JP4131465B2 - 難燃シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃シートに関するものである。更に詳しく述べるならば、本発明は耐水性、耐候性、難燃性などの耐久保持性に優れ印刷性、縫製性が高い難燃シートに関するものである。本発明の難燃シートは、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除けテント、自動車用幌シート、テント倉庫等の繊維シート構造物を構成する材料として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車用幌シート、及び工事用メッシュシート等に用いられる繊維シート材料については、種々の製造方法が知られており、例えば、特開昭52−18995号には、ポリエステル繊維布帛に接着前処理を施し、この前処理表面をポリ塩化ビニル系樹脂により被覆する方法が開示されている。この製法により得られるポリ塩化ビニル系樹脂被覆構造物は、柔軟性、耐久性及び難燃性においては優れているが、しかし、燃焼時に、ポリ塩化ビニル系樹脂に起因する塩化水素ガスなどの有害ガスの発生が、大きな問題点となっている。
この問題を解消するため、ハロゲン元素を含まない被覆用樹脂を用いることが検討されている。このような樹脂系材料において、それに難燃性を付与するために、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム等の無機化合物を添加する方法、及び赤燐を添加する方法などが知られている。前者において、満足できる難燃性を得るためには無機化合物の添加量が多量となるため、この方法によって得られる被覆構造物は、柔軟性及び耐久性が低いという欠点がある。また後者では、赤燐が製品を濃い褐色に着色するため、色彩の多様性が低くなるという欠点がある。
【0003】
特開平6−340815号(特許文献1)には、熱可塑性樹脂に、メラミンにより被覆されたポリ燐酸アンモニウムと、特定の含窒素有機化合物とを添加する方法が開示されている。メラミン被覆はポリ燐酸アンモニウムの耐水性向上に有効な手段であるが、屋外など過酷な使用条件下では、経時的にポリ燐酸アンモニウムの難燃性が低下してしまうという欠点がある。
特開平11−302979号(特許文献2)及び特開平11−323736号(特許文献3)には、ウレタン系樹脂を用いる難燃積層体が開示されているが、ウレタン系樹脂では充分な耐候耐久性が得られていない。
また、特開2000−8276号(特許文献4)及び特開2000−8277号(特許文献5)には、オレフィン系樹脂を用いる難燃積層体が開示されている。一般に屋形テント及び自動車幌シート用途では、マーキングインキによる印刷は不可欠であるが、オレフィン系樹脂による難燃積層体は、印刷適性が悪く、更に屋形テントや自動車幌シート用途に用いられたとき摩耗耐久性が低いという点が問題となる。上記のように、オレフィン系樹脂及び/又はウレタン系樹脂を用いる場合、難燃性、耐水性、耐候性及び印刷適性を満足する難燃積層体は未だ得られていない。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−340815号、第2〜6頁
【特許文献2】
特開平11−302979号、第2〜4頁
【特許文献3】
特開平11−323736号、第2〜5頁
【特許文献4】
特開2000−8276号、第2〜5頁
【特許文献5】
特開2000−8277号、第2〜5頁
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、戸外用軒出しテント、屋形テント、日除けテント、自動車用幌シート、テント倉庫等の用途に好適な難燃シートを提供しようとするものである。特に本発明は、屋外など過酷な使用条件下においても、樹脂層の剥離、脱落などによる損傷が少なく、難燃性の経時的低下がなく、また印刷適性に富み縫製作業も容易で、しかも廃棄、焼却が容易な難燃シートを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の難燃シート(II)は、繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B)前記難燃性中間層上に形成され、かつ、(4)主構成成分として、(a)高融点結晶性重合体セグメント、及び(b)脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントを含むポリエステルエラストマーからなる表皮層とを有するものであり、
前記難燃性中間層(A)の、前記表皮層(B)に対する質量比(A)/(B)が50:50〜95:5であることを特徴とするものである。
本発明の難燃シート(II)において、前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に、前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層(C)がさらに形成されていてもよい。
本発明の難燃シート(II)において、前記接着表皮層(C)を有する場合、前記難燃性中間層(A)の質量の、前記表皮層(B)及び接着表皮層(C)との合計質量に対する質量比(A)/〔(B)+(C)〕が50:50〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(II)において、前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上には、難燃性接着複合層が形成され、この難燃性接着複合層が(A−a)前記繊維性基布に含浸又は塗布によって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性接着中間層と、(C)前記難燃性接着中間層上に形成され、(5)前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層とを有することが好ましい。
本発明の難燃シート(II)において、前記難燃性接着複合層(A−a)を有するとき、前記難燃性中間層(A)及び難燃性接着中間層(A−a)の合計質量の、前記表皮層(B)及び接着表皮層(C)の合計質量に対する質量比〔(A)+(A−a)〕/〔(B)+(C)〕が50:50〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(II)において、その難燃性樹脂複合層の前記表皮層(B)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の難燃シート(II)において、前記表面処理層の被覆量は0.5〜5.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の難燃シート(III)は、繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
前記難燃性樹脂複合層の少なくとも1層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−a)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)主構成成分として、(a)高融点結晶性重合体セグメント、及び(b)脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントを含むポリエステルエラストマー100質量部と、(5)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜50質量部の難燃性付与剤とを含む難燃性表皮層とを有するものであることを特徴とするものである。
本発明の難燃シート(III)において前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に、前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層(C)がさらに形成されていてもよい。
本発明の難燃シート(III)において、前記接着表皮層(C)を有するとき、前記難燃性中間層(A)及び難燃性表皮層(B−a)の合計質量の、接着表皮層(C)の質量に対する質量比〔(A)+(B−a)〕/(C)が50:50〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(III)において、前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に難燃性接着複合層が形成されており、この難燃性接着複合層が、(A−a)前記繊維性基布に含浸又は塗布によって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性接着中間層と、(C−a)前記難燃性接着中間層上に形成され、(6)80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含み、難燃性付与剤を含有しない接着表皮層とを有することが好ましい。
本発明の難燃シート(III)において、前記難燃性接着複合層を有するとき、前記難燃性樹脂複合層及び難燃性接着複合層において、前記難燃性中間層(A)、難燃性表皮層(B−a)及び難燃性接着中間層(A−a)の合計質量の、前記接着表皮層(C−a)の質量に対する質量比〔(A)+(B−a)+(A−a)〕/(C−a)が50:50〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(III )において、その難燃性樹脂層の難燃性表皮層(B−a)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の難燃シート(III )において、前記表面処理層の被覆量は0.5〜5.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の難燃シート(IV)は、繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含む5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−b)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)60〜90質量部のポリエステルエラストマー、及び40〜10質量部のポリウレタンエラストマーを含む混合エラストマー表皮層とを有するものである。
本発明の難燃シート(IV)において、前記難燃性中間層(A)と前記表皮層(B−b)との質量比(A)/(B−b)が30:70〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(IV)において、その難燃性樹脂複合層の混合エラストマー表皮層(B−b)上に、それを被覆する表面処理層が形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の難燃シート(IV)において、前記表面処理層の被覆量は0.5〜5.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の難燃シート(V)は繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含む5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−c)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)60質量部以上のポリエステルエラストマーと、10質量部以上のポリウレタンエラストマー、及び30質量部未満の前記ポリエステルエラストマー並びに前記ポリウレタンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーからなる混合エラストマー表皮層とを有するものであることを特徴とするものである。
本発明の難燃シート(V)において、前記難燃性中間層(A)と前記混合エラストマー表皮層(B−c)との質量比(A)/(B−c)が30:70〜95:5であることが好ましい。
本発明の難燃シート(V)において、その難燃性樹脂複合層の混合エラストマー表皮層(B−c)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明の難燃シート(V)において、前記表面処理層の被覆量が0.5〜5.0g/m2 であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)に用いられる繊維性基布は、天然繊維、例えば木綿、麻など;無機繊維、例えばガラス繊維など;再生繊維、例えばビスコースレーヨン、キュプラなど;半合成繊維、例えば、ジ−及びトリアセテート繊維など;及び合成繊維、例えば、ナイロン6、及びナイロン66などのポリアミド繊維、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)繊維、芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、及びポリオレフィン繊維などから選ばれた少なくとも1種からなる布帛を包含する。
前記基布中の繊維は、短繊維紡績糸、長繊維糸条、スプリットヤーン、テープヤーンなどのいずれの形状のものでもよい。また基布組織は織物、編物、いずれであってもよく、使用目的に応じて、平織、綾織、丸編、緯編、及び経編などの編織物を選ぶことができ、またその目付は50〜1000g/m2 程度とすることが好ましい。
【0008】
前記基布には、それに耐水性、及び吸水防止性を付与する目的をもって、例えば、ワックスエマルジョン、樹脂バインダーを含むワックスエマルジョン、及びシリコーン系化合物のエマルジョン、及びこれらの溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により撥水前処理を予め施しておいてもよい。
前記基布には、難燃性を付与する目的をもって、例えば、難燃性付与剤及び樹脂バインダーを含むエマルジョン及び溶液などを噴霧し、又は浸漬する方法により難燃前処理を予め施しておいてもよい。難燃性付与剤には格別な制限はなく、従来の難燃性付与剤から選んで適宜に使用してもよい。また、基布が合成繊維を含む場合、合成繊維を製造する段階において繊維形成原料に予め難燃性付与剤を添加して繊維を製造してよい。この場合でも難燃性付与剤には格別の制限はなく、従来の難燃性付与剤を適宜選定して使用できる。
【0009】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)において、繊維性基布上に難燃性樹脂複合層が形成される。本発明の難燃シート(II)の難燃性樹脂複合層は、難燃性中間層(A)と、エラストマー表皮層(B)とを有し、難燃シート(III)の難燃性樹脂複合層は、難燃性中間層(A)と、難燃性表皮層(B−a)とを有し、難燃シート(IV)の難燃性複合層は、難燃性中間層(A)と混合エラストマー表皮層(B−b)とを有し、難燃シート(V)の難燃性複合層は、難燃性中間層(A)と、混合エラストマー表皮層(B−c)とを有するものである。
【0010】
本発明の難燃シート(II),(III ),(IV)及び(V)の難燃性中間層(A)は塗布法、含浸法(浸漬法)、トッピング法、フィルム貼着法のいずれにより形成されたものであってもよい。繊維性基布中に、難燃性中間層(A)形成用難燃性樹脂組成物が含浸(浸漬法)されていてもよい。
【0011】
本発明の難燃シート(II)の、態様(1)において、繊維性基布の1面上に難燃性中間層(A)が形成され、その上に表皮層(B)が形成されそれによって難燃性樹脂複合層が構成される。
本発明の難燃シート(II)の他の態様(2)において、繊維性基布の表面上に難燃性中間層(A)が形成され、その上に表皮層(B)が形成されそれによって難燃性樹脂複合層が構成され、繊維性基布の裏面上に難燃性中間層(A)が形成される。難燃性中間層(A)の形成方法は前記態様(1)と同様であり、表面上及び裏面上の難燃性中間層(A)の組成が互に同一であってもよく、或は異っていてもよい。難燃性中間層(A)の形成に含浸(浸漬)法を用いると、繊維性基布の表裏面に同一組成の難燃性中間層(A)を、一工程で形成することができ、かつ同時に繊維性基布中にも、難燃性中間層(A)形成用難燃性樹脂組成物を含浸することができる。
【0012】
本発明の難燃シート(II)の他の態様(3)において、繊維性基布の表裏面にそれぞれ難燃性中間層(A)と、その上に表皮層(B)が形成されそれによって表面及び裏面難燃性樹脂複合層が構成される。表裏面上難燃性中間層(A)は、それぞれ、態様(1)に記載の方法により形成することができる。表裏面上の難燃性中間層(A)及び表皮層(B)の各々は、その組成において互に同一であってもよく、互に異っていてもよい。
本発明の難燃シート(II)の他の態様(4)において、繊維性基布の表面上に、難燃性中間層(A)が形成され、その上に表皮層(B)が形成されてそれによって表面難燃性樹脂複合層が構成され、また繊維性基布の裏面上に、接着表皮層(C)が形成される。難燃性中間層(A)は前記態様(1)において記載の方法により形成することができる。
本発明の難燃シート(II)の他の態様(5)において、繊維性基布の表面上に、難燃性中間層(A)と、その上に形成された表皮層(B)とからなる表面難燃性樹脂複合層が形成され、また、繊維性基布の裏面上に、難燃性中間層(A−a)と、その上に形成された接着表皮層(C)とからなる裏面難燃性接着複合層が形成される。表面難燃性中間層(A)と、裏面難燃性中間層(A−a)とは、その組成において、互に同一であってもよく、互に異なっていてもよい。組成において同一の場合は、表面難燃性中間層(A)と裏面難燃性中間層(A−a)とは、それらを形成するための難燃性樹脂組成物を、含浸(浸漬)法により繊維性基布に含浸させることにより形成することができる。
上記本発明の難燃シート(II)において、繊維性基布は、その表裏面のいずれか1面上に形成される難燃性中間層(A)又は(A−a)と同一の組成の難燃性樹脂組成物により含浸されていてもよい。
【0013】
本発明の難燃シート(III)の、態様(1)において、繊維性基布の1面上に難燃性中間層(A)が形成され、その上に難燃性表皮層(B−a)が形成されそれによって難燃性樹脂複合層が構成される。この場合、難燃性中間層(A)は塗布法、含浸法(浸漬法)、トッピング法、フィルム貼着法のいずれにより形成されたものであってもよい。繊維性基布中に、難燃性中間層(A)形成用難燃性樹脂組成物が含浸されていてもよい。
本発明の難燃シート(III)の他の態様(2)において、繊維性基布の表面上に難燃性中間層(A)が形成され、その上に難燃性表皮層(B−a)が形成されそれによって難燃性樹脂複合層が構成され、繊維性基布の裏面上に難燃性中間層(A)が形成される。難燃性中間層(A)の形成方法は前記態様(1)と同様であり、表面上及び裏面上の難燃性中間層(A)の組成が互に同一であってもよく、或は異っていてもよい。難燃性中間層(A)の形成に含浸(浸漬)法を用いると、繊維性基布の表裏面に同一組成の難燃性中間層(A)を、一工程で形成することができ、かつ同時に繊維性基布中にも、難燃性中間層(A)形成用難燃性樹脂組成物を含浸することができる。
【0014】
本発明の難燃シート(III)の他の態様(3)において、繊維性基布の表裏面にそれぞれ難燃性中間層(A)と、その上に難燃性表皮層(B−a)が形成されそれによって表面及び裏面難燃性樹脂複合層が構成される。表裏面上難燃性中間層(A)は、それぞれ、態様(1)に記載の方法により形成することができる。表裏面上の難燃性中間層(A)及び難燃性表皮層(B−a)の各々は、その組成において互に同一であってもよく、互に異っていてもよい。
本発明の難燃シート(III)の他の態様(4)において、繊維性基布の表面上に、難燃性中間層(A)が形成され、その上に難燃性表皮層(B−a)が形成されてそれによって表面難燃性樹脂複合層が構成され、また繊維性基布の裏面上に、接着表皮層(C)が形成される。難燃性中間層(A)は前記態様(1)において記載の方法により形成することができる。
本発明の難燃シート(III)の他の態様(5)において、繊維性基布の表面上に、難燃性中間層(A)と、その上に形成された難燃性表皮層(B−a)とからなる表面難燃性樹脂複合層が形成され、また、繊維性基布の裏面上に、難燃性中間層(A−a)と、その上に形成された接着表皮層(C)とからなる裏面難燃性接着複合層が形成される。表面難燃性中間層(A)と、裏面難燃性中間層(A−a)とは、その組成において、互に同一であってもよく、互に異なっていてもよい。組成において同一の場合は、表面難燃性中間層(A)と裏面難燃性中間層(A−a)とは、それらを形成するための難燃性樹脂組成物を、含浸(浸漬)法により繊維性基布に含浸させることにより形成することができる。
上記本発明の難燃シート(III)において、繊維性基布は、その表裏面のいずれか1面上に形成される難燃性中間層(A)又は(A−a)と同一の組成の難燃性樹脂組成物により含浸されていてもよい。
【0015】
本発明の難燃シート(IV)の難燃性樹脂複合層は、難燃性中間層(A)と、その上に形成されポリエステルエラストマー及びウレタンエラストマーの2種を含む混合エラストマー表皮層(B−b)とを有するものである。
本発明の難燃シート(V)の難燃性樹脂複合層は、難燃性中間層(A)と、その上に形成されポリエステルエラストマー及びウレタンエラストマーを含む3種以上エラストマーからなる混合エラストマー表皮層(B−c)とを有するものである。
【0016】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)の難燃性中間層(A)又は(A−a)に用いられる可撓性高分子材料(1)は、エチレンと不飽和単量体との共重合樹脂(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びエチレン−バーサチック酸ビニル共重合体)、アクリル系樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリ酢酸ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂、並びにアクリロニトリル−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体などのゴム系樹脂、換言すれば熱可塑性エラストマー、並びに天然又は合成ゴムなどから選ばれた少なくとも1種を含むものである。また可撓性を有している限り、熱硬化性樹脂、その他の高分子材料を可撓性高分子材料として使用してもよい。
【0017】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)に難燃性を付与することを目的として、難燃性付与剤(2)が、難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)の難燃性中間層(A),(A−a)中に含有され、また難燃性付与剤(5)が、難燃シート(III)の難燃性表皮層に添加される。この難燃性付与剤(2),(5)としては、燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種が使用される。前記燐酸エステル系化合物としては、好ましくはトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びオクチルジフェニルホスフェートなどの燐酸エステル類;高分子量化したポリホスフェートなどの縮合燐酸エステル類;ホスホン酸、ジホスフィン酸、ホスフィン酸等の亜燐酸及び縮合亜燐酸のエステル類などを用いることができる。また前記ポリ燐酸アンモニウム系化合物としては、好ましくはオルソ燐酸アンモニウムと尿素の縮合生成物が用いられる。ポリ燐酸アンモニウムはこのまま用いてもいいし、メラミンにより表面を被覆したもの、或はマイクロカプセル化したものを用いてもよい。さらに前記(イソ)シアヌル酸誘導体化合物としては、メラミン、硫酸メラミン、燐酸メラミン、ポリ燐酸メラミン、メチロールメラミン、シアヌル酸トリメチルエステル、シアヌル酸トリエチルエステル、アンメリン、アンメリド、及び2,4,6−トリオキシシアニジンなどのシアヌル酸誘導体を用いることができる。また、イソアンメリン、イソメラミン、イソアンメリド、トリメチルカルボジイミド、トリエチルカルボジイミド、及びトリカルボジイミドなどのイソシアヌル酸誘導体を用いることができる。特には、メラミンのイソシアヌル酸との反応により得られるメラミンシアヌレートが本発明に好適に用いることができる。
【0018】
また、難燃性を高めるために、必要に応じ、前記難燃性付与剤(2)又は(5)とともに、(イソ)シアヌル酸誘導体化合物以外の含窒素化合物、例えばジシアンジアミド、ジシアンジアミジシン、グアニジン、スルファミン酸グアニジン、燐酸グアニジン、及びジグアニドなどのシアナミド誘導体;並びに尿素、ジメチロール尿素、ジアセチル尿素、トリメチル尿素、N−ベンゾイル尿素、及び燐酸グアニル尿素などの尿素誘導体から選ばれた1種以上を併用してもよい。
難燃性付与剤(2)の添加量は、難燃性中間層(A)又は(A−a)においては、樹脂成分(4)の固形分質量に対して、5〜150質量%である。その添加量が5質量%未満では、得られる難燃性樹脂複合層において十分な難燃性を得ることができず、またその添加量が150質量%を超えると、十分な耐久性を有する積層体を得ることができず、またコスト高となる。本発明の難燃シート(III)の難燃性表皮層(B−a)においては、難燃性付与剤(5)の添加量は樹脂成分(4)の固形分質量に対して、5〜50質量%である。その添加量が5質量%未満では、得られる難燃性樹脂複合層において十分な難燃性を得ることができず、またその添加量が50質量%を超えると、十分な耐久性を有する積層体を得ることができず、またコスト高となる。
【0019】
また、本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)の難燃性樹脂複合層の難燃性中間層(A)又は(A−a)には、難燃助剤として無機系化合物を添加してもよい。これら無機系化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、四硼酸ナトリウム、燐酸マグネシウム、二燐酸ナトリウム、燐酸亜鉛などの結晶水を持つ無機水和物、メタ錫酸、錫酸亜鉛、ヒドロキシ錫酸亜鉛などの錫系化合物並びに硼酸、硼酸亜鉛、硼酸アルミニウムなどの硼酸化合物が好適に用いられ、これらは単独に、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
更に、本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)の難燃性中間層(A)又は(A−a)中には、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む架橋剤(3)が必須成分として添加される。これらの架橋剤(3)は、繊維性基布と、難燃性樹脂層或は難燃性中間層(A)又は(A−a)との間の接着性を高め、難燃性樹脂層、或は難燃性中間層(A)又は(A−a)の耐水性、耐候性、樹脂強度の低下を抑制すると共に、難燃性付与剤(2)の耐水性、耐ブリード性を向上させる効果を有している。
本発明において架橋剤(3)として用いられるアジリジン系化合物としては、分子内にアジリジニル基を含有するものであればよく、分子内に2個のアジリジニル基を含有する化合物(例えば、ジフェニルメタン−ビス−4−4′−N−N′−ジエチレンウレアなど)、及び分子内に3個のアジリジニル基を含有する化合物(例えば、2,2−ビスハイドロキシメチルブタノール−トリス〔3−(1−アジリジニル)プロピオネート〕)などが用いられる。
本発明において架橋剤(3)として用いられる前記カルボジイミド系化合物としては、有機ジイソシアネートを、ホスホレン化合物、金属カルボニル錯体化合物、及び燐酸エステルなどのように、カルボジイミド化を促進する触媒の存在下に、反応させることにより得られたものが好適に用いられる。具体的に述べるならば、ジプロピルカルボジイミド、ジヘキシルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジ−P−トルオイルカルボジイミド、及びトリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどを用いることができる。特には、トリイソプロピルベンゼンポリカルボジイミドなどのように多官能カルボジイミドは、耐久性がすぐれているので、好適に用いられる。
【0021】
本発明において架橋剤(3)として用いられる前記オキサゾリン系化合物としては、オキサゾール−4−カルボン酸の脱炭酸反応により得られるオキサゾールから誘導、生成される化合物が好適に用いられる。例えば、2−オキサゾリン、4−メチル−2−オキサゾリン、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)、並びにスチレン、又はアクリル系化合物などのポリマーにオキサゾリル基をグラフトして得られる多官能オキサゾリンポリマーが用いられる。特には、2,2′−ビス(2−オキサゾリン)などのような多官能オキサゾリンは耐久性がすぐれているので、本発明に好ましく用いられる。
本発明において架橋剤(3)として用いられる前記イソシアネート系化合物としては、脂肪族ジイソシアネート類(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートなど)脂環式ジイソシアネート類(例えば、イソホロンジイソシアネート、及び水添トリレンジイソシアネートなど)芳香族ジイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、及びキシレンジイソシアネートなど)イソシアヌレート類(例えば、トリス(ヘキサメチレンイソシアネート)イソシアヌレート、及びトリス(3−イソシアネートメチルベンジル)イソシアヌレートなど)前記イソシアネート化合物のイソシアネート基末端をフェノール類、オキシム類、アルコール類、又はラクタム類等のブロック化剤でブロックして得られるブロックイソシアネート化合物類、並びに、前記化合物のイソシアネート基の一部にエチレングリコールなど親水性単量体が付加された変性イソシアヌレート化合物類などを例示することができる。分散性、耐水性の改良及び基布への接着性向上の観点から、特に、ブロックイソシアネート化合物を用いることが好ましい。
【0022】
本発明において架橋剤(3)として用いられる前記カップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、及びジルコアルミニウム系カップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなるものが好ましく用いられる。
シラン系カップリング剤としては、アミノシラン類(例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシランなど)エポキシシラン類(例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなど)ビニルシラン類(例えば、ビニルトリエトキシシラン、及びビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シランなど)メルカプトシラン類(例えば、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなど)が挙げられる。
チタン系カップリング剤としては、アルコキシ類(例えば、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、及びテトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタンなど)アシレート類(例えば、トリ−n−ブトキシチタンステアレート、及びイソプロポキシチタントリステアレートなど)が挙げられる。
ジルコニウム系カップリング剤としては、例えば、テトラブチルジルコネート、テトラ(トリエタノールアミン)ジルコネート、及びテトライソプロピルジルコネートなどが挙げられる。
【0023】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートが挙げられる。また、ジルコアルミニウム系カップリング剤としては、テトラプロピルジルコアルミネートが挙げられる。
これらの中で、耐水性、耐候性の観点から、特にγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、及びγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシランを用いることが好ましい。
これらの架橋剤は単独で用いてもよいし、また、2種以上を併用してもよい。
【0027】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)の難燃性樹脂複合層における架橋剤(3)の添加量は、難燃性中間層(A)又は(A−a)の樹脂成分(1)の固形分質量に対して0.5〜30質量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜15質量%である。その添加量が0.5質量%未満では得られる難燃性中間層の耐水性、難燃性の耐久性が不十分であり、またそれが30質量%を超えると製品の柔軟性が損なわれ、難燃性能も低下してしまうという問題を生ずる。
【0028】
本発明の難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)において、難燃性中間層(A),(A−a)は、それぞれ可撓性高分子材料(1)と、難燃性付与剤(2)と、架橋剤(3)とを含有するエマルジョンにより繊維性基布をディッピングして絞り、又はコートし、これを乾燥し、必要により加熱処理を施すことにより形成される。難燃性中間層用エマルジョン中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0029】
本発明の難燃シート(II)の表皮層(B)、難燃シート(III)の難燃性表皮層(B−a)難燃シート(IV)の混合エラストマー表皮層(B−b)及び難燃シート(V)の混合エラストマー表皮層(B−c)に用いられるポリエステルエラストマー(4)は、高融点結晶性重合セグメント(a)と脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメント(b)からなるブロック共重合体であり、高融点結晶性重合セグメント(a)は、(イ)ジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、及び(ロ)ジオール及びそのエステル形成性誘導体から導かれたポリエステルにより形成される。前記ジカルボン酸(イ)としてはテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましく、これらジカルボン酸のエステル形成性誘導体、例えば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、酸ハロゲン化物等も同等に用いることができる。前記ジオール(ロ)としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール;1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール;キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル等の芳香族ジオールなどを用いることが好ましく、ジオール(ロ)もそのエステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩等の形でも用いられてもよい。これらのジカルボン酸およびその誘導体、並びにジオール及びその誘導体を2種以上併用してもよい。そして最も好ましい高融点結晶性重合セグメント(a)の例は、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレートである。
【0030】
本発明において、表皮層(B),(B−a)(B−b)及び(B−c)に用いられるポリエステルエラストマーの低融点重合体セグメント(b)は脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルにより形成される。前記脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体などが挙げられる。また、脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペートなどが好ましい。
このような脂肪族ポリエステルを用いると、得られるポリエステルエラストマー(4)は高い弾性特性を有する。
【0031】
本発明において、表皮層(B)又は(B−a)に用いられるポリエステルエラストマー(4)において、高融点重合体セグメント(a)の低融点重合体セグメント(b)に対する共重合質量比は、好ましくは90〜10:10〜90であり、更に好ましくは70〜20:30〜80である。低融点重合体セグメント(b)の共重合量が、セグメント(a),(b)の合計質量に対して10質量%未満では、得られるエラストマー(4)の柔軟性やゴム弾性が不十分になることがあり、またそれが90質量%を超えると、得られるエラストマー(4)の結晶性が低く成形性が不十分になることがある。
【0032】
本発明において、混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)に用いられるポリウレタンエラストマーは、ポリオールとジイソシアネートとを反応させたものを用いることができる。この場合、ポリオールとしては両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びポリカーボネート系ポリオールなどを使用することができる。また、ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。耐候性、耐久性の面では、ポリオール成分としてポリカーボネート系ポリオールを用い、ジイソシアネート成分としては脂肪族ジイソシアネートを用いたポリカーボネート系ポリウレタンエラストマーが好適である。
【0033】
本発明において、混合エラストマー表皮層(B−c)に用いられ、前記ポリエステルエラストマー及びポリウレタンエラストマーとは異種の熱可塑性エラストマーとしては、一般的な可撓性高分子材料として知られる、オレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン)、エチレンと不飽和単量体との共重合樹脂(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びエチレン−バーサチック酸ビニル共重合体)、アクリル系樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などの熱可塑性エラストマーを使用することができる。
【0034】
本発明において混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)を構成する樹脂成分において、ポリエステルエラストマーは質量比率60%以上であり、好ましくは70%以上であり、更に好ましくは70〜75%である。ポリエステルエラストマーの質量比率が60%未満では、得られる混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)の成形性が不十分になることがあり、難燃性が不十分になることがある。また、ポリウレタンエラストマーは質量比率10%以上であり、好ましくは20%以上であり、更に好ましくは20〜25%である。ポリウレタンエラストマーの質量比率が10%未満では、得られる混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)の柔軟性が不十分になることがあり、揉み耐久性が不十分となる。
【0035】
本発明の難燃シート(IV)において、難燃性中間層(A)と混合エラストマー表皮層(B−b)との質量比は(A)/(B−b)が30:70〜95:5であることが好ましく、更に好ましくは50:50〜85:15である。難燃性中間層(A)比率が30質量%未満では、得られる難燃シートの難燃性が不十分となり、混合エラストマー表皮層(B−b)の比率が5質量%未満では難燃シートの摩耗耐久性が不十分となり、熱融着縫製性も悪くなり縫製部の強度が低下する。本発明の難燃シート(V)において、難燃性中間層(A)と混合エラストマー表皮層(B−c)との質量比は(A)/(B−c)が30:70〜95:5であることが好ましく、更に好ましくは50:50〜85:15である。難燃性中間層(A)比率が30質量%未満では、得られる難燃シートの難燃性が不十分となり、混合エラストマー表皮層(B−c)比率が5質量%未満では難燃シートの摩耗耐久性が不十分となり、熱融着縫製性も悪くなり縫製部の強度が低下する。
【0036】
本発明の難燃シート(II)において、繊維性基布の、難燃性樹脂複合層により被覆されていない面(裏面)上に、接着表皮層(C)が設けられてもよく、また、難燃シート(III)においても、繊維性基布の難燃性樹脂複合層により被覆されていない面(裏面)上に、接着表皮層(C−a)が設けられてもよい。
本発明の難燃シート(II)又は(III)の接着表皮層(C)又は(C−a)に用いられる可撓性高分子材料は、エチレンと不飽和単量体との共重合樹脂(例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、及びエチレン−バーサチック酸ビニル共重合体など)、アクリル系樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル)、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂から選ぶことができる。これらの熱可塑性樹脂の軟化温度は、好ましくは80〜175℃の範囲にあり、更に好ましくは110〜160℃の範囲である。この軟化温度が80℃未満では、熱融着縫製時の熱クリープ特性が不十分となることがあり、またこの軟化温度が175℃を超えると、表皮層(B)又は難燃性表皮層(B−a)と、ポリエステルエラストマー含有難燃性中間層(A)との熱融着性が不十分になり、実際に屋外で使用した場合に大きな問題となることがある。
【0037】
本発明の難燃シート(II)において、表皮層(B)はポリエステルエラストマーから、また本発明の難燃シート(III)において、難燃性表皮層(B−a)は、ポリエステルエラストマー(4)と難燃性付与剤(5)との混合物から、本発明の難燃シート(IV)の混合エラストマー表皮層(B−b)は、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーの混合物から、さらに、本発明の難燃シート(V)の混合エラストマー表皮層(B−c)は、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー及び異種熱可塑性エラストマーの混合物をそれぞれ、T−ダイ押出法、インフレーション(ブロー成型)法、カレンダー法などの加工技術によってフィルムに成型し、このフィルムを前記難燃性中間層(A)上に熱ラミネートすることにより形成される。表皮層(B)、難燃性表皮層(B−a)又は混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)の形成用組成物中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、滑剤、及び帯電防止剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0038】
本発明の難燃シート(II),(III)において、接着表皮層(C),(C−a)は可撓性高分子材料を含有するエマルジョンおよび/または溶液を難燃性中間層(A),(A−a)および/または繊維性基布上にコートし、これを乾燥し、必要により加熱処理を施すことにより形成される。接着表皮層用配合組成物中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
【0039】
本発明の難燃シート(II)において、難燃性中間層(A)の、表皮層(B)に対する質量比(A)/(B)、又は難燃性中間層(A)の質量の、表皮層(B)及び難燃性付与剤を含まない接着表皮層(C)の合計質量に対する質量比(A)/〔(B)+(C)〕、或は、難燃シート(III)において、難燃性中間層(A)と難燃性表皮層(B−a)との合計質量の、難燃性付与剤を含まない接着表皮層(C−a)の質量に対する質量比〔(A)+(B−a)〕/(C−a)は、それぞれ50〜95:50〜5であり、好ましくは70〜90:30〜10である。前記難燃性付与剤含有層の合計質量比率が50質量%未満であると、得られる難燃シート(II)又は(III)の難燃性が不充分となり、難燃性付与剤を含まない層の合計量の質量比率が5質量%未満では難燃シートの摩耗耐久性が不充分となり、熱融着縫製性も悪くなり縫製部の強度が低下する。本発明の難燃シート(IV)において、難燃性中間層(A)と、前記混合エラストマー表皮層(B−b)との質量比(A)/(B−b)は、30:70〜95:5であり好ましくは、50:50〜85:15である。
また、本発明の難燃シート(V)において、難燃性中間層(A)と、前記混合エラストマー表皮層(B−c)との質量比(A)/(B−c)は30:70〜95:5であり好ましくは、50:50〜85:15である。
【0040】
難燃シート(II),(III),(IV)及び(V)において、繊維性基布上に形成される難燃性樹脂複合層及び難燃性接着複合層の各々の付着質量は100〜800g/m2 であることが好ましく、更に好ましくは200〜500g/m2 である。難燃性樹脂複合層及び難燃性接着複合層の付着質量が100g/m2 未満では、本発明の難燃シート(II),(III)の難燃性が不十分になることがあり、また難燃性樹脂複合層及び難燃性接着複合層の付着量が800g/m2 を超えると得られた難燃シートの柔軟性が不十分になることがある。
【0041】
本発明の難燃シート(I)〜(V)において、その難燃性樹脂層上に直接に又は難燃性樹脂複合層の表皮層(B),(B−a),(B−b)及び(B−c)の各々の上に、それを被覆する表面処理層を形成してもよい。この表面処理層は、本発明の難燃シート(I)〜(V)の各々の表面に対し熱融着性の低下を抑制し、高い防汚性を付与するものである。
表面処理層は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含むものであることが好ましく、その被覆量は0.5〜5.0g/m2 であることが好ましく、1.0〜3.0g/m2 であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明の難燃シート(I)〜(V)において、その難燃性樹脂層上に直接に又は難燃性樹脂複合層の表皮層(B),(B−a),(B−b)及び(B−c)の各々の表面に塗布される前記アクリル系樹脂は、アクリル酸或いはメタアクリル酸のアルキルエステル、およびこれらと架橋性官能基を含有するα、β−エチレン性不飽和単量体とを共重合して得られる変性アクリル酸エステル共重合体が好適に用いられる。アクリル酸或いはメタアクリル酸のアルキルエステルとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチルエステル、および(メタ)アクリル酸ノルマルおよびイソプロピルエステルなどから選ばれた少なくとも1種のアルキルエステル、またはこれらアルキルエステルの共重合体からなるものである。ここに表記される(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタアクリル酸の両者を含むものであり、以下同じく表記する。また、これらに共重合される架橋性官能基を含有するα、β−エチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基含有単量体(例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸など)、エポキシド基含有単量体(例えばグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリジルエーテルなど)、アミノ基含有単量体(例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジンなど)、水酸基含有単量体(例えばアリルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、多価アルコールのモノアリルエーテルなど、アミド基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、マレインアミドなど)、イソシアネート基含有単量体(例えばアリルイソシアネートなど)、などが挙げられる。
【0043】
本発明の難燃シート(I)〜(V)において、その難燃性樹脂層上に直接に又は難燃性樹脂複合層の表皮層(B),(B−a),(B−b),(B−c)の各々の表面に塗布される前記ポリウレタン系樹脂は、ポリオールとジイソシアネートとを反応させたものを用いることができる。この場合、ポリオールとしては両末端に水酸基を有するポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、及びポリカーボネート系ポリオールなどを使用することができる。また、ジイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、及び脂肪族ジイソシアネートを用いることができる。耐候性、耐久性の面では、ポリオール成分としてポリカーボネート系ポリオールを用い、ジイソシアネート成分としては脂肪族ジイソシアネートを用いたポリカーボネート系ポリウレタンエラストマーが好適である。
【0044】
本発明の難燃シート(I)〜(V)において、その難燃性樹脂層上に直接に又は難燃性樹脂複合層の表皮層(B),(B−a),(B−b),(B−c)の各々の表面に塗布される前記ポリエステル系樹脂は、高融点結晶性重合セグメントと低融点重合体セグメントからなるブロック共重合体であり、高融点結晶性重合セグメントとしてはジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸など)とジオール(例えば、分子量400以下のジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの脂肪族ジオール;1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール;キシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル等の芳香族ジオール)から導かれたポリエステル樹脂が挙げられ、低融点重合体セグメントとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペートなどが挙げられる。
【0045】
難燃性樹脂層上に直接に又は難燃性樹脂複合層の表皮層(B),(B−a),(B−b),(B−c)の表面に表面処理層を被覆する方法に格別の制限はなく、スプレー塗装、グラビアコート等の塗布方法が適宜用いられる。その被覆量は0.5〜5.0g/m2 であることが好ましい。
本発明の難燃シート(IV)及び(V)において、難燃性中間層(A)は、可撓性高分子材料(1)と、難燃性付与剤(2)と、架橋剤(3)とを含有するエマルジョンにより繊維性基布をディッピングして絞り、又はコートし、これを乾燥し、必要により加熱処理を施すことにより形成される。難燃性中間層用エマルジョン中には、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、増粘剤、及び消泡剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
本発明の難燃シート(IV)及び(V)において、混合エラストマー表皮層(B−b)及び(B−c)はポリエステルエラストマーとポリウレタンエラストマーを含む樹脂成分から、それぞれ、T−ダイ押出法、インフレーション(ブロー成型)法、カレンダー法などの加工技術によってフィルム成型し、このフィルムを前記難燃性中間層(A)上に熱ラミネートすることにより形成される。表皮層(B−b)及び(B−c)形成用組成物中には難燃性付与剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機充填剤、顔料、滑剤、及び帯電防止剤などの1種以上を適宜添加してもよい。
本発明の難燃シート(IV)及び(V)においても、繊維性基布上に形成される難燃性樹脂複合層の付着重量は100〜800g/m2 であることが好ましく、更に好ましくは200〜500g/m2 である。難燃性樹脂複合層の付着重量が100g/m2 未満では、本発明の難燃シートの難燃性が不十分になることがあり、また難燃性樹脂複合層の付着量が800g/m2 を超えると得られた難燃シートの柔軟性が不十分になることがある。
【0046】
【実施例】
本発明を下記実施例により更に具体的に説明する。
【0047】
製品の性能評価に用いられた測定方法は下記の通りである。
耐屈曲性及び耐候耐久性
JIS規格L−1096のスコット法に従って、つかみ間隔2cm、押圧荷重1kgfの条件下に試験片に回数1,000回の屈曲試験を施し、結果を目視で評価した。また、サンシャインカーボンアーク燈式促進暴露試験(JIS規格A−1415)で500時間促進試験を行った試験片に同様の屈曲試験を施し、難燃シートの耐候耐久性の評価とした。
防炎耐久性
耐温水性試験(70℃温水中に3日間浸漬)前後の試験片を、下記2種類の方法により燃焼試験に供し、その性能を評価した。
(1)45度法防炎試験:JIS規格L−1091のA−1法もしくはA−2法に従って、炭化面積、炭化距離、残炎時間、残ジン時間を測定。基準を満足した場合、防炎区分3合格とする。
(2)酸素指数法:JIS規格K−7201に従って、燃焼限界酸素量を測定した。
印刷適性
製品にスクリーンインキ(セリコールPPE 帝国インキ製造(株)製)を225メッシュのスクリーンを用いて印刷を行い印刷後24時間風乾し、セロハンテープを強く擦り付け、剥離したときのインキの剥離量を目視判断した。
剛軟性
JIS規格L−1096の45°カンチレバー法に従い、剛軟性を評価した。50mm以下のものは展張及び収納時の作業性が良かった。
【0048】
熱融着性
2枚の難燃シートの端末を4cm幅で直線状に重ね合わせ、4cm×30cmのウェルドバー(歯形:凸部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凸部高さ0.5mm:凹部は等間隔4cm幅直線状賦型9本/25.4mm、凹部深さ0.5mm)を装着した高周波ウェルダー融着機(山本ビニター(株)製YF−7000型:出力7KW)を用いて難燃シートの高周波融着接合を行い、熱融着性を以下の判定基準で評価し、縫製性の評価とした。また融着接合部を含む3cm幅の試料を採取し、融着接合部の剪断試験(JIS規格L−1096)を行い、接合部の破壊状態を以下の判定基準によって評価し、縫製性の評価とした。
〈高周波融着性〉
◎:融着が容易である。
※ウェルダー融着条件:融着時間5秒、冷却時間5秒、陽極電流0.8A、ウェルドバー温度40〜50℃
○:融着条件を強く、かつ長くすることで融着可能である。
※ウェルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒、陽極電流1.0A、ウェルドバー温度40〜60℃
×:融着条件を強く、かつ長く設定しても融着しない。
※ウェルダー融着条件:融着時間10秒、冷却時間5秒、陽極電流1.3A、ウェルドバー温度40〜60℃
〈剪断による接合部の破壊状態〉
○:本体破壊する。
×:接合部が糸抜け破壊もしくは接合部が剥離破壊する。
耐熱クリープ性
ウェルダー融着シートより重ね合わせ幅2cmを含む、試験片幅3cm、試験片長30cmの試験片を採取し、これを耐熱クリープ試験片とし、クリープ試験機(東洋精機製作所(株)製:100LR型)を使用して60℃×難燃シート本体剪断強力の1/10荷重×24時間の耐熱クリープ性試験を評価した。
○:24時間経過後、接合部の破壊はなく難燃シート本体剪断強力の1/10荷重に耐えていた。
×:24時間以内に接合部が破壊した。
【0068】
参考例
ポリエステルエラストマー(1−A)の調製
ジメチルテレフタレート194質量部、数平均分子量約1000のポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール265質量部およびテトラメチレングリコール70質量部をテトラブチルチタネート0.1質量部と共に反応容器に仕込み、190〜225℃で2時間加熱して、理論メタノール量の95%のメタノールを系外に留出した。反応混合物にヒンダートフェノール系耐熱剤を0.5質量部を添加した後、245℃に昇温し、次に50分かけて系内の圧力を0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合を行わせた。得られたポリマーを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。このポリエステルエラストマー(1−A)は融点165℃、ショアD硬度38、低融点重合体セグメントの共重合量はおよそ63質量%であった。
ポリエステルエラストマー(1−B)の調製
テレフタル酸100質量部、1,4−ブタンジオール110質量部、テトラブチルチタネート0.1質量部を反応容器に仕込み、撹拌しながら反応水を留出させ、窒素雰囲気下常圧、2時間エステル化反応させた後、反応物を重合缶に移し、250℃、系内の圧力0.2mmHgの減圧とし、その条件下で2時間重合を行わせた。得られたポリマーを水中にストランド状で吐出し、カッティングを行って融点225℃のポリブチレンテレフタレートを得た。該ポリブチレンテレフタレートとε−カプロラクトンをそれぞれ900g/hr、1700g/hrで内径30mm、L/D=40、中間部と先端部に長さ20mmの混練ユニットを有するスクリューを備えた単軸押出機に供給し、シリンダー設定温度240℃、スクリュー回転数30rpm で付加重合反応を行った。次に、ダイスからポリマーをストランド状で吐出し、カッティングを行ってペレットとした。該ペレット100質量部、トリフェニルホスフィン0.1質量部を内径30mm、L/D=40でフルフライトスクリューを備えたベント付き単軸押出機を使用して、ベント口の真空度10mmHg、押出温度200℃、スクリュー回転数60rpm で混練し、脱ε−カプロラクトンと触媒失活を行い、カッティングしてペレットとした。このポリエステルエラストマー(1−B)は融点170℃、ショアD硬度39、低融点重合体セグメントの共重合量はおよそ65質量%であった。
【0069】
実施例8
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
【0070】
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して難燃性中間層組成物を含浸して表裏両面難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミンシアヌレート、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、形成された表裏両面難燃性中間層の合計樹脂含浸量は240g/m2 であった。
この含浸基布の表面上に下記の樹脂組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層(B)用フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形し、基布の表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(II)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は、約66:34であった。得られた本発明の難燃シート(II)の試験結果を表3〜5に示す。
【0071】
実施例9
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
【0072】
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して基布の表裏両面上、難燃性中間層(A)を含浸形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミンシアヌレート、及びアジリジン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は240g/m2 であった。さらに、下記の組成の接着表皮層組成エマルジョンを調製し、これを裏面側難燃性中間層上にコーティングした後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して接着表皮層(C)を形成した。このとき、接着表皮層樹脂付着量は20g/m2 であった。
(接着表皮層(C)用エマルジョン組成)
Figure 0004131465
【0073】
別に下記の組成物から形成された表皮層(B)用フィルムを、表面側難燃性中間層上にラミネートした。
(表皮層(B)用フィルム組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形し、表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(II)を得た。表裏難燃性中間層の含浸質量の、表皮層と接着表皮層との合計質量に対する質量比は約63:37であった。またこの難燃シートを構成する基布及び樹脂がポリエステル樹脂であるため、ケミカルリサイクルによりポリエステル樹脂原料となるモノマーの回収が可能となり環境負荷が少ないものであった。得られた本発明の難燃シート(II)の試験結果を表3〜5に示す。
【0074】
実施例10
繊維性基布として、
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成用組成物エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層(A)形成エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して表裏両面に難燃性中間層を含浸形成した。このとき、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するポリ燐酸アンモニウム、及びオキサゾリン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は240g/m2 であった。
【0075】
さらに、下記の組成の接着表皮層(C)用組成物エマルジョンを調製し、裏面側難燃性中間層上にコーティングした後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して接着表皮層を形成した。このとき、接着表皮層樹脂付着量は20g/m2 であった。
(接着表皮層(C)用エマルジョン組成)
Figure 0004131465
【0076】
別に下記の組成で形成した表皮層(B)用フィルムを、表面側の難燃性中間層上にラミネートした。
(表皮層(B)用フィルム組成)
Figure 0004131465
この表皮層用組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形し、表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(II)を得た。表裏難燃性中間層の含浸質量の、表皮層と接着表皮層との合計質量に対する質量比は、約63:37であった。またこの難燃シートを構成する基布及び樹脂がポリエステル樹脂であるため、ケミカルリサイクルによりポリエステル樹脂原料となるモノマーの回収が可能となり環境負荷が少ない物であった。得られた本発明の難燃シート(II)の試験結果を表3〜5に示す。
【0077】
実施例11
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層形成用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層形成用エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し更に140℃で熱処理して、基布の表裏両面に難燃性中間層を含浸形成した。このとき、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するホスホン酸エステル系難燃性付与剤、及びブロックイソシアネート系架橋剤の添加量は、それぞれ60質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は300g/m2 であった。
【0078】
表裏両面側難燃性中間層上に下記の組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層フィルム組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形し、表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(II)を得た。表裏両面難燃性中間層の合計質量の、表皮層の質量に対する質量比は、約63:37であった。得られた本発明の難燃シート(II)の試験結果を表3〜5に示す。
【0079】
実施例12
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層用組成物エマルジョン組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して表裏両面難燃性中間層を含浸形成した。このとき、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対する難燃性付与剤メラミン表面処理ポリ燐酸アンモニウム、及びシランカップリング剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は240g/m2 であった。
【0080】
前記表面側難燃性中間層(A)上に、下記の組成物から形成された難燃性表皮層(B−a)用フィルムをラミネートした。
(難燃性表皮層(B−a)用フィルムの組成)
Figure 0004131465
上記組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形し、これを、表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、難燃性表皮層(B−a)を形成して本発明の難燃シート(III)を作製した。得られた難燃シートの難燃性表皮層(B−a)において難燃性表皮層樹脂固形分に対する難燃性付与剤の添加量は25質量%であった。本発明の難燃シート(III)の試験結果を表3〜5に示す。
【0081】
実施例13
繊維性基布として、
ポリエステルフィラメント糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して表裏両面難燃性中間層を含浸形成した。このとき、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するポリ燐酸アンモニウム、及びオキサゾリン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、難燃性中間層樹脂含浸量は200g/m2 であった。
【0082】
さらに、下記の組成の接着表皮層(C)用組成物エマルジョンを調製し、裏面側難燃性中間層上にコーティングした後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して接着表皮層を形成した。このとき、接着表皮層樹脂の付着量は40g/m2 であった。
(接着表皮層(C)用エマルジョン組成)
Figure 0004131465
【0083】
下記の組成物から形成された難燃性表皮層(B−a)用フィルムを、表面側難燃性中間層上にラミネートした。
(難燃性表皮層(B−a)用フィルムの組成)
Figure 0004131465
上記難燃性表皮層用組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形し、表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートした難燃性表皮層(B−a)を形成して本発明の難燃シート(III)を作製した。得られた難燃シート(III)の難燃性表皮層(B−a)において、難燃性表皮層樹脂固形分に対する難燃性付与剤の添加量は20質量%であった。難燃性中間層及び難燃性表皮層の合計量の、難燃性付与剤を含まない接着表皮層(C)に対する重量比は、約89:11であった。またこの難燃シートを構成する基布及び樹脂がポリエステル樹脂であるため、ケミカルリサイクルによりポリエステル樹脂原料となるモノマーの回収が可能となり環境負荷が少ない物であった。得られた本発明の難燃シート(III)の試験結果を表3〜5に示す。
【0084】
実施例14
繊維性基布として、
ポリエステルフィラメント糸中密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層用組成物エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層用組成物エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層組成エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して表裏両面に含浸された難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するメラミン被覆ポリ燐酸アンモニウムとレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の難燃性付与剤の総添加量、及びシランカップリング剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、難燃性中間層樹脂含浸量は180g/m2 であった。
【0085】
下記の組成で形成した難燃性表皮層(B−a)用フィルム及び表皮層(B)用フィルムをそれぞれ前記裏面側及び表面側難燃性中間層上にラミネートした。
(難燃性表皮層(B−a)用フィルム組成)
Figure 0004131465
(表皮層(B)用フィルム組成)
Figure 0004131465
前記難燃性表皮層用組成物及び表皮層用組成物をTダイ成形機により、それぞれ厚さ110μmのフィルムに成形し、それぞれ前記裏面側及び表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(III)を得た。得られた難燃シート(III)の難燃性表皮層において難燃性表皮層樹脂固形分に対する難燃性付与剤の添加量は25質量%であり、難燃性中間層及び難燃性表皮層の合計量の、難燃性付与剤を含まない表皮層に対する質量比は、約72:28であった。本発明の難燃シート(III)の試験結果を表3〜5に示す。
【0086】
実施例15
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層用組成物エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層用組成物エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層組成エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し更に140℃で熱処理して、表裏両面に含浸された難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するホスホン酸エステル系難燃性付与剤、及びブロックイソシアネート系架橋剤の添加量は、それぞれ60質量%、及び10質量%であり、難燃性中間層樹脂含浸量は300g/m2 であった。
【0087】
下記の組成で形成した難燃性表皮層(B−a)フィルムを前記表裏両面側難燃性中間層上にラミネートした。
(難燃性表皮層(B−a)用フィルム組成)
Figure 0004131465
上記難燃性表皮層用組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形し、前記表裏両面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(III)を得た。得られた難燃シートの難燃性表皮層において難燃性表皮層樹脂固形分に対する難燃性付与剤の添加量は25質量%であった。本発明の難燃シート(III)の試験結果を表3〜5に示す。
【0088】
実施例16
繊維性基布として、デンプンを原料する乳酸の重合反応から得られた脂肪族ポリエステル樹脂であるポリ乳酸をフィラメントに成形し、そのフィラメント糸から製造された下記組織のポリエステルフィラメント糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層用組成物エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層用組成物エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して、表裏両面に含浸された難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するポリ燐酸アンモニウム、及びオキサゾリン系架橋剤の添加量は、それぞれ50質量%、及び5質量%であり、難燃性中間層樹脂含浸量は240g/m2 であった。
【0089】
下記の組成で形成した難燃性表皮層(B−a)フィルムを前記表面側及び裏面側難燃性中間層上にラミネートした。
(難燃性表皮層(B−a)用フィルム組成)
Figure 0004131465
この難燃性表皮層組成物を、Tダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形し、これを表裏両面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(III)を得た。得られた難燃シートの難燃性表皮層において、難燃性表皮層樹脂固形分に対する難燃性付与剤の添加量は25質量%であった。またこの難燃シートを構成する基布及び樹脂は生分解性を有するので得られた難燃シートも生分解性を有する環境負荷が少ない物であった。本発明の難燃シート(III)の試験結果を表3〜5に示す。
【0090】
比較例5
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層にカルボジイミド系架橋剤を含有させなかった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0091】
比較例6
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層用エマルジョンにおけるカルボジイミド系架橋剤の添加量を30質量部に変更した。このときの架橋剤の添加量は、難燃性中間層樹脂含浸固形分に対して100質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0092】
比較例7
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層用エマルジョンにおけるメラミンシアヌレートの添加量を120質量部に変更した。このときのメラミンシアヌレートの添加量は、難燃樹脂固形分に対して400質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0093】
比較例8
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層用エマルジョンにおけるメラミンシアヌレートの添加量を1.2質量部に変更した。このときのメラミンシアヌレートの添加量は、難燃樹脂固形分に対して4質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0094】
比較例9
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層用ポリエステルエラストマーフィルムの厚さを250μmとした。このとき難燃性中間層の表皮層に対する重量比は、約47:53であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0095】
比較例10
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層用ポリエステルエラストマーの代りにポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いた。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0096】
比較例11
実施例8と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層用ポリエステルエラストマーの代りにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を用いた。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0097】
比較例12
実施例12と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層用エマルジョンにおけるメラミン表面処理ポリ燐酸アンモニウムの添加量を1.2質量部に変更した。このときのメラミン表面処理ポリ燐酸アンモニウムの添加量は、難燃樹脂固形分に対して4質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0098】
比較例13
実施例12と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層用ポリエステルエラストマーの代りにポリカーボネート系ウレタン樹脂を用いた。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0099】
比較例14
実施例12と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層用ポリエステルエラストマーの代りにエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を用いた。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表3〜5に示す。
【0100】
【表3】
Figure 0004131465
【0101】
【表4】
Figure 0004131465
【0102】
【表5】
Figure 0004131465
【0103】
表3〜5から明らかなように、可撓性高分子材料に難燃性付与剤に加えて、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を必須成分として含有させた難燃性中間層と、ポリエステルエラストマーからなる表皮層を積層することにより、得られた難燃シートの難燃耐久性、印刷適性、柔軟性が著しく向上した。
【0104】
実施例17
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して難燃性中間層組成物を含浸して表裏両面難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミンシアヌレート、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、形成された表裏両面難燃性中間層の合計樹脂含浸量は240g/m2 であった。
この含浸基布の表面上に下記の樹脂組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層(B)フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(IV)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約66:34であった。得られた本発明の難燃シートの結果試験を表6〜8に示す。
【0105】
実施例18
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またエチレン−酢酸ビニル系共重合樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層形成用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層形成用エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し更に140℃で熱処理して、基布の表裏両面に難燃性中間層を含浸形成した。このとき、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するホスホン酸エステル系難燃剤、及びブロックイソシアネート系架橋剤の添加量は、それぞれ60質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は300g/m2 であった。
表裏両面側難燃性中間層上に下記の組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層フィルム組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シート(V)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約63:37であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0106】
実施例19
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層形成用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層形成用エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し更に140℃で熱処理して、基布の表裏両面に難燃性中間層を含浸形成した。このとき、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するポリ燐酸アンモニウム、及びオキサゾリン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は200g/m2 であった。
表裏両面側難燃性中間層上に下記の組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層フィルム組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートした。
更に、表面側表皮層上に下記組成の表面処理剤を塗布した。
(表面処理剤組成)
Figure 0004131465
この表面処理剤を80メッシュグラビアロールを用いて表皮層表面に塗工し、120℃で乾燥し、本発明の難燃シート(V)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約53:47であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0107】
実施例20
繊維性基布として、
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して難燃性中間層組成物を含浸して表裏両面難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミン表面処理ポリ燐酸アンモニウム、及びアジリジン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、形成された表裏両面難燃性中間層の合計樹脂含浸量は240g/m2 であった。
この含浸基布の表面上に下記の樹脂組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層(B)フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートした。
更に、表面側表皮層上に下記組成の表面処理剤を塗布した。
(表面処理剤組成)
Figure 0004131465
この表面処理剤を80メッシュグラビアロールを用いて表皮層表面に塗工し、120℃で乾燥し、本発明の難燃シート(IV)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約58:42であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0108】
実施例21
繊維性基布として、
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して難燃性中間層組成物を含浸して表裏両面難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミン表面処理ポリ燐酸アンモニウムとレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、及びシランカップリング剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、形成された表裏両面難燃性中間層の合計樹脂含浸量は180g/m2 であった。
この含浸基布の表面上に下記の樹脂組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層(B)フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートした。
更に、表面側表皮層上に下記組成の表面処理剤を塗布した。
(表面処理剤組成)
Figure 0004131465
この表面処理剤を80メッシュグラビアロールを用いて表皮層表面に塗工し、120℃で乾燥し、本発明の難燃シート(IV)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約51:49であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0109】
実施例22
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またポリエステル系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層形成用エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層形成用エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層形成用エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し更に140℃で熱処理して、基布の表裏両面に難燃性中間層を含浸形成した。このとき、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸固形分に対するポリ燐酸アンモニウム、及びオキサゾリン系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、表裏両面難燃性中間層樹脂含浸量は200g/m2 であった。
表裏両面側難燃性中間層上に下記の組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ80μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表裏両面難燃性中間層上に熱圧着ラミネートした。更に、表面側表皮層上に下記組成の表面処理剤を塗布した。
(表面処理剤組成)
Figure 0004131465
この表面処理剤を80メッシュグラビアロールを用いて表皮層表面に塗工し、120℃で乾燥し、本発明の難燃シート(V)を作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約53:47であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0110】
比較例15
実施例17と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層のカルボジイミド系架橋剤を添加しなかった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0111】
比較例16
実施例17と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層のカルボジイミド系架橋剤の添加量を30質量部に変更した。このときの架橋剤の添加量は、難燃性中間層樹脂固形分に対して100質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0112】
比較例17
実施例17と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層のメラミンシアヌレートの添加量を120質量部に変更した。このときのメラミンシアヌレートの添加量は、難燃樹脂固形分に対して400質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0113】
比較例18
実施例17と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、難燃性中間層のメラミンシアヌレートの添加量を1.2質量部に変更した。このときのメラミンシアヌレートの添加量は、難燃樹脂固形分に対して4質量%であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0114】
比較例19
実施例18と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層のポリエステルエラストマー及びポリウレタンエラストマーを含む表皮層フィルムの厚みを200μとした。このとき難燃性中間層と表皮層との重量比率はおよそ25:75であった。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0115】
比較例20
実施例18と同様にして難燃シートを作製し、試験を行った。但し、表皮層のポリエステルエラストマーを50質量部とし、ポリウレタンエラストマーを10質量部とし、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を40質量部に変更した。得られた難燃シートの組成及び試験結果を表6〜8に示す。
【0116】
比較例21
繊維性基布として、
ポリエステルスパン糸高密度平織布:
Figure 0004131465
を使用した。またウレタン系樹脂エマルジョンを用いて、下記組成の難燃性中間層(A)形成エマルジョンを調製した。
(難燃性中間層(A)形成エマルジョンの組成)
Figure 0004131465
前記難燃性中間層用組成物エマルジョン中に、前記繊維性基布を浸漬し、マングルで絞った後、100℃で乾燥し、更に140℃で熱処理して難燃性中間層組成物を含浸して表裏両面難燃性中間層を形成した。このとき、難燃性中間層樹脂固形分に対するメラミンシアヌレート、及びカルボジイミド系架橋剤の添加量は、それぞれ100質量%、及び10質量%であり、形成された表裏両面難燃性中間層の合計樹脂含浸量は240g/m2 であった。
この含浸基布の表面上に下記の樹脂組成物から形成された表皮層(B)用フィルムをラミネートした。
(表皮層(B)フィルムの組成)
Figure 0004131465
この表皮層組成物をTダイ成形機により厚さ110μmのフィルムに成形した。この表皮層フィルムを基布の表面側難燃性中間層上に熱圧着ラミネートし、本発明の難燃シートを作製した。難燃性中間層の表皮層に対する質量比は約60:40であった。得られた本発明の難燃シートの試験結果を表6〜8に示す。
【0117】
【表6】
Figure 0004131465
【0118】
【表7】
Figure 0004131465
【0119】
【表8】
Figure 0004131465
【0120】
表6〜8から明らかなように、可撓性高分子材料に難燃性付与剤に加えて、アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサソリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種の架橋剤を必須成分として含有させた難燃性中間層とポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーを含む混合エラストマー表皮層を積層することにより、得られた難燃シートの難燃耐久性、印刷適性、柔軟性が著しく向上した。
【0121】
【発明の効果】
本発明により得られる難燃シート(II),(III ),(IV)及び(V)のそれぞれは、耐久性、印刷適性、柔軟性、難燃性に優れているため、特に屋外で使用されるテント倉庫等などに好適である。また、本発明の難燃シートは、焼却、廃棄が容易であり、ケミカルリサイクルによりポリエステル樹脂原料となるモノマーの回収が可能であり、また生分解性を付与することも可能となり、環境負荷が少なく環境への悪影響もないという利点を有する。

Claims (22)

  1. 繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
    前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B)前記難燃性中間層上に形成され、かつ、(4)主構成成分として、(a)高融点結晶性重合体セグメント、及び(b)脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントを含むポリエステルエラストマーからなる表皮層とを有するものであり、かつ
    前記難燃性中間層(A)と、前記表皮層(B)に対する質量比(A)/(B)が50:50〜95:5であることを特徴とする難燃シート。
  2. 前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に、前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層(C)がさらに形成されている請求項に記載の難燃性シート。
  3. 前記難燃性中間(A)の質量、前記表皮層(B)及び接着表皮層(C)との合計質量に対する質量比(A)/〔(B)+(C)〕が50:50〜95:5である、請求項に記載の難燃シート。
  4. 前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上には、難燃性接着複合層が形成され、この難燃性接着複合層が(A−a)前記繊維性基布に含浸又は塗布によって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性接着中間層と、(C)前記難燃性接着中間層上に形成され、(5)前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層とを有する、請求項に記載の難燃シート。
  5. 前記難燃性中間層(A)及び難燃性接着中間層(A−a)の合計質量の、前記表皮層(B)及び接着表皮層(C)の合計質量に対する質量比〔(A)+(A−a)〕/〔(B)+(C)〕が50:50〜95:5である、請求項に記載の難燃シート。
  6. 前記難燃性樹脂複合層のエラストマー表皮層(B)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃シート。
  7. 前記表面処理層の被覆量は、0.5〜5.0g/m2 である、請求項に記載の難燃シート。
  8. 繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
    前記難燃性樹脂複合層の少なくとも1層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−a)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)主構成成分として、(a)高融点結晶性重合体セグメント、及び(b)脂肪族ポリエーテル単位及び/又は脂肪族ポリエステル単位からなる低融点重合体セグメントを含むポリエステルエラストマー100質量部と、(5)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜50質量部の難燃性付与剤とを含む難燃性表皮層とを有するものであることを特徴とする難燃シート。
  9. 前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に、前記ポリエステルエラストマー(4)とは異種であって、80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含む接着表皮層(C)がさらに形成されている、請求項に記載の難燃シート。
  10. 前記難燃性中間層(A)及び難燃性表皮層(B−a)の合計質量の、接着表皮層(C)の質量に対する質量比〔(A)+(B−a)〕/(C)が50:50〜95:5である、請求項に記載の難燃シート。
  11. 前記繊維性基布の1面上に前記難燃性樹脂複合層が形成され、他の面上に難燃性接着複合層が形成されており、この難燃性接着複合層が、(A−a)前記繊維性基布に含浸又は塗布によって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種からなる5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種からなる0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性接着中間層と、(C−a)前記難燃性接着中間層上に形成され、(6)80〜175℃の軟化温度を有する可撓性高分子材料を含み、難燃性付与剤を含有しない接着表皮層とを有する、請求項8〜10のいずれか1項に記載の難燃シート。
  12. 前記難燃性樹脂複合層及び難燃性接着複合層において、前記難燃性中間層(A)、難燃性表皮層(B−a)及び難燃性接着中間層(A−a)の合計質量の、前記接着表皮層(C−a)の質量に対する質量比〔(A)+(B−a)+(A−a)〕/(C−a)が50:50〜95:5である、請求項11に記載の難燃シート。
  13. 前記その難燃性樹脂複合層の難燃性表皮層(B−a)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項8〜12のいずれか1項に記載の難燃シート。
  14. 前記表面処理層の被覆量が、0.5〜5.0g/m2 である、請求項13に記載の難燃シート。
  15. 繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
    前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含む5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−b)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)60〜90質量部のポリエステルエラストマー及び40〜10質量部のポリウレタンエラストマーを含む混合エラストマー表皮層とを有するものであることを特徴とする難燃シート。
  16. 前記難燃性樹脂複合層において、前記難燃性中間層(A)と前記混合エラストマー表皮層(B−b)との質量比(A)/(B−b)が30:70〜95:5である、請求項15に記載の難燃シート。
  17. 前記難燃性樹脂複合層の混合エラストマー表皮層(B−b)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項15又は16に記載の難燃シート。
  18. 前記表面処理層の被覆量が0.5〜5.0g/m2 である、請求項17に記載の難燃シート。
  19. 繊維性基布と、その少なくとも1面上に形成された難燃性樹脂複合層とを有し、
    前記難燃性樹脂複合層が、(A)前記繊維性基布に含浸又は塗布することによって形成され、かつ(1)100質量部の可撓性高分子材料と、(2)燐酸エステル系化合物、ポリ燐酸アンモニウム系化合物、及び(イソ)シアヌル酸誘導体化合物から選ばれた少なくとも1種を含む5〜150質量部の難燃性付与剤と、並びに(3)アジリジン系化合物、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物、イソシアネート系化合物、及びカップリング剤から選ばれた少なくとも1種を含む0.5〜30質量部の架橋剤と含む難燃性中間層と、(B−c)前記難燃性中間層上に形成され、かつ(4)60質量部以上のポリエステルエラストマーと、10質量部以上のポリウレタンエラストマー、及び30質量部未満の前記ポリエステルエラストマー並びに前記ポリウレタンエラストマー以外の熱可塑性エラストマーからなる混合エラストマー表皮層とを有するものであることを特徴とする難燃シート。
  20. 前記難燃性樹脂複合層において、前記難燃性中間層(A)と前記混合エラストマー表皮層(B−c)との質量比(A)/(B−c)が30:70〜95:5である、請求項19に記載の難燃シート。
  21. 前記難燃性樹脂複合層の混合エラストマー表皮層(B−c)上に、それを被覆する表面処理層がさらに形成されていて、この表面処理層がアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項19又は20に記載の難燃シート。
  22. 前記表面処理層の被覆量が0.5〜5.0g/m2 である、請求項21に記載の難燃シート。
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