JP4362928B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体であって、低臭気性に優れる積層体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、紙、金属などの異種材料のフィルム状成形物を貼合わせて単独では有し得ない特性、例えば強度、ガスバリヤー性、保香性、防湿性、ヒートシール性、外観形状などを補った積層体を製造することは一般に行われており、こうして得られる積層体は主に包装材料や工業材料に広く使用されている。
【0003】
このような積層体を製造する方法として、例えばドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットラミネーション法、押出ラミネーション法および共押出ラミネーション法などがあり、これらはその特徴に応じて適用されている。包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形成する場合等はコスト面で有利な押出ラミネーション法が広く用いられている。ヒートシール層としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂やアイオノマー樹脂などが一般に用いられているが、コストの点からポリオレフィン系樹脂が遙かに大量に用いられている。
【0004】
これらの樹脂は、基材との接着を促進するために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した後、その基材との接着面に溶融押出されるのが一般的である。アンカーコート剤としては、例えば有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系等の接着促進剤が用いられている。これらの接着促進剤は、通常、トルエン、酢酸エチル、エタノール、ヘキサン等の有機溶剤で希釈され用いられている。しかしながら、アンカーコート剤を用いるこれらの方法は、アンカーコート剤の塗布や乾燥という煩雑な工程を必要とする問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸散乾燥工程時に有機溶剤が飛散し、作業環境とその周辺環境の衛生上の問題、引火性の有機溶剤の使用に伴う火災発生の危険性の問題、有機溶剤などのアンカーコート剤成分が最終製品である積層体に残留し、それに起因する臭気のため、該製品の適用範囲を制限されるという問題などを有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
これら問題点の多いアンカーコート剤を用いない方法としては、プラスチック系基材の表面酸化処理工程や表面活性化処理工程とオゾン処理工程を組み合わせて積層体を製造する方法が報告されている(特開平7−314629号公報および特開平9−234845号公報)。しかしながら、上記方法により得られた積層体の膜接着強度は大きく改善され実用性を有するものの、例えば食品包装材料の中でも特に低臭気性を要求される用途には臭気の改善が望まれる場合もあった。
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、アンカーコート剤を使用することなく強固に接着され、且つ低臭気性に優れる積層体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含む積層体の製造方法にかかるものである。
工程(1)表面活性化処理工程:基材の少なくとも一面に表面活性化処理を施す工程。
工程(2)オゾン処理工程:押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
工程(3)圧着工程:工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程。
工程(4)改質作用工程:工程(3)で得られた積層体の押出ラミネート樹脂面に、過酸化水素水を接触作用させて臭気を除く工程。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる基材は、フィルムまたはシート形状のものであればよく、延伸物や未延伸物であってもよい。さらに織物や不織布であってもよい。また、該基材は、金属やプラスチックから成るものであってもよく、また、他の材料、例えばアルミニウム箔、鉄箔、紙などとの貼合品であってもよい。基材の肉厚は押出ラミネート加工が可能であれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは5〜500μmの範囲がよい。
【0008】
本発明で用いる基材としては、上記の中でもプラスチック系基材が好ましい。かかるプラスチック系基材として具体的には、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、セロハン、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂などの単体およびこれらの積層フィルムまたはシート、さらにその延伸物、塗工物、織物等が挙げられる。これらの中でも、本発明に用いる基材としては、ナイロン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはポリエチレン系樹脂からなる基材が好ましい。
本発明においてはこれらプラスチック基材は、アルミニウム箔、鉄箔、銅箔、紙などとの貼合品であって、これらプラスチック系基材を接合面に設けた積層体や、アルミニウムやシリカなどの無機物が蒸着されたプラスチック系基材として使用してもよい。
これらプラスチック系基材には予め印刷が施されていてもよい。
【0009】
本発明で用いる押出ラミネート樹脂は特に限定されず、押出ラミネート加工が可能な樹脂であればよく、例えばポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ−4−メチル−1ペンテン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、アイオノマー系樹脂等を挙げることができる。
【0010】
ここで、エチレン系共重合体樹脂としてはエチレンと共重合し得るコモノマー成分を1〜4種類用い共重合された樹脂のことをいい、例えばエチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体樹脂、エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体樹脂、エチレンと無水マレイン酸との共重合体樹脂、エチレンとエポキシ系化合物との共重合体樹脂等の接着性の機能を付与した接着性樹脂を挙げることができる。
またアイオノマー樹脂としては、これらの接着性樹脂を亜鉛やナトリウム等の金属イオンで部分的或いは完全に中和した樹脂を挙げることができる。接着性樹脂としてはグラフト重合法で製造される樹脂であってもよく、例えばポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂に無水マレイン酸などの酸無水物をグラフト重合させたものを挙げることができる。
【0011】
以上述べた樹脂の中でも特に生産性やコスト面からは、ポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂またはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0012】
ポリエチレン系樹脂の製法は特に限定されるものではなく、例えばラジカル重合法またはイオン重合法で製造することができる。ポリエチレン系樹脂としては、ラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレンの他、イオン重合法で製造される高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。ここでいうα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセンなどの炭素原子数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オレフィンは一種または二種以上を併用して用いることができる。エチレン−α−オレフィン共重合体(直鎖状低密度ポリエチレン)に含まれるα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
ポリエチレン系樹脂として好ましくは、前記低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密度ポリエチレンが用いられる。
【0013】
エチレン系共重合体樹脂の中ではコスト面からエチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂、またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂が好ましい。
エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂はそれぞれラジカル重合法で製造することができ、エチレンとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られる。
【0014】
エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂の製造に用いるビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
【0015】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂の製造に用いる(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられる。これらのコモノマーは一種または二種以上用いることができる。
【0016】
エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂またはエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂に含まれるビニルエステルまたは(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ましくは30重量%以下がよく、さらに好ましくは20重量%以下がよい。
【0017】
なお、加工性の観点から、ポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体系樹脂については、それぞれ、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0018】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンや1−ブテンなどのα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。ここでいうα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。プロピレンとエチレンおよび/またはα−オレフィンとの共重合体に含まれるエチレンおよび/またはα−オレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。ポリプロピレン系樹脂の製法は特に限定されるものではなく、例えばイオン重合法で製造することができる。
【0019】
本発明で用いる押出ラミネート樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、例えば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機または無機の充填剤などを併用してもよい。
【0020】
本発明の工程(1)表面活性化処理工程は、基材の被着面に一定以上の活性化点を生成させ、押出ラミネート樹脂との強固な接着を可能にする工程である。
表面活性化処理は好ましくは、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、または低圧プラズマ処理により実施される。
【0021】
コロナ放電処理は、基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す処理である。コロナ放電処理は、例えば公知のコロナ放電処理機を用い、発生させたコロナ雰囲気の下に基材を通過させることにより行われる。ここでコロナ放電処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)等で調整された雰囲気下であってもよい。コロナ放電処理は通常10W・分/m2 以上、好ましくは30〜300W・分/m2 である。
【0022】
電子線照射処理は、基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、例えば線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品名)を用いることができる。ここで、電子線照射処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)等で調整された雰囲気下であってもよい。基材と押出しラミネート樹脂との間の膜接着強度を高水準で維持するという観点から、電子線照射線量は好ましくは5kGy以上、より好ましくは15kGy以上、さらに好ましくは30kGy以上である。また、電子線照射量の上限は特に限定されるものではなく、通常200kGy程度である。なお、ここでいう照射線量とは、照射装置の入り口側における基材フィルムのライン速度に対して設定するものである。また、照射による効果は、電子線照射線が多くの物体を透過する性質から、当該基材の片面への照射のみで基材の厚み方向にもたらされることが多い。
【0023】
紫外線照射処理は、例えば100〜400nmの波長の紫外線を、基材の被着面に照射することにより行われる。ここで紫外線照射処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下であってもよい。
【0024】
フレームプラズマ処理は、天然ガスやプロパンガス等を燃焼させた時に生ずる火炎内のイオン化したプラズマ火炎を基材の表面に吹き付けることにより行われる。
【0025】
大気圧プラズマ処理は、大気圧下でアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、励起不活性ガスを、基材の表面に吹き付けることにより行われる。具体的には、通常、電極間に3〜5kHz、2〜3000Vの交流電圧を印加して励起不活性ガスを発生する。
【0026】
低圧プラズマ処理は、減圧(通常0.1〜5Torr)下で200〜1000Wの出力でアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、基材の表面に吹き付けることにより行われる。
【0027】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂またはナイロン系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理は大気雰囲気下のコロナ放電処理であることが好ましい。
【0028】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリエステル系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理は不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理または不活性ガス雰囲気下の電子線照射処理であることがさらに好ましい。
【0029】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリプロピレン系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理はフレームプラズマ処理または不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理であることが好ましい。
【0030】
本発明の工程(2)オゾン処理工程は、押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程である。オゾン処理は例えば、Tダイ下エアーギャップに設けたノズルまたはスリット状の吹き出し口からオゾンを含ませた気体(例えば空気)を、溶融したフィルム状の押出ラミネート樹脂に吹き付けることにより行われる。オゾンノズル等をTダイ下に設置できない場合は、圧着工程に付す直前の基材上にオゾンを含ませた気体(例えば空気)を吹き付け、その近傍にあるフィルム状の押出しラミネート樹脂にオゾンを接触させ作用させてもよい。
【0031】
吹き付けるオゾンの量は基材と押出しラミネート樹脂との接着性を向上させることができれば特に制約はないが、一般的には溶融フィルムの通過単位面積(m2 )当たり好ましくは0.1〜100mgであり、さらに好ましくは1〜50mgである。
【0032】
なお、押出ラミネート樹脂をフィルム状に溶融押出しする樹脂温度は180〜340℃である。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良となる場合があり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難であるばかりでなく、基材との接着性が不十分となる場合がある。一方、樹脂温度は340℃を超えてもよいが、耐熱性に劣る基材の場合は圧着工程において基材の熱収縮等が発生し易くなり製品の安定生産に不具合が起こる場合があり好ましくない。好ましい樹脂温度としては、210〜330℃である。
【0033】
本発明の工程(3)圧着工程は、工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程である。
本発明の圧着工程は、公知の押出ラミネーターを用いることができる。
【0034】
本発明においては、工程(1)表面活性化処理工程および工程(3)圧着工程をインラインに設けてもよく、また、オフラインに設けてもよいが、生産性の観点からはインラインが好ましい。
なお上記の「表面活性化処理工程および圧着工程をインラインに設けて」とは、押出ラミネート加工において基材の繰り出し工程、表面活性化処理工程、圧着工程および製品巻き取り工程が基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、これらの工程を一連の作業で行うことを意味する。また、オフラインとはインライン以外の全ての工程を意味し、例えば表面活性化処理工程後の基材を数分から数ヶ月の間、別の倉庫等に保管し、その後該基材を繰り出し工程から導き圧着工程に付す方法をいう。
【0035】
本発明においては、基材との接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程後に、圧着工程で得られた積層体を保温下、熟成する熟成工程を設けることが好ましい。
熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が低すぎる場合は接着強度の改善が不充分の場合がある。一方、高過ぎる場合は、特に接着性改善に問題はないが、経済性から好ましくない。熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜100時間である。熟成時間が短い場合は接着性の改善が不充分であることがあり、一方、長すぎる場合は、生産性の点でも不利である。
熟成工程を実施するには、通常のオーブンまたは温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0036】
本発明においては、表面活性化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程、および熟成処理工程のすべてを組み合わせて実施することにより、基材と押出ラミネート樹脂は一層強固な接着強度を実現できる。
【0037】
本発明の工程(4)改質作用工程は、工程(3)で得られた積層体の押出ラミネート樹脂面に、過酸化水素水を接触作用させて臭気を除く工程である。また、本発明の工程(4)改質作用工程は、例えばサンドイッチラミネート法等で製造される三層以上に積層された多層体の表面に過酸化水素水を接触作用させることにより、内側の層から拡散透過した臭気性物質を除く工程に用いることもできる。
【0038】
本発明の工程(4)改質作用工程に用いる過酸化水素水の濃度調整は、特に限定されないが、市販の過酸化水素水を水で希釈し所定濃度に調整することで得ることができる。
【0039】
本発明においては、工程(4)に用いる過酸化水素水の濃度は特に制約されないが、その濃度が0.1%〜50%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは1%〜40%の範囲である。
【0040】
本発明の(4)改質作用工程に用いる過酸化水素水の形態は特に制約されず、水溶液であってもよく、また、該水溶液を単独又は空気などの気体と混合し霧化(又は気化)状態で用いてもよい。
【0041】
本発明の工程(4)改質作用工程は、圧着工程を経た積層体を取り扱う何れの工程で行ってもよく、例えばラミネート製品のスリット工程、製品巻戻し工程、製品出荷検査工程、製袋工程、製缶工程や製品充填工程で行ってもよい。また、改質作用工程ではラミネート製品の形状は特に限定されず、ロール形状に巻き取られた長尺物であってもよく、また、形状が枚葉版であってもよい。さらには、製袋工程を経た袋状の形状であってもよい。
【0042】
本発明においては、基材上に押出ラミネートした樹脂を積層フィルムまたはシートのヒートシール層に適用することや、また積層フィルムまたはシートの中間層に適用することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、例えば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされる。また、本発明においてはサンドイッチ押出ラミネート法においても適用できる。
【0043】
本発明で得られる積層体は、積層フィルムや積層シートとして、包装材料、例えば食品包装材料、医薬品包装材料や工業材料に適用できる。
【0044】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明する。なお、得られた積層フィルムの評価方法は下記のとおりである。
【0045】
(1)膜接着強度の測定:15mm巾の積層フィルムを、東洋精機(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200(または50)mm/minの引張り速度で180度剥離した時の剥離強度からその膜接着強度を評価した。(単位:g/15mm巾)
【0046】
(2)臭気官能評価:積層フィルムの臭気をパネラー3人の官能試験によって調査した。評価基準は以下の通り。
「×」は改善を要すると思われる場合。
「△」は適用を制約される可能性のある場合。
「○」はさらなる改善が好ましい場合。
「◎」は充分な改善効果があり実用性を有する場合。
【0047】
[実施例1]
押出ラミネーターの主繰出し装置より、基材としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルム「クラレ社製EVOHフィルムEF−XL;15μm」を繰出し、インラインに設けたコロナ放電処理装置によって大気下で処理密度88W・分/m2 で表面活性化処理工程を実施し圧着工程に付すと共に、低密度ポリエチレン(LDPE;住友化学工業(株)製 商品名スミカセンCE4009、MFR7g/10分、密度0.919g/cm3 )を、口径65mmの押出機で溶融混練し、Tダイから樹脂温度315℃、フィルム巾500mm、ラミネート層の厚み30μm、ラミネート速度80m/分で押出して溶融フィルムとなし圧着工程に付した。さらに、該溶融フィルムの基材との接着面に、ダイ下40mmの位置に設けたノズルからオゾンを含む空気を吹き付けることにより、該溶融フィルムの接着面をオゾン処理した。この時のオゾン処理量は30mg/m2 であった。以上の工程を経て二層から構成される積層フィルムを巻取り機で巻取った。
【0048】
圧着工程を経て製造された積層フィルムをA4版の寸法にカットし、押出ラミネート樹脂層が表面となるように治具を用いてSUS薄板に固定すると共に、濃度が3%に調整された過酸化水素水溶液に5秒間入れて接触させ改質作用工程を行った。その後、試料を取り出し付着水をエアーでブロー処理で取り除いた後、パネラーによる官能試験を行い臭気改良の有無を調査した。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0049】
[実施例2]
基材を二軸延伸ナイロンフィルム「ユニチカ社製二軸延伸ナイロンフィルムON;15μm」に変更した以外は、実施例1と同様に行った。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0050】
[実施例3]
実施例1における表面活性化処理工程において、基材を二軸延伸ポリエステルフィルム「東洋紡社製二軸延伸ポリエステルフィルムE5100;16μm」に変更すると共に、ピラー社製のコロナ放電処理機を用いオフラインで酸素濃度が50ppm以下に調整された不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下に表面活性化処理工程を行った(その際のコロナ放電処理密度は80W・分/m2 とした)こと、ラミネート層の厚みを30μmから25μmに変更したことおよびオゾン処理量を30mg/m2から12mg/m2 に変更したこと以外は実施例1と同様に操作して積層フィルムを得た。
次に濃度が6%に調整された過酸化水素水溶液に2秒間入れて接触させ改質作用工程を行った。その後付着水をエアーでブロー処理で取り除いた後、パネラーによる官能試験を行った。なお、膜接着強度の測定は引き取り速度を50mm/minに変更し評価した。その他の条件は、実施例1と同様に行った。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0051】
[実施例4]
実施例3における表面活性化処理工程において、基材を二軸延伸ポリプロピレンフィルム「東セロ社製二軸延伸ポリプロピレンフィルムM−1;20μm」に変更すると共に、アエロジェン社製のフレームプラズマ処理装置を用いオフラインで表面活性化処理工程を行った以外は実施例3と同様に操作して積層フィルムを得た。
次に濃度が6%に調整された過酸化水素水溶液に5秒間入れて接触させ改質作用工程を行った。その後付着水をエアーでブロー処理で取り除いた後、パネラーによる官能試験を行った。その他の条件は、実施例3と同様に行った。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0052】
[比較例1]
改質作用工程を行わなかった他は実施例1と同様に行った。基材と押出ラミネート樹脂の膜接着強度は剥離出来なく充分な接着強度が得られたが、若干臭気があり用途が限定される場合もあることが予想された。加工条件および評価結果を表2に示した。
【0053】
[比較例2]
実施例3における改質作用工程の代りに29℃に調整された超純水に5秒間接触させ臭気に改善を図った。その他の条件は実施例3と同様に行った。その結果、基材と押出ラミネート樹脂の膜接着強度は実用性を有する強度が得られていたが、臭気面の改善がまだ充分とは言えず用途によっては適用の範囲が限定される場合もあることが予想された。加工条件および評価結果を表2に示した。
【0054】
[比較例3]
実施例4における改質作用工程の代りに60℃に調整されたホットエアーに10秒間接触させ臭気の改善を図った。その他の条件は実施例4と同様に行った。その結果、基材と押出ラミネート樹脂の膜接着強度は実用性を有する強度が得られていたが、臭気面の改善がまだ充分とは言えず用途によっては適用の範囲が限定される場合もあることが予想された。加工条件および評価結果を表2に示した。
【0055】
【表1】
Figure 0004362928
【0056】
【表2】
Figure 0004362928
【0057】
なお、上記表1および表2における総合評価は、以下の基準で得られた積層フィルムについて総合的に評価した結果である。
「×」は実用性に乏しい場合。
「△」は適用を制約される可能性がある場合。
「○」はさらなる改善が好ましい場合。
「◎」は充分な実用性を有する場合。
また、表中の――は該処理を行わない場合を示す。
【0058】
【発明の効果】
以上に詳述した通り、本発明により、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体であって、多くの問題を伴うアンカーコート剤を使用することなく強固に接着され、さらに低臭気性に優れる積層体の製造方法を提供することができた。

Claims (9)

  1. 基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
    工程(1)表面活性化処理工程:基材の少なくとも一面に表面活性化処理を施す工程。
    工程(2)オゾン処理工程:押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
    工程(3)圧着工程:工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程。
    工程(4)改質作用工程:工程(3)で得られた積層体の押出ラミネート樹脂面に、過酸化水素水を接触作用させて臭気を除く工程。
  2. 工程(1)の表面活性化処理が、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理または低圧プラズマ処理である請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 工程(2)のオゾン処理量が溶融樹脂押出フィルムの通過単位面積(m2 )あたり、0.1〜100mgの範囲である請求項1または2記載の積層体の製造方法。
  4. 工程(2)で溶融押出される押出ラミネート樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂およびエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 工程(4)に用いる過酸化水素水の過酸化水素濃度が0.1%〜50%の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 工程(1)に用いる基材がプラスチック系基材である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 工程(1)に用いる基材がポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂またはナイロン系樹脂からなる基材であり、且つ、工程(1)の表面活性化処理が大気雰囲気下のコロナ放電処理である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 工程(1)に用いる基材がポリエステル系樹脂からなる基材であり、且つ、工程(1)の表面活性化処理が不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理または不活性ガス雰囲気下の電子線照射処理である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  9. 工程(1)に用いる基材がポリプロピレン系樹脂からなる基材であり、且つ、工程(1)の表面活性化処理がフレームプラズマ処理または不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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