JP3928021B2 - 建築工事用難燃性複合メッシュシート及びその製造方法 - Google Patents

建築工事用難燃性複合メッシュシート及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビルやマンションなどの中高層建築物の建設現場、及び改修工事現場などの安全張囲いシートに使用される建築工事用難燃性複合メッシュシート及びその製造方法に関するものである。さらに詳しく説明すれば、本発明は、主に中高層建築物や大型建造物の建設、または解体工事現場の安全張囲いシートに長期間使用でき、使用後には汚れを洗濯除去して再利用でき、かつ、不慮の火災に遭遇した場合には燃焼してもハロゲン化水素ガスを発生することがない非塩ビ製の建築工事用難燃性複合メッシュシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
塩化ビニル樹脂は、柔軟かつ強靭で、耐久性、加工性、コスト性に優れているため、広い用途で汎用的に使用されている。中でも塩化ビニル樹脂ペースト組成物は液状であるため加工の応用範囲が広く、例えばコーティング加工やディッピング加工に適している。特に中高層建築物の建設現場、及び改修工事現場などの安全張囲い用に使用される従来のメッシュシートは、粗目ポリエステル繊維織物に塩化ビニル樹脂ペースト組成物をコーティング加工やディッピング加工などにより含浸被覆し、これを加熱ゲル化して得られる産業資材である。このメッシュシートは通気性と採光性を有し、また消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(引張強さ×伸び、引張強さ、はとめ部強度、鋼管落下による耐貫通試験)とを満足することにより、建設現場の安全張囲い用に最も多く使用されているメッシュシートである。これらのメッシュシートは長期間張囲いに使用されることによって煤塵汚れが付着して汚れると同時に、建築物外壁のスプレー塗装時に飛散した塗料が付着するなどして外観を悪くするものであるが、メッシュシート自体の性能には特に影響がない。このため、建築物完成後に取り外されたメッシュシートは業者によってアルカリ洗剤などによる特別な洗濯が行われた後、次の建設現場の安全張囲い用に再使用されている。このようにして2〜3回再使用されることにより、メッシュシートの強度は徐々に劣化することが避けられないため、最後には廃棄処分される。しかし、塩化ビニル樹脂製品の安易な焼却処理は、ダイオキシン発生の懸念から好ましい事ではなく、また、埋め立て処理に用いた場合には、軟質塩化ビニル樹脂に含まれる可塑剤や金属安定剤などが地下水系に拡散して混入する心配がある。このため、最近のプラスチック製品には、廃棄処分の際にできるだけ環境的負荷が少ないもの、すなわちリサイクルが容易であることが望まれるようになってきた。
【0003】
こうした社会的要請に対して、最近、中高層建築物の建設現場の安全張囲い用メッシュシートにも非塩ビ製のものが少なからず望まれるようになり、この要望に応えるために製造業者は、従来のメッシュシートの製造装置が使用でき、しかも塩化ビニル樹脂ペースト組成物と同様の加工性を有する樹脂溶液を検討した結果、水分散樹脂(例えば、樹脂エマルジョンや樹脂ディスパージョン)に難燃剤粉体を添加したペースト状組成物による非塩ビ製の防炎メッシュシートが注目されている。これらは、例えば、i).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献1参照)、ii).エチレン−酢酸ビニル共重合体水性ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献2参照)、iii).エチレン−酢酸ビニル共重合体水性ディスパージョンに赤燐とポリ燐酸アンモニウム化合物、及びリン酸エステルを配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献3参照)、iv).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンにポリ燐酸アンモニウム化合物と金属水酸化物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献4参照)、v).ポリオレフィン樹脂ディスパージョンに赤燐と硫酸メラミン、及び金属水酸化物を配合してなる難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献5参照)、vi).ポリウレタン樹脂水性ディスパージョンに非ハロゲン有機リン酸エステルを配合してなり、これにオキサゾリン基含有水系架橋剤を含む難燃剤で被覆処理した防炎メッシュシート(特許文献6参照)などのメッシュシートである。しかしながらi)〜vi)(特許文献1〜6参照)のメッシュシートでは、水性ディスパージョンを使用しているために本質的に耐水性に劣り、再使用を目的とするアルカリ洗剤による洗濯時に樹脂被覆層が膨潤し、これが擦れ合うことによって樹脂被覆層が容易に脱落してしまい、再使用できない欠点がある。また、中でも難燃剤成分に赤燐を使用しなければならない上記i)〜iii)、v)(特許文献1,2,3,5参照)のメッシュシートでは、赤燐自体の有する赤褐色の影響により自由な着色ができない問題と、屋外使用時に太陽光で赤燐の色が脱色してメッシュシートの色相が変化する問題と、さらに降雨により赤燐が加水分解してしまう問題などがあり、総じて耐久性に劣るものである。これに対しvi)のメッシュシートは架橋剤を併用して被覆樹脂の耐水性をある程度改良したものであるが、これでもアルカリ洗剤による洗濯に耐えるレベルには到っておらず、特に難燃剤に用いた非ハロゲン有機リン酸エステルが容易に加水分解されることは再使用時の防炎性の観点からは大きな問題となる。
【0004】
また一方、2官能基リン化合物を共重合した原着難燃ポリエステル繊維を用いた横絽組織の織物が建築工事用メッシュシートに提案されている。(特許文献7、特許文献8、特許文献9参照)確かにこのメッシュシートでは特別な横絽組織によって構成されるため、洗濯しても目ズレせず、しかも軽量なものであるが、しかし、これらのメッシュシートでは目ズレを起こさせないために頑強な横絽組織を必要とするために、従来の建築工事用の張囲いシートに比べて織りの空隙部が極端に少なく、このため通気性と採光性に劣る欠点がある。また、横絽組織のメッシュシートの通気性と採光性を改良するために織りの空隙部を大きく設計することも可能ではあるが、しかしこれでは目ズレを発生し易くなるばかりでなく、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となるため、上記原着難燃ポリエステル繊維を用いた横絽組織のメッシュシートでは通気性と採光性が劣るのは仕方のないことであった。また、上記メッシュシートは繊維が剥き出しで使用されるため建築現場では擦過傷が付きやすく、これが原因となって基準強度を満足できなくしたり、鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。また、例え繊維に紫外線吸収剤を含ませても長期的には太陽光による光劣化は免れず、また、アルカリ洗濯時には加水分解の危惧も大きいのが現状である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−036602号公報、2〜5頁
【特許文献2】
特開平11−117175号公報、2〜6頁
【特許文献3】
特開平11−172806号公報、2〜6頁
【特許文献4】
特開2000−063841号公報、2〜6頁
【特許文献5】
特開2000−178559号公報、2〜6頁
【特許文献6】
特開2002−069293号公報、2〜5頁
【特許文献7】
特開平08−109541号公報、2〜7頁、1〜3図
【特許文献8】
特開平08−269850号公報、2〜6頁
【特許文献9】
特開平10−169205号公報、2〜6頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題であった建設現場の張囲い用非塩ビ製メッシュシートの耐洗濯性の問題を解決し、洗濯再使用可能で、再使用においても消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能を満足し、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能を維持可能な、建築工事用難燃性複合メッシュシート及びその製造方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく研究、検討を重ねた結果、ホスホン酸化合物含有難燃下処理剤により下処理された粗目織編物を含む基布に特定の難燃性付与成分を含む水分散ポリウレタン系樹脂組成物を付着含浸し、この乾燥によって難燃下地層を形成し、さらにこの難燃下地層上に、反応性非水分散ポリウレタン前駆体(又はこの組成物)を付着含浸し、この反応によってポリウレタン系樹脂に転化して前記難燃下地層上に耐水保護層を特定比率で被覆形成した特定付着率の樹脂被覆層を設けることによって得られる難燃性複合メッシュシートが優れた耐久性を有し、洗濯しての再使用可能であり、再使用においても消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能を満足できることを見出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートは、互に交錯する多数の繊維糸条からなり、その間に空隙が形成されている粗目織編物を含む基布と、この基布用粗目織編物の繊維糸条の少なくとも露出している表面を被覆している少なくとも1層の難燃下地層及びその上に形成された少なくとも1層の耐水保護層からなる樹脂被覆層とからなり、
前記基布用粗目織編物が、ホスホン酸化合物を含む難燃下処理剤による難燃下処理が施されたものであり、
前記難燃下地層が、水分散ポリウレタン樹脂を主成分として含むバインダー樹脂と、窒素原子含有難燃化化合物及びリン原子含有難燃化化合物の少なくとも1種からなる難燃性付与剤と、硬化剤とを含む水分散組成物の含浸又は塗布、及び乾燥により形成されたものであり、
前記耐水保護層が、反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液を前記難燃下地層上に塗布し、乾燥することによって、ポリウレタン樹脂に転化して形成されたものであり、
前記耐水保護層用反応性非水分散ポリウレタン樹脂前駆体(B)含有処理液が、(B−1)ポリウレタンプレポリマー成分と、a).ポリイソシアネート化合物、及び/又は、b).ブロックポリイソシアネート化合物とを含み、かつ有機溶媒に溶解された粘性液体、又は(B−2)分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子( ii )と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又は、b).分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含み、かつ0.1〜10 Pa ・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する粘性液体であり
前記難燃下地層の合計質量と、前記耐水保護層の合計質量との質量比が、99:1〜50:50であり、かつ
前記樹脂被覆層の合計質量の、前記粗目織編物の質量に対する質量比により表される被覆率が、25〜200質量%である
ことを特徴とするものである。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記難燃下地層用バインダー樹脂が、前記水分散ポリウレタン系樹脂を固形分換算50〜100質量%の含有量で含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記難燃下地層中の前記難燃性付与剤の含有量が10〜60質量%であることが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記耐水保護層が、さらに10〜60質量%の難燃性付与剤を含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記難燃下地層用及び耐水保護層用難燃性付与剤が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれた1種以上の窒素原子含有難燃化化合物を含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記難燃下地層用及び耐水保護層用難燃性付与剤が、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウム誘導体から選ばれた1種以上のリン原子含有難燃化化合物を含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記難燃下地層用硬化剤が、ポリイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、及び有機シラン化合物から選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記基布用粗目織編物が、2〜4方向に伸びる繊維糸条の交錯によって織編された、2軸織編物、3軸織編物、4軸織編物から選ばれることが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記基布用粗目織編物の表面積に対し、前記粗目織編物の空隙の合計面積の比が、5〜65%であることが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートにおいて、前記基布用粗目織編物の難燃下処理剤がホスホン酸化合物とともに熱可塑性バインダー樹脂をさらに含むことが好ましい。
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートの製造方法は、互に交錯する多数の繊維糸条からなり、その間に空隙が形成されている粗目織編物を含む基布を用い、この基布の粗目織編物の繊維糸条の少なくとも露出している表面を被覆している少なくとも1層の難燃下地層及びその上に形成された少なくとも1層の耐水保護層からなる樹脂被覆層を形成するに際し、
前記粗目織編物に、ホスホン酸化合物を含む難燃下処理剤による難燃下処理を施し、この難燃下処理された粗目織編物を含む基布を調製し、
前記難燃下地層を形成するために、水分散ポリウレタン樹脂を主成分として含むバインダー樹脂と、窒素原子含有難燃化化合物及びリン原子含有難燃化化合物の少なくとも1種からなる難燃性付与剤と、硬化剤とを含む水分散組成物を、前記基布に浸漬・圧搾法により含浸し又はコーティング法によって塗布し、これを乾燥する処理を施し、
前記耐水保護層を形成するために、反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液を、前記難燃下地層が形成されている基布に、浸漬・圧搾法により含浸し、又はコーティング法により塗布し、これを乾燥する処理を施し、それによって前記ポリウレタン樹脂前駆体を、ポリウレタン樹脂に転化し、
このとき前記反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液として、
(B−1)ポリウレタンプレポリマー成分と、a).ポリイソシアネート化合物、及び/又は、b).ブロックポリイソシアネート化合物とを含み、かつ有機溶媒に溶解された粘性液体、又は、
(B−2)分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子( ii )と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又は、b).分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含み、0.1〜10 Pa ・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する粘性液体、を用い、
前記難燃下地層の合計質量と、前記耐水保護層の合計質量との質量比を、99:1〜50:50に制御し、かつ
前記樹脂被覆層の合計質量の、前記粗目織編物の質量に対する質量比により表される被覆率を25〜200質量%に制御する、
ことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートは、繊維糸条の交錯によって形成された空隙を有する粗目織編物と、この粗目織編物全面に含浸被覆形成された、少なくとも1層以上の難燃下地層及び耐水保護層からなる樹脂被覆層との複合体であって、難燃下地層が、水分散ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と、難燃性付与剤として、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物、及び硬化剤とを含む水分散組成物の乾燥によって形成された難燃化ポリウレタン系樹脂層であり、また耐水保護層が、(B).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(又はこの組成物)の反応によってポリウレタン系樹脂に転化して難燃下地層上に被覆形成されたポリウレタン系樹脂層であり、難燃下地層と耐水保護層との質量比が99:1〜50:50、かつ、粗目織編物に対する樹脂被覆層の被覆率が25〜200質量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートの製造方法は、繊維糸条の交錯によって形成された空隙を有する粗目織編物を基布として用い、この粗目織編物全面に、少なくとも1層以上の難燃下地層と耐水保護層とを有する樹脂被覆層を設けるに際し、1).前記難燃下地層の形成を、水分散ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と、難燃性付与剤として、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物、及び硬化剤とを含む水分散組成物を浸漬・圧搾法又はコーティング法により付着含浸し、これを乾燥することによって行い、2).前記耐水保護層の形成は、前記難燃下地層上に、(B).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(又はこの組成物)を浸漬・圧搾法又はコーティング法により付着含浸し、この反応によってポリウレタン系樹脂に転化して耐水保護層を被覆形成し、前記難燃下地層と耐水保護層との質量比を99:1〜50:50、かつ、前記粗目織編物に対する前記樹脂被覆層の被覆率を25〜200質量%として耐洗濯性に優れた建築工事用メッシュシートを得るものである。
【0010】
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートの難燃下地層は、水分散ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と、難燃性付与剤として、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物、及び硬化剤とを含む水分散組成物の乾燥によって形成された難燃化ポリウレタン系樹脂層である。バインダー樹脂は、少なくとも水分散ポリウレタン系樹脂を固形分換算50〜100質量%含むものである。水分散ポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート化合物及びポリオール化合物などの原料を乳化剤の存在下、水中で乳化重合することによって得られるポリウレタン系樹脂エマルジョンを用いてもよく、あるいはポリウレタン系樹脂を水中に強制的に分散・懸濁させたポリウレタン系樹脂ディスパージョンなどを用いてもよい。これらの水分散ポリウレタン系樹脂は、エステル型ポリウレタン樹脂、エーテル型ポリウレタン樹脂、カーボネート型ポリウレタン樹脂、カプロラクトン型ポリウレタン樹脂、アクリル型ポリウレタン樹脂などの何れであってもよく、或はこれらのエマルジョン、及びディスパージョンの混合物であってもよい。更に、上記水分散ポリウレタン系樹脂はその分子構造中に、水酸基、カルボン酸基、4級アンモニウム塩基などが導入された官能基含有変性エマルジョンであってもよく、特に水酸基、カルボン酸基を含有する水分散ポリウレタン系樹脂であると、硬化剤に対し、高い反応性を有し、得られる複合メッシュシートの難燃下地層の耐水性を改善させる目的に好ましい。
【0011】
具体的にバインダーの固形分であるポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート化合物と、水酸基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物と、イソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られるものを用いることが好ましい。イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、o−、m−、またはp−キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、シクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6 XDI)などの脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネート類が挙げられる。
【0012】
また水酸基を2個以上有するポリオール化合物としては、例えば、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ヘキセン、及びプロピレングリコールなどの炭素数2〜8のグリコール類と、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、スペリン酸、セバシン酸などの炭素数4〜10の飽和脂肪族ジカルボン酸、もしくは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸との縮合体、アルキレングリコールとラクトン基との共重合によって得られるポリエステルグリコール類で、例えば、ポリラクトンジオール、ポリエナントラクトンジオールなど、また、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとアルキレングリコールとの縮合体、炭素数2〜4のポリアルキレングリコール類、テトラヒドロフランの開環重合などによって得られるポリアルキレンエーテルグリコール類、更にジヒドロキシポリエステルアミド類、ジヒドロキシポリアセタール類、ジヒドロキシポリアルキレン類、ジヒドロキシポリカーボネート類などである。更に鎖延長剤として例えば、炭素数2〜6の飽和脂肪族グリコール類を適宜使用することができる。
【0013】
これらの中でもポリオール化合物として、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール類を用いて重合したエーテル型ポリウレタン樹脂、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリ−ε−カプロラクトン類を用いて重合したエステル型ポリウレタン樹脂、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)類を用いて重合したポリカーボネート型ポリウレタン樹脂などが好適であり、これらのポリウレタン樹脂構造中に、水酸基、カルボン酸基、及び4級アンモニウム塩基などが導入されたものを用いることが水分散性の観点において好ましい。特に本発明においては、難燃下地層の形成に使用するポリウレタン系樹脂としては耐水性の観点から、エーテル型ポリウレタン樹脂、またはポリカーボネート型ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。また更に本発明において難燃下地層の形成に使用するポリウレタン系樹脂としては耐候性の観点から非黄変性ポリウレタン樹脂を使用するのが好ましく、非黄変性ポリウレタン樹脂は、上記イソシアネート化合物の中から特に脂肪族、脂環式(水素添加物を包含する)ジイソシアネート類を原料に重合されたものが挙げられる。
【0014】
イソシアネート基と反応する官能基を有する化合物としては、前記ポリオール化合物の他に、例えばエチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどの炭素原子数2〜12の脂肪族ジアミン化合物、ピペラジン、1,4−ジアミノピペラジン、1,3−シクロヘキシレンジアミン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、イソホロンジアミンなどの炭素原子数6〜12の脂環式ジアミン化合物、ジフェニルメタンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノベンゼンなどの芳香族ジアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの3〜5個の窒素原子を有する脂肪族ポリアミン化合物、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミン化合物、N−メチル−N,N−ジ(アミノエチル)アミン、N−エチル−N,N−ジ(アミノエチル)アミンなどのN−アルキル−N,N−ジ(アミノアルキル)アミン化合物、その他ヒドラジン、ポリアミノヒドラジドなどから選ばれた1種以上を使用することができ、またこれらの化合物はジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応によって生成するポリウレタンプレポリマーの鎖延長剤として使用することができる。
【0015】
本発明の難燃性複合メッシュシートの難燃下地層は、ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と難燃性付与剤とから構成されるものであり、バインダー樹脂はポリウレタン系樹脂のみ(上記ポリウレタン系樹脂の複数併用を包含する)で構成されることが耐水保護層との接着性の観点においては最も好ましい。しかし、低温環境下での風合い改善のため、難燃性付与剤との親和性向上のため、液粘度調整のため、水分散樹脂を繊維織物に含浸・圧搾して含浸・付着させる加工機の洗浄必要の改善のためなどの必要に応じて上記ポリウレタン系樹脂以外の水分散樹脂を耐水保護層との接着性を損なわない範囲でブレンド併用することもできる。本発明のメッシュシートの難燃下地層のバインダー樹脂成分にブレンドして用いる水分散樹脂のブレンド率は固形分換算でバインダー樹脂全体の50質量%未満であることが好ましく、ブレンド率が50質量%を超えて大きくなると、耐水保護層との接着性を悪くして洗濯時に剥離することがある。難燃下地層のバインダー樹脂成分にブレンドして用いる水分散樹脂としては、特に制限はないが、例えば、アクリル系共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、アクリル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル系樹脂などの水分散体が挙げられる。
【0016】
アクリル系共重合体樹脂としては具体的に、アルキル基の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、これらは例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシルなどから選ばれた2種以上のモノマーの乳化重合によって得られる水分散共重合体樹脂である。またアクリル系共重合体樹脂としては、アクリル系モノマーと反応性を有する共重合モノマーをアクリル系モノマーと置換して含む水分散共重合体樹脂であってもよく、共重合モノマーとしては例えば、マイレン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸類、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどのアミド化合物類、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸類、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸類、エチレン、プロピレン、ブテン−1,4−メチルペンテン−1,ヘキセン−1などのα−オレフィン類、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、ポリオキシエチレンアリルエーテル、エチルアリルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテルなどのアルケニル類、酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル類、スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物類などを用いることができる。また上記アクリル系共重合体樹脂のうち、スチレン−アクリル共重合体樹脂、エチレン−アクリル共重合体樹脂、アクリル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが好ましい。また酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂は、エチレンモノマーと酢酸ビニルモノマーとを乳化重合して得られる樹脂エマルジョンで酢酸ビニル成分量が60〜95重量%のものが使用できる。またエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂はラジカル共重合の際に重合体を水中に強制分散して得られた樹脂ディスパージョンで酢酸ビニル成分量が6〜35重量%のものが使用できる。
【0017】
ポリエステル系共重合体樹脂としては、炭素数4〜12のジカルボン酸と、ジオールとの重縮合によって得られる飽和ポリエステル樹脂が使用される。これらは特に非結晶性であることが好ましく、この様な飽和ポリエステル樹脂としては少なくとも芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の組み合わせから選ばれた2種以上のジカルボン酸及び、そのエステル形成誘導体と、ジオール及びそのエステル形成誘導体との重縮合によって得られる水分散飽和ポリエステル共重合樹脂を用いることが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4′−ジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などの他、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、4,4′−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環式化合物が挙げられる。更にこれらのジカルボン酸のエステル形成誘導体、例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物なども同等に用いることができる。ジオールとしては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環式ジオール、キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサンなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールもエステル形成誘導体、例えば、アセチル体、アルカリ金属塩等の化合物でも用いることができる。また、これらのジオールは2種以上を併用してもよい。更にポリエステル系共重合体樹脂として、脂肪族ポリエーテルブロック重合体及び/又は脂肪族ポリエステルブロック重合体成分を上記飽和ポリエステル共重合樹脂に組み込んだ水分散共重合樹脂なども使用することができ、例えば、脂肪族ポリエーテルブロック重合体としては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合樹脂、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合樹脂、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合樹脂などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルブロック重合体としては、例えば、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。
【0018】
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートの難燃下地層には、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物及び有機シラン化合物から選ばれた1種以上からなる硬化剤を含むことが、得られるメッシュシートの耐洗濯性を向上させるという観点において好ましい。上記バインダー樹脂に対する硬化剤の添加量は、固形分質量比で100:0.5〜100:10、好ましくは100:1〜100:5である。硬化剤の添加量が100:0.5未満だと得られるメッシュシートの耐洗濯性が不十分となり、また添加量が100:10を超えると得られるメッシュシートが硬くなり落下試験時の耐貫通性を悪くすることがある。
【0019】
硬化剤用ポリイソシアネート化合物としては、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネートなどが挙げられるが、水分散樹脂に添加使用の観点において、特にイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、ビュレット変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)などが好ましく、これらには親水性基が導入されたものが更に分散安定性の観点において好ましい。また硬化剤用カルボジイミド化合物としては、有機ジイソシアネート化合物をカルボジイミドに転換することによって得られる化合物、例えば、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−p−トルカイルカルボジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどが挙げられ、特にポリカルボジイミドなどの多官能化合物が好ましく使用できる。これらには親水性基が導入されたものが更に分散安定性の観点において好ましい。またアジリジン化合物としては例えば、ジフェニルメタン−ビス−4,4′−N,N′−ジエチレンウレア、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]及びこれらのエマルジョンなどが使用できる。また硬化剤用オキサゾリン化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られるオキサゾールを原料として、これから誘導される化合物であり、例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、スチレン樹脂またはアクリル系樹脂などのポリマーを幹としてオキサゾリル基をグラフトした多官能オキサゾリンポリマーのエマルジョンなどが使用できる。また、硬化剤用有機シラン化合物としては、一般式:XR−Si(Y)3 で表される分子中に2個以上の異なった反応基を有するシランカップリング剤で、例えば、X=アミノ基、ビニル基、エポキシ基、クロル基、メルカプト基など(R=アルキル鎖)、Y=メトキシ基、エトキシ基などである。またこれらの加水分解物、及びアルコキシシラン化合物との共加水分解化合物なども使用できる。具体的に有機シラン化合物としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの有機シラン化合物はバインダー樹脂に対して10.5〜5.0質量%濃度で使用し、水分散樹脂中に添加時に加水分解させて使用することが好ましい。また有機シラン化合物として変性ジメチルポリシロキサンなどを使用することもできる。
【0020】
本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートの難燃下地層に配合する難燃付与剤としては、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物が用いられる。窒素原子含有難燃化化合物としては、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物を用いることが好ましい。またリン原子含有難燃化化合物としては、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウム誘導体を用いることが好ましい。これらの難燃性付与剤の配合量は、難燃下地層に対して10〜60質量%であり、特に25〜50質量%含むことが得られるメッシュシートの防炎性の観点において好ましい。上記難燃性付与剤の配合量が10質量%未満であると、得られるメッシュシートの防炎性が不十分となることがあり、また60質量%を超えると、得られるメッシュシートの摩耗性を悪くすることがある。上記窒素原子含有難燃化化合物としては、具体的に、
i).トリメチルシアヌレート、トリエチルシアヌレートなどのシアヌレート誘導体、及びこれらの(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物(例えばメラミンシアヌレート)、トリメチルイソシアヌレート、トリエチルイソシアヌレートなどの(イソ)シアヌレート系化合物及びこれらの誘導体、
ii).メラミン(シアヌル酸アミド)、グアナミン、ベンゾグアナミン、硫酸メラミン、トリメチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、シアヌル酸モノアミド、シアヌル酸ジアミド、及び1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリオキシ−1,3,5−トリアジンなどのシアヌル酸誘導体、また、イソシアヌル酸モノイミド、イソシアヌル酸ジイミド、イソシアヌル酸トリイミド、カルシウムシアナミド(石灰窒素)、トリメチルジシアナミド、トリエチルジシアナミド、トリカルボイミド、及びジシアナミドの3量体(メロン)などの(イソ)シアヌル酸系化合物及びこれらの誘導体、
iii).またジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、リン酸グアニジン、硫酸グアニジン、及びジグアニドなどのグアニジン系化合物及びこれらの誘導体、
iv).また、尿素、チオ尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、エチレン尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及びリン酸グアニル尿素などの尿素系化合物及びこれらの誘導体、
v).また上記i〜ivの窒素原子含有難燃化化合物とリン原子含有難燃化化合物との複合塩、例えば(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の複合塩、(ポリ)リン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の複合塩、ホスホン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、ホスフィン酸とメラミンの複合塩、ホスフィン酸とメラミン系化合物の2〜3量体との複合塩、スルファミン酸とメラミン系化合物の複合塩などが挙げられる。
その他の窒素原子含有難燃化化合物として、ピロール類、インドール類、オキサゾール類、オキサジン類、チアジン類、ピリダジン類などの複素環式化合物なども使用することができる。上記窒素原子含有難燃化化合物の中でも、特に(イソ)シアヌル酸誘導体、(イソ)シアヌレート誘導体とメラミン系化合物との複合物(例えばメラミンシアヌレート)などが好ましく、これらの窒素原子含有難燃化化合物は特にリン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、及びポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体など併用して用いることが防炎効果と耐久性との観点において好ましい。
【0021】
上記リン原子含有難燃化化合物としては、具体的に、
i).赤リンとしては、黄リンを不活性ガス雰囲気下、250〜350℃の加熱によって赤リンに転化した平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リンが用いられる。特に赤リンには、メラミン系樹脂、尿素系樹脂、トリアジン系樹脂などの窒素含有樹脂により表面被覆安定化された平均粒子径5〜25μmの粉末状の赤リン、及び酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化アルムニウムなどの無機金属化合物により表面被覆白色化された平均粒子径5〜25μmの粉末状赤リンを使用することが好ましい。
ii).金属リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの金属塩が挙げられ、塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどであり、具体的には、リン酸二水素カルシウム(過リン酸石灰)、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウムなどが挙げられる。
iii).金属有機リン酸塩としては、リン酸オクチルカリウム、リン酸ヘキシルカルシウムなど、PO(OR)(OH)2 で示されるリン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、リン酸ジブチルカリウム、リン酸ジヘキシルカルシウムなど、PO(OR)2 OHで示されるリン酸ジアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジオクチルカリウム、亜リン酸ブチルカルシウムなど、P(OR)(OH)2 で示される亜リン酸モノアルキルエステルの金属塩、また、亜リン酸ジドデシルカリウム、亜リン酸ジブチルカルシウムなど、P(OR)2 OHで示される亜リン酸ジアルキルエステルの金属塩が挙げられ、これらと塩を形成する金属としてはNa,K,Li,Ca,Ba,Mg,Al,Znなどである。(※Rはアルキル基を表す)
iv).またリン酸誘導体としては、イ).トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリクレジルフォスフェートなどのリン酸エステル類、及び芳香族縮合リン酸エステル類、ロ).またホスホン酸系化合物として、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、ブチルホスホン酸、ビニルホスホン酸ジメチルエステル、ビニルホスホン酸ジフェニルエステル、メチルホスホン酸モノビニルエステル、フェニルホスホン酸モノビニルエステルなどのホスホン酸エステル、及び環式ホスホン酸エステル類、また例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ブテニルホスホン酸、ビニルフェニルホスホン酸、2−アクリロイロキシエチルホスホン酸、2−メタアクリロイロキシエチルホスホン酸、ビス(2−メタクロイロキシエチル)ホスホン酸などのホスホン酸誘導体が挙げられるが、特に環式ホスホン酸エステル類(式(I)、及び式(II))を用いることが好ましい。
【化1】
Figure 0003928021
【化2】
Figure 0003928021
ハ).また、ジメチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸類など、さらに窒素含有化合物(メラミン、メラミンの2量体、メラミンの3量体など)のホスホン酸塩、またはホスフィン酸塩などが挙げられる。
v).ポリリン酸アンモニウムとしては、(NH4 PO3)n で示される、重合度nが30〜1200のものが好ましい。また、ポリリン酸アンモニウムは、メラミン樹脂、尿素樹脂、トリアジン樹脂などの窒素含有樹脂から選ばれた1種以上により表面被覆耐水化されたものを使用することが好ましい。
vi).ポリリン酸アンモニウム誘導体化合物としては、リン酸アンモニウムと、メラミン、尿素、トリアジンなどの含窒素化合物との縮合物である縮合系リン酸塩化合物で、これらは例えば、メラミン変性ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸メラミンなどが好ましく使用できる。上記リン原子含有難燃化化合物のなかでも、特にリン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類、及びポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム誘導体などが好ましく、さらに、これらのリン原子含有難燃化化合物は窒素原子含有難燃化化合物と併用して用いることが防炎効果と耐久性との観点において好ましい。
【0022】
また、本発明の難燃性複合メッシュシートの難燃下地層には、必要に応じて、粒径0.1〜20μm、特に0.5〜10μmの、i).シリカ、合成非晶質シリカ(二酸化ケイ素)、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ藻土などのケイ素化合物、ii).水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ジルコニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ヒドロキシスズ酸亜鉛、酸化スズ水和物、ホウ砂などの金属水酸化物、iii).酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン、酸化アンチモン、ジルコニウム−アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、iv).炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウムなどの金属炭酸塩化合物、v).硫酸アルミニウム、硫酸バリウムなどの金属硫酸塩化合物、vi).ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウムなどのホウ酸化合物、vii).アルミナ水和物、ゼオライト、セピオライト、ハイドロタルサイト、ヒドロキシアパタイト、ケイ藻土などの無機系化合物複合体などの無機系化合物を適量併用することもできる。
【0023】
本発明の難燃性複合メッシュシートの難燃下地層は、無機系顔料、及び有機系顔料を用いて任意に着色されていてもよい。例えば無機系顔料としては、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べんがら)、黄色酸化鉄、フエロシアン化鉄(紺青)、スピネル構造酸化物、またアルミニウム粉、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉などの金属顔料やパール顔料など、有機系顔料としては、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、フタロシアニン顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料など公知の顔料が挙げられる。また難燃下地層には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などを適量添加することが好ましい。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物及び、アニリド系化合物の紫外線吸収剤が使用でき、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、及びフォスファイト系化合物の酸化防止剤が使用できる。また光安定剤としてはヒンダードアミン系化合物の光安定剤が使用できる。上述の難燃下地層を形成する水分散組成物の液粘度は、0.1〜10Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが好ましい。
【0024】
本発明の難燃性複合メッシュシートの耐水保護層は、(B).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(又はこの組成物)の反応によってポリウレタン系樹脂に転化して難燃下地層上に被覆形成されたポリウレタン系樹脂層である。このうち上記(A)の場合、非水分散ポリウレタン系樹脂は、ポリオール成分とポリイソシアネート化合物との重合反応によって得られたもので、かつ、有機溶媒に溶解されている粘性液体である。また上記(B)の場合、反応性非水分散ポリウレタン前駆体が、(B−1)ポリウレタンプレポリマー成分と(ブロック)ポリイソシアネート化合物とを含み、この反応性非水分散ポリウレタン前駆体が有機溶媒に溶解されている粘性液体(B−1)であり、あるいは、(B−2)分子内に活性水素基を含有する化合物または高分子と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又はb).もしくは分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート基を含有する化合物とを含み、0.1〜10Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する粘性液体である。
【0026】
反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B)として用いられる(B−1)において、ポリウレタンプレポリマーは上記(A)と同様に、イソシアネート化合物と、水酸基を分子構造内に2個以上有するポリオール化合物と、イソシアネート基と反応する官能基を含有する化合物との付加重合反応によって得られ、分子量20000〜200000程度の、分子鎖中に水酸基基を含有するポリウレタン系樹脂が使用できる。特に本発明においては、耐水保護層の形成に使用するポリウレタン系樹脂としては耐水性の観点から、エーテル型ポリウレタン樹脂、またはポリカーボネート型ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。また更に本発明において耐水保護層の形成に使用するポリウレタン系樹脂としては耐候性の観点から非黄変性ポリウレタン樹脂を使用するのが好ましい。
【0027】
また、ポリウレタンプレポリマーと反応してポリウレタン系樹脂を生成する(ブロック)ポリイソシアネート化合物としては、ポリイソシアネート化合物、及びブロックポリイソシアネート化合物であり、これらは脂肪族、または脂環族(芳香族の水添化物を包含する。)から誘導されるものが得られるメッシュシートの耐光性の観点において好ましく、脂肪族ジイソシアネートとしては炭素数4〜24、好ましくは6〜12の化合物、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜24、好ましくは8〜16の化合物が使用でき、これらは例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、これらのイソシアネート化合物に、水、ポリカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコールなどの活性水素基含有化合物を反応させてウレア化、ウレタン化、アミド化させて得られたイソシアネート基含有変性体、またはこれらの反応と同時あるいは反応後にイソシアネート基をウレトジオン結合、またはカルボジイミド結合によって2量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をイソシアヌレート結合によって3量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をウレトンイミン結合によって高重合化したイソシアネート基含有変性体など、及び活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーなど、あるいはこれとイソシアヌレート・ウレタン変性イソシアネートとの混合物なども好ましく使用できる。また、これらのイソシアネート基は後述のブロック化剤で保護されているものであることが液粘度の安定性の観点において好ましい。
【0028】
特に本発明に用いる(ブロック)ポリイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6 XDI)から誘導される構成単位を少なくとも一部に有するものが耐光性の観点において好ましい。またブロックポリイソシアネート化合物はポリイシシアネート化合物(変性体)とブロック化剤との公知の反応によって得られるものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネートなどが挙げられるが、得られるメッシュシートの耐水保護層の強度、及び耐洗濯性の観点において特にイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、ビュレット変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)など、及びこれらのブロッキイソシアネート化合物が好ましい。これらのブロックポリイソシアネート化合物の有効イソシアネート基含有量は、ブロックイソシアネート化合物の固形分100質量換算で5.0〜20質量%、特に7.0〜18質量%であるものが得られるメッシュシートの耐水保護層の強度、及び耐洗濯性の観点において好ましい。
【0029】
また、(ブロック)ポリイソシアネート化合物は、合成時にヒドロキシル化合物によって変性されたものであってもよい。ヒドロキシル化合物としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノールなどのモノヒドロキシル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジヒドロキシル化合物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子多価アルコール、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類などの高分子量多価アルコール類などである。上記説明の(ブロック)ポリイソシアネート化合物は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じて芳香族ジイソシアネートを適量併用することもできる。
【0030】
またブロックポリイソシアネート化合物においてイソシアネート基を保護するブロック化剤としては、例えば、アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物などが挙げられ、このうちアルコール系ブロック化剤として具体的に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなど、またフェノール系ブロック化剤として具体的に、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステルなど、また活性メチレン系ブロック化剤として具体的に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなど、またメルカプタン系ブロック化剤として具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなど、また酸アミド系ブロック化剤として具体的に、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなど、また酸イミド系ブロック化剤として具体的に、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなど、またイミダゾール系ブロック化剤として具体的に、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなど、また尿素系ブロック化剤として具体的に、尿素、チオ尿素、エチレン尿素など、またオキシム系ブロック化剤として具体的に、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなど、またアミン系ブロック化剤として具体的に、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾールなど、またイミン系ブロック化剤として具体的に、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなど、またピリジン系ブロック化剤として具体的に、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンなど、またピラゾール系ブロック化剤としては具体的に、3,5−ジメチルピラゾールが挙げられる。このうち特にオキシム系、活性メチレン系、フェノール系、ピラゾール系のブロック化剤が好ましく使用でき、特にオキシム系の中では、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ピラゾール系の中では、3,5−ジメチルピラゾールが好ましく使用できる。ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤との反応は溶剤の存在の有無に係わらず行うことができ、このブロック化反応には錫、亜鉛、鉛などの有機金属塩、及び3級アミンなどを触媒として用いることもできる。またこのブロック化反応は0〜100℃、特に20〜80℃の条件下で行うことが好ましい。反応温度が100℃を越えると副反応を生じてブロック化剤が正常に機能しなくなることがあり、また0℃を下回ると反応速度が小さくなりブロック化剤が正常に付加しなくなることがある。また、ブロック化剤はブロックイソシアネート1当量当たり、0.15〜3.0当量、好ましくは0.2〜2.0当量添加される。添加量が0.15当量よりも少ないと、得られるポリウレタン前駆体の液粘度安定性に劣り、また3.0当量を越えると熱硬化時に硬化不良を起こすことがある。
【0031】
ポリウレタンプレポリマーとブロックポリイソシアネート化合物との熱硬化反応において、ブロックポリイソシアネート化合物のブロック化剤を解離させ、イソシアネート基を効率的に再生する目的と、ポリウレタンプレポリマーと再生イソシアネート基との反応を促進する目的で触媒を併用することが好ましい。この触媒としてはジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなどの有機錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5,などのアミン系触媒、これらのアミン系触媒のボラン塩、フェノール塩、オクチル酸塩、炭酸塩などのアミン塩系触媒、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マグネシウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸金属塩系触媒、トリエチルフォスフィン、トリベンジルフォスフィンなどのリン系触媒、ナトリウムメトキシドなどのアルコキシド系触媒が使用できる。触媒の使用は特に1種のみに限定されるものではなく必要に応じて2種以上併用しても良い。また触媒の添加量は、ポリウレタンプレポリマーとブロックポリイソシアネート化合物の総和量に対して1.0質量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%である。触媒の添加量が1.0質量%を越えると効果に差が観られないだけでなく、ポリウレタン前駆体組成物の液粘度に増粘を生じたり、あるいは液の保存時にゲル化を起こすことがあり好ましくない。これらの触媒はメッシュシートの製造時、ポリウレタン前駆体に適量添加して使用することが好ましく、必要に応じて触媒を有機溶媒、または可塑剤などで任意濃度に希釈調整したものを使用することもできる。
【0032】
上記反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)において、これらを溶解する有機溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などを単独、または2種以上併用して使用することができる。また、この時、上記溶剤に溶解される上記ポリウレタン前駆体(B−1)の固形分濃度には特に制限はないが、前述の難燃下地層と上記耐水保護層との質量比を99:1〜50:50とするに工程上安易な濃度が好ましく、例えば固形分濃度3〜75質量%、特に5〜40質量%、特に好ましくは8〜25質量%である。固形分濃度が3質量%未満だと、難燃下地層と耐水保護層との質量比を99:1〜50:50とするのに同一工程の繰り返しを必要とするため製造効率を悪くすることがあり、また固形分濃度が75質量%を超えると液粘度が高くなり過ぎて塗工が困難となることがある。また、この時これらの液粘度は、0.1〜10Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが耐水保護層形成の工程において好ましい。
【0033】
また(B)反応性非水分散ポリウレタン前駆体としての(B−2)は、分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子(ii)と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又は、b).分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含む組成物である。このうち分子内に活性水素基を含有する化合物(i)としては、数平均分子量62〜500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール、数平均分子量500〜30000の高分子ポリオールなどが使用できる。このうち(B−1)用低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール,2−n−ヘキサデカン−1,2−エチレングリコール、2−n−エイコサン−1,2−エチレングリコール、2−n−オクタコサン−1,2−エチレングリコール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ダイマー酸ジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、水素添加ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、トリメチルプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、クオドロール、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのカチオン性基非含有低分子ポリオール類、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基含有低分子ポリオール類、カルボン酸基含有低分子ポリオール類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩、2−スルホ−1,3−プロパンジオール、2−スルホ−1,4−ブタンジオールなどのスルホン酸基含有低分子ポリオール類、スルホン酸基含有低分子ポリオール類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩などが挙げられるが、特にこれらの化合物は側鎖を有するものが反応性非水分散ポリウレタン前駆体の相溶性、及び粘度安定性の観点において好ましい。
【0034】
また(B−2)用低分子ポリアミンとしてはエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、ピペラジンなどが挙げられ、また低分子アミノアルコールとしてはモノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどのモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミンなどが挙げられる。
【0035】
(B−2)用高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリアミドエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオールなどが挙げられる。このうちポリエステルポリオールは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、酒石酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、グルタコン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、アジピン酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、ハイドロムコン酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などのカチオン性基非含有ポリカルボン酸類、5−スルホ−イソフタル酸などのスルホン酸基含有ポリカルボン酸類やこのスルホン酸基含有ポリカルボン酸類とアンモニア、有機アミン、アルカリ金属、アルカリ土類金属などとの塩類、これらの酸無水物、酸ハライド、ジアルキルエステルなどの1種類以上と、前述の低分子ポリオールとの反応によって得られるものが挙げられ、さらにポリエステルポリオールには、前述の低分子ポリオールを開始剤として、ε−カプロラクトン、アルキル基置換ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、アルキル基置換δ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合させて得られるラクトン系ポリエステルポリオールなどが挙げられる。また更に低分子ポリオールの一部に替えてヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、モノエタノールアミンなどの低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールを用いて得られるポリアミドエステルポリオールが挙げられる。またポリカーボネートポリオールとしては、前述の低分子ポリオールの1種以上と、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとの脱アルコール反応や脱フェノール反応から得られるものが挙げられる。
【0036】
またポリエーテルポリオールとしては、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミンや低分子アミノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド、テトラヒドロフランなどのエポキサイドや環状エーテルの単体または混合物を開環重合させて得られるものが挙げられる。
またポリエーテルエステルポリオールとしては、前述のポリエーテルポリオールと前述のポリカルボン酸類などから得られるコポリオールなどが挙げられる。また、前述のポリエステルやポリカーボネートと、エポキサイドや環状エーテルとの反応によって得られるものなどが挙げられる。
またポリオレフィンポリオールとしては、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン、及びこれらの塩素化物などが挙げられる。
またフッ素ポリオールとしては、例えば、特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報に開示されているようなフルオロオレフィン、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステルなどの共重合体である。また、数平均分子量が500以上で、かつ、1分子中に活性水素基を1個以上有する化合物であれば、ダイマー酸系ポリオール、水素添加ダイマー酸系ポリオールなどであっても良い。
以上に説明した(i)成分は特に1種のみに限定されるものではない。
【0037】
また、分子内に活性水素基を含有する高分子(ii)((B−2)用)には、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸で変性したアルキッド樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂などの活性水素基含有樹脂が使用できるが、特にアクリル樹脂(アクリルポリオール)であることが得られるメッシュシートの耐水保護層の強度、及び耐洗濯性の観点において好ましい。(ii)成分に用いるアクリル樹脂(アクリルポリオール)としては、1分子中に1個以上の活性水素基を有する重合性モノマーの単独重合体または、2種以上のモノマーを共重合して得られる共重合体で、樹脂分水酸基価が10〜300mgKOH/gのものである。これらは例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有アクリル酸エステル類、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有メタアクリル酸エステル類、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタアクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタアクリル酸モノエステルなどの多価活性水素基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類をモノマーとする単独重合体または、これら2種以上のモノマーの共重合による共重合体である。また、これらにはさらにアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル類、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸−n−ブチル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸−n−ヘキシル、メタアクリル酸シクロヘキシル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸グリシジルなどのメタアクリル酸エステル類などの活性水素基非含有化合物を共重合したアクリル樹脂(アクリルポリオール)であっても良く、これらには更に必要に応じて、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、及びスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどの共重合性モノマーと共重合したアクリル系樹脂(アクリルポリオール)であっても良い。上記説明の(ii)成分は特に1種のみに限定されるものではない。
【0038】
分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物成分(a)としては、ポリイソシアネート化合物に、水、ポリカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコールなどの活性水素基含有化合物を反応させてウレア化、ウレタン化、アミド化させて得られたイソシアネート基含有変性体、またはこれらの反応と同時あるいは反応後にイソシアネート基をウレトジオン結合、またはカルボジイミド結合によって2量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をイソシアヌレート結合によって3量化したイソシアネート基含有変性体、イソシアネート基をウレトンイミン結合によって高重合化したイソシアネート基含有変性体など、及び、活性水素基含有化合物を反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、あるいはこれとイソシアヌレート・ウレタン変性イソシアネートとの混合物なども好ましく使用できる。また、これらのイソシアネート基は後述のブロック化剤で保護されているものである。
特に本発明に用いる(a)成分としては、反応性非水分散ポリウレタン前駆体の液状要件の観点から、ブロックイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6 XDI)から誘導される構成単位を少なくとも一部に有するものが好ましい。
また、(a)成分はポリイシシアネート化合物(変性体)とブロック化剤との公知の反応によって得られるものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ジイソシアネート、トリイソシアネートなどが挙げられるが、得られるメッシュシートの耐水保護層の強度、及び耐洗濯性の観点において特にイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、ビュレット変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)、トリメチロールプロパン変性ポリイソシアネート(特にHMDI系、IPDI系、H6 XDI系)などが好ましい。これらのブロックイソシアネート化合物の有効イソシアネート基含有量は、ブロックイソシアネート化合物の固形分100質量換算で5.0〜20質量%、特に7.0〜18質量%であるものが得られるメッシュシートの耐水保護層の強度、及び耐洗濯性の観点において好ましい。
【0039】
(a)成分用ポリイソシアネートは、合成時にヒドロキシル化合物によって変性されたものであっても良い。ヒドロキシル化合物としては例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、フェノールなどのモノヒドロキシル化合物、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジヒドロキシル化合物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの低分子多価アルコール、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類などの高分子量多価アルコール類などである。またこれらのイソシアネート化合物は、脂肪族、または脂環族(芳香族の水添化物を包含する。)から誘導されるものが本発明に使用するポリウレタン前駆体の液状要件の観点、及び得られるメッシュシートの耐光性の観点において好ましく、脂肪族ジイソシアネートとしては炭素数4〜24、好ましくは6〜12の化合物、脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜24、好ましくは8〜16の化合物が使用でき、これらは例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トチメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3−イソシアネートメチルー3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。上記説明の(a)成分は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じて芳香族ジイソシアネートを適量併用することもできる。
【0040】
(a)成分においてイソシアネート基を保護するブロック化剤としては、例えば、アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系化合物、ピリジン系化合物、ピラゾール系化合物などが用いられる。これらのうち、アルコール系ブロック化剤として具体的に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールなどが用いられ、またフェノール系ブロック化剤として具体的に、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、ノニルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステルなどが用いられ、また活性メチレン系ブロック化剤として具体的に、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトンなどが用いられ、またメルカプタン系ブロック化剤として具体的に、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどが用いられ、また酸アミド系ブロック化剤として具体的に、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムなどが用いられ、また酸イミド系ブロック化剤として具体的に、コハク酸イミド、マレイン酸イミドなどが用いられ、またイミダゾール系ブロック化剤として具体的に、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなどが用いられ、また尿素系ブロック化剤として具体的に、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などが用いられ、またオキシム系ブロック化剤として具体的に、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどが用いられ、またアミン系ブロック化剤として具体的に、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾールなどが用いられ、またイミン系ブロック化剤として具体的に、エチレンイミン、ポリエチレンイミンなどが用いられ、またピリジン系ブロック化剤として具体的に、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンなどが用いられ、またピラゾール系ブロック化剤としては具体的に、3,5−ジメチルピラゾールなどが用いられる。このうち特にオキシム系、活性メチレン系、フェノール系、ピラゾール系のブロック化剤が好ましく使用でき、特にオキシム系の中では、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ピラゾール系の中では、3,5−ジメチルピラゾールが好ましく使用できる。ポリイソシアネート化合物と上記ブロック化剤との反応は溶剤の存在の有無に係わらず行うことができ、このブロック化反応には、錫、亜鉛、鉛などの有機金属塩、及び3級アミンなどを触媒として用いることもできる。またこのブロック化反応は0〜100℃、特に20〜80℃の条件下で行うことが好ましい。反応温度が100℃を越えると副反応を生じてブロック化剤が正常に機能しなくなることがあり、また0℃を下回ると反応速度が小さくなりブロック化剤が正常に付加しなくなることがある。また、ブロック化剤はブロックイソシアネート1当量当たり、0.15〜3.0当量、好ましくは0.2〜2.0当量添加される。添加量が0.15当量よりも少ないと、得られる反応性非水分散ポリウレタン前駆体の液粘度安定性に劣り、また3.0当量を越えると熱硬化時に硬化不良を起こすことがある。
【0041】
反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2)の耐水保護層への熱硬化反応によるポリウレタン系樹脂層への転化において、ブロックイソシアネート化合物成分(a)のブロック化剤を解離させ、イソシアネート基を効率的に再生する目的と、(i)及び/又は(ii)の活性水素基含有化合物と再生イソシアネート基との反応を促進する目的で触媒を併用することが好ましい。この触媒としてはジブチルチンジウラレート、ジオクチルチンジラウレート、スタナスオクトエートなどの有機錫系触媒、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、などのアミン系触媒、これらのアミン系触媒のボラン塩、フェノール塩、オクチル酸塩、炭酸塩などのアミン塩系触媒、ナフテン酸鉛、ナフテン酸マグネシウム、酢酸カリウムなどのカルボン酸金属塩系触媒、トリエチルフォスフィン、トリベンジルフォスフィンなどのリン系触媒、ナトリウムメトキシドなどのアルコキシド系触媒が使用できる。触媒の使用は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じて2種以上併用してもよい。また触媒の添加量は、(i)及び/又は(ii)と(a)の総和量に対して1.0質量%以下、好ましくは0.001〜0.5質量%である。触媒の添加量が1.0質量%を越えると効果に差が観られないだけでなく、反応性非水分散ポリウレタン前駆体の液粘度に増粘を生じたり、あるいは液の保存時にゲル化を起こすことがあり好ましくない。これらの触媒はメッシュシートの製造時、反応性非水分散ポリウレタン前駆体に適量添加して使用することが好ましく、必要に応じて触媒を有機溶媒、または可塑剤などで任意濃度に希釈調整したものを使用することもできる。
【0042】
反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2)において、分子内に活性水素基を含有する化合物成分((i)及び/又は(ii))と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(a)との混合比に特に限定はないが、(i)及び/又は(ii)成分に含まれる活性水素基と(a)に含まれる有効イソシアネート基とのモル比が1:9〜9:1、特に2:8〜8:2に設定されることが得られるメッシュシートの耐水保護層の強度と耐洗濯性、及び加工性の観点において好ましい。この範囲外では得られるメッシュシートの耐水保護層の強度と耐洗濯性に劣ることがある。
【0043】
分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物成分(b)としては、炭素数4〜24、好ましくは6〜12の脂肪族ジイソシアネート、炭素数8〜24、好ましくは8〜16の脂環族ジイソシアネート(芳香族の水添化物を包含する。)のウレトジオン化2量体、またはポリウレトジオン体などが好ましく使用できる。これらは例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどのウレトジオン化2量体、またはポリウレトジオン体(イソシアヌレート3量体を包含する。)を包含する。これらの(b)化合物は、例えば、トリエチルホスフィン、ジブチルエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリアミルホスフィン、トリベンジルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン類、あるいはピリジン類などのウレトジオン化触媒の存在下、0〜90℃の反応温度で製造することができる。この生成反応は溶媒の不存在下で実施してもよく、また、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤などの有機溶媒、及び可塑剤などの存在下などで実施することもできる。上記に説明された(b)成分は特に1種のみに限定されるものではなく、必要に応じてウレトジオン化2量体とポリウレトジオン体との混合物、または他のイソシアネート成分との混合物であっても良い。
【0044】
反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2)は、分子内に活性水素基を含有する化合物成分((i)及び/又は(ii))と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(b)とを、イソシアネート基に対するウレトジオン基の当量比で1.0を超える活性水素基過剰条件で反応させて得られ、かつ、活性水素基に対するウレトジオン基の当量比が、0.25〜1.0、好ましくは0.35〜0.75の範囲の活性水素基過剰組成物である。この当量比が、0.25未満であると、鎖延長効果と架橋密度が不足となり、得られるメッシュシートの耐水保護層の強度と耐洗濯性が不十分となることがある。また、当量比が1.0を超えると、反応性非水分散ポリウレタン前駆体の貯蔵時にゲル化を起こすことがある。また、特に反応性非水分散ポリウレタン前駆体に(b)化合物を用いる場合には、ウレトジオン基を開環させる触媒を、反応性非水分散ポリウレタン前駆体100質量部に対して0.1〜5.0質量部、特に0.3〜3.0質量部含むことが熱硬化反応によるポリウレタン系樹脂への転化反応の観点において好ましい。ウレトジオン基開環触媒の添加量が0.1質量部未満だと、ウレトジオン基の開環反応が十分に促進されず得られるメッシュシートの耐水保護層の強度と耐洗濯性が不十分となることがある。また、開環触媒の添加量が5.0質量部を超えても、開環促進は頭打ちとなり、寧ろ得られるメッシュシートの耐水保護層に残留する成分として、強度と耐洗濯性などに悪い影響を及ぼすことがある。これらの開環触媒としては具体的に、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)及び、DBNの脂肪酸塩、またはDBNのフェノール塩などである。脂肪酸としては蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸類、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸類の他、イソアルキル脂肪酸類、オキシ脂肪酸類など特に制限されることなく使用できる。また、フェノール類としては、フェノール、クレゾール類、キシレノール類、ナフトール類、(メチル、エチル、ブチル、プロピルなどの)アルキル置換フェノール類などが挙げられ、これらはDBNと脂肪酸類及び/又はフェノール類との当量反応によって得ることができる。
【0045】
反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2)において、イ).分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子(ii)成分と、分子内にイソシアネート基を含有するポリイソシアネート化合物成分(a及び/又はb)との混合物は有機溶媒を含有しない液状の反応性非水分散ポリウレタン前駆体、すなわち、(i)及び(ii)と(a)及び(b)が液状、もしくは(i)又は(ii)もしくは、(a)又は(b)の何れか1種以上が液状であり、この組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましい。ロ).また、必要に応じてこの反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2)には有機溶媒、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含んでいてもよく、この組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましい。
【0046】
上記反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1),(B−2)には、さらに耐水保護層の耐久性(摩耗強度、耐洗濯性など)を向上させるために、必要に応じて、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、ジアミン化合物から選ばれた1種以上の架橋剤を配合することによって、得られるメッシュシートの難燃化樹脂被覆層の架橋密度を増大させることができる。前記架橋剤用カルボジイミド化合物としては、有機ジイソシアネート化合物をカルボジイミドに転換することによって得られる化合物、例えば、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−p−トルオイルカルボジイミド、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどが用いられ、特にポリカルボジイミドなどの多官能化合物が好ましく使用できる。また、前記架橋剤用アジリジン化合物としては、例えば、ジフェニルメタン−ビス−4,4′−N,N′−ジエチレンウレア、2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕などが使用できる。また、前記架橋剤用オキサゾリン化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られるオキサゾールを原料として、これから誘導される化合物、例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)など、及び、スチレン樹脂またはアクリル系樹脂などのポリマーを幹としてオキサゾリル基をグラフトして得られる多官能オキサゾリンポリマーなどが使用できる。また、前記架橋剤用ジアミン化合物としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシレンジアミン、ピペラジンなどが使用できる。これらの架橋剤は、反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)及び(B−2)100質量部に対して0.2〜10質量部、特に0.5〜5.0質量部程度含有することが好ましい。架橋剤の添加率が0.2質量部未満だと、得られるメッシュシートの耐久性(摩耗強度、耐洗濯性など)向上効果が明瞭に現れず、また10質量部を越えると得られるメッシュシートの耐水保護層が硬くなり過ぎて、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。
【0047】
また本発明の難燃性複合メッシュシートの耐水保護層を形成する上記反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1),(B−2)は無色透明であってもよく、無機系顔料、及び有機系顔料を用いて任意に着色したものであってもよい。着色する場合には例えば無機系顔料として、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型)、三酸化アンチモン、酸化鉄(鉄黒、べんがら)、黄色酸化鉄、フエロシアン化鉄(紺青)スピネル構造酸化物、またアルミニウム粉、ブロンズ粉、ニッケル粉、ステンレス粉などの金属顔料やパール顔料など、有機系顔料としては、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、金属錯塩アゾ顔料、フタロシアニン顔料、酸性染料レーキ顔料、塩基性染料レーキ顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、アリザリンレーキ顔料、金属錯塩アゾメチン顔料、アニリン系顔料など公知の顔料を用いることができる。特に無色透明の場合には、グロス調整剤として公知の艶消剤、例えば非晶質合成シリカ微粒子を添加して任意のグロスに調整することが好ましい。また耐水保護層には必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤などを適量添加することが好ましい。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物及び、アニリド系化合物の紫外線吸収剤が使用でき、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系化合物、アミン系化合物、及びフォスファイト系化合物の酸化防止剤が使用できる。また光安定剤としてはヒンダードアミン系化合物の光安定剤が使用できる。
【0048】
上述の耐水保護層を形成する(B−1)の組成物の液粘度は、0.1〜10Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であること、また、(B−2)の組成物に関しては、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが好ましい。
【0049】
また必要に応じて、反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1),(B−2)組成物には、前述の窒素原子、及び/又はリン原子を含有する難燃化化合物の1種以上を難燃性付与剤として含むことができる。例えばポリウレタン樹脂に転化された耐水保護層に対し10〜50質量%、特に20〜35質量%で難燃性付与剤を含有することができる。窒素原子を含有する難燃化化合物としては、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれた1種以上であり、またリン原子を含有する難燃化化合物としては、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体から選ばれた1種以上である。これら難燃性付与剤を含有する場合の(B−1)の組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)、また(B−2)の組成物に関しては、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましい。必要に応じてこの難燃性付与剤を配合して含有する(B−1)及び(B−2)の組成物には有機溶媒、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含むことができ、(B−1)の組成物の液粘度は0.1〜10Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜30℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)、また(B−2)の組成物に関しては、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)であることが本発明のメッシュシート製造の観点において好ましい。(B−2)組成物の液温度は10〜50℃の範囲内にあることが特に好ましいが、特に35〜50℃では反応性非水分散ポリウレタン前駆体が低粘度化するためメッシュシートの製造に適している。また液粘度の安定性に優れるものであれば50℃を越える高温領域で加工を実施することもできる。
【0050】
また、液粘度調整に用いる希釈溶媒としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ペンタン、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどのセロソルブ系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶剤などの有機溶剤を単独、または2種以上併用して使用することができる。また可塑剤としては、軟質塩化ビニル樹脂の可塑剤に使用されている汎用のもの、例えば、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどの脂肪酸二塩基性エステル類、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、芳香族縮合リン酸エステルなどのリン酸エステル類などが挙げられる。(B−2)組成物の液粘度が10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、10Pa・s(20℃/0.5時間)よりも大きいと難燃性付与剤を配合して含有する反応性非水分散ポリウレタン前駆体の流動性が悪くなり、本発明のメッシュシートの製造が困難となることがある。また、(B−2)の液粘度が0.1Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)よりも小さくなると難燃性付与剤を配合して含有する反応性非水分散ポリウレタン前駆体組成物の、粗目織編物に対する吸収にムラを生じて難燃性付与剤が分離することがあり本発明のメッシュシートの製造が困難となる。
【0051】
本発明の難燃性複合メッシュシートにおいて、難燃下地層と耐水保護層との質量比は99:1〜50:50、特に85:15〜65:35の範囲であることが好ましい。難燃下地層と耐水保護層との質量比において耐水保護層比が99:1未満では得られるメッシュシートの耐洗濯性に劣ることがあり、また耐水保護層比が50:50を超えると防炎性を悪くすることがある。さらに、上記製造方法によって得られる本発明のメッシュシートにおいて、粗目織編物(100とする)に対する樹脂被覆層の被覆率は25〜200質量%、特に50〜150質量%、また特に75〜135質量%であることが、得られるメッシュシートの耐洗濯性と耐久性の観点において好ましい。粗目織編物に対する樹脂被覆層の被覆率が25質量%未満であると得られるメッシュシートの耐洗濯性と耐久性に劣ることがあり、また樹脂被覆層の被覆率が200質量%を超えるとメッシュシートの目合い空隙部に目詰まりを起こし、通気性と採光性を悪くすることがある。
【0052】
本発明の難燃性複合メッシュシートに使用する粗目織編物は、繊維糸条の交錯によって形成された空隙(粗目織編物の面積に対し5〜65%の空隙面積)を有する織布または編布である。織布の織組織に限定はないが特に平織織物、模紗織物、綾織物、朱子織物などであることが得られるメッシュシートの縦緯物性バランスに優れ好ましい。編布としてはラッセル編の緯糸挿入トリコットが好ましい。また粗目織編物を形成する糸条には合成繊維、天然繊維、半合成繊維、無機繊維、またはこれらの2種以上から成る混用繊維のいずれでもよいが、加工性、汎用性を考慮するとポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド(ナイロン)繊維などの合成繊維が好ましい。また、糸条の形態としてはマルチフィラメント糸条、モノフィラメント糸条、短繊維紡績(スパン)糸条、スプリットヤーン糸条、テープヤーン糸条など、何れの糸条を用いても本発明のメッシュシートを実施可能であるが、なかでも引張強力と引裂強力とに優れているポリエステル繊維、ポリアミド繊維、及びこれらの混合混用繊維などから形成されたマルチフィラメント糸条による粗目織編物、モノフィラメント糸条による粗目織編物、または短繊維紡績(スパン)糸条による粗目織編物が好ましい。本発明に使用する粗目織編物の糸条原料には、特にテレフタル酸とエチレングリコールとの重縮合によって得られるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸とブチレングリコールとの重縮合によって得られるポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル繊維が好ましく、中でもPET樹脂から紡糸されるポリエステル繊維(マルチフィラメント糸条)が紡糸性と機械的強度に優れ好ましい。また、このPET樹脂紡糸原料には上記モノマー以外にイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、ジエチレングリコールなどの共重合モノマーを5重量%程度含んだものも使用できる。特に必要に応じて、例えば、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド(PPTA)繊維糸条をPET繊維糸条の間に等間隔で配置して織組織が{PPTA−PET−PET−PET}を繰り返し単位とする織組織とした引張強度と引裂強度を重視した特別な織物を使用することもできる。これらの粗目織編物の製織は、シャットル織機、シャットルレス織機(レピア方式、グリッパ方式、ウオータージェット方式、エアジェット方式)などの従来公知の織機を用いて製織することができる。また、製織に用いる繊維糸条は、紡糸工程時に有機系顔料、無機系顔料、染料などの着色剤を添加して得られた原着繊維であることができ、特にモノフィラメント糸条に適している。また、あるいは繊維糸条、または粗目織編物を後工程で有機系顔料、無機系顔料、染料などによる着色処理、及びこれらを含む樹脂バインダーで処理して着色されていても良い。さらにこれらの粗目織編物には例えば、精練処理、漂白処理、柔軟化処理、糊剤処理、撥水処理、防水処理、防カビ処理、防炎処理、カレンダー処理、バインダー樹脂処理など、公知の繊維処理加工を併用することができる。
【0053】
本発明に使用する粗目織編物を構成するマルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条には277〜3333dtexの繊度の糸条が使用できる。これらの糸条は1本で用いられることもあれば、2〜5本好ましくは2〜3本を合撚して1本の糸条を構成したもの、あるいは2〜5本好ましくは2〜3本を並列して見掛け1本の糸条を構成したものなどで用いることができる。2類クラスの建築養生メッシュシートの場合、例えば、277dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸24〜26本、緯糸25〜28本打ち込んだ平織織布、556dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸18〜20本、緯糸18〜20本打ち込んだ平織織布であり、1類クラスの建築養生メッシュシートの場合、例えば、833dtexのマルチフィラメント糸条3本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸10〜12本、緯糸10〜12本打ち込んだ平織織布、1111dtexのマルチフィラメント糸条3本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸6〜8本、緯糸6〜8本打ち込んだ平織織布、2222dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸12〜14本、緯糸12〜14本打ち込んだ平織織布、1666dtexのマルチフィラメント糸条を1インチ当たり経糸15〜17本、緯糸15〜17本打ち込んだ平織織布、3333dtexのマルチフィラメント糸条2本を合撚した糸条を1インチ当たり経糸4〜5本、緯糸4〜5本打ち込んだ平織織布などが特に好ましく使用できる。特にJIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験を必要とする1類クラスのメッシュシートでは、経緯構成糸条の繊度が1111dtex未満では不適合となることがある。また粗目織編物(2軸織物)の経糸及び緯糸の打込み本数は、2類クラスのメッシュシートで例えば、277〜556dtexのマルチフィラメント糸条、またはモノフィラメント糸条を1インチ当たり16〜30本、好ましくは18〜26本、1類クラスのメッシュシートで例えば、1666〜3333dtexのマルチフィラメント糸条、またはモノフィラメント糸条を1インチ当たり6〜20本、好ましくは7〜16本である。本発明のメッシュシートに用いる粗目織編物は経糸・緯糸構成からなる粗目2軸織物が好ましい。また、本発明に使用する粗目織編物には30番手(197dtex)〜10番手(591dtex)短繊維紡績糸条を組み合わせて使用できる。
【0054】
また本発明の難燃性複合メッシュシートに用いる粗目織編物は、3軸織物及び、4軸織物を使用することもできる。3軸織物としては上記マルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条による3方向の糸条から構成され、互いの糸条の交差角が60°となるように製織された織布である。3軸織物としては経糸を含み、これに2方向のバイアス(斜)糸を絡めて構成される織布が加工方向の織組織の安定性に優れ好ましい。この3軸織物の組織は2本綾織の応用によるバスケット織であることもできる。一方、4軸織物としては上記マルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条による4方向の糸条から構成され、互いに直交する経糸と緯糸とを含み、さらに経糸と緯糸とに45°の角度で交差する2方向のバイアス糸とを含み、必要に応じて55〜166dtex程度のモノフィラメントからなる絡糸を用いて製織された織布(編物)である。特に本発明に3軸織物、または4軸織物を用いることによって、メッシュシートには多方向からの外力に対する安定した抵抗力を備えることを可能とし、建築現場の張囲いシートとして、より安全性の高いメッシュシートを得ることができる。これら3軸織物及び、4軸織物による粗目織編物の経糸、緯糸、バイアス糸の打込み本数に特に限定はないが、277〜3333dtexのマルチフィラメント糸条、又はモノフィラメント糸条を各方向、1インチ当たり4〜30本、好ましくは7〜24本打込んで得られる織布、が使用できる。
【0055】
本発明の難燃性複合メッシュシートに用いる粗目織編物の空隙面積率は、5〜65%であることが好ましく、特に10〜40%のものが好適である。空隙面積は繊維糸条の交錯によって形成される空隙(粗目)であり、空隙面積率は織編物の面積に対する空隙の合計面積の比(%)である。空隙面積率が5%未満であると得られるメッシュシートの透視性と通気性が不十分になり、また、空隙面積率が65%を越えると、繊維糸条の含有密度が小さくなり得られるメッシュシートの引裂強度が不十分になると同時に、JIS A8952に規定される鋼管落下による耐貫通試験に不適合となることがある。空隙面積率は粗目織編物の単位面積に対し、繊維糸条の占める面積を百分率として求め、100から差し引いた値としても求めることができる。空隙面積率は経方向10cm×緯方向10cmを単位面積として求めることができ、必要に応じて市販の複写機を用いて拡大印刷した画像から面積を算出したり、あるいは複写画像の切り抜きを糸条部と空隙部とに種別し、これらの質量比率を根拠に、これを空隙面積率と同各に見なし充当したものであってもよい。
【0056】
また、本発明の難燃性複合メッシュシートにおいては、基布用粗目織編物には、ホスホン酸系化合物を含む難燃下処理剤による下処理が施されてい防炎性に優れており、これによってメッシュシートの難燃化樹脂層に配合する難燃性付与剤の総和量を削減させることができる。ホスホン酸系化合物としては、例えば、ビニルホスホン酸ジメチルエステル、ビニルホスホン酸ジフェニルエステル、メチルホスホン酸モノビニルエステル、フェニルホスホン酸モノビニルエステルなどのホスホン酸エステル、及び環式ホスホン酸エステル類、また例えば、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ブテニルホスホン酸、ビニルフェニルホスホン酸、2−アクリロイロキシエチルホスホン酸、2−メタアクリロイロキシエチルホスホン酸、ビス(2−メタクロイロキシエチル)ホスホン酸などのホスホン酸誘導体が挙げられるが、特に環式ホスホン酸エステル類が好ましい。特に好ましい環式ホスホン酸エステルの例は、前記式(I)及び式(II)に示される化合物である。これらの化合物は単独で用いられてもよく、式はその2種以上の混合物として用いてもよい。
【0057】
ホスホン酸系化合物含有難燃下処理剤による粗目織編物の下処理方法(1)としては、ホスホン酸系化合物を0.5〜10質量%濃度、好ましくは1.0〜5質量%濃度で含む溶液下処理剤浴中に上記粗目織編物を浸漬し、粗目織編物を構成する繊維糸条の繊維間にホスホン酸系化合物を侵入させ、これを引き上げると同時にゴム製マングルロールで粗目織編物を圧搾し、余分な処理剤を除去した後、熱風炉内で乾燥させ、さらに130〜210℃の熱処理を施して、繊維のミクロ構造内にホスホン酸系化合物を吸着させて定着させる方法を用いることができる。本発明において粗目織編物は、ホスホン酸系化合物による下処理を190〜200℃の熱条件で施し、繊維に定着させたポリエステルフィラメント織物、及びポリエステル短繊維紡績織物であることが好ましい。
【0058】
また下処理方法(2)として、前記方法(1)の下処理剤にバインダー樹脂を用いることもでき、例えば、酢酸ビニル成分、(メタ)アクリル酸(エステル)成分、(無水)マレイン酸、(無水)フマル酸、(無水)イタコン酸などの極性成分を含有するエチレン系共重合体樹脂、及びアクリル系共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、スチレン系共重合体樹脂、ポリウレタン系樹脂などの熱可塑性樹脂溶液中にホスホン酸系化合物を含有させたものを用いることによって、繊維表面にホスホン酸系化合物を定着することもできる。このバインダーは有機系溶剤中に可溶化、または分散されたもの、もしくは水中に乳化分散されたバインダー樹脂含有液体の何れであってもよく、バインダー樹脂の固形分濃度は1〜30質量%、特に3〜15質量%であることが下処理作業の観点において好ましい。この時併用して用いるホスホン酸系化合物はバインダー樹脂含有液体に対して1〜10質量%濃度で使用することができる。このバインダーを併用する下処理(塗工、含浸、被覆)法(2)には公知の加工方法、例えば、ディッピング法、ディップコート法、ドクターナイフコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、スプレーコート法などにて処理剤を1回以上、含浸及び/又は塗布することによって実施することができ、乾燥は自然乾燥、もしくは30〜120℃、特に60〜100℃の熱風乾燥によって行うことが好ましい。ホスホン酸系化合物を含むバインダーの付着量は粗目織編物の質量に対し1〜30質量%、特に2〜15質量%であることが好ましい。付着量が1%未満であると、得られるメッシュシートの防炎性が不十分となることがあり、また付着量が30%を越えると防炎性を返って悪くすることがある。また上記方法(2)の下処理液には難燃化樹脂層に用いる難燃性付与剤と同一のものをさらに適量含んでいてもよく、これらはa).赤リン、金属リン酸塩、金属有機リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム、及びポリリン酸アンモニウム誘導体化合物などのリン原子含有化合物、b).(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及び、これらの誘導体化合物などの窒素原子含有化合物、c).ケイ素化合物、金属水酸化物、金属酸化物、金属炭酸塩化合物、金属硫酸塩化合物、ホウ酸化合物、及び無機系化合物複合体などの無機系化合物から選ばれた1種以上である。
【0060】
本発明のメッシュシートの製造方法の態様()において、1).ホスホン酸系化合物含有難燃下処理剤によって下処理が施された粗目織編物を基布として用い、2).難燃下地層の形成を水分散ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と、難燃性付与剤として、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物、及び硬化剤とを含む水分散組成物による浸漬・圧搾(ディッピング)、または塗工(コーティング)により行い、必要に応じてエアブローにより粗目織編物の目合い空隙部に目詰まりした水分散組成物を除去し、粗目織編物を構成する繊維糸条の内部及び外周全域に水分散組成物を付着させた後、室温以上、好ましくは80〜150℃で1〜10分間熱風熱処理を施して乾燥することによって行い、3).耐水保護層の形成は、2)の難燃下地層が形成された粗目織編物を、ポリウレタンプレポリマー成分と(ブロック)ポリイソシアネート化合物とを含み有機溶媒に可溶化された粘性液体である反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(又はこの組成物)(B−1)による浸漬・圧搾(ディッピング)、または塗工(コーティング)により行い、必要に応じてエアブローにより目合い空隙部に目詰まりした(B−1)を除去し、難燃下地層の表面全域に反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(又はこの組成物)を付着させた後、100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間熱風熱処理を施してイソシアネート基とポリウレタンプレポリマー成分(活性水素基)との反応によって反応性非水分散ポリウレタン前駆体組成物(B−1)をポリウレタン系樹脂に熱転化して乾燥することによって耐水保護層を難燃下地層上に被覆形成し、少なくとも1層以上の難燃下地層と耐水保護層とを有する樹脂被覆層を設けることによって実施されるものである。
【0061】
本発明のメッシュシートの製造方法の態様(II)において、1).ホスホン酸系化合物含有難燃下処理剤によって下処理が施された粗目織編物を基布として用い、2).難燃下地層の形成を水分散ポリウレタン系樹脂を主成分とするバインダー樹脂と、難燃性付与剤として、窒素原子含有難燃化化合物、及び/又はリン原子含有難燃化化合物、及び硬化剤とを含む水分散組成物による浸漬・圧搾(ディッピング)、または塗工(コーティング)により行い、必要に応じてエアブローにより粗目織編物の目合い空隙部に目詰まりした水分散組成物を除去し、粗目織編物を構成する繊維糸条の内部及び外周全域に水分散組成物を付着させた後、室温以上、好ましくは80〜150℃で1〜10分間熱風熱処理を施して乾燥することによって行い、3).耐水保護層の形成は、2)の難燃下地層が形成された粗目織編物を、分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子(ii)と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、b).もしくは分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含む、液粘度0.1〜10Pa・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の粘性液体である反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(又はこの組成物)(B−2)による浸漬・圧搾(ディッピング)、または塗工(コーティング)により行い、必要に応じてエアブローにより目合い空隙部に目詰まりした(B−2)を除去し、難燃下地層の表面全域に反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(又はこの組成物)を付着させた後、100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間熱風熱処理を施してイソシアネート基と、活性水素基との反応によって反応性非水分散ポリウレタン前駆体組成物(B−2)をポリウレタン系樹脂に転化して乾燥することによって耐水保護層を難燃下地層上に被覆形成して、少なくとも1層以上の難燃下地層と耐水保護層とを有する樹脂被覆層を設ける方法によって実施されるものである。
【0062】
上記製造方法の態様(I)又は( II において、塗工(コーティング)とは具体的に、ナイフコート、グラビア転写コート、ロータリースクリーンコート、クリアランスコート、スプレーコートなどの塗工方法であり、これらは1種に限るものではない。また、本発明のメッシュシートの製造は、上記 II の製造方法において、必要に応じて反応性非水分散ポリウレタン前駆体組成物(B−2)には、希釈溶剤、及び/又は可塑剤を粘度調整剤として含み、液粘度が0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)、特に0.5〜5Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、1〜5Pa・s(20℃/0.5時間)に調整された(B−2)、または難燃性付与剤を含有する(B−2)を用いて製造することもできる。特に上記(II)に記載の製造方法において、(B−2)の液粘度の要件、0.1〜10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、0.5〜10Pa・s(20℃/0.5時間)とは、10〜50℃の温度範囲内で(B−2)の液粘度が0.1〜10Pa・sであり、この液粘度を0.5〜3時間維持可能なものを意味するものである。粘度の測定は塩ビペーストゾルの粘度測定に用いられるブルックフィールド型回転式粘度計(BL,BM,BH)を用いて行うことができる。特に難燃性付与剤を含有する(B−2)の液粘度は、4号ローターを装着したBM型粘度計を用いて、回転数12rpm での60秒後の数値(×500cP)で決定することが好ましく、または6号ローターを装着したBH型粘度計を用いて、回転数4rpm での60秒後の数値(×2500cP)で決定することが好ましい。このときcPとPa・sとの関係は1Pa・s=1000cPである。(B−2)の液粘度が10Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)、10Pa・s(20℃/0.5時間)よりも大きいと(B−2)の流動性が悪くなり、本発明のメッシュシートの製造が困難となることがある。また、(B−2)の液粘度が0.1Pa・s(10〜50℃/0.5〜3時間)よりも小さくなると(B−2)の、粗目織編物に対する吸収量が少なくなり、本発明のメッシュシートの効率的製造が困難となる。50℃の液粘度が必要な理由は、常温時に5Pa・sを越える(B−2)が50℃を上限とする加温によって低粘度化したり、または常温時に固体状態の(B−2)が液体化するなどして、本発明のメッシュシートの製造可能範囲に包含されるためである。またこの時、50℃を上限とする加温によって一旦低粘度化した(B−2)が短時間で増粘したり、ゲル化を生じると本発明のメッシュシートの製造が不能となるため、(B−2)の調整後0.5時間を起点として加工可能範囲のポットライフを3時間とした。また(B−2)の加温が50℃を越えると、加工可能範囲の液粘度のポットライフが短くなり本発明のメッシュシートの製造に支障をもたらすことがある。また本発明のメッシュシートの製造を通常実施する際に、使用する(B−2)の液粘度をより明確にするために、20℃/0.5時間条件の粘度を併記した。また(B−2)の熱処理硬化条件、(100℃以上で5〜30分、好ましくは150〜230℃で1〜10分間)は用いる(B−2)のブロック化剤解離温度と、製造に使用するディッピング機、コーティング機などの加工機に附帯する熱風炉の熱容量と炉長とによって任意設定可能な条件である。
【0063】
また、上記製造方法の態様(I)〜 II によって得られる本発明のメッシュシートにおいて、難燃下地層と耐水保護層との質量比は99:1〜50:50、特に85:15〜65:35の範囲であることが好ましい。難燃下地層と耐水保護層との質量比において耐水保護層比が99:1未満では得られるメッシュシートの耐洗濯性が不十分になることがあり、また耐水保護層比が50:50を超えると防炎性が不十分になることがある。さらに、上記製造方法の態様(I)〜(III)によって得られる本発明のメッシュシートにおいて、粗目織編物(100とする)に対する樹脂被覆層の被覆率は25〜200質量%、特に50〜150質量%、また特に75〜135質量%であることが得られるメッシュシートの耐洗濯性と耐久性の観点において好ましい。粗目織編物に対する樹脂被覆層の被覆率が25質量%未満だと得られるメッシュシートの耐洗濯性と耐久性に劣ることがあり、また樹脂被覆層の被覆率が200質量%を超えるとメッシュシートの目合い空隙部に目詰まりを起こし、通気性と採光性を悪くすることがある。
得られたメッシュシートは例えば1ピースが1.8m幅×3.4m長、1.8m幅×3.6m長、1.8m幅×5.1m長、1.8m幅×5.4m長、3.6m幅×5.4m長などの規格で縫製され、各々縁部がほつれ防止の折り返し縫製補強されたもので、必要に応じて縁部には接続用縫込みロープを有するもの、あるいは特にウレタン樹脂被覆シートなどのスリット支持体を折り返し部に挿入縫製し、この縁部全体に定間隔で設けられるハトメの固定強度を強化したものなどが使用できる。縁部の縫製は、ミシン縫製、または高周波ウエルダー縫製などによって実施することができる。
【0064】
【実施例】
次ぎに実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例の範囲に限定されるものではない。下記実施例、及び比較例において得られたメッシュシートの評価に適用した試験方法は以下の通りである。
【0065】
(I).粘度測定
4号ローターを装着したBM型回転粘度計((株)トキメック社製)を用いて、ポリウレタン前駆体組成物(液温度20と50℃でそれぞれ0.5時間後、及び3.0時間後)の粘度を、回転数12rpm での60秒後の数値(×500cP)で決定した。(必要に応じて6号ローターを装着したBH型回転粘度計(株)トキメック社製)を用いて、回転数4rpm での60秒後の数値(×2500cP)で決定した。)このときcPとPa・sとの関係は1Pa・s=1000cPである。
【0066】
(II).防炎性
JIS L−1091により試験し、下記の判定基準により評価した。(質量450g/m2 以下はA−1法の区分3、質量450g/m2 を越えるものはA−2法の区分3を適用した。)
○:炭化面積40cm2 以下、残炎時間5秒以下、残じん時間20秒以下、炭化距離20cm以下である。
×:炭化面積、残炎時間、残じん時間、炭化距離の項目の1項目以上が規格数値を超えている。
【0067】
(III).耐貫通試験〔(社)仮設工業会認定基準〕
JIS A8952に規定される30°傾斜試験枠に固定したメッシュシートの中央部を標的に、高さ3mから質量5kgの鋼管落体(JIS A8952規格適合品)を自由落下させて、メッシュシートの耐貫通性、及び破損(破断)状態を観察した。
○:鋼管落体の貫通なし。
△:鋼管落体の貫通はないが、メッシュシートの亀裂破損が大きい。
×:鋼管落体がメッシュシートを破り完全に貫通する。
【0068】
(IV).耐洗濯性
容量450Lの工業用回転式洗濯機を用い、未使用のメッシュシート縫製品(1.8m幅×3.6m長:長さ方向8ツ折り×幅方向4ツ折り)の耐洗濯性を評価した。洗濯は、弱アルカリ性の工業用洗剤(商標:ゲンブナイス:〔成分〕界面活性剤として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、工程化剤として硫酸塩、アルカリ剤として珪酸塩、及び炭酸塩、水転化剤としてアルミノ珪酸塩、及び蛍光増白剤:ゲンブ(株))500gと、アルカリ剤としてメタ珪酸ナトリウム9水塩(三宝化学工業(株))100gを40℃の温水300L中に溶解させたものを使用し、30分間洗濯した直後の外観を観察した。これを3回繰り返して評価した。
○:3回の洗濯とも樹脂被覆層の脱落、膨潤などの外観異常なし。
△:2〜3回の洗濯で樹脂被覆層の脱落が認められる。
×:1回目の洗濯で樹脂被覆層が膨潤し、部分的に脱落している。
【0069】
(V).洗濯後の防炎性
上記(IV)で試験したメッシュシートを工業用水で5分間濯ぎ洗いし、これを常温で24時間乾燥させたものを試験体として、上記(II)と同一の防炎試験を行った。
(VI).洗濯後の耐貫通試験
上記(IV)で試験したメッシュシートを工業用水で5分間濯ぎ洗いし、これを常温で24時間乾燥させたものを試験体として、上記(III)耐貫通試験と同一の防炎試験を行った。
【0070】
参考例1〕
i).難燃下地層を形成する水分散樹脂組成物
水分散ポリウレタン樹脂(1)(商標:パーミュセンRU−41−607:エステル系ポリウレタン樹脂エマルジョン:固形分33質量%:スタール・ジャパン(株))300質量部(固形分換算100質量部)に対し、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))1.0質量部と、着色剤として水分散白顔料(商標:ディスパーカラーホワイトEX:顔料濃度55質量%:東ペ(株))7.3質量部と、水分散黒顔料(商標:ディスパーカラーブラックEX:顔料濃度10質量%:東ペ(株))6質量部と、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部と、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部と、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部と、及び硬化剤としてカルボジイミド化合物(商標:カルボジライトV−02、カルボジイミド当量590:有効濃度40質量%:日清紡(株))5質量部とを配合し、この混合物を、ブレンダーにより均一に撹拌してグレー色の水分散ポリウレタン樹脂(1)組成物を調製した。この水分散ポリウレタン樹脂(1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.2Pa・s(20℃/0.5時間)、2.8Pa・s(20℃/3.0時間)であった。
【0071】
ii ).耐水保護層形成用非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物
トルエン/イソプロピルアルコール混合溶媒を含む非水分散ポリウレタン樹脂(A)(商標:タケラックE−365:1液型高分子ポリウレタンポリオール、固形分25質量%:武田薬品工業(株))400質量部(固形分換算100質量部)に対し、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))1.0質量部と、架橋剤として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))2質量部と、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部とを配合し、この混合物をブレンダーにより均一に撹拌して無色透明の非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物を調製した。この非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、0.7Pa・s(20℃/0.5時間)、1.1Pa・s(20℃/3.0時間)、0.5Pa・s(50℃/0.5時間)、1.5Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0072】
iii) .難燃下地層付メッシュシートの形成
次に、前記i)に記載の水分散ポリウレタン樹脂(1)組成物(液温度20℃)を充填した浴中に、下記難燃下処理を施したポリエステル粗目模紗織物基布(1111dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度7本/2.54cm×緯糸打込み密度7本/2.54cm:質量185g/m2 :空隙率34%)をディップ(浸漬)して、水分散ポリウレタン系樹脂(1)組成物を付着させた粗目模紗織物基布を浸漬浴から引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して、水分散ポリウレタン系樹脂(1)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥した。再度この工程を繰り返し、ポリウレタン樹脂をバインダーとして含む2層の難燃下地層が形成された厚さ0.74mm、質量402g/m2 の難燃下地層付きメッシュシート(中間品)を得た。
<ポリエステル粗目模紗織物基布の難燃下処理洛>
商標:K−19A(式(I)又は式(II)のホスホン酸化合物、及び混合物:明成化成(株))
10質量部
希釈剤:蒸留水 90質量部
上記下処理剤浴中にポリエステル粗目模紗織物基布をディップし、引上げると同時に高硬度ゴムのニップロールで余分な下処理剤を絞り落とし、120℃の熱風乾燥炉で1分間乾燥させた後、200℃の熱風乾燥炉で1分間熱処理し、ホスホン酸化合物を繊維に定着させた。(基布に対するホスホン酸化合物の定着量は、1.6g/m2 であった。)
【0073】
iv ).難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎに、前記難燃下地層付メッシュシート中間品(iii)を、非水分散ポリウレタン系樹脂(A)組成物(液温度20℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物を付着させたメッシュシート中間品(iii)を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物を難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥し、難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これにより粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が95:5の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し122質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.75mm、質量413g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0074】
〔実施例2〕
参考例1と同様にして、基布用粗目織物にホスホン酸化合物を定着させた。但し、前記ポリエステル粗目模紗織物基布(1111dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度7本/2.54cm×緯糸打込み密度7本/2.54cm:質量185g/m2 :空隙率34%)の代りに、ポリエステル粗目3軸織物基布(1111dtex/2本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度13本/2.54cm×バイアス糸打込み密度13本/2.54cm:質量223g/m2 :空隙率22%)を用い、参考例1と同一のホスホン酸化合物(商標:K−19A)式(I)、式(II)による下処理を施した。(ホスホン酸化合物の定着量:1.8g/m2
【0075】
i).難燃下地層付メッシュシートの製造
参考例1と同様にして、ポリエステル粗目3軸織物基布に難燃下地層を形成し、厚さ0.75mm、質量430g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を作製した。
【0076】
ii ).耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物
メチルエチルケトンを溶媒として含むポリウレタンポリオール(商標:タケラックE−550:水酸基価20mgKOH/g:固形分50質量%:武田薬品工業(株))133質量部(固形分換算67質量部)とポリイソシアネート化合物(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))33質量部の混合物からなる反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)166質量部(固形分換算100質量部)に対し、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部を配合したものをブレンダーで均一撹拌して無色透明の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物を得た。この(B−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、0.9Pa・s(20℃/0.5時間)、2.2Pa・s(20℃/3.0時間)、1.8Pa・s(50℃/0.5時間)、3.5Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0077】
iii) .難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎにi)で得た難燃下地層付メッシュシート中間品を、前記ii)の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物(液温度20℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、(B−1)組成物を参考例1−ivと同一の手順により難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて160℃の熱風炉で3分間熱処理を施して難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これによりポリエステル粗目3軸織物基布に、難燃下地層:耐水保護層=92:8の質量比で形成された被覆層が、粗目3軸織物基布の質量に対し100質量%の被覆率で形成された。得られた難燃性複合メッシュシートの厚さは0.77mmであり質量は448g/m2 であった。
【0078】
〔実施例3〕
参考例1のメッシュシートにおいて用いたポリエステル粗目模紗織物基布(1111dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度7本/2.54cm×緯糸打込み密度7本/2.54cm:質量185g/m2 :空隙率34%)を、ポリエステル粗目模紗織物基布(833dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度11本/2.54cm×バイアス糸打込み密度11本/2.54cm:質量222g/m2 :空隙率14%)に変更し、これに参考例1と同一のホスホン酸化合物(商標:K−19A)による難燃下処理を施した。(ホスホン酸化合物の定着量1.7g/m2
【0079】
i).難燃下地層付メッシュシートの製造
参考例1で使用した水分散ポリウレタン樹脂(1)組成物を用い、参考例1−iii と同様の手順により、前記ポリエステル粗目模紗織物基布に難燃下地層を形成し、厚さ0.75mm、質量425g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0080】
ii ).耐水保護層形成用反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)組成物
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))100質量部に、メチルエチルケトオキシム35質量部を加えて得られた固形分60質量%のブロックイソシアネート化合物(a−1)(※遊離のメチルエチルケトオキシム当量比はブロックイソシアネート1当量あたり0.03当量:キシレン溶媒)44質量部と、活性水素基含有樹脂としてアクリルポリオール(商標:アクリデックA−801:水酸基価100mgKOH/g、固形分50質量%:トルエン/酢酸ブチル溶媒:大日本インキ化学工業(株))148質量部とを、当量比0.15で含む反応性非水分散ポリウレタン前駆体192質量部(固形分52.2質量%)を調製し、これに、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部と、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))1.0質量部と、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部とを配合し、この混合物をブレンダーで均一に撹拌して無色透明の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)組成物を調製した。この(B−2:a−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.8Pa・s(20℃/0.5時間)、2.2Pa・s(20℃/3.0時間)、1.6Pa・s(35℃/0.5時間)、2.0Pa・s(35℃/3.0時間)、1.5Pa・s(50℃/0.5時間)、2.4Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0081】
iii) .難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎにi)で得た難燃下地層付メッシュシート中間品を、ii)の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)組成物(液温度35℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、(B−2:a−1)組成物を参考例1−ivと同一の手順により難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理を施して難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これによりポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が90:10の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量448g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0082】
〔実施例4〕
i).難燃下地層付メッシュシートの製造
参考例1と同一のホスホン酸化合物による難燃下処理を施した参考例1のポリエステル粗目模紗織物基布(1111dtex/3本のマルチフィラメント糸条:経糸打込み密度7本/2.54cm×緯糸打込み密度7本/2.54cm:質量185g/m2 :空隙率34%:ホスホン酸化合物の定着量1.6g/m2 )に対し、参考例1で使用した水分散ポリウレタン樹脂(1)組成物を用い、参考例1−iii と同様の手順により、難燃下地層を形成し、厚さ0.74mm、質量402g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を作製した。
【0083】
ii ).耐水保護層形成用反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)組成物
ウレトジオン基含有HMDI(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート)誘導体と、活性水素基含有化合物として、数平均分子量500、平均官能基数2.0のポリテトラメチレンエーテルポリオールとを、活性水素基/イソシアネート当量比1.3で含み、かつ、ウレトジオン基/活性水素基当量比が0.72である反応性非水分散ポリウレタン前駆体100質量部に対して、ウレトジオン基開環触媒として1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5(DBN)0.5質量部と、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部と、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部とを配合し、この混合物をブレンダーにより均一に撹拌して無色透明の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)組成物を調製した。この(B−2:b−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.8Pa・s(20℃/0.5時間)、3.2Pa・s(20℃/3.0時間)、2.3Pa・s(35℃/0.5時間)、2.0Pa・s(35℃/3.0時間)1.7Pa・s(50℃/0.5時間)、2.7Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0084】
iii) .難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎにi)で得た難燃下地層が形成されたメッシュシート中間品を、ii)の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)組成物(液温度35℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、(B−2:b−1)組成物を参考例1−ivと同一の手順により難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理を施して難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これによりポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が93:7の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、125質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.76mm、質量418g/m2 の難燃性複合メッシュシートを作製した。
【0087】
〔実施例6〕
i).難燃下地層形成用水分散樹脂組成物、及び難燃下地層の形成
実施例2の難燃下地層のバインダー樹脂を、水分散ポリウレタン樹脂(2)(商標:アデカボンタイターHUX−386:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン:固形分31質量%:旭電化工業(株))225質量部と、水分散アクリル系樹脂(商標:クロスレンCL−1003:アクリル−スチレン共重合体樹脂エマルジョン:固形分55質量%:ガンツ化成(株))55質量部(水分散ポリウレタン樹脂と水分散アクリル−スチレン共重合体樹脂の総和の固形分換算100質量部)に変更したこと以外は、実施例2の難燃下地層組成物と同一とした。このグレー色の水分散ポリウレタン樹脂(2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.7Pa・s(20℃/0.5時間)、3.4Pa・s(20℃/3.0時間)であった。またこの水分散ポリウレタン樹脂(2)組成物を用いて、実施例2のポリエステル粗目3軸織物基布(実施例1と同一のホスホン酸化合物難燃下処理が施されたもの)に難燃下地層を形成し、厚さ0.75mm、質量433g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0088】
ii ).耐水保護層形成用反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物、及び耐水保護層の形成
実施例2の耐水保護層の形成に用いた反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物に着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部を追加したものをブレンダーで均一撹拌してグレー色の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物を得た。この(B−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.0Pa・s(20℃/0.5時間)、2.0Pa・s(20℃/3.0時間)、1.7Pa・s(50℃/0.5時間)、3.3Pa・s(50℃/3.0時間)であった。またこの着色(B−1)組成物を用いて実施例1−ivと同様にして上記i)のメッシュシート中間品に耐水保護層を形成した。これにより粗目3軸織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が92:8の質量比で形成され、粗目3軸織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量451g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0089】
〔実施例7〕
実施例3の難燃下地層形成に使用した水分散ポリウレタン樹脂(1)を実施例5の水分散ポリウレタン樹脂(2)に変更したこと以外は実施例3と同様とし、厚さ0.75mm、質量425g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0090】
i).耐水保護層形成用反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物
実施例3の耐水保護層の形成に用いた反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)組成物を反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)に変更した。すなわち(B−2:a−1)のブロックイソシアネート化合物(a−1)44質量部を、次ぎのブロックイソシアネート化合物(a−2)70質量部に変更し、また、実施例3のアクリルポリオール(商標:アクリデックA−801:固形分50質量%:大日本インキ化学工業(株))148質量部を117質量部に変更した。ブロックイソシアネート化合物(a−2)は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)系トリメチロールプロパン・アダクト変性ポリイソシアネート(商標:タケネートD−140N:イソシアネート基含有量10.5質量%、固形分75質量%:武田薬品工業(株))100質量部にメチルエチルケトオキシム35質量部を加えて得た固形分60質量%のキシレン溶液である。(※遊離のメチルエチルケトオキシム当量比はブロックイソシアネート1当量あたり0.03当量)この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(固形分53.6質量%)187質量部(固形分換算100質量部)に対し、着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))を1.0質量部、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部を配合したものをブレンダーで均一撹拌してグレー色の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物を得た。この(B−2:a−2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.6Pa・s(20℃/0.5時間)、1.9Pa・s(20℃/3.0時間)、1.5Pa・s(35℃/0.5時間)、1.7Pa・s(35℃/3.0時間)、1.3Pa・s(50℃/0.5時間)、2.0Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0091】
ii ).難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎに難燃下地層付メッシュシート中間品を、i)の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物(液温度35℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、(B−2:a−2)組成物を参考例1−ivと同一の手順により難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理を施して難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これによりポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が、91:9の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量448g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0092】
〔実施例8〕
実施例4の難燃下地層形成に使用した水分散ポリウレタン樹脂(1)を実施例6の水分散ポリウレタン樹脂(2)に変更したこと以外は実施例4と同様とし、厚さ0.74mm、質量405g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0093】
i).耐水保護層形成用反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物
実施例4の耐水保護層の形成に用いた反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)組成物を反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)に変更した。すなわち(B−2:b−1)組成物に含む活性水素基含有化合物(ポリテトラメチレンエーテルポリオール)を、数平均分子量1000、平均官能基数2.0のポリプロピレンエーテルポリオールに変更し、活性水素基/イソシアネート当量比1.4で含み、かつ、ウレトジオン基/活性水素基当量比が0.49である反応性非水分散ポリウレタン前駆体100質量部に対し、着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部、ブロック化剤解離触媒としてスズ系化合物(商標:フォーメートK:固形分10質量%:武田薬品工業(株))5質量部、酸化防止剤と耐候安定剤との液状複合添加剤として、商標:チヌビンB−75(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))1.0質量部と、及びグロス調整剤としてシリカ微粒子(商標:ニップシールE−170:日本シリカ工業(株))1質量部とを配合したものをブレンダーにより均一に撹拌してグレー色の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物を得た。この(B−2:b−2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.0Pa・s(20℃/0.5時間)、3.2Pa・s(20℃/3.0時間)、2.6Pa・s(35℃/0.5時間)、2.8Pa・s(35℃/3.0時間)、2.3Pa・s(50℃/0.5時間)、2.8Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0094】
ii ).難燃性複合メッシュシートの製造(耐水保護層の形成)
次ぎに難燃下地層付メッシュシート中間品を、i)の反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物(液温度35℃)が充填された浴中にディップ(浸漬)し、(B−2:b−2)組成物を参考例1−ivと同一の手順により難燃下地層の全面に付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理を施して難燃下地層の表面全面に耐水保護層を形成した。これによりポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が93:7の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、126質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.76mm、質量421g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0096】
〔実施例10〕
実施例2の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部と、着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部を追加した。この着色された反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.2Pa・s(20℃/0.5時間)、3.5Pa・s(20℃/3.0時間)、3.1Pa・s(50℃/0.5時間)、3.7Pa・s(50℃/3.0時間)であった。上記以外は全て実施例2と同様として難燃下処理が施されたポリエステル粗目3軸織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が92:8の質量比で形成され、粗目3軸織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量448g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0097】
〔実施例11〕
実施例3の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部と、着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部を追加した。この着色された反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.1Pa・s(20℃/0.5時間)、3.7Pa・s(20℃/3.0時間)、2.8Pa・s(50℃/0.5時間)、3.7Pa・s(50℃/3.0時間)であった。上記以外は全て実施例3と同様として難燃下処理ずみポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が90:10の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量448g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0098】
〔実施例12〕
実施例4の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部と、着色剤として、白顔料(商標:クリスタル100:塩素法ルチル型酸化チタン:平均粒子径0.19μm:CRISTAL社)4質量部、黒顔料(商標:カーボンブラックペーストTack1:顔料濃度20質量%:Degussa社)3質量部を追加した。この着色された反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.6Pa・s(20℃/0.5時間)、4.0Pa・s(20℃/3.0時間)、3.0Pa・s(50℃/0.5時間)、3.7Pa・s(50℃/3.0時間)であった。上記以外は全て実施例4と同様して難燃下処理ずみのポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が93:7の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、125質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.76mm、質量418g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0101】
〔実施例14〕
実施例6の難燃下地層の形成する工程(水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を1回として、その他は実施例6と同様にして厚さ0.54mm、質量358g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0102】
i).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物及び耐水保護層の形成
実施例6の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部を追加した。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.3Pa・s(20℃/0.5時間)、3.3Pa・s(20℃/3.0時間)、3.0Pa・s(50℃/0.5時間)、4.4Pa・s(50℃/3.0時間)であった。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物を実施例6と同様の工程((B−1)組成物を付着させたメッシュ中間品を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して(B−1)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて160℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を1回処理して、ポリエステル粗目3軸織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が74:26の質量比で形成され、粗目3軸織物基布に対し、80質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.74mm、質量405g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0103】
〔実施例15〕
実施例7の難燃下地層の形成する工程により水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を1回として、その他は実施例7と同様にして厚さ0.54mm、質量356g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0104】
i).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物及び耐水保護層の形成
実施例7の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部を追加した。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、2.9Pa・s(20℃/0.5時間)、3.2Pa・s(20℃/3.0時間)、2.6Pa・s(50℃/0.5時間)、3.3Pa・s(50℃/3.0時間)であった。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物を実施例7と同様の工程((B−2:a−2)組成物を付着させたメッシュ中間品を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して(B−2:a−2)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を2回処理して、ポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が60:40の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.77mm、質量447g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
【0105】
〔実施例16〕
実施例8の難燃下地層形成する工程により水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を浸漬付着させた粗目模紗織物基布を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して水分散ポリウレタン系樹脂(2)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を1回のみ施し、その他は実施例8と同様にして厚さ0.52mm、質量327g/m2 の難燃下地層付メッシュシート中間品を得た。
【0106】
i).反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物及び耐水保護層の形成
実施例8の耐水保護層を形成する反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)の固形分換算100質量部に対し、難燃性付与剤(窒素原子含有難燃化化合物)としてメラミン・シアヌレート(商標:MC−610:平均粒子径1〜5μm:日産化学(株))30質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−1)としてメラミン被覆ポリリン酸アンモニウム(重合度n=1000)(商標:エクソリットAP462:クラリアントジャパン(株))10質量部、難燃性付与剤(リン原子含有難燃化化合物−2)として芳香族縮合リン酸エステル(商標CR−747:大八化学(株))5質量部を追加した。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、3.5Pa・s(20℃/0.5時間)、3.8Pa・s(20℃/3.0時間)、2.8Pa・s(50℃/0.5時間)、3.4Pa・s(50℃/3.0時間)であった。この反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)組成物を実施例7と同様の工程により((B−2:b−2)組成物を付着させたメッシュ中間品を引上げると同時にマングルロールでニップ(圧搾)し、エアブローにより目合い空隙部の目詰まりを除去して(B−2:b−2)組成物を粗目模紗織物基布の全面に含浸付着させた後、120℃の熱風炉で1分間乾燥し、続けて200℃の熱風炉で3分間熱処理乾燥する工程)を1回処理して、ポリエステル粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が75:25の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し、100質量%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.74mm、質量373g/m2 の難燃性複合メッシュシートを得た。
参考例1及び実施例2〜3,5〜8の製品の構成及び試験結果を表1及び表2に示し、並びに、実施例10〜12,14〜16の製品の構成及び試験結果を表3に示す。
【0107】
【表1】
Figure 0003928021
【0108】
【表2】
Figure 0003928021
【0109】
【表3】
Figure 0003928021
【0110】
〔比較例1〕
参考例1の難燃性複合メッシュシートの調整方法から非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物による耐水保護層の形成工程(参考例1−iv)を省略し、また難燃下地層は参考例1の非水分散ポリウレタン樹脂組成物から硬化剤のカルボジイミド化合物(商標:カルボジライトV−02、有効濃度40質量%:日清紡(株))5質量部の添加を省いた液状組成物の付着含浸とその乾燥により形成して硬化剤抜きのポリウレタン樹脂(1)組成物による難燃下地層で被覆しただけの粗目摸紗織物(参考例1と同一のホスホン酸化合物による下処理が施されている。)とした。得られた比較メッシュシートは厚さ0.74mm、質量400g/m2 であった。
【0111】
〔比較例2〕
参考例1の難燃性複合メッシュシートから非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物による耐水保護層の形成工程(参考例1−iv)を省略し、メッシュシートの構成を参考例1の難燃下地層(硬化剤含有するポリウレタン樹脂(1)組成物)で被覆しただけの粗目摸紗織物(参考例1と同一のホスホン酸化合物による下処理が施されている。)とした。得られた比較メッシュシートは厚さ0.74mm、質量402g/m2 であった。
【0112】
〔比較例3〕
実施例6の難燃性複合メッシュシートから反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−1)組成物による耐水保護層の形成工程(実施例6−ii)を省略し、メッシュシートの構成を実施例6の難燃下地層(ポリウレタン樹脂(2)とアクリル−スチレン共重合体樹脂とのブレンド組成物)で被覆しただけの粗目3軸織物(参考例1と同一のホスホン酸化合物による下処理が施されている。)とした。得られた比較メッシュシートは厚さ0.75mm、質量433g/m2 であった。
【0113】
〔比較例4〕
実施例7の難燃性複合メッシュシートから反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:a−2)組成物による耐水保護層の形成工程(実施例7−i)を省略し、メッシュシートの構成を実施例7の難燃下地層(ポリウレタン樹脂(2)と酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂とのブレンド組成物)で被覆しただけの粗目摸紗軸織物(参考例1と同一のホスホン酸化合物による下処理が施されている。)とした。得られた比較メッシュシートは厚さ0.75mm、質量425g/m2 であった。
【0114】
前記比較例1〜4で得られたメッシュシートは、未使用状態においては、消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(鋼管落下による耐貫通試験)とを満足するものであったが、何れも本発明の難燃性複合メッシュシートの要件である耐水保護層を有さず、水分散樹脂組成物による被覆層のみで構成される従来のメッシュシートであるため、根本的に耐水性に劣り、1回のアルカリ温水洗濯によって樹脂被覆層が膨潤すると同時に、洗濯中に膨潤した樹脂被覆層が擦れ合って脱落し、メッシュシート自体が劣化することによって鋼管落下による耐貫通試験に不合格となった。また、洗濯時に難燃樹脂被覆層の膨潤・脱落によって防炎性が失われていた。この洗濯による樹脂被覆層の膨潤・脱落は樹脂被覆層に硬化剤を含有しない比較例1が最も悪い評価であったため、比較例1の水分散ポリウレタン樹脂(1)の固形分質量換算100質量部に対し、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)系イソシアヌレート変性ポリイソシアネート架橋剤(商標:タケネートD−170N:イソシアネート基含有量20.7質量%、固形分100質量%:武田薬品工業(株))10質量部を添加して耐洗濯性の改善を試みたが、今度は架橋剤の影響でメッシュシートが硬くなり、鋼管落下による耐貫通試験に不合格となった。この架橋剤の添加量の検討も種々試みたが、耐洗濯性と耐貫通試験を両立することは困難であった。従ってこれら比較例のメッシュシートは1回の洗濯によって防炎効果や耐貫通性が容易に失われてしまうため、繰り返し使用するには適さないものであった。
【0116】
〔比較例6〕
実施例8の難燃下地層のバインダー樹脂構成を、ポリウレタン樹脂(2)70質量%とアクリル−スチレン共重合体樹脂30質量%とのブレンド組成物から、ポリウレタン樹脂(2)10質量%とアクリル−スチレン共重合体樹脂90質量%とのブレンド組成物に変更した。すなわち難燃下地層を形成する水分散樹脂組成物のバインダー樹脂を、水分散ポリウレタン樹脂(2)(商標:アデカボンタイターHUX−386:ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン:固形分31質量%:旭電化工業(株))32質量部と、水分散アクリル系樹脂(商標:クロスレンCL−1003:アクリル−スチレン共重合体樹脂エマルジョン:固形分55質量%:ガンツ化成(株))164質量部(水分散ポリウレタン樹脂と水分散アクリル−スチレン共重合体樹脂の総和の固形分換算100質量部)に変更したこと以外は実施例8の難燃下地層組成物と同一として、粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が93:7の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し126%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.76mm、質量421g/m2 の比較メッシュシートを得た。
【0117】
比較例においては、難燃下地層のバインダー樹脂の構成を、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、またはアクリル−スチレン共重合体樹脂を主体とする構成比としたため、各々耐水保護層を形成する非水分散ポリウレタン樹脂(A)と反応性非水分散ポリウレタン前駆体(B−2:b−2)との密着性を悪くして、1〜2回目の洗濯時に耐水保護層が難燃下地層から剥離して脱落するという不都合を招く結果となり、従ってこれら比較例のメッシュシートは2回程度の洗濯によって防炎効果や耐貫通性が容易に失われてしまうため、繰り返し使用するには適さないものであった。
【0118】
〔比較例7〕
比較例1のメッシュシートにおいて、耐水保護層を形成する非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物にトルエン/イソプロピルアルコール(質量比50/50)溶媒を3600質量部追加してポリウレタン樹脂固形分濃度を2.5質量%(1/10濃度)に希釈した。この非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、0.03Pa・s(20℃/0.5時間)、0.03Pa・s(20℃/3.0時間)、0.02Pa・s(50℃/0.5時間)、0.02Pa・s(50℃/3.0時間)であった。これ以外は参考例1と同一として、粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が99.5:0.5の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し117%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.74mm、質量403g/m2 の比較メッシュシートを得た。
【0119】
比較例7のメッシュシートでは耐水被覆層の形成が、難燃下地層:耐水保護層が99:1の質量比に満たないため、洗濯時に十分な耐洗濯性が得られず、その結果1回の洗濯によって防炎効果や耐貫通性が容易に失われてしまうため、比較例1〜4のメッシュシート同様に繰り返し使用するには適さないものであった。
【0120】
〔比較例8〕
比較例1の比較メッシュシートにおいて、耐水保護層を形成する非水分散ポリウレタン樹脂(A)組成物を非水分散アクリル系樹脂(商標:ダイアナールLR−1065:固形分濃度45質量%:メチルエチルケトン溶媒:三菱レイヨン(株))に変更した以外は参考例1と同一として、粗目模紗織物基布に、難燃下地層:耐水保護層が95:5の質量比で形成され、粗目模紗織物基布に対し122%の被覆率で樹脂被覆層が形成された厚さ0.75mm、質量413g/m2 の比較メッシュシートを得た。この非水分散アクリル系樹脂組成物の液粘度(BM型回転粘度計による計測値)は、1.8Pa・s(20℃/0.5時間)、2.2Pa・s(20℃/3.0時間)、1.3Pa・s(50℃/0.5時間)、1.6Pa・s(50℃/3.0時間)であった。
【0121】
比較例8のメッシュシートでは難燃下地層のポリウレタン樹脂とアクリル系樹脂との界面密着性を悪くして、1〜2回目の洗濯時に硬い耐水保護層が亀裂剥離して難燃下地層から脱落する不都合を招く結果となった。またアクリル系樹脂による耐水保護層では易燃焼性となり防炎性が低下する結果となった。従ってこの比較例のメッシュシートは防炎効果や耐貫通性が洗濯によって容易に失われてしまうため、繰り返し使用はおろか初めから使用基準に満たないものであった。
比較例1〜4,6〜8の比較メッシュシートの、基布及び難燃下地層の構成、組成を表4に示し、その耐水被覆層の組成、並びに製品の性能を表5に示す。
【0122】
【表4】
Figure 0003928021
【0123】
【表5】
Figure 0003928021
【0124】
【発明の効果】
本発明によって得られる建築工事用難燃性複合メッシュシートは、消防法施工規則第4条(JIS L1091A法)の防炎性能と、JIS A8952及び(社)仮設工業会認定基準に規定される性能(鋼管落下による耐貫通試験)とを満足する非塩ビ製メッシュシートであり、特に本発明によって得られる建築工事用難燃性複合メッシュシートは、過酷な洗濯条件にも十分な耐久性を有し、業務洗濯によってメッシュシートの樹脂被覆層が膨潤して脱落したり、また難燃性付与剤が抽出減量したりする不都合は観察されず、また、本発明の難燃性複合メッシュシートはたった1度の洗濯によって容易に防炎効果が失われたり、洗濯によって耐貫通試験に不合格となるような従来の非塩ビ製メッシュシートの欠点を有さないため、長期使用で汚れた本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートを回収・洗濯して繰り返し再使用することが可能である。従って本発明の建築工事用難燃性複合メッシュシートは、従来の塩化ビニル樹脂使用のメッシュシートと同様に使用でき、しかも火災時に有毒なハロゲン化水素ガスを発生させる心配がないため、極めて有用性の高いものである。

Claims (11)

  1. 互に交錯する多数の繊維糸条からなり、その間に空隙が形成されている粗目織編物を含む基布と、この基布用粗目織編物の繊維糸条の少なくとも露出している表面を被覆している少なくとも1層の難燃下地層及びその上に形成された少なくとも1層の耐水保護層からなる樹脂被覆層とからなり、
    前記基布用粗目織編物が、ホスホン酸化合物を含む難燃下処理剤による難燃下処理が施されたものであり、
    前記難燃下地層が、水分散ポリウレタン樹脂を主成分として含むバインダー樹脂と、窒素原子含有難燃化化合物及びリン原子含有難燃化化合物の少なくとも1種からなる難燃性付与剤と、硬化剤とを含む水分散組成物の含浸又は塗布、及び乾燥により形成されたものであり、
    前記耐水保護層が、反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液を前記難燃下地層上に塗布し、乾燥することによって、ポリウレタン樹脂に転化して形成されたものであり、
    前記耐水保護層用反応性非水分散ポリウレタン樹脂前駆体(B)含有処理液が、(B−1)ポリウレタンプレポリマー成分と、a).ポリイソシアネート化合物、及び/又は、b).ブロックポリイソシアネート化合物とを含み、かつ有機溶媒に溶解された粘性液体、又は(B−2)分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子( ii )と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又は、b).分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含み、かつ0.1〜10 Pa ・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する粘性液体であり
    前記難燃下地層の合計質量と、前記耐水保護層の合計質量との質量比が、99:1〜50:50であり、かつ
    前記樹脂被覆層の合計質量の、前記粗目織編物の質量に対する質量比により表される被覆率が、25〜200質量%である
    ことを特徴とする建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  2. 前記難燃下地層用バインダー樹脂が、前記水分散ポリウレタン系樹脂を固形分換算50〜100質量%の含有量で含む、請求項1に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  3. 前記難燃下地層中の前記難燃性付与剤の含有量が10〜60質量%である、請求項1又は2に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  4. 前記耐水保護層が、さらに10〜60質量%の難燃性付与剤をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  5. 前記難燃下地層用及び耐水保護層用難燃性付与剤が、(イソ)シアヌレート系化合物、(イソ)シアヌル酸系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、及びこれらの誘導体化合物から選ばれた1種以上の窒素原子含有難燃化化合物を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  6. 前記難燃下地層用及び耐水保護層用難燃性付与剤が、赤リン、(金属)(有機)リン酸塩、リン酸誘導体、ポリリン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウム誘導体から選ばれた1種以上のリン原子含有難燃化化合物を含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  7. 前記難燃下地層用硬化剤が、ポリイソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、及び有機シラン化合物から選ばれた1種以上を含む、請求項1〜6の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  8. 前記基布用粗目織編物が、2〜4方向に伸びる繊維糸条の交錯によって織編された、2軸織編物、3軸織編物、4軸織編物から選ばれる、請求項1〜7の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  9. 前記基布用粗目織編物の表面積に対し、前記粗目織編物の空隙の合計面積の比が5〜65%である、請求項1〜8の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  10. 前記基布用粗目織編物の難燃下処理剤が、前記ホスホン酸化合物とともに、熱可塑性バインダー樹脂をさらに含む、請求項1〜9の何れか1項に記載の建築工事用難燃性複合メッシュシート。
  11. 互に交錯する多数の繊維糸条からなり、その間に空隙が形成されている粗目織編物を含む基布を用い、この基布の粗目織編物の繊維糸条の少なくとも露出している表面を被覆している少なくとも1層の難燃下地層及びその上に形成された少なくとも1層の耐水保護層からなる樹脂被覆層を形成するに際し、
    前記粗目織編物に、ホスホン酸化合物を含む難燃下処理剤による難燃下処理を施し、この難燃下処理された粗目織編物を含む基布を調製し、
    前記難燃下地層を形成するために、水分散ポリウレタン樹脂を主成分として含むバインダー樹脂と、窒素原子含有難燃化化合物及びリン原子含有難燃化化合物の少なくとも1種からなる難燃性付与剤と、硬化剤とを含む水分散組成物を、前記基布に浸漬・圧搾法により含浸し又はコーティング法によって塗布し、これを乾燥する処理を施し、
    前記耐水保護層を形成するために、反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液を、前記難燃下地層が形成されている基布に、浸漬・圧搾法により含浸し、又はコーティング法により塗布し、これを乾燥する処理を施し、それによって前記ポリウレタン樹脂前駆体を、ポリウレタン樹脂に転化し、
    このとき前記反応性非水分散ポリウレタン系樹脂前駆体(B)を含有する処理液として、
    (B−1)ポリウレタンプレポリマー成分と、a).ポリイソシアネート化合物、及び/又は、b).ブロックポリイソシアネート化合物とを含み、かつ有機溶媒に溶解された粘性液体、又は、
    (B−2)分子内に活性水素基を含有する化合物(i)及び/又は高分子( ii )と、a).分子内にブロックイソシアネート基を含有する化合物、及び/又は、b).分子内にウレトジオン基を有するイソシアネート化合物とを含み、0.1〜10 Pa ・s(20〜50℃/0.5〜3時間)の液粘度を有する粘性液体、を用い、
    前記難燃下地層の合計質量と、前記耐水保護層の合計質量との質量比を、99:1〜50:50に制御し、かつ
    前記樹脂被覆層の合計質量の、前記粗目織編物の質量に対する質量比により表される被覆率を25〜200質量%に制御する、
    ことを特徴とする建築工事用難燃性複合メッシュシートの製造方法。
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