JP3716005B2 - ガスバリヤー性紙積層包装容器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、アンカーコート剤(以下、AC剤と称する)及び接着性樹脂を用いることなく、積層されたガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器に関する。
また、本発明は、AC剤または接着性樹脂を用いても、特定の箇所に用いることにより、低臭性等に優れたガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、食品や産業資材などを包装する包装材料の発達は著しく進歩し、それによって、例えば食品は長期間の保存が可能となった。これら包装材料は、プラスチック、紙、金属などの異種材料のフィルム状成形物を貼り合わせて単独では有し得ない特性、例えば強度、ガスバリヤー性、防湿性、ヒートシール性、外観、形状などを補った積層されたシートからなり、それぞれの材料の長所を兼ね合わせた複合型の材料に設計されている。
【0003】
このような積層シートを製造する方法としては、例えばドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットラミネーション法、押出ラミネーション法及び共押出ラミネーション法などがあり、これらはその特徴に応じて適用される。
包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形成する場合や、基材同士を貼合する場合は、コスト面で有利な押出ラミネーション法やサンドイッチ押出ラミネーション法が広く用いられている。ヒートシール層やサンドイッチ層としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂などが一般に用いられるのが、コストの点からポリオレフィン系樹脂が遥かに大量に用いられている。
【0004】
これらの方法を用いて製造された積層材料で成形される容器は、金属やガラス材料で製造された容器に比べ格段に軽量化することができ、例えば物流工程における省エネルギーの面で大いに役立つものとなっている。しかし、これらの容器は、通常、ワンウエィータイプと言われ、一回だけの使用で使い捨てされる容器であり、再使用は出来ないものであった。
【0005】
ところが、近年の地球環境保全意識の高まりから、資源の再使用の要請があり、使用済みの容器を回収し、構成材料別に分別して、資源を再利用できるタイプの容器の開発が強く要望されてきた。しかし、例えばガスバリヤー性や光遮断機能を付与するため、アルミニウム箔を包装材料の中間層に用い形成された複合型の容器が用いられているが、紙基材と樹脂層の間に積層されたアルミニウム箔を容易に分離回収することが難しいばかりか、アルミニウム箔の入った使用済み容器を焼却するとアッシュ分が大量に発生し、焼却炉を痛めたりするので埋め立て処理しなければならず、紙資源そのものの資源回収も難しいという問題があった。
【0006】
このため、アルミニウム箔等の金属箔膜を用いることなく、ガスバリヤー性に優れた紙を主基材とする種々の容器が開発されている。例えば、容器外側からポリエチレン樹脂層/紙層/接着性樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体層/ポリエチレン樹脂層の5層構成である包装材料により形成された容器(特開昭63−312143号公報参照)、容器外側からポリエチレン樹脂層/紙層/接着性樹脂層/エチレン−ビニルアルコール共重合体層/ナイロン樹脂層/接着性樹脂層/ポリエチレン樹脂層の7層構成である包装材料により形成された容器(特開平2−160551号公報参照)、また、紙層/ポリエチレン樹脂層の積層された材料のポリエチレン樹脂層面にAC剤処理を施し、その面に接着性樹脂を介し、ナイロン樹脂とポリエチレン樹脂を共押出ラミネート成形で積層させた構成のものや、AC剤を用いる接着の代わりに、該ラミネート工程とは別の工程で製造したガスバリヤー性樹脂層を中間層、さらにその外側に接着性樹脂層を介し両外層にポリエチレン樹脂層を設けた多層のフィルム製品を、紙層/ポリエチレン樹脂層の積層材料とサンドイッチ押出ラミネートで積層する容器(特開平5−50564号公報参照)が開発されている。
【0007】
しかしながら、例えば、包装する内容物に接するシーラントの成形にAC剤を用いる方法は、有機溶剤などのAC剤成分がシートに残留し、それに起因する臭気のため、該シートの食品包装用途などへの適用を制限するという問題を有していた。
【0008】
また、これらAC剤を用いないでプラスチック基材にラミネートする方法として、(a)エチレンと、(b)不飽和多塩基酸と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれた不飽和単量体を共重合して得られたエチレン系共重合体を溶融混練し、150℃〜330℃の温度でフィルム状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、このオゾン処理面を接着面として基材に圧着ラミネートして積層体を製造することが報告されている(特開平4−368845号公報)。
しかし、不飽和多塩基酸をコモノマー成分に用いた接着性の機能をもつエチレン系共重合体を用いる方法は、製造コストの面及び低融点成分の増加に伴い、押出ラミネート加工時のロールリリース性に劣り、加工温度などに制約を受けるばかりでなく、押出機内の樹脂替えなどの煩雑さを伴い好ましくない。
【0009】
更に、エチレン−α−オレフィン共重合体を公知のオゾン処理装置を用い、基材との接着面をオゾン処理し、基材上にAC剤を塗布することなく圧着ラミネートして積層体が製造される方法や、不飽和カルボン酸などをポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用い、共押出ラミネート装置との組合わせで基材にノーアンカーで圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(コンバーテック(8)、第36頁、1991年)。
しかし、これらの方法で得られた積層体のラミネート樹脂と基材との接着強度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受ける。更に、不飽和カルボン酸等をポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用いる方法では、共押出装置が必要なこと及び製造コストが増大するばかりでなく、押出機内の樹脂替え等の煩雑さを伴い好ましくない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、これら紙基材を主体とするガスバリヤー性機能をもった容器の基本構成は、容器の外側からポリオレフィン系樹脂層、紙基材、ポリオレフィン系樹脂層、ガスバリヤー性樹脂層及びポリオレフィン系樹脂層の5層構成である。
しかし、ガスバリヤー性の機能を持った樹脂層と、ポリエチレンなどの無極性であるポリオレフィン系樹脂を用いたシーラント樹脂層との層間接着性は、共押出ラミネート成形法を用いても実用に耐えうるような充分な接着強度が得られないため、双方の樹脂に接着する機能を持つ高価な接着性樹脂を必要としたり、また、ガスバリヤー性プラスチック基材にAC剤を塗工した後、ポリエチレン系樹脂などのシーラント樹脂を押出ラミネートする必要がある。
なお、シーラント樹脂とは、被包装物と接する最内層樹脂をいう。
【0011】
更にまた、紙基材にガスバリヤー性樹脂層を積層する別の方法としては、ガスバリヤー樹脂層を中間層とし、接着層を介し両外層にポリエチレン系樹脂を配した少なくとも5層の共押出成形多層フィルム製品を該ラミネート工程とは別の工程で製造し、それを紙基材とポリエチレン系樹脂を介しサンドイッチ押出ミネート法で積層する方法がある。
しかし、これらの製造方法では、加工設備面で多層の共押出ラミネート装置や、フィルム製造工程であればガスバリヤー性樹脂層を含む少なくとも5層の多層のフィルム成形機が必要であるばかりか、ラミネート製品の製造工程が非常に複雑となり生産性に劣る。
【0012】
本発明は、前記の事情に基づいてなされたものであり、本発明の目的は、ガスバリヤー性機能と充分な接着強度を兼ね備えると共に、製造工程の複雑化を招くことなく、安価に製造することのでき、且つAC剤または接着性樹脂を特定の箇所に用いることにより低臭化が図れたガスバリヤー性紙積層包装容器であって、構成材料の中にアルミニウム箔を含まないため、紙資源の易リサイクル性に優れるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる現状に鑑み、本発明者らは、接着性樹脂及びアンカーコート剤を使用しないガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器、または接着性樹脂及びアンカーコート剤を用いても低臭性に優れるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器について鋭意検討した結果、紙基材、ガスバリヤー性プラスチック基材及び押出ラミネート用樹脂から構成されたガスバリヤー性紙積層シートを、臭気の発生原因となるAC剤及び接着性樹脂を使用することなく、特定の表面酸化処理工程、オゾン処理工程及び圧着工程から製造されたガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を見出し、本発明を完成させた。
さらに、本発明者らは、AC剤又は接着性樹脂を用いる場合であっても、その用いる箇所を特定化すること、及びシーラントの形成にあたり特定の表面酸化処理工程、オゾン処理工程及び圧着工程から製造されたガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の両面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(C)押出ラミネート用樹脂層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0015】
また、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の両面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(C)押出ラミネート用樹脂層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0016】
また、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(C)押出ラミネート用樹脂層と接着する面にアンカーコート剤を塗布し、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0017】
また、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(C)押出ラミネート用樹脂層と接着する面にアンカーコート剤を塗布し、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0018】
また、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C’)接着性樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0019】
また、本発明は、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供するものである。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C’)接着性樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0020】
また、本発明は、ガスバリヤー性紙積層包装容器が液体食品用または湿性食品用包装容器及び、工業薬品や産業資材の非食品用包装容器を提供するものである。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としては、例えばエチレンービニルアルコール共重合体(以下、EVOHと称する)、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVAと称する)、アクリロニトリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂(以下、PVDCと称する)、ナイロン系樹脂(以下、Nyと称する)、ポリエステル系樹脂(以下、PETと称する)、ポリアリレート系樹脂、ポリクロロトリフロロエチレン系樹脂及びポリ弗化ビニリデン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂が挙げられる。これらの中でもEVOH、PVA、PVDC、Ny及びPETが好ましい。
【0022】
これらの基材は単体であってもよく、また、共押出成形法やドライラミネーション法などで他の樹脂と積層された多層積層体であってもよく、上記樹脂が表面層となる基材であればよい。積層体としては、例えばEVOH及びNyからなる二種二層の積層体、EVOH、Ny及びEVOHからなる二種三層の積層体、EVOH、接着性樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる三種三層の積層体及びNy、EVOH及びNyからなる二種三層の積層体の中から選ばれる少なくとも一種の積層体が挙げられる。なお、これら基材の形状は、フィルム又はシート形状であってもよく、また、それらの延伸物などでもよい。
【0023】
また、本発明で用いる(D)ガスバリヤー性プラスチック基材は、ガスバリヤー性機能を持つ上記樹脂をエマルジョンや溶剤などの形で、他のプラスチック材料の少なくとも片面に塗工し、ガスバリヤー性をさらに向上させた基材や、新たにガスバリヤー性を付与した基材であってもよい。
すなわち、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、PVDCを主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂、PVAを主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂及びEVOHを主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂の中から選ばれる基材が挙げられる。
PVDCを主成分とするエマルジョンを塗工(以下、塗工面をKと称す)した(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としては、例えばKNy、KPET、KPVA、KOPP(二軸延伸ポリプロピレン)KPT(セロファン)などが挙げられる。
同様に、PVAを主成分とするエマルジョンを塗工(以下、塗工面をPと称す)した(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としては、例えばPPET、POPPなどが挙げられる。
さらに、EVOHを主成分とするエマルジョンを塗工(以下、塗工面をEと称す)した(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としては、例えばENy、EPET、EOPPなどが挙げられる。
【0024】
さらに、本発明で用いる(D)ガスバリヤー性プラスチック基材は、ガスバリヤー性をより向上させるため、該ガスバリヤー性プラスチック基材の片面または両面に、例えばシリカ(SiOx )、酸化亜鉛(ZnO)などのガラス質材料やニッケル、クロム、アルミニウムなどの金属材料を数10から数1000オングストロームの厚さで蒸着加工を施し、物理的にガスバリヤー性を付与した基材であってもよい。
このような基材としては、例えばシリカ蒸着PET、シリカ蒸着Ny、シリカ蒸着EVOH、アルミニウム蒸着PET及びアルミニウム蒸着Nyなどが挙げられる。
【0025】
本発明で用いる(D)ガスバリヤー性プラスチック基材のガスバリヤー性は、樹脂本来の有する機能、塗工材料の機能、蒸着材料の機能などによって異なるが、好ましくは酸素透過量が100cc/m2 ・24Hr・atm以下、さらに好ましくは10cc/m2 ・24Hr・atm以下の性能を有する材料がよい。
【0026】
これら(D)ガスバリヤー性プラスチック基材は、少なくとも片面に、印刷性、接着性、蒸着性などを付与するため、易接着性を促進する塗剤が塗工してあってもよい。
また、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材は、必要に応じて、予めその片面又は両面をコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などの表面処理が施されていてもよい。
【0027】
また、本発明で用いるガスバリヤー性プラスチック基材の肉厚は、押出ラミネート加工や容器の製造工程で不都合が生じなければ特に制約を受けるものではないが、好ましくは3〜40μ、更に好ましくは5〜20μの範囲がよい。
【0028】
本発明で用いる(B)紙基材としては、例えば晒包装紙や未晒包装紙などがあり、晒包装紙としては、例えば純白ロール紙、晒クラフト紙などが挙げられる。
【0029】
また、本発明で用いる紙基材の秤量は、包装材料としての機能をもち且つ、押出ラミネート加工の基材としての適性があれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは100〜600g/m2 、更に好ましくは150〜500g/m2 の範囲がよい。さらに、本発明で用いる紙基材は、印刷が施されていてもよい。
【0030】
本発明の(A)、(C)及び(E)として用いる押出ラミネート用樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂である。更に、必要に応じて、他の樹脂を50重量%未満の範囲で混合してもよい。
(A)、(C)及び(E)の押出ラミネート用樹脂は、加工性、耐熱性、易ヒートシール性、防湿性、耐油性、耐薬品性など、それらの樹脂の有する機能や被包装物の性状によって使い分けられる。
【0031】
本発明で用いる(A)、(C)及び(E)押出ラミネート用樹脂は、単層でもよく、また二層以上の多層であってもよい。二層以上の多層の場合は、同一樹脂であってもよく、また押出ラミネート用樹脂からなる異なった樹脂の組合せであってもよい。
なお、(E)押出ラミネート用樹脂が同一樹脂を用いた多層の場合でも構成上は1層として取り扱う。
【0032】
本発明で用いる(F)フィルム原反基材としては、押出ラミネート用樹脂に挙げられた樹脂と同様にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂であり、これらがフィルム成形加工されたものであればよく、サンドイッチ押出ラミネーションの基材としての適性があれば特に制約を受けるものではないが、その厚さは10〜80μのものが好ましく、さらに15〜60μのものがより好ましい。
【0033】
(A)、(C)、(E)及び(F)で挙げられた樹脂についてそれぞれ説明する。
ポリエチレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、例えばラジカル重合法又はイオン重合法で製造することができる。ポリエチレン系樹脂としては、例えばラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレンの他、イオン重合法で製造される高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などの炭素数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オレフィンは、一種又は二種以上用いることができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィンの含有量は、好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは5〜20重量%である。
【0034】
ポリプロピレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、例えばイオン重合法で製造することができる。ポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンのホモポリマー又は、プロピレンと、エチレンやブテン−1との共重合体などのプロピレンとα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。なお、プロピレンと共重合するα−オレフィンは、一種又は二種以上を用いることができる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィンの含有量は、好ましくは0.1〜40重量%、更に好ましくは1〜30重量%である。
【0035】
エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂はラジカル重合法で製造でき、エチレンとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られる。
【0036】
エチレン−ビニルエステル系共重合体のビニルエステルとしては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオ酸ビニルなどが挙げられる。
【0037】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸エステルであって炭素数4〜8の不飽和カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのコモノマーは一種又は二種以上用いることができる。
【0038】
エチレン−ビニルエステル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるコモノマー成分の含有量は、好ましくは30重量%以下がよく、更に好ましくは20重量%以下がよい。
【0039】
なお、加工適性の観点から、ポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂については、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、またポリプロピレン系樹脂については、230℃におけるMFRが1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0040】
本発明で用いるAC剤は、特に限定されるものではなく、通常使用されているものが挙げられる。例えば、有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系などの接着剤が用いることができる。
【0041】
本発明で用いる接着性樹脂の製法は限定されるものではなく、例えばラジカル重合法やグラフト重合法で製造することができる。
ラジカル重合法で製造できる接着性樹脂としては、例えばエチレンと不飽和多塩基酸との共重合体、エチレンと不飽和多塩基酸とアクリル酸低級アルキルエステルとの共重合体、エチレンと不飽和多塩基酸とメタクリル酸低級アルキルエステルとの共重合体、エチレンと不飽和多塩基酸とビニルエステルとの共重合体等が挙げられる。具体的には、エチレン(以下、Eと表わす)と無水マレイン酸(以下、MAHと表わす)とエチルアクリレート(以下、EAと表わす)との共重合体、エチレンと無水マレイン酸とメチルアクリレート(以下、MAと表わす)との共重合体、エチレンとアクリル酸(以下、AAと表わす)との共重合体、エチレンとメタクリル酸(以下、MAAと表わす)との共重合体等が挙げられる。さらに、これらの接着性樹脂を亜鉛やナトリウム等の金属イオンで、部分的あるいは完全に中和したアイオノマー樹脂が挙げられる。
また、グラフト重合法で製造できる接着性樹脂としては、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸などをグラフト重合で接着性の機能を付与したものなどが挙げられる。
【0042】
なお、加工性の観点から、接着性樹脂は、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0043】
本発明の表面酸化処理工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の両面に表面酸化処理を施すことにより、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の接着面に一定レベル以上の酸化活性化点を発生させ、強固な接着を可能にする工程である。ここで、該一定レベル以上の酸化活性化点については、後記の△(O/C)により規定される。
【0044】
表面酸化処理工程は、具体的には、コロナ処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ処理工程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程などにより実施される。詳細は、後述する。
【0045】
本発明のオゾン処理工程は、(B)紙基材と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を積層するに際し、(C)押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出し、該フィルムの(D)ガスバリヤー性プラスチック基材との接着面にオゾン処理を施す工程である。
また、本発明のオゾン処理工程が、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材と被包装物に接するシーラントとなる(E)押出ラミネート用樹脂の積層であれば、(E)押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出し、該フィルムの(D)ガスバリヤー性プラスチック基材との接着面にオゾン処理を施す工程である。
さらに、本発明のオゾン処理工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材と(F)フィルム原反基材層の積層に、(E)押出ラミネート用樹脂を用いたサンドイッチ押出ラミネーション法が用いられ、押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出し、該フィルムの(D)ガスバリヤー性プラスチック基材との接着面にオゾン処理を施す工程である。
【0046】
本発明でAC剤を用いる箇所は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の(C)押出ラミネート用樹脂層と接着する面であり、積層方法としては、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層にAC剤を塗布した後、押出ラミネート樹脂を中間層に用い(B)紙基材層とサンドイッチ押出ラミネーション法で積層できる。
本発明で接着性樹脂を用いる箇所は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と(B)紙基材層の間であり、積層方法としては、接着性樹脂を中間層に用い(B)紙基材層と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層をサンドイッチ押出ラミネーション法で積層できる。
なお、接着性樹脂を用いる場合、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の接着性樹脂と接着する面は、コロナ処理などの表面処理を施すことが好ましい。
【0047】
オゾン処理は、例えばTダイ下エアーギャップ間に設けたノズル又はスリット状の吹出し口からオゾンを含ませた気体(例えば、空気など)を、溶融フィルムに吹き付けることにより行われる。なお、オゾンノズルがTダイ下に設置できない場合は、圧着ラミネートする直前のガスバリヤー性プラスチック基材上に吹き付けてもよい。
吹き付けるオゾンの量は、溶融フィルムの通過単位面積に対し、1mg/m2 以上が好ましく、更に好ましくは5mg/m2 以上である。なお、押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出しする温度は180〜340℃、好ましくは210〜330℃である。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良となり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難であるばかりか、ガスバリヤー性プラスチック基材との接着強度が不十分となる。一方、ガスバリヤー性プラスチック基材と最内層のシーラント樹脂の貼り合わせにおいて、樹脂温度が340℃を超えると、溶融樹脂の表面酸化が多くなり、ラミネートフィルムの臭気が悪化し、食品包装用途などに用いる場合は適用の制限を受ける場合がある。
【0048】
本発明の圧着工程は、表面酸化処理工程で得られた(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面酸化処理面と、オゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを接触させ、該フィルムと(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成立する工程である。
(1)ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2)ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)* −(O/C)0 であり、ここで(O/C)0 は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この基準面の(O/C)を該基材の(O/C)0 と定義する。
また、(O/C)* は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0049】
なお、ガスバリヤー性プラスチック基材の(O/C)* は、本発明の樹脂を押出ラミネート又はサンドイッチ押出ラミネートで積層後、30分経過時点での測定値である。ただし、実際の測定は、押出ラミネート又はサンドイッチ押出ラミネート工程に付さないガスバリヤー性プラスチック基材を別に準備しておき、その基材を前述の工程に付す基材と同様に表面酸化処理し、その表面について行った。
【0050】
(O/C)値の測定方法については後述する。
ここで、(B)紙基材と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の圧着方法は、特に限定されるものではなく、例えばサンドイッチ押出ラミネーション法が用いられる。
また、ガスバリヤー性プラスチック基材とシーラント樹脂層の圧着方法は、特に限定されるものではなく、押出ラミネーション法やサンドイッチ押出ラミネーション法が用いられる。
【0051】
本発明の圧着工程は、例えばラミネート加工の工程上、(B)紙基材と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を(C)押出ラミネート用樹脂層を介してサンドイッチ押出ラミネーション法で積層する工程と、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材とシーラントとなる(E)押出ラミネート用樹脂を押出ラミネーション法で積層する工程のどちらの工程を先に行ってもよく、加工順序に特に制約はない。
【0052】
本発明の圧着工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材と積層される(E)押出ラミネート用樹脂層をシーラントとすることもできる。さらに、ラミネート工程とは別工程で製造した(F)フィルム原反基材層をシーラントとする場合は、本発明の(E)押出ラミネート用樹脂層を中間層に用い、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材と(F)フィルム原反基材層をサンドイッチ押出ラミネーション法で積層することができる。
【0053】
本発明の圧着工程において、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材に用いる基材が圧着工程とは別工程で製造したガスバリヤー性樹脂を含む多層のフィルム成形体の場合、例えばEVOH/接着性樹脂/PEからなる三種三層構成基材の場合や、Ny/接着性樹脂/PEからなる三種三層構成基材の場合は、該基材のEVOH面やNy面を(B)紙基材層と正対するようにしてサンドイッチ押出ラミネーション法で積層することにより、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層のPEはシーラントとすることもできる。
【0054】
本発明の圧着工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の片面にシーラントとなる(E)押出ラミネート用樹脂を押出ラミネーション法で積層する工程を先に行って、その後、得られた積層フィルムに後述する熟成処理を施し、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材との接着性を促進した後、該積層フィルムの(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の面を(B)紙基材と正対するように配置し、サンドイッチ押出ラミネーション法で積層してもよい。
【0055】
本発明の容器を構成するシートの層数は、少なくとも5層または6層であればよく、生産性や経済性の観点からは、10層以下がよく、さらに好ましくは8層以下がよい。
【0056】
本発明の容器を構成する積層シートの加工法としては、例えばタンデム加工で行ってもよく、また2度ラミ加工で行ってもよい。
【0057】
本発明の圧着工程は、公知の押出ラミネーターが使用できる。
【0058】
本発明においては、表面酸化処理工程及び圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後の(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を直ちに圧着工程に付すことが好ましい。このことにより、より高水準の接着強度が発現され、かつ好ましくないフィルムのブロッキングが防止される。なお、上記の「圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後の(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を直ちに圧着工程に付す」とは、押出ラミネート加工において、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の繰出し工程、表面酸化処理工程、圧着工程及び製品巻取り工程が、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、これらの工程を速やかに一連の作業で行うことを意味する。
【0059】
本発明においては、接着強度を一層向上させる観点から、表面酸化処理工程の前に、表面酸化処理工程に付すべき(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を、40℃以上かつ(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の融点以下の温度で加熱する工程である表面酸化前加熱工程を設けることが好ましい。
【0060】
加熱温度は、40℃以上かつ(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の融点以下の温度であり、好ましくは60℃以上、かつ基材の融点より30℃低い温度以下である。ここで、該温度は(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面温度をいい、例えば接触式温度計により測定することができる。
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の加熱は、遠赤外線ヒーターや加熱ロールなどを用いることにより最適に行われる。例えば、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を表面酸化処理工程へ搬送する過程で、遠赤外線ヒーターの下を通過させればよく、例えば(D)ガスバリヤー性プラスチック基材巾500mmの材料であれば、遠赤外線ヒーターの出力としては1〜30KW程度のもの(複数のヒーターを用いる場合はその合計出力)を用い、ヒーターと(D)ガスバリヤー性プラスチック基材表面の距離を1〜30cm程度に保ち、0.05〜5秒程度加熱すればよい。
【0061】
本発明においては、接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルム又は積層シートを、保温下、熟成する工程である熟成工程を設けることが好ましい。
【0062】
熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が低過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、高過ぎる場合は、ラミネートした樹脂がシーラント樹脂であるならばヒートシール性能の低下や該樹脂が変質し、臭気問題を生じることがある。
【0063】
熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜120時間である。熟成時間が短か過ぎる場合は、接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、長過ぎる場合は、押出ラミネートした樹脂が変質することがあり、また経済性や生産性の点でも不利である。
【0064】
熟成工程を実施するには、通常のオーブン又は温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0065】
本発明においては、表面酸化前加熱工程、表面酸化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工程のすべてを組み合わせて実施することにより、本発明の容器は一層強固な接着強度を実現することができる。
【0066】
次に、表面酸化処理工程の具体的実施態様について説明する。
【0067】
表面酸化処理工程は、具体的には、コロナ処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ処理工程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程などにより実施される。
【0068】
コロナ放電処理工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の両面にコロナ放電処理を施す工程である。コロナ放電処理は、例えば公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気に(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を通過させることにより行われる。ここで、接着強度を高水準に維持するという観点からは、コロナ放電密度は、40(W・分/m2 )以上が好ましく、更に好ましくは50(W・分/m2 )以上である。ただし、表面酸化前加熱工程及び/又は熟成工程を用いる場合の好ましいコロナ放電密度は、10(W・分/m2 )以上である。
【0069】
プラズマ処理工程は、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
【0070】
フレームプラズマ処理工程は、天然ガスやプロパンを燃焼させた時に生じる火炎内のイオン化したプラズマを、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
【0071】
電子線照射処理工程は、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、例えば、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品名)を使用することができる。
【0072】
紫外線照射処理工程は、例えば200〜400mμの波長の紫外線を、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の表面に照射することにより実施される。
【0073】
△(O/C)値の測定方法について説明する。
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の両面に、予めコロナ放電処理などの表面酸化処理や、易接着性を促進する塗剤などの塗工処理が全く施されていない(D)ガスバリヤー性プラスチック基材を用いる場合は、以下の方法で△(O/C)値を求める。
すなわち、この場合は、どちらの面を該基材の基準面と定義してもよい。
よって、(B)紙基材と正対する面の△(O/C)値は、この表面に本発明の表面酸化処理を施した後の(O/C)* から該基材の(O/C)0 を引いた値とする。
一方、(B)紙基材と正対しない面の△(O/C)値は、その表面に本発明の表面酸化処理を施した後の(O/C)* から該基材の(O/C)0 を引いた値とする。
【0074】
ガスバリヤー性プラスチック基材の中には、これらガスバリヤー性プラスチック基材のガスバリヤー性をさらに向上させるため、該樹脂の片面に、ガラス質材料や金属材料を蒸着加工を施し、物理的にガスバリヤー性を付与した基材もあるが、このような基材の場合は、以下の方法で△(O/C)値を求める。
すなわち、この場合は、プラスチック基材面が該基材の基準面と定義される。
よって、この表面の△(O/C)値は、その表面に本発明の表面酸化処理を施した後の(O/C)* から該基材の(O/C)0 を引いた値とする。
【0075】
ここで、ESCAとは、Electron Spectroscopy for Chemical Analysisを意味し、(O/C)* 及び(O/C)0 は次のとおり求める。すなわち、O1S及びC1Sのそれぞえのピーク強度の面積に各ピークの相対感度をかけた値の比から酸素と炭素の存在比(O/C)を求める(詳細は、例えば筏 義人編、「高分子表面の基礎と応用(上)」、化学同人発行、1986年、第4章参照。)。
【0076】
△(O/C)値の経時変化について説明する。
ガスバリヤー性プラスチック基材が二軸延伸ナイロンフィルムで、表面がコロナ放電処理の場合を例にとり、△(O/C)値の経時変化を図1に示す。
図1から明らかな様に、△(O/C)値は経時により、急激に低下し、例えばコロナ処理密度が100(w・分/m2 )の場合は、一日経過すると△(O/C)値が0.05を下回る。また、30(w・分/m2 )の場合には、表面の酸化処理程度が低く、処理後2時間経過すると△(O/C)値は0.05を下回る。
よって、コロナ放電処理密度が30(w・分/m2 )の場合は、オゾン処理工程及び圧着工程と工程を同じくするインラインでコロナ放電処理を施さないと、十分な接着強度が得られなくなる。
△(O/C)の値が過小な場合は、十分な接着強度を得ることができない。
【0077】
ここで、ポリエステル系樹脂とは、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるポリマーからなる樹脂である。該ポリマーの代表的なものとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが例示される。また、該ポリマーはホモポリマーの他に、20モル%以下の第三成分を含有したコポリマーであってもよい。この場合、ジカルボン酸成分として、たとえばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸(たとえばp−オキシ安息香酸など)の一種又は二種以上を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどの一種又は二種以上を用いることができる。
【0078】
ところで、市販のガスバリヤー性プラスチック基材には、表面への印刷性を改良するためや、AC剤の基材との接着性を改良するため、基材の片面または両面にコロナ放電処理などの表面酸化処理が施されているものがあるが、かかる市販品について、本発明の表面酸化処理を実施することなく用いた場合には、本発明が目的とする十分に強固な接着力を得ることはできない。
【0079】
本発明においては、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材上に押出ラミネートした樹脂を積層フィルム又はシートのヒートシール層に適用することや、またサンドイッチ押出ラミネーションの中間層に適用することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、例えば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けられる。
【0080】
本発明で用いる押出ラミネート用樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機又は無機の充填剤などを含んでいてもよい。
【0081】
上記各工程により得られたガスバリヤー性紙積層包装用シートは、有機溶剤などのAC剤成分がシートに残留することがなく、それに起因する臭気の心配が全くないばかりか、押出ラミネート用樹脂を低温で加工できるため、樹脂に含まれる低分子量成分や揮発成分の蒸散による臭気面の劣化がない。よって、食品包装材料には最適である。更に、接着性樹脂を用いたガスバリヤー性プラスチック基材の共押出ラミネート加工や、該ラミネート工程とは別の工程でガスバリヤー性プラスチック基材を含む多層のフィルム成形品を製造する必要のある加工法に比べ、生産性や経済性に優れる特徴がある。
また、本発明で用いるガスバリヤー性紙積層包装用シートは、包装容器の材料構成の中にアルミニウム箔を含まないため、紙資源の易リサイクル性に優れているばかりでなく、焼却処分した場合でも、アッシュ分が発生しないため、焼却炉を痛めにくいなどの利点がある。
【0082】
次に、本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器の積層構成について具体的に説明する。
本発明の包装容器を構成する積層シートとしては、(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるシート又は、(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるシートが挙げられる。
【0083】
より具体的には、
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PVA//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PVDC//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) EVOH//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PVA//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PVDC//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) Ny//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PET//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) 〔EVOH/Ny〕//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) 〔Ny/EVOH〕//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) 〔EVOH/Ny/EVOH〕//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) 〔Ny/EVOH/Ny〕//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) KONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) KPET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) KPVA//(E) PE
(A) PP/(B) 紙/(C) PE//(D) KOPP//(E) PP
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) KPT//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) PPET//(E) PE
(A) PP/(B) 紙/(C) PE//(D) POPP//(E) PP
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) EONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE//(D) EPET//(E) PE
(A) PP/(B) 紙/(C) PE//(D) EOPP//(E) PP
(A) PE/(B) 紙/(C) EMMA//(D) シリカ蒸着EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) EMMA//(D) シリカ蒸着ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) EMMA//(D) シリカ蒸着PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) EMMA//(D) アルミ蒸着ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) EMMA//(D) アルミ蒸着PET//(E) PE
【0084】
ここで、//は、本発明によるオゾン処理及び表面酸化処理を施した後、圧着工程を施したことを表した部分である。
PEはポリエチレン系樹脂、PPはポリプロピレン系樹脂、EMMAはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂、EVOHはエチレン−ビニルアルコール共重合体、PVAはポリビニルアルコール系樹脂、PVDCは塩化ビニリデン系樹脂、ONyは二軸延伸ナイロン系樹脂、PETは二軸延伸ポリエステル系樹脂、KONyは、PVDCを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ナイロン系樹脂、KPETはPVDCを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ポリエステル系樹脂、KPVAはPVDCを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ポリビニルアルコール系樹脂、KOPPはPVDCを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ポリプロピレン、KPTはPVDCを主成分とするエマルジョンを塗工したセロファン、PPETはPVAを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ポリエステル系樹脂、POPPはPVAを主成分とするエマルジョンを塗工した二軸延伸ポリプロピレン系樹脂、EONyはEVOHを主成分とするエマルジョン塗工した二軸延伸ナイロン系樹脂、EPETはEVOHを主成分とするエマルジョン塗工した二軸延伸ポリエステル系樹脂、EOPPはEVOHを主成分とするエマルジョン塗工した二軸延伸ポリプロピレン系樹脂を表わす。また、(D)の〔EVOH/Ny〕等の〔 〕は積層体を表わす。
【0085】
次に、本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器の積層構成であって、AC剤又は接着性樹脂を用いる箇所を特定した積層構成について具体的に説明する。
例えば、AC剤を用いた場合の積層シートとしては、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シート又は(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートが挙げられる。
【0086】
また、接着性樹脂を用いた場合の積層シートとしては、
(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シート又は、(A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートが挙げられる。
【0087】
AC剤を用いた構成の具体例としては、
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) PVA//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) PVDC//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) EVOH//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) シリカ蒸着EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) シリカ蒸着PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) シリカ蒸着ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) KONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) KONy//(E) PE/(F) フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) KPET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) KPVA//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) KONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C) PE/(AC剤)(D) EPET//(E) PE
等が挙げられる。
【0088】
また、接着性樹脂を用いた構成の具体例としては、
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) PVA//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) PVDC//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) EVOH//(E) PE/フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) シリカ蒸着EVOH//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) シリカ蒸着PET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) シリカ蒸着ONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) KONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) KONy//(E) PE/フィルム原反
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) KPET//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) KPVA//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) EONy//(E) PE
(A) PE/(B) 紙/(C')接着性樹脂/(D) EPET//(E) PE
等が挙げられる。
【0089】
また、(AC剤)は、ガスバリヤー性プラスチック基材層にAC剤を塗布した後、圧着工程を施したことを表した部分である。さらに、接着性樹脂はサンドイッチ押出ラミネーション法で(B)紙基材層と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層を圧着積層したことを表した部分である。
【0090】
本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器は、液体食品用や湿性食品用として用いることができる。
液体食品としては、例えば牛乳などの乳や、生クリーム類、乳酸飲料などの乳製品、果実飲料、清酒アルコール類、焼酎類、コーヒー飲料、ウーロン茶、紅茶、野菜ジュース、ミネラルウォータ、豆乳、蜂蜜飲料、醤油、ソース類、ドレッシング類、食用油、タレ、麺つゆなどの各種調味液などが挙げられる。
湿性食品としては豆腐などが挙げられる。
【0091】
また、本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器は、工業薬品や産業資材など非食品用として用いられ、例えば液体合成洗剤、界面活性剤、シャンプー、リンス、液体肥料、現像液、各種塗料、漂白剤、有機溶剤、潤滑油及びモーターオイルなどが挙げられる。
【0092】
本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えばガスバリヤー性紙積層包装用シートを所定の形状に打ち抜いた後、熱風加熱、火炎加熱等によりヒートシールすることにより行われ、例えば容量数100ミリリッターから数リッターの容器に成形される。
【0093】
本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器の形状は、特に限定されるものではなく、例えばゲーベルタイプ容器やブリックタイプ容器などが挙げられる。
【0094】
【実施例】
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例で行う測定及び評価方法は下記のとおりである。
(1)(O/C)* 及び(O/C)0 の測定
FI Surface Science System社製 ESCA LAB MR−IIを使用し、O1S及びC1Sのそれぞれのピーク強度の面積比に各ピークの相対感度をかけた値の比から、酸素と炭素の存在比(O/C)を求めた。
なお、ガスバリヤー性プラスチック基材の(O/C)* は、本発明の樹脂を押出ラミネート又はサンドイッチ押出ラミネートし、積層後30分経過時点での測定値である。ただし、実際の測定は、押出ラミネート又はサンドイッチ押出ラミネート工程に付さないガスバリヤー性プラスチック基材を別に準備しておき、その基材を押出ラミネート又はサンドイッチ押出ラミネート工程に付す基材と同様に表面酸化処理し、その表面について行った。
【0095】
(2)評価方法
▲1▼ 膜接着強度の測定
15mm巾の積層シートを、東洋精機(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200mm/minの引張速度で180度剥離した時の剥離強度からその膜接着性を評価した。
ただし、膜接着強度1:紙基材とガスバリヤー性プラスチック基材層の膜接着強度を表わす。
膜接着強度2:ガスバリヤー性プラスチック基材層とシーラント樹脂層の膜接着強度を表わす。
【0096】
▲2▼ 臭気官能試験
臭気官能試験を下記の方法で行った。
得られたガスバリヤー性紙積層シートから、ガスバリヤー性プラスチック基材とシーラント樹脂層を機械的に剥離した積層フィルム(15cm×7cm)を1リッターの広口ビンに入れ、アルミ箔で蓋をし、加熱オーブンを用い50℃、1hrの条件で加温処理した後、30分間徐冷し試料とした。そして、選定パネラー8人で広口ビン内に篭もる積層フィルムの臭気を嗅ぎ臭気強度を判定した。その際の臭気強度の判定は4ランク評価とし、8人のパネラーの内、最も人数の多いランクをその試料の評価結果とした。
臭気官能試験は以下の判定を表す。
「◎」:無臭に近いレベルにあり、全ての包装材料に適用できる可能性がある。
「○」:無臭レベルは低く包装材料の用途は広い。
「△」:無臭はあるものの包装材料の用途によっては問題ないレベル。
「×」:無臭があり、包装材料として用途が制限される。
【0097】
▲3▼ ガスバリヤー性
ガスバリヤー性紙積層シートの酸素透過量をJIS K7126に準じて測定した。
【0098】
▲4▼ アッシュ分の有無
電気炉式燃焼試験装置(ヤマト科学社製)を用いガスバリヤー性紙積層シートを燃焼した際のアッシュ分の生成の有無を評価した。
「無」:アッシュ分の生成が無かった。
「有」:アッシュ分の生成が有った。
【0099】
▲5▼ 総合評価
基材の接着強度、ガスバリヤー性、臭気強度及びアッシュ分生成を総合評価した結果を表す。
「◎」:総合評価に非常に優れる。
「○」:総合評価に優れる。
「×」:総合評価に劣る。
【0100】
実施例1
はじめに、紙基材とガスバリヤー性プラスチック基材を下記のとおりラミネートした。
ここで、ガスバリヤー性プラスチック基材は、購入時、既にコロナ処理が片面に施されている2軸延伸EVOHを用いて実施した。
まず、ガスバリヤー性プラスチック基材の該処理面が紙基材と正対するように配置し、ラミネーターの主繰出機より繰出し、ラミネーターのインラインに設けたコロナ放電処理機で溶融樹脂との接着面を処理密度59(w・分/m2 )の強度でコロナ処理した。この時の該表面の△O/Cは0.109であった。
次に、秤量180(g/m2 )の紙基材をサンド基材繰出機より繰出すと共に、LDPE(低密度ポリエチレン:住友化学工業(株)製スミカセン、L718−H、MFR8g/10分、密度0.919g/cm3 )を口径65mmφの押出機を用いて溶融混練し、T−ダイから樹脂温度305℃、巾450mm、厚み15μで押出して溶融フィルムとした。そして、この時のラミネート速度を140(m/分)とした。
次いで、該溶融フィルムの2軸延伸EVOH基材と接着する面に、ダイ下30mmの位置に設けたノズルからオゾン濃度15(g/m3 )の空気を2(m3 /hr)の条件で吹き付けることにより、該溶融フィルムをオゾン処理した。この時のオゾン処理量は、溶融フィルムの通過単位面積に対し、7.9(mg/m2 )であった。そして、得られた紙基材と2軸延伸EVOH基材の積層体を巻取機に巻取った。
【0101】
次に、該積層体の2軸延伸EVOH基材のもう一方の面にシーラントを下記のとおりラミネートした。
該積層体の2軸延伸EVOH面がラミネート面となるように配置し、ラミネーターの主繰出機よりその積層体を繰出した。次いで、インラインに設けたコロナ放電処理機で溶融樹脂との接着面を処理密度59(w・分/m2 )の強度でコロナ処理した。この時の該表面の△O/Cは0.087であった。
次に、口径65mmφの押出機2台にそれぞれ前記と同じLDPEを供給し溶融混練し、デュアルスロットT−ダイから樹脂温280℃、巾450mm、合計厚み50μ(各25μ)で押出して溶融フィルムとした。そして、この時のラミネート速度を140(m/分)とした。次いで、該溶融フィルムの2軸延伸EVOH基材と接着する面に、ダイ下30mmの位置に設けたノズルからオゾン濃度15(g/m3 )の空気を2(m3 /hr)の条件で吹き付けることにより、該溶融フィルムをオゾン処理した。この時のオゾン処理量は、溶融フィルムの通過単位面積に対し、7.9(mg/m2 )であった。そして、得られた紙基材と2軸延伸EVOHとシーラントからなる4層の積層体を巻取機で巻取った。
【0102】
次に、該積層体の紙基材のもう一方の面に低密度ポリエチレン層を下記のとおりラミネートした。
該積層体の紙基材面がラミネート面となるようにし、ラミネーターの主繰出機よりこの積層体を繰出した。次いで、前記と同じLDPEを口径65mmφの押出機を用いて溶融混練し、シングルT−ダイから樹脂温315℃、巾450mm、厚み15μで押出して溶融フィルムとし、紙基材との圧着工程に付した。この時のラミネート速度を140(m/分)とした。そして、該積層体にLDPEがラミネートされ、合計5層の積層体を巻取機で巻取った。
【0103】
以上の3工程を経ることにより、積層シートの最外層から、LDPE/紙基材層/LDPE/EVOH/LDPEの合計5層から構成されるガスバリヤー性紙積層包装用シートを作製した。次いで、得られたガスバリヤー性紙積層包装用シートを市販のオーブン装置を用い、40℃、24時間の条件で熟成処理を施した。
得られたガスバリヤー性紙積層包装用シートを用いて包装容器を作製し、上記の評価方法に基づき評価した。加工条件を表1及び2に、評価結果を表3に、それぞれ示す。
【0104】
実施例2
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材として未延伸EVOH、シーラント層の(E)層としてLLDPEを用いる以外は、実施例1と同様に行った。
加工条件を表1及び2に、評価結果を表3に、それぞれ示す。
【0105】
実施例3
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材として二軸延伸ナイロン、(C)層としてEMMA、シーラント層の(E)層としてLDPEとLLDPEを用いる以外は、実施例1と同様に行った。
加工条件を表1及び2に、評価結果を表3に、それぞれ示す。
【0106】
実施例4
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材として二軸延伸ポリエステル、(C)層としてEMMA、シーラント層の(E)層としてEMMAとLLDPEを用いる以外は、実施例1と同様に行った。
加工条件を表1及び2に、評価結果を表3に、それぞれ示す。
【0107】
実施例5
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材として二軸延伸ナイロンフィルム、(C)層としてEMMAを用いると共に、該基材とシーラント樹脂層のラミネート方法は、サンドイッチ押出ラミネート加工とした。なお、最内層のシーラントフィルムはLDPEのインフレーション成形フィルムを用いた。その他の条件は実施例1と同様に行った。
加工条件を表4及び5に、評価結果を表6に、それぞれ示す。
【0108】
実施例6
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としてPVDCコート二軸延伸ナイロンを用い、PVDCコート面を(B)紙基材と正対するように配した。そして、(C)層として接着性樹脂(E−EA−MAH)を用いると共に、該基材とシーラント樹脂層のラミネート方法は、サンドイッチ押出ラミネート加工とした。なお、最内層のシーラントフィルムはLDPEインフレーション成形フィルムを用いた。また、(B)紙基材と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材のサンドイッチ押出ラミネート加工では(B)紙基材と接する(C)層にオゾン処理は施さなかった。その他の条件は、実施例5と同様に行った。加工条件を表4及び5に評価結果を表6に、それぞれ示す。
【0109】
実施例7
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材としてPVDCコート二軸延伸ナイロンを用い、PVDCコート面を(B)紙基材と正対するように配した。そして、(C)層としてLDPEを用いると共に、該基材とシーラント樹脂層のラミネート方法は、サンドイッチ押出ラミネート加工とした。なお、最内層のシーラントフィルムはLDPEインフレーション成形フィルムを用いた。また、(B)紙基材と(D)ガスバリヤー性プラスチック基材のサンドイッチ押出ラミネート加工では(D)ガスバリヤー性プラスチック基材にAC剤を塗工した。その他の条件は、実施例5と同様に行った。加工条件を表4及び5に評価結果を表6に、それぞれ示す。
【0110】
比較例1〜10
表7、8、10、11、13及び14の条件で行った以外は、実施例1と同様に行った。
評価結果を表9、12及び15にそれぞれ示す。
【0111】
比較例11
ガスバリヤー性プラスチック基材として、プラスチック基材の代わりに金属性バリヤー材のアルミニウム箔を用いた。更に、該アルミニウム箔上にシーラントを押出ラミネートする場合、デュアルスロットダイを用い、接着性樹脂とLDPEとの共押出ラミネーション法とした。
加工条件を表13及び14に、評価結果を表15に、それぞれ示す。
【0112】
比較例12
ガスバリヤー性プラスチック基材として、二軸延伸ポリエステルを用いると共に、該基材上にシーラントを押出ラミネートする場合に、ガスバリヤー性プラスチック基材にアンカーコート処理を施した。
加工条件を表13及び14に、評価結果を表15に、それぞれ示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
【表3】
【0116】
【表4】
【0117】
【表5】
【0118】
【表6】
【0119】
【表7】
【0120】
【表8】
【0121】
【表9】
【0122】
【表10】
【0123】
【表11】
【0124】
【表12】
【0125】
【表13】
【0126】
【表14】
【0127】
【表15】
【0128】
基材1:紙基材
基材2:ガスバリヤー性プラスチック基材又は金属性ガスバリヤー基材
押出ラミネート用樹脂1:紙基材の外側にラミネートする樹脂
押出ラミネート用樹脂2:紙基材とガスバリヤー性プラスチック基材の積層用サンドイッチ押出しラミネート樹脂
押出ラミネート用樹脂3:ガスバリヤー性プラスチック基材と接着するシーラント樹脂
押出ラミネート用樹脂4:内容物に接する最内層のシーラント樹脂
なお、押出ラミネート用樹脂3及び4はデュアルスロットダイによる共押出加工
シーラントフィルム:ガスバリヤー性プラスチック基材とサンドイッチ押出ラミネートで積層する内容物に接する最内層のシーラントフィルム
AC処理1:紙基材とガスバリヤー性プラスチック基材のサンドイッチ押出ラミネーション法で積層する際に使用した。
AC処理2:ガスバリヤー性プラスチック基材上にシーラント樹脂層を押出ラミネートする際に使用した。
【0129】
厚み1:押出ラミネート樹脂1のラミネート厚み
厚み2:押出ラミネート樹脂2のラミネート厚み
厚み3:押出ラミネート樹脂3のラミネート厚み
厚み4:押出ラミネート樹脂4のラミネート厚み
フィルム厚み4:シーラントフィルムの厚み
【0130】
ESCA1:紙基材と正対する面のガスバリヤー性プラスチック基材のESCA測定値
酸化度1:紙基材と正対する面のガスバリヤー性プラスチック基材のESCA測定値による酸化度
ESCA2:紙基材に面しないガスバリヤー性プラスチック基材面のESCA測定値
酸化度2:紙基材に面しないガスバリヤー性プラスチック基材面のESCA測定値による酸化度
コロナ放電処理1:紙基材と正対する面のガスバリヤー性プラスチック基材表面に施されるコロナ放電処理密度
コロナ放電処理2:紙基材に面しないガスバリヤー性プラスチック基材面に施されるコロナ放電処理密度
オゾン処理1:紙基材と正対する面のガスバリヤー性プラスチック基材と接着する溶融フィルム面に施されるオゾン処理量
オゾン処理2:紙基材に面しないガスバリヤー性プラスチック基材面と接着する溶融フィルム面に施されるオゾン処理量
【0131】
紙基材:日本紙パルプ商事(株)製 板紙原紙 秤量180(g/m2 )
ガスバリヤー性プラスチック基材
EVOH:二軸延伸EVOH(ここでEVOHは、エチレン−ビニルアルコール共重合体を意味する。)、クラレ社製 EF−XLタイプ15μ
CEVOH:未延伸EVOH、クラレ社製 EF−Eタイプ20μ
ONy :二軸延伸ナイロン、ユニチカ社製 ONタイプ15μ
PET :二軸延伸ポリエステル、東洋紡績社製 E5100タイプ15μ
KONy :PVDCコート二軸延伸ナイロン、ユニチカ社製 DCRタイプ15μ
ここで、KONyを除くガスバリヤー性プラスチック基材は購入時、既にコロナ処理が施されているものを用いた。
また、EVOH、CEVOH、ONy、PET基材は、該処理面が紙基材と正対するように配置した。
KONyはPVDCコート面が紙基材と正対するように配置した。
金属性バリヤー基材
AL :アルミニウム箔、厚み7μ
押出ラミネート用樹脂
LD :低密度ポリエチレン、住友化学工業(株)製スミカセンL718−H、MFR8g/10分、密度0.919g/cm3
LL :線状低密度ポリエチレン、住友化学工業(株)製スミカセンα、CS8026、MFR10g/10分、密度0.914g/cm3
EMMA :エチレン−メチルメタクリレート共重合体、住友化学工業(株)製アクリフト、WH302、MFR7g/10分、密度0.930g/cm3 、メチルメタクリレート含有量15wt%
E-EA-MAH :エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体、住友化学工業(株)製ボンダイン、LX4110、MFR7g/10分、密度0.930、エチルアクリレート含有量6wt%、無水マレイン酸含有量3wt%
LD原反 :低密度ポリエチレン、住友化学工業(株)製スミカセンL405、MFR3.7g/10分、密度0.924g/cm3 、インフレーション成形フィルム
【0132】
加工条件
表中の「−」は処理を実施しなかったことを表す。
AC処理
無:アンカーコート処理無し
有:アンカーコート処理有り(日本曹達(株)製 チタボンド120を使用)
【0133】
【発明の効果】
以上、詳述したように本発明は、AC剤や接着性樹脂を用いないで、ガスバリヤー性機能と充分な接着強度を兼ね備えると共に、製造工程の複雑化を招くことなく、生産性や経済性に優れるガスバリヤー性紙積層包装容器であって、且つ樹脂を低温でラミネートできるため、低臭性に優れると共に、構成材料の中にアルミニウム箔を含まないため、紙資源の易リサイクル性や焼却処理性に優れるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供することができる。
また、本発明は、低臭性に好ましくないAC剤や接着性樹脂を用いても、その箇所を特定することで、AC剤塗布工程で用いる有機溶剤や接着性樹脂に含まれる臭気成分が、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層によって遮断され、容器の内容物と接するシーラントへ移行することが防止できる。しかも、上記と同様に、ガスバリヤー性機能と充分な接着強度を兼ね備えると共に、製造工程の複雑化を招くことなく、生産性や経済性に優れるガスバリヤー性紙積層包装容器であって、且つ樹脂を低温でラミネートできるため、低臭性に優れると共に、構成材料の中にアルミニウム箔を含まないため、紙資源の易リサイクル性や焼却処理性に優れるガスバリヤー性紙積層包装容器を提供することができる。
また、本発明のガスバリヤー性紙積層包装容器は、上記のような優れた特性を有するため、液体食品用または湿性食品用の包装容器及び、工業薬品または産業資材などの非食品用の包装容器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ処理した二軸延伸ナイロン表面の△O/C値の経時変化を表す図である。
Claims (16)
- (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の両面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(C)押出ラミネート用樹脂層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の両面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(C)押出ラミネート用樹脂層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(C)押出ラミネート用樹脂層と接着する面にアンカーコート剤を塗布し、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C)押出ラミネート用樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(C)押出ラミネート用樹脂層と接着する面にアンカーコート剤を塗布し、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C)押出ラミネート用樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層の少なくとも5層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C’)接着性樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層及び(E)押出ラミネート用樹脂層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)押出ラミネート用樹脂層/(B)紙基材層/(C’)接着性樹脂層/(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層/(E)押出ラミネート用樹脂層/(F)フィルム原反基材層の少なくとも6層の構成からなるガスバリヤー性紙積層シートであって、下記の(X)表面酸化処理工程、(Y)オゾン処理工程及び(Z)圧着工程により得られるガスバリヤー性紙積層シートからなるガスバリヤー性紙積層包装容器。
(X)表面酸化処理工程
(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の(E)押出ラミネート用樹脂層と接着する面に表面酸化処理を施す工程。
(Y)オゾン処理工程
(E)押出ラミネート用樹脂層を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムが(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層と接着する面にオゾン処理を施す工程。
(Z)圧着工程
(A)押出ラミネート用樹脂層、(B)紙基材層、(C’)接着性樹脂層、(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層、(E)押出ラミネート用樹脂層及び(F)フィルム原反基材層を圧着する工程であって、圧着に付す(D)ガスバリヤー性プラスチック基材層の表面酸化処理面について、下記式で表わされる関係が成立する工程。
(1) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合
△(O/C)≧0.08
(2) ガスバリヤー性プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場合
△(O/C)≧0.05
ただし、△(O/C)=(O/C)*−(O/C)0であり、ここで(O/C)0は、本発明の表面酸化処理を施す前のガスバリヤー性プラスチック基材表面の内、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比で表された値の小さい方の面を該基材の基準面とし、この面の(O/C)を該基材の(O/C)0と定義する。また、(O/C)*は、本発明の表面酸化処理を施した面のガスバリヤー性プラスチック基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表す。 - (A)、(C)及び(E)押出ラミネート用樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (C’)接着性樹脂が、エチレン−不飽和多塩基酸共重合体、エチレン−不飽和多塩基酸−アクリル酸低級アルキルエステル共重合体、エチレン−不飽和多塩基酸−メタクリル酸低級アルキルエステル共重合体及びエチレン−不飽和多塩基酸−ビニルエステル共重合体の中から選ばれる少なくとも一種の接着性樹脂である請求項5または6記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリクロロトリフロロエチレン系樹脂及びポリ弗化ビニリデン系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン系樹脂及びポリエステル系樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びナイロン系樹脂からなる二種二層の積層体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ナイロン系樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体からなる二種三層の積層体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、接着性樹脂及びポリエチレン系樹脂からなる三種三層の積層体及び、ナイロン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体及びナイロン系樹脂からなる二種三層の積層体の中から選ばれる少なくとも一種の積層体である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、塩化ビニリデン系樹脂を主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を主成分とするエマルジョンを塗工した樹脂の中から選ばれる基材である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (D)ガスバリヤー性プラスチック基材が、少なくとも一面にシリカを蒸着したナイロン系樹脂層、少なくとも一面にシリカを蒸着したポリエステル系樹脂または少なくとも一面にシリカを蒸着したエチレン−ビニルアルコール共重合体層からなる基材である請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- (F)フィルム原反基材が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂の中から選ばれる少なくとも一種の樹脂である請求項2、4または6記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- ガスバリヤー性紙積層包装容器が、液体食品用または湿性食品用の包装容器である請求項1〜14のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
- ガスバリヤー性紙積層包装容器が、工業薬品または産業資材の非食品用の包装容器である請求項1〜14のいずれかに記載のガスバリヤー性紙積層包装容器。
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