JP3716547B2 - パイル織機における織り密度補正装置 - Google Patents

パイル織機における織り密度補正装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイル織機における織り密度補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平4−289242号公報に開示されるように、パイル織機によって製織されたタオルの品質管理にはパイルの重さがあり、このパイルの重さを決定する要因には糸種類、織り密度、製品長さがある。そして製品長さでは、パイル織り柄の長さ、地織り柄の長さ、ボーダー織り柄の長さという規格がある。
【0003】
各織り柄の長さを規格に合わせるには、タオルを1枚製織して各織り柄の長さを計り、この長さが規格に合っていない場合には織り密度を計算しなおして再度タオルを1枚製織するという手順が採用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、パイル織り柄、地織り柄、ボーダー織り柄からなる柄パターンの情報、即ち織り柄情報には織り密度情報も含まれている。そのため、計算しなおした織り密度を再設定するには織り柄情報を変更しなければならないが、このような変更作業は面倒である。
【0005】
本発明は、織り柄の長さを修正するための織り密度の補正を容易に行ない得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そのために請求項1及び2の発明では、織り柄を設定する織り柄設定手段と、設定される織り柄の織り密度を設定する織り密度設定手段と、少なくとも1つの設定された織り柄の織り密度を補正するための織り密度補正要素を設定する織り密度補正要素設定手段と、前記織り密度補正要素設定手段によって設定された織り密度補正要素に基づいて前記織り密度を補正する織り密度補正手段とを備えた織り密度補正装置を構成した。
【0007】
織り密度補正要素は織り柄の実際の長さと規格長さとの違いに応じて設定される。織り密度補正要素が設定されると、織り密度補正手段が設定された織り密度補正要素に基づいて織り密度を補正する。
【0009】
とくに、請求項の発明では、織り柄の長さの伸縮率を前記織り密度補正要素とし、織り密度は前記伸縮率を乗じて補正するようにした。
伸縮率は織り柄の規格長さと実際の長さとの比率(規格長さ/実際の長さ)である。この伸縮率は容易に求められる。
【0010】
とくに、請求項の発明では、織り柄の長さの実測値及び織り柄の所望の長さを前記織り密度補正要素とした。
織り柄の長さの実測値及び織り柄の所望の長さ(即ち、規格長さ)を設定すれば、織り密度補正手段が織り密度に比率(規格長さ/実際の長さ)を乗じて織り密度を補正する。
請求項3の発明では、前記織り柄設定手段には前記織り密度設定手段を含み、織り柄の情報には織り密度を含ませた。
織り柄の情報に含まれた織り密度が織り密度補正要素の設定によって容易に補正される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態を図1及び図2に基づいて説明する。
【0012】
図1はパイル織機全体の側面を示し、11は地織り用ワープビームである。地織り用ワープビーム11は送り出しモータMgにより回転駆動される。送り出しモータMgの作動により地織り用ワープビーム11から送り出される地経糸Tgはバックローラ12及び張力検出ローラ13を経由して綜絖14及び筬15を通される。織布Wはエキスパンションバー16、サーフェスローラ17及びガイドローラ18,19を経由してクロスローラ20に巻き取られる。筬15は織機駆動モータMoから駆動力を得ており、織機駆動モータMoは織機制御コンピュータCoの制御を受ける。
【0013】
地経糸Tgの張力は張力検出ローラ13を介して張力検出器131により検出される。送り出しモータMgは送り出し制御装置C1の制御を受ける。送り出し制御装置C1は、予め設定された設定張力、織機回転角度検出用のロータリエンコーダ39から緯入れ1回毎に出力される原点信号の出力回数、即ち緯入れ回数から把握される地織り用ワープビーム11の巻き径及び張力検出器131から得られる張力検出情報に基づいて送り出しモータMgの送り出し速度を制御する。緯入れ回数情報は織機制御コンピュータCoから得られる。
【0014】
地織り用ワープビーム11の上方にはパイル用ワープビーム21が支持されている。パイル用ワープビーム21は送り出しモータMpにより回転駆動される。送り出しモータMpの作動によりパイル用ワープビーム21から送り出されるパイル用経糸Tpは張力検出ローラ22、張力変動吸収バー23及びテリーモーションローラ24に沿った経路を経由して綜絖14及び筬15に通される。張力変動吸収バー23は基端を固定支持された板ばね231の先端に支持されている。板ばね231はパイル用経糸Tpの開閉口、筬打ち等による張力変動を吸収する。パイル用経糸Tpの張力は張力検出ローラ22を介して張力検出器221により検出される。
【0015】
送り出しモータMpは送り出し制御装置C2の制御を受ける。送り出し制御装置C2は、予め設定された設定張力、緯入れ回数から把握されるパイル用ワープビーム21の巻き径及び張力検出器221から得られる張力検出情報に基づいて送り出しモータMpの送り出し速度を制御する。緯入れ回数情報は織機制御コンピュータCoから得られる。
【0016】
織機の前後中央部には中間レバー25が支軸251を中心に回動可能に配設されている。織機の後部には支持レバー26が支軸261を中心に回動可能に配設されており、支持レバー26にはテリーモーションローラ24が支持されている。中間レバー25と支持レバー26とはロッド27によって連結されている。織機の前部には支持レバー28が支軸281を中心に回動可能に配設されており、支持レバー28にはエキスパンションバー16が支持されている。支持レバー28と中間レバー25とはロッド29により連結されている。中間レバー25が回動すると支持レバー28,26が同一方向へ回動し、エキスパンションバー16及びテリーモーションローラ24が同一方向へ変位する。エキスパンションバー16の変位により織布Wの経路が変位し、織布Wの織前W1が変位する。テリーモーションローラ24の変位によりパイル用経糸Tpの経路が変位する。
【0017】
中間レバー25の上方にはテリーモーションモータ30が配設されている。方向転換レバー31はテリーモーションモータ30の往復回転によって支軸311を中心に往復揺動する。方向転換レバー31と中間レバー25とはロッド32により連結されている。方向転換レバー31の往復揺動変位は、ロッド32、中間レバー25及び支持レバー28を介してエキスパンションバー16に伝達される。この変位伝達によりエキスパンションバー16が支軸281を中心にして揺動変位する。方向転換レバー31が図1に実線で示す位置にあるときには、エキスパンションバー16は図1に実線で示すテリー量零位置に配置される。方向転換レバー31が図1に鎖線で示す位置にあるときには、エキスパンションバー16は図1に鎖線で示すテリー量有り位置に配置される。テリーモーションモータ30はテリーモーション制御装置C3の制御を受ける。
【0018】
織機駆動モータMoの作動を制御する織機制御コンピュータCoには織り柄設定装置33が信号接続されている。織り柄設定装置33には織り柄情報が入力装置34によって入力されている。織り柄設定装置33は織り柄情報を織機制御コンピュータCoに送る。織機制御コンピュータCoは織り柄情報をテリーモーション制御装置C3及び送り出し制御装置C2に送る。テリーモーション制御装置C3は、ロータリエンコーダ39から得られる回転角度情報、織機制御コンピュータCoから得た織り柄情報及びテリーモーションモータ30に組み込まれたロータリエンコーダ301から得られる回転角度情報に基づいてテリーモーションモータ30の作動をフィードバック制御する。
【0019】
サーフェスローラ17は巻き取りモータMsによって駆動される。巻き取りモータMsは巻き取り制御装置C4の制御を受ける。巻き取り制御装置C4には織機制御コンピュータCoが信号接続されている。織機制御コンピュータCoは織り柄情報を巻き取り制御装置C4に送る。織り柄情報には各織り柄毎の織り密度情報が含まれている。図2に示すように、巻き取り制御装置C4は制御回路35と駆動回路36とからなる。制御回路35は、ロータリエンコーダ39から得られる織機回転角度情報から把握される織機回転速度、織機制御コンピュータCoから得られる織り柄情報に基づいて制御指令を駆動回路36に出力する。駆動回路36は、制御回路35から得られる制御指令及び巻き取りモータMsに組み込まれたロータリエンコーダ42から得られる回転角度情報に基づいて巻き取りモータMsの作動をフィードバック制御する。
【0020】
巻き取り制御装置C4には織り密度補正制御装置C5が信号接続されている。図2に示すように、織り密度補正制御装置C5は、設定制御回路37と記憶部38とからなる。設定制御回路37には入力装置40及び表示装置41が信号接続されている。織り密度補正制御装置C5と共に織り密度補正要素設定手段を構成する入力装置40は、織り密度補正要素である伸縮率を織り密度補正制御装置C5に入力するものである。入力装置40によって入力操作をすれば、設定制御回路37が表示装置41に伸縮率を表示すると共に、伸縮率を記憶部38に記憶する。1単位のパイルを形成するための緯糸使用本数Nは3〜5である。緯糸使用本数Nのパイル織り柄をN本緯タオル組織ということにする。図2に示すGzは1枚のタオルを表す。G1は地織り柄を表し、G2はボーダー織り柄を表す。G3は3本緯タオル組織を表し、G4は4本緯タオル組織を表し、G5は5本緯タオル組織を表す。αzはタオル全体の長さの伸縮率を表す。α1は地織り柄の伸縮率を表し、α2はボーダー織り柄の伸縮率を表す。α3は3本緯タオル組織の伸縮率を表し、α4は4本緯タオル組織の伸縮率を表し、α5は5本緯タオル組織の伸縮率を表す。
【0021】
巻き取り制御装置C4の制御回路35は、記憶部38に記憶された伸縮率αz,α1〜α5に基づいて織り柄情報に含まれる織り密度ρ1,ρ2,ρ3,ρ4,ρ5を補正する。ρ1は地織り柄の織り密度を表し、ρ2はボーダー織り柄の織り密度を表す。ρ3は3本緯タオル組織の織り密度を表し、ρ4は4本緯タオル組織の織り密度を表し、ρ5は5本緯タオル組織の織り密度を表す。織り密度ρn(n=1〜5)の補正は、ρnに伸縮率αn(n=1〜5)を乗ずることによって行われる。
【0022】
織り密度の補正は以下のように行われる。織り柄設定装置33によって設定された織り柄情報に基づいて1枚のタオルを試織し、この試織されたタオルの各織り柄G1,G2,G3,G4,G5の長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5xを計る。規格長さL1,L2,L3,L4,L5と実測長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5xとが一致していれば、伸縮率αz,αnは全て1として製織を開始する。規格長さL1,L2,L3,L4,L5と実測長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5xとが一致しない場合には、αz=1とすると共に、規格長さL1,L2,L3,L4,L5と実測長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5xとの比(Ln/Lnx)(n=1〜5)を伸縮率αnとして織り密度補正制御装置C5に記憶させる。そして、再度1枚のタオルを織る。この場合、巻き取り制御装置C4は補正された織り密度αn・ρnを用いて巻き取りモータMsの回転速度を制御する。ρn>αn・ρnであれば、再試織の織り柄Gnの製織時の巻き取りモータMsの回転速度は、最初の試織の織り柄Gnの製織時のときよりも速くなる。ρn<αn・ρnであれば、再試織の織り柄Gnの製織時の巻き取りモータMsの回転速度は、最初の試織の織り柄Gnの製織時のときよりも遅くなる。
【0023】
タオル全体の長さLzxのみの補正を行なうには、伸縮率Lz/Lzx=αzを設定すると共に、他の伸縮率αnを全て1に設定すればよい。このように設定すれば、各織り柄Gnの織り密度ρnがρn・αzに補正され、タオル全体の長さLzxがLzx・αz=Lzの規格長さとなる。
【0024】
第1の実施の形態では以下の効果が得られる。
(1-1)織り密度情報は織り柄設定手段である織り柄設定装置33によって設定された織り柄情報に含まれており、織り柄設定装置33は織り密度設定手段を兼ねている。織り密度補正手段でもある巻き取り制御装置C4は、織り密度補正要素設定手段である織り密度補正制御装置C5によって設定された伸縮率αnに基づいて織り密度ρnを補正する。伸縮率αnを設定すれば織り密度補正を行なう構成は、織り柄Gnの長さを修正するための織り密度の補正を容易にする。
(1-2)伸縮率αnは織り柄Gnの規格長さLnと実際の長さLnxとの比率Ln/Lnxである。この伸縮率は容易に求められ、伸縮率は織り密度補正要素として好適である。
【0025】
次に、図3の第2の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
織り密度補正要素設定手段である織り密度補正制御装置C6における設定制御回路43はN本緯タオル組織G3,G4,G5の織り密度を補正するための伸縮率α3,α4,α5のみを設定する。製織してから1枚のタオルに切り離したときのタオルの縮みは専らパイル織り柄の部分で生じるため、専らパイル織り柄における長さが規格長さからずれる。従って、パイル織り柄部分の織り密度の補正のみでも充分な実用性がある。
【0026】
次に、図4の第3の実施の形態を説明する。第1の実施の形態と同じ構成部には同じ符号が付してある。
この実施の形態では、実測した長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5x,Lzx及び規格長さL1,L2,L3,L4,L5,Lzを入力装置45の入力操作によって織り密度補正要素設定手段である織り密度補正制御装置C7における設定制御回路44に入力すればよい。設定制御回路44は、実測した長さL1x,L2x,L3x,L4x,L5x,Lzx及び規格長さL1,L2,L3,L4,L5,Lzを表示装置41に表示する。又、設定制御回路44は、伸縮率Lnx/Ln=αn,Lzx/Lz=αzを算出して記憶部38に記憶する。各織り柄Gnの伸縮率αnを設定する場合にはLzxをLzとし、タオル全体の長さLzxのみの補正を行なうにはLnxをLnとすればよい。
【0027】
この実施の形態では実測長さ及び規格長さを入力するだけで伸縮率が容易に設定される。
本発明では、織り密度補正要素設定手段側に織り密度を設定し、この織り密度を補正するようにしてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明では、織り密度補正要素設定手段によって設定された織り密度補正要素に基づいて少なくとも1つの織り柄の織り密度を補正するようにしたので、織り柄の長さを修正するための織り密度の補正を容易に行ない得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す織機全体の側面図。
【図2】制御ブロック図。
【図3】第2の実施の形態を示す制御ブロック図。
【図4】第3の実施の形態を示す制御ブロック図。
【符号の説明】
33…織り柄設定手段となる織り柄設定装置、40,45…織り密度補正要素設定手段を構成する入力装置、C4…織り密度補正手段となる巻き取り制御装置、C5,C6,C7…織り密度補正要素設定手段を構成する織り密度補正制御装置。

Claims (3)

  1. 筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機において、
    織り柄を設定する織り柄設定手段と、
    設定される織り柄の織り密度を設定する織り密度設定手段と、
    少なくとも1つの設定された織り柄の織り密度を補正するための織り密度補正要素を設定する織り密度補正要素設定手段と、
    前記織り密度補正要素設定手段によって設定された織り密度補正要素に基づいて前記織り密度を補正する織り密度補正手段とを備え、前記織り密度補正要素は織り柄の長さの伸縮率であり、前記織り密度は前記伸縮率を乗じて補正されるパイル織機における織り密度補正装置。
  2. 筬の筬打ち位置と織布の織前との相対位置を変更してパイルを形成するパイル織機において、
    織り柄を設定する織り柄設定手段と、
    設定される織り柄の織り密度を設定する織り密度設定手段と、
    少なくとも1つの設定された織り柄の織り密度を補正するための織り密度補正要素を設定する織り密度補正要素設定手段と、
    前記織り密度補正要素設定手段によって設定された織り密度補正要素に基づいて前記織り密度を補正する織り密度補正手段とを備え、前記織り密度補正要素織り柄の長さの実測値及び織り柄の所望の長さであるパイル織機における織り密度補正装置。
  3. 前記織り柄設定手段は前記織り密度設定手段を含み、織り柄の情報には織り密度が含まれている請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載のパイル織機における織り密度補正装置。
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