JP4870412B2 - 繊維・ウレタン樹脂積層物およびその製造方法 - Google Patents

繊維・ウレタン樹脂積層物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、繊維布帛とウレタン樹脂とが積層された繊維・ウレタン樹脂積層物であって、防炎性を有する繊維・ウレタン樹脂積層物およびその製造方法に関する。
繊維布帛とウレタン樹脂との積層物(繊維・ウレタン樹脂積層物)は、衣料、靴、カバン、カーシート、カーテン、サニタリー用品、屋外用テント類などの幅広い用途に使用されている。
これらの用途の中で、防炎性が要求される分野がある。たとえばカーテン、布製ブラインド、暗幕、どん帳、じゅうたん、カーシート等などである。
かかる分野において用いられる繊維・ウレタン樹脂積層物としては、たとえば、防炎化されたポリエステル繊維布帛と、防炎化されたウレタン樹脂層とが積層されたものが用いられている。
従来、防炎化には主に、塩素、臭素等のハロゲンを含むハロゲン系防炎剤が用いられている。たとえば、ポリエステル繊維布帛の防炎化にはヘキサブロモシクロドデカンなどが使用され、またウレタン樹脂の防炎化には、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系防炎剤と三酸化アンチモンなどの防炎助剤が使用されている。具体例を挙げると、ヘキサブロモシクロドデカンなどのハロゲン系防炎剤で防炎加工したポリエステル繊維布帛の少なくとも片面に、デカブロモジフェニルエーテルと三酸化アンチモンと遮光のための黒色顔料とを添加した接着剤層と、ウレタン樹脂表皮層を積層した防炎性遮光カーテンを形成することが実施されている。
しかし、このようなハロゲン系防炎剤を含むカーテンが燃焼すると、わずかであるが、ダイオキシン類が発生することが指摘されている。また臭化水素等のハロゲン系酸性ガスが生じるおそれもある。そのことから、環境保護等のため、ハロゲンを含まないノンハロゲン系の防炎剤の使用が望まれている。
ノンハロゲン系防炎剤として、すでに様々なリン含有防炎剤が提案されている。
たとえば、無機のリン含有防炎剤としては、ブーデンハイム社が製造するポリリン酸アンモニウムのメラミン被覆物(商品名テラージュ C−30、C−60等)のような無機リン化合物、日産化学工業(株)より市販されているポリリン酸メラミン(商品名PMP−100、PMP−200等)、赤燐系の防炎剤などがある。
また、有機のリン含有防炎剤として、たとえば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレノールホスフェート)、大八化学工業(株)や旭電化工業(株)が製造する縮合リン酸エステル類等のリン酸エステル化合物;三光(株)が製造する環状リン化合物(商品名SANKO−HCA−HQ等);大塚化学(株)が製造するホスファゼン誘導体(商品名フェノキシフォスファゼンRP−100等)などがある。
また、このようなリン含有防炎剤を使用して繊維布帛を防炎処理する方法も提案されている。たとえば特許文献1には、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を界面活性剤の存在下で分散させた分散液を、繊維質量に対して5〜15重量%用いて、さらに分散染料を併用し、130℃まで昇温して、30分から1時間保持することにより、ポリエステル繊維の染色と同時に繊維中に吸尽させて固着させる方法が開示されている。また、特許文献2では、特定の環状リン化合物の水分散品をポリエステル系繊維の防炎加工に使用する方法が記載されている。
さらに、糸製造段階でリン系化合物をエステル結合して防炎化したポリエステル繊維として、東洋紡(株)のハイム(商標)や帝人ファイバー(株)のスーパーエクスター(商標)などの防炎性ポリエステルも製造されている。
また、リン含有防炎剤を使用して樹脂層を防炎処理する例として、特許文献3には、防炎性の印刷用膜材として、繊維布帛を含む基材上に、バインダー樹脂およびポリリン酸アンモニウム系の化合物などを含むインク受容層が積層された防炎性印刷用膜材が開示されている。
特開2000−328445号公報 特開2002−275473号公報 特開2002−321452号公報
しかしながら、繊維・ウレタン樹脂積層物のウレタン樹脂層をリン含有防炎剤を用いて防炎化しようとした場合、防炎性能やその耐久性、外観、触感などの品質面で種々の問題があり、ハロゲンを含まずに実用性のある防炎性の繊維・ウレタン樹脂積層物は得られていないのが現状である。
たとえば、ウレタン樹脂層をリン含有防炎剤で防炎化する場合、防炎剤を多量に用いても防炎性が得られ難い場合がある。たとえば上述したポリリン酸メラミンは、ポリリン酸とメラミンを完全に反応させたもので水には溶けないが、リン含有率が10〜15質量%と低く、該防炎剤を多量に用いても防炎性能の達成が困難である。
また、仮に防炎性が達成されても、洗たくや屋外暴露時の降雨により防炎剤がブリードアウトしてしまい、その機能を失ってしまう場合がある。さらに、ウレタン樹脂皮膜の表面にタック感が出たり、ウレタン樹脂皮膜が硬くなって外観や触感が損なわれるなどの問題もある。たとえばポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムのメラミン被覆物のような無機リン化合物を用いた場合、これらの無機リン化合物は、リン含有率が20質量%以上と高く、防炎性は達成しやすいが、水、特に温水に溶けやすいため、ウレタン樹脂層からブリードアウトしやすく、上記のような問題を生じやすい。
また、赤燐系の防炎剤は、防炎性の効果は高いが、赤みの着色があって製品の色相に制限ある。加えて、時間の経過とともにホスフィンが生成して臭気が発生する問題もある。
さらに、有機のリン含有防炎剤は、もともと、ポリリン酸アンモニウム等の無機のリン含有防炎剤と比較してリン含有率が低く、防炎性の効果が劣る傾向がある。また、他にも本質的な問題がある。
たとえば、リン酸エステル化合物共通の問題点として、エステル結合が経時的に加水分解してしまうので、その性能が失われる問題がある。
また、大八化学工業(株)や旭電化工業(株)が製造する縮合リン酸エステル類として液状や固体のものがあるが、これらの液状や低融点の化合物は、時間の経過ともに、ウレタン樹脂層の表面にブリードアウトして該表面にタック感を生じる問題がある。
三光(株)が製造する環状リン化合物や、大塚化学(株)が製造するホスファゼン誘導体などは加水分解しない化合物とされているが、これらは融点の低い固体物質であるため、ウレタン樹脂層の風合を硬化させたり、表面にブリードアウトして外観を変化させたり、表面の触感を好ましくないものにする弊害がある。
このように、ノンハロゲン系の防炎剤としてリン含有防炎剤を使用する試みはあるが、上記のような品質面での問題から実用化できていなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ハロゲン系防炎剤を含まなくても充分な防炎性を有し、しかも、洗たく処理(水洗たく、ドライクリーニング等)後、促進試験(ジャングル試験、熱老化試験等)後などにおいてもその防炎性が維持される優れた耐久性を有し、かつ外観・触感も良好な繊維・ウレタン樹脂積層物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記の構成を有する本発明によって上記課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明の第一の態様は、防炎処理されたポリエステル繊維布帛の少なくとも片面に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有するウレタン樹脂製の接着剤層と、該接着剤層上に設けられたウレタン樹脂製の表皮層とを有し、前記接着剤層が含有する防炎剤が前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩のみであり、前記接着剤層中の前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下であることを特徴とする繊維・ウレタン樹脂積層物である。
また、本発明の第二の態様は、離型基材上に、1液型ウレタン樹脂を含有する表皮層形成用塗工液を塗布し、乾燥して表皮層を形成する工程と、
前記表皮層上に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩と2液型ウレタン樹脂とを含有する接着剤層形成用塗工液を塗布して接着剤層を形成する工程と、前記接着剤層上に防炎処理されたポリエステル繊維布帛を積層し、前記接着剤層中の前記2液型ウレタン樹脂を硬化させる工程と、前記離型基材を剥離する工程とを有し、前記接着剤層が含有する防炎剤が前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩のみであり、前記接着剤層中の前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下であることを特徴とする繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法である。
ここで、財団法人日本防炎協会が発行している防炎用語ハンドブックによると、『「防炎」とは、合板、プラスチック、繊維等の材料が、小さな火源に接して容易に燃え上がらず、もし燃えたとしても際限なく燃え広がらないことを意味し、消防法令上は「防炎」と称するが、他法令では、同義で「難燃」等の語が用いられている。』とある。
さらに、『「防炎性能」とは、主として繊維製品の材料あるいは製品の燃焼性を表す用語の一つであり、一般的には「難燃性能」と同義語である。防炎物品(カーテン、どん帳、布製ブラインド、じゅうたん等)については消防法に定める防炎性能試験基準により、試験方法と性能の要求特性が規定されているが、いずれも自己消火性を判定尺度としている。』とある。
したがって、本明細書および特許請求の範囲では、防炎と難燃は同義として扱う。
また、本明細書および特許請求の範囲において、「防炎性を有する」とは、当該繊維・ウレタン樹脂積層物が、その用途における防炎性能(難燃性能)試験基準に合格することを意味するものとする。
たとえば、防炎物品として指定されているカーテン、どん帳、布製ブラインド、じゅうたん等は、財団法人日本防炎協会の防炎性能試験基準で評価され、また、カーシート等は、アメリカの自動車用規格による難燃性試験基準であるFMVSS302水平法や自動車メーカーの基準により評価されている。
したがって、たとえば防炎物品(カーテン、どん帳、布製ブラインド、じゅうたん等)の用途においては、前記防炎性能試験基準に合格するものを「防炎性を有する」とし、カーシート等は、前記難燃性能試験基準に合格するものを「難燃性を有する」とする。
さらに、「防炎性が維持される」とは、洗たく処理(水洗たく、ドライクリーニング等)後、促進試験(ジャングル試験、熱老化試験等)後などにおいても、上記と同様の試験基準に合格することを意味し、たとえばカーテン等の防炎物品用途では、財団法人日本防炎協会の防炎性能試験基準に基づき、家庭洗たくおよびドライクリーニング後において、また、ジャングル試験などの促進試験後においても、前記防炎性能試験基準に合格することを指すものである。また、カーシート用途では、熱老化試験などの促進試験後においても、その難燃性能試験基準に合格すること指すものである。
本発明によれば、ハロゲン系防炎剤を含まなくても充分な防炎性を有し、しかも、洗たく処理(水洗たく、ドライクリーニング等)後、促進試験(ジャングル試験、熱老化試験等)後などにおいてもその防炎性が維持される優れた耐久性を有し、かつ外観・触感も良好な繊維・ウレタン樹脂積層物およびその製造方法が提供できる。
したがって、本発明によれば、たとえ燃焼しても、ダイオキシン類や、臭化水素等のハロゲン系酸性ガスの発生が抑制された繊維・ウレタン樹脂積層物が得られる。
また、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、水洗たくやドライクリーニング等の洗たく処理後や、ジャングル試験、熱老化試験等の促進試験後においても、防炎性能試験基準または難燃性試験基準に合格できることから、洗たくや屋外での降雨、経時変化などによる防炎性能の劣化が抑制されたものである。
さらに、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法によれば、上記繊維・ウレタン樹脂積層物を工業的に有利に製造できる。
<繊維・ウレタン樹脂積層物>
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、繊維布帛の少なくとも片面に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有するウレタン樹脂製の接着剤層と、該接着剤層上に設けられたウレタン樹脂製の表皮層とを有するものである。接着剤層がジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有することにより、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、ハロゲン系防炎剤を含まなくても優れた防炎性能が得られるとともに、耐久性や外観・触感も良好となる。
これは、ジアルキルホスフィン酸の金属塩が、後述するように、防炎性、耐水性、耐溶剤性、耐熱性等に優れており、かかるジアルキルホスフィン酸の金属塩が接着剤層に配合され、該接着剤層が、表皮層によって保護されていることによると推測される。
[繊維布帛]
繊維布帛としては、特に制限はなく、一般的に知られている繊維布帛、たとえばポリエステル、ナイロン等の合成繊維、ジアセテート、トリアセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿、絹、毛等の天然繊維からなる布帛等が挙げられる。また、耐熱性の繊維である芳香族ポリアミド繊維からなる布帛であっても良い。これらのうちの2種以上の繊維の混繊品、混紡品や交織品であってもよい。
繊維布帛の形態は、織物、編物、不織布等のいかなる形態であってもよい。また、精練、染色、SR加工、防炎加工、帯電防止加工などが施されたものであっても良い。また、カーテン、布製ブラインド、暗幕、どん帳、じゅうたん、カーシート等の製品に加工したものであってもよいし、加工する前のものであってもよい。
繊維布帛は、環境保護等を考慮すると、ハロゲンを含まないことが好ましい。
また、繊維布帛は、防炎処理(難燃処理)が施されているものが好ましく、特に洗たくなどに耐える防炎処理(難燃処理)が施されているものが好ましい。防炎処理されている繊維布帛を用いることにより、優れた防炎性が達成できる。防炎処理は、公知の方法、たとえばパディングや浸染などの吸尽法により行うことができる。
繊維布帛としては、上記のなかでも、加工性、寸法安定性、ドレープ性および風合いの良好性の点から、繊維として少なくともポリエステル繊維を含むポリエステル繊維布帛が好ましく、特にポリエステル織物や編物が好ましい。
さらに、繊維布帛としては、ポリエステル繊維布帛に、公知のノンハロゲン系防炎剤により防炎処理が施されたものが好ましい。かかるノンハロゲン系防炎剤は、従来、ポリエステル繊維布帛の防炎処理に用いられているものであってよく、たとえばレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等のリン含有防炎剤が挙げられる。
[接着剤層]
接着剤層は、ジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有するウレタン樹脂製の層である。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、「ウレタン樹脂製」とは、当該層が基本的にウレタン樹脂で構成されていることを意味する。
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層体において、接着剤層および後述する表皮層は、ともにウレタン樹脂製の層であり、以下、接着剤層および表皮層をまとめてウレタン樹脂層ということがある。
接着剤層を構成するウレタン樹脂としては、一般的に接着剤として使用されているウレタン樹脂を用いて得られるものであってよい。かかる接着剤の種類としては、溶剤を乾燥せずに繊維布帛を貼り合わせるウェットラミネート用のものと、溶剤を乾燥させた後、繊維布帛を貼り合わせるドライラミネート用のものがあるがそのいずれでも良い。
本発明においては、特に、3次元に架橋した架橋型ウレタン樹脂が好ましい。
3次元に架橋した架橋型ウレタン樹脂は、2液型ウレタン樹脂(すなわちイソシアネート架橋剤と反応可能な水酸基を有する低分子量ウレタン樹脂)と、2以上のイソシアネート基を含有するイソシアネート架橋剤との反応により形成されるものである。
2液型ウレタン樹脂としては、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等や、それらの混合系等であってよく、例えば、平均分子量500〜2500程度のポリマージオール、例えばポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステル・エーテルジオール、ポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートジオールなどから選ばれた少なくとも1種類のジオールと、有機ポリイソシアネート、例えば芳香族ジイソシアネート、芳香族トリイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどから選ばれた少なくとも1種類以上の有機ポリイソシアネートとから得られる平均分子量10000〜40000程度のものであって、2液型ウレタン樹脂として、固形分40〜70質量%の溶液として市販されているものが利用できる。
この2液型ウレタン樹脂とともに使用されるイソシアネー架橋剤としては、イソシアネート架橋剤またはイソシアネート硬化剤として公知のものが利用でき、たとえばトルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビスフェニルジイソシアネートなどのアダクト体、ビュレツト体、シアヌレート3量体などが挙げられる。
イソシアネート架橋剤としては、たとえばイソシアネート系硬化剤、イソシアネート系架橋剤等として市販されているものが使用できる。
・ジアルキルホスフィン酸の金属塩
本発明においては、接着剤層がジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有する必要があり、ジアルキルホスフィン酸の金属塩としては、一般的に防炎剤(または難燃剤)として提案されているものが使用できる。
防炎剤として提案されているジアルキルホスフィン酸の金属塩は、以下の(1)〜(3)等の性状を有するものである。
(1)リン含有率が20質量%以上である。
(2)水や溶剤に難溶性の白色の微細な粉状である。
(3)融点や熱分解温度が高い(通常、熱分解温度は300℃程度である。)。
かかるジアルキルホスフィン酸の金属塩は、リン含有率が20質量%以上と高いことから、優れた防炎性を有している。
また、微細な粉末状であるため、ウレタン樹脂層を形成するウレタン樹脂組成物に配合した際に凝集等の問題が生じにくく、ウレタン樹脂層に容易に内填できる。
そして、水や溶剤に難溶性であることから、耐水性および耐溶剤性に優れており、接着剤層からブリードアウトしにくい。また、融点や熱分解温度が高いことから耐熱性も良好である。そのため、水洗たく、ドライクリーニング等の洗たく処理や、ジャングル試験、熱老化試験等の促進試験に対する耐久性が高く、また、外観・触感を悪化させにくいと考えられる。
さらに、白色であることから、接着剤層や表皮層を顔料等により着色する場合に色に制限がなく、任意の色に着色できる。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩を構成するジアルキルホスフィン酸イオンは、ホスフィン酸イオンの2つの水素原子がそれぞれアルキル基で置換されたイオンである。ジアルキルホスフィン酸イオンにおけるアルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよく、炭素数が1〜5であることが好ましく、炭素数1〜2がより好ましい。該アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。ジアルキルホスフィン酸における2つのアルキル基は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、ゲルマニウム、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、セリウム、ビスマス、ストロンチウム、マンガン、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。本発明においては、特に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩が、アルミニウム、カルシウム、チタン、亜鉛などの多価金属の塩であることが好ましく、特にアルミニウム塩が好ましい。このような多価金属塩は、水や溶剤に対する溶解性が非常に低い難溶性の塩であり、本発明の効果に優れる。
ジアルキルホスフィン酸の金属塩の具体例としては、たとえば特表2001−525327号、特表2001−525329号、特開2004−346325号などに記載されているもの、たとえばジアルキルホスフィン酸(またはそのアルカリ金属塩)と、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、アンチモン、スズ、ゲルマニウム、チタン、鉄、ジルコニウム、セリウム、ビスマス、ストロンチウム、マンガン、リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属を含有する金属化合物とを反応させて得られる化合物等が使用できる。これらのうち、金属が、上述したような多価金属であるものが好ましい。
接着剤層中、ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量は、使用する用途・目的により防炎性評価または難燃性評価の方法が違うため、また、使用する繊維布帛の繊維の種類、目付や糸の密度などによっても必要とされる量が異なるため、それらを考慮して事前に設定すればよい。
たとえば防炎カーテン等の防炎物品用途の場合、その防炎性能試験基準であるミクロバーナー法やコイル法に合格させるためには、比較的多量の防炎剤が必要である。
また、カーシート用途の場合においては、防炎物品用途に比べて比較的少量の防炎剤で、その難燃性能(防炎性能)試験基準である水平法に合格させることができる。
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物が防炎カーテン等の防炎物品用途に使用される場合、充分な防炎性を確保するためには、ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量は、単位面積あたりの量が、接着剤層と表皮層とを合わせて20g/m以上であることが好ましい。ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量が20g/m以上であると、優れた防炎性能が得られ、当該繊維・ウレタン積層物を種々の防炎物品に利用できる。
すなわち、従来、防炎カーテン等の防炎物品の場合、繊維・ウレタン樹脂積層物としては、主に、防炎処理されたポリエステル繊維布帛と、ウレタン樹脂層(本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物の表皮層に相当する層)とが積層されたものが用いられており、該ウレタン樹脂層に防炎剤が配合されている。
このような積層物の場合、ポリエステル繊維布帛は溶融ドリップして防炎性を示すが、ウレタン樹脂層は溶融しにくく、両者の燃焼挙動は全く異なる。そのため、たとえば防炎カーテンの用途で防炎性能試験基準に合格するためには、ウレタン樹脂層に配合する防炎剤の量を、当該ウレタン樹脂層中のウレタン樹脂と同じか又はそれ以上とし、しかもウレタン樹脂層を厚くするなどして単位面積あたりの防炎剤の量を多くするなどしてウレタン樹脂層を高度に防炎化し、ポリエステル繊維布帛とウレタン樹脂層の溶融挙動を同等レベルにする必要がある。特に、ウレタン樹脂層が、架橋剤で3次元架橋された構造を有している場合には、ウレタン樹脂層が非常に溶融しにくいため、極めて高度に防炎化する必要があると考えられる。
そこで、本発明においては、ウレタン樹脂層中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の量、すなわち接着剤層中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の量と表皮層中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の量との合計量を、単位面積当たり20g/m以上とし、ウレタン樹脂層、特に接着剤層を高度に防炎化することにより、防炎カーテン等の防炎物品用途の防炎性能試験基準に合格する防炎性が充分に達成できる。
カーシート用途では、ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量は、上述したように、上記防炎物品用途に比べ、比較的少量であっても充分にその難燃性能(防炎性能)試験基準を合格する防炎性が達成できる。
カーシート用途において充分な防炎性を確保するためには、ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量は、単位面積あたりの量が、接着剤層と表皮層とを合わせて10g/m以上であることが好ましい。
接着剤層中、ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量の上限値としては、特に制限はないが、接着剤層中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下となる量が好ましい。接着剤層中のジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下であると、接着剤層の繊維布帛に対する接着性が充分に確保できる。
接着剤層は、ジアルキルホスフィン酸の金属塩およびウレタン樹脂以外の任意成分を含有してもよい。
かかる任意成分としては、たとえば、遮光性を付与するための黒色顔料、隠蔽性を付与するためにアルミ顔料等が挙げられる。
また、本発明においては、接着剤層中に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の防炎剤、たとえばジアルキルホスフィン酸の金属塩以外の従来提案されているリン含有防炎剤を含有してもよいが、防炎剤としてジアルキルホスフィン酸金属塩のみを含有することが本発明の効果に優れることから好ましく、他の防炎剤は使用しない方がよい。
接着剤層の厚さは、特に制限はなく、防炎性と接着性の要素で決定される。通常、乾燥時の厚さで10〜300μmの範囲が好ましい。
[表皮層]
・ウレタン樹脂
表皮層を構成するウレタン樹脂としては、皮膜を形成可能なものであればよく、従来繊維・ウレタン樹脂積層物に用いられているものが使用できる。特に、架橋していない線状の非架橋型ウレタン樹脂が好ましい。
かかる非架橋型ウレタン樹脂は、1液型ウレタン樹脂を用いて形成できる。1液型ウレタン樹脂は、ジオールおよび有機ポリイソシアネートと、水酸基やアミノ基などの活性水素原子を少なくとも2個以上有する低分子化合物を、鎖延長剤を使用して反応させて得られる熱可塑性のものであり、なお、ジオールおよび有機ポリイソシアネートとしては、2液型ウレタン樹脂について上記に例示したものと同様のものを使用できる。
1液型ウレタン樹脂は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリカーボネート系等や、それらの混合系等であってよい。
1液型ウレタン樹脂としては、固形分濃度が20〜30質量%程度の溶液として市販されているものが利用できる。
表皮層は、ウレタン樹脂以外の任意成分を含有してもよい。
かかる任意成分としては、たとえば、着色のための顔料、シリカ系の艶消し剤、紫外線吸収剤、NOx変色防止剤等が挙げられる。
また、表皮層は、防炎剤を含有してもよい。本発明において、防炎剤は、外観・触感等を考慮すると、基本的には接着剤層にのみ含まれることが望ましいが、表皮層にも含まれると、防炎効果がさらに向上する。防炎剤としては、接着剤層と同様、ジアルキルホスフィン酸の金属塩を含有することが好ましい。また、ジアルキルホスフィン酸の金属塩以外のリン含有防炎剤を含有してもよいが、防炎剤としてジアルキルホスフィン酸金属塩のみを含有することが本発明の効果に優れることから好ましく、他の防炎剤は使用しない方がよい。
表皮層の厚さ(乾燥厚さ)は、特に制限はない。通常、5〜100μmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、その構造中(接着剤層、表皮層等のウレタン樹脂層や繊維布帛部分)に、上述したジアルキルホスフィン酸の金属塩やレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等のリン含有防炎剤以外の防炎剤(難燃剤)を含有してもよいが、環境保護等を考慮すると、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を含むハロゲン系防炎剤は含有しないことが好ましい。これにより、たとえ燃焼してもダイオキシン類や、臭化水素等のハロゲン系酸性ガスが発生しない繊維・ウレタン樹脂積層物が得られる。
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、たとえば下記本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法により製造できる。
<繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法>
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法は、離型基材上に、1液型ウレタン樹脂を含有する表皮層形成用塗工液を塗布し、乾燥して表皮層を形成する工程(以下、表皮層形成工程という。)と、前記表皮層上に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩と2液型ウレタン樹脂とを含有する接着剤層形成用塗工液を塗布して接着剤層を形成する工程(以下、接着剤層形成工程という。)と、前記接着剤層上に繊維布帛を積層し、前記接着剤層中の前記2液型ウレタン樹脂を硬化させる工程(以下、積層工程という。)と、前記離型基材を剥離する工程(以下、剥離工程という。)とを有することを特徴とする。
以下、各工程について、繊維布帛の片面に接着剤層と表皮層とを有する繊維・ウレタン樹脂積層物を製造する場合を例に挙げて順次説明する。
[表皮層形成工程]
本発明の製造方法においては、まず、離型基材上に、1液型ウレタン樹脂を含有する表皮層形成用塗工液を塗布し、乾燥して表皮層を形成する。
離型基材としては、形成した表皮層から再剥離可能なものであればよく、一般的に用いられている剥離フィルムが使用できる。たとえばポリプロピレンなどのフィルムを貼りあわせたものや、離型性のポリエステルフィルムが使用できる。
離型基材の種類としては、特に制限はなく、得ようとする繊維・ウレタン樹脂積層物の表皮層の表面形状に応じて設定すればよい。たとえば皮状のエンボス柄のもの、艶消しのエンボス品、ミラー調の光沢表面を有するものなど、いずれの種類であっても良い。
1液型ウレタン樹脂としては、上述したものが使用できる。
表皮層形成用塗工液の溶剤としては、1液型ウレタン樹脂を溶解できるものであればよく、たとえばトルエン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの有機溶剤の単独または混合溶剤が挙げられる。
また、表皮層形成用塗工液としては、上述したような、市販の1液型ウレタン樹脂溶液が利用でき、これに希釈溶剤を加えてもよく、また、上述したような1液型ウレタン樹脂以外の任意成分(顔料、艶消し剤、紫外線吸収剤、NOx変色防止剤、ジアルキルホスフィン酸の金属塩等のリン含有防炎剤など)を配合してもよい。希釈溶剤としては、上記溶剤と同様のものが挙げられる。
表皮層形成用塗工液は、塗布しやすさ等を考慮すると、粘度が2〜20Pa・s程度であることが好ましい。
離型基材への表皮層形成用塗工液の塗布方法としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティング等の各種のコーティング方法を用いることができる。
塗布した表皮層形成用塗工液の乾燥は、熱風乾燥機、オーブン等を用いて行うことができる。
[接着剤層形成工程]
ついで、形成した表皮層上に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩と2液型ウレタン樹脂とを含有する接着剤層形成用塗工液を塗布する。
2液型ウレタン樹脂としては、上述したものが使用できる。
接着剤層形成用塗工液の溶剤としては、2液型ウレタン樹脂を溶解できるものであればよく、たとえばトルエン、ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトン、酢酸エチルなどの有機溶剤の単独または混合溶剤が挙げられる。
また、接着剤層形成用塗工液としては、上述したような、市販の2液型ウレタン樹脂溶液にジアルキルホスフィン酸の金属塩を添加したものが利用できる。また、これに希釈溶剤を加えてもよく、また、上述したような任意成分(黒色顔料、アルミ顔料、他の防炎剤など)を配合してもよい。
このとき、樹脂溶液に添加するジアルキルホスフィン酸の金属塩としては、パウダー状のものを用いることが、塗工液中に均一に分散させることができるため好ましい。
また、接着剤層を構成するウレタン樹脂を3次元に架橋した架橋型ウレタン樹脂とする場合には、イソシアネート架橋剤を併用する。
また、これらイソシアネート架橋剤を使用する場合には、架橋反応を促進するために、錫やアミン系の触媒を併用するのがよい。
接着剤層形成用塗工液は、塗布しやすさ等を考慮すると、粘度が2〜20Pa・s程度であることが好ましい。
接着剤層形成用塗工液の塗布方法としては、上述した表皮層形成用塗工液の塗布方法と同様、各種コーティング方法を用いることができる。
[積層工程]
次の工程として、接着剤層が塗布された上に、繊維布帛を積層して接着する。
ここで、繊維布帛を積層する方法としては、接着剤層が乾燥した後に繊維布帛を圧着して積層する方法(ドライラミネート法)や、接着剤層が乾燥する前に繊維布帛を貼り合わせる方法(ウェットラミネート法)がある。
圧着は、熱ロール等を用いて行うことができる。圧着は、10〜500kPa程度の荷重で行うことが好ましい。また、圧着は、100〜150℃程度の熱ロールを用いることが好ましい。
そして、2液型ウレタン樹脂を硬化させて接着を完了する。架橋剤を用いる場合、圧着後、さらに40〜70℃で12〜72時間エージングすることにより、2液型ウレタン樹脂と架橋剤との反応が完了し、接着が完了する。
[剥離工程]
ついで、離型紙から繊維・ウレタン樹脂積層物を剥離することにより、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物が得られる。
上記においては、繊維布帛の片面に接着剤層および表皮層を形成する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されず、たとえば繊維布帛の両面に接着剤層および表皮層を形成する場合、たとえば、上記と同様にして表皮層形成工程、接着剤層形成工程、積層工程を行って繊維布帛の片面に接着剤層および表皮層が形成された積層体を得た後、別途、表皮層形成工程および接着剤層形成工程を行い、その接着剤層に、上記積層体の繊維布帛側の面を積層する積層工程および剥離工程を行うことにより、繊維布帛の両面に接着剤層および表皮層が形成された繊維・ウレタン樹脂積層物が製造できる。
以下に、本発明の実施例および比較例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものでない。なお、例中、特に記載のない限り、「%」は質量%を示し、「部」は質量部を示す。
以下に、実施例および比較例で用いた評価方法を示す。
1.カーテンの防炎性評価
試料として、それぞれの繊維・ウレタン樹脂積層物から無作為に切り取つた縦45cm、横35cmのものを用いて下記の評価を行った。
(1)防炎性能評価
加工上がりの試料(製造後何の処理も行っていない状態のもの(初期))、下記に示す条件に準じて水洗たくを5回行った後の試料(5HL)、下記に示す条件に準じてドライクリーニングを5回行った後の試料(5DC)について、それぞれ3片ずつ、JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナー法)とJIS L 1091 D法(コイル法)にて評価した。
ミクロバーナー法においては、1分加熱、着炎3秒加熱ともに残炎が3秒以内、残塵が5秒以内、炭化面積が30cm以内のものを合格とし、それに達成できないものを不合格とし、3つの試料全てが合格したものを(○)として、1つでも合格しなかったものがあれば(×)とした。
コイル法においては、3つの試料それぞれの接炎回数を測定した。
そして、初期、5HL、5DCの全てにおいて、ミクロバーナー法で○と判定され、かつコイル法において全ての試料の接炎回数が3回以上であったものを合格とし、1つでもそれらの条件を達成できなかったものがあれば不合格と判定した。
なお、初期において不合格と判定されたものについては、5HLおよび5DCの評価は省略した。
下記の水洗たく条件およびドライクリーニング条件は、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)別表第1の2の2に規定する「防炎性能に係る耐洗たく性能の基準」を定めた昭和48年6月1日消防庁告示第11号(最終改正 平成16年5月31日消防庁告示第19号に準拠したものである。
[水洗たく条件]
次の(一)に定める洗たく機等(水洗い洗たく機、脱水機及び乾燥機をいう。以下同じ。)を用い、次の(二)に定める洗たく方法により行った。
(一)洗たく機等
イ:水洗い洗たく機は、図1、2に示す構造の洗たく槽を有するもので、当該洗たく槽内の液温を60℃に保つことができ、かつ、当該洗たく槽の内筒は毎分37回転の速度で正転15秒間、休止3秒間、反転15秒間、休止3秒間の運転を繰り返し行うことができるものであること。図1中、図1(a)は、水洗い洗たく機の洗たく槽1の正面図であり、図1(b)は該洗たく槽1の側面図である。図2は、洗たく槽1の内筒2の側板2aを示す部分拡大図である。洗たく槽1は、内筒2と、該内筒2を収納する外筒3と、洗たく槽1内の水位を測定する水位計4とから概略構成されており、外筒3には、洗たく槽1内へ給水するための給水管5と、洗たく槽1内の水を排出する排水管6が取り付けられている。内筒2の側板2aには、図2に示すように所定の間隔で複数の孔2bが設けられており、該孔2bから、内筒2内への水の供給と排出ができるようになっている。また、内筒2の側板2aの一部には、内筒2内に試料を出し入れするための試料挿入口2cが設けられている。
ロ:脱水機は、毎分1200回転の速度で運転することができる遠心脱水機であること。
ハ:乾燥機は、60℃の温度を保つことができる構造のものであること。
(二)洗たく方法
イ:温水(日本工業規格(工業標準化法(昭和24年法律第185号)第17条第1項の日本工業規格をいう。以下同じ。)K0101(工業用水試験方法)に定める全硬度の測定方法により測定した場合に炭酸カルシウム換算濃度が5mg/L以下のものに限る。以下同じ。)
1L当たり日本工業規格K3303(粉末洗たく石けん)に定める無添剤の粉末洗たく石けん1gの割合で混入した液(以下「洗たく液」という。)を、洗たく槽に14cmの深さになるまで入れること。
ロ:洗たく槽に入れる試料は、800g以下の量とすること。この場合において、当該試料の質量が800g未満のときは、800gから当該試料の質量を差し引いた質量の防炎性能を有しない布を併せて入れること。
ハ:洗たくは、洗たく液の温度を60℃に保ち、15分間行うこと。
ニ:すすぎは、3回繰り返し行うものとし、それぞれ1回のすすぎは、イに定める量と同量の温度40℃の温水で5分間行うこと。
ホ:脱水は、2分間行うこと。
ヘ:乾燥は、60℃の温度で行うこと。
上記イ〜へを1回の水洗たくとし、合計5回実施した。
[ドライクリーニング条件]
次の(一)に定めるドライクリーニング機等(ドライクリーニング機、脱液機及び乾燥機をいう。以下同じ。)を用い、次の(二)に定める洗たく方法により行った。
(一)ドライクリーニング機等
イ:ドライクリーニング機は、図3に示す構造の洗たく槽7を有するもので、毎分49回転の速度で運転を行うことができるものであること。図3(a)は洗たく槽7の側面図であり、図3(b)は、洗たく槽7の上面図であって、その中心部分から回転軸9の一端方向の半分を示す部分上面図である。図3に示すように、洗たく槽7は、方形の支持枠8と、支持枠8に取り付けられた回転軸9と、支持枠8内に収納された円筒形の内筒10とから概略構成される。内筒10は、試料を出し入れするための試料挿入口10aを有しており、該試料挿入口10は、円形の蓋11により覆われている。
ロ:脱液機及び乾燥機は、上記[水洗たく条件]の(一)のロ及びハに定めるところによること。
(二)洗たく方法
イ:日本工業規格K1521(パークロロエチレン)に定めるパークロロエチレン100mL当たり日本工業規格L0860(ドライクリーニングに対する染色堅ろう度試験方法)に定める非イオン界面活性剤1g、スルフォン琥珀〔こはく〕酸ジオクチルエステルで純分60%以上、アルコール不溶分3.5%以下の陰イオン界面活性剤1g及び水0.1mLの割合で混入した液を洗たく槽に3.78L入れること。
ロ:洗たく槽に入れる試料は、300g以下の量とすること。この場合において、当該試料の質量が300g未満のときは、300gから当該試料の質量を差し引いた質量の防炎性能を有しない布を併せて入れること。
ハ:洗たくは、15分間行うこと。
ニ:脱液及び乾燥は、上記[水洗たく条件]の(二)のホ及びヘに定めるところによること。
上記イ〜ニを1回のドライクリーニングとし、合計5回実施した。
(2)ジャングル試験後評価(経時変化の評価)
タバイエスペック(株)製の恒温恒湿器を用いて、70℃、相対湿度(R.H.)90%にて3週間放置するジャングル試験を行った後の試料について、ジャングル試験後何の処理も行っていない状態の試料(初期)、上記防炎性能評価に示す条件に準じて水洗たくを5回行った後の試料(5HL)、上記防炎性能評価に示す条件に準じてドライクリーニングを5回行った後の試料(5DC)について上記と同様の防炎性能評価を行った。
(3)表面タッチ評価
上記ジャングル試験の前後において、「初期」の試料について、その表面の触感を評価した。
2.カーシートの防炎性(難燃性)評価
試料として、それぞれの繊維・ウレタン樹脂積層物から無作為に切り取つた100mm×356mmのものを用いて下記の評価を行った。
(1)燃焼速度評価
下記の積層物(「初期」および「熱老化試験後」)について、FMVSS302法を用いて燃焼速度を測定した。
なお、防炎性(難燃性)の基準は自動車メーカーによってまちまちであるが、自消性(燃焼速度が0)であれば問題なく合格である。燃焼する場合には、一般的には、例えば燃焼速度が10mm/min以下であれば合格と取り決められている。
・「初期」
加工上がりの試料を、温度21±2℃、R.H.50±5%に保たれた環境条件で少なくとも24時間放置したものを測定した。
・「熱老化試験後」
加工上がりの試料を、温度70℃±2℃の熱風循環恒温槽に336時間放置した後、温度21±2℃、R.H.50±5%に保たれた環境条件で少なくとも24時間放置したものを測定した。
(2)外観・触感評価
熱老化試験前後の試料の外観・触感を評価した。
実施例1
防炎性のポリエステル布帛として下記のものを準備した。ポリエステルのサテン織物で中間層に黒の原着糸を有する遮光性のポリエステル・サテン織物(目付200g/m)を通常の方法により精練し、セットした。
ついで、下記の方法により染色同時防炎加工した。染液として、防炎剤として、レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)の45%水分散品を繊維質量に対して10%、染料としてダイアニックス レッドKBSE(ダイスター社製、分散染料)を繊維質量に対して1%、およびpH調整剤としてカヤクバッファーCDP(日本化薬(株)製)を染液全体に対して1g/L添加したものを用意し、これを染め浴に入れ、該染め浴中で、上記ポリエステル・サテン織物を、2℃/分の速度で昇温し、130℃で50分間保持して、染色同時防炎加工を完了した。
ついで、得られたポリエステル・サテン織物を、下記の組成の処理液を用いて90℃で15分間洗浄した。組成の単位は処理液中の濃度であり、処理液の溶媒は水である。
[処理液]
・ソーダ灰:1.5g/L
・ソーピング剤(非イオン性界面活性剤(リン酸塩および炭酸塩の混合物;固形分濃度10%)):1.5g/L
ついで、上記ポリエステル・サテン織物を120℃で乾燥した後、170℃でセットした。
この防炎加工したポリエステル・サテン織物にウレタン樹脂をラミネートするために、下記の組成の表皮層用ウレタン樹脂組成物および接着剤層用ウレタン樹脂組成物を調合した。
[表皮層用ウレタン樹脂組成物]
・1液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度30%のジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン溶液):100部
・メチルエチルケトン:50部
・ジメチルホルムアミド:50部
・白色顔料(固形分濃度60%のシクロヘキサノン分散液):10部
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・ジエチルホスフィン酸アルミニウム:60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
ついで、離型紙TPD(リンテック(株)製)の上に、表皮層用ウレタン樹脂組成物を0.1mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、100℃で2分間乾燥した。
ついでこの上に、接着剤層用ウレタン樹脂組成物を0.2mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、120℃で1分間乾燥した。
この上に、上記で得た防炎加工したポリエステル・サテン織物を重ねて、荷重200kPaをかけて1秒間プレスした。このものを60℃で24時間エージングし、架橋を完結させて、繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
比較例1
接着剤層用ウレタン樹脂組成物を下記のものに変更した以外は実施例1と同一の手順で繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・テラージュC−60(ブーデンハイム社製、リン含有防炎剤(メラミン被覆ポリリン酸)):60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
比較例2
接着剤層用ウレタン樹脂組成物を下記のものに変更した以外は実施例1と同一の手順で繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・PMP−100(日産化学工業(株)製、リン含有防炎剤(ポリリン酸メラミン)):60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
実施例1、比較例1、比較例2で得られた繊維・ウレタン樹脂積層物について、上記「カーテンの防炎性評価」の(1)の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004870412
上記結果から明らかなように、防炎剤としてジアルキルホスフィン酸のアルミニウム塩を使用した実施例1は、初期、洗たく後、ドライクリーニング後のいずれにおいても優れた防炎性を示した。
一方、防炎剤としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウムを使用した比較例1では洗たくで性能が失われた。
また、防炎剤としてポリリン酸メラミンを用いた比較例2では、初期から性能が未達であった。これは、リン含有率が低いためと推測される。
実施例2
縦糸にカチオン可染ポリエステルを全体の25%打ち込んだドビー柄織物(目付185g/m)を通常の方法により精練し、175℃でセットした。
ついで、上記ドビー柄織物を、下記の方法により染色同時防炎加工した。染液として、防炎剤として、レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)の45%水分散品を繊維質量に対して12%、分散染料としてディスパース イエローPLG(ダイスター社製)を繊維質量に対して1%、カチオン染料としてカヤクリルイエロー3RL−ED(日本化薬(株)製)を繊維質量に対して1%、およびpH調整剤としてカヤクバッファーCDP(日本化薬(株)製)を染液全体に対して1g/L添加したものを用意し、これを染め浴に入れ、該染め浴中で、上記ドビー柄織物を、2℃/分の速度で昇温し、130℃で50分間保持して、染色同時防炎加工を完了した。
ついで、得られたドビー柄織物を、下記の組成の処理液を用いて90℃で15分間洗浄した。組成の単位は処理液中の濃度であり、処理液の溶媒は水である。
[処理液]
・ソーダ灰:1.5g/L
・ソーピング剤(非イオン性界面活性剤(リン酸塩および炭酸塩の混合物;固形分濃度10%)):1.5g/L
ついで、上記ドビー柄織物を120℃で乾燥した後、170℃でセットした。
この防炎処理したドビー柄織物にウレタン樹脂をラミネートするために、下記の組成の表皮層用ウレタン樹脂組成物および接着剤層用ウレタン樹脂組成物を調合した。
[表皮用ウレタン樹脂組成物]
・1液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度30%のジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン溶液):100部
・メチルエチルケトン:50部
・ジメチルホルムアミド:50部
・白色顔料(固形分濃度60%のシクロヘキサノン分散液):10部
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・ジエチルホスフィン酸アルミニウム:60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
離型紙TPD(リンテック(株)製)の上に、表皮層用ウレタン樹脂組成物を0.1mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、100℃で2分間乾燥した。
ついでこの上に、接着剤層用ウレタン樹脂配合液を0.2mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、120℃で1分間乾燥した。
この上に、防炎処理したポリエステル・サテン織物を重ねて、荷重200kPaをかけて1秒間プレスした。このものを60℃で24時間エージングして、架橋を完結させて、繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
比較例3
接着剤層用ウレタン樹脂組成物を下記のものに変更した以外は実施例2と同一の手順で繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
[接着剤用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・ファイロールフレックスRDP(アクゾノーベル社製、リン含有防炎剤(縮合リン酸エステル)):60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
比較例4
接着剤層用ウレタン樹脂組成物を下記のものに変更した以外は実施例2と同一の手順で繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
[接着剤用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・フェノキシフォスファゼンRP−100(大塚化学(株)製、リン含有防炎剤(ホスファゼン誘導体)):60部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
得られた積層物に含まれる防炎剤は22g/mであった。
実施例2、比較例3、比較例4で得られた繊維・ウレタン樹脂積層物について、上記「カーテンの防炎性評価」の(1)〜(3)の評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 0004870412
実施例3
本実施例では、表皮用ウレタン樹脂組成物と接着剤剤用ウレタン樹脂組成物の両方にジアルキルホスフィン酸塩防炎剤を添加した。
実施例2と同一のカチオン可染ポリエステルを全体の25%打ち込んだドビー柄織物を同一の手順で染色同時防炎加工した。
このドビー柄織物にウレタン樹脂をラミネートするために、下記の組成の表皮層用ウレタン樹脂組成物および接着剤用ウレタン樹脂組成物を調合した。
[表皮層用ウレタン樹脂組成物]
・1液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度30%のジメチルホルムアミド/メチルエチルケトン溶液):100部
・メチルエチルケトン:50部
・ジメチルホルムアミド:50部
・ジエチルホスフィン酸アルミニウム:20部
・白色顔料(固形分濃度60%のシクロヘキサノン分散液)):10部
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(エステル系ウレタン樹脂;固形分濃度50%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:85部
・ジエチルホスフィン酸アルミニウム:40部
・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):20部
・イソシアネート硬化剤(トルエンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):9部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):0.2部
離型紙TPD(リンテック(株)製)の上に、表皮層用ウレタン樹脂組成物を0.1mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、100℃で2分間乾燥した。
ついでこの上に、接着剤用ウレタン樹脂組成物を0.2mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、120℃で1分間乾燥した。
この上に、防炎処理したドビー柄織物を重ねて、荷重200kPaをかけて1秒間プレスした。このものを60℃で24時間エージングして、架橋を完結させて、繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
得られた積層物に含まれる防炎剤は、表皮層、接着剤層あわせて24g/mであった。
得られた積層物について、上記「カーテンの防炎性評価」の(1)の評価を行った。その結果、ミクロバーナー法、コイル法の両方の試験において、初期、5HL、5DC共に基準に合格した。
実施例4
ポリエステル100%からなるトリコット(目付250g/m)を通常の方法により精練し、170℃でセットした。
ついで、上記トリコットを、下記の方法により染色同時防炎(難燃)加工した。染液として、防炎剤(難燃剤)として、レゾルシノールビス(ジフェニルフォスフェート)の45%水分散品を、繊維質量に対して10%、染料としてダイアニックス タキシード ブラックF(ダイスター社製、分散染料)を繊維質量に対して15%、pH調節剤としてカヤクバッファーCDP(日本化薬(株)製)を染液全体に対して1g/L添加したものを用意し、これを染め浴に入れ、該染め浴中で、上記トリコットを、2℃/分の速度で昇温し、130℃で50分間保持して、染色同時防炎加工を完了した。
ついで、得られたトリコットを、下記の組成の処理液を用いて90℃で15分間洗浄した。組成の単位は処理液中の濃度であり、処理液の溶媒は水である。
[処理液]
・ソーダ灰:1.5g/L
・ソーピング剤(非イオン性界面活性剤(リン酸塩および炭酸塩の混合物;固形分濃度10%)):1.5g/L
ついで、上記トリコットを120℃で乾燥した後、170℃でセットした。
この防炎処理したトリコットにウレタン樹脂をラミネートするために、下記の組成の表皮層用ウレタン樹脂組成物および接着剤層用ウレタン樹脂組成物を調合した。
[表皮層用ウレタン樹脂組成物]
・1液型ウレタン樹脂(ポリカーボネート系ウレタン樹脂;固形分濃度20%のジメチルホルムアミド溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:10部
・イソシアネート架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):2部

・黒色顔料(固形分濃度10%のシクロヘキサン分散液):10部
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(ポリカーボネート系ウレタン樹脂;固形分濃度60%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:30部
・ジエチルホスフィン酸アルミニウム:10部
・イソシアネート架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):12部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):5部
離型紙AR120M(旭ロール製)の上に、表皮層用ウレタン樹脂組成物を0.18mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布し、120℃で2分間乾燥した。
この上に接着剤層用ウレタン樹脂組成物を0.2mmの厚さ(乾燥厚さ)となるよう塗布した。
120℃で2分間乾燥した後、防炎処理したトリコットを載せ、温度120℃のロールを用いて、荷重200kPaで貼り合せた。このものを60℃で48時間エージングして反応を完結させた。
ついで離型紙を剥離することにより、防炎性の繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
得られた積層物に含まれる防炎剤は13g/mであった。
得られた積層物について、上記「カーシートの防炎性(難燃性)評価」を行った。
その結果、初期の燃焼速度は0で、自己消化性であった。
また、熱老化試験後においても、燃焼速度は0で、自己消化性を保っていた。
さらに、熱老化試験後の外観の変化はなく、触感も、試験前後ともドライな触感であった。
かかる積層物は、カーシート用途に好適に使用できる。
比較例5
接着剤層用ウレタン樹脂組成物を下記のものに変更した以外は実施例4と同一の手順で繊維・ウレタン樹脂積層物を得た。
[接着剤層用ウレタン樹脂組成物]
・2液型ウレタン樹脂(ポリカーボネート系ウレタン樹脂;固形分濃度60%のトルエン/メチルエチルケトン溶液):100部
・ジメチルホルムアミド:30部
・SANKO−HCA−HQ(三光(株)製、リン含有防炎剤(難燃剤)(環状リン化合物))):10部
・イソシアネート架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体;固形分濃度75%の酢酸エチル溶液):12部
・イソシアネート硬化触媒(アミン系化合物;固形分濃度8%のメチルエチルケトン溶液):5部
得られた積層物に含まれる防炎剤は13g/mであった。
得られた積層物について、上記「カーシートの防炎性(難燃性)評価」を行った。
その結果、初期の燃焼速度は0で、自己消化性であった。
また、熱老化試験後においても、燃焼速度は0で、自己消化性を保っていた。
しかしながら、熱老化試験後は、防炎剤がブリードアウトして外観が白化し、触感も、タック感のある状態に変化していた。
本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、ハロゲン系の防炎剤を用いなくとも優れた防炎性を示し、その防炎性も経時変化が少なく耐久性に優れ、かつ外観・触感も良好なものである。そのため、本発明の繊維・ウレタン樹脂積層物は、防炎性能試験基準に合格するカーテンとして、公共施設、事業所、家庭を問わずに使用できる合成皮革製の防炎性カーテンに使用できる。また、難燃性(防炎性)が要求される種々の物品、たとえばカーシートや車のカバー、軒だしテント類などにも使用できる。
水洗い洗たく機の洗たく槽1の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。 水洗い洗たく機の洗たく槽1の内筒2の側板2aを示す部分拡大図である。 ドライクリーニング機の洗たく槽7の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は部分上面図である。
符号の説明
1…水洗い洗たく機の洗たく槽、2…内筒、2a…側板、2b…孔、2c…試料挿入口、3…外筒、4…水位計、5…給水管、6…排水管、7…ドライクリーニング機の洗たく槽、8…支持枠、9…回転軸

Claims (5)

  1. 防炎処理されたポリエステル繊維布帛の少なくとも片面に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなる防炎剤を含有するウレタン樹脂製の接着剤層と、該接着剤層上に設けられたウレタン樹脂製の表皮層とを有し、前記接着剤層が含有する防炎剤が前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩のみであり、前記接着剤層中の前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下であることを特徴とする繊維・ウレタン樹脂積層物。
  2. 前記接着剤層を構成するウレタン樹脂が、3次元に架橋した架橋型ウレタン樹脂である、請求項1に記載の繊維・ウレタン樹脂積層物。
  3. 単位面積あたりの前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量が、前記接着剤層と前記表皮層とを合わせて、20g/m以上である、請求項1または2に記載の繊維・ウレタン樹脂積層物。
  4. 離型基材上に、1液型ウレタン樹脂を含有する表皮層形成用塗工液を塗布し、乾燥して表皮層を形成する工程と、
    前記表皮層上に、ジアルキルホスフィン酸の金属塩からなる防炎剤と2液型ウレタン樹脂とを含有する接着剤層形成用塗工液を塗布して接着剤層を形成する工程と、
    前記接着剤層上に防炎処理されたポリエステル繊維布帛を積層し、前記接着剤層中の前記2液型ウレタン樹脂を硬化させる工程と、
    前記離型基材を剥離する工程とを有し、
    前記接着剤層が含有する防炎剤が前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩のみであり、前記接着剤層中の前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の割合が60質量%以下であることを特徴とする繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法。
  5. 単位面積あたりの前記ジアルキルホスフィン酸の金属塩の含有量が、前記接着剤層と前記表皮層とを合わせて、20g/m以上である、請求項に記載の繊維・ウレタン樹脂積層物の製造方法。
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