JP2004107812A - 建築養生メッシュシート及びその製造方法 - Google Patents

建築養生メッシュシート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐洗濯性、防炎性、機械的強度に優れた建築養生メッシュシートの提供。
【解決手段】粗目織編物からなる基布の繊維糸条の少なくとも露出外周面を被覆している難燃樹脂被覆層を有し、この被覆層が活性水素含有化合物及び/又は重合体と、イソシアネート化合物及び/又はウレトジオン化合物とを含むポリウレタン前駆体と、N原子含有有機化合物及び/又はP原子含有有機化合物を含む難燃性付与剤とを含み、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する組成物の熱硬化反応生成物を含み、難燃性付与剤の、被覆層に対する含有率が10〜50質量%である。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビル建設現場、及びビル解体工事現場などの張囲いシートに使用される建築メッシュシート及びその製造方法に関する。さらに詳しく説明するならば、本発明は、主に建設現場の張囲いシートに長期間使用でき、使用後には洗濯して再利用可能で、かつ、不慮の火災に遭遇した場合には燃焼してもハロゲン化水素ガスを発生することがない非塩ビ製の建築養生メッシュシート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ塩化ビニル樹脂は、柔軟かつ強靱で、耐久性、加工性、コスト性に優れているため、広い用途で汎用的に使用されている。中でもポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物は液状であるため加工の応用範囲が広く、例えばコーティングやディッピングに適している。特にビル建設現場、及びビル解体工事現場などの張囲いに使用されるメッシュシートは、粗目ポリエステル繊維織物をポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物でディッピングし、ポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物をゲル化して得られる産業資材である。このメッシュシートは通気性と採光性を有し、また消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(引張強さ×伸び、引張強さ、はとめ部強度、鋼管落下による耐貫通試験)とを満足することにより、建設現場の張囲い用に最も多く使用されているメッシュ養生シートである。
【0003】
これらのメッシュシートは長期間張囲いに使用されることによって煤塵汚れが付着して汚れると同時に、建築物外壁のスプレー塗装時に飛散した塗料が付着するなどして汚れを伴うことが多いものである。しかしこのことはメッシュシート自体の性能には特に影響がないため、建築物完成後に取り外されたメッシュシートは業者によってアルカリ洗剤などによる特別な洗濯が行われた後、次の建設現場の張囲い用に再使用されている。このようにして2〜3回再使用されたメッシュシートは徐々に強度劣化を伴うことが避けられないため、最後には廃棄処分される。しかし、ポリ塩化ビニル樹脂製品の安易な焼却処理は、ダイオキシン発生の懸念があるため好ましい事ではなく、また、埋め立て処理の場合には、軟質ポリ塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤や金属安定剤などが地下水系に拡散して混入する心配があるため、最近のプラスチック製品には廃棄処分の際、できるだけ環境的負荷が少ないもの、リサイクルが容易であるものが望まれるようになってきた。
【0004】
このような社会的要請に対して、最近、ビル建設現場の張囲い用メッシュシートにおいても、ポリ塩化ビニル樹脂を使わないものが望まれるようになり、この要望に応えるために製造業者は、従来のメッシュシートのディッピング装置が使用でき、しかもポリ塩化ビニル樹脂ペースト組成物と同様のディッピング性を有する樹脂溶液を検討した結果、水系樹脂(例えば、樹脂エマルジョンや樹脂ディスパージョン)に難燃剤を添加した組成物による非塩ビ製の防炎メッシュシートが提案され、一部の用途で採用されている。これらは例えば、i).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献1参照)、ii).エチレン−酢酸ビニル共重合体水性ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献2参照)、iii).エチレン−酢酸ビニル共重合体水性ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物、及びリン酸エステルを配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献3参照)、iv).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンにポリ燐酸アンモニウム化合物と金属水酸化物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献4参照)、v).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンに赤燐と硫酸メラミン、及び金属水酸化物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献5参照)、vi).ポリウレタン樹脂水性ディスパージョンに非ハロゲン有機リン酸エステルを配合してなり、これにオキサゾリン基含有水系架橋剤を含む難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(例えば特許文献6参照)などのメッシュシートである。
【0005】
しかしながら前記i)〜vi)のメッシュシートでは、水性ディスパージョンを使用しているために本質的に耐水性に劣り、再使用を目的とするアルカリ洗剤による洗濯時に樹脂被覆層が膨潤し、これが擦れ合うことによって樹脂被覆層が容易に脱落してしまい、再使用できない欠点がある。また、中でも難燃剤成分に赤燐を使用しなければならない上記i)〜iii)、及びv)のメッシュシートでは、赤燐自体の有する赤褐色の影響により自由な着色ができない問題と、屋外使用時に太陽光で赤燐の色が脱色してメッシュシートの色相が変化する問題と、さらに降雨により赤燐が加水分解してしまう問題などがあり、総じて耐久性に劣るものである。これに対しvi)のメッシュシートは架橋剤を併用して被覆樹脂の耐水性をある程度改良したものであるが、これでもアルカリ洗剤による洗濯に耐えるレベルには到っておらず、特に難燃剤に用いた非ハロゲン有機リン酸エステルが容易に加水分解されることは再使用時の防炎性の観点からは大きな問題となる。
【0006】
また一方、2官能基リン化合物を共重合した原着難燃ポリエステル繊維を用いた横絽組織の織物が建築工事用メッシュシートに提案されている(例えば特許文献7、特許文献8、特許文献9など参照)。確かに、これらのメッシュシートでは特別な横絽組織によって構成されるため、洗濯しても目ズレせず、またしても軽量なものであるが、しかし、これらのメッシュシートでは目ズレを起こさせないために頑強な横絽組織を必要とするために、従来の建築工事用の張囲いシートに比べて織りの空隙部が極端に小さくなり、このため通気性と採光性が不十分になるという欠点がある。また、横絽組織のメッシュシートの通気性と採光性を改良するために織りの空隙部を大きく設計することも可能ではあるが、しかしこれでは目ズレを発生し易くなるばかりでなく、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となるため、上記原着難燃ポリエステル繊維を用いた横絽組織のメッシュシートでは通気性と採光性が劣るのは仕方のないことであった。また、上記メッシュシートは繊維が剥き出しで使用されるため建築現場では擦過傷が付きやすく、これが原因となって基準強度を満足できなくしたり、鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。また、例えば繊維に紫外線吸収剤を含ませても長期的には太陽光による光劣化は免れず、また、アルカリ洗濯時には加水分解の危惧も大きい。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−036602号公報、第2〜5頁
【特許文献2】
特開平11−117175号公報、第2〜6頁
【特許文献3】
特開平11−172806号公報、第2〜6頁
【特許文献4】
特開2000−063841号公報、第2〜6頁
【特許文献5】
特開2000−178559号公報、第2〜6頁
【特許文献6】
特開2002−069293号公報、第2〜5頁
【特許文献7】
特開平8−109541号公報、第2〜7頁、第1〜3図
【特許文献8】
特開平8−269850号公報、第2〜6頁
【特許文献9】
特開平10−169205号公報、第2〜6頁
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題であった建設現場の張囲い用非塩ビ製建築養生メッシュシートの耐洗濯性の問題を解決し、洗濯再使用可能で、再使用においても消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能を満足し、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能を維持可能な非塩ビ製建築養生メッシュシートを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく研究、検討を重ねた結果、特定の難燃性付与剤を特定量含み、特定の液粘度を有するポリウレタン前駆体を、粗目織編物全面に含浸被覆形成し、このポリウレタン前駆体組成物を熱硬化反応によって難燃化ポリウレタン系樹脂に転化し、これを難燃樹脂被覆層とすることによって得られるメッシュシートが優れた耐久性を有し、洗濯して再使用可能であり、再使用においても消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能を満足できることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の建築養生メッシュシートは、繊維糸条からなり、その交錯により形成された糸条間空隙を有する粗目織編物と、この粗目織編物の前記繊維糸条の少なくとも露出している表面の全面に、含浸又は被覆により形成された難燃樹脂被覆層とを含み、前記難燃樹脂被覆層が、ポリウレタン前駆体と難燃性付与剤との組成物の熱硬化反応により形成されたものであり、
(A)前記ポリウレタン前駆体が(a)活性水素を有する単量体化合物(a−1)及び重合体(a−2)の少なくとも1種と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及びウレトジオン基を有する化合物(b−2)の少なくとも1種とを含む混合物であり、
(B)前記難燃性付与剤が窒素原子を含む有機化合物(c−1)及びリン原子を有する有機化合物(c−2)の少なくとも1種を含み、
(C)前記ポリウレタン前駆体と、前記難燃性付与剤との組成物が0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有するものであり、
(D)前記難燃樹脂被覆層の全質量に対する前記難燃性付与剤の含有量が10〜50質量%である、
ことを特徴とするものである。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記ポリウレタン前駆体用イソシアネート基含有化合物(b−1)が、ブロックイソシアネート基を有する化合物から選ばれることが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記窒素原子を含有する有機化合物(c−1)が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれることが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記リン原子を含有する有機化合物(c−2)が、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、及びポリリン酸アンモニウムから選ばれることが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記粗目織編物が、前記繊維糸条の2〜4方向の交錯によって織編された、2軸織編物、3軸織編物、4軸織編物から選ばれることが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記粗目織編物が、粗目織編物の表面積に対し5〜65%の合計空隙面積を有することが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートにおいて前記粗目織編物が、ホスホン酸化合物によって難燃下処理されたものであることが好ましい。
本発明の建築養生メッシュシートの製造方法は、繊維糸条からなり、その交錯により形成された糸条間隙を有する粗目織編物を、
(A)(a)活性水素を有する単量体化合物(a−1)及び重合体(a−2)の少なくとも1種と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及びウレトジオン基を有する化合物(b−2)の少なくとも1種とを含む混合物からなるポリウレタン前駆体、及び
(B)窒素原子を含む有機化合物(c−1)及び、リン原子を有する有機化合物(c−2)の少なくとも1種を含む難燃性付与剤を含み、
(C)かつ0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間の液粘度を有する、
難燃性ポリウレタン前駆体組成物による含浸又は被覆処理に供し、
前記粗目織編物の前記繊維糸条の少なくとも露出している表面の全面を含浸又は被覆している前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物に加熱処理を施して、これを難燃性ポリウレタン樹脂組成物に変成して難燃樹脂被覆層を形成し、このとき、前記難燃樹脂被覆層の全質量に対する前記難燃性付与剤の含有量を10〜50質量%に調整することを特徴とするものである。
本発明の建築養生メッシュシートの製造方法において、前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物が、希釈溶剤を含まなくてもよい。
本発明の建築養生メッシュシートの製造方法において、前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物が、希釈溶剤を含んでいてもよい。
本発明の建築養生メッシュシートの製造方法において、前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物の含浸又は被覆が20〜50℃において行われ、前記加熱処理が100℃以上の温度において行われることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の建築養生メッシュシートは、繊維糸条の交錯によって形成された糸条間空隙を有する粗目織編物と、この粗目織編物全面に含浸被覆形成された難燃樹脂被覆層との複合体であって、前記難燃樹脂被覆層が難燃性付与剤含有ポリウレタン前駆体組成物の熱硬化反応によって難燃化ポリウレタン系樹脂に転化されたもので形成され、(A)前記ポリウレタン前駆体組成物が、(a)活性水素基を有する化合物(a−1)及び/または樹脂(a−2)と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及び/又はウレトジオン基を含有する化合物(b−2)とを含み、(B)難燃性付与剤が窒素原子を有する有機化合物(c−1)及び/又はリン原子を含有する有機化合物(c−2)を含み、かつ液粘度0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)を有し、前記難燃樹脂被覆層が10〜50質量%の前記難燃性付与剤を含有するものである。
【0012】
また、本発明の建築養生メッシュシートの製造方法は、繊維糸条からなり、その交錯により形成された糸条間隙を有する粗目織編物を、
(A)(a)活性水素を有する単量体化合物(a−1)及び重合体(a−2)の少なくとも1種と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及びウレトジオン基を有する化合物(b−2)の少なくとも1種とを含む混合物からなるポリウレタン前駆体、及び
(B)窒素原子を含む有機化合物(c−1)及び、リン原子を有する有機化合物(c−2)の少なくとも1種を含む難燃性付与剤を含み、
(C)かつ0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する、
難燃性ポリウレタン前駆体組成物による含浸又は被覆処理に供し、
前記粗目織編物の前記繊維糸条の少なくとも露出している表面の全面を含浸又は被覆している前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物に加熱処理を施して、これを難燃性ポリウレタン樹脂組成物に変成して難燃樹脂被覆層を形成し、このとき、前記難燃樹脂被覆層の全質量に対する前記難燃性付与剤の含有量を10〜50質量%に調整することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の建築養生メッシュシートの難燃樹脂被覆層に用いるポリウレタン前駆体組成物は、分子内に活性水素基を含有する単量体化合物(a−1)、または分子内に活性水素基を含有する重合体(a−2)と、ポリイソシアネート化合物成分(b)との混合物であり、ポリイソシアネート化合物成分(b)は、分子内にイソシアネート基を含有する化合物(b−1)、及び分子内にウレトジオン基を有する化合物(b−2)から選ばれイソシアネート基はブロックイソシアネート基であることが好ましい。このうち成分(a−1)には、数平均分子量62〜500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール、数平均分子量500〜30000の高分子ポリオールなどが使用できる。
【0014】
このうち低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、トリメチルプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、クオドロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのカチオン性基非含有低分子ポリオール類、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基含有低分子ポリオール類、カルボン酸基含有低分子ポリオール類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩、2−スルホ−1,3−プロパンジオール、2−スルホ−1,4−ブタンジオールなどのスルホン酸基含有低分子ポリオール類、スルホン酸基含有低分子ポリオール類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩などが挙げられるが、特にこれらの化合物は側鎖を有するものがポリウレタン前駆体組成物の相溶性、及び粘度安定性の観点において好ましい。
【0015】
また低分子ポリアミンとしてはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、ピペラジンなどが挙げられ、また低分子アミノアルコールとしてはモノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどのモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンなどが挙げられる。
【0016】
また重合体化合物(a−2)用高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリアミドエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられる。
【0017】
このうちポリエステルポリオールは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、ハイドロムコン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのカチオン性基非含有ポリカルボン酸類、5−スルホ−イソフタル酸などのスルホン酸基含有ポリカルボン酸類やこのスルホン酸基含有ポリカルボン酸類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩類、これらの酸無水物、酸ハライド、ジアルキルエステルなどの1種類以上と、前述の低分子ポリオールとの反応によって得られるものが挙げられ、さらにポリエステルポリオールには、前述の低分子ポリオールを開始剤として、ε−カプロラクトン、アルキル基置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル基置換δ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合させて得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。また更に低分子ポリオールの一部に替えてヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミンなどの低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールを用いて得られるポリアミドエステルポリオールが挙げられる。またポリカーボネートポリオールとしては、前述の低分子ポリオールの1種以上と、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとの脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものが挙げられる。
【0018】
またポリエーテルポリオールとしては、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのエポキサイドや環状エーテルの単体または混合物を開環重合させて得られるものが挙げられる。
またポリエーテルエステルポリオールとしては、前述のポリエーテルポリオールと前述のポリカルボン酸類などから得られるコポリオールなどが挙げられる。また、前述のポリエステルやポリカーボネートと、エポキサイドや環状エーテルとの反応によって得られるものなどが挙げられる。
【0019】
またポリオレフィンポリオールとしては、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、及びこれらの塩素化物などが挙げられる。またフッ素ポリオールとしては、例えば、特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報に開示されているようなフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステルなどの共重合体である。また、数平均分子量が500以上で、かつ、1分子中に活性水素基を1個以上有する化合物であれば、ダイマー酸系ポリオール、水素添加ダイマー酸系ポリオールなどであっても良い。以上に説明した(a−1)成分は特に1種のみに限定されるものではない。
【0020】
また、重合体化合物(a−2)は、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸で変性したアルキッド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの活性水素基含有樹脂が包含されて、特にアクリル樹脂(アクリルポリオール)は、それから得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度、及び耐洗濯性の観点において好ましい。(a−2)成分に用いるアクリル樹脂(アクリルポリオール)としては、1分子中に1個以上の活性水素基を有する重合性モノマーの単独重合体または、2種以上のモノマーを共重合して得られる共重合体で、樹脂分水酸基価が10〜300mgKOH/gのものである。これらは例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル酸エステル類、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有メタアクリル酸エステル類、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタアクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタアクリル酸モノエステルなどの多価活性水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類をモノマーとする単独重合体または、これら2種以上のモノマーの共重合による共重合体である。また、これらにはさらにアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸グリシジルなどのメタアクリル酸エステル類などの活性水素基非含有化合物を共重合したアクリル樹脂(アクリルポリオール)であっても良く、これらには更に必要に応じて、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、及びスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどの共重合性モノマーと共重合したアクリル系樹脂(アクリルポリオール)であっても良い。以上に説明した(a−2)成分は特に1種のみに限定されるものではない。
【0021】
分子内にイソシアネート基を含有する化合物成分(b−1)としては、ポリイソシアネート化合物に、水、ポリカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコールなどの活性水素基含有化合物を反応させてウレア化、ウレタン化、アミド化させて得られたイソシアネート基含有変性体、またはこれらの反応と同時あるいは反応後にイソシアネート基をウレトジオン結合、またはカルボジイミド結合によって2量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をイソシアヌレート結合によって3量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をウレトンイミン結合によって高重合化したイソシアネート基含有変性体など、及び、活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、あるいはこれとイソシアヌレート・ウレタン変性イソシアネートとの混合物なども好ましく使用できる。また、これらのイソシアネート基が後述のブロック化剤で保護されているものがブロックイソシアネート基である。特に本発明に用いる(b−1)成分のうち、得られるポリウレタン前駆体の液状要件の観点から、ブロックイソシアネート化合物としてはヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)から誘導される構成単位を少なくとも一部に有するものが好ましい。また、(b−1)成分は、ポリイソシアネート化合物(変性体)とブロック化剤との公知の反応によって得られるものであることが好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネートなどが挙げられるが、得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度、及び耐洗濯性の観点において特にイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)、ビュレット変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート(特にHMDI系)などが好ましい。これらのブロックイソシアネート化合物の有効イソシアネート基含有量は、ブロックイソシアネート化合物の固形分100質量換算で5.0〜20質量%、特に7.0〜18質量%であるものが得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度、及び耐洗濯性の観点において好ましい。
【0022】
また、ポリイソシアネート化合物(b)は合成時にヒドロキシル化合物によって変性されたものであっても良い。ヒドロキシル化合物としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノールなどのモノヒドロキシル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジヒドロキシル化合物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子多価アルコール、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類などの高分子量多価アルコール類などである。またこれらのイソシアネート化合物は、脂肪族、または脂肪族(芳香族の水添加物を包含する。)から誘導されるものが本発明に使用するポリウレタン前駆体の液状要件の観点、及び得られるメッシュシートの耐光性の観点において好ましく、脂肪族ジイソシアネートとしては炭素数4〜24、好ましくは6〜12の化合物、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜24、好ましくは8〜16の化合物が使用でき、これらは例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。上記説明の(B−1)成分は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じて芳香族ジイソシアネートを適量併用することもできる。
【0023】
(b−1)成分においてイソシアネート基を保護するブロック化剤としては、例えば、アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物などが挙げられ、このうちアルコール系ブロック化剤として具体的に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどが用いられ、またフェノール系ブロック化剤として具体的に、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステルなどが用いられ、また活性メチレン系ブロック化剤として具体的に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどが用いられ、またメルカプタン系ブロック化剤として具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどが用いられ、また酸アミド系ブロック化剤として具体的に、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどが用いられ、また酸イミド系ブロック化剤として具体的に、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどが用いられ、またイミダゾール系ブロック化剤として具体的に、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどが用いられ、また尿素系ブロック化剤として具体的に、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などが用いられ、またオキシム系ブロック化剤として具体的に、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどが用いられ、またアミン系ブロック化剤として具体的に、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾールなどが用いられ、またイミン系ブロック化剤として具体的に、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどが用いられ、またピリジン系ブロック化剤として具体的に、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンなどが用いられ、またピラゾール系ブロック化剤としては具体的に、3,5−ジメチルピラゾールが用いられる。このうち特にオキシム系、活性メチレン系、フェノール系、ピラゾール系のブロック化剤が好ましく使用でき、特にオキシム系の中では、好ましくはアセトオキシム、メチルエチルケトオキシムが用いられ、ピラゾール系の中では、3,5−ジメチルピラゾールが好ましく使用できる。ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤との反応は溶剤の存在の有無に係わらず行うことができ、このブロック化反応には錫、亜鉛、鉛などの有機金属塩、及び3級アミンなどを触媒として用いることもできる。またこのブロック化反応は0〜100℃、特に20〜80℃の条件下で行うことが好ましい。反応温度が100℃を越えると副反応を生じてブロック化剤が正常に機能しなくなることがあり、また0℃を下回ると反応速度が小さくなりブロック化剤が正常に付加しなくなることがある。また、ブロック化剤はブロックイソシアネート1当量当たり、0.15〜3.0当量、好ましくは0.2〜2.0当量添加される。添加量が0.15当量よりも少ないと、得られるポリウレタン前駆体の液粘度安定性に劣り、また3.0当量を越えると熱硬化時に硬化不良を起こすことがある。
【0024】
本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物の熱硬化反応による難燃化樹脂被覆層への転化において、ブロックイソシアネート化合物成分(b−1)のブロック化剤を解離させ、イソシアネート基を効率的に再生する目的と、活性水素基含有化合物(a)と再生イソシアネート基との反応を促進する目的で触媒を併用することが好ましい。この触媒としてはジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなどの有機錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、などのアミン系触媒、これらのアミン系触媒のボラン塩、フェノール塩、オクチル酸塩、炭酸塩などのアミン塩系触媒、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マグネシウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸金属塩系触媒、トリエチルフォスフィン、トリベンジルフォスフィンなどのリン系触媒、ナトリウムメトキシドなどのアルコキシド系触媒が使用できる。触媒の使用は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じて2種以上併用しても良い。また、触媒の添加量は、(a)と(b)の総和量に対して1.0質量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%である。触媒の添加量が1.0質量%を越えると効果に差が観られないだけでなく、ポリウレタン前駆体組成物の液粘度に増粘を生じたり、あるいは液の保存時にゲル化を起こすことがあり好ましくない。これらの触媒はメッシュシートの製造時、ポリウレタン前駆体に適量添加して使用することが好ましく、必要に応じて触媒を前述の有機溶剤、または可塑剤などで任意濃度に希釈調整したものを使用することもできる。
【0025】
本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物において、分子内に活性水素基を含有する化合物成分(a):(a−1及び/又はa−2)と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(b−1)との混合比に特に限定はないが、(a)に含まれる活性水素基と(b−1)に含まれる有効イソシアネート基とのモル比が1:9〜9:1、特に2:8〜8:2に設定されることが得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度と耐洗濯性、及び加工性の観点において好ましい。この範囲外では得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度と耐洗濯性に劣ることがある。
【0026】
分子内にウレトジオン基を有する化合物成分(b−2)としては、炭素数4〜24、好ましくは6〜12の脂肪族ジイソシアネート、炭素数8〜24、好ましくは8〜16の脂環族ジイソシアネート(芳香族の水添加物を包含する。)のウレトジオン化2量体、またはポリウレトジオン体などが好ましく使用でき、これらは例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのウレトジオン化2量体、またはポリウレトジオン体(イソシアヌレート3量体を包含する。)である。これらの(b−2)化合物は、例えば、トリエチルホスフィン、ジブチルエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリアミルホスフィン、トリベンジルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、あるいはピリジン類などのウレトジオン化触媒の存在下、0〜90℃の反応温度で製造することができる。この生成反応は溶媒の不存在下で実施してもよく、また、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤などの有機溶剤、及び可塑剤などの溶媒の存在下などで実施することもできる。上記説明の(b−2)成分は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じてウレトジオン化2量体とポリウレトジオン体との混合物、または他のイソシアネート成分との混合物であってもよい。
【0027】
本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物は、分子内に活性水素基を含有する化合物成分(a):(a−1及び/又はa−2)と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(b−2)とを、イソシアネート基に対するウレトジオン基の当量比で1.0を超える活性水素基過剰条件で反応させて得られ、かつ、活性水素基に対するウレトジオン基の当量比が、0.25〜1.0、好ましくは0.35〜0.75の範囲の活性水素基過剰組成物である。この当量比が、0.25未満であると、鎖延長効果と架橋密度が不足となり、得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度と耐洗濯性が不十分となることがある。また、この当量比が1.0を超えると、ポリウレタン前駆体組成物の貯蔵時にゲル化を起こすことがある。また、特にポリウレタン前駆体組成物に(b−2)化合物を用いる場合には、ウレトジオン基を開環させる触媒を、ポリウレタン前駆体組成物100質量部に対して0.1〜5.0質量部、特に0.3〜3.0質量部含むことが熱硬化反応による難燃化ポリウレタン系樹脂への転化反応の観点において好ましい。ウレトジオン基開環触媒の添加量が0.1質量部未満だと、ウレトジオン基の開環反応が十分に促進されず得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層の強度と耐洗濯性が不十分となることがある。また、開環触媒の添加量が5.0質量部を超えても、開環促進は頭打ちとなり、寧ろ得られるメッシュシートの難燃樹脂被覆層に残留する成分として、強度と耐洗濯性などに悪い影響を及ぼすことがある。これらの開環触媒としては具体的に、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)及び、DBNの脂肪酸塩、またはDBNのフェノール塩などである。脂肪酸としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸類、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸類の他、イソアルキル脂肪酸類、オキシ脂肪酸類など特に制限されることなく使用できる。また、フェノール類としては、フェノール、クレゾール類、キシレノール類、ナフトール類、(メチル、エチル、ブチル、プロピルなどの)アルキル置換フェノール類などが挙げられ、これらはDBNと脂肪酸類及び/又はフェノール類との当量反応によって得ることができる。
【0028】
本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物において、(i).分子内に活性水素基を含有する化合物成分(a):(a−1及び/又はa−2)と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(b):(b−1及び/又はb−2)との混合物は有機溶剤を含有しない液状のポリウレタン前駆体組成物、すなわち、(a)と(b)が共に液状、もしくは(a)または(b)の何れかが液状であり、この組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)であり、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましい。ii).また、必要に応じてこの(a)と(b)との混合物には有機溶剤、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含んでいてもよく、この組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)であることが好ましく、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)であることがより好ましく、特に本発明のメッシュシート製造の観点において0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることがより好ましい。
【0029】
また、本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物には、さらに難燃化樹脂被覆層の耐久性(摩耗強度、耐洗濯性など)を向上させるために、必要に応じて、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ジアミン化合物から選ばれた1種以上の架橋剤を配合することができ、それによって、得られるメッシュシートの難燃化樹脂被覆層の架橋密度を増大させることができる。カルボジイミド化合物としては、有機ジイソシアネート化合物をカルボジイミドに転換することによって得られる化合物、例えば、ジプルピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−p−トルオイルカルボジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどが挙げられ、特にポリカルボジイミドなどの多官能化合物が好ましく使用できる。また、アジリジン化合物としては、例えば、ジフェニルメタン−ビス−4,4′−N,N′−ジエチレンウレア、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕などが使用できる。また、オキサゾリン化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られるオキサゾールを原料として、これから誘導される化合物であり、例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、スチレン樹脂またはアクリル系樹脂などのポリマーを幹としてオキサゾリル基をグラフトして得られる多官能オキサゾリンポリマーが使用できる。また、ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、ピペラジンなどが使用できる。これらの架橋剤は、ポリウレタン前駆体組成物100重量部に対して0.2〜10重量部、特に0.5〜5.0質量部程度含有することが好ましい。架橋剤の添加率が0.2重量部未満だと、得られるメッシュシートの耐久性(摩耗強度、耐洗濯性など)向上効果が明瞭に現れず、また10重量部を越えると得られるメッシュシートの難燃化樹脂層が硬くなり過ぎて、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。
【0030】
本発明に用いるポリウレタン前駆体組成物には、窒素原子、及び/又はリン原子を含有する有機化合物の1種以上を難燃性付与剤(c)として含み、転化された難燃樹脂被覆層に対し10〜50質量%、特に20〜35質量%で難燃性付与剤が含有される。窒素原子を含有する有機化合物(c−1)としては、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれた1種以上であり、また、リン原子を含有する有機化合物(c−2)としては、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、及びポリリン酸アンモニウムから選ばれた1種以上である。難燃性付与剤の含有量が10質量%未満であると、消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能を満足することができず、また含有量が50質量%を越えると本発明のメッシュシートの加工性を悪くするだけでなく、難燃化樹脂層の耐久性が不十分となることがある。この難燃性付与剤が配合されているポリウレタン前駆体組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)であり、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましく、必要に応じてこの難燃性付与剤を配合して含有するポリウレタン前駆体には有機溶剤、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含むことができる。この場合の液粘度は、本発明のメッシュシート製造の観点において、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)であり、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが好ましい。液温度は20〜50℃の範囲が特に好ましいが、特に35〜50℃ではポリウレタン前駆体が低粘度化するためメッシュシートの製造に適している。また液粘度の安定性に優れるものであれば50℃を越える高温領域で加工を実施することもできる。また、液粘度調整に用いる希釈溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などの有機溶剤を単独、または2種以上併用して使用することができる。また、可塑剤としては、軟質塩化ビニル樹脂の可塑剤に使用されている汎用のもの、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどの脂肪酸二塩基性エステル類、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどのリン酸エステル類などが挙げられる。ポリウレタン前駆体組成物の液粘度が10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、特に10Pa・s(20℃/0.5時間)よりも大きいと、難燃性付与剤を配合して含有するポリウレタン前駆体含浸塗布液の流動性が悪くなり、本発明のメッシュシートの製造が困難となることがある。また、ポリウレタン前駆体組成物の液粘度が0.1Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)よりも小さくなると難燃性付与剤を配合して含有するポリウレタン前駆体組成物の、粗目織編物に対する吸収にムラを生じて難燃性付与剤が分離することがあり、本発明のメッシュシートの製造が困難となる。
【0031】
窒素原子含有化合物(c−1)としては、i).トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌレート誘導体、及びこれらの(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物(例えばメラミンシアヌレート)、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどの(イソ)シアヌレート誘導体、ii).メラミン(シアヌル酸アミド)、グアナミン、ベンゾグアナミン、硫酸メラミン、トリメチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、シアヌル酸モノアミド、シアヌル酸ジアミド、及び1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリオキシ−1,3,5−トリアジンなどのシアヌル酸誘導体、また、イソシアヌル酸モノイミド、イソシアヌル酸ジイミド、イソシアヌル酸トリイミド、カルシウムシアナミド(石灰窒素)、トリメチルジシアナミド、トリエチルジシアナミド、トリカルボイミド、及びジシアナミドの3量体(メロン)などのイソシアヌル酸誘導体、iii).またジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、及びジグアニドなどのグアニジン誘導体、iv).また、尿素、チオ尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、エチレン尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及びリン酸グアニル尿素などの尿素系化合物、及びこれらの窒素含有化合物の複合物などが挙げられる。v).またこれらの窒素含有化合物(c−1)とリン含有化合物(c−2)との複合塩、例えば(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の複合塩、(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスフィン酸とメラミンの複合塩、ホスフィン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、スルファミン酸とメラミン系化合物の複合塩などが挙げられる。その他の窒素含有化合物として、ピロール類、インドール類、オキサゾール類、オキサジン類、チアジン類、ピリダジン類などの複素環式化合物なども使用することができる。上記窒素原子含有化合物の中でも、特に(イソ)シアヌル酸誘導体、(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物(例えばメラミンシアヌレート)などが好ましく、これらの窒素原子含有化合物は特にリン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、及びポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体など併用して用いることが防炎効果と耐久性との観点において好ましい。
【0032】
リン原子含有化合物(c−2)のうち、i).赤リンとしては、黄リンを不活性ガス雰囲気下、250〜350℃の加熱によって赤リンに転化した平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リンである。特に赤リンには、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、トリアジン系樹脂などの窒素含有樹脂により表面被覆安定化された平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リン、及び酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルミニウムなどの無機金属化合物により表面被覆白色化された平均粒子径5〜25μmの粉末状赤リンを使用することが好ましい。ii).金属リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの金属塩が挙げられ、塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどであり、具体的には、リン酸二水素カルシウム(過リン酸石灰)、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウムなどが挙げられる。iii).金属有機リン酸塩としては、リン酸オクチルカリウム、リン酸ヘキシルカルシウムなど、PO(OR)(OH) で示されるリン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、リン酸ジブチルカリウム、リン酸ジヘキシルカルシウムなど、PO(OR) OHで示されるリン酸ジアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジオクチルカリウム、亜リン酸ブチルカルシウムなど、P(OR)(OH) で示される亜リン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジドデシルカリウム、亜リン酸ジブチルカルシウムなど、P(OR) OHで示される亜リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられ、これらと塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどである。(※Rはアルキル基を表す)
【0033】
iv).またリン酸誘導体としては、イ).トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル類、及び芳香族縮合リン酸エステル類、ロ).またホスホン酸系化合物として、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ビニルホスホン酸ジメチルエステル、ビニルホスホン酸ジフェニルエステル、メチルホスホン酸モノビニルエステル、フェニルホスホン酸モノビニルエステルなどのホスホン酸エステル、及び環式ホスホン酸エステル類、また例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ブテニルホスホン酸、ビニルフェニルホスホン酸、2−アクリロイロキシエチルホスホン酸、2−メタアクリロイロキシエチルホスホン酸、ビス(2−メタクロイロキシエチル)ホスホン酸などのホスホン酸誘導体が挙げられるが、特に下記式(1)及び(2)により表される環式ホスホン酸エステル類が好ましい。ハ).また、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類など、さらに窒素含有化合物(メラミン、メラミンの2量体、メラミンの3量体など)のホスホン酸塩、またはホスフィン酸塩などが挙げられる。
【0034】
【化1】
Figure 2004107812
【0035】
v).ポリリン酸アンモニウムとしては、(NH PO ) で示される、重合度nが30〜1200のものが好ましい。また、ポリリン酸アンモニウムは、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの窒素含有樹脂から選ばれた1種以上により表面被覆耐水化されたものを使用することが好ましい。vi).ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物としては、リン酸アンモニウムと、メラミン、尿素、トリアジンなどの含窒素化合物との縮合物である縮合系リン酸塩化合物で、これらは例えば、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンなどが好ましく使用できる。上記リン原子含有化合物のなかでも、特にリン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、及びポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体などが好ましく、さらに、これらのリン原子含有化合物は窒素原子含有化合物と併用して用いることが防炎効果と耐久性との観点において好ましい。
【0036】
また、本発明に使用する難燃化樹脂層には必要に応じて、粒径0.1〜20μm、特に0.5〜10μmの、i).シリカ、合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ藻土などのケイ素化合物、ii).水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化スズ水和物、ホウ砂などの金属水酸化物、iii).酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、iv).炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウムなどの金属炭酸塩化合物、v).硫酸アルミニウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩化合物、vi).ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸化合物、vii).アルミナ水和物、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ藻土などの無機系化合物複合体などの無機系化合物の適量を併用することもできる。
【0037】
本発明のメッシュシートの難燃化樹脂層には無機系顔料、及び有機系顔料を用いて任意に着色することができる。例えば無機系顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べんがら)、黄色酸化鉄、フエロシアン化鉄(紺青)、スピネル構造酸化物、またアルミニウム粉、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉などの金属顔料やパール顔料など、有機系顔料としては、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、フタロシアニン顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料など公知の顔料が挙げられる。また、本発明の難燃化樹脂層には、屋外耐久性を向上させる目的で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などを適量添加することが好ましい。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物及び、アニリド系化合物の紫外線吸収剤が使用でき、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、及びフォスファイト系化合物の酸化防止剤が使用できる。また光安定剤としてはヒンダードアミン系化合物の光安定剤が使用できる。
【0038】
本発明のメッシュシートに使用する粗目織編物は、繊維糸条の交錯によって形成された糸条間空隙(粗目織編物の面積に対し5〜65%の空隙面積)を有する織布または編布から選ばれる。織布の織組織に限定はないが特に平織織物、模紗織物、綾織物、朱子織物などであると得られるメッシュシートの縦緯物性バランスに優れ好ましい。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましい。また粗目織編物を形成する糸条には合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維、またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれでもよいが、加工性、汎用性を考慮するとポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維などの合成繊維を用いることが好ましい。また、糸条の形態としてはマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績(スパン)糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条など、何れの糸条を用いてもよいが、なかでも引張強力と引裂強力とに優れているポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの混合混用繊維などから形成されたマルチフィラメント糸条による粗目織編物、モノフィラメント糸条による粗目織編物、または短繊維紡績(スパン)糸条による粗目織編物が好ましい。
【0039】
本発明に使用する粗目織編物の糸条原料には、特にテレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸とブチレングリコールとの重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル繊維が好ましく、中でもPET樹脂から紡糸されるポリエステル繊維(マルチフィラメント糸条)が紡糸性と機械的強度に優れ好ましい。また、このPET樹脂紡糸原料には上記モノマー以外にイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、ジエチレングリコールなどの共重合モノマーを5重量%程度含んだものも使用できる。特に必要に応じて、例えば、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維糸条をPET繊維糸条の間に等間隔で配置して織組織が{PPTA−PET−PET−PET}を繰り返し単位とする織組織とした引張強度と引裂強度を重視した特別な織物を使用することもできる。これらの粗目織編物の製織は、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方式、ウオータージェット方式、エアジェット方式)などの従来公知の織機を用いて製織することができる。また、製織に用いる繊維糸条は、紡糸工程時に有機系顔料、無機系顔料、染料などの着色剤を添加して得られた原着繊維であることができ、特にモノフィラメント糸条に適している。また、あるいは繊維糸条、または粗目織編物を後工程で有機系顔料、無機系顔料、染料などによる着色処理、及びこれらを含む樹脂バインダーで処理して着色されていてもよい。さらにこれらの粗目織編物には例えば、精練処理、漂白処理、柔軟化処理、糊剤処理、撥水処理、防水処理、防カビ処理、防炎処理、カレンダー処理、バインダー樹脂処理など、公知の繊維処理加工を併用することができる。
【0040】
本発明に使用する粗目織編物を構成するマルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条には277〜3333dtexの繊度の糸条が使用できる。これらの糸条は1本で用いられることもあれば、2〜5本好ましくは2〜3本を合撚して1本の糸条を構成したもの、あるいは2〜5本好ましくは2〜3本を並列して見掛け1本の糸条を構成したものなどで用いることができる。2類クラスの建築養生メッシュシートの場合、例えば、277dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸24〜26本、緯糸25〜28本打ち込んだ平織織布、556dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸18〜20本、緯糸18〜20本打ち込んだ平織織布であり、1類クラスの建築養生メッシュシートの場合、例えば、833dtexのマルチフィラメント糸条3本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸10〜12本、緯糸10〜12本打ち込んだ平織織布、1111dtexのマルチフィラメント糸条3本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸6〜8本、緯糸6〜8本打ち込んだ平織織布、2222dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸12〜14本、緯糸12〜14本打ち込んだ平織織布、1666dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸15〜17本、緯糸15〜17本打ち込んだ平織織布、3333dtexのマルチフィラメント糸条2本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸4〜5本、緯糸4〜5本打ち込んだ平織織布などが特に好ましく使用できる。特にJIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験を必要とする1類クラスのメッシュシートでは、経緯構成糸条の繊度が1111dtex未満では不適合となることがある。また粗目織編物(2軸織物)の経糸及び緯糸の打込み本数は、2類クラスのメッシュシートで例えば、277〜556dtexのマルチフィラメント糸条、またはモノフィラメント糸条を1インチ当たり16〜30本、好ましくは18〜26本、1類クラスのメッシュシートで例えば、1666〜3333dtexのマルチフィラメント糸条、またはモノフィラメント糸条を1インチ当たり6〜20本、好ましくは7〜16本である。本発明のメッシュシートに用いる粗目織編物は経糸・緯糸構成からなる粗目2軸織物が好ましい。また、本発明に使用する粗目織編物には197dtex(30番手)〜591dtex(10番手)の短繊維紡績糸条を組み合わせて使用できる。
【0041】
また本発明のメッシュシートに用いる粗目織編物は、3軸織物及び、4軸織物を使用することもできる。3軸織物としては上記マルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条による3方向の糸条から構成され、互いの糸条の交差角が60°となるように製織された織布である。3軸織物としては経糸を含み、これに2方向のバイアス(斜)糸を絡めて構成される織布が加工方向の織組織の安定性に優れ好ましい。この3軸織物の組織は2本綾織の応用によるバスケット織であることもできる。一方、4軸織物としては上記マルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条による4方向の糸条から構成され、互いに直交する経糸と緯糸とを含み、さらに経糸と緯糸とに45°の角度で交差する2方向のバイアス糸とを含み、必要に応じて55〜166dtex程度のモノフィラメントからなる絡糸を用いて製織された織布(編物)である。特に本発明に3軸織物、または4軸織物を用いることによって、メッシュシートには多方向からの外力に対する安定した抵抗力を備えることを可能とし、建築現場の張囲いシートとして、より安全性の高いメッシュシートを得ることができる。これら3軸織物及び、4軸織物による粗目織編物の経糸、緯糸、バイアス糸の打込み本数に特に限定はないが、277〜3333dtexのマルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条を各方向、1インチ当たり4〜30本、好ましくは7〜24本打込んで得られる織布、が使用できる。
【0042】
これらの本発明に用いる粗目織編物の合計空隙面積率は、5〜65%であることが好ましく、特に10〜40%のものが好ましく適している。空隙面積は繊維糸条の交錯によって形成される空隙(粗目)であり、空隙面積率は織編物の面積に対する値である。空隙面積率が5%未満であると得られるメッシュシートの透視性と通気性とが不十分になり、また、空隙面積率が65%を越えると、繊維糸条の含有密度が小さくなり、得られるメッシュシートの引裂強度が不十分になりそれと同時に、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。空隙面積率は粗目織編物の単位面積に対し、繊維糸条の占める面積を百分率として求め、100から差し引いた値として求めることができる。空隙面積率は経方向10cm×緯方向10cmを単位面積として求めることができ、必要に応じて市販の複写機を用いて拡大印刷した画像から面積を算出したり、あるいは複写画像の切り抜きを糸条部と空隙部とに種別し、これらの質量比率を根拠に、これを空隙面積率と同各に見なし充当したものであってもよい。
【0043】
また、本発明のメッシュシートにおいては、特に粗目織編物には、1).ホスホン酸系化合物によって下処理が施されていることが防炎性の観点において好ましく、これによってメッシュシートの難燃化樹脂層に配合する難燃性付与剤の総和量を削減させることができる。ホスホン酸系化合物としては、例えば、ビニルホスホン酸ジメチルエステル、ビニルホスホン酸ジフェニルエステル、メチルホスホン酸モノビニルエステル、フェニルホスホン酸モノビニルエステルなどのホスホン酸エステル、及び環式ホスホン酸エステル類、また例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ブテニルホスホン酸、ビニルフェニルホスホン酸、2−アクリロイロキシエチルホスホン酸、2−メタアクリロイロキシエチルホスホン酸、ビス(2−メタクロイロキシエチル)ホスホン酸などのホスホン酸誘導体が挙げられるが、特に環式ホスホン酸エステル類が好ましい。特に好ましい環式ホスホン酸エステルとしては、前記化学式(1)及び(2)の化合物の少なくとも1種が用いられる。
【0044】
ホスホン酸系化合物による粗目織編物の下処理は、ホスホン酸系化合物を0.5〜10質量%濃度、好ましくは1.0〜5質量%濃度で含む溶液からなる下処理剤浴中に上記粗目織編物を浸漬し、粗目織編物を構成する繊維糸条の繊維間にホスホン酸系化合物を侵入させ、これを引き上げると同時にゴム製マングルロールで粗目織編物を圧搾し、余分な処理剤を除去した後、熱風炉内で乾燥させ、さらに130〜210℃の熱処理を施して、繊維のミクロ構造内にホスホン酸系化合物を吸着させて定着させる公知の方法が挙げられる。本発明において粗目織編物は、ホスホン酸系化合物による下処理を190〜200℃の熱条件で施し、繊維に定着させたポリエステルフィラメント織物、及びポリエステル短繊維紡績織物であることが好ましい。
【0045】
2).また前記1)に記載の下処理剤にはバインダー樹脂を混用することもでき、例えば、酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸(エステル)成分、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、(無水)イタコン酸などの極性成分を含有するエチレン系共重合体樹脂、及びアクリル系共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂溶液中にホスホン酸系化合物を含有させたものを用いることによって、繊維表面にホスホン酸系化合物を定着することもできる。このバインダーは有機系溶剤中に可溶化、または分散されたもの、もしくは水中に乳化分散されたバインダー樹脂含有液体の何れであってもよく、バインダー樹脂の固形分濃度は1〜30質量%、特に3〜15質量%であることが下処理作業の観点において好ましい。この時併用するホスホン酸系化合物はバインダー樹脂含有液体に対して1〜10質量%濃度で使用することができる。このバインダーを伴う下処理(塗工、含浸、被覆)には公知の加工方法、例えば、ディッピング法、ディップコート法、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、スプレーコート法などにて処理剤を1回以上、含浸及び/又は塗布することによって実施することができ、乾燥は自然乾燥、もしくは30〜120℃、特に60〜100℃の熱風乾燥によって行うことが好ましい。ホスホン酸系化合物を含むバインダーの付着量は粗目織編物の質量に対し1〜30質量%、特に2〜15質量%であることが好ましい。付着量が1%未満だと、得られるメッシュシートの防炎性が不十分となることがあり、また付着量が30%を越えると防炎性を返って悪くすることがある。また上記2)の下処理液には難燃化樹脂層に用いる難燃性付与剤と同一のものをさらに適量含んでいても良く、これらはa).赤リン、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体化合物などのリン原子含有化合物、b).(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物などの窒素原子含有化合物、c).ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、及び無機系化合物複合体などの無機系化合物から選ばれた1種以上である。
【0046】
本発明のメッシュシートの製造は、1).粗目織編物、またはホスホン酸系化合物によって下処理が施された粗目織編物を、液粘度が、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)であり、特に好ましくは0.5〜5Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)の、難燃性付与剤含有ポリウレタン前駆体組成物液バス中に浸漬(ディッピング)し、粗目織編物を構成する繊維糸条の少なくとも露出外周全域にポリウレタン前駆体組成物を付着させ、これを引き上げると同時にゴム製マングルロールで粗目織編物を圧搾し、ポリウレタン前駆体組成物を繊維糸条に含浸させた後、100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間熱風炉内で熱処理を施して、ブロックイソシアネート化合物のブロック化剤を解離させて再生するイソシアネート基と、活性水素基との硬化反応によって前記ポリウレタン前駆体組成物を難燃化ポリウレタン系樹脂(前記難燃樹脂被覆層に対して、前記難燃性付与剤を10〜50質量%含有する)に転化し、これを難燃樹脂被覆層とする製造方法によって得ることができる。
【0047】
2).また本発明のメッシュシートの製造は、粗目織編物、またはホスホン酸系化合物によって下処理が施された粗目織編物の表裏面に、液粘度が0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に好ましくは0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)の、難燃性付与剤含有ポリウレタン前駆体組成物液組成物を、ナイフコート、グラビア転写コート、ロータリースクリーンコート、クリアランスコート、スプレーコートなどの塗工方法によって表裏面に塗布し、粗目織編物を構成する繊維糸条の少なくとも露出外周面全域にポリウレタン前駆体組成物を含浸付着させた後、100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間熱風炉内で熱処理を施して、ブロックイソシアネート化合物のブロック化剤を解離させて再生するイソシアネート基と、活性水素基との硬化反応によって前記ポリウレタン前駆体組成物を難燃化ポリウレタン系樹脂(前記難燃樹脂被覆層に対して、前記難燃性付与剤を10〜50質量%含有する)に転化し、これを難燃樹脂被覆層とする製造方法によって得ることができる。
【0048】
3).本発明のメッシュシートの製造は、上記1)及び2)の製造方法において、必要に応じてポリウレタン前駆体組成物に、希釈溶剤、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含み、液粘度が0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に好ましくは0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5pa・s(20℃/0.5時間)に調整された、難燃性付与剤含有ポリウレタン前駆体組成物液を用いて製造することもできる。
【0049】
上記1〜3)に記載の製造方法において、難燃性付与剤含有ポリウレタン前駆体組成物液の液粘度の要件、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)とは、10〜50℃の温度範囲内で難燃性付与剤を含有するポリウレタン前駆体組成物液の液粘度が0.1〜10Pa・sであり、この液粘度を0.5〜3時間維持可能なものを意味するものである。粘度の測定は塩ビペーストゾルの粘度測定に用いられるブルックフィールド型回転式粘度計(BL,BM,BH)を用いて行うことができる。特に難燃性付与剤を含有するポリウレタン前駆体組成物液の液粘度は、4号ローターを装着したBM型粘度計を用いて、回転数12rpm での60秒後の数値(×500cP)で決定すること、または6号ローターを装着したBH型粘度計を用いて、回転数4rpm での60秒後の数値(×2500cP)で決定することができる。このときcPとPa・sとの関係は1Pa・s=1000cPである。ポリウレタン前駆体組成物の液粘度が10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、10Pa・s(20℃/0.5時間)よりも大きいと、難燃性付与剤を含有するポリウレタン前駆体組成物の流動性が悪くなり、本発明のメッシュシートの製造が困難となることがある。また、ポリウレタン前駆体組成物の液粘度が0.1Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)よりも小さくなると難燃性付与剤を配合して含有するポリウレタン前駆体組成物の、粗目織編物に対する吸収にムラを生じて難燃性付与剤が分離することがあり、本発明のメッシュシートの製造が困難となる。50℃の液粘度が必要な理由は、常温時に5Pa・sを越えるポリウレタン前駆体組成物が50℃を上限とする加温によって低粘度化したり、または常温時に固体状態のポリウレタン前駆体組成物が液体化するなどして、本発明のメッシュシートの製造可能範囲に包含されるためである。またこの時、50℃を上限とする加温によって一旦低粘度化したポリウレタン前駆体組成物が短時間で増粘したり、ゲル化を生じると本発明のメッシュシートの製造が不能となるため、ポリウレタン前駆体組成物の調整後0.5時間を起点として加工可能範囲のポットライフを3時間とした。また、ポリウレタン前駆体組成物の加温が50℃を越えると、加工可能範囲の液粘度のポットライフが短くなり本発明のメッシュシートの製造に支障をもたらすことがある。
【0050】
また本発明のメッシュシートの製造を通常実施する際に、使用するポリウレタン前駆体組成物の液粘度をより明確にするために、20℃/0.5時間条件の粘度を併記した。また、ポリウレタン前駆体組成物の熱処理硬化条件、(100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間)は用いるポリウレタン前駆体組成物のブロック化剤解離温度と、製造に使用するディッピング機、コーティング機などの加工機に附帯する熱風炉の熱容量と炉長とによって任意設定可能な条件である。また、上記製造方法によって得られるメッシュシートの質量に占める難燃樹脂被覆層の割合は10〜60質量%、好ましくは25〜50質量%である。難燃樹脂被覆層の割合が10質量%に満たないと、得られるメッシュシートの耐洗濯性と防炎性が不十分となる。また、空隙面積率5〜65%を維持しながら難燃樹脂被覆層の割合が60質量%を越えるメッシュシートの製造は困難となる。得られたメッシュシートは例えば1ピースが1.8m幅×3.4m長、1.8m幅×3.6m長、1.8m幅×5.1m長、1.8m幅×5.4m長、3.6m幅×5.4m長などの規格で縫製され、各々縁部がほつれ防止の折り返し縫製補強されたもので、必要に応じて縁部には接続用縫込みロープを有するもの、あるいは特にウレタン樹脂被覆シートなどのスリット支持体を折り返し部に挿入縫製し、この縁部全体に定間隔で設けられるハトメの固定強度を強化したものなどが使用できる。縁部の縫製は、ミシン縫製、または高周波ウエルダー縫製などによって実施することができる。
【0051】
【実施例】
次ぎに実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例、及び比較例において得られたメッシュシートの評価に適用した試験方法は以下の通りである。
(I).粘度測定
4号ローターを装着したBM型回転粘度計((株)トキメック社製)を用いて、ポリウレタン前駆体組成物(液温度20と50℃でそれぞれ0.5時間後、及び3.0時間後)の粘度を、回転数12rpm での60秒後の数値(×500cP)で決定した。(必要に応じて6号ローターを装着したBH型回転粘度計((株)トキメック社製)を用いて、回転数4rpm での60秒後の数値(×2500cP)で決定した。)このときcPとPa・sとの関係は1Pa・s=1000cPである。
【0052】
(II).防炎性
JIS L−1091により試験し、下記の判定基準により評価した。(質量450g/m 以下はA−1法の区分3、質量450g/m を越えるものはA−2法の区分3を適用した。)
○:炭化面積40cm 以下、残炎時間5秒以下、残じん時間20秒以下、炭化距離20cm以下である。
×:炭化面積、残炎時間、残じん時間、炭化距離の項目の1項目以上が規格数値を超えている。
【0053】
(III).耐貫通試験[(社)仮設工業会認定基準]
JIS A8952に規定される30°傾斜試験枠に固定したメッシュシートの中央部を標的に、高さ3mから質量5kgの鋼管落体(JIS A8952規格適合品)を自由落下させて、メッシュシートの耐貫通性、及び破損(破断)状態を観察した。
○:鋼管落体の貫通なし。
△:鋼管落体の貫通はないが、メッシュシートの亀裂破損が大きい。
×:鋼管落体がメッシュシートを破り完全に貫通する。
(IV).耐洗濯性
容量450Lの工業用回転式洗濯機を用い、未使用のメッシュシート縫製品(1.8m幅×3.6m長:長さ方向8ツ折り×幅方向4ツ折り)の耐洗濯性を評価した。洗濯は、弱アルカリ性の工業用洗剤(商標:ゲンブナイス:[成分]界面活性剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、工程化剤として硫酸塩、アルカリ剤として珪酸塩、及び炭酸塩、水転化剤としてアルミノ珪酸塩、及び蛍光増白剤:ゲンブ(株))500gと、アルカリ剤としてメタ珪酸ナトリウム9水塩(三宝化学工業(株))100gを40℃の温水300L中に溶解させたものを使用し、30分間洗濯した直後の外観を観察した。
○:樹脂被覆層の脱落、膨潤などの外観異常なし。
△:樹脂被覆層の膨潤が認められる。
×:樹脂被覆層が膨潤し、部分的に脱落している。
【0054】
(V).洗濯後の防炎性
上記(IV)で試験したメッシュシートを工業用水で5分間濯ぎ洗いし、これを常温で24時間乾燥させたものを試験体として、上記(II)と同一の防炎試験を行った。
(VI).洗濯後の耐貫通試験
上記(IV)で試験したメッシュシートを工業用水で5分間濯ぎ洗いし、これを常温で24時間乾燥させたものを試験体として、上記(III)耐貫通試験と同一の防炎試験を行った。
【0055】
[実施例1]
i).ポリウレタン前駆体組成物(1)
ウレトジオン基含有HMDI(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)誘導体と、活性水素基含有化合物として、数平均分子量500、平均官能基数2.0のポリテトラメチレンエーテルポリオールとを、活性水素基/イソシアネート当量比1.3で含み、かつ、ポリウレタン前駆体中のウレトジオン基/活性水素基当量比が0.72であるポリウレタン前駆体100質量部に対して、ウレトジオン基開環触媒として1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)0.5質量部と、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スパシャルティ・ケミカルズ(株))1.0質量部と、着色剤としてルチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部と、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物(b−1))としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有化合物b−2−1)として、ホスホン酸化合物(商標:K−19A、前記化学式(1)又は(2)のホスホン酸化合物の混合物:明成化成(株))10質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン前駆体組成物(1)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(1)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.6Pa・s(20℃/0.5時間)、3.9Pa・s(20℃/3.0時間)、1.2Pa・s(50℃/0.5時間)、1.8Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0056】
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度50℃のポリウレタン前駆体組成物(1)を充填した浴中に、下記下処理を施したポリエステル粗目模紗織物基布(1111dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度7本/2.54cm×緯糸打込み密度7本/2.54cm:質量185g/m :空隙率34%)をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(1)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(1)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、200℃の熱風乾燥炉で6分間熱処理し、厚さ0.74mm、質量410g/m のメッシュシートを得た。
(ポリエステル粗目模紗織物基布の下処理)
商標:K−19A、化学式(1)及び(2)のホスホン酸
化合物の混合物:明成化成(株)                5質量部
希釈剤:水                         95重量部
上記下処理剤浴中にポリエステル粗目模紗織物基布をディップし、引上げると同時に高硬度ゴムのニップロールで余分な下処理剤を絞り落とし、120℃の熱風乾燥炉で1分間乾燥させた後、200℃の熱風乾燥炉で1分間熱処理し、ホスホン酸化合物を繊維に定着させた。(基布に対するホスホン酸化合物の定着量は、2.5g/m であった。)
【0057】
[実施例2]
i).ポリウレタン前駆体組成物(2)
実施例1のポリウレタン前駆体の活性水素基含有化合物(ポリテトラメチレンエーテルポリオール)を、数平均分子量2000、平均官能基数2.0のポリブチレンアジペートに変更し、活性水素基/イソシアネート当量比1.2で含み、かつ、ポリウレタン前駆体中のウレトジオン基/活性水素基当量比が0.59であるポリウレタン前駆体100質量部を得た。これ以外は実施例1と同一配合としてグレー色のポリウレタン前駆体組成物(2)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(2)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.8Pa・s(20℃/0.5時間)、4.1Pa・s(20℃/3.0時間)、1.4Pa・s(50℃/0.5時間)、2.0Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度50℃のポリウレタン前駆体組成物(2)を充填した浴中に、実施例1と同一のホスホン酸化合物下処理を施したポリエステル粗目3軸織物基布(1111dtex/2本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度13本/2.54cm×バイアス糸打込み密度13本/2.54cm:質量225g/m <ホスホン酸化合物の定着量2.5g/m >:空隙率22%)をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(2)を付着させた粗目3軸織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(2)を粗目3軸織物基布の全面に含浸付着させた後、200℃の熱風乾燥炉で6分間熱処理し、厚さ0.74mm、質量428g/m のメッシュシートを得た。
【0058】
[実施例3]
i).ポリウレタン前駆体組成物(3)
実施例1のポリウレタン前駆体の活性水素基含有化合物(ポリテトラメチレンエーテルポリオール)を、数平均分子量1000、平均官能基数2.0のポリプロピレンエーテルポリオールに変更し、活性水素基/イソシアネート当量比1.4で含み、かつ、ポリウレタン前駆体中のウレトジオン基/活性水素基当量比が0.49であるポリウレタン前駆体100質量部を得た。これ以外は実施例1と同一配合としてグレー色のポリウレタン前駆体組成物(3)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(3)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.5Pa・s(20℃/0.5時間)、3.8Pa・s(20℃/3.0時間)、1.5Pa・s(50℃/0.5時間)、2.1Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度50℃のポリウレタン前駆体組成物(3)を充填した浴中に、実施例1と同一のホスホン酸化合物下処理を施したポリエステル粗目模紗織物基布(833dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度11本/2.54cm×バイアス糸打込み密度11本/2.54cm:質量225g/m <ホスホン酸化合物の定着量2.5g/m >:空隙率14%)をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(3)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(3)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、200℃の熱風乾燥炉で6分間熱処理し、厚さ0.74mm、質量436g/m のメッシュシートを得た。
【0059】
[実施例4]
i).ポリウレタン前駆体組成物(4)
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))100質量部にメチルエチルケトオキシム35質量部を加えて得た固形分60質量%のブロックイソシアネート化合物(1)(※遊離のメチルエチルケトオキシム当量比はブロックイソシアネート1当量あたり0.03当量:キシレン溶媒)44質量部と、活性水素基含有樹脂としてアクリルポリオール(商標:アクリデックA−801:水酸基価100mgKOH/g、固形分50質量%:トルエン/酢酸ブチル溶媒:大日本インキ化学工業(株))148質量部とを配合してなる当量比0.15のポリウレタン前駆体192質量部(固形分52.2質量%)に対し、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部、架橋剤としてカルボジイミド化合物(商標:カルボジライトT−02、カルボジイミド当量277:日清紡(株))1質量部、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、着色剤としてルチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))20質量部、難燃性付与剤として、リン原子含有化合物−1):ホスホン酸化合物(商標:K−19A、化学式(1)又は(2)のホスホン酸化合物の混合物:明成化成(株))10質量部、及びリン原子含有化合物−2:メラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン前駆体組成物(4)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(4)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、4.0Pa・s(20℃/0.5時間)、4.4Pa・s(20℃/3.0時間)、2.1Pa・s(50℃/0.5時間)、3.2Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0060】
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度20℃のポリウレタン前駆体組成物(4)を充填した浴中に、実施例1と同一の(ホスホン酸化合物下処理)ポリエステル粗目模紗織物基布をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(4)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(4)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させ、180℃の熱風乾燥炉で3分間熱処理した後、このメッシュシートを再度ポリウレタン前駆体組成物(4)充填浴中にディップし、1回目のディップ−熱処理と同様の手順を経て、厚さ0.74mm、質量422g/m のメッシュシートを得た。
【0061】
[実施例5]
i).ポリウレタン前駆体組成物(5)
実施例4のブロックイソシアネート化合物(1)44質量部を、下記のブロックイソシアネート化合物(2)44質量部に変更した。このブロックイソシアネート化合物(2)は、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系ビウレット変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−165N90PX:イソシアネート基含有量21.0質量%、固形分90質量%:武田薬品工業(株))100質量部にメチルエチルケトオキシム35質量部を加えて得た固形分60質量%のキシレン溶液であった。(※遊離のメチルエチルケトオキシム当量比はブロックイソシアネート1当量あたり0.03当量)これ以外は実施例4と同一として得られたグレー色のポリウレタン前駆体組成物(5)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、4.2Pa・s(20℃/0.5時間)、4.8Pa・s(20℃/3.0時間)、2.6Pa・s(50℃/0.5時間)、3.6Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度20℃のポリウレタン前駆体組成物(5)を充填した浴中に、実施例2と同一の(ホスホン酸化合物下処理)ポリエステル粗目3軸織物基布をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(5)を付着させた粗目3軸織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(5)を粗目3軸織物基布の全面に含浸付着させ、180℃の熱風乾燥炉で3分間熱処理した後、このメッシュシートを再度ポリウレタン前駆体組成物(5)充填浴中に、ディップし、1回目のディップ−熱処理と同様の手順を経て、厚さ0.74mm、質量435g/m のメッシュシートを得た。
【0062】
[実施例6]
i).ポリウレタン前駆体組成物(6)
実施例4のブロックイソシアネート化合物(1)44質量部を、下記のブロックイソシアネート化合物(3)70質量部に変更、また、実施例4のアクリルポリオール(商標:アクリデックA−801:固形分50質量%:大日本インキ化学工業(株))148質量部を117質量部に変更した。ブロックイソシアネート化合物(3)は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系トリメチロールプロパン・アダクト変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−140N:イソシアネート基含有量10.5質量%、固形分75質量%:武田薬品工業(株))100質量部にメチルエチルケトオキシム35質量部を加えて得た固形分60質量%のキシレン溶液であった。(※遊離のメチルエチルケトオキシム当量比はブロックイソシアネート1当量あたり0.03当量)このポリウレタン前駆体(固形分53.6質量%)187質量部を基準とし、実施例4と同一の配合(ブロック化剤解離触媒、複合添加剤、着色剤、難燃性付与剤)を行って得られたグレー色のポリウレタン前駆体組成物(6)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、4.4Pa・s(20℃/0.5時間)、4.9Pa・s(20℃/3.0時間)、2.5Pa・s(50℃/0.5時間)、3.9Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度20℃のポリウレタン前駆体組成物(6)を充填した浴中に、実施例3と同一の(ホスホン酸化合物下処理)ポリエステル粗目模紗織物基布をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(6)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(6)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させ、180℃の熱風乾燥炉で3分間熱処理した後、再度ポリウレタン前駆体組成物(6)充填浴中にメッシュシートをディップし、1回目のディップ−熱処理と同様の手順を経て、厚さ0.74mm、質量442g/m のメッシュシートを得た。
【0063】
[実施例7]
i).ポリウレタン前駆体組成物(7)
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H XDI)の3量体ベースの(メチルエチルケトオキシム)ブロックイソシアネート化合物(4)(商標:タケネートB−842N、有効イソシアネート基含有量9.7質量%、固形分70質量%、ソルベンツ#100・酢酸ブチル溶媒:武田薬品工業(株))40質量部と、活性水素基含有樹脂としてアクリルポリオール(商標:タケラックUA−702:水酸基価50mgKOH/g、固形分50質量%:トルエン/酢酸ブチル溶媒:武田薬品工業(株))145質量部とを配合してなる当量比0.15のポリウレタン前駆体185質量部(固形分54.3質量%)に対して、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部と、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・カミカルズ(株))を1.0質量部、着色剤としてルチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有化合物−1)として、ホスホン酸化合物(商標:K−19A、化学式(1)及び(2)のホスホン酸化合物の混合物:明成化成(株))10質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン前駆体組成物(7)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(7)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.7Pa・s(20℃/0.5時間)、4.2Pa・s(20℃/3.0時間)、3.0Pa・s(35℃/0.5時間)、3.6Pa・s(35℃/3.0時間)、2.2Pa・s(50℃/0.5時間)、2.7Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度35℃のポリウレタン前駆体組成物(7)を充填した浴中に、実施例1と同一の(ホスホン酸化合物下処理)ポリエステル粗目模紗織物基布をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(7)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(7)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させ、180℃の熱風乾燥炉で3分間熱処理した後、このメッシュシートを再度ポリウレタン前駆体組成物(7)充填浴中にディップし、1回目のディップ−熱処理と同様の手順を経て、厚さ0.74mm、質量425g/m のメッシュシートを得た。
【0064】
[実施例8]
i).ポリウレタン前駆体組成物(8)
実施例4で用いたブロックイソシアネート化合物(1)と、活性水素基含有化合物として、数平均分子量500、平均官能基数2.0のポリテトラメチレンエーテルポリオールとを、活性水素基/イソシアネート当量比1.3で含み、かつ、ポリウレタン前駆体中のブロックイソシアネート基/活性水素基当量比が0.72であるポリウレタン前駆体100質量部に対して、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部と、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、着色剤としてリチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有化合物−1)として、ホスホン酸化合物(商標:K−19A、化学式(1)及び(2)のホスホン酸化合物の混合物:明成化成(株))10質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン前駆体組成物(8)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(8)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.3Pa・s(20℃/0.5時間)、3.6Pa・s(20℃/3.0時間)、2.6Pa・s(35℃/0.5時間)、3.1Pa・s(35℃/3.0時間)、2.1Pa・s(50℃/0.5時間)、2.5Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
ii ).メッシュシートの製造
次に、液温度35℃のポリウレタン前駆体組成物(8)を充填した浴中に、実施例3と同一のホスホン酸化合物下処理を施したポリエステル粗目模紗織物基布をディップ(浸漬)し、ポリウレタン前駆体組成物(8)を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、ポリウレタン前駆体組成物(8)を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、200℃の熱風乾燥炉で6分間熱処理し、厚さ0.74mm、質量444g/m のメッシュシートを得た。
【0065】
実施例1〜8の試験結果を表1に記す。
【表1】
Figure 2004107812
【0066】
[比較例1]
実施例1のポリウレタン前駆体(1)を水系ポリウレタン樹脂(1)に変更し、更に難燃性付与剤の一部を変更、及び増量した。すなわちポリウレタン系樹脂(1)(商標:アデカボンタイターHUX−290N:エステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン:固形分50質量%:旭電化工業(株))200質量部(固形分換算100質量部)に対し、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、着色剤としてルチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))100質量部、難燃性付与剤(リン原子含有化合物−3)として、芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:粘度3900cP/40℃:大八化学(株))30質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン(1)組成物を得た。このポリウレタン(1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.2Pa・s(20℃/0.5時間)、3.5Pa・s(20℃/3.0時間)、2.8Pa・s(50℃/0.5時間)、3.3Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量412g/m のメッシュシートを得た。
【0067】
[比較例2]
比較例1のポリウレタン(1)組成物中にカルボジイミド系架橋剤(商標:カルボジライトV−02、有効成分量40質量%:日清紡(株))10質量部(固形分換算4質量部)を追加配合した以外は比較例1と同一組成とした。このポリウレタン(1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.0Pa・s(20℃/0.5時間)、4.4Pa・s(20℃/3.0時間)、2.7Pa・s(50℃/0.5時間)、7.6Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量415g/m のメッシュシートを得た。
【0068】
[比較例3]
実施例1のポリウレタン前駆体(1)を水系酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂に変更し、更に難燃性付与剤の一部を変更、及び増量した。すなわち酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂(商標:スミカフレックスS−500:固形分55質量%:住友化学工業(株))182質量部(固形分換算100質量部)に対し、比較例1と同一、同量の複合添加剤、着色剤、及び難燃性付与剤を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色の酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂組成物を得た。この酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.7Pa・s(20℃/0.5時間)、3.1Pa・s(20℃/3.0時間)、2.5Pa・s(50℃/0.5時間)、2.8Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量410g/m のメッシュシートを得た。
【0069】
[比較例4]
実施例1のポリウレタン前駆体(1)を水系ポリウレタン樹脂(2)に変更し、更に難燃性付与剤の一部を変更、及び増量した。すなわちポリウレタン系樹脂(2)(商標:パーミュセンRU−40−350:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン:固形分40質量%:スタール・ジャパン(株))250質量部(固形分換算100質量部)に対し、酸化防止剤と耐候安定剤との複合添加剤として商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、着色剤としてリチル型酸化チタン顔料4.0質量部とカーボンブラック顔料0.8質量部、難燃性付与剤(窒素原子含有化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))60質量部、難燃性付与剤として、リン原子含有化合物−3):芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:粘度3900cP/40℃:大八化学(株))20質量部、及びリン原子含有化合物−4):赤リン(商標:ヒシガードホワイトCP、赤リン含有量33質量%の酸化チタンコート消色品:日本化学(株))15質量部を配合したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のポリウレタン(2)組成物を得た。このポリウレタン(2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.8Pa・s(20℃/0.5時間)、2.1Pa・s(20℃/3.0時間)、1.5Pa・s(50℃/0.5時間)、1.9Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量410g/m のメッシュシートを得た。
【0070】
[比較例5]
比較例4のポリウレタン(2)組成物中にカルボジイミド系架橋剤(商標:カルボジライトV−02、有効成分量40質量%:日清紡(株))10質量部(固形分換算4質量部)を追加配合した以外は比較例4と同一組成とした。このポリウレタン(2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.7Pa・s(20℃/0.5時間)、2.0Pa・s(20℃/3.0時間)、2.2Pa・s(50℃/0.5時間)、7.4Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量417g/m のメッシュシートを得た。
【0071】
[比較例6]
実施例1のポリウレタン前駆体(1)を水系アクリル系樹脂に変更し、更に難燃性付与剤の一部を変更、及び増量した。すなわちアクリル系樹脂(商標:ウルトラゾールB−800:固形分55質量%:ガンツ化成(株))182質量部(固形分換算100質量部)に対し、比較例4と同一、同量の複合添加剤、着色剤、及び難燃性付与剤を配当したものを基本組成とし、これをブレンダーで均一撹拌してグレー色のアクリル系樹脂組成物を得た。このアクリル系樹脂組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.6Pa・s(20℃/0.5時間)、1.8Pa・s(20℃/3.0時間)、1.3Pa・s(50℃/0.5時間)、1.8Pa・s(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例4と同一の方法と手順により、厚さ0.74mm、質量412g/m のメッシュシートを得た。
【0072】
※比較例1〜6で得たメッシュシートは、未使用状態においては、消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(鋼管落下による耐貫通試験)とを満足するものであったが、何れも水系樹脂エマルジョンを使用して加工を行ったものであるため、根本的に耐水性に優れるものではなく、洗濯によって膨潤した樹脂被覆層が擦れ合って脱落劣化することによって鋼管落下による耐貫通試験に不合格となったり、また、洗濯時に樹脂被覆層の膨潤に伴なって難燃性付与剤が系外に抽出されることによって防炎性が得られなくなるものであった。従ってこれらのメッシュシートでは1度の洗濯によって防炎効果や耐貫通性が容易に失われてしまうため、繰り返し使用することができないものであった。
【0073】
[比較例7]
実施例4のポリウレタン前駆体に用いたブロックイソシアネート化合物(1)のフロック化剤を省いた組成系とした。すなわち1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))をそのまま用いた。このイソシアネート化合物の変更以外は実施例4と同一とし、グレー色のポリウレタン前駆体組成物(9)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(9)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、4.4Pa・s(20℃/0.5時間)、7.1Pa・s(20℃/3.0時間)、5.3Pa・s(35℃/0.5時間)、12.8Pa・s(35℃/3.0時間)、18.5Pa・s(50℃/0.5時間)、ゲル化測定不能(50℃/3.0時間)であった。次に実施例1で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例7と同一の方法と手順によりメッシュシートを得ようとしたが、加工直後から液粘度が上昇しポリウレタン前駆体組成物(9)の流動性が著しく低くなりその結果、加工が困難となり、正常樹脂付着、及び正常外観のメッシュシートは得られなかった。
【0074】
[比較例8]
実施例4のポリウレタン前駆体に用いたブロックイソシアネート化合物(1)のフロック化剤を省いた組成系とした。すなわち1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))をそのまま用いた。このイソシアネート化合物の変更以外は実施例4と同一とし、グレー色のポリウレタン前駆体組成物(10)を得た。このポリウレタン前駆体組成物(10)の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、4.6Pa・s(20℃/0.5時間)、7.3Pa・s(20℃/3.0時間)、5.5Pa・s(35℃/0.5時間)、11.3Pa・s(35℃/3.0時間)、15.4Pa・s(50℃/0.5時間)、ゲル化測定不能(50℃/3.0時間)、であった。次に実施例3で用いた下処理ポリエステル粗目模紗織物基布を使用して、実施例8と同一の方法と手順によりメッシュシートを得ようとしたが、加工直後から液粘度が上昇しポリウレタン前駆体組成物(10)の流動性が著しく低くなり、その結果、加工が困難となり、正常樹脂付着、及び正常外観のメッシュシートは得られなかった。
【0075】
比較例1〜8の試験結果を表2に記す。
【表2】
Figure 2004107812
【0076】
【発明の効果】
上記、実施例及び、比較例により明らかなように、本発明によって得られる建築養生メッシュシートは通気性と採光性を有し、また消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(鋼管落下による耐貫通試験)とを満足するものであった。特に本発明によって得られる建築養生メッシュシートは、過酷な洗濯にも十分な耐性を有し、洗濯によって難燃化ポリウレタン樹脂による被覆層が膨潤して脱落したり、難燃性付与剤が系外抽出減量したりする不都合は観察されなかった。また、本発明のメッシュシートは1度の洗濯によって容易に防炎効果が失われたり、鋼管落下による耐貫通試験に簡単に不合格となるようなことはないので、汚れたメッシュシートを回収・洗濯して繰り返し再使用することが可能である。従って本発明の建築養生メッシュシートは、従来のポリ塩化ビニル樹脂使用のメッシュシートと同様に使用でき、しかも火災時に有毒なハロゲン化水素ガスを発生させる心配がないため、極めて有用性の高いものである。

Claims (11)

  1. 繊維糸条からなり、その交錯により形成された糸条間空隙を有する粗目織編物と、この粗目織編物の前記繊維糸条の少なくとも露出している表面の全面に、含浸又は被覆により形成された難燃樹脂被覆層とを含み、前記難燃樹脂被覆層が、ポリウレタン前駆体と難燃性付与剤との組成物の熱硬化反応により形成されたものであり、
    (A)前記ポリウレタン前駆体が(a)活性水素を有する単量体化合物(a−1)及び重合体(a−2)の少なくとも1種と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及びウレトジオン基を有する化合物(b−2)の少なくとも1種とを含む混合物であり、
    (B)前記難燃性付与剤が窒素原子を含む有機化合物(c−1)及びリン原子を有する有機化合物(c−2)の少なくとも1種を含み、
    (C)前記ポリウレタン前駆体と、前記難燃性付与剤との組成物が0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有するものであり、
    (D)前記難燃樹脂被覆層の全質量に対する前記難燃性付与剤の含有量が10〜50質量%である、
    ことを特徴とする建築養生メッシュシート。
  2. 前記ポリウレタン前駆体用イソシアネート基含有化合物(b−1)が、ブロックイソシアネート基を有する化合物から選ばれる、請求項1に記載の建築養生メッシュシート。
  3. 前記窒素原子を含有する有機化合物(c−1)が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれる請求項1又は2に記載の建築養生メッシュシート。
  4. 前記リン原子を含有する有機化合物(c−2)が、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、及びポリリン酸アンモニウムから選ばれる、請求項1又は2に記載の建築養生メッシュシート。
  5. 前記粗目織編物が、前記繊維糸条の2〜4方向の交錯によって織編された、2軸織編物、3軸織編物、4軸織編物から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃メッシュシート。
  6. 前記粗目織編物が、粗目織編物の表面積に対し5〜65%の合計空隙面積を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃メッシュシート。
  7. 前記粗目織編物が、ホスホン酸化合物によって難燃下処理されたものである、請求項1〜6項のいずれか1項に記載の難燃メッシュシート。
  8. 繊維糸条からなり、その交錯により形成された糸条間隙を有する粗目織編物を、
    (A)(a)活性水素を有する単量体化合物(a−1)及び重合体(a−2)の少なくとも1種と、(b)イソシアネート基を有する化合物(b−1)及びウレトジオン基を有する化合物(b−2)の少なくとも1種とを含む混合物からなるポリウレタン前駆体、及び
    (B)窒素原子を含む有機化合物(c−1)及び、リン原子を有する有機化合物(c−2)の少なくとも1種を含む難燃性付与剤を含み、
    (C)かつ0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間の液粘度を有する、
    難燃性ポリウレタン前駆体組成物による含浸又は被覆処理に供し、
    前記粗目織編物の前記繊維糸条の少なくとも露出している表面の全面を含浸又は被覆している前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物に加熱処理を施して、これを難燃性ポリウレタン樹脂組成物に変成して難燃樹脂被覆層を形成し、このとき、前記難燃樹脂被覆層の全質量に対する前記難燃性付与剤の含有量を10〜50質量%に調整することを特徴とする建築養生メッシュシートの製造方法。
  9. 前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物が、希釈溶剤を含まない、請求項8に記載の建築養生メッシュシートの製造方法。
  10. 前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物が、希釈溶剤を含む、請求項8に記載の建築養生メッシュシートの製造方法。
  11. 前記難燃性ポリウレタン前駆体組成物の含浸又は被覆が10〜50℃において行われ、前記加熱処理が100℃以上の温度において行われる、請求項8〜10のいずれか1項に記載の建築養生メッシュシートの製造方法。
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