JP3723589B2 - イソオキサゾール誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、新規なフェニルカルボキサミドイソオキサゾール誘導体及びそれらの塩類、それらの製造法、それらを含有する製薬組成物並びにそれらの薬剤としての使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
WO91/17748にはある種のイソオキサゾール誘導体及びそれらの薬剤としての用途が記載されている。
また、EP−A−326107には、抗関節炎性のβ−シクロアルキル−β−オキソプロピオニトリル及びそれらの製造法が開示されている。
さらに、EP−A−326108及びFR−A−2313031には、ある種のアルキル置換イソオキサゾール誘導体が開示されている。
また、EP−A−440503には、3個の異なる基により置換されており、かつ、抗炎症性の疾病の治療に使用することができるイソオキサゾール誘導体が記載されている。
【0003】
しかして、本発明を一つの面から見れば、次式(I)
【化4】
Figure 0003723589
{ここで、
1は水素原子又は1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基を表わし、
2は3〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を表わし、
4はハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、−SCH3基、C1〜C6−アルキルカルボニル基、C3〜C6−シクロアルキルカルボニル基、−CX3基、−WCX3基、−(CH2nCX3基、−(CX2nCX3基、−W(CX2nCX3基、又は−W(CH2nCX3基を表わし(これらの基において、Xはハロゲン原子を表わし、Wは酸素又は硫黄原子を表わし、nは1、2又は3を表わす)、
5はメチル基を表わす。}
の化合物及びそれらの塩類が提供される。
もちろん、本発明は式(I)の化合物の全ての互変異性体まで及ぶことを理解されたい。
【0004】
ここで、用語「3〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基」とは、本発明で使用するときは、シクロプロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル基を意味する。
用語「1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基」とは、本発明で使用するときは、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピル基を意味する。
用語「ハロゲン原子」は、本発明で使用するときは、弗素、塩素、臭素又は沃素原子を意味する。
【0005】
本発明の好ましい化合物は、R1が水素原子を表わし、R2がシクロプロピル基を表わし、R4がハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、−CF3基、−C25基、−OCF3基又は−SCF3基を表わし、R5がメチル基を表わす化合物である。
【0006】
本発明の特に好ましい化合物は、R4 がハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基又は−CF3 基を表わし、R5 がメチル基を表わす化合物である。
【0007】
そのうちでも特に好ましい化合物は、R4 が臭素若しくは塩素原子、ニトリル基又は−CF3 基を表わし、R5 がメチル基を表わす化合物である。
【0009】
さらに好ましい化合物は、下記の化合物
・5−シクロプロピル−N−(4−シアノフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・5−シクロプロピル−N−(4−ニトロフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・5−シクロプロピル−N−(4−ブロム−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・5−シクロプロピル−N−(4−クロル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・5−シクロプロピル−N−(4−シアノ−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・5−シクロプロピル−N−(4−トリフルオルメチル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
・これらの塩類
である。
【0010】
本発明の化合物は、例えば、下記のような方法により製造することができる。もちろん、これらの方法は本発明の他の主題である。
【0011】
例えば、R1 、R2 、R4 及びR5 が前記の通りである式(I)の化合物は、次式(II)
【化5】
Figure 0003723589
(ここで、R1 、R4 及びR5 は前記の通りである)
の化合物を次式(III)
【化6】
Figure 0003723589
(ここで、R2 は前記の通りである)
の化合物と反応させることにより製造することができる。
【0012】
式(II)の化合物と式(III) の化合物との反応は、好ましくは、ジクロルメタン又はテトラヒドロフランのような無水の有機溶媒の存在下に及びジシクロヘキシルカルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドのようなカップリング剤の存在下に周囲温度で行われる。
式(II)の化合物と式(III) の化合物の官能性誘導体との反応は、好ましくは、ジクロルメタン又はジエチルエーテルのような無水の有機溶媒の存在下に及びピリジン又はトリエチルアミンのような有機塩基の存在下に低温で行われる。
【0013】
式(III) の化合物の官能性誘導体が使用される場合には、これは、好ましくは酸ハロゲン化物、特に酸クロリドである。式(III) の酸クロリドは、例えば、式(III) の化合物を塩化チオニル又は五塩化リンとその場で反応させることにより製造することができる。
【0014】
前記の方法に使用される式(II)の化合物は、一般的には既知のものであるか、又はそれ自体知られた方法により相当するニトロベンゼンをジアゾ化し、次いで還元するこにより製造することができる。使用されるニトロアニリンは、例えば、T.P.シュラ他により「Synthetic Communications」(1988),18,(16−17)2161−5に記載のように製造することができる。式(II)のある種のアニリンは、ヨーロッパ特許EP−A−206951に記載の方法により又は相当するニトロベンゼンの還元により製造することができる。
また、前記の方法で使用される式(III) の化合物も既知の化合物であるか又は文献、例えばEP−A−326107に記載の方法により製造することができる。
【0015】
本発明の化合物は、有益な薬理学的性質を有する。特に重要なものは、その顕著な抗増殖活性、抗炎症活性及び抗腫瘍活性である。これらは、刺激剤及び遅延過敏性反応により引き起こされた炎症反応を、特異的抗原による免疫細胞の活性化を阻害することによって抑制する。
これらの性質は、実験の部でさらに例示する。
従って、式(I)の化合物及びそれらの塩類は薬剤として有用である。
【0016】
本発明を他の面から見れば、前記の式(I)の化合物及びそれらの製薬上許容できる塩類の薬剤としての用途が提供される。
さらに有益なことは、R5がメチル基を表わす本発明の化合物により示される。このメチル置換基の存在が、このメチル置換基のない相当する化合物よりも短い代謝半減期を本発明の化合物に持たせることになることが示された。このことはさらに実験の部で示す。従って、R5がメチル基を表わすこのような化合物は薬剤として使用するのに特に好ましい化合物の例である。
【0017】
これらの薬剤は、例えば、腫瘍、リウマチ様関節炎並びに免疫性又は非免疫性の慢性炎症病(例えば、移植片対宿主病、移植反応、ぶどう膜炎、乾癬、癌、糖尿病、臓器移植後の急性又は慢性拒絶反応の予防、血管形成後の再狭窄)の治療に有用である。
有効な薬量は、使用する化合物、治療患者及び問題の疾病によって変わるが、例えば経口投与により1日当たり0.1mg〜200mgであってよい。
【0018】
本発明の別の観点によれば、1種以上の製薬用担体及び(又は)補助剤と共に前記のような式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類の少なくとも1種を活性成分として含む製薬組成物が提供される。
薬剤として使用するためには、式(I)の化合物及びそれらの塩類は経口的、直腸又は非経口的経路で投与するための製薬組成物中に配合することができる。
【0019】
これらの製薬組成物は、例えば固体又は液体状であってよく、人の医薬として慣用されているあらゆる製薬形態で、例えば無味錠剤又は糖衣錠、カプセル(ゼラチンカプセルを含む)、顆粒、座薬、溶液(例えば注射用)の形で提供できる。これらは、通常の方法により製造される。活性成分は、これらの製薬組成物に通常使用される補助剤、例えばタルク、アラビアゴム、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、ココアバター、水性又は非水性ビヒクル、動物性又は植物性の脂肪物質、パラフィン誘導体、グリコール、各種の湿潤剤、分散剤又は乳化剤、保存剤と配合することができる。
【0020】
本発明のさらに他の観点によれば、人又は動物の患者に前記のような式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類の有効量を投与することからなる腫瘍、リウマチ様関節炎及び免疫性又は非免疫性の慢性炎症性疾病の治療法が提供される。
【0021】
【実施例】
ここで、本発明の実施例を例示するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
【0022】
例1:5−シクロプロピル−N−(4−ブロム−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
【化7】
Figure 0003723589
5−シクロプロピルイソオキサゾール−4−カルボン酸(3.33g、21.7ミリモル)と塩化チオニル(25ml)を90分間加熱還流した。塩化チオニルを減圧下に蒸発させ、残留物をトルエンと共に2回共沸蒸留した。別に、4−ブロム−3−メチルアニリン(4.0g、21.7ミリモル)を乾燥ジクロルメタン(125ml)に溶解し、0℃に冷却し、それぞれジクロルメタン(10ml)に溶解した酸クロリド及びピリジン(2.4mg、30ミリモル)を同時に添加した。0℃で30分間撹拌した後、反応混合物を塩水(3×75ml)で洗浄し、で乾燥し(MgSO4 )、ジクロルメタンを減圧下に除去して褐色油状物を得た。これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(2%、MeOH−98CH2 Cl2 )すると淡褐色油状物が得られた。これは放置すると結晶化した。エタノール/水から再結晶すると生成物がクリーム色針状結晶として得られた。Mp=133−135℃。
【0023】
例1に記載した方法と類似の態様で、出発物質として適当な置換アニリンを使用して下記の化合物を製造した。
例2:5−シクロプロピル−N−(4−ニトロフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
例3:5−シクロプロピル−N−(4−シアノフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
例4:5−シクロプロピル−N−(4−クロル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
例5:5−シクロプロピル−N−(4−シアノ−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
例6:5−シクロプロピル−N−(4−トリフルオルメチル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
【0024】
例1〜6についてのスペクトルデータ、収率、融点及び分析データを下記の表Iに示す。
【表1】
Figure 0003723589
【表2】
Figure 0003723589
【0025】
例7
下記の処方に従って錠剤を調製した。
・例1の化合物・・・20mg
・補助剤・・・1錠150mgとするに十分な量
(補助剤の詳細:ラクトース、でんぷん、タルク、ステアリン酸マグネシウム)
【0026】
薬理学的活性
生化学的試験方法
1.カラジーナンによるラットの足の水腫(PO−R)(試験1)
ラット群(n=6〜12、雄のCFHB、体重の範囲160〜180mg)に被検化合物又は対照例ビヒクルを経口投与してから1時間後に、0.2mlの食塩水に溶解した1mgのカラジーナンを右の後ろ足のパッドに注入する。反対側の足には対照用の食塩水の注入を行う。足の水腫の応答を3時間後に評価する。結果を下記の表IIに示す。
【0027】
2.遅延型過敏性のマウスの足に対する水腫(DTH−M)(試験2)
1mgのメチル化牛血清アルブミン(MBSA)を0.2ml容量の食塩水/フロインド完全アジュバント(FCA)エマルジョンに加えたものを皮下注射することによりマウス群(n=8〜10、雄のCD−1、体重の範囲25〜30g)を感作させる。対照例マウス群には食塩水/FCAエマルジョンを注射する。DTHの足の水腫の応答は、感作させてから7日目に0.05ml容量の食塩水に入れた0.1mgのMBSAを右の後ろ足のパッドに注入した後24時間後に評価する。反対側の足には対照用の食塩水の注入を行う。被検化合物又は対照用ビヒクルは、4日、5日及び6日目には1回、7日目には2回、そしてMBSA注入の1時間前及び6時間後に経口投与する。結果を下記の表IIに示す。
【0028】
3.遅延型過敏性のラットの足に対する水腫(DTH−R)(試験3)
0.1ml容量のFCAをラットの尾のつけ根に皮下注射することによりラット群(n=8〜12、雄のCFHB、体重の範囲160〜180mg)を感作させる。対照群にはフロインド不完全アジュバントを注射する。DTHの足の水腫の応答は、感作させてから7日目に0.2ml容量の食塩水に入れた0.4mgのヒト結核菌(Mycobacterium tubercurlosis)抽出抗原を右の後ろ足のパッドに注入した後24時間後に評価する。反対側の足には対照用の食塩水の注入を行う。
被検化合物は、4日、5日及び6日目には1回、7日目には2回、そして抗原誘発の1時間前及び6時間後に経口投与する。
これらの試験の結果を下記の表IIに示す。薬量はmg/kg(経口)単位で示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003723589
【0030】
4.補助剤による関節炎(試験4)
研究はパーソンの方法(Arthrit.Rheum.,p.44(1959))によって行った。使用された実験動物は、体重が130〜200gのウイスター・ルイス種の雄のラットであた。被検化合物は、免疫処置の開始日から12日間にわたり毎日経口投与(po)した。対照群の動物にはビヒクルのみを与えた。実験群と対照群のそれぞれは6匹の動物からなっていた。活性を決定するのに使用した基準は、未処理対照群と比較した足の体積増加の減少率%であった。結果を下記の表III に示す。
【0031】
5.逆受動的アルサス反応(試験5)
抗体による攻撃の1時間前に、ウイスターラット(雄又は雌、体重120〜200g)に被検化合物を経口投与した。この予備処置期間の後、右の後ろ足にヤギ抗ラット血清を足底下に注射することにより反応を誘発させた。対照例としての左の後ろ足には食塩水のみを与えた。
抗体による攻撃の直前及び4時間後に足の体積を測定した。
試験結果を下記の表III に示す。薬量はmg/kg(経口)単位で示す。
【0032】
【表4】
Figure 0003723589
【0033】
6.速度論的データ
既知の化合物、即ち、5−シクロプロピル−N−(4−トリフルオルメチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミドと本発明の化合物、即ち例5及び6の化合物との間で比較を行った。
化合物をマウスに30mg/kgの薬量で経口投与し、血中濃度を72時間モニターした。
得られた結果は、既知の化合物の固有の代謝半減期がほぼ21.4時間であったのに対して、本発明の例5及び6の両化合物については半減期はこの値の約1/3、即ち7.1時間(例5)及び8.2時間(例6)であることを示した。
これらの結果は、本発明の化合物において置換基R5 としてのメチル基によって与えられる代謝速度上の利点を立証している。

Claims (9)

  1. 次式(I)
    Figure 0003723589
    {ここで、
    1は水素原子又は1〜3個の炭素原子を含有するアルキル基を表わし、
    2は3〜6個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を表わし、
    4はハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、−SCH3基、C1〜C6−アルキルカルボニル基、C3〜C6−シクロアルキルカルボニル基、−CX3基、−WCX3基、−(CH2nCX3基、−(CX2nCX3基、−W(CX2nCX3基、又は−W(CH2nCX3基を表わし(これらの基において、Xはハロゲン原子を表わし、Wは酸素又は硫黄原子を表わし、nは1、2又は3を表わす)、
    5メチル基を表わす。}
    の化合物又はそれらの塩類。
  2. 1が水素原子を表わし、R2がシクロプロピル基を表わし、R4がハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基、−CF3基、−C25基、−OCF3基又は−SCF3基を表わし、R5がメチル基を表わす請求項1記載の化合物又はそれらの塩類。
  3. 4がハロゲン原子、ニトリル基、ニトロ基又は−CF3基を表わし、R5がメチル基を表わす請求項1又は2記載の化合物又はそれらの塩類。
  4. 4が臭素若しくは塩素原子、ニトリル基又は−CF3基を表わし、R5がメチル基を表わす請求項1〜3のいずれかに記載の化合物又はそれらの塩類。
  5. 下記の化合物
    ・5−シクロプロピル−N−(4−ブロム−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
    ・5−シクロプロピル−N−(4−クロル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
    ・5−シクロプロピル−N−(4−シアノ−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
    ・5−シクロプロピル−N−(4−トリフルオルメチル−3−メチルフェニル)イソオキサゾール−4−カルボキサミド
    ・これらの塩類
    よりなる群から選択される請求項1〜5のいずれかに記載の化合物又はそれらの塩類。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の式(I)の化合物を製造するにあたり、次式(II)
    Figure 0003723589
    (ここで、R1、R4及びR5は請求項1に記載の通りである)
    の化合物を次式(III)
    Figure 0003723589
    (ここで、R2は請求項1に記載の通りである)
    の化合物と反応させることからなる式(II)の化合物の製造法。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類よりなる抗炎症剤。
  8. 5がメチル基を表わす請求項1〜のいずれかに記載の式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類よりなる抗炎症剤。
  9. 1種以上の製薬用担体及び(又は)補助剤と共に活性成分として請求項1〜のいずれかに記載の式(I)の化合物又はそれらの製薬上許容できる塩類を含有する抗炎症剤組成物。
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