JP3721898B2 - シールド線の端末加工方法および端末加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、絶縁電線を編組で被覆し、その上をさらに外皮で被覆したシールド線の端末加工方法及びその端末加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のシールド線端末に端子等を取付ける場合、図3に示すように、同図(a)に示す、シールド線Pの端末において、まず、外皮1を所要長さ剥ぎ取り(同図(b))、つづいて、編組2を、必要があれば所要長さに切断した後に拡径し(同図(c))、さらにその編組2を反転させて外皮1に被せ(同図(d))、露出した絶縁電線の被覆3を所要長さ剥ぎ取って導体4を露出させる(同図(e))。
【0003】
このシールド線Pの端末加工方法又は装置としては、例えば、特開平2−273472号公報、特開平5−146022号公報、特開平6−22427号公報等において種々のものが開示されているが、より優れたものとして、図4に示す端末装置が考案されている。
【0004】
この端末装置は、同図に示すように、基台10上に一のフレーム11がリニアガイド15を介して立設され、そのフレーム11に案内コロ12を介して円板13を回転自在に設けるとともに、その円板13をモータ14により回転可能としている。また、基台10上には他のフレーム16が立設され、このフレーム16にシールド線Pのチャック17が設けられている。一のフレーム11は図示しない駆動機により前後方向(矢印方向)にリニアガイド15を介し各作用に応じて適宜に移動される。
【0005】
円板13には、図3(c)の編組2の拡径作用をなすユニット18、同図(d)の編組2の反転作用をなすユニット19、同図(e)の被覆剥離作用をなす皮剥ユニット20が、それぞれ、加工孔21の周りに配置されている。図中、19aは前後に進退して編組2の反転時に端末を挿入してその端末を真直ぐに維持するパイプである。
【0006】
この端末装置によれば、図3(b)に示すように、外皮1が所要長さ剥離されたシールド線Pがチャック17に挟持されて、そのシールド線Pの端末が鎖線のごとく加工孔21内に位置されると、各ユニット18、19、20が順々に作用して、図3(c)から(e)の作用が行われる。このとき、各ユニット18、19、20の作用は、シールド線P端末の両側面から、対のパンチ、対の反転板、対の皮剥刃をその端末に押し当てなどして行われる。この押し当てなどによる作用は端末周囲の部分的なものであるため、円板13を矢印のごとく回転させて、その作用がシールド線Pの端末全周に行われるようにしている。この装置の詳細は特願平10−267993号明細書・図面に記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図4に示す端末加工装置は、各ユニット18、19、20を設けた円板13を回転させるため、その支持構造、回転手段(モータ14)が大型化し、装置全体の大型化を招いているとともに、高価なものともなっている。また、円板13の回転は、物が大きいことから円滑さに欠け、加工タクトも長いものとなっている。
【0008】
この発明は、以上の点に留意し、装置の小型化及び加工タクトの短縮化を図ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明は、各ユニットを固定し、シールド線をその軸心周りに回転させるようにしたのである。
【0010】
上記各ユニットの作用は、例えば、編組拡径用のパンチと電線が相対的に電線の軸心周りに回転すれば可能のため、シールド線が回転すれば、各ユニットを固定することができ、シールド線の回転は、円板の回転に比べれば、その装置そのものを小型化することができ、その回転もスムースとなって、加工タクトも短縮される。
【0011】
具体的には、絶縁電線を編組で被覆し、その上をさらに外皮で被覆したシールド線の端末を加工する際、その外皮が剥離された端末の編組を拡径ユニットによりその拡径ユニットに対しシールド線端末を軸心周りに相対的に回転させながら拡径した後、反転ユニットによりその拡径された編組を前記外皮側に反転し、その露出した絶縁被覆を皮剥ユニットにより剥離するシールド線の端末加工方法において、前記外皮が剥離された端末の加工位置の周りの同一平面上に、前記拡径ユニット、反転ユニット及び皮剥ユニットを固定的に設け、前記端末をその軸心周りに回転させ、その端末全周を前記拡径ユニットの作業範囲に臨ませて、その拡径の作用を行い、その拡径された編組の反転作用及びその編組の反転後の露出した絶縁被覆の皮剥作用は、前記端末をその軸心周りに回転させることなく行うようにした構成を採用する。
【0012】
この構成において、上記シールド線端末の回転をほぼ180度するようにすれば、例えば、パンチによる拡径作用は、対のパンチをシールド線を介在して対向して行われるため、シールド線が180度回転すれば、シールド線の全周にその作用が行われることとなる。このとき、シールド線の回転角度は可変とするとよい。例えば、60度、120度、180度等である。また、そのシールド線の60度、120度、180度の回転は、一方向の60度、120度、180度回転でも、相反対方向にそれぞれ30度、60度、90度づつの正逆回転で得てもよい。
【0014】
これらの端末加工方法をなす装置としては、対向して前後に対のフレームを立設し、一方のフレームに、上記シールド線の挟持するチャックを設けるとともに、そのチャックを挟持したシールド線の軸心周りに回転させるモータを設け、他方のフレームには、チャックに挟持されたシールド線の端末が位置される加工孔が形成され、そのフレームの加工孔周囲に、前記編組拡径ユニット、その拡径後の編組反転ユニット、露出した絶縁被覆の皮剥ユニットを設けた構成のものが考えられる。
【0015】
この構成の装置では、モータの駆動により、シールド線が回転し、その回転をさせながら、拡径ユニット等の作用を行う。このとき、モータにパルスモータ、サーボモータなどを使用して、その回転角度を、30度、60度、90度、120度、180度などと、正転又は正逆転制御する。
【0016】
シールド線の回転手段としては、モータ以外に、リンク機構を介して電動ジャッキ、エアシリンダなどの伸縮ロッドの伸縮運動をチャックの回転運動に変換する等の種々の手段を採用し得る。
【0017】
また、加工孔の周りには、図3(a)の状態から同(b)の状態に加工する外皮剥取りユニットを設けることもできる。
【0018】
【実施の形態】
この発明の一実施形態を図1、図2に示し、この実施形態は、図示しない基台上に、対のフレーム31、32が立設され、一方のフレーム31の加工孔33の周りの同一平面上に、従来と同様の拡径ユニット18、反転ユニット19及び皮剥ユニット20が設けられている。このとき、上記位置決めパイプ19aを設けてもよく、また、各ユニットにおいて、反転板などのように前後に動く必要があるものは、反転板を前後させるシリンダを付ける等により、そのユニット自体にその機能を付与する。これらの詳細は特願平10−267993号明細書・図面を参照のこと。
【0019】
他方のフレーム32には、電線チャック37が回転自在に取付けられており、このチャック37にシールド線Pをチャッキングすることにより、そのシールド線Pが加工孔33の軸心に位置される。チャック37は、プーリ34、34及びベルト35を介してパルスモータ36に連結されており、このモータ36により、チャック37は、30度、60度、90度、120度、180度の正転又は正逆転が任意になされる。この回転角度及び正転、正逆転は、拡径ユニット18のパンチ、皮剥ユニット20の皮剥刃のシールド線Pの周方向の作用範囲を考慮して適宜に決定する。例えば、60度の回転で、シールド線Pの全周を確実に拡径し得るのであれば、チャック37の回転は60度の正転、又は30度の正逆転で十分である。
このとき、この実施形態の反転ユニット19及び皮剥ユニット20は、特願平10−267993号明細書・図面に記載のものと同様の作用を行い、敢えて、シールド線Pを回転させる必要はないため(作用範囲が限定されないため)、拡径された編組2の反転作用及びその編組の反転後の露出した絶縁被覆の皮剥作用は、前記端末をその軸心周りに回転させることなく行う。
また、チャック37はエアーaの給排によって作動し、そのエアーaは、ロータリージョイント(図示せず)を介してエアー管38でもってチャック37に供給される。図中、39はカバーである。
【0020】
この実施形態は以上の構成であり、いま、図1に示すように人手等により、チャック37に図3(b)の状態のシールド線Pをチャッキングした後、図2に示すように、モータ36によりシールド線Pを適宜に回転させながら、各ユニット18、19、20を作用させて、図3(c)から(e)に示す作用を行う。この作用時、図1鎖線のごとく、シールド線Pをばね40によって吊るようにすれば、チャック37の回転にそのばね40が追従して伸縮し、シールド線Pの絡みなどを有効に防止する。
【0021】
この実施形態では、チャック37へのシールド線Pのチャッキング時に、シールド線Pの端末を加工孔33の中心にセットするようにしたが、両フレーム31、32のどちらか一方を、図4の装置と同様に、リニアガイド等によって前後に移動可能とし、シールド線Pをチャッキング後に、フレーム31又は32を動かして、その端末を加工孔33にセットするようにすることもできる。
【0022】
【発明の効果】
この発明は、以上のように、被加工物たるシールド線を回転するようにしたので、加工タクトの短縮化、装置の小型化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の概略斜視図
【図2】同実施形態の作用後の概略斜視図
【図3】シールド線の端末加工説明図
【図4】従来の端末加工装置の概略斜視図
【符号の説明】
P シールド線
1 外皮
2 編組
3 絶縁被覆
4 導体
18 拡径ユニット
19 反転ユニット
20 皮剥ユニット
31 他方のフレーム
32 一方のフレーム
33 加工孔
36 モータ
37 電線チャック

Claims (2)

  1. 絶縁電線を編組2で被覆し、その上をさらに外皮1で被覆したシールド線Pの端末を加工する際、その外皮1が剥離された端末の編組2を拡径ユニット18によりその拡径ユニット18に対しシールド線端末を軸心周りに相対的に回転させながら拡径した後、反転ユニット19によりその拡径された編組2を前記外皮1側に反転し、その露出した絶縁被覆3を皮剥ユニット20により剥離するシールド線Pの端末加工方法であって、
    上記外皮1が剥離された端末の加工位置の周りの同一平面上に、上記拡径ユニット18、反転ユニット19及び皮剥ユニット20を固定的に設け、前記端末をその軸心周りに回転させ、その端末全周を前記拡径ユニット18の作業範囲に臨ませて、その拡径の作用を行い、その拡径された編組2の反転作用及びその編組の反転後の露出した絶縁被覆の皮剥作用は、前記端末をその軸心周りに回転させることなく行うようにしたことを特徴とするシールド線の端末加工方法。
  2. 絶縁電線を編組2で被覆し、その上をさらに外皮1で被覆したシールド線Pの端末加工装置であって、
    対向して前後に対のフレーム31、32を立設し、一方のフレーム32に、上記シールド線Pの挟持するチャック37を設けるとともに、そのチャック37を挟持したシールド線Pの軸心周りに回転させるモータ36を設け、他方のフレーム31には、チャック37に挟持されたシールド線Pの端末が位置される加工孔33が形成され、そのフレーム31の加工孔33周囲の同一平面上に、上記編組拡径ユニット18、その拡径後の編組反転ユニット19、露出した絶縁被覆の皮剥ユニット20を設け、前記モータ36により、前記チャック37を介して前記シールド線Pの端末をその軸心周りに回転させ、その端末全周を前記拡径ユニット18の作業範囲に臨ませて、その拡径の作用を行い、その拡径された編組2の反転作用及びその編組の反転後の露出した絶縁被覆の皮剥作用は、前記端末をその軸心周りに回転させることなく行うようにした請求項1に記載のシールド線の端末加工方法を行う端末加工装置。
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