糸条2と、その周面の全面を被覆する樹脂被覆層16からなるものであって、その長径L1 はシートの表面に平行な方向の断面長さであり、短径L2 は、シート表面に直角をなす方向の断面長さである。
断面偏平比L1:L2<1.3:1のときは、樹脂被覆糸条の印刷面の曲率が大きく、このため樹脂被覆層に固着するインクドットの真円度が低くなり、従って画像の鮮明性が低下する。またL1:L2>5:1になると、樹脂被覆糸条の偏平度が適度に高いため、従ってメッシュシートの強度が低下する傾向があり柔軟性も低下する。
【0031】
樹脂被覆された糸条を偏平化するには、メッシュシートに樹脂被覆を施し、この樹脂被覆メッシュシートにプレスロール押圧処理を施せばよい。前記押圧処理は、エンボス板プレス機又はエンボスプレスロールを用いて行うことができる。押圧処理とともに樹脂被覆メッシュシートに加熱を施してもよい。この加熱のために、プレス機又はプレスロールの前に加熱装置を配置してもよく、或いはプレス板、又はプレスロールに加熱装置を組み込んでもよい。このとき、加熱温度及びプレス圧力は、被覆に用いられる樹脂、及び糸条を構成する物質の種類及び所望の偏平化程度などによって異なるが、プレスロールを用いる場合、一般に20〜150℃、好ましくは50〜130℃の温度と、0.1〜50 kPa・m、好ましくは1.0〜20 kPa・mの範囲内の圧力を用いることが好ましい。勿論、加熱を伴わない室温押圧もしばしば実用されている。
【0032】
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、樹脂被覆層を形成するには、少なくとも1種の可撓性高分子材料を含有するエマルジョン、又は溶液を用いて、繊維糸条から構成された基布用粗目編織物を含浸(ディッピング)及び/又は被覆(コーティング)することにより、繊維糸条の全露出周面の全面上に形成される。樹脂被覆層形成用配合組成物中には、可撓性高分子材料に加えて、難燃剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0033】
繊維糸条から構成された粗目編織物を含む基布に対する樹脂被覆層の付着質量は50〜800g/m2 であることが好ましく、更に好ましくは100〜500g/m2である。樹脂被覆層の付着質量が50g/m2未満では、インクドットの固着が不十分で、その形状の真円性が不十分になり、従って画像が不鮮明となることがあり、また隠蔽性が低く、このために描画像が、裏面に透けて見えることがある。また樹脂被覆層の付着質量が800g/m2 を超えると、得られたプリント用複合メッシュシートの柔軟性が不十分になることがある。
【0034】
本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、前記樹脂被覆層が難燃性を有することが好ましい。このために、樹脂被覆層中に、難燃性付与剤が添加される。
【0035】
難燃性付与剤のうち非ハロゲン系難燃性付与剤として、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を使用することができる。ポリ燐酸アンモニウム系化合物としては、好ましくはオルソ燐酸アンモニウムと尿素との縮合生成物が用いられる。またポリ燐酸アンモニウムはこのまま用いてもよいし、その粒子表面をメラミンにより被覆されたもの、或はマイクロカプセル化されたものを用いてもよい。
【0036】
前記(イソ)シアヌル酸誘導体化合物としては、メラミン、硫酸メラミン、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、メチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、アンメリン、アンメリド、及び2,4,6−トリオキシシアニジンなどのシアヌル酸誘導体を用いることができる。また、イソアンメリン、イソメラミン、イソアンメリド、トリメチルカルボジイミド、トリエチルカルボジイミド、及びトリカルボイミドなどのイソシアヌル酸誘導体を用いることができる。特に、メラミンのシアヌル酸との反応により得られるメラミンシアヌレートが本発明に好適に用いることができる。
【0037】
また、難燃性をさらに高めるために、必要に応じ、難燃性付与剤とともに、有機系難燃助剤が用いられてもよい。難燃助剤として、燐酸アンモニウム系以外の燐系化合物、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びオクチルジフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類;及び高分子量化したポリホスフェートなどの縮合燐酸エステル類;(イソ)シアヌル酸誘導体化合物以外の含窒素化合物、例えばジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、及びジグアニドなどのシアナミド誘導体;並びに尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素などの尿素誘導体から選ばれた1種以上が用いられる。このような難燃助剤の添加量は、難燃性付与剤の固形分質量に対して20〜200%であることが好ましく、より好ましくは25〜150%である。
【0038】
難燃性付与剤のうち、ハロゲン系難燃性付与剤として、臭素を含む有機化合物が好適に用いられる。臭素を含む有機系化合物としては、2,4,6、−トリブロモフェノール、テトラブロモビスフェノールA、ビス(トリプロモフェノキシ)エタン、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモフェニルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ポリ(ペンタブロモベンジル)アクリレート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ポリ−ジブロモフェニレンオキシド、トリス(2,4,6、−トリブロモフェノキシ)トリアジン、デカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモベンゼンなどがある。特に、デカブロモジフェニルエーテル、及びビス(ペンタブロモフェノキシ)エタンを用いることが好ましい。ハロゲン系難燃性付与剤を含む難燃樹脂被覆層の難燃性をさらに増進するために、難燃性樹脂被覆層中に無機系難燃助剤が添加されてもよい。この無機系難燃助剤としては、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0039】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシートの一態様(イ)において、前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えてさらに(2)難燃性付与剤と(3)架橋剤とを含む難燃性樹脂組成物(I)により形成された難燃性樹脂被覆層(Ia)であって、
前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記難燃性付与剤(2)が、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含むものである。
【0040】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシートの他の態様(ロ)において、前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えて、さらに(2a)難燃性付与剤と、(2b)無機系難燃助剤と、並びに(3)架橋剤とを含む、難燃性樹脂組成物(II)により形成された難燃性樹脂被覆層(IIa)であり、
前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
前記難燃性付与剤(2a)が、臭素を含む少なくとも1種の難燃性付与有機化合物を含み、
前記無機系難燃助剤(2b)が、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種を含み、
前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含むものである。
【0041】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)及び(ロ)において、前記粗目編織物の目付は30〜700g/m2 であることが好ましく、また粗目編織物の透孔面積率は、粗目編織物の面積に対して50%以下である。
また前記基布は、マンセル明度7.5以下の明度に着色されていることが好ましく、更に好ましくはマンセル明度4.0〜7.5に着色されているものである。
【0042】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)及び(ロ)の樹脂被覆層に用いられる可撓性高分子材料(1)としては、前述のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種と、架橋剤(3)として、前述のアジリジン系化合物;カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物及びカップリング系化合物から選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0043】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)に難燃性を付与することを目的として、樹脂被覆層形成用難燃性樹脂組成物(I)中に難燃性付与剤(2)を添加して難燃性樹脂被覆層(Ia)が形成される。この難燃性付与剤(2)としては、前述のポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種が使用される。
【0044】
また、難燃樹脂被覆層(Ia)の難燃性をさらに高めるために、必要に応じ、難燃樹脂被覆層(Ia)中に難燃性付与剤(2)とともに、燐酸アンモニウム系以外の燐系化合物として前記有機系難燃助剤が含まれていてもよい。このような有機系難燃助剤の添加量は、難燃性付与剤の固形分質量に対し、25〜200%であることが好ましく、25〜150%であることがより好ましい。
【0045】
難燃性付与剤(2)の添加量は、難燃樹脂被覆層(Ia)に含まれる樹脂固形分質量に対して、50〜300質量%であることが好ましい。その添加量が50質量%未満では、得られる難燃樹脂被覆層(Ia)において十分な難燃性を得ることができないことがあり、その添加量が300質量%を超えると、十分な耐久性を有する積層体を得ることができないことがあり、またコスト高となり、経済的に不利となることがある。
【0046】
また、難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)の難燃樹脂被覆層(Ia)中には、難燃助剤として、1種以上の無機系化合物を添加してもよい。難燃助剤無機系化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、四硼酸ナトリウム、燐酸マグネシウム、二燐酸ナトリウム、燐酸亜鉛などの結晶水を持つ無機水和物;メタ錫酸、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛などの錫系化合物;並びに硼酸、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウムなどの硼酸化合物、などを好適に用いることができる。これら難燃助剤無機系化合物は、単独に用いてもよいし、又は2種以上を混合して用いることができる。無機難燃助剤の添加量は、上記難燃性付与剤の有効固形分質量の25〜200%であることが好ましく、25〜150%であることがより好ましい。
【0047】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(ロ)において、それに難燃性を付与することを目的として、樹脂被覆層形成用難燃性樹脂組成物(II)中に難燃性付与剤(2a)が添加されそれによって難燃性樹脂被覆層(IIa)が形成される。この難燃性付与剤(2a)としては、前記臭素を含む難燃性付与有機化合物が好適に用いられる。
【0048】
難燃性付与剤(2a)の添加量は、難燃樹脂被覆層(IIa)に含まれる樹脂固形分質量に対して、50〜200質量%であることが好ましい。その添加量が50質量%未満では、得られる難燃樹脂被覆層(IIa)において十分な難燃性を得ることができないことがあり、その添加量が200質量%を超えると、十分な耐久性を有する積層体を得ることができないことがあり、またコスト高となり経済的に不利になることがある。
【0049】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(ロ)の難燃性をさらに増進することを目的として、難燃樹脂被覆層(IIa)中に無機系難燃助剤(2b)が添加される。用いられる無機系難燃助剤(2b)としては、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種が用いられる。
【0050】
無機系難燃助剤(2b)の添加量は、難燃樹脂被覆層(IIa)に含まれる樹脂固形分質量に対して、20〜100質量%であることが好ましい。その添加量が20質量%未満では、得られる難燃樹脂被覆層(IIa)において十分な難燃性を得ることができないことがあり、その添加量が100質量%を超えると、十分な耐久性を有する積層体を得ることができないことがあり、またコスト高となり、経済的に不利になることがある。
【0051】
更に、難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)、及び(ロ)の難燃樹脂被覆層(Ia)及び(IIa)のそれぞれには、前述のアジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む架橋剤(3)が必須成分として添加される。これらの架橋剤(3)は、難燃樹脂被覆層(Ia)及び(IIa)の耐水性、耐候性、樹脂強度の低下を抑制させる効果を有している。
【0052】
前記架橋剤(3)のそれぞれは単独で用いてもよいし、また、その2種以上を併用してもよい。架橋剤(3)の添加量は、難燃樹脂被覆層の樹脂固形分に対して0.5〜15質量%であることが好ましい。添加量が0.5質量%未満では得られる難燃樹脂被覆層の耐水性、耐候性が不十分になることがあり、またそれが15質量%を超えると製品の柔軟性が損なわれるという問題を生ずることがある。
【0053】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)、及び(ロ)の各々の難燃樹脂被覆層(Ia),(IIa)は無彩色であってもよく、あるいは有彩色であってもよいが、マンセル明度は8.0以上である。マンセル明度が8.0未満では、色相によっては描画像が不鮮明になり、プリント画像の色相調整が煩雑になるという欠点がある。
【0054】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)、及び(ロ)の各々に用いられる難燃樹脂被覆層(Ia),(IIa)中には二酸化チタンを含んでいてもよく、この場合、難燃樹脂被覆層(Ia)又は(IIa)中の樹脂固形分と二酸化チタンの質量比率は、100:50〜100:200が好ましく、更に好ましくは100:80〜150である。二酸化チタンの質量比率が50質量%未満では、難燃樹脂被覆層(Ia)又は(IIa)の隠蔽性が低く描画が裏面に透けて見えることがあり、二酸化チタンの添加が200質量%を超えると樹脂被覆層(Ia)又は(IIa)の樹脂強度が低下し、屈曲耐久性が不十分になることがある。
【0055】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)において、難燃樹脂被覆層(Ia)は、その成分として(1)オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む可撓性高分子材料と、(2)ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種の難燃性付与剤と、(3)架橋剤と、必要により二酸化チタンとを含有するエマルジョン中に、繊維糸条から構成された粗目編織物からなる基布をディッピング及び/又はコーティングすることにより、繊維糸条の少なくとも露出表面の全面上に形成される。
【0056】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(ロ)において、難燃樹脂被覆層(IIa)は、その成分として、(1)オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種の可撓性高分子材料と、(2a)臭素を含む有機化合物からなる難燃性付与剤と、(2b)三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種の無機系難燃助剤と、(3)架橋剤と、必要により二酸化チタンとを含有するエマルジョン中に、繊維糸条から構成された粗目編織物からなる基布をディッピング及び/又はコーティングすることにより、繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に形成される。
【0057】
難燃性を有する本発明のプリント用複合メッシュシート(イ)及び(ロ)の各々において、難燃樹脂被覆層(Ia)及び(IIa)を形成する難燃性樹脂は、そのディッピング又はコーティングにより、基布を構成する繊維糸条の非露出周面部分に、浸透してもよい。
ディッピング又はコーティング法により難燃樹脂被覆層を形成すると、樹脂は、基布を構成する繊維糸条の交差部分を一体に被覆して、糸条の交差点を固定し、糸寄り、又は糸抜けを防止することができる。この糸条固定効果は、樹脂が糸条の交差面に浸透することにより更に強化される。
本発明において、難燃樹脂被覆層の形成は、繊維糸条に対して、その製編織前になされていてもよい。
【0058】
難燃樹脂被覆層配合組成物(I)又は(II)中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0059】
繊維糸条から構成された粗目編織物からなる基布に対する難燃樹脂被覆層(Ia)又は(IIa)の付着質量は50〜800g/m2 であることが好ましく、更に好ましくは100〜500g/m2 である。難燃樹脂被覆層の付着質量が50g/m2 未満では、隠蔽性が不十分となり描画が裏面に透けて見えることがあり、また難燃性が不十分となることがある。難燃樹脂被覆層の付着質量が800g/m2 を超えると得られたプリント用複合メッシュシートの柔軟性が不十分になることがある。
【0060】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。
製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
印刷適性
油性インクジェットプリンター(ぺんてる(株)製、モデルDynajetII)、又は水性インクジェットプリンター(ローランド・ディ・ジー(株)製、モデルFJ−50)を用いたインクジェット画像、或はスクリーンインキ(セリコールPPE帝国インキ製造(株)製)を用いる225メッシュのスクリーンにより描画したスクリーン印刷画像の描画面に、セロハンテープを強く擦り付けて貼着し、これを剥離したときのインキの剥離量を目視判断して印刷適性を評価した。
画像鮮明性
油性インクジェットプリンター(ぺんてる(株)製、モデルDynajetII)、又は水性インクジェットプリンター(ローランド・ディ・ジー(株)製、モデルFJ−50)を用いたインクジェット画像、或はスクリーンインキ(セリコールPPE帝国インキ製造(株)製)を用いる225メッシュのスクリーンにより描画したスクリーン印刷画像をその描画面及び裏面より目視したときの画像の鮮明性、及び裏面に透けて見えるか否かを評価した。
【0061】
実施例1
基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンが経緯系に使用されている、下記組織の粗目織物を用いた。
Figure 0003726890
使用した基布用粗目織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ9.0であった。
次に、オレフィン系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物水性エマルジョンを用いて、下記組成の樹脂被覆層形成用樹脂エマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2であり、そのマンセル明度は8.5であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0062】
実施例2
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、樹脂被覆層を形成するための下記組成の熱可塑性エラストマーエマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2であり、そのマンセル明度は8.5であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0063】
実施例3
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、樹脂被覆層形成のために下記組成のスチレン−ブタジエン系ラテックスを調製した。
Figure 0003726890
前記樹脂被覆層用ラテックス中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10 kPa・mの圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の偏平比L1:L2は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2であり、そのマンセル明度は8.5であった。このとき、得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0064】
実施例4
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、樹脂被覆層形成のために下記組成のポリ塩化ビニル系樹脂液を用いた。
(樹脂被覆層用樹脂液)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP 65質量部
三酸化アンチモン 15質量部
エポキシ化大豆油 2.0質量部
Ba−Zn系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
二酸化チタン 100質量部
前記樹脂被覆層用樹脂液中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後180℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比L1 :L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.3:1であり、樹脂被覆層の付着質量が300g/m2であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.20であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0065】
実施例5
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、予めマンセル明度5.5の、グレー色に着色された、撚り数100t/mの原着色ポリエステルマルチフィラメントヤーンが経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物を用いた。
Figure 0003726890
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目編織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上の樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2 であり、そのマンセル明度は7.5であった。このとき、得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0066】
実施例6
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを製作し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物を、分散アセテート染料にて公知の高温染色法により予めマンセル明度4.5のグレー色に染色して用いた。
Figure 0003726890
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2 であり、そのマンセル明度は7.5であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0067】
実施例7
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物を、顔料及び樹脂バインダーを用いて、予め着色して用いた。
Figure 0003726890
この粗目織物の下染め用着色液として下記組成の下染め液を調製した。
(下染め液)
アクリル系樹脂(固形分:45質量%) 2質量部
(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商標;プライマルHA−8)
顔料(大日精化工業(株)製、商標;EP510ブラック) 0.05質量部
希釈水 98質量部
前記下染め液中に、前記粗目織物からなる基布を浸漬し、ピックアップ率50%にてマングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、着色粗目織物を得た。この着色粗目織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ4.5であった。
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目編物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比L1 :L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2であり、そのマンセル明度は7.5であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0068】
実施例8
実施例4と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、樹脂被覆中間層及び樹脂被覆最外層形成のために下記組成のポリ塩化ビニル系樹脂液を用いた。
(樹脂被覆中間層用樹脂液)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP 65質量部
三酸化アンチモン 15質量部
エポキシ化大豆油 2.0質量部
Ba−Zn系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
カーボンブラック 0.5質量部
(樹脂被覆最外層用樹脂液)
ポリ塩化ビニル樹脂 100質量部
DOP 65質量部
三酸化アンチモン 15質量部
エポキシ化大豆油 2.0質量部
Ba−Zn系安定剤 1.5質量部
紫外線吸収剤 0.3質量部
二酸化チタン 100質量部
前記樹脂被覆中間層用樹脂液中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後180℃で熱処理した後、得られた前記中間層被覆メッシュシートを、前記樹脂被覆最外層樹脂液に浸漬し、マングルで絞った後180℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.3:1であり、樹脂被覆中間層の付着質量が60g/m2 であり、そのマンセル明度は2.0であり、樹脂被覆最外層の付着質量が240g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.20であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0069】
実施例9
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンの引揃え双糸を経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物を用いた。
Figure 0003726890
使用した基布のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ9.0であった。
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.7:1、緯糸において約2.4:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2 であり、そのマンセル明度は8.5であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.20であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0070】
実施例10
基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用されている下記組織の粗目織物を、顔料及び樹脂バインダーを用いて、予め着色して用いた。
Figure 0003726890
この粗目織物の下染め用着色液として下記組成の下染め液を調製した。
(下染め液)
アクリル系樹脂(固形分:45質量%) 2質量部
(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商標;プライマルHA−8)
顔料(大日精化工業(株)製、商標;EP510ブラック) 0.05質量部
希釈水 98質量部
前記下染め液中に、前記粗目織物からなる基布を浸漬し、ピックアップ率50%にてマングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、着色粗目織物を得た。この着色粗目織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ4.5であった。
次に、難燃樹脂被覆層を形成するために、オレフィン系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物の水性エマルジョンを用いて、下記組成の難燃樹脂被覆層用エマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記難燃樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記着色粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10 kPa・mの圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に難燃樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層の付着質量が230g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まず、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであり、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0071】
実施例11
実施例10と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、難燃樹脂被覆層を形成するために、オレフィン系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物の水性エマルジョンを用いて、下記組成の難燃樹脂被覆層用エマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記難燃樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記着色粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10 kPa・mの圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に難燃樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層の付着質量が280g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0072】
実施例12
実施例4と同様にしてプリント用複合メッシュシートを製作し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、製糸時に燐酸エステル系難燃付与剤を0.2質量%を添加した、撚り数100t/mの難燃ポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用している下記組織の粗目織物を用いた。
Figure 0003726890
使用した基布のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ8.5であった。
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比 L1:L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.3:1であり、樹脂被覆層の付着質量が300g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.20であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0073】
実施例13
実施例4と同様にしてプリント用複合メッシュシートを製作し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用している下記組織の粗目織物を用いて、予め基布用粗目織物に難燃前処理を施した後に樹脂被覆層を形成させた。
Figure 0003726890
この粗目織物の難燃前処理のために下記組成の難燃前処理液を調製した。
(難燃前処理液)
難燃処理剤(固形分:50質量%) 100質量部
(丸菱油化工業(株)製、商標;ノンネンK−8)
希釈水 50質量部
前記難燃前処理液中に、前記粗目織物からなる基布を浸漬し、ピックアップ率50%にてマングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、難燃粗目織物を得た。この難燃粗目織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ8.5であった。
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目編物の繊維糸条の露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面の偏平比L1 :L2 は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.3:1であり、樹脂被覆層の付着質量が300g/m2であり、そのマンセル明度は9.0であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.20であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0074】
実施例14
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し粗目織物として、マンセル明度4.5のグレー色に着色された原着複層ポリオレフィンモノフィラメントからなる粗目織物を用いた。この原着複層ポリオレフィンフィラメント粗目織物は以下の方法で作製した。
ポリプロピレン(MFR=3.4g/10分、密度=0.90g/cm3)に、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート0.1質量%、及びカーボンブラック顔料1.0質量%を配合して芯層を形成し、鞘層にはエチレン−プロピレン共重合体(MFR=16.5g/分、密度=0.90g/cm3)に、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート0.1質量%、及びカーボンブラック顔料1.0質量%を配合し、芯層及び鞘層がほぼ同色の配合とした複層ポリオレフィンモノフィラメントは、押出機に連結された2層の吐出孔が同心円状に設けられたモノフィラメント成形ダイスから芯層のポリプロピレン及び鞘層のポリオレフィン組成物を押出し、延伸温度98℃、延伸倍率9.5倍で延伸し、処理温度140℃でアニーリングを施し複層ポリオレフィンモノフィラメントを形成した。この時の芯層の融点は150℃、鞘層の融点は125℃であった。得られた複層ポリオレフィンモノフィラメントの繊度は、芯層及び鞘層においてそれぞれ356dtex(320d)及び156dtex(140d)であり、総繊度が511dtex(460d)であった。
こうして得られた複層ポリオレフィンモノフィラメントを用い、経:26本/インチ、緯:26本/インチの粗目織物を織成し、135℃で加熱加圧して経・緯糸交点の鞘層を溶融させて接合し粗目織物を作成した。この着色された粗目織物のマンセル明度は4.5であった。得られたプリント用複合メッシュシートは着色粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に実施例1と同一の樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面偏平比 L1:L2 は経糸において約1.5:1であり、緯糸において約1.4:1であり、樹脂被覆層の付着質量が180g/m2 であり、マンセル明度は8.0であり、得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.30であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0075】
実施例15
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し粗目織物として、芯層のマンセル明度4.5、鞘層のマンセル明度が8.0に調製された原着複層ポリオレフィンモノフィラメントからなる粗目織物を用いた。この原着複層ポリオレフィンフィラメント粗目織物は以下の方法で作製した。
ポリプロピレン(MFR=3.4g/10分、密度=0.90g/cm3)に、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート0.1質量%、及びカーボンブラック顔料1.0質量%を配合して芯層を形成し、鞘層にはエチレン−プロピレン共重合体(MFR=16.5g/分、密度=0.90g/cm3)に、光安定剤としてビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート0.1質量%、及び二酸化チタン顔料3.0質量%を配合し、芯層と鞘層マンセル明度が異なる配合とした複層ポリオレフィンモノフィラメントは、押出機に連結された2層の吐出孔が同心円状に設けられたモノフィラメント成形ダイスから芯層のポリプロピレン及び鞘層のポリオレフィン組成物を押出し、延伸温度98℃、延伸倍率9.5倍で延伸し、処理温度140℃でアニーリングを施し複層ポリオレフィンモノフィラメントを形成した。この時の芯層の融点は150℃、鞘層の融点は125℃であった。得られた複層ポリオレフィンモノフィラメントの繊度は、芯層及び鞘層においてそれぞれ356dtex(320d)及び156dtex(140d)であり、総繊度が511dtex(460d)であった。
こうして得られた複層ポリオレフィンモノフィラメントを用い、経:26本/インチ、緯:26本/インチの粗目織物を織成し、135℃で加熱加圧して経・緯糸交点の鞘層を溶融させて接合し粗目織物を作成した。得られたプリント用複合メッシュシートは着色粗目織物の繊維糸条の露出周面の全面上に実施例1と同一の樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面偏平比L1:L2 は経糸において約1.5:1であり、緯糸において約1.4:1であり、樹脂被覆層の付着質量が180g/m2 であり、マンセル明度は8.0であり、得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.30であり、ハロゲン元素を含まず、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0076】
比較例1
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、加圧ロールによる押圧処理を省略した。
得られたプリント用複合メッシュシートは粗目編織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上の樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面偏平比 L1:L2 は経糸において約1.1:1であり、緯糸において約1.1:1であり、樹脂被覆層の付着質量が200g/m2 であり、そのマンセル明度は8.5であった。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.28であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0077】
比較例2
実施例1と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用している下記組織の粗目織物を用いた。
Figure 0003726890
使用した基布のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ9.0であった。更に、樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10 kPa・mの圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目編織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面偏平比L1 :L2 は経糸において約2.0:1であり、緯糸において約1.8:1であり、樹脂被覆層の付着質量が300g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.55であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0003726890
【0079】
実施例16
基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用されている下記組織の粗目織物を、顔料及び樹脂バインダーを用いて予め着色して用いた。
Figure 0003726890
この粗目織物の下染め用着色液として下記組成の下染め液を調製した。
(下染め液)
アクリル系樹脂(固形分:45質量%) 2質量部
(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商標;プライマルHA−8)
顔料(大日精化工業(株)製、商標;EP510ブラック)0. 05質量部
希釈水 98質量部
前記下染め液中に、前記粗目編織物からなる基布を浸漬し、ピックアップ率50%にてマングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、灰色に着色された粗目編織物を得た。この着色粗目編織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ4.5であった。
次に、難燃樹脂被覆層としてオレフィン系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物を含む水性エマルジョンを用いて、下記組成の難燃樹脂被覆層エマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が230g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、メラミンシアヌレート、二酸化チタン、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ150質量%、150質量%、及び10質量%であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、ハロゲン元素を含まずJIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであり、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響も無いという利点を有するものであった。
【0080】
得られたプリント用複合メッシュシートを、前記と同様の印刷適性試験及び画像鮮明性試験と、下記耐水性試験及び防炎性試験とに供した。
耐水性
耐温水性試験(40℃温水中に3日間浸漬)前の乾燥状態、及び後の湿潤状態における試験片の各々を、JIS L−1096、スコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgf の条件下に、試験片に、回数1,000回の屈曲試験を施し、その結果を目視により、屈曲試験による耐水性能として、評価した。
防炎性
耐温水性試験(70℃温水中に3日間浸漬)の前及び後の試験片の各々を、45度法防炎試験:JIS L−1091のA−1法、又はA−2法に従って、炭化面積、炭化距離、残炎時間、残ジン時間を測定し、その性能を評価した。基準を満足した場合、防炎区分3合格とする。
供試プリント用難燃性複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び表3に示す。
【0081】
実施例17
実施例16と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、基布用粗目織物として、予めマンセル明度5.5の、グレー色に着色された、撚り数100t/mの原着色ポリエステルマルチフィラメントヤーンが経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物を用い、下染め工程を省いた。
Figure 0003726890
また難燃性樹脂被覆層エマルジョンにおいて、カルボジイミド系架橋剤に代えて、アジリジン系架橋剤(ジフェニルメタン−ビス−4−4’−N−N’−ジエチレンウレア)とカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)とをそれぞれ2.0質量部用いた。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートにおいて粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層付着質量は230g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このときの架橋剤の総添加量は、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分質量に対して10質量%であった。また、得られた本発明の難燃性を有するプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0082】
実施例18
実施例16と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、難燃樹脂被覆層の形成のために、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂に代えて、アクリル系樹脂(日本ゼオン(株)製、商標;ニッポールLX851C、固形分40質量%)を用い、更に、メラミンシアヌレートに代えて、オルソ燐酸アンモニウムと尿素とを縮合して得られたポリ燐酸アンモニウム(平均分子量10,000)をメラミン被覆によりマイクロカプセル化処理して得られた難燃性付与剤60質量部を用い、カルボジイミド系架橋剤に代えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2’−ビス(2−オキサゾリン))3.5質量部を用いた。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層付着質量は230g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、マイクロカプセル化処理して得られたポリ燐酸アンモニウム、二酸化チタン、及び架橋剤の添加量は、それぞれ171質量%、171質量%、及び10質量%であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0083】
実施例19
実施例16と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、難燃樹脂被覆層の形成のために、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂とウレタン系樹脂との混合物に代えて、ウレタン系樹脂(旭電化(株)製、商標;アデカボンタイターHUX−380、固形分:38質量%)100質量部を用いた。更に、難燃性付与剤として、メラミンシアヌレートの単独使用に代えて、メラミンシアヌレートとレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)とを、それぞれ30質量部用い、カルボジイミド系架橋剤に代えて、フェノールブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート3.8質量部を用いた。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層付着質量は230g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、メラミンシアヌレート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、二酸化チタン、及び架橋剤の添加量は、それぞれ79質量%、79質量%、158質量%、及び10質量%であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0084】
実施例20
基布用粗目織物として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンを経緯糸に使用されている下記組織の粗目織物を、顔料及び樹脂バインダーを用いて、予め着色して用いた。
Figure 0003726890
この粗目織物の下染め用着色液として下記組成の下染め液を調製した。
(下染め液)
アクリル系樹脂(固形分:45質量%) 2質量部
(ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商標;プライマルHA−8)
顔料(大日精化工業(株)製、商標;EP510ブラック)0. 05質量部
希釈水 98質量部
前記下染め液中に、前記粗目編織物からなる基布を浸漬し、ピックアップ率50%にてマングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、灰色に着色した粗目編織物を得た。この着色粗目編織物のマンセル明度は、(財)日本色彩研究所製マンセル色標を用いて測定したところ4.5であった。
次に、難燃樹脂被覆層としてオレフィン系樹脂及びウレタン系樹脂の混合物水性エマルジョンを用いて、下記組成の難燃樹脂被覆層エマルジョンを調製した。
Figure 0003726890
前記難燃性樹脂被覆層用エマルジョン中に、前記粗目織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、樹脂被覆層の付着質量が280g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、デカブロモジフェニルエーテル、三酸化アンチモン、二酸化チタン、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、50質量%、150質量%、及び10質量%であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び表3に示す。
【0085】
実施例21
実施例20と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、難燃樹脂被覆層の形成のために、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂とウレタン系樹脂との混合物に代えて、ウレタン系樹脂(旭電化(株)製、商標;アデカボンタイターHUX−380、固形分38質量%)100質量部を用いた。更に、デカブロモジフェニルエーテルに代えて、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタンを40質量部用い、三酸化アンチモンに代えて、水酸化アルミニウムを20質量部用い、カルボジイミド系架橋剤に代えて、フェノールブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート3.8質量部を用いた。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層付着質量は280g/m2 あった。難燃樹脂被覆層のマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、ビス(ペンタブロモフェノキシ)エタン、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、及び架橋剤の添加量は、それぞれ105質量%、53質量%、158質量%、及び10質量%であり、得られた本発明のプリント用難燃性複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であり、JIS L−1091の45度防炎試験にて防炎区分3に合格するものであった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0086】
実施例22
実施例20と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、難燃樹脂被覆層の形成のために、エチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂に代えて、アクリル系樹脂(日本ゼオン(株)製、商標;ニッポールLX851C、固形分40質量%)を用いた。更に、三酸化アンチモンに代えて、水酸化マグネシウムを20質量部を用い、カルボジイミド系架橋剤に代えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2’−ビス(2−オキサゾリン))3.5質量部を用いた。このとき、得られたプリント用複合メッシュシートは粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に難燃性樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.5:1、緯糸において約2.0:1であり、難燃樹脂被覆層付着質量は280g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。また、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、デカブロモジフェニルエーテル、水酸化マグネシウム、二酸化チタン、及び架橋剤の添加量は、それぞれ114質量%、57質量%、171質量%、及び10質量%であった。得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.24であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0087】
比較例3
実施例16と同様にしてプリント用複合メッシュシートを作製し、試験を行った。但し、粗目編織物からなる基布として、撚り数100t/mのポリエステルマルチフィラメントヤーンが経緯糸として使用されている下記組織の粗目織物:
Figure 0003726890
を用いた。着色粗目編織物のマンセル明度は4.5であった。更に、難燃樹脂被覆層エマルジョン中に、前記着色粗目編織物を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理し、上記メッシュシートが40℃以上の温度を保有している間に、1対の加圧ロールを有するカレンダーで10kPa・m の圧力で押圧した。得られたプリント用複合メッシュシートにおいて着色粗目織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に樹脂被覆層が形成され、このメッシュシートの被覆された糸条の断面における偏平比L1:L2は、経糸において約2.0:1、緯糸において約1.8:1であり難燃樹脂被覆層付着質量は300g/m2 であり、そのマンセル明度は9.0であった。このとき、難燃樹脂被覆層中の樹脂固形分に対する、メラミンシアヌレート、二酸化チタン、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ150質量%、150質量%、及び10質量%であった。得られたプリント用複合メッシュシートの透孔面積率は0.55であった。このプリント用複合メッシュシートの組成及び試験結果を表2及び3に示す。
【0088】
【表2】
Figure 0003726890
【0089】
【表3】
Figure 0003726890
【0090】
表2及び表3から明らかなように、着色された粗目編織物の繊維糸条の少なくとも露出周面の全面上に、ディッピング及び/又はコーティング法により、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂成分と、二酸化チタンとに加えて、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、カップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる架橋剤、及び難燃性付与剤を添加して形成された樹脂被覆層は、すぐれた耐水性、印刷適性、及び防炎性を示し、従って、得られた本発明のプリント用複合メッシュシートの耐水性、印刷適性、描画像の鮮明性、及び防炎性が著しく向上した。
【0091】
【発明の効果】
本発明のプリント用複合メッシュシートは、印刷適性及び描画像の鮮明性に優れており、表裏両面に異なる画像を鮮明に描画でき、互に透けて見えることがなく、必要により所望の耐水性及び/又は難燃性を具備させることができるから、広告媒体、掲示媒体、日除けテント、ブラインド、建築用工事シート、及びスポーツ施設用シート(例えばテニスコート遮光用シートなど)などに好適である。また、本発明のプリント用複合メッシュシートにおいて、樹脂被覆層がハロゲン元素を含まない場合には、焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響もないという利点を有する。さらに、本発明のプリント用複合メッシュシートの樹脂被覆に、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種の難燃性付与剤或いは、臭素を含む有機化合物からなる難燃性付与剤と、難燃助剤、例えば三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムなどの無機系難燃助剤を含有せしめると、得られた難燃性樹脂層は、すぐれた難燃性、耐水性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプリント用複合メッシュシートの基布に用いられる粗目織物の一例の構成を示す平面説明図。
【図2】本発明のプリント用複合メッシュシートの一例の構成を示す平面説明図。
【図3】図2のプリント用複合メッシュシートの線A−Aに沿う断面の説明図。
【図4】図2のプリント用複合メッシュシートの線B−Bに沿う経糸断面の説明図。
【符号の説明】
1…粗目織物
2…経糸
3…緯糸
4…透孔
11…複合メッシュシート(1)
12…樹脂被覆経糸
13…樹脂被覆緯糸
14…空孔
15…経緯糸の交差部
16…樹脂被覆層
1 …偏平断面の長径
2 …偏平断面の短径

Claims (21)

  1. 繊維糸条から構成された粗目編織物を含む基布と、この基布構成糸条の露出周面の全面を被覆している樹脂被覆層とを有する複合メッシュシートであって、
    (1)前記樹脂被覆層が少なくとも1種の可撓性高分子材料を含み、
    (2)前記樹脂被覆層により被覆された糸条の断面形状が前記複合メッシュシート表面に沿う方向に偏平化されていて、この偏平断面の、前記複合メッシュシート表面に平行な方向の長さL1と、それに直角な方向の長さL2との比L1:L2が1.3:1〜5:1の範囲内にあり、
    (3)前記複合メッシュシートの、前記樹脂被覆繊維糸条間に形成された透孔の合計面積が、前記複合メッシュシートの表面全面積の0.20〜0.5であり、
    (4)前記樹脂被覆層のマンセル明度が8.0以上であり、及び/又は前記基布のマンセル明度が7.5以下である。
    ことを特徴とするプリント用複合メッシュシート。
  2. 前記基布が着色されている、請求項1に記載のプリント用複合メッシュシート。
  3. 前記基布が、マンセル明度7.5〜4.0の範囲に着色されている、請求項1又は2に記載のプリント用複合メッシュシート。
  4. 前記基布の着色が、繊維の原液着色又は染料及び/又は顔料による後染め着色若しくは着色樹脂液を被覆することによる樹脂被覆着色により施されている、請求項2又は3に記載のプリント用複合メッシュシート。
  5. 前記基布が難燃性を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  6. 前記樹脂被覆層を形成する可撓性高分子材料含有樹脂が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマー類、並びに天然及び合成ゴム類から選ばれた少なくとも1種からなる樹脂成分を含む樹脂組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  7. 前記樹脂組成物が、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる架橋剤をさらに含む、請求項6に記載のプリント用複合メッシュシート。
  8. 前記樹脂被覆層を形成している樹脂組成物中に、二酸化チタンをさらに含み、前記樹脂成分と二酸化チタンの固形分質量比率が100:50〜200である、請求項6又は7に記載のプリント用複合メッシュシート。
  9. 前記樹脂被覆層を形成している樹脂組成物中の樹脂成分と前記架橋剤との固形分質量比率が100:0.5〜15である、請求項7又は8に記載のプリント用複合メッシュシート。
  10. 前記樹脂被覆層が、基布を形成する粗目編織物を、前記可撓性高分子材料含有処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  11. 前記樹脂被覆層が難燃性を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  12. 前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えてさらに(2)難燃性付与剤と(3)架橋剤とを含む難燃性樹脂組成物(I)により形成された難燃性樹脂被覆層(Ia)であって、
    前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
    前記難燃性付与剤(2)が、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、および(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含み、
    前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  13. 前記難燃樹脂被覆層(Ia)中に、二酸化チタン(4)をさらに含み、前記可撓性高分子材料(1)と二酸化チタン(4)との質量比率が100:50〜100:200である、請求項12に記載のプリント用複合メッシュシート。
  14. 前記難燃樹脂被覆層(Ia)中の前記可撓性高分子材料(1)と、前記難燃性付与剤(2)と、前記架橋剤(3)との質量比率が100:50〜300:0.5〜15である、請求項12又は13に記載のプリント用複合メッシュシート。
  15. 前記難燃樹脂被覆層(Ia)が、基布を形成する粗目編織物を、前記難燃性樹脂組成物(I)を含む処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものである、請求項12〜14のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  16. 前記8.0以上のマンセル明度を有する樹脂被覆層が、(1)前記可撓性高分子材料に加えて、さらに(2a)難燃性付与剤と、(2b)無機系難燃助剤と、並びに(3)架橋剤とを含む、難燃性樹脂組成物(II)により形成された難燃性樹脂被覆層(IIa)であり、
    前記可撓性高分子材料(1)が、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、及びウレタン系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含み、
    前記難燃性付与剤(2a)が、臭素を含む少なくとも1種の難燃性付与有機化合物を含み、
    前記無機系難燃助剤(2b)が、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムから選ばれた少なくとも1種を含み、
    前記架橋剤(3)が、アジリジン系化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  17. 前記難燃樹脂被覆層(IIa)が二酸化チタン(4)をさらに含み、前記可撓性高分子材料(1)と二酸化チタン(4)との質量比率が100:50〜100:200である、請求項16に記載のプリント用複合メッシュシート。
  18. 前記難燃樹脂被覆層(IIa)中の前記可撓性高分子材料(1)と、前記難燃性付与剤(2a)と、前記無機系難燃助剤(2b)と、前記架橋剤(3)との質量比率が100:50〜200:20〜100:0.5〜15である、請求項16又は17に記載のプリント用複合メッシュシート。
  19. 前記難燃樹脂被覆層(IIa)が、基布を形成する粗目編織物を、前記難燃性樹脂組成物(II)を含有する処理液をもってディピング及び/又はコーティングすることにより形成されたものである、請求項16〜18のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  20. 前記樹脂被覆層により被覆されている糸条の偏平化が、プレスロール押圧処理によりなされたものである、請求項1〜19のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
  21. 前記樹脂被覆の付着質量が50〜800g/m2である、請求項1〜20のいずれか1項に記載のプリント用複合メッシュシート。
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