JPH08258234A - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents

積層フィルムの製造方法

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JPH08258234A
JPH08258234A JP7060868A JP6086895A JPH08258234A JP H08258234 A JPH08258234 A JP H08258234A JP 7060868 A JP7060868 A JP 7060868A JP 6086895 A JP6086895 A JP 6086895A JP H08258234 A JPH08258234 A JP H08258234A
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JP
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treatment step
resin
plastic substrate
surface oxidation
film
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Application number
JP7060868A
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English (en)
Inventor
Haruo Hayashida
晴雄 林田
Fumio Ishibashi
文男 石橋
Hiroaki Takahata
弘明 高畑
Hirotsugu Goto
裕嗣 後藤
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Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 プラスチック基材並びにポリエチレン系樹
脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル
系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エス
テル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である
押出ラミネート用樹脂からなる積層フィルムの製造方法
であって、特定の表面酸化処理工程、特定のオゾン処理
工程及び特定の圧着工程を含み、前記表面酸化処理工程
をインラインに設け、アンカーコート剤を使用せず、か
つ加工速度が140m/分を越えることを特徴とする積
層フィルムの製造方法。 【効果】 高速加工に優れ、アンカーコート剤を使用す
ることなく、強固に接着された積層フィルムを得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生産性に有利な高速加
工が可能となる積層フィルムの製造方法に関するもので
ある。更に詳しくは、本発明は、プラスチック基材並び
にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレ
ン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から
選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなる生産
性に有利な高速加工性が可能となる積層フィルムの製造
方法であって、アンカーコート剤を使用することなく、
プラスチック基材と強固に接着された生産性に優れる積
層フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック、紙、金属箔などの異種材
料のフィルム状成形物を貼り合わせて単独では有し得な
い特性、たとえば強度、ガスバリヤー性、防湿性、ヒー
トシール性、外観などを補った積層フィルムを製造する
ことは一般に行われており、こうして得られる製品は主
に包装材料などに広く使用されている。このような積層
フィルムを製造する方法としては、ドライラミネーショ
ン法、ウエットラミネーション法、ホットラミネーショ
ン法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法
などがあり、これらはその特徴に応じて適用されてい
る。包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形
成する方法としては、コスト面で有利さをもつ押出ラミ
ネーション法が広く用いられている。ヒートシール層と
しては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共
重合体などのポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂
などが用いられるのが一般的であるが、コストの点から
ポリオレフィン系樹脂が遙かに大量に用いられている。
【0003】これらの樹脂は、基材との接着性を促進す
るために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した
後、その基材との接着面に溶融押出しされるのが一般的
である。アンカーコート剤としては、有機チタネート
系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系など
の接着剤が用いられている。これらの接着剤は、通常ト
ルエン、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン等の有機溶
剤で希釈して用いられている。しかしながら、アンカー
コート剤を用いるこれらの方法は、高価なアンカーコー
ト剤を使用することによる製造コストの上昇の問題、ア
ンカーコート剤の塗布及び乾燥という煩雑な工程を必要
とするという問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶
剤の蒸発乾燥工程時に人体に有害な有機溶剤が飛散し、
作業環境及びその周辺環境の衛生上の問題及び引火性の
有機溶剤の使用に伴う火災の発生の問題、有機溶剤など
のアンカーコート剤成分が最終製品であるフィルム又は
シートに残留し、それに起因する臭気のため、該製品の
食品包装用途などへの適用を制限するという問題などを
有する。
【0004】また、アンカーコート剤を用いる方法では
プラスチック基材に均一に塗工するためには加工速度に
制限があり、例えば機械設計以上の速度で塗工した場合
は、塗工ムラが発生したり、有機溶剤の乾燥不足とな
り、接着性の阻害を招くことがある。また、これらの問
題を解決するためには塗工工程や乾燥工程の設備が非常
に大きなものとなり、生産性に劣るなどの問題点を有す
る。なお、一般にアンカーコート剤を用いる方法は、コ
ーターパンと称される装置に有機溶剤に溶解させたAC
剤を入れ、ロールコーティング方式によって高速で通過
するプラスチック基材上に該AC剤を均一に塗工する。
コーティングに用いられるロールはAC剤の種類や基材
種によっても異なるが、使用後の洗浄の容易さなどから
一般にはプレーンロールが多用されている。更に、プラ
スチック基材上に塗工された有機溶剤を主体とするAC
剤は、次の乾燥工程で60〜100℃前後の熱風で乾燥
処理され、有機溶剤のみを蒸散させる。なお、乾燥処理
の熱源には蒸気ヒーターや電気ヒーターなどが用いられ
る。
【0005】これらアンカーコート剤を用いる方法では
上記で述べたような設備上の制約があり、加工速度とし
ては一般には160〜180(m/分)が限界とされて
いる。
【0006】また、これらアンカーコート剤を用いない
方法として、(a)エチレンと、(b)不飽和多塩基酸
と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリ
ル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれ
た不飽和単量体を共重合して得られたエチレン系共重合
体を溶融混練し、150℃〜330℃の温度でフィルム
状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、こ
のオゾン処理面を接着面として基材に圧着ラミネートし
て積層体を製造する方法が報告されている(特開平4−
368845号公報)。しかし、これら不飽和多塩基酸
をコモノマー成分に用いた接着性の機能をもつエチレン
系共重合体を用いる方法では、製造コストの面及び低融
点成分の増加に伴い、押出ラミネート加工時のロールリ
リース性は劣り加工温度などに制約を受けるばかりでな
く、押出機内の樹脂替えなどの煩雑さを伴い好ましくな
い。
【0007】更に、エチレン−α−オレフィン共重合体
を公知のオゾン処理装置を用い、基材との接着面をオゾ
ン処理し、基材上にアンカーコート剤を塗布することな
く圧着ラミネートして積層体が製造される方法や、不飽
和カルボン酸などをポリオレフィン系樹脂にグラフト変
性した接着性樹脂を用い、共押出ラミネート装置との組
合わせで基材にノーアンカーで圧着ラミネートして積層
体を製造する方法が報告されている(コンバーテック
(8)、第36頁、1991年)。しかし、これらの方
法で得られた積層体のラミネート樹脂と基材との接着強
度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受ける。更
に、不飽和カルボン酸等をポリオレフィン系樹脂にグラ
フト変性した接着性樹脂を用いる方法では、共押出装置
が必要なこと及び製造コストが増大するばかりでなく、
押出機内の樹脂替え等の煩雑さを伴い好ましくない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明が解決しようとする課題は、プラスチック基材並び
にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレ
ン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メ
タ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から
選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなる生産
性に優れる積層フィルムの製造方法であって、且つ、ア
ンカーコート剤を使用しない生産性に有利な高速加工が
可能となる積層フィルムの製造方法を提供する点に存す
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、プ
ラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロピ
レン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂
及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート
用樹脂からなる積層フィルムの製造方法であって、下記
(x)表面酸化処理工程、(y)オゾン処理工程及び
(z)圧着工程を含み、(x)表面酸化処理工程をイン
ラインに設け、アンカーコート剤を使用せず、かつ加工
速度が140m/分を越えることを特徴とする積層フィ
ルムの製造方法を提供するものである。 (x)表面酸化処理工程 プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施
す工程。 (y)オゾン処理工程 押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度におい
てフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一
面にオゾン処理を施す工程。 (z)圧着工程 表面酸化処理工程で得られたプラスチック基材の表面酸
化処理面とオゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン
処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材
を圧着する工程であって、圧着に付すプラスチック基材
の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成
立する工程。 (1)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合 △(O/C)≧0.08 (2)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場
合 △(O/C)≧0.05 ただし、△(O/C)=(O/C)* −(O/C)0
あり、ここで(O/C)0 は、表面酸化処理を行わない
面のプラスチック基材表面について、ESCA法により
測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、
(O/C)* は表面酸化処理を行った面のプラスチック
基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子
と炭素原子の各原子数の比を表す。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いるプラスチック基材としては、例えばナイロン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール
共重合体、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン系樹
脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体、アイオ
ノマー樹脂、セロハン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリメチル
メタクリレート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリアク
リロニトリル、ポリブテン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリ
アリレート樹脂、アセチルセルロースなどの樹脂の単体
及びこれらの積層フィルム又はシート、更にその延伸
物、塗工物、織物及び不織布などが用いられる。また、
更にこれらプラスチック基材とアルミニウム、鉄、紙な
どとの貼合品であって、これら樹脂を接合面に設けた積
層体などが用いられる。これらプラスチック基材には予
め印刷が施されていてもよい。基材の肉厚は押出ラミネ
ート加工が可能であれば特に制約を受けるものではない
が、好ましくは5〜200μ、更に好ましくは10〜5
0μの範囲がよい。
【0011】本発明において使用する押出ラミネート用
樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、
エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン
−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる
群から選ばれる一種であり、これらを単独又は二種以上
の混合物として用いることができる。更に必要に応じ
て、他の樹脂を50%未満の範囲で混合してもよい。
【0012】ポリエチレン系樹脂の製法は限定されるも
のではなく、たとえばラジカル重合法又はイオン重合法
で製造することができる。ポリエチレン系樹脂として
は、たとえばラジカル重合法で製造される低密度ポリエ
チレンの他、イオン重合法で製造される高密度ポリエチ
レンや、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得ら
れるエチレン−α−オレフィン共重合体などがあげられ
る。α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、ブ
テン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オ
クテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などの炭素
数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オ
レフィンは、一種又は二種以上用いることができる。
【0013】ポリプロピレン系樹脂の製法は限定される
ものではなく、たとえばイオン重合法で製造することが
できる。ポリプロピレン系樹脂としては、たとえばプロ
ピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンとの共
重合体やプロピレンとブテン−1との共重合体、プロピ
レンとα−オレフィンの共重合体などをあげることがで
きる。なお、プロピレンと共重合するα−オレフィン
は、一種又は二種以上を用いることができる。
【0014】エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂
及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体
樹脂はラジカル重合法で製造でき、エチレンとラジカル
重合し得る単量体とを共重合して得られる。
【0015】エチレン−ビニルエステル系共重合体のビ
ニルエステルとしては、たとえば酢酸ビニル、プロピオ
ン酸ビニル、ネオ酸ビニルなどがあげられる。
【0016】エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系
共重合体の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たと
えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチ
ルなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸メチル、メ
タクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタク
リル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタク
リル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタ
クリル酸エステルであって炭素数4〜8の不飽和カルボ
ン酸エステルなどがあげられる。これらのコモノマーは
一種又は二種以上用いることができる。
【0017】エチレン−ビニルエステル共重合体及びエ
チレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれ
るコモノマー成分の含有量は、好ましくは30重量%以
下がよく、更に好ましくは20重量%以下がよい。エチ
レンと共重合するコモノマー成分の含有量が30重量%
より高いと、本発明の主目的である基材との接着性は問
題ないが、積層フィルム及びシートの臭気が悪化し、食
品包装材料用途に適さないばかりか製造コストが増大す
る。
【0018】なお、加工適性の観点から、ポリエチレン
系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及び
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂
については、190℃におけるメルトフローレート(M
FR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ま
しく、またポリプロピレン系樹脂については、230℃
におけるMFRが1〜100g/10分の範囲にあるこ
とが好ましい。
【0019】本発明の表面酸化処理工程は、プラスチッ
ク基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施すことによ
り、プラスチック基材の接着面に一定レベル以上の酸化
活性化点を発生させ、強固な接着を可能にする工程であ
る。ここで、該一定レベル以上の酸化活性化点について
は、後記の△(O/C)により規定される。
【0020】表面酸化処理工程は、具体的には、コロナ
処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ処理工
程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程などによ
り実施される。詳細は、後述する。
【0021】本発明のオゾン処理工程は、押出ラミネー
ト用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状
に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一面にオゾン処
理を施す工程である。オゾン処理は、たとえばTダイ下
エアーギャップ間に設けたノズル又はスリット状の吹出
し口からオゾンを含ませた気体(空気など)を、溶融フ
ィルムに吹き付けることにより行われる。なお、オゾン
ノズルがTダイ下に設置できない場合は、圧着ラミネー
トする直前のプラスチック基材上に吹きつけてもよい。
吹きつけるオゾンの量は溶融フィルムの通過単位面積に
対し、1〜30mg/m2 が好ましく、更に低臭性が問
題となる場合は2〜12mg/m2 が好ましい。なお、
押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出しする温
度は180〜340℃、好ましくは210〜330℃で
ある。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良
となり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難である
ばかりか、プラスチック基材との接着強度が不十分とな
る。一方、340℃を超えると、溶融樹脂の表面の酸化
が多くなり、臭気が悪化する。
【0022】本発明の圧着工程は、表面酸化処理工程で
得られたプラスチック基材の表面酸化処理面とオゾン処
理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを接触さ
せ、該フィルムと該プラスチック基材を圧着する工程で
あって、圧着に付すプラスチック基材の表面酸化処理面
について、下記式で表される関係が成立する工程であ
る。 (1)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合 △(O/C)≧0.08 (2)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場
合 △(O/C)≧0.05 また、好ましくは、下記式のとおりである。 (1)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合 △(O/C)≧0.10 (2)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場
合 △(O/C)≧0.07 ただし、△(O/C)=(O/C)* −(O/C)0
あり、ここで(O/C)0 は表面酸化処理を行わない面
のプラスチック基材表面について、ESCA法により測
定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、(O
/C)* は表面酸化処理を行った面のプラスチック基材
表面について、ESCA法により測定した酸素原子と炭
素原子の各原子数の比を表す。
【0023】なお、(O/C)* は、本発明の樹脂を押
出ラミネートし、貼合後30分経過時の測定値である。
ただし、実際の測定は、貼合しないプラスチック基材を
別に準備しておき、その基材を貼合に付す基材と同様に
表面酸化処理し、その表面について行なった。
【0024】ここで、ESCAとはElectron
Spectroscopy forChemical
Analysisを意味し、(O/C)* 及び(O/
C) 0 は次のとおり求める。すなわち、O1S及びC1S
それぞれのピーク強度の面積に各ピークの相対感度をか
けた値の比から酸素と炭素の存在比(O/C)を求める
(詳細は、たとえば 筏 義人編、「高分子表面の基礎
と応用(上)」、化学同人発行、1986年、第4章
参照。)。
【0025】△(O/C)値の経時変化について説明す
る。プラスチック基材が二軸延伸ナイロンフィルムで表
面酸化処理がコロナ放電処理の場合を例にとり、△(O
/C)値の経時変化を図1に示す。図1から明らかな様
に、△(O/C)値は経時により、急激に低下し、例え
ばコロナ処理密度が100(W・分/m2)の場合は、一
日経過すると△(O/C)値が0.05を下回る。ま
た、コロナ処理密度が30(W・分/m2)の場合には、
表面の酸化処理程度が低く、処理後、2時間経過する
と、△(O/C)値は0.05を下回る。よって、コロ
ナ処理密度が30(W・分/m2)の場合は、オゾン処理
工程及び圧着工程と、工程を同じくするインラインでコ
ロナ処理を施さないと、十分な膜接着強度が得られなく
なる。△(O/C)の値が過小な場合は、十分な接着強
度を得ることができない。
【0026】ここで、ポリエステル系樹脂とは、テレフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸のような芳香
族ジカルボン酸とエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような
脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるポリマーか
らなる樹脂である。該ポリマーの代表的なものとして
は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチ
レン2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PE
N)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などが例
示される。また、該ポリマーはホモポリマーの他に、2
0モル%以下の第三成分を含有したコポリマーであって
もよい。この場合、ジカルボン酸成分として、たとえば
イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキ
シカルボン酸(たとえばp−オキシ安息香酸など)の一
種又は二種以上を用いることができる。グリコール成分
としては、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ネオペンチルグリコールなどの一種又は二種以上
を用いることができる。
【0027】ところで、市販のプラスチック基材には、
表面への印刷性の改良のため、コロナ放電処理などの表
面酸化処理が施されているものもあるが、かかる市販品
について、本発明の表面酸化処理を実施することなく用
いた場合には、本発明が目的とする十分に強固な接着力
を得ることができない。
【0028】本発明の圧着工程には、公知の押出ラミネ
ーターを使用できる。
【0029】本発明においては、表面酸化処理工程及び
圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後のプ
ラスチック基材を直ちに圧着工程に付すことが好まし
い。このことにより、より高水準の接着強度が発現さ
れ、かつ好ましくない基材フィルムのブロッキングが防
止される。なお、上記の「圧着工程をインラインに設
け、表面酸化処理工程後のプラスチック基材を直ちに圧
着工程に付す」とは、押出ラミネート加工において、プ
ラスチック基材の繰出し工程、表面酸化処理工程、圧着
工程及び製品巻取り工程がプラスチック基材の流れ方向
に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、こ
れらの工程を速やかに一連の作業で行うことを意味す
る。
【0030】本発明においては、接着強度を一層向上さ
せる観点から、表面酸化処理工程の前に、表面酸化処理
工程に付すべきプラスチック基材を、40℃以上かつプ
ラスチック基材の融点以下の温度で加熱する工程である
表面酸化前加熱工程を設けることが好ましい。
【0031】加熱温度は、40℃以上かつプラスチック
基材の融点以下の温度であり、好ましくは60℃以上か
つ基材の融点より30℃低い温度以下である。ここで、
該温度はプラスチック基材の表面温度をいい、たとえば
接触式温度計により測定することができる。プラスチッ
ク基材の加熱は遠赤外線ヒーターや加熱ロールなどを用
いることにより最適に行われる。たとえば、プラスチッ
ク基材を表面酸化処理工程へ搬送する過程で、遠赤外線
ヒーターの下を通過させればよく、たとえばプラスチッ
ク基材巾500mmの材料であれば遠赤外線ヒーターの
出力としては1〜30KW程度のもの(複数のヒーター
を用いる場合はその合計出力)を用い、ヒーターとプラ
スチック基材表面の距離を1〜30cm程度に保ち、
0.05〜5秒程度加熱すればよい。
【0032】本発明においては、接着強度を一層向上さ
せる観点から、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積
層フィルムを、保温下、熟成する工程である熟成工程を
設けることが好ましい。
【0033】熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未
満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が
低過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあ
り、一方高過ぎる場合は、ラミネートした樹脂のヒート
シール性能やホットタック性能の低下を招くことがあ
る。更にラミネートフィルムがカールしたり、スリット
工程や内容物の充填工程で不都合を生じることがあり、
またラミネート樹脂が変質し、臭気問題を生じることが
ある。
【0034】熟成時間は、通常1〜120時間、好まし
くは10〜80時間である。熟成時間が短か過ぎる場合
は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、長
過ぎる場合は、押出ラミネートした樹脂が変質すること
があり、また生産性の点でも不利である。熟成工程を実
施するには、通常のオーブン又は温度調整が可能な部屋
を用いればよい。
【0035】本発明においては、表面酸化前加熱程、表
面酸化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工
程のすべてを組み合わせて実施することにより、一層強
固な接着強度を実現することができる。
【0036】次に、表面酸化処理工程の具体的実施態様
について説明する。表面酸化処理工程は、具体的には、
コロナ処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ
処理工程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程な
どにより実施される。
【0037】コロナ放電処理工程は、プラスチック基材
の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程である。
コロナ放電処理は、たとえば公知のコロナ放電処理器を
用い、発生させたコロナ雰囲気にプラスチック基材を通
過させることにより行われる。ここで、接着強度を高水
準に維持するという観点からは、コロナ放電密度は、4
0(W・分/m2 )以上が好ましく、更に好ましくは5
0(W・分/m2 )以上である。コロナ放電密度の上限
は、特にないが、経済性の観点から200(W・分/m
2 )以下が好ましい。ただし、表面酸化前加熱工程及び
/又は熟成工程を用いる場合の好ましいコロナ放電密度
は、10(W・分/m2 )以上である。
【0038】プラズマ処理工程は、アルゴン、ヘリウ
ム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気
などの単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に
励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とし
た励起不活性ガスを、プラスチック基材の表面に吹きつ
けることにより実施できる。
【0039】フレームプラズマ処理工程は、天然ガスや
プロパンを燃焼させた時に生じる火炎内のイオン化した
プラズマを、プラスチック基材の表面に吹きつけること
により実施できる。
【0040】電子線照射処理工程は、プラスチック基材
の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射
することにより行われる。電子線照射装置としては、た
とえば、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電
子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品
名)を使用することができる。
【0041】紫外線照射処理工程は、たとえば200〜
400mμの波長の紫外線を、プラスチック基材の表面
に照射することにより実施される。
【0042】本発明においては、プラスチック基材上に
押出ラミネートした樹脂を積層フィルムのヒートシール
層に適用することや、また積層フィルムの中間層に適用
することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、たとえ
ば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされ
る。また、本発明においては、サンドイッチ押出ラミネ
ーション法においても適用できる。
【0043】本発明の押出ラミネート用樹脂は、本発明
の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、たとえば抗
酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃
剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機又
は無機の充填剤などを併用してもよい。本発明の積層フ
ィルムは、包装材料、たとえば食品包装材料、医薬品包
装材料や工業用品包装材料に使用できる。
【0044】本発明の圧着工程に付すプラスチック基材
は、AC剤を塗工する必要がないため、AC剤を塗工す
る装置及びAC剤を塗工する時に用いる有機溶剤の乾燥
工程を全く必要としない。また、本発明によって得られ
る積層フィルム及び製品は、AC剤及び有機溶剤の製品
内への巻き込まれの心配がない。
【0045】よって、例えば150(m/分)以上の高
速加工を行う場合、従来のAC剤を用いる技術ではAC
剤を塗工する工程が律速となっていたが、本発明では全
くその心配がない。本発明の積層フィルムは、その加工
速度が140m/分を超え、上限は特に限定されるもの
ではないが、例えば600m/分程度である。また、加
工速度は、好ましくは140m/分を超え、400m/
分以下である。
【0046】
【実施例】次に、本発明を実施例に基づき説明するが、
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施
例及び比較例における測定方法は、次のとおりである。 (1)(O/C)* 及び(O/C)0 の測定 FI Surface Science System
社製 ESCALABMK−IIを使用し、O1S及びC
1Sのそれぞれのピーク強度の面積比に各ピークの相対感
度をかけた値の比から、酸素と炭素の存在比(O/C)
を求めた。なお、(O/C)* は、樹脂を押出ラミネー
トし貼合後30分経過時点での測定値である。ただし、
実際の測定は、貼合しないプラスチック基材を別に準備
しておき、その基材を貼合に付す基材と同様に表面酸化
処理し、その表面について行なった。 (2)膜接着強度の測定 15mm巾の積層フィルムを、東洋精機(株)製オート
ストレイン型引張試験機を使用して、200mm/mi
nの引張り速度で180度剥離した時の剥離強度からそ
の膜接着性を評価した。
【0047】実施例1 線状低密度ポリエチレン(LLDPE;住友化学工業社
製スミカセンα CS8026 MFR10g/10
分、密度0.914g/cm3 )を、口径65mmφの
押出機2台で溶融混練し、マルチスロットタイプのTダ
イからそれぞれの樹脂温度を290℃、フィルム幅45
0mm、ラミネート層の厚みをそれぞれ25μ(合計5
0μ)、ラミネート速度を220m/分で押出して溶融
薄膜となし、次いで該溶融薄膜の基材との接着面に、ダ
イ下30mmの位置に設けたノズルから30(g/Nm
3 )の濃度でオゾンを含む空気を2(Nm3 /Hr)の
条件で吹き付けることにより、該溶融薄膜の基材との接
着面をオゾン処理した。この時のオゾン処理量は溶融フ
ィルムの通過単位面積に対し、10.1( mg/m2
であった。次いで、押出ラミネーターのインラインに設
けたコロナ放電装置によって、二軸延伸ナイロンフィル
ム基材(以下、ONyと称す)に処理密度37(W・分
/m2 )でコロナ処理した。この時のΔO/Cは0.0
97であった。次いで、表面改質された15μのONy
フィルムにオゾン処理工程で得られた溶融フィルムを圧
着ラミネートした。本実施例で得られたラミネート物の
ポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度は、
500(g/15mm)であった。加工条件及び評価結
果を表1〜2に示す。
【0048】実施例2 ラミネートフィルムの熟成処理条件を45℃、72時間
に変更した以外は、実施例1と同様に行った。本実施例
で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィ
ルム基材間の接着強度は、690(g/15mm)であ
った。加工条件及び評価結果を表1〜2に示す。
【0049】実施例3 加工速度を160(m/分)、コロナ処理密度を15
(W・分/m2 )に変更した以外は、実施例2と同様に
行った。本実施例で得られたラミネート物のポリエチレ
ン膜とONyフィルム基材間の接着強度は、350(g
/15mm)であった。加工条件及び評価結果を表1〜
2に示す。
【0050】実施例4 基材を二軸延伸エチレンービニルアルコール共重合体
(以下、EVOHと称す)フィルムに変更し、更に熟成
処理条件を40℃、24時間に変更した以外は、実施例
2と同様に行った。本実施例で得られたラミネート物の
ポリエチレン膜とEVOHフィルム基材間の接着強度を
測定したところ剥離不可であった。加工条件及び評価結
果を表3〜4に示す。
【0051】実施例5 基材を未延伸エチレンービニルアルコール共重合体(以
下、CEVOHと称す)フィルムに変更した以外は、実
施例4と同様に行った。本実施例で得られたラミネート
物のポリエチレン膜とCEVOHフィルム基材間の接着
強度を測定したところ剥離不可であった。加工条件及び
評価結果を表3〜4に示す。
【0052】比較例1 コロナ処理及びオゾン処理を施さない以外は、実施例1
と同様に行った。本比較例で得られたラミネート物のポ
リエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度は、4
0(g/15mm)であった。加工条件及び評価結果を
表5〜6に示す。
【0053】比較例2 オゾン処理を施さない以外は、実施例1と同様に行っ
た。本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜
とONyフィルム基材間の接着強度は、5(g/15m
m)であった。加工条件及び評価結果を表5〜6に示
す。
【0054】比較例3 熟成処理を施し、コロナ処理を施さない以外は、実施例
1と同様に行った。本比較例で得られたラミネート物の
ポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度は、
210(g/15mm)であった。加工条件及び評価結
果を表5〜6に示す。
【0055】比較例4 基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラ
インに設けたAC剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶
剤とするAC剤を塗工した。本比較例で用いたAC剤塗
工装置のAC剤コーターはプレーンロールタイプを使用
したが、ラミネート速度が速いため、基材上にAC剤を
均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得ら
れたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基
材間の接着にはバラツキが生じた。また、AC剤塗工装
置の内でAC剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪か
った。本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン
膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが測定
部位によってバラツキが生じ、接着強度は最低値で21
0(g/15mm)、最高値で670(g/15mm)
であった。加工条件及び評価結果を表5〜6に示す。
【0056】比較例5 コロナ処理及びオゾン処理を施さず、熟成温度を40
℃、熟成時間を24時間とする以外は、実施例3と同様
に行った。本比較例で得られたラミネート物のポリエチ
レン膜とEVOHフィルム基材間の接着強度は、20
(g/15mm)であった。加工条件及び評価結果を表
7〜8に示す。
【0057】比較例6 オゾン処理を施さず、熟成温度を40℃、熟成時間を2
4時間とする以外は、実施例3と同様に行った。本比較
例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とEVOH
フィルム基材間の接着強度は、30(g/15mm)で
あった。加工条件及び評価結果を表7〜8に示す。
【0058】比較例7 基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラ
インに設けたAC剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶
剤とするAC剤を塗工した以外は、実施例3と同様に行
った。本比較例で用いたAC剤塗工装置のAC剤コータ
ーはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速
度が速いため、基材上にAC剤を均一に塗工することが
できなく塗工ムラが発生し、得られたラミネート物のポ
リエチレン膜とEVOHフィルム基材間の接着にはバラ
ツキが生じた。また、AC剤塗工装置の内でAC剤が飛
散するばかりでなく作業環境は悪かった。本比較例で得
られたラミネート物のポリエチレン膜とEVOHフィル
ム基材間の接着強度を測定したが測定部位によってバラ
ツキが生じ、接着強度は最低値で260(g/15m
m)、最高値で690(g/15mm)であった。加工
条件及び評価結果を表7〜8に示す。
【0059】比較例8 コロナ処理及びオゾン処理を施さない以外は、実施例4
と同様に行った。本比較例で得られたラミネート物のポ
リエチレン膜とCEVOHフィルム基材間の接着強度
は、10(g/15mm)であった。加工条件及び評価
結果を表9〜10に示す。
【0060】比較例9 オゾン処理を施さない以外は、実施例4と同様に行っ
た。本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜
とCEVOHフィルム基材間の接着強度は、10(g/
15mm)であった。加工条件及び評価結果を表9〜10
に示す。
【0061】比較例10 基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラ
インに設けたAC剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶
剤とするAC剤を塗工した以外は、実施例4とと同様に
行った。本比較例で用いたAC剤塗工装置のAC剤コー
ターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート
速度が速いため、基材上にAC剤を均一に塗工すること
ができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネート物の
ポリエチレン膜とCEVOHフィルム基材間の接着には
バラツキが生じた。また、AC剤塗工装置の内でAC剤
が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。本比較例
で得られたラミネート物のポリエチレン膜とCEVOH
フィルム基材間の接着強度を測定したが測定部位によっ
てバラツキが生じ、接着強度は最低値で220(g/1
5mm)、最高値で620(g/15mm)であった。
加工条件及び評価結果を表9〜10に示す。
【0062】
【表1】 ───────────────────────────── 実 施 例 1 2 3 ───────────────────────────── 基材 ONy ONy ONy 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 加工条件 加工法 1) 共押 共押 共押 溶融押出 接着層 (℃) 290 290 290 樹脂温度シーラント層(℃) 290 290 290 速度 (m/分) 220 220 160 厚み 接着層(μ) 25 25 25 シーラント層(μ) 25 25 25 AC処理 無 無 無 コロナ放電処理 処理密度(W・分/m2) 37 37 15 (O/C)* 0.240 0.240 0.230 (O/C)0 0.153 0.153 0.153 ΔO/C 0.097 0.097 0.077 オゾン処理 処理量(mg/m2 ) 10.1 10.1 10.1 熟成処理 温度 (℃) − 45 45 時間 (hr) − 72 72 ─────────────────────────────
【0063】
【表2】 ───────────────────────────── 実 施 例 1 2 3 ───────────────────────────── 評価 膜接着強度(g/15mm) 500 690 350 AC剤の塗工ムラ − − − ─────────────────────────────
【0064】
【表3】 ─────────────────────────── 実施例 4 5 ─────────────────────────── 基材 EVOH CEVOH 押出ラミネート樹脂 LL LL 押出ラミネート樹脂 LL LL 加工条件 加工法 1) 共押 共押 溶融押出 接着層 (℃) 290 290 樹脂温度シーラント層(℃) 290 290 速度 (m/分) 220 220 厚み 接着層(μ) 25 25 シーラント層(μ) 25 25 AC処理 無 無 コロナ放電処理 処理密度(W・分/m2) 37 37 (O/C)* 0.380 0.290 (O/C)0 0.314 0.238 ΔO/C 0.066 0.062 オゾン処理 処理量(mg/m2 ) 10.1 10.1 熟成処理 温度 (℃) 40 40 時間 (hr) 24 24 ───────────────────────────
【0065】
【表4】 ─────────────────────────── 実施例 4 5 ─────────────────────────── 評価 膜接着強度(g/15mm) 剥離不可 剥離不可 AC剤の塗工ムラ − − ───────────────────────────
【0066】
【表5】 ─────────────────────────────────── 比 較 例 1 2 3 4 ─────────────────────────────────── 基材 ONy ONy ONy ONy 押出ラミネート樹脂 LL LL LL LL 押出ラミネート樹脂 LL LL LL LL 加工条件 加工法 1) 共押 共押 共押 共押 溶融押出 接着層 (℃) 290 290 290 290 樹脂温度 シーラント層(℃) 290 290 290 290 速度 (m/分) 220 220 220 220 厚み 接着層(μ) 25 25 25 25 シーラント層(μ) 25 25 25 25 AC処理 無 無 無 有 コロナ放電処理 処理密度(W・分/m2 ) − 37 − − (O/C)* 0.191 0.240 0.191 − (O/C)0 0.153 0.153 0.153 − ΔO/C 0.038 0.097 0.038 − オゾン処理 処理量 (mg/m2 ) − − 10.1 − 熟成処理 温度 (℃) − − 40 40 時間 (hr) − − 48 48 ───────────────────────────────────
【0067】
【表6】 ─────────────────────────────────── 比 較 例 1 2 3 4 ─────────────────────────────────── 評価 膜接着強度(g/15mm) 40 < 5 210 210〜670 AC剤の塗工ムラ − − − 有 ───────────────────────────────────
【0068】
【表7】 ────────────────────────────── 比 較 例 5 6 7 ────────────────────────────── 基材 EVOH EVOH EVOH 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 加工条件 加工法 1) 共押 共押 共押 溶融押出 接着層 (℃) 290 290 290 樹脂温度 シーラント層(℃) 290 290 290 速度 (m/分) 220 220 220 厚み 接着層 (μ) 25 25 25 シーラント層(μ) 25 25 25 AC処理 無 無 有 コロナ放電処理 処理密度(W・分/m2 ) − 37 − (O/C)* 0.329 0.380 − (O/C)0 0.314 0.314 − ΔO/C 0.015 0.066 − オゾン処理 処理量 (mg/m2 ) − − − 熟成処理 温度 (℃) 40 40 40 時間 (hr) 24 24 24 ──────────────────────────────
【0069】
【表8】 ────────────────────────────── 比 較 例 5 6 7 ────────────────────────────── 評価 膜接着強度(g/15mm) 20 30 260〜690 AC剤の塗工ムラ − − 有 ──────────────────────────────
【0070】
【表9】 ────────────────────────────── 比 較 例 8 9 10 ────────────────────────────── 基材 CEVOH CEVOH CEVOH 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 押出ラミネート樹脂 LL LL LL 加工条件 加工法 1) 共押 共押 共押 溶融押出 接着層 (℃) 290 290 290 樹脂温度 シーラント層(℃) 290 290 290 速度 (m/分) 220 220 220 厚み 接着層 (μ) 25 25 25 シーラント層(μ) 25 25 25 AC処理 無 無 有 コロナ放電処理 処理密度(W・分/m2 ) − 37 − (O/C)* 0.246 0.290 − (O/C)0 0.238 0.238 − ΔO/C 0.008 0.062 − オゾン処理 処理量 (mg/m2 ) − − − 熟成処理 温度 (℃) 40 40 40 時間 (hr) 24 24 24 ──────────────────────────────
【0071】
【表10】 ────────────────────────────── 比 較 例 8 9 10 ────────────────────────────── 評価 膜接着強度(g/15mm) 10 10 220〜620 AC剤の塗工ムラ − − 有 ──────────────────────────────
【0072】プラスチック基材 ONy :二軸延伸ナイロン、ユニチカ社製 ONタ
イプ15μ EVOH :二軸延伸エチレン−ビニルアルコール共重
合体、クラレ社 15μ CEVOH:未延伸エチレン−ビニルアルコール共重合
体、クラレ社 E20μ 押出ラミネート樹脂 LL :スミカセンα CS8026、MFR10
g/10分、密度0.914g/cm3 加工条件 1)共押 : 共押ラミネート加工 2)表中の「−」は実施しなかったことを表す。 3)AC処理 :日本曹達 T120を使用した。 なお、各表中のコロナ処理欄の表示は、購入前の市販フ
ィルムとしてのコロナ処理の有無に係わりなく、その後
の本発明のコロナ処理について記したものである。
【0073】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、
プラスチック基材並びにポリエチレン系樹脂、ポリプロ
ピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹
脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合
体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネー
ト用樹脂からなる、高速加工に優れる積層フィルム製造
方法であって、上記のような多くの問題を伴うアンカー
コート剤を使用することなく、強固に接着された積層フ
ィルムを得ることができる方法を提供することができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】コロナ処理二軸延伸ナイロン表面のΔO/C値
の経時変化を表わす図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 31/20 7148−4F B32B 31/20 31/30 7148−4F 31/30 C08J 7/00 C08J 7/00 A 303 303 (72)発明者 後藤 裕嗣 千葉県市原市姉崎海岸5の1 住友化学工 業株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラスチック基材並びにポリエチレン系樹
    脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル
    系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エス
    テル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である
    押出ラミネート用樹脂からなる積層フィルムの製造方法
    であって、下記(x)表面酸化処理工程、(y)オゾン
    処理工程及び(z)圧着工程を含み、(x)表面酸化処
    理工程をインラインに設け、アンカーコート剤を使用せ
    ず、かつ加工速度が140m/分を越えることを特徴と
    する積層フィルムの製造方法。 (x)表面酸化処理工程 プラスチック基材の少なくとも一面に表面酸化処理を施
    す工程。 (y)オゾン処理工程 押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度におい
    てフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一
    面にオゾン処理を施す工程。 (z)圧着工程 表面酸化処理工程で得られたプラスチック基材の表面酸
    化処理面とオゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン
    処理面とを接触させ、該フィルムと該プラスチック基材
    を圧着する工程であって、圧着に付すプラスチック基材
    の表面酸化処理面について、下記式で表される関係が成
    立する工程。 (1)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合 △(O/C)≧0.08 (2)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場
    合 △(O/C)≧0.05 ただし、△(O/C)=(O/C)* −(O/C)0
    あり、ここで(O/C)0 は、表面酸化処理を行わない
    面のプラスチック基材表面について、ESCA法により
    測定した酸素原子と炭素原子の各原子数の比を表し、
    (O/C)* は表面酸化処理を行った面のプラスチック
    基材表面について、ESCA法により測定した酸素原子
    と炭素原子の各原子数の比を表す。
  2. 【請求項2】加工速度が140m/分を越え、400m
    /分以下である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】圧着工程において圧着に付すプラスチック
    基材の表面酸化処理面について、下記式で表される関係
    が成立する請求項1記載の製造方法。 (1)プラスチック基材がポリエステル系樹脂の場合 △(O/C)≧0.10 (2)プラスチック基材がポリエステル系樹脂以外の場
    合 △(O/C)≧0.07
  4. 【請求項4】表面酸化処理工程の前に、下記表面酸化前
    加熱工程を有する請求項1記載の製造方法。 表面酸化前加熱工程:表面酸化処理工程に付すべきプラ
    スチック基材を、40℃以上かつ基材の融点以下の温度
    で加熱する工程
  5. 【請求項5】圧着工程の後に、下記熟成工程を有する請
    求項1記載の製造方法。 熟成工程:圧着工程で得られる積層フィルムを、保温
    下、熟成する工程
  6. 【請求項6】熟成温度が30℃以上かつ50℃未満であ
    る請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】表面酸化処理工程の前に請求項4記載の表
    面酸化前加熱工程を有し、かつ圧着工程の後に請求項5
    記載の熟成工程を有する請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】表面酸化処理工程が下記のコロナ放電処理
    工程である請求項1記載の製造方法。 コロナ放電処理工程:プラスチック基材の少なくとも一
    面にコロナ放電処理を施す工程
  9. 【請求項9】コロナ放電処理工程におけるコロナ放電密
    度が、40(W・分/m2 )以上である請求項8記載の
    製造方法。
  10. 【請求項10】圧着工程の後に請求項5記載の熟成工程
    を有し、表面酸化処理工程が請求項8記載のコロナ放電
    処理工程であり、かつコロナ放電処理工程におけるコロ
    ナ放電密度が、10(W・分/m2 )以上である請求項
    1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】表面酸化処理工程が下記のプラズマ処理
    工程である請求項1記載の製造方法。 プラズマ処理工程:プラスチック基材の少なくとも一面
    にプラズマ処理を施す工程
  12. 【請求項12】表面酸化処理工程が下記のフレームプラ
    ズマ処理工程である請求項1記載の製造方法。 フレームプラズマ処理工程:プラスチック基材の少なく
    とも一面にフレームプラズマ処理を施す工程
  13. 【請求項13】表面酸化処理工程が下記の電子線照射処
    理工程である請求項1記載の製造方法。 電子線照射処理工程:プラスチック基材の少なくとも一
    面に電子線照射処理を施す工程
  14. 【請求項14】表面酸化処理工程が下記の紫外線照射処
    理工程である請求項1記載の製造方法。 紫外線照射処理工程:プラスチック基材の少なくとも一
    面に紫外線照射処理を施す工程
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6767600B1 (en) 1998-07-24 2004-07-27 Japan Polyolefins Co., Ltd. Laminate with gas barrier properties, production method therefor, and paper container employing said laminate
US6919135B2 (en) 1998-07-24 2005-07-19 Japan Polyolefins Co., Ltd. Laminate with gas barrier properties, production method therefor, and paper container employing said laminate
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