JP4175441B2 - 難燃性積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除け用テント、自動車用幌シート、工事用メッシュシート等の用途に好適な繊維シート構造物に関する。更に詳しく述べるならば、本発明は耐水性、耐候性など難燃性の耐久保持性に優れ、かつ上記の用途に好適な難燃性積層体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用幌シート、及び工事用メッシュシート等に用いられる繊維シート構造物については、種々の製造方法が知られており、例えば、特開昭52−18995号には、ポリエステル繊維布帛に接着前処理を施し、この前処理された表面をポリ塩化ビニル系樹脂により被覆する方法が開示されている。この製法により得られるポリ塩化ビニル系樹脂被覆構造物は、柔軟性、耐久性及び難燃性においては優れているが、しかし、燃焼時にポリ塩化ビニル系樹脂に起因する有害な塩化水素ガスの発生が、大きな問題点となっている。
【0003】
この問題を解消するため、ハロゲン元素を含まない樹脂を用いることが検討されている。このような樹脂系では、それに難燃性を付与するために、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機化合物を添加する方法、赤燐を添加する方法などが知られているが、前者において、満足な難燃性を得るためには無機化合物の添加が多量となるため、これから得られる被覆構造物は、柔軟性及び耐久性に劣るという欠点があり、また後者では、赤燐が濃い褐色に着色するため、色彩の多様性に劣るという欠点があった。
【0004】
また、特開平6−340815号には、熱可塑性樹脂に、メラミンにより被覆されたポリ燐酸アンモニウムと特定の含窒素有機化合物とを添加する方法が開示されている。メラミン被覆はポリ燐酸アンモニウムの耐水性向上に有効な手段であるが、屋外など過酷な使用条件下では、経時的に難燃性が低下してしまうという欠点がある。特に熱可塑性樹脂としてウレタン系樹脂を用いる場合、その化学構造に応じてその特性が大きく変化し、例えばポリエステル系ウレタン樹脂では、難燃性向上が容易であるが、耐水性には劣るという欠点があり、また、ポリエーテル系ウレタン樹脂では、耐水性には優れているが耐候性に劣る傾向を示すという欠点があり、このため、難燃性、耐水性、及び耐候性の三者を満足する難燃性積層体は未だ得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除け用テント、自動車用幌シート、工事用メッシュシート等の用途において、屋外などの過酷な使用条件下においても、樹脂層の剥離、脱落などによる損傷が少なく、難燃性の経時的低下がない、しかも廃棄、焼却が容易な難燃性積層体を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係わる難燃性積層体は、繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性ウレタン系樹脂層とからなり、
前記難燃性ウレタン系樹脂層が、(1)100重量部のウレタン系樹脂と、(2)(イソ)シアヌル酸誘導体化合物とポリ燐酸アンモニウム系化合物とを併用して含む5〜50重量部の難燃性付与剤と、(3)1〜30重量部の無機水和物系難燃助剤と、並びに(4)カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種のみ、又は、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種と、アジリジン系化合物とを併用して含む0.1〜20重量部の架橋剤とを含むことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃性積層体に用いられる繊維性基布は、天然繊維、例えば木綿、麻など、無機繊維、例えばガラス繊維など、再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど、半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維など、及び合成繊維、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維などから選ばれた少なくとも1種からなる布帛である。
【0008】
前記基布中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものでもよい。また基布組織は織物、編物、不織布またはこれらの複合体のいずれであってもよい。更に基布の編織組織にも格別の制限はないが、例えば、少なくともそれぞれ、糸間間隙をおいて平行に配置された経糸及び緯糸を含む糸条により構成された粗目布状の編織物、及び非粗目布状編織物(糸条間に実質上間隙が形成されていない編織物)を包含する。
【0009】
前記粗目布状編織物の目付は30〜700g/m2 であることが好ましく、また粗目布状編織物の透孔面積率は、粗目布状編織物の面積に対して10〜95%程度であることが好ましい。また繊維性基布が非粗目布状編織物である場合、その組織、目付、厚さなどに制限はないが、使用目的に応じて、平織、綾織、丸編、緯編、及び経編などの編織物を選ぶことができ、またその目付は50〜1000g/m2 程度とすることが好ましい。
【0010】
前記基布には、それに耐水性、及び吸水防止性を付与する目的をもって、例えば、ワックスエマルジョン、樹脂バインダーを含むワックスエマルジョン、及びシリコーン系化合物のエマルジョン、及びこれらの溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により撥水前処理を予め施しておいてもよい。
【0011】
本発明の難燃性積層体に用いられるウレタン系樹脂としては、ポリオールとジイソシアネートとを反応させて得られた樹脂を用いることができる。このウレタン系樹脂の合成に用いられるポリオールとしては、両末端に水酸基を有するポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネート系ジオールなどを使用することができる。また、ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。特に、ポリオール成分としてポリカーボネート系ジオールを用い、ジイソシアネート成分として脂肪族ジイソシアネートを用いて得られたポリカーボネート系ウレタン樹脂が、耐候性、耐久性が高く、本発明に好適である。
【0012】
本発明の難燃性積層体に難燃性を付与することを目的として、難燃性付与剤が添加される。この難燃性付与剤としては、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物とポリ燐酸アンモニウム系化合物とが併用して使用される。ポリ燐酸アンモニウム系化合物としては、好ましくはオルソ燐酸アンモニウムと尿素の縮合生成物が用いられる。ポリ燐酸アンモニウムはこのまま用いてもいいし、メラミンにより表面を被覆したもの、マイクロカプセル化したものを用いても良い。
【0013】
(イソ)シアヌル酸誘導体化合物としては、メラミン、硫酸メラミン、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、メチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、アンメリン、アンメリド、及び2,4,6−トリオキシシアニジンなどのシアヌル酸誘導体を用いることができる。また、イソアンメリン、イソメラミン、イソアンメリド、トリメチルカルボジイミド、トリエチルカルボジイミド、及びトリカルボイミドなどのイソシアヌル酸誘導体を用いることができる。特には、メラミンとイソシアヌル酸との反応により得られるメラミンイソシアヌレートが本発明に好適に用いることが出来る。
【0014】
また、難燃性を高める目的から、必要に応じ、難燃性付与剤には、更に燐酸アンモニウム系以外の燐系化合物、例えばトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、及びオクチルジフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類;高分子量化したポリホスフェートなどの縮合燐酸エステル類;(イソ)シアヌル酸誘導体化合物以外の含窒素化合物、例えばジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、及びジグアニドなどのシアナミド誘導体;並びに尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素などの尿素誘導体から選ばれた1種以上が含まれていてもよい。
【0015】
難燃性付与剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分100重量部に対して、5〜50重量部であることが好ましい。難燃性付与剤の添加量が5重量部未満では、十分な難燃性を有する積層体を得ることができず、また、それが50重量部を超えると、充分な耐久性を有する積層体を得ることができず、またコスト高となる。
【0016】
また、本発明の積層体の難燃性ウレタン系樹脂層には難燃助剤として無機水和物が含有される。この無機水和物としては結晶水を含む無機化合物が好適に用いられる。特には水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、四硼酸ナトリウム、燐酸マグネシウム、二燐酸ナトリウム、燐酸亜鉛及びこれらの1種以上を併用して用いることが好ましい。
難燃助剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましい。その添加量が1重量部未満では、十分な難燃補助効果を得ることができず、またそれが30重量部を超えると、ウレタン系樹脂層の強度の大幅な低下を招いてしまう。
【0017】
更に、ウレタン系樹脂層には、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種のみ、又は、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種と、アジリジン系化合物とを併用して含む架橋剤が必須成分として添加される。これらの架橋剤は、ウレタン系樹脂の耐水性、耐候性、樹脂強度の低下を抑えると共に、難燃性付与剤の耐水性、耐ブリード性を向上させる効果を有している。
本発明に用いられるアジリジン系化合物としては、分子内にアジリジニル基を含有するものであればよく、分子内に2個のアジリジニル基を含有する化合物、例えば、ジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアなど、及び分子内に3個のアジリジニル基を含有する化合物、例えば、2,2−ビスハイドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕などが用いられる。
【0018】
本発明に用いられるカルボジイミド系化合物としては、有機ジイソシアネートを、ホスホレン化合物、金属カルボニル錯体化合物、及び燐酸エステルなどのように、カルボジイミド化を促進する触媒の存在下に、反応させることにより得られたものが好適に用いられる。具体的に述べるならば、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−P−トルオイルカルボジイミド、及びトリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどを用いることができる。特には、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどのような多官能カルボジイミドは、耐久性がすぐれているので、好適に用いられる。
【0019】
本発明に用いられるオキサゾリン系化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られたオキサゾールから誘導、生成される化合物が好適に用いられる。例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、並びにスチレン、又はアクリル系化合物などのポリマーにオキサゾリル基をグラフトして得られる多官能オキサゾリンポリマーが用いられる。特には、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)などのような多官能オキサゾリンは耐久性がすぐれているので、本発明に好ましく用いられる。
【0020】
本発明に用いられるカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなるものが好ましく用いられる。シラン系カップリング剤としては、アミノシラン類、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど;エポキシシラン類、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど;ビニルシラン類、例えば、ビニルトリエトキシシラン及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど;メルカプトシラン類、例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど、が挙げられる。
【0021】
チタン系カップリング剤としては、アルコキシ類、例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン及びテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンなど;アシレート類、例えば、トリ−n−ブトキシチタンステアレート及びイソプロポキシチタントリステアレートなどが挙げられる。ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、及びテトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。また、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。
【0022】
これらの中で、耐水性、耐候性の観点から、特にγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシランを用いることが好ましい。
架橋剤の添加量は、ウレタン系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜15重量部である。この添加量が0.1重量部未満では得られるウレタン系樹脂層の耐水性、難燃性の耐久性が不充分であり、またそれが20重量部を超えると製品の柔軟性が損なわれてしまうという問題を生ずる。
【0023】
本発明の繊維シート構造物において、ウレタン系樹脂層は、ウレタン系樹脂と、難燃性付与剤と、難燃助剤と、架橋剤とを含有するエマルジョン、溶液、及び固形配合組成物により、繊維性基布をコーティング、又はディッピングすることにより、或いは前記成分の混合物をカレンダー成形して得られたフィルムを基布上にラミネートすることにより形成される。ウレタン系樹脂層配合組成物中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0024】
繊維性基布に対するウレタン系樹脂層の付着重量は30〜800g/m2 であることが好ましく、更に好ましくは50〜500g/m2 である。ウレタン系樹脂層の付着重量が30g/m2 未満では、本発明の積層体の難燃性が不十分になることがあり、またウレタン系樹脂付着量が800g/m2 を超えると得られた積層体の柔軟性が不十分になることがある。
【0025】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。
製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
耐屈曲性
JIS L−1096のスコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgf の条件下に試験片に回数1,000回の屈曲試験を施し、結果を目視で評価した。
耐燃焼性
耐温水性試験(70℃温水中に3日間浸漬)前後の試験片に、下記2種類の方法による燃焼試験に供し、その性能を評価した。
(1)45度法防炎試験:JIS L−1091のA−1法もしくはA−2法に従って、炭化面積、炭化距離、残炎時間、残ジン時間を測定。基準を満足した場合、防炎区分3合格とする。
(2)酸素指数法:JIS K−7201に従って、燃焼限界酸素量を測定した。
【0027】
参考例1
下記工程により難燃性積層体を作製した。
繊維性基布として、
20番手/2×20番手/2
ポリエステルスパン糸高密度平織布: ─────────────
56×50(本/インチ)
を使用した。
ウレタン系樹脂層形成用含浸液としては、ポリカーボネート系ポリオールと脂肪族ジイソシアネートとの反応により合成されたウレタン系樹脂の水性エマルジョン(固形分濃度:40%)と、難燃性付与剤として、メラミンとイソシアヌル酸との反応により得られたメラミンイソシアヌレートとを含む下記組成のエマルジョンを用いた。
ウレタン系樹脂(固形分:40重量%) 100重量部
メラミンイソシアヌレート 10重量部
水酸化アルミニウム 8重量部
カップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)
4重量部
顔料(大日本インキ(株)製、リュウダイ−W69) 3重量部
紫外線吸収剤(チバガイギー(株)製、チヌビン765) 0.5重量部
この含浸液の組成を表1に示す。
上記組成物における(イソ)シアヌル酸誘導体、無機水和物、カップリング剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ25重量%、20重量%、及び10重量%であった。
前記ウレタン系樹脂含有含浸液に前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、樹脂付着量(固形分)が140g/m2 の難燃性積層体を作製した。得られた難燃性積層体を前記試験に供した。この試験結果を表2に示す。
【0028】
参考例2
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤に代えて、カルボジイミド系架橋剤(トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド)8重量部を添加した。このときの架橋剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対して20重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0029】
参考例3
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤に代えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2’−ビス(2−オキサゾリン))8重量部を添加した。このときの架橋剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対して20重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0031】
実施例1
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記メラミンイソシアヌレートに代えて、メラミンイソシアヌレートとポリ燐酸アンモニウム(平均分子量10,000)とをそれぞれ5重量部添加した。また、前記カップリング剤系架橋剤に代えてカルボジイミド系化合物(トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミド)2重量部を添加した。このときの難燃性付与剤及び架橋剤の総添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ25重量%及び5重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0032】
参考例4
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤に代えて、オキサゾリン系架橋剤(2,2’−ビス(2−オキサゾリン))及びカップリング剤(γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)をそれぞれ4重量部添加した。このときの2種の架橋剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ10重量%であり、総添加量は20重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0034】
比較例1
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤を添加しなかった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0035】
比較例2
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤の代りにジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア2重量部を用い、かつ前記メラミンイソシアヌレートの添加量を40重量部とした。このときのメラミンイソシアヌレート及びジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアの添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ100重量%及び5重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0036】
比較例3
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤の代りにジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレア2重量部を用い前記メラミンイソシアヌレートの添加量を1重量部とした。このときのメラミンイソシアヌレート及びジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアの添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ2.5重量%及び5重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0037】
比較例4
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤の代りにジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアを24重量部の添加量で用いた。このときの架橋剤の添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対して60重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0038】
比較例5
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤の代りに2重量%のジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアを用い前記水酸化アルミニウムの添加量を40重量部に変更した。このときの難燃助剤及びジフェニレンメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアの添加量は、ウレタン系樹脂固形分重量に対してそれぞれ100重量%及び5重量%であった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0039】
比較例6
参考例1と同様にして難燃性積層体を作製し、前記試験に供した。但し、前記カップリング剤系架橋剤の代りに2重量%のジフェニルメタン−ビス−4,4’−N,N’−ジエチレンウレアを用い、かつ前記水酸化アルミニウムを添加しなかった。含浸液の組成を表1に示し、得られた難燃性積層体の試験結果を表2に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1、表2から明らかなように、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種のみ、又は、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種と、アジリジン系化合物とを併用して含む架橋剤を必須成分として添加することにより、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物のみ、又は(イソ)シアヌル酸誘導体化合物と、ポリ燐酸アンモニウム系化合物とを併用して含む難燃性付与剤、及び難燃助剤を含む難燃性ウレタン系樹脂層の難燃耐久性が著しく向上した。
【0043】
【発明の効果】
本発明で得られる難燃性積層体は、耐久性、柔軟性及び難燃性に優れており、特に屋外で使用される日除け、屋形テント、自動車幌、及び建築養生用メッシュなどの用途に好適である。また、この難燃性積層体は焼却、廃棄が容易であり、環境への悪影響もないという利点を有する。
Claims (1)
- 繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性ウレタン系樹脂層とからなり、
前記難燃性ウレタン系樹脂層が、(1)100重量部のウレタン系樹脂と、(2)(イソ)シアヌル酸誘導体化合物とポリ燐酸アンモニウム系化合物とを併用して含む5〜50重量部の難燃性付与剤と、(3)1〜30重量部の無機水和物系難燃助剤と、並びに(4)カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種のみ、又は、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種と、アジリジン系化合物とを併用して含む0.1〜20重量部の架橋剤とを含むことを特徴とする難燃性積層体。
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