JP4110808B2 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体であって、低臭気性に優れる積層体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
押出ラミネーション法により、プラスチック、紙、金属などからなる基材に、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂などの押出ラミネート樹脂を貼合した積層体は、単独の樹脂では有し得ない特性、例えば強度、ガスバリヤー性、保香性、防湿性、ヒートシール性を有するため、包装材料や工業材料に広く使用されている。
【0003】
該積層体の製造法としては、基材との接着強度を高めるために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した後、該基材のアンカーコート剤塗布面に押出ラミネート樹脂を溶融押出して製造する方法がある。アンカーコート剤としては、例えば有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系等の接着促進剤があげられ、これらは、通常、トルエン、酢酸エチル、エタノール、ヘキサン等の有機溶剤で希釈されて用いられている。そのため、アンカーコート剤を用いた積層体の製造方法には、アンカーコート剤の塗布や乾燥という煩雑な工程を必要とする問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸散乾燥工程時に有機溶剤が飛散するという作業環境の問題、引火性の有機溶剤の使用に伴う火災発生の危険性の問題、積層体に有機溶剤が残留することによる臭気問題などがあった。
【0004】
そのため、アンカーコート剤を用いない積層体の製造方法としては、例えば、基材の表面酸化処理工程と押出ラミネート樹脂にオゾン処理を行う工程とを有する積層体の製造方法、基材の表面処理工程を有する積層体の製造方法が報告されている(特開平7−314629号公報および特開平9−234845号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法により得られた積層体の膜接着強度は大きく改善されるものの、食品包装材料の中でも低臭気性の要求が高い用途においては、該積層体の臭気の改善を望まれることがあった。
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、アンカーコート剤を使用することなく強固に接着され、且つ低臭気性に優れる積層体の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含む積層体の製造方法にかかるものである。
工程(1)表面活性化処理工程:基材の少なくとも一面に表面活性化処理を施す工程。
工程(2)オゾン処理工程:押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
工程(3)圧着工程:工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程。
工程(4)改質作用工程:工程(3)で得られた積層体の押出ラミネート樹脂面に、紫外線を照射する工程。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる基材は、フィルムまたはシート形状のものであり、押出ラミネート加工の基材として用いることができるものであればよい。該基材は、プラスチックや金属からなるものであってもよく、複数の材料の貼合品、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、紙などとプラスチックとの貼合品であってもよい。また、該基材は、延伸物や未延伸物であってもよく、織物、不織布または発泡体であってもよい。基材の厚みは特に制約を受けるものではないが、好ましくは1000μm以下であり、より好ましくは5〜500μmである。
【0008】
本発明で用いる基材としては、プラスチックのフィルム、シート、塗工物、織物などのプラスチック材を含有する基材であるプラスチック系基材が好ましい。これらプラスチック系基材は、アルミニウム箔、鉄箔、銅箔、紙などとプラスチック材との積層体であって、これらプラスチック材を押出ラミネート樹脂のオゾン処理面との圧着面とする積層体であってもよい。該プラスチック系基材は、アルミニウムやシリカなどの無機物が蒸着されていてもよく、該蒸着物に樹脂の塗工(トップコートなど)を行ってもよい。更には、これらプラスチック系基材には印刷が施されていてもよい。かかるプラスチック基材に用いられるプラスチックとしては、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、セロハン、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂などをあげることができ、これらの中では、ナイロン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
【0009】
本発明で用いる押出ラミネート樹脂は、押出ラミネート加工において、フィルム状に溶融押出し可能な樹脂であればよく、該樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ−4−メチル−1−ペンテン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、アイオノマー系樹脂等をあげることができる。
【0010】
ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体やエチレンとα−オレフィンの共重合体であり、代表的には、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンなどをあげることができる。ここでいうα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセンなどの炭素原子数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オレフィンは一種または二種以上を併用して用いることができる。
【0011】
ポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。また、ポリエチレン系樹脂の密度は、好ましくは870〜960kg/m3であり、より好ましくは890〜940kg/m3であり、更に好ましくは895〜930kg/m3である。ここで密度は、JIS K 7112に従い、アニール無しで測定される。
【0012】
ポリエチレン系樹脂の製造方法としては、特に制限されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒や非メタロセン錯体等の錯体系触媒等を用いたスラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等があげられる。
【0013】
エチレン系共重合体樹脂としては、極性基を含有するコモノマーとエチレンとを共重合させた樹脂のことをいい、例えばエチレン−不飽和カルボン酸共重合体系樹脂、エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂、エチレン−エポキシ系化合物共重合体系樹脂、アイオノマー樹脂をあげることができる。
【0014】
エチレン−不飽和カルボン酸共重合体系樹脂の製造に用いる不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸などがあげられる。
【0015】
エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体系樹脂の製造に用いる不飽和カルボン酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸エステルなどがあげられる。これらのコモノマーは一種または二種以上用いることができる。
【0016】
エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂の製造に用いるビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどがあげられる。
【0017】
エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂またはエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体系樹脂に含まれるビニルエステルまたは不飽和カルボン酸エステルから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ましくは30重量%以下がよく、さらに好ましくは20重量%以下がよい。
【0018】
エチレン系共重合体樹脂の中では、コスト面からエチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体系樹脂、またはエチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂が好ましい。
【0019】
エチレン系共重合体樹脂の製造方法としては、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法、溶液重合法等やポリエチレン系樹脂に極性基を含有するコモノマーをグラフト重合させるグラフト重合法等をあげることができる。
【0020】
なお、加工性の観点から、ポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂については、それぞれ、温度190℃、荷重21.18Nにおけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0021】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンのホモポリマー、プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体などがあげられる。ここでいうプロピレン以外のオレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等があげられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。プロピレン以外のオレフィンとプロピレンとの共重合体に含まれるプロピレン以外のオレフィンから誘導される繰り返し単位の含有量は、好ましくは0.1〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。ポリプロピレン系樹脂の製法は特に限定されるものではなく、例えばイオン重合法で製造することができる。
【0022】
以上述べた樹脂の中でも特に生産性やコスト面からは、ポリエチレン系樹脂、エチレン系共重合体樹脂またはポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0023】
本発明で用いる押出ラミネート樹脂は、公知の添加剤、例えば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機または無機の充填剤などを含有していてもよい。
【0024】
本発明の工程(1)表面活性化処理工程は、基材の被着面に一定以上の活性化点を生成させ、押出ラミネート樹脂との強固な接着を可能にする工程である。表面活性化処理は好ましくは、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、または低圧プラズマ処理により実施される。
【0025】
工程(1)表面活性化処理工程におけるコロナ放電処理は、基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す処理である。コロナ放電処理は、例えば公知のコロナ放電処理機を用い、発生させたコロナ雰囲気の下に基材を通過させることにより行われる。ここでコロナ放電処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)等で調整された雰囲気下であってもよい。コロナ放電処理は通常10W・分/m2以上、好ましくは30〜300W・分/m2である。
【0026】
工程(1)表面活性化処理工程における電子線照射処理は、基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、例えば線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品名)を用いることができる。ここで、電子線照射処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)等で調整された雰囲気下であってもよい。基材と押出しラミネート樹脂との間の膜接着強度を高水準で維持するという観点から、電子線照射線量は好ましくは5kGy以上、より好ましくは15kGy以上、さらに好ましくは30kGy以上である。また、電子線照射量の上限は特に限定されるものではなく、通常200kGy程度である。なお、ここでいう照射線量とは、照射装置の入り口側における基材フィルムのライン速度に対して設定するものである。また、照射による効果は、電子線照射線が多くの物体を透過する性質から、当該基材の片面への照射のみで基材の厚み方向にもたらされることが多い。
【0027】
工程(1)表面活性化処理工程における紫外線照射処理は、例えば100〜300nmの波長の紫外線を、基材の被着面に照射することにより行われる。ここで紫外線照射処理の雰囲気は大気下であってもよく、また、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下であってもよい。
【0028】
工程(1)表面活性化処理工程におけるフレームプラズマ処理は、天然ガスやプロパンガス等を燃焼させた時に生ずる火炎内のイオン化したプラズマ火炎を基材の表面に吹き付けることにより行われる。
【0029】
工程(1)表面活性化処理工程における大気圧プラズマ処理は、大気圧下でアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、励起不活性ガスを、基材の表面に吹き付けることにより行われる。具体的には、通常、電極間に3〜5kHz、2〜3000Vの交流電圧を印加して励起不活性ガスを発生させる。
【0030】
工程(1)表面活性化処理工程における低圧プラズマ処理は、減圧(通常0.1〜5Torr)下で200〜1000Wの出力でアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体または混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、基材の表面に吹き付けることにより行われる。
【0031】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂またはナイロン系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理は大気雰囲気下のコロナ放電処理であることが好ましい。
【0032】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリエステル系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理は大気雰囲気下または不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理、不活性ガス雰囲気下の電子線照射処理であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明において、工程(1)に用いる基材としてポリプロピレン系樹脂からなる基材を使用する場合には、工程(1)の表面活性化処理はフレームプラズマ処理または不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理であることが好ましい。
【0034】
本発明の工程(2)オゾン処理工程は、押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程である。オゾン処理は例えば、Tダイ下エアーギャップに設けたノズルまたはスリット状の吹き出し口からオゾンを含ませた気体(例えば空気)を、溶融したフィルム状の押出ラミネート樹脂に吹き付けることにより行われる。オゾンノズル等をTダイ下に設置できない場合は、圧着工程に付す直前の基材上にオゾンを含ませた気体(例えば空気)を吹き付け、その近傍にある溶融したフィルム状の押出ラミネート樹脂にオゾンを接触させ作用させてもよい。
【0035】
吹き付けるオゾンの量は基材と押出ラミネート樹脂との接着性を向上させることができれば特に制約はないが、一般的には溶融フィルムの通過単位面積(m2)当たり好ましくは0.1〜100mgであり、さらに好ましくは1〜50mgである。
【0036】
なお、押出ラミネート樹脂をフィルム状に溶融押出しする樹脂温度は180〜340℃である。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良となる場合があり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難であるばかりでなく、基材との接着性が不十分となる場合がある。一方、樹脂温度は340℃を超えてもよいが、耐熱性に劣る基材の場合は圧着工程において基材の熱収縮等が発生し易くなり製品の安定生産に不具合が起こる場合があり好ましくない。好ましい樹脂温度としては、210〜330℃である。
【0037】
本発明の工程(3)圧着工程は、工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程である。本発明の圧着工程は、公知の押出ラミネーターを用いることができる。
【0038】
本発明においては、工程(1)表面活性化処理工程および工程(3)圧着工程をインラインに設けてもよく、また、オフラインに設けてもよいが、生産性の観点からはインラインが好ましい。なお、上記の「表面活性化処理工程および圧着工程をインラインに設けて」とは、押出ラミネート加工において基材の繰り出し工程、表面活性化処理工程、圧着工程および製品巻き取り工程が基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置された装置を用い、これらの工程を一連の作業で行うことを意味する。また、オフラインとはインライン以外の全ての工程を意味し、例えば表面活性化処理工程後の基材を数分から数ヶ月の間保管し、その後該基材を繰り出し工程から導き圧着工程に付す方法をいう。
【0039】
本発明においては、基材との接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程後に、圧着工程で得られた積層体を保温下、熟成する熟成工程を設けることが好ましい。熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が低すぎる場合は接着強度の改善が不充分の場合がある。一方、高過ぎる場合は、特に接着性改善に問題はないが経済性から好ましくない。熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜100時間である。熟成時間が短い場合は接着性の改善が不充分であることがあり、一方、長すぎる場合は、生産性の点でも不利である。熟成工程を実施するには、通常のオーブンまたは温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0040】
本発明においては、表面活性化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程、および熟成処理工程のすべてを組み合わせて実施することにより、基材と押出ラミネート樹脂は一層強固な接着強度を実現できる。
【0041】
本発明の工程(4)改質作用工程は、工程(3)で得られた積層体に、紫外線を照射し臭気を除く工程である。また、本発明の工程(4)改質作用工程は、例えば、基材、押出ラミネート樹脂、サンド繰出し樹脂基材(シーラントフィルム)の少なくとも三層をサンドイッチラミネート法などにより積層された多層体の表面に紫外線を照射することにより、多層体の内部層から表面に拡散透過した臭気性物質を除く工程に用いることもできる。
【0042】
本発明の工程(4)改質作用工程に用いる紫外線は、主要波長成分として200〜400nmの波長成分が好ましく、さらに好ましくは240nm〜360nm波長を含むものが好ましい。
【0043】
本発明においては、工程(4)改質作用工程に用いる紫外線の発生形態は特に制約はなく市販の紫外線発生装置が適用できる。
【0044】
本発明の工程(4)改質作用工程は、圧着工程を経た積層体を取り扱う何れの工程で行ってもよく、例えばラミネート製品のスリット工程、製品巻戻し工程、製品出荷検査工程、製袋工程、製缶工程や製品充填工程で行ってもよい。また、改質作用工程ではラミネート製品の形状は特に限定されず、ロール形状に巻き取られた長尺物であってもよく、また、形状が枚葉版であってもよい。
【0045】
本発明の積層体の押出ラミネート樹脂層は、積層フィルムまたは積層シートのヒートシール層としてもよく、また積層フィルムまたは積層シートの中間層としてもよい。それらは樹脂のもつ機能、例えば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされる。また、本発明においてはサンドイッチ押出ラミネート法においても適用できる。
【0046】
本発明で得られる積層体は、積層フィルムや積層シートとして、包装材料、例えば食品包装材料、医薬品包装材料や工業用品包装材料に適用できる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明を実施例により説明する。なお、得られた積層フィルムの評価方法は下記のとおりである。
【0048】
(1)膜接着強度の測定:15mm巾の積層フィルムを、東洋精機(株)製オートストレイン型引張試験機を使用して、200(または50)mm/minの引張り速度で180度剥離した時の剥離強度からその膜接着強度を評価した。(単位:g/15mm巾)
【0049】
(2)臭気官能評価:積層フィルムの臭気をパネラー3人の官能試験によって調査した。評価基準は以下の通り。
「△」は適用を制約される可能性のある場合。
「○」はさらなる改善が好ましい場合。
「◎」は充分な改善効果があり広い範囲に適用される場合。
(3)総合評価:積層フィルムの総合評価について、以下の基準で行った。
「△」は適用を制約される可能性がある場合。
「○」はさらなる改善が好ましい場合。
「◎」は充分な実用性を有する場合。
【0050】
[実施例1]
押出ラミネーターの主繰出し装置より、基材としてエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂フィルム(EVOH)「クラレ社製EVOHフィルムEF−XL;15μm」を繰出し、インラインに設けたコロナ放電処理装置によって大気下で処理密度88W・分/m2で表面活性化処理工程を実施し圧着工程に付すと共に、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE;住友化学工業(株)製 商品名スミカセンCE4009、MFR7g/10分、密度0.919g/cm3)を、口径65mmの押出機で溶融混練し、Tダイから樹脂温度315℃、フィルム巾500mm、ラミネート層の厚み30μm、ラミネート速度80m/分で押出して溶融フィルムとなし圧着工程に付した。なお、該溶融フィルムの基材との接着面に、ダイ下40mmの位置に設けたノズルからオゾンを含む空気を吹き付けることにより、該溶融フィルムの接着面をオゾン処理した。この時のオゾン処理量は30mg/m2であった。以上の工程を経て二層から構成される積層フィルムを巻取り機で巻取った。
【0051】
圧着工程を経て製造された積層フィルムをA4版の寸法にカットし、押出ラミネート樹脂層が表面となるように板紙に固定した。次に、センエンジアリング(株)製の紫外線照射装置を用い、押出ラミネート樹脂層表面とランプ管壁との距離30mm、照射時間3秒間の条件で、該板紙に固定した積層フィルムの押出ラミネート樹脂層表面に、主要波長成分が254nm〜365nmの紫外線を照射した。その後、積層フィルムを取り出しパネラーによる官能試験を行い臭気改良の有無を調査した。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0052】
[実施例2]
基材を二軸延伸ナイロンフィルム(ONy)「ユニチカ社製二軸延伸ナイロンフィルムON;15μm」に変更した以外は、実施例1と同様に行った。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0053】
[実施例3]
実施例1の基材を二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)「東洋紡社製二軸延伸ポリエステルフィルムE5100;16μm」に変更すると共に、表面活性化処理工程を窒素ガス(酸素管理濃度50ppm)雰囲気下のコロナ放電処理(放電処理密度は80W・分/m2)に変更した。また、ラミネート層の厚みを30μmから25μmに変更したことおよびオゾン処理量を30mg/m2から12mg/m2に変更したこと以外は実施例1と同様に操作して積層フィルムを得た。その他の条件は、実施例1と同様に行った。加工条件および評価結果を表1に示した。
【0054】
[比較例1]
改質作用工程を行わなかった他は実施例1と同様に行った。基材と押出ラミネート樹脂の膜接着強度は剥離出来なく充分な接着強度が得られたが、若干臭気があり用途が限定される場合もあることが予想された。加工条件および評価結果を表2に示した。
【0055】
[比較例2]
実施例3における改質作用工程の代りに29℃に調整された超純水に5秒間接触させ臭気の改善を図った。その他の条件は実施例3と同様に行った。その結果、基材と押出ラミネート樹脂の膜接着強度は実用性を有する強度が得られており、また臭気面の改善も僅かに認められたがまだ充分とは言えず、用途によっては適用の範囲が限定される場合もあることが予想された。加工条件および評価結果を表2に示した。
【0056】
【表1】
Figure 0004110808
【0057】
【表2】
Figure 0004110808
【0058】
【発明の効果】
以上に詳述した通り、本発明により、基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体であって、多くの問題を伴うアンカーコート剤を使用することなく強固に接着され、さらに低臭気性に優れる積層体の製造方法を提供することができた。

Claims (8)

  1. 基材および押出ラミネート樹脂からなる積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜工程(4)を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
    工程(1)表面活性化処理工程:基材の少なくとも一面に表面活性化処理を施す工程。
    工程(2)オゾン処理工程:押出ラミネート樹脂を180〜340℃の樹脂温度でフィルム状に溶融押出し、その少なくとも一面にオゾン処理を施す工程。
    工程(3)圧着工程:工程(1)で得られた基材の表面活性化処理面と、工程(2)で得られたフィルム状の押出ラミネート樹脂のオゾン処理面とを接触させ、圧着する工程。
    工程(4)改質作用工程:工程(3)で得られた積層体に、紫外線を照射する工程。
  2. 工程(1)の表面活性化処理が、コロナ放電処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理または低圧プラズマ処理である請求項1記載の積層体の製造方法。
  3. 工程(2)のオゾン処理量が溶融樹脂押出フィルムの通過単位面積(m2)あたり、0.1〜100mgの範囲である請求項1または2記載の積層体の製造方法。
  4. 工程(2)で溶融押出される押出ラミネート樹脂が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル共重合体系樹脂およびエチレン−不飽和カルボン酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. 工程(4)に用いる紫外線が、主要な波長成分として200〜400nm波長を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  6. 工程(1)に用いる基材がプラスチック系基材である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 工程(1)に用いる基材がポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂またはナイロン系樹脂からなる基材であり、且つ、工程(1)の表面活性化処理が大気雰囲気下のコロナ放電処理である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 工程(1)に用いる基材がポリエステル系樹脂からなる基材であり、且つ、工程(1)の表面活性化処理が不活性ガス雰囲気下のコロナ放電処理または不活性ガス雰囲気下の電子線照射処理である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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