JPH101868A - 建築工事用メッシュシートおよびその製造方法 - Google Patents

建築工事用メッシュシートおよびその製造方法

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JPH101868A
JPH101868A JP15402396A JP15402396A JPH101868A JP H101868 A JPH101868 A JP H101868A JP 15402396 A JP15402396 A JP 15402396A JP 15402396 A JP15402396 A JP 15402396A JP H101868 A JPH101868 A JP H101868A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、染料や顔料の耐光性向上はもちろ
ん、長時間の紫外線暴露条件においても耐候性が高く、
軽量で、織目が強固で目ずれがせず、かつ糸強力利用率
が高く、安定した通気性を有するノンコーティングタイ
プのポリエステル系繊維から成る建築工事用メッシュシ
ートを提供するものである。 【解決手段】本発明の建築工事用メッシュシートは、紫
外線吸収剤が繊維全重量に対して0.1〜7.0重量%
含有されているポリエステル系繊維から成るメッシュ状
シートで構成されていることを特徴とするものである。
かかる建築工事用メッシュシートの製造方法は、ポリエ
ステル系繊維から成るメッシュ状シート、または、原糸
段階で紫外線吸収剤を0.05〜1.0重量%練込んだ
ポリエステル系繊維から成るメッシュ状シートのいずれ
かを、紫外線吸収剤の水分散液に浸漬した後、ニップロ
ーラーで絞り取り、次いで乾燥後、200〜230℃で
熱処理を行ない、紫外線吸収剤を固形分で0.1〜7.
0重量%含有せしめることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築作業や高所作業に際
して、ボルトや鉄片等の建築資材が作業範囲外に落下す
ることを防止するため使用され、長時間の紫外線暴露条
件下でも強力低下の少ない優れた耐候性を有するポリエ
ステル系繊維から成る建築工事用メッシュシートに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系繊維は、高強力で寸法安
定性が高く、衣料用途をはじめ各種産業資材用途にも広
く利用されており、高い耐光性を有することから建築工
事用メッシュシートとしても重要性を増している。従
来、ポリエステル系繊維から成る建築工事用メッシュシ
ートは耐候性、難燃性、目ずれ防止等の観点からポリ塩
化ビニール樹脂等の熱可塑性樹脂でコーティングしたも
のが長時間の紫外線暴露条件下でも使用されていること
が知られている。しかしながら、ポリ塩化ビニール樹脂
でコーティングした建築工事用メッシュシートは、重量
が重く、作業性も悪い上に、ポリ塩化ビニール樹脂の可
塑剤のブリードによる汚れが目立ち、その洗浄も容易で
ないという欠点があった。また近年、産業資材用途にお
いても、地球環境面から脱塩ビの動きがあり、従来のポ
リ塩化ビニール樹脂コーティング品から軽量化が図ら
れ、地球環境にマッチしたノンコーティング品に置き代
わりつつあるが、該ノンコーティング品は紫外線遮蔽効
果を有していた該塩ビ樹脂の被膜がなくなるため、使用
されるポリエステル系繊維はこれまで以上に高い耐候性
が必要になってきている。
【0003】従来、建築工事用メッシュシートに使用さ
れるポリエステル系繊維の耐光性を向上させる試みとし
ては、耐候性の良好な顔料をポリエステル系繊維に練込
んだ原糸着色する方法が一般に行なわれているが、これ
らの方法では顔料の耐光堅牢度を向上させることはでき
るが、ポリエステル系繊維そのものの強力低下が問題と
なるような長時間の紫外線暴露条件では、効果が少な
く、高度な耐候性を要求される分野においては不十分で
あった。また特開平4−50318号(鐘紡)では、顔
料を含有する芯部と顔料を含有しない鞘部とからなる芯
鞘複合糸を提案しているが、この技術は、鞘部のポリエ
ステル層を紫外線吸収層として、ポリエステル自身の紫
外線吸収による劣化と引き換えに芯部の顔料の耐光性を
向上させるもので、繊維の強力低下を抑える効果はほと
んど期待できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、染料や顔料
の耐光性向上はもちろん、長時間の紫外線暴露条件にお
いても耐候性が高く、軽量で、織目が強固で目ずれがせ
ず、かつ糸強力利用率が高く、安定した通気性を有する
ノンコーティングタイプのポリエステル系繊維から成る
建築工事用メッシュシートを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するためにつぎのような手段を採用する。すなわ
ち、本発明の建築工事用メッシュシートは、紫外線吸収
剤が繊維全重量に対して0.1〜7.0重量%含有され
ているポリエステル系繊維から成るメッシュ状シートで
構成されていることを特徴とするものである。
【0006】かかる建築工事用メッシュシートの製造方
法は、ポリエステル系繊維から成るメッシュ状シート
か、または、原糸段階で紫外線吸収剤を0.05〜1.
0重量%練込んだポリエステル系繊維から成るメッシュ
状シートのいずれかを、紫外線吸収剤の水分散液に浸漬
した後、ニップローラーで絞り取り、次いで乾燥後、2
00〜230℃で熱処理を行ない、紫外線吸収剤を固形
分で0.1〜7.0重量%含有せしめることを特徴とす
るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】建築工事用メッシュシートには、
従来からポリエステル系繊維は使用されなかったが、そ
れは耐候性が著しく劣るという致命的欠点があったから
である。本発明は、かかるポリエステル系繊維製の建築
工事用メッシュシートでありながら、耐候性を驚く程ア
ップさせることができることを究明したものである。
【0008】すなわち、ポリエステル系繊維に紫外線吸
収剤を固形分で0.1〜7.0重量%含有せしめること
で、意外にも上述課題を一挙に解決することを究明した
ものである。
【0009】本発明における紫外線吸収剤としては、特
に限定されるものではなく、一般に使用される紫外線吸
収剤のいずれでもよく、例えばベンゾトリアゾール系、
ベンゾフェノン系、サリチル酸誘導体系、トリアジン系
などが例示される。ポリエステル系繊維は、波長約29
0〜350nm領域の紫外線により分子鎖切断をはじめ
とする光分解反応を起こすため、主としてこの領域に吸
収極大を有するベンゾトリアゾール系またはトリアジン
系紫外線吸収剤が好ましい。
【0010】本発明において、紫外線吸収剤はパッド/
ドライ/キュア法の高温熱処理によって主として繊維表
層部に集中的に吸尽させるため、熱昇華性が低いものが
好ましく利用される。例えば、2−(2’−ヒドロキシ
−4’−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−s
−トリアジンや2−(2’−ヒドロキシ−4’−エトキ
シフェニル)−4,6−ジフェニル−s−トリアジンな
どのトリアジン環に3つのフェニル基が置換された熱昇
華性の低いトリアジン系紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0011】本発明において紫外線吸収剤は、ポリエス
テル系繊維全重量に対して0.1〜7.0重量%の濃度
で含有される。好ましくは0.3〜5.0重量%であ
る。本発明の目的は、長時間の紫外線暴露条件で強力低
下を最小限に抑えようというものであるが7.0重量%
を越えて紫外線吸収剤を含有させた場合は、初期強力自
体が大きく低下してしまう。本発明において重要なこと
はポリエステル系繊維の表層部25%の領域に、繊維全
重量に対して0.1〜7.0重量%含有されている紫外
線吸収剤の80%以上が含有されていることである。従
来から紫外線を遮蔽できるフィルターによってポリエス
テル系繊維の耐候性を向上できることは公知であり、上
述のごとく紫外線遮蔽フィルター層を一体化した芯鞘複
合糸が提案されているが、独立した紫外線遮蔽フィルタ
ーとの最も大きな差異は、芯鞘複合糸においてはフィル
ター層となる鞘部の劣化が強力低下の原因になることで
ある。すなわち、紫外線吸収剤と鞘部のポリエステルは
ともに芯部の紫外線遮蔽フィルターとして働くが、紫外
線を吸収した鞘部のポリエステルは分子鎖切断などによ
り劣化し、繊維全体としては強力低下する。また、鞘部
の分子鎖切断されたポリエステルは、ラジカル反応によ
って隣接する芯部のポリエステルを劣化させる。したが
って、鞘部のポリエステルの劣化を防止できる程度に高
濃度の紫外線吸収剤を鞘部に含有させることが必要であ
るが、芯鞘複合糸の場合、多量の紫外線吸収剤を含有さ
せると紡糸性が大幅に低下するため、添加量に限界があ
る。さらに、多量の紫外線吸収剤を含有させた場合、糸
物性の面からは、強力低下が著しく、また、芯部と鞘部
の物性が大きく異なるため剥離などの問題があり、実用
的には1.0重量%程度の添加量が限界である。
【0012】本発明者らは、紫外線吸収剤を各種濃度に
吸着させたポリエステルフィルムの紫外線遮蔽フィルタ
ーを用いた検討で、紫外線吸収剤を0.1〜7.0重量
%吸着させたポリエステルフィルムの強力低下が低減さ
れることを見出し、また、パッド/ドライ/キュア法に
よる吸着法によってポリエステル系繊維の表層部25%
の部分に集中的に紫外線吸収剤を吸着できることを見出
し、本発明に至った。すなわち、ポリエステル系繊維の
表層部25%の領域に紫外線吸収剤を0.1〜7.0重
量%の濃度で集中的に吸着させたものは、内層部のポリ
エステルに対して紫外線遮蔽フィルターとして働くばか
りではなく、表層部のポリエステル自身の紫外線劣化も
大幅に抑制されるのである。また、後加工の吸着法によ
って紫外線吸収剤を吸着させるため、紫外線吸収剤の濃
度分布は表層部から内層部にかけて傾斜的に減少するた
め、芯鞘複合糸で見られたような糸物性の極端な差によ
る剥離減少も見られない。
【0013】ここでポリエステル系繊維の表層部25%
の領域とは、水酸化ナトリウム水溶液によるアルカリ減
量処理によって25重量%減量した場合に除去される領
域をいう。アルカリ減量によるポリエステル系繊維の減
量速度は、ポリマーの種類、単糸繊度などによって異な
るため、処理濃度、温度、時間は一定ではないが、単繊
維の表層部から内層部に向かって薄皮を剥くように分解
除去されることが知られており、25重量%の減量処理
を行なう場合は、処理濃度と温度を一定にして、処理時
間を段階的に変化させていき、25重量%の減量率とな
った時点で処理を停止すればよい。
【0014】本発明におけるポリエステル系繊維とは、
ポリエチレンテレフタレート繊維およびエチレンテレフ
タレートを主成分とする共重合ポリエステル繊維であ
る。共重合成分としては、イソフタル酸、ソジウムスル
ホイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸
等の二塩基酸、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコール、ブタンジオール等のジオールが挙げられる
が、強力面、耐候性の点では共重合量は10モル%以下
が好ましい。またポリエステル系繊維の断面形状も特に
限定されないが、強力を重視する産業資材用途では丸断
面が好ましく用いられる。また、単糸繊度もその用途に
よって種々のものが用いられるが、太繊度のものほど表
層部の紫外線遮蔽効果が効果的となる。これは、表層部
25%に相当する領域を紫外線遮蔽フィルターと見なし
た場合、例えば丸断面では、1デニールの繊維のフィル
ター厚みは0.67μであるが、5デニールでは1.5
3μ、10デニールでは2.13μと厚くなることから
も容易に説明できる。すなわち、同一濃度の紫外線吸収
剤を含有している場合、5デニールの糸では紫外線の遮
蔽効果は1デニールの糸の2倍以上、10デニールの糸
では3倍以上となる。一般に、産業資材用途では主とし
て太繊度の糸を用いることの多いため、本発明の技術は
これらの用途に好ましく用いられる。本発明者らのポリ
エステルフィルムを用いた検討では、フィルム厚みが
1.5μ以上であれば波長290〜400nmに相当す
る領域の紫外線をほぼ完全に遮蔽できることがわかって
おり、5デニール以上の太繊度の糸が好ましい。総繊度
は500デニール以上が好ましく、1000〜3000
デニールがより好ましい。
【0015】上述のポリエステル系繊維としては、建築
工事用メッシュシートに使用されることから難燃性能を
有する繊維が建築現場での火災の発生を防止する上から
望ましい。該難燃性繊維とは、難燃剤を添加した繊維や
ポリマー中に難燃化合物を含む繊維およびポリマー自体
が難燃性であるものからなる繊維であってもよい。特に
ポリマー中に2官能性リン化合物が存在するポリエステ
ル系繊維が望ましい。かかるポリエステル系難燃性繊維
を構成するポリエステル系繊維とは、繰り返し単位の少
なくとも85モル%がポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレン2、6ナフタ
レートなどのポリエステルであり、かつその繰り返し単
位の中に、リン元素に換算して好ましくは0.2〜1.
5重量%の範囲に2官能性リン化合物が存在するポリマ
ーからなる繊維である。なお上述のポリエステルには、
難燃性を阻害しない範囲で共重合成分が含有されていて
もよい。また上述のポリエステル系難燃性繊維のポリマ
ーの固有粘度が0.65以上であるものが好ましく、さ
らにその繊維自身の密度が1.38kg/cm3 以上であ
るものがこ好ましい。
【0016】上述の2官能性リン化合物としては、次の
式(1)で示されるホスホネート、式(2)で示される
ホスフィネートあるいは式(3)で示されるホスフィン
オキシドが好ましく使用される。
【0017】
【化1】
【化2】
【化3】 式(1)で示されるリン化合物としては、フェニルホス
ホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジフェニル等が好
ましく使用される。
【0018】式(2)で示されるリン化合物としては、
(2−カルボオキシエチル)メチルホスフィン酸、(2
−メトキシカルボニルエチル)メチルホスフィン酸メチ
ル、(2−カルボオキシエチル)フェニルホスフィン
酸、(2−メトキシカルボニルエチル)フェニルホスフ
ィン酸、(4−メトキシカルボニルフェニル)メチルホ
スフィン酸メチル、[2−(β−ヒドロキシエトキシカ
ルボニル)エチル]メチルホスフィン酸のエチレングリ
コールエステル等が好ましく使用されている。
【0019】式(3)で示されるリン化合物としては、
(1、2−ジカルボオキシエチル)メチルホスフィンオ
キシド、(2、3−ジカルボオキシプロピル)ジメチル
ホスフィンオキシド、(1、2−ジメトキシカルボニル
エチル)ジメチルホスフィンオキシド、(2、3−ジメ
トキシカルボニルエチル)ジメチルホスフィンオキシ
ド、[1、2ジ(β−ヒドロキシエトキシカルボニル)
エチル]ジメチルホスフィンオキシド、[2、3ジ(β
−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチル]ジメチルホ
スフィンオキシド等が好ましく使用されている。
【0020】これらの化合物の中でも、特に式(3)の
化合物が、ポリエステルとの共重合反応性がよいこと
と、及び重合反応時の飛散が少ないこと等から好ましく
使用される。該2官能性リン化合物は、ポリエステルポ
リマー中に、リン元素に換算して好ましくは0.2〜
1.5重量%、特に好ましくは0.4〜1.3重量%含
有されたものがよい。即ち、0.2重量%未満の場合
は、得られる建築工事用メッシュシートの難燃性が低い
ので好ましくない。一方リン元素が1.5重量%を超え
ると原糸の物理的特性、特に強度低下、収縮特性の増大
および製造コストが高くなるなどの欠点が出現してく
る。
【0021】本発明の建築工事用メッシュシートは、好
ましくはJIS A−8952(1977)の防炎性試
験方法に基づいて測定したときに同JIS A−895
2(1977)の付属書表1に規定する難燃性を有する
ものがよい。次に本発明で使用される防炎剤を含有して
いる建築工事用メッシュシートとは、該メッシュシート
に防炎加工を施す方法や防炎加工を施した繊維を製織す
る方法等で防炎剤を含有せしめたものである。
【0022】かかる防炎剤としては、例えば、塩化パラ
フィン等の有機塩素化合物、チオ尿素樹脂、フェノール
スルフォン酸等の有機硫黄化合物、THPC、APO等
の有機リン化合物、リン酸アンモニウム等のリン酸アン
モニウム塩、塩化チタン等の金属塩化物、ケイ酸ソーダ
等のアルカリ金属塩、ブロム化合物およびアンチモン系
化合物等を使用することができる。
【0023】かかる防炎剤は、合成繊維に含有させる場
合は、該合成繊維重量に対して、好ましくは0.5〜1
5重量%付与したものがよい。
【0024】また、該合成繊維織物の状態で含有させる
場合は、該合成繊維織物重量に対して、好ましくは1〜
20重量%付与したものがよい。
【0025】いずれにしても、かかる防炎剤を含有する
発明の建築工事用メッシュシートはJIS A−895
2(1977)に限定された建築工事用メッシュシート
の防炎性試験方法の付属書表1に示された防炎性を有す
ることが重要であるので、好ましくは炭化面積20cm2
以下の程度の防炎性を有するものがよい。
【0026】また、本発明の建築工事用メッシュシート
は、必要により撥水剤、防水剤を添加または付与して、
所望の性質を付加することができる。
【0027】本発明の建築工事用メッシュシートの織組
織としては、目ずれ防止効果と通気性と軽量化を同時に
満足するものであれば平織、朱子織、斜文織、もじり
織、伯爵織、しころ織、琥珀織、三原織組織の変化織な
ど適宜のものをもちいることができる。好ましくは、1
〜7本横絽組織から成る絡織および該1〜7本横絽組織
を適宜組合わせた絡織または模紗織であり、より好まし
くは3〜7本横絽組織から成る絡織である。一方編物と
しては、経編、緯編など適宜のものをもちいることがで
きる。好ましくは、ラッセル編で経糸および緯糸挿入ラ
ッセル編である。かかる編織物の通気量は、JIS L
−1096のフラジール型通気性測定器に基づいて測定
した時、70〜400cm3 /cm2 ・秒であることが防風
効果、スプレー作業時のためならびに強風時の風圧等に
耐えるために重要である。また、かかる編織物のタテお
よびヨコ方向の引張強力は、JIS A−8952
5.1項のストリップ法に基づいて測定した時、150
kg/3cm以上であることが、耐久性ならびに落下防止
効果の上から重要である。
【0028】またかかる編織物の目付は、200〜45
0g/m2 の範囲にあるものが、該編織物の強度保持、
施工、運搬の上から望ましい。
【0029】本発明の建築工事用メッシュシートは、着
色して用いることができる。着色は耐候性の優れた顔料
を原糸段階で原糸に練込み原糸着色するか、耐候性の優
れた染料を用いて編織物の状態で染色し着色することが
できる。好ましくは、一般的に顔料の方が染料より耐候
性が優れている点から顔料を用いた原糸着色がよい。該
原糸着色は、可視光線および紫外線等を吸収しポリエス
テル系繊維自身の強力劣化を抑制させる効果があり望ま
しい。
【0030】なお、本発明の建築工事用メッシュシート
は、酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシュウム、亜鉛
華などの紫外線遮蔽剤および銅、コバルト、クロムなど
の金属塩数、ヒンダードフエノール系、アミン系等のラ
ジカル連鎖禁止剤およびホスファイト系、チオエステル
系等の過酸化分解剤を使用すると耐候性をさらに向上さ
せることができる。
【0031】次に、本発明の実施様態について説明す
る。
【0032】本発明のポリエステル系繊維から成るメッ
シュ状シートを紫外線吸収剤の水分散液に浸漬した後、
ニップローラーで絞り取り、次いで乾燥後、200〜2
30℃で熱処理を行ない紫外線吸収剤を固形分で0.1
〜7.0重量%含有せしめることにより得ることができ
る。また、紫外線吸収剤を原糸段階で0.05〜1.0
重量%練込んだポリエステル系繊維から成るメッシュ状
シートを紫外線吸収剤の水分散液に浸漬した後、ニップ
ローラーで絞り取り、次いで乾燥後、200〜230℃
で熱処理を行ない紫外線吸収剤の総含有量を固形分で
0.1〜7.0重量%含有せしめることにより得ること
ができる。
【0033】紫外線吸収剤の水分散液中の濃度は、ポリ
エステル系繊維のピックアップ率によって決定される。
通常、マングルやパッダーのニップロール圧は1〜3k
g/cm2 に設定されるが、例えば、ピックアップ率が1
00%の場合、紫外線吸収剤の濃度が3.0重量%であ
ればポリエステル系繊維に対して固形分で3.0重量%
が付着する。ピックアップ率が50%であれば、付着量
はその半分となる。このように使用するマングルやパッ
ダーの通常使用されるニップロール圧でのピックアップ
率をあらかじめ調べておけば、必要な紫外線吸収剤の濃
度は容易に計算から求められる。
【0034】本発明において特に重要なのは、200〜
230℃の高温で、しかも短時間の熱処理を行なうとこ
ろである。ポリエステル系繊維にパッド/ドライ/キュ
ア法で紫外線吸収剤などの薬剤を吸着させる場合、通常
は150〜200℃での熱処理を行なうが、これは、薬
剤を繊維内部まで均一に吸着させようとするため、長時
間の熱処理を、比較的繊維へのダメージが少ない温度で
行なう必要があるためである。また、薬剤の方も、内部
への吸着性を良くするために比較的昇華性が高いものが
用いられるため、190℃以上の高温では昇華による飛
散が顕著になることから、熱処理温度を比較的低くする
ことが必要となっている。本発明においては、熱による
耐昇華性の優れた紫外線吸収剤を用いて、200〜23
0℃の高温で短時間熱処理することによってはじめて、
紫外線吸収剤を繊維の表層部に高濃度に集中的に吸着さ
せることが可能となるのである。すなわち、高温の熱処
理によって、繊維表面に付着した紫外線吸収剤を効率的
に繊維に吸着させ、しかも短時間の熱処理とすることで
繊維内部への拡散は抑えることによって、この目的を達
成できるのである。200℃よりも低い温度での熱処理
の場合は、熱処理時間が、短いと繊維表層に付着した紫
外線吸収剤のほとんどは繊維には吸着させず、吸着率を
高くするために熱処理時間を長くすると、繊維内部まで
均一に吸着されるため、表層部に高濃度に吸着させるこ
とはできない。また、230℃よりも高い温度での熱処
理では、ポリエステル系繊維自体の物性が低下し、強力
低下や黄変などの着色が著しくなる。紫外線吸収剤の繊
維への吸着効率が高く、強度低下を少なく抑えることが
できる210〜220℃での熱処理が特に好ましい。
【0035】熱処理時間については、処理する繊維の繊
度によって好ましい条件が異なる。上述したように、表
層部25%に相当する領域の厚さが1デニールの場合と
10デニールの場合とで3倍以上も異なるためで、1デ
ニールの場合は10〜30秒10デニールの場合は30
〜60秒の熱処理が好ましい。熱処理時間を長くすると
紫外線吸収剤の内部拡散が進み、紫外線吸収剤が均一に
分布するようになり、紫外線遮蔽効果は低下してくる。
また高温であるため、強力低下や、着色といっ、た悪影
響が出てくる。当然ながら、紫外線吸収剤の種類によっ
ては、拡散速度が異なるため、処理時間を変更する必要
がある。
【0036】以上の様に、本発明は高い耐候性や耐光染
色堅牢度が要求される産業資材用途の建築工事用メッシ
ュシートに好ましく用いられる。
【0037】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに具体的に
説明する。なお、実施例における各測定値は、次の方法
に従って測定したものである。
【0038】(1) 紫外線吸収剤含有量 ソックスレー抽出器を用いて、トルエン溶媒で試料とな
る繊維から可溶成分を環流下1時間抽出し、高速液体ク
ロマトグラフィーにより紫外線吸収成分を分取し、溶媒
をロータリーエバポレーターで除去後、固形分の重量
(A1)を測定した。繊維全重量に対する含有率(S
1)は、トルエン溶媒抽出前の繊維重量(W)に対する
固定分重量(A1)によって求めた。また、表層部25
%に相当する領域の紫外線吸収剤の含有率(S2)は、
アルカリ減量によって25%減量した試料から同様の方
法で抽出された固形分の重量(A2)を測定し、以下の
式により求めた。
【0039】 S2=(A1−A2)×100/0.25W (2) 耐候性 スガ試験機社製UVテスターを使用し、ブラックパネル
温度63±3℃で6〜24時間紫外線照射を行ない、照
射前後の繊維の引張強力をテンシロンで測定し強力保持
率を求めた。
【0040】(3) 通気量 JIS L−1096 フラジール法により測定した。
【0041】(4) 引張強力 JIS A−8952 5.1 ストリップ法により測
定した。
【0042】(5) 防炎性 JIS A−8952 (1977)の防炎性試験法に
より測定した。
【0043】実施例1〜3 リン化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)エチル]メチルホスフィン酸をリン元素換算し
て0.5重量%を含む難燃性ポリエステル繊維から成る
1500D−144FのBlue難燃性原着糸をタテ糸
に用い、一方ヨコ糸として、ポリエチレンテレフタレー
ト100%からなる1500D−144FのBlue原
着糸を用い、レノヘルドをもつ織機にて3本横絽組織を
製織した。この織物の生機密度は、タテ密度24本/イ
ンチ、ヨコ密度18本/インチであり、この生機を精練
機にて精練・乾燥した。
【0044】次にこの精練・乾燥した織物をCibaf
ast P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25
%、チバガイギー社製)の5重量%(固形分1.25重
量%)10重量%(固形分2.5重量%)、20重量%
(固形分5重量%)、の各々の水分散液に浸漬し、ニッ
プローラーでピックアップ率50%に絞り取り、120
℃で2分間乾燥した。その後ヒートセッターにて210
℃で30秒間ヒートセットした後、ソーピング、乾燥し
た。
【0045】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.5本/インチ
であり、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S
1)は各々0.5重量%、1.25重量%、2.5重量
%であり、表層部25%の領域の含有率(S2)は各々
1.9重量%、4.5重量%、9.0重量%の織物を得
た。得られた織物の耐候性(強力保持率)、目付、通気
量、および引張強力を表1、2に示した。特に耐候性は
6時間の照射では50%以上、24時間の照射でも40
%以上と高い値を有するものであった。
【0046】この織物を幅200cm、長さ5.2mに裁
断し、四方にロープを固定し、ミシン縫製して建築工事
メッシュ織物を作成した。この建築工事メッシュ織物
は、軽量で、施工や運搬時の取扱い性に優れ、目ずれ防
止性にも優れ、風合いも柔軟で、汚れの付着も少なく、
水洗濯で容易に洗浄が可能なものであった。
【0047】実施例4 実施例1と同様の方法で得た精練・乾燥した織物をCi
bafast P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分
25%、チバガイギー社製)20重量%(固形分5重量
%)の水分散液に浸漬し、ピックアップ率50%で絞り
取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒートセッタ
ーにて210℃で30秒間ヒートセットした後、もう一
度Cibafast P(トリアジン系紫外線吸収剤、
固形分25%、チバガイギー社製)20重量%(固形分
5重量%)の水分散液に浸漬し、ピックアップ率50%
で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒート
セッターにて210℃で30秒間ヒートセットした。次
にソーピング、乾燥した。 このソーピング、乾燥した
織物の密度は、タテ密度26本/インチ、ヨコ密度1
8.5本/インチであり、織物全重量に対する紫外線吸
収剤の含有率(S1)は4.5重量%であり、表層部2
5%の領域の含有率(S2)は15.3重量%の織物を
得た。得られた織物の耐候性(強力保持率)、目付、通
気量、および引張強力を表1、2に示した。特に耐候性
は6時間の照射では80%以上、24時間の照射でも7
0%以上と高い値を有するものであった。
【0048】この織物を実施例1と同様に縫製して、建
築工事メッシュ織物を作成したところ、軽量で、目ずれ
のない風合いも柔軟な汚れの付着も少ない織物であっ
た。
【0049】比較例1 実施例1と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を、紫
外線吸収剤を含まない水に浸漬し、ニップローラーでピ
ックアップ率50%に絞り取り、120℃で2分間乾燥
した。その後ヒートセッターにて210℃で30秒間ヒ
ートセットした後、ソーピング、乾燥した。このソーピ
ング、乾燥した織物の密度は、タテ密度26本/イン
チ、ヨコ密度18.5本/インチであった。この織物の
耐候性 (強力保持率)、目付、通気量、引張強力およ
び防炎性を表1、2に示した。耐候性としては6時間の
照射では強力保持率46%となり、24時間の照射では
30%以下まで低下し、不十分であった。
【0050】実施例5〜6 ポリエチレンテレフタレート100%からなる1500
D−144FのBlue原着糸を用い、レノヘルドをも
つ織機にて3本横絽組織を製織した。この織物の生機密
度は、タテ密度24本/インチ、ヨコ密度18本/イン
チであり、この生機を精練機にて精練・乾燥した。
【0051】次にこの精練・乾燥した織物を含リン環式
化合物を組成とする難燃剤(商品名K−19A:明成化
学社製)を有効成分20重量%とCibafast P
(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25%、チバガイ
ギー社製)の5重量%(固形分1.25重量%)を併用
した水分散液、および該難燃剤を有効成分20重量%と
Cibafast P20重量%(固形分5重量%)を
併用した水分散液に、各々浸漬し、ピックアップ率50
%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒー
トセッターにて210℃で30秒間ヒートセットした
後、ソーピング、乾燥した。
【0052】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.5本/インチ
であり、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S
1)は各々0.5重量%、2.5重量%であり、表層部
25%の領域の含有率(S2)は各々1.9重量%、
9.0重量%の織物を得た。得られた織物の耐候性(強
力保持率)、目付、通気量、および引張強力を表1、2
に示した。特に耐候性は6時間の照射では50%以上、
24時間の照射でも40%以上と高い値を有するもので
あった。
【0053】この織物を実施例1と同様に縫製して、建
築工事メッシュ織物を作成したところ、軽量で、目ずれ
のない風合いも柔軟な汚れの付着も少ない織物であっ
た。 比較例2 実施例5と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を含リ
ン環式化合物を組成とする難燃剤(商品名K−19A:
明成化学社製)を有効成分20重量%とCibafas
t P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25%、チ
バガイギー社製)の0重量%の水分散液に浸漬し、ピッ
クアップ率50%で絞り取り、120℃で2分間乾燥し
た。その後ヒートセッターにて210℃で30秒間ヒー
トセットした後、ソーピング、乾燥した。このソーピン
グ、乾燥した織物の密度は、タテ密度26本/インチ、
ヨコ密度18.5本/インチであった。この織物の耐候
性(強力保持率)、目付、通気量、引張強力および防炎
性を表1、2に示した。耐候性としては6時間の照射で
は強力保持率45%となり、24時間の照射では30%
以下まで低下し、不十分であった。
【0054】実施例7〜8 リン化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)エチル]メチルホスフィン酸をリン元素換算し
て0,5重量%を含む難燃性ポリエステル繊維1500
D−144Fの単糸繊維強度8.0g/dのBlue難
燃性原着糸を用い、レノヘルドをもつ織機にて3本絽組
織を製織した。この織物の生機密度は、タテ密度24本
/インチ、ヨコ密度18本/インチであり、この生機を
精練機にて精練・乾燥した。
【0055】次にこの精練・乾燥した織物をCibaf
ast P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25
%、チバガイギー社製)の10重量%(固形分2.5重
量%)、20重量%(固形分5重量%)、の各々の水分
散液に浸漬し、ピックアップ率50%で絞り取り、12
0℃で2分間乾燥した。その後ヒートセッターにて20
0℃で30秒間ヒートセットした後、ソーピング、乾燥
した。
【0056】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.5本/インチ
であり、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S
1)は各々1.2重量%、2.4重量%であり、表層部
25%の領域の含有率(S2)は各々4.3重量%、
8.6重量%の織物を得た。得られた織物の耐候性(強
力保持率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表
1、2に示した。特に耐候性は6時間の照射では55%
以上、24時間の照射でも50%以上と高い値を有する
ものであった。
【0057】この織物を幅200cm、長さ5.2mに裁
断し、四方にロープを固定し、ミシン縫製して建築工事
メッシュ織物を作成した。この建築工事メッシュ織物
は、軽量で、施工や運搬時の取扱い性に優れ、目ずれ防
止性にも優れ、風合いも柔軟で汚れの付着も少ない織物
であった。
【0058】比較例3 実施例7と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を、紫
外線吸収剤を含まない水に浸漬し、ピックアップ率50
%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒー
トセッターにて200℃で30秒間ヒートセットした
後、ソーピング乾燥した。このソーピング、乾燥した織
物の密度は、タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.
5本/インチであった。この織物の耐候性(強力保持
率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表1、2
に示した。耐候性としては6時間の照射では強力保持率
46%となり、24時間の照射では30%以下まで低下
し、不十分であった。
【0059】実施例9〜10 リン化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)エチル]メチルホスフィン酸をリン元素換算し
て0.5重量%を含む難燃性ポリエステル繊維から成る
1500D−288FのBlue難燃性原着糸を用い、
レノヘルドをもつ織機にて3本横絽組織を製織した。こ
の織物の生機密度は、タテ密度24.5本/インチ、ヨ
コ密度18.5本/インチであり、この生機を精練機に
て精練・乾燥した。
【0060】次にこの精練・乾燥した織物をCibat
ex LFN(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チ
バガイギー社製)の40重量%(固形分5重量%)、お
よびサンライフLPS855(ベンゾフェノン系紫外線
吸収剤、日華化学社製)の20重量%(固形分20重量
%)、の各々の水分散液に浸漬し、ピックアップ率50
%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒー
トセッターにて200℃で30秒間ヒートセットした
後、ソーピング、乾燥した。
【0061】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26.5本/インチ、ヨコ密度19本/インチ
であり、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S
1)は各々1.0重量%、1.0重量%であり、表層部
25%の領域の含有率(S2)は各々3.6重量%、
3.6重量%の織物を得た。得られた織物の耐候性(強
力保持率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表
1、2に示した。特に耐候性は6時間の照射では55%
以上、24時間の照射でも45%以上と高い値を有する
ものであった。
【0062】比較例4 実施例9と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を、紫
外線吸収剤を含まない水に浸漬し、ピックアップ率50
%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒー
トセッターにて200℃で30秒間ヒートセットした
後、ソーピング乾燥した。このソーピング、乾燥した織
物の密度は、タテ密度26.5本/インチ、ヨコ密度1
9本/インチであった。この織物の耐候性 (強力保持
率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表1、2
に示した。耐候性としては6時間の照射では強力保持率
46%となり、24時間の照射では30%以下まで低下
し、不十分であった。
【0063】実施例11〜12 リン化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)エチル]メチルホスフィン酸をリン元素換算し
て0,5重量%を含む難燃性ポリエステル繊維900D
−96FのBlue原着糸[高融点:254℃、成分
(A)]をタテ糸に用い、一方ヨコ糸として、タテ糸に
用いた同様の難燃性ポリエステル繊維900D−96F
のBlue原着糸[高融点:254℃、成分(A)]1
本とイソフタル酸を24モル%共重合したポリエチレン
テレフタレートからなる80D−36FのBlue原着
糸[低融点:213℃、成分(B)]1本とを合撚して
980Dとした原着糸を用い、模紗織物を製織した。こ
の織物の生機密度は、タテ密度31本/インチ、ヨコ密
度33本/インチであり、この生機を精練機にて精練・
乾燥した。
【0064】次にこの精練・乾燥した織物をCibaf
ast P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25
%、チバガイギー社製)の5重量%(固形分1.25重
量%)、20重量%(固形分5重量%)、の各々の水分
散液に浸漬し、ピックアップ率50%で絞り取り、12
0℃で2分間乾燥した。その後ヒートセッターにて1回
目のヒートセットを200℃で30秒間した後、2回目
のヒートセットを230℃で30秒間した。次にソーピ
ング、乾燥した。
【0065】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度32本/インチ、ヨコ密度34本/インチであ
り、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S1)
は各々0.48重量%、2.3重量%であり、表層部2
5%の領域の含有率(S2)は各々1.8重量%、8.
3重量%の織物を得た。得られた織物の耐候性(強力保
持率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表1、
2に示した。特に耐候性は6時間の照射では50%以
上、24時間の照射でも40%以上と高い値を有するも
のであった。
【0066】この織物を実施例1と同様に縫製して、建
築工事メッシュ織物を作成したところ、軽量で、目ずれ
のない風合いも柔軟な汚れの付着も少ない織物であっ
た。 比較例5 実施例11と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を、
紫外線吸収剤を含まない水に浸漬し、ピックアップ率5
0%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後ヒ
ートセッターにて1回目のヒートセットを200℃で3
0秒間した後、2回目のヒートセットを230℃で30
秒間した。次にソーピング、乾燥した。
【0067】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度32本/インチ、ヨコ密度34本/インチであ
った。この織物の耐候性(強力保持率)、目付、通気
量、引張強力および防炎性を表1、2に示した。耐候性
としては6時間の照射では強力保持率44%となり、2
4時間の照射では30%まで低下し、不十分であった。 実施例13〜14 リン化合物として[2−(β−ヒドロキシエトキシカル
ボニル)エチル]メチルホスフィン酸をリン元素換算し
て0.5重量%を含み、かつTinuvin327(ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、チバガイギー社製)
を0.7重量%を含む難燃・耐候性ポリエステル繊維か
ら成る1500D−144FのBlue原着糸をタテ糸
に用い、一方ヨコ糸として、ポリエチレンテレフタレー
ト中にTinuvin 327(ベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤、チバガイギー社製)を0.7重量%含む
耐候性ポリエステル繊維から成る1500D−144F
のBlue原着糸をレノヘルドをもつ織機にて3本絽組
織を製織した この織物の生機密度は、タテ密度24本/インチ、ヨコ
密度18本/インチであり、この生機を精練機にて精練
・乾燥した。
【0068】次にこの精練・乾燥した織物をCibaf
ast P(トリアジン系紫外線吸収剤、固形分25
%、チバガイギー社製)の5重量%(固形分1.25重
量%)、20重量%(固形分5重量%)の各々の水分散
液に浸漬し、ピックアップ率50%で絞り取り、120
℃で2分間乾燥した。その後ヒートセッターにて200
℃で30秒間ヒートセットをし、次にソーピング、乾燥
した。
【0069】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.5本/インチ
であり、織物全重量に対する紫外線吸収剤の含有率(S
1)は各々1.2重量%、3.2重量%であり、表層部
25%の領域の含有率(S2)は各々2.6重量%、
9.7重量%の織物を得た。得られた織物の耐候性(強
力保持率)、目付、通気量、引張強力および防炎性を表
1、2に示した。特に耐候性は6時間の照射では50%
以上、24時間の照射でも40%以上と高い値を有する
ものであった。
【0070】この織物を実施例1と同様に縫製して、建
築工事メッシュ織物を作成したところ、軽量で、目ずれ
のない風合いも柔軟な汚れの付着も少ない織物であっ
た。 比較例6 実施例13と同様の方法で得た精練・乾燥した織物を、
該紫外線吸収剤を含まない水に浸漬し、ピックアップ率
50%で絞り取り、120℃で2分間乾燥した。その後
ヒートセッターにて200℃で30秒間ヒートセットし
た。次にソーピング、乾燥した。
【0071】このソーピング、乾燥した織物の密度は、
タテ密度26本/インチ、ヨコ密度18.5本/インチ
であった。この織物の耐候性(強力保持率)、目付、通
気量、引張強力および防炎性を表1、2に示した。耐候
性としては6時間の照射では強力保持率49%となり、
24時間の照射では31%まで低下し、不十分であっ
た。
【表1】
【表2】
【0072】
【発明の効果】本発明によって、長時間強烈な紫外線に
晒される屋外で使用されるポリエステル系繊維の耐候性
は大幅に改善され、実施例に示したように、UVテスタ
ーでの24時間の照射(屋外暴露;3〜5年に相当)後
も約半分以上の強力を保持できる。産業資材用途におい
ては、一般的に塩ビコーティング品が用いられているが
樹脂コーティングにより硬くなり、取扱いにくい欠点が
あり、また、塩ビの比重が大きいため、非常に重いもの
となる。
【0073】塩ビ樹脂被覆によって耐候性の向上が期待
できるが、実施例1と同一の繊維から構成される塩ビ樹
脂コーティングした糸(樹脂付着量;20重量%)をU
Vテスターによる紫外線照射を行なった結果、24時間
の照射では強力保持率40%であり、本発明により、塩
ビ樹脂の被覆を行なわなくても、同等以上の耐候性が実
現でき、軽量で、風合いの柔軟なものが得られる。ま
た、染色堅牢度が問題となる用途においても、ほとんど
変褪色のない非常に高い染色堅牢度が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の建築工事用メッシュ織物に
用いることのできる織組織の1例である3本横絽織物を
示す。
【図2】この図は、本発明の建築工事用メッシュ織物に
用いることのできる5本横絽織物の例を示す。
【図3】この図は、本発明の建築工事用メッシュ織物に
用いることのできる7本横絽織物の例を示す。
【符号の説明】
1:横絽組織 2、3、4、5、6、7、8:緯糸 9:経糸

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線吸収剤が繊維全重量に対して0.
    1〜7.0重量%含有されているポリエステル系繊維か
    ら成るメッシュ状シートで構成されていることを特徴と
    する建築工事用メッシュシート。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系繊維が単繊維断面の25
    %に相当する表層部に、繊維全重量に対して0.1〜
    7.0重量%含有されている紫外線吸収剤の80%以上
    が含有されている請求項1記載の建築工事用メッシュシ
    ート。
  3. 【請求項3】 単繊維の繊度が5デニ−ル以上であり、
    かつ総繊度が500デニール以上であるポリエステル系
    繊維の織糸から成ることを特徴とする請求項1および2
    のいずれかに記載の建築工事用メッシュシート。
  4. 【請求項4】 ポリエステル系繊維が顔料によって原糸
    着色されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の建築工事用メッシュシート。
  5. 【請求項5】 紫外線吸収剤がトリアジン系紫外線吸収
    剤であることを特徴とする請求項1および2のいずれか
    に記載の建築工事用メッシュシート。
  6. 【請求項6】 メッシュ状シートが通気量70〜400
    cm3 /cm2 ・秒であり、タテおよびヨコ方向の引張強力
    が150kg/3cm以上で、かつ目付が200〜450
    g/m2 である1〜7本横絽組織および模紗組織から成
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の建
    築工事用メッシュシート。
  7. 【請求項7】 ポリエステル系繊維から成るメッシュ状
    シートが難燃性または防炎性であることを特徴とする請
    求項1〜6のいずれかに記載の建築工事用メッシュシー
    ト。
  8. 【請求項8】 ポリエステル系繊維が2官能性リン化合
    物を含有するポリエステル系難燃性繊維である請求項1
    〜4のいずれかに記載の建築工事用メッシュシート。
  9. 【請求項9】 ポリエステル系繊維から成るメッシュ状
    シートを紫外線吸収剤の水分散液に浸漬した後、ニップ
    ローラーで絞り取り、次いで乾燥後、200〜230℃
    で熱処理を行ない、紫外線吸収剤を固形分で0.1〜
    7.0重量%含有せしめることを特徴とする建築工事用
    メッシュシートの製造方法。
  10. 【請求項10】 原糸段階で紫外線吸収剤を0.05〜
    1.0重量%練込んだポリエステル系繊維から成るメッ
    シュ状シートを紫外線吸収剤の水分散液に浸漬した後、
    ニップローラーで絞り取り、次いで乾燥後、200〜2
    30℃で熱処理を行ない紫外線吸収剤の総含有量を固形
    分で0.1〜7.0重量%含有せしめることを特徴とす
    る建築工事用メッシュシートの製造方法。
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