JP3718380B2 - はんだ接続構造を有する回路装置およびその製造方法 - Google Patents

はんだ接続構造を有する回路装置およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、はんだ接続により基板上に電子回路素子を接続した装置の構成に関し、特に、はんだとしてAu−Sn共晶はんだを用いて接続を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基板上に電子回路等の素子を接続する際のはんだとしては、共晶点の組成のAu−Sn合金(Au−Sn共晶はんだ)が多く使用されている。その接続手順としては、予めメタライズ層が形成されている基板上の素子接続部に、蒸着などの方法によりAu−Sn共晶はんだ層を形成した後、このはんだ層に素子の接続面を搭載する。そして、はんだの融点以上に加熱してはんだ層を溶融させ、その後冷却することにより接続するというものである。
【0003】
また、特開平11−74448号公報には、接続部の組成を必ず共晶点の組成にするための構成が開示されている。この構成では、組成が共晶点よりもSnリッチ側にずれたAuSn合金層を基板側に形成しておき、Au層を素子側に形成しておく。この基板側の合金層を液相線温度以下の接続温度で加熱し、固相と液相を共存させ、ここに基板側のAu層を接触させることにより不足しているAuを補い、共晶組成のAu−Sn合金接合層を形成するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、以下のような回路装置が提供される。すなわち、
表面にメタライズ層を備えた基板と、
前記基板上に搭載された回路素子と、
前記メタライズ層と前記回路素子とを接続するはんだ層と、
を有し、
前記はんだ層と前記メタライズ層との間には、前記はんだ層と前記メタライズ層との反応を防止するためのバリア層が配置され、
前記はんだ層は、AuとSnとを含む合金からなり、
前記バリア層は、AuとSnとの合金のδ相の結晶粒子を含むことを特徴とする回路装置が提供される。
【0005】
これらの要因により、はんだの組成が、共晶組成(図2の共晶点201の組成、Au−29at%Sn)よりAuリッチの組成になると、融点の高いζ相AuSn合金(Au5Sn)が析出する組成領域203に入るため、液相線202の温度(融点)は、共晶点201から離れるのに伴い急上昇する。このため、通常の接続温度(330〜350℃)ではζ相と液相の共存領域となり、ζ相が析出して、はんだが一部凝固する現象が発生する。これにより、はんだの濡れ不良などの問題が発生し、歩留まりを低下させる大きな要因となる。
【0006】
このような組成変化による融点上昇の問題は、はんだ層が厚い場合には、組成変化が小さく、あまり問題とならないが、はんだ層が薄い場合には、はんだ量が少ないために影響が大きく、接続途中にはんだが一部凝固する現象がしばしば観察される。このため、薄く小さな体積のはんだを使用することの多い、微小な部品を基板に接合させる場合、はんだの高融点化により濡れ不良などの問題を引き起こしやすい。さらに、反応が進みすぎると、メタライズ層とはんだ層の界面で、はがれを生じる場合もある。
【0007】
本発明は、薄いはんだ層により基板と素子とを接続する回路装置であって、接続不良の生じにくい接続構造を備えた回路装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、以下のような回路装置が提供される。すなわち、
表面にメタライズ層を備えた基板と、前記基板上に搭載された回路素子と、前記メタライズ層と前記回路素子とを接続するはんだ層とを有し、
前記はんだ層と前記メタライズ層との間には、前記はんだ層と前記メタライズ層との反応を防止するためのバリア層が配置され、
前記バリア層は、特定の温度において前記はんだ層の液相と前記バリア層の固相とが平衡状態となる材料により構成されていることを特徴とする回路装置が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態について説明する。
【0010】
本発明の第1の実施の形態の電子回路装置について図3を用いて説明する。図3の電子回路装置は、基板1上に、電子回路素子30を搭載し、基板1上のメタライズ層32と素子30の電極層31とを、はんだ層7により接続した構成である。メタライズ層32は、一般的な3層構成であり、基板1との接着性の高い金属材料からなる接着層2と、Pt、Ni、Cu等の金属材料からなる金属層3と、酸化防止のためのAu層4の3層により構成されている。また、電極層31も、メタライズ層32と同じく、接着層2、金属層3、Au層4の3層構造である。
【0011】
はんだ層7は、図2の共晶点201の組成の共晶組織のAu−Sn合金からなり、具体的な組成は、Sn29at.%、残部Auである。共晶点201は、278℃である。
【0012】
また、本実施の形態では、はんだ層7とメタライズ層32との間、ならびに、はんだ層7と電極層31との間にそれぞれ、バリア層6を配置している。バリア層6は、はんだ層7がAu層4および金属層3と反応するのを防止する作用をする。このバリア層6を、本実施の形態ではδ相のAu−Sn合金により形成している。δ相のAu−Sn合金の組成領域204は、図2および図5のように、Au50at.%、Sn50at.%を中心とした幅の狭い領域であるので、バリア層6は、この組成範囲に入るように形成されている。δ相のAu−Sn合金の液相線温度は、419.3℃である。
【0013】
つぎに、上述してきた図3の電子回路装置の製造方法について説明する。
【0014】
まず、あらかじめ3層構造のメタライズ層32が形成されている基板1上の、電子回路素子30を搭載すべき領域に、バリア層6、はんだ層7を順に、蒸着法により形成する。このとき、バリア層6は、上述したようにAu−Sn合金のδ相領域204の組成(Au50at.%、Sn50at.%付近)になるように、供給するAuとSnの量を制御する。また、はんだ層7は、Au−Sn合金の共晶組成(Au71at.%、Sn29at.%)となるように、供給するAuとSnの量を制御する。
【0015】
つぎに、あらかじめ電極層31が形成された電子回路素子30の電極層31の上に、バリア層6を蒸着法により形成する。バリア層6の組成は、基板1側のバリア層6と同じく、δ相領域204の組成(Au50at.%、Sn50at.%付近)となるようにする。
【0016】
つぎに、基板1の上の予め定められた搭載位置に、電子回路素子30を搭載する。このとき、電子回路素子30側のバリア層6が、はんだ層7と接触するように搭載する。
【0017】
つぎに、はんだ層7および2層のバリア層6を、予め定めた接続温度に加熱する。接続温度は、はんだ層7を溶融することができる温度である。ここでは、はんだ層7の液相線温度が共晶点278℃であるため、接続温度を278℃とした。はんだ層7およびバリア層6を278℃に加熱すると、はんだ層7は溶融し、バリア層6は固相のままである。
【0018】
Au−Sn合金には、図2および図5に示したようにδ相と液相との共存領域205が存在する。このことから明らかなように、278℃以上419.3℃以下のある温度のδ相のAu−Sn合金(固相)は、液相線206上のある点の組成Au−Sn合金(液相)と平衡である。すなわち、278℃以上419.3℃以下のある温度においては、液相線206上の組成のAu−Sn合金(液相)とδ相のAu−Sn合金(固相)とが互いに接触していても、固相が液相に溶けることはなく、液相が凝固することもなく、固相と液相とが共存する。
【0019】
したがって、はんだ接続時に、はんだ層7をこの共晶組成の液相線206の温度(共晶点278℃)に加熱すると、はんだ層7は溶融するが、278℃のδ相のAu−Sn合金のバリア層6は、固体のままで、両者は平衡する。よって、バリア層6は、固相のままメタライズ層32および電極層31を覆っているため、溶融したはんだ層7が、メタライズ層32および電極層31と接触するのを防止するバリアとして作用する。これにより、溶融したはんだ層72が、メタライズ層32や電極層31と反応することを防ぐことができ、はんだ層72の組成を変化させることなく、安定した溶融状態を持続させることができる。したがって、融液状態を一定の時間維持することにより、はんだ層7の融液の表面張力により、素子30をセルフアライメントする効果を得ることができる。
【0020】
その後、はんだ層72を冷却する。これにより、はんだ層7の融液からはδ相とζ相の共晶が析出し、はんだ層7は共晶組織の固相となり、上下のバリア層6と接合する。このとき、はんだ層7とバリア層6は組成は異なるが、いずれもAu−Sn合金であるため、バリア層6とはんだ層7とは密着性がよく、強固に接合する。また、素子30側および基板1側のバリア層6は、それぞれ電極層31およびメタライズ層32の上に蒸着法により形成されているため、これらの間も強く密着している。したがって、電極層31付きの電子回路素子30とメタライズ層32付きの基板とは、Au−Sn合金の共晶のはんだ層7と、δ層のバリア層6とで強く接合される。これにより、電子回路素子30を基板1上に搭載した電気回路装置を製造することができる。
【0021】
このように、図3の構造の電子回路装置の製造方法は、バリア層6の作用によりはんだ層7の融液の組成を変化させることなく、溶融状態を持続させることができるため、はんだ層7を薄くすることが可能である。例えば、厚さ1μm程度のはんだ層7であっても、十分な接合を行うことができる。よって、上述の実施の形態の電子回路装置は、微小な素子30を基板1上に高密度に搭載する電子回路装置の構造として適している。また、バリア層6の厚さは、メタライズ層32および電極層31を膜として覆うことができる厚さがあればよく、例えばバリア層6の厚さを0.3μm程度の薄膜にすることができる。
【0022】
本実施の形態の製造方法により製造した電子回路装置の接続部の断面を斜めに研磨したものを、拡大して観察した各層の組織を図4に示す。図4からわかるように、素子30側および基板1側に形成されたδ相のバリア層6が、はんだ層7と、電極層31およびメタライズ層32との反応を抑制し、健全な共晶組織のはんだ層7により接続されている。また、バリア層6と電極層31およびメタライズ層32との界面についても十分な密着が得られており、界面はくり等が生じていないことがわかる。このように、本実施の形態の接合構造を用いた電子回路装置は、はんだ層7の反応が生じないため、接続不良が生じにくい構成である。
【0023】
なお、バリア層6の組成は、上述したように、δ相領域204の組成であることが望ましいが、δ相領域204から多少ずれてもそれを許容することができる。具体的には、Snの組成範囲が45%以上55%以下、残部AuのAu−Sn合金によりバリア層6を形成することが可能である。このような組成のバリア層6にした場合、接合時にバリア層6を加熱すると、バリア層6は、δ相(固体)の結晶粒と液相とが共存する状態となる。しかしながら、上記したSn45%以上55%以下組成範囲であれば生じる液相の量が少ないため、δ相の結晶粒子が、はんだ層7の融液のメタライズ層32等への到達を妨げ、バリア層6として機能できる。したがって、上述のδ相組成のバリア層6の場合と同様の効果を得ることができる。このように、Snの組成範囲が45%以上55%以下、残部Auのバリア層6を用いて接合した場合、接合後のバリア層6の組織は、δ相結晶粒と、その間を埋める、δ相から組成のずれたAu−Sn合金とにより構成される。
【0024】
また、バリア層6は、上述の製造方法では、Au−Sn合金の単層膜として成膜したが、図6のように、Au膜とSn膜とを交互に積層した多層膜10として成膜することもできる。その場合、多層膜10全体の平均組成が、Snが45%以上55%以下で残部がAuの組成、望ましくはδ相領域201の組成範囲になるように形成する。このように、バリア層6を多層膜構造にした場合、接合時に予め定められた接続温度に加熱されることにより、Au膜とSn膜とが相互に拡散し、δ相の結晶粒が形成され、Au−Sn合金の単層膜で成膜した場合と同様の効果が得られる。よって、成膜時のバリア層6を多層膜10にした場合も、接合後のバリア層6は、図3と同様にδ相もしくはその近傍の組成の単層膜となる。
【0025】
また、はんだ層7の組成についても、上述した共晶組成に限定されるものではなく、これ以外の組成であってもよい。すなわち、図2および図5のように278℃以上419.3℃以下の液相線206上の組成および温度のAu−Sn合金は、バリア層6のδ相と平衡であるから、Sn29at.%以上50at.%未満のAu−Sn合金によりはんだ層7を形成することができる。この場合、接合時に接続温度をそのはんだ層7の組成の液相線温度に設定する。これにより、接合時に、上記平衡状態が得られ、バリア層6の効果を得ることができる。ただし、Sn29at.%以上50at.%未満であっても、Snの割合が多くなるにつれ、液相線温度が高くなるため、接続温度を高くする必要があるため、接続温度を低くするためには、Sn45at.%程度以下にすることが望ましい。
【0026】
また、接続温度が設定温度からずれてしまったり、はんだ層7の成膜時に組成が設定した組成からずれることにより、接続温度でのはんだ層7の組成が、液相線上の組成からずれることがあるが、ある程度の組成ずれが生じても、本実施の形態の接合構造はそれを許容することができる。これを以下詳しく説明する。
【0027】
まず、成膜時の組成ずれ、もしくは接続温度のずれにより、はんだ層7の組成が、図7のように接続温度における液相線206上の点700の組成よりもSnリッチ側の点701の組成にずれている場合について説明する。この場合、点701は、δ相と液相の共存領域205内に位置するので、はんだ層7を接続温度まで加熱すると、点700の組成の液相とδ相とが生じる。このとき、液相の占める割合は、図7の線分Cの長さと線分Bの長さとの比B/Cであり、δ相の占める割合は、線分Cの長さと線分Aの長さとの比A/Cになる。したがって、はんだ層7の組成が、接続温度における液相線上の組成よりもSnリッチの場合は、はんだ層7中にδ相が析出するだけであり、液相とδ相とは平衡しているから、はんだ層7の液相部分の溶融は持続する。また、析出したδ相は、バリア層6と同じ組成であるから、δ相がはんだ層7中に析出してもはんだ層7とバリア層6との密着性は変化しない。よって、はんだ層7の組成が、接続温度における液相線上の組成よりもSnリッチ側にずれていても、問題は生じない。ただし、Sn濃度が45at.%以上になると、析出するδ相の割合が多くなるため、液相の量がはんだ接続に必要な量だけ得にくく、接続不良が発生する恐れがあるため、Sn濃度は45at.%以下であることが望ましい。
【0028】
一方、成膜時の組成ずれもしくは接続温度のずれにより、はんだ層7の組成が、図8のように接続温度における液相線206上の点700の組成よりもAuリッチ側(すなわちSnプア側)の点801にずれている場合について説明する。この場合、接続温度において点801は液相領域に位置するので、はんだ層7は液相になるが、液相線206上の組成ではないため、δ相のバリア層6とは平衡状態にならず、はんだ層7の融液がバリア層6を一部溶解する。バリア層6が一部溶解すると、はんだ層7にSnが供給され、はんだ層7の平均組成がSnリッチ側にずれ(図8)、液相線206上の組成700に達すると、はんだ層7の液相とバリア層6のδ相とが平衡する。したがって、バリア層6の厚さが十分にある場合には、バリア層6が一部溶解されはんだ層7の組成が液相線206上に達した時点で平衡状態になる。この状態で溶解しなかったバリア層6の厚さが、メタライズ層32および電極層31を被覆する分だけ残っていれば、バリア層6はバリア層として機能でき、はんだ層7の組成のずれは問題とならない。しかしながら、はんだ層7の組成のずれが大きく、平衡に達するまでにバリア層6をすべて溶解してしまうとバリア層7が機能しない。したがって、予想されるはんだ層7の組成のずれの大きさを予測し、それによりバリア層6の溶解厚さを推定しておき、バリア層6の厚さをそれ以上の厚さ成膜しておくことにより、はんだ層7のSnプア側への組成ずれを許容できる。
【0029】
ここで、はんだ層7の組成の、液相線206上の組成からのずれの大きさと、溶解されるバリア層6の厚さとの関係を見積もる。まず、接続温度における液相線206上の組成からのはんだ層7のSn組成のずれをN(wt.%)とする。また、はんだ層7とバリア層6との接続面積をSとする。また、はんだ層7の厚さをt1、はんだ層7の密度をd1とする。この場合、平衡組成になるために、はんだ層7に補われるべきSn重量は、
N・S・t1・d1
で表される。一方、δ相のバリア層6のSn濃度(wt.%)をN’、溶解するバリア層6の厚さをt2、バリア層の密度をd2とすると、バリア層6が溶解してはんだ層7に供給するSn重量は、
N’・S・t2・d2
であるから、
N・S・t1・d1=N’・S・t2・d2
となる。したがって、溶解するバリア層の厚さt2は、
t2=(N・d1・t1)/(N’・d2)
となる。はんだの厚さを5μm、接続温度を350℃とし、はんだ層7の液相線組成からの組成ずれNと、バリア層6の溶解厚さt2とを概算すると、
N=1(wt.%)のときt2=0.168(μm)
N=2(wt.%)のときt2=0.335(μm)
N=3(wt.%)のときt2=0.503(μm)
N=4(wt.%)のときt2=0.671(μm)
N=5(wt.%)のときt2=0.838(μm)
N=6(wt.%)のときt2=1.006(μm)
となる。ただし、はんだ層7の密度d1は組成に依存するが、ここではSn29at.%のときの密度d1=14.8(g/cm3)を用いた。また、δ相のバリア層6の密度d2=11.74(g/cm3)を用いた。
【0030】
したがって、予測される溶解厚さt2に、溶解後にバリア層6として機能するために必要な厚さ、例えば0.3〜1μmを加えた厚さにバリア層6を成膜するようにすることにより、はんだ層7のSnプア側の組成ずれを許容できる。溶解後にバリア層6として機能するために必要な厚さは、最小で0.3μm程度であるが、バリア層6の溶解が一様に生じず、部分的にバリア層が大きく溶解する可能性を考慮し、余裕をもって1μm程度残るようにすることが望ましい。したがって、成膜時に2μmの厚さにバリア層6を成膜しておけば、上述の条件の場合はんだ層7の組成ずれを少なくとも6%程度までは許容できる。本実施の形態の製造方法のように、蒸着法ではんだ層7を形成する場合、高精度に組成制御を行うことが可能であり、組成のばらつきを数%以内に抑えることは容易である。したがって、はんだ層7の組成を液相線上の組成に高精度に制御できる製造プロセスの場合は、バリア層6の厚さを0.3μm程度まで薄く成膜することが可能であるし、はんだ層7の組成のずれが数%生じる製造プロセスの場合には、バリア層6の厚さを2μm程度の厚めの膜に成膜しておくことが望ましい。
【0031】
このように、はんだ層7の組成がAuリッチ側にずれた場合であっても、バリア層6が溶解することにより平衡状態にできるため、本実施の形態の接合構造はこれを許容することができる。しかしながら、はんだ層7の組成が、図2のζ相の生じる領域203に入ってしまうと、さらに多量(平均で1μm以上)のバリア層6が溶解することになり、溶解が不均一に起こった場合には部分的にバリア層6が無くなってしまう可能性がある。したがって、はんだ層7の組成が領域203に入らないように制御する必要がある。そのために、はんだ層7の平均組成は、共晶組成のSn29at.%よりもSnリッチ側になるように制御することが望ましい。
【0032】
また、上記実施の形態では、はんだ層7を単一層として形成した場合について説明したが、Au薄膜とSn薄膜とを交互に積層した多層膜構造にすることもできる。その場合、多層膜のはんだ層7の平均組成が、上記した組成範囲になるように制御することにより、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0033】
また、上述の実施の形態の製造方法では、バリア層6とはんだ層7とを別々の層として、成膜したが、基板1側に積層するバリア層6とはんだ層7は、どちらもAu−Sn合金であり、組成が異なるだけであるので、図9のように厚さ方向に組成が変化する層9として、バリア層6とはんだ層7を連続した一層で形成することも可能である。この場合、層9の組成は、メタライズ層32と接している部分でSn45at.%〜55at.%の範囲とし、層9の厚さ方向に徐々にAuリッチな組成に変化させる。そして、層9の上部の部分の予め定めた厚さの部分は、平均組成が、接続温度における液相線の平均組成となるようにする。この層9を接続温度に加熱すると、上部部分は、溶融して液相となりはんだ層7となる。下部部分は、δ相の結晶粒が析出し、バリア層6となる。よって、冷却後は、図3のようなはんだ層7とバリア層6の2層に分かれる。
【0034】
以上のように本実施の形態は、Au−Snはんだ層7とメタライズ層32との間のバリア層6として、δ相のAu−Sn合金を利用することにより、はんだ層7の組成変動を防ぎ、はんだの高融点化、接続途中の凝固を抑制し、安定したはんだ溶融・接続を実現することができる。また微量体積のはんだ層7でも、安定して溶融させることができるため、微量はんだによる微小部品のセルフアライメントが可能になる。また、付随的な効果として、基板1あるいは素子30側のメタライズ層32および電極層31の構成を簡略化したり、薄くすることも可能となる。これにより、全体のコスト低減に寄与できる。
【0035】
また、上記した実施の形態では、メタライズ層32とはんだ層7との間にバリア層6を配置するとともに、電極層31とはんだ層7との間にバリア層6を配置する構成であったが、メタライズ層32と電極層31そのものを、上述してきたバリア層6に置き換えることもできる。この場合、バリア層6を別途形成しなくても、メタライズ層32と電極層31との間ではんだ層7が溶融状態を維持できるため、層構成を簡略化しながら、膜剥がれ等の接続不良を防止でき、しかも、セルフアライメントの効果が得られる。
【0036】
上記した実施の形態では、Au−Sn二元系合金をそれぞれはんだ層7とバリア層6とに用いる構成であったが、Au−Sn二元系合金に限らず、接続温度において液相と固相が平衡状態になる合金であれば、液相になる合金をはんだ層7とし、固相のままの合金をバリア層6として本実施の形態の電子回路装置に用いることが可能である。また、Au−Snに平衡が崩れない程度の添加物を加えた材料をはんだ層7とバリア層6として用いることもできる。
【0037】
また、上記した実施の形態では、はんだ層7およびバリア層を蒸着法により成膜する製造方法について説明したが、成膜方法は蒸着法に限定されるものではなく、下の層との密着性が高く、膜剥がれが生じない成膜方法であれば種々の成膜方法を用いることができる。例えば、スパッタ法を用いることができる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、薄いはんだ層により基板と素子とを接続する回路装置であって、接続不良の生じにくい接続構造を備えた回路装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のはんだ接続のための基板上のメタライズ層とはんだ層の構成を示す断面図。
【図2】Au−Sn二元系平衡状態図。
【図3】本発明の一実施の形態の電子回路装置の構成を示す断面図。
【図4】本実施の形態で製造した電子回路装置の断面を斜めに研磨したものを拡大して観察した組織を示す説明図。
【図5】図2の平衡状態図の一部の拡大図。
【図6】本発明の一実施の形態の電子回路装置の製造方法において、バリア層を多層膜10で成膜した層構成を示す断面図。
【図7】本発明の一実施の形態の電子回路装置の製造方法において、はんだ層7の組成が液相線206上の組成からずれた状態をAu−Sn二元系平衡状態図上で説明する説明図。
【図8】本発明の一実施の形態の電子回路装置の製造方法において、はんだ層7の組成が液相線206上の組成からずれた状態をAu−Sn二元系平衡状態図上で説明する説明図。
【図9】本発明の一実施の形態の電子回路装置の製造方法において、バリア層とはんだ層とを厚さ方向に組成が変化する層9として成膜した層構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…基板、2…接着層、3…金属層、4…Au層、5…共晶はんだ層、6…バリア層、7…はんだ層、9…厚さ方向に組成が変化するAu−Sn合金層、30…電子回路素子、31…電極層、32…メタライズ層、10…多層膜、201…共晶、203…ζ相と液相の共存領域、204…δ相領域、205…δ相と液相の共存領域、206…液相線。

Claims (10)

  1. 表面にメタライズ層を備えた基板と、
    前記基板上に搭載された回路素子と、
    前記メタライズ層と前記回路素子とを接続するはんだ層と、
    を有し、
    前記はんだ層と前記メタライズ層との間には、前記はんだ層と前記メタライズ層との反応を防止するためのバリア層が配置され、
    前記はんだ層は、AuとSnとを含む合金からなり、
    前記バリア層は、AuとSnとの合金のδ相の結晶粒子を含むことを特徴とする回路装置。
  2. 請求項1に記載の回路装置において、
    前記バリア層は、平均組成が、Sn45at.%以上55at.%以下、残部AuのAuSn合金からなることを特徴とする回路装置。
  3. 請求項1または2に記載の回路装置において、
    前記はんだ層は、AuとSnとの合金の結晶構造の異なる2種類の結晶を含むことを特徴とする回路装置。
  4. 請求項1に記載の回路装置において、
    前記回路素子は、前記はんだ層により接続される側に電極層を有し、
    前記バリア層は、前記はんだ層と前記電極層との間にも配置されていることを特徴とする回路装置。
  5. 基板表面に予め形成されているメタライズ層の上に、平均組成がSn45at.%以上55at.%以下、残部AuのAuSn合金を含む金属材料によりバリア層を形成する第1工程と、
    前記バリア層の上にAuとSnとを含む合金によりはんだ層を形成する第2工程と、
    前記はんだ層の上に回路素子を搭載する第3工程と、
    前記はんだ層と前記バリア層とを、前記はんだ層の少なくとも一部を液相にする温度であって、前記バリア層の少なくとも一部を固相のままにする温度まで加熱した後、冷却する第3工程と、
    を有することを特徴とする、回路装置の製造方法。
  6. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記第2工程では、前記はんだ層として、平均組成がSn29at.%以上45at.%以下、残部AuのAuSn合金の層を形成することを特徴とする、回路装置の製造方法。
  7. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記第3工程において、前記温度は、前記はんだ層を構成する合金の液相線温度であることを特徴とする、回路装置の製造方法。
  8. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記第1工程では、前記バリア層を、Au層とSn層とを交互に積層した多層膜構造に形成することを特徴とする、回路装置の製造方法。
  9. 請求項5、6及び8のいずれか1項に記載の製造方法において、
    前記第2工程では、前記はんだ層を、Au層とSn層とを交互に積層した多層膜構造に形成することを特徴とする、回路装置の製造方法。
  10. 請求項5に記載の製造方法において、
    前記第1および第2工程では、組成が膜厚方向に変化するAuSn合金層により、前記バリア層および前記はんだ層を連続した一層として形成することを特徴とする、回路装置の製造方法。
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