JP3716006B2 - 積層フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、積層フィルムの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層を、塗工または共押出しにより、少なくとも一面に設けたプラスチック基材並びに押出ラミネート用樹脂からなる積層フィルムの製造方法であって、アンカーコート剤を使用することなく強固に接着された積層フィルムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック、紙、金属箔などの異種材料のフィルム状成形物を貼り合わせて単独では有し得ない特性、たとえば強度、ガスバリヤー性、防湿性、ヒートシール性、外観などを補った積層フィルムを製造することは一般に行われており、こうして得られる製品は主に包装材料などに広く使用されている。このような積層フィルムを製造する方法としては、ドライラミネーション法、ウエットラミネーション法、ホットラミネーション法、押出ラミネーション法、共押出ラミネーション法などがあり、これらはその特徴に応じて適用されている。包装材料などにおいて、基材にヒートシール層を形成する方法としては、コスト面で有利さをもつ押出ラミネーション法が広く用いられている。ヒートシール層としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン系共重合体などのポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂などが用いられるのが一般的であるが、コストの点からポリオレフィン系樹脂が遙かに大量に用いられている。
【0003】
これらの樹脂は、基材との接着性を促進するために、予め基材上にアンカーコート剤を塗布した後、その基材との接着面に溶融押出しされるのが一般的である。アンカーコート剤としては、有機チタネート系、有機イソシアネート系、ポリエチレンイミン系などの接着剤が用いられている。これらの接着剤は、通常トルエン、酢酸エチル、メタノール、ヘキサン等の有機溶剤で希釈して用いられている。しかしながら、アンカーコート剤を用いるこれらの方法は、高価なアンカーコート剤を使用することによる製造コストの上昇の問題、アンカーコート剤の塗布及び乾燥という煩雑な工程を必要とするという問題、アンカーコート剤に含まれる有機溶剤の蒸発乾燥工程時に人体に有害な有機溶剤が飛散し、作業環境及びその周辺環境の衛生上の問題及び引火性の有機溶剤の使用に伴う火災の発生の問題、有機溶剤などのアンカーコート剤成分が最終製品であるフィルムに残留し、それに起因する臭気のため、該製品の食品包装用途などへの適用を制限するという問題などを有する。
【0004】
また、アンカーコート剤を用いる方法では,これらをプラスチック基材に均一に塗工するためには加工速度に制限があり、例えば機械設計以上の速度で塗工した場合は、塗工ムラが発生したり、有機溶剤の乾燥不足となり、接着性の阻害を招くことがある。また、これらの問題を解決するためには塗工工程や乾燥工程の設備が非常に大きなものとなり、生産性に劣るなどの問題点を有する。
なお、一般にアンカーコート剤を用いる方法では、コーターパンと称される装置に有機溶剤に溶解させたアンカーコート剤を入れ、ロールコーティング方式によって高速で通過するプラスチック基材上に該アンカーコート剤を均一に塗工する。コーティングに用いられるロールはアンカーコート剤の種類や基材種によっても異なるが、使用後の洗浄の容易さなどから一般にはプレーンロールが多用されている。
更に、プラスチック基材上に塗工された有機溶剤を主体とするアンカーコート剤は、次の乾燥工程で60〜100℃前後の熱風で乾燥処理され、有機溶剤のみを蒸散させる。
なお、乾燥処理の熱源には蒸気ヒーターや電気ヒーターなどが用いられる。
【0005】
これらアンカーコート剤を用いる方法では上記で述べたような設備上の制約があり、加工速度としては一般には160〜180(m/分)が限界とされている。
【0006】
また、これらアンカーコート剤を用いない方法として、(a)エチレンと、(b)不飽和多塩基酸と、(c)アクリル酸低級アルキルエステル、メタクリル酸低級アルキルエステル、ビニルエステルより選ばれた不飽和単量体を共重合して得られたエチレン系共重合体を溶融混練し、150℃〜330℃の温度でフィルム状に押出し、ついで該フィルムをオゾン処理した後、このオゾン処理面を接着面として基材に圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(特開平4−368845号公報)。しかし、これら不飽和多塩基酸をコモノマー成分に用いた接着性の機能をもつエチレン系共重合体を用いる方法では、製造コストの面及び低融点成分の増加に伴い、押出ラミネート加工時のロールリリース性が劣り、加工温度などに制約を受けるばかりでなく、押出機内の樹脂替えなどの煩雑さを伴い好ましくない。
【0007】
更に、エチレン−α−オレフィン共重合体を公知のオゾン処理装置を用い、基材との接着面をオゾン処理し、基材上にアンカーコート剤を塗布することなく圧着ラミネートして積層体が製造される方法や、不飽和カルボン酸などをポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用い、共押出ラミネート装置との組合わせで基材にノーアンカーで圧着ラミネートして積層体を製造する方法が報告されている(コンバーテック(8)、第36頁、1991年)。しかし、これらの方法で得られた積層体のラミネート樹脂と基材との接着強度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受ける。更に、不飽和カルボン酸等をポリオレフィン系樹脂にグラフト変性した接着性樹脂を用いる方法では、共押出装置が必要なこと及び製造コストが増大するばかりでなく、押出機内の樹脂替え等の煩雑さを伴い好ましくない。
【0008】
また、これらアンカーコート剤を用いない方法として、基材側に接着性を付与したものを用いる方法が提案されている。例えば、予めポリエステル系物質あるいはイミン系物質をコーティングし、表面層を改質した二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、アンカーコート剤を用いることなくポリエチレン系樹脂を高温で押出ラミネートし積層体を製造する方法が報告されている(特開平6−171038公報)。
しかし、この方法で得られる積層体のラミネート樹脂と基材との接着強度は十分とはいえず、その適用範囲は制約を受けばかりか、樹脂を高温で押出ラミネートする必要があるため、加工時に受ける熱酸化により、臭気成分の生成に結び付き包装材料として制約をうけることがある。更にまた、高温適性や耐熱性に劣る樹脂には適用することができない等の問題点を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、易接着性、易印刷性及びガスバリヤー性の機能を有する特定の表面改質層を少なくとも一面に設けたプラスチック基材及びポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなる生産性に優れる積層フィルムの製造方法であって、且つ、アンカーコート剤を使用しない生産性に有利な高速加工が可能となる積層フィルムの製造方法を提供す点に存するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層を、塗工または共押出しにより、少なくとも一面に設けたプラスチック基材、並びに、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなる積層フィルムの製造方法であって、下記(x)表面酸化処理工程、(y)オゾン処理工程及び(z)圧着工程を含み、かつアンカーコート剤を使用しない積層フィルムの製造方法を提供するものである。
(x)表面酸化処理工程
プラスチック基材の表面改質層に表面酸化処理を施す工程。
(y)オゾン処理工程
押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムのプラスチック基材と接する面にオゾン処理を施す工程。
(z)圧着工程
(x)表面酸化処理工程で得られたプラスチック基材の表面改質層と(y)オゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面を圧着する工程。
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層を設けたプラスチック基材は、少なくともプラスチック基材の一面に目的に応じた表面改質層を設けたものであればよい。
【0012】
本発明で用いられる易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層を設けたプラスチック基材としては、例えばナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−ビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、セロハン、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリブテン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、アセチレンセルロースなどが挙げられる。これらプラスチック基材は該樹脂の単層体であってもよく、多層体や積層体であってもよい。更に、これらプラスチック基材は延伸物、未延伸物、織物、不織布であってもよい。
【0013】
ここで、易接着性について説明する。例えば、ナイロン系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材及びポリプロピレン系樹脂基材であれば食品包装材料として用いられる場合が多く、このような用途では他材料と積層される場合が殆どである。よって、ここで言う易接着性とは、他材料との積層工程で用いられる接着剤やアンカーコート剤との接着性の程度をいう。
【0014】
次に、易印刷性について説明する。例えばナイロン系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材及びポリプロピレン系樹脂基材であれば食品包装材料として用いられる場合が多く、このような用途では、被包装物の説明や商品性を高めるため印刷が施されている場合が殆どである。よって、ここで言う易印刷性とは、インキとの接着性の程度をいう。
【0015】
更に、ガスバリヤー性とは酸素ガスバリヤー性のことであり、例えばナイロン系樹脂基材、ポリエステル系樹脂基材及びポリプロピレン系樹脂基材であれば食品包装材料として用いられる場合が多く、このような用途では被包装物である食品の長期保管の機能が要求されることが多い。しかし、これら樹脂単体では樹脂本来の機能に限界があるため、基材表面にガスバリヤー性の機能をもつ改質層を塗工した基材も多く上市されている。
【0016】
次に、本発明で用いられる易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有するプラスチック基材の表面改質層を形成する方法について説明する。
【0017】
プラスチック基材の表面改質層の形成方法としては、例えばラテックス又はエマルジョン溶液などで改質剤をプラスチック基材に塗工する方法が挙げられる。塗工方法としては、プラスチック基材のフィルム成形過程、例えば逐次又は同時二軸延伸などのテンター延伸設備のインラインで塗工されたものでもよく、また、フィルム成形後オフラインで塗工されたものでもよい。
【0018】
これら表面改質層には、例えば、ウレタン系化合物、ポリエステル系化合物、イミン系化合物、アクリル系化合物、ポリビニルアルコール系化合物及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体などが用いられる。
【0019】
表面改質層が塗工方法で形成させたプラスチック基材について具体例を用いて説明する。
例えば、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、特定量の芳香族ジカルボン酸成分、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物とグリコール成分からなるポリエステルであって、かつ全グリコール成分に対してビスフェノール誘導体を5〜90モル%共重合せしめた水溶性共重合ポリエステルを易接着層とした易接着性ポリエステルフィルムが挙げられる(特開平5−147180号公報)。
【0020】
また、ポリエステル系樹脂からなる基材フィルムの、少なくとも片面に設けられた表面層を有するポリエステル系積層フィルムであって、該フィルムの表面層の組成は、分岐したグリコールを構成成分として含有する共重合ポリエステル樹脂(A)とブロック型イソシアネート基を含有する樹脂(B)とを主成分とするもので、各種インキの密着性に優れた汎用タイプのポリエステル系積層フィルムが挙げられる(特開平5−261877号公報)。
【0021】
更に、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、水不溶性ポリマーへの、水溶性で重合性二重結合含有単量体の1種又は2種以上のグラフト化物(A)と、全ジカルボン酸成分中に0.5〜15モル%のスルホン酸金属塩を有するジカルボン酸を含有する混合ジカルボン酸をポリエステルのジカルボン酸成分とする水不溶性ポリエステル共重合(B)との混合ぶつが積層されてなる易滑易接着性フィルムが挙げられる(特開昭63−288750号公報)。
【0022】
更にまた、ポリエステルフィルムの片面に二種類のウレタン系化合物と硬化剤及び水の混合液を塗布し、加熱硬化してなる耐水性、耐ブロッキング性、透明性に優れる易接着性ポリエステルフィルムが挙げられる(特開平6−340049号公報)。
【0023】
更にまた、未延伸または一軸方向のみに延伸されたスルホン酸金属塩誘導体を0.05〜0.03wt%含むポリエチレンテレフタレートフィルムの片面を自己乳化性ポリウレタン樹脂50〜95wt%、水溶性メラミン樹脂4.9〜45wt%およびパラトルエンスルホン酸アンモニウム塩0.1〜5wt%からなる混合物の水溶液でコーティング、乾燥し、続いて二軸方向または最初の延伸方向と直角方向に延伸することにより得られる易接着帯電防止ポリエステルフィルムが挙げられる(特開平3−73330号公報)。
【0024】
更にまた、ポリビニルアルコール40〜80重量%およびイソブチレンー無水マレイン酸共重合物60〜20重量%の組成物の水溶液を未延伸または一軸延伸ポリエステルに塗布し、延伸して形成される厚さ0.1〜2μmの塗布層が少なくとも片面に設けられた各種印刷インキ、蒸着、水系糊などにきわめて優れた接着性をもつ易接着性二軸延伸ポリエステルフィルムが挙げられる(特開平5−310976号公報)。
【0025】
また、本発明で用いる表面改質層を設けたプラスチック基材は、共押出装置などを用いて基材を構成する主要成分とは異なる組成の原料を極めて薄い層にして表面改質した積層フィルムであってもよい。
【0026】
このような方法で得られるプラスチック基材としては、例えばポリエステル系樹脂フィルム基材があり、具体例としては、テレフタル酸及び/又は2、6−ナフタレンジカルボン酸を70mol%以上含むジカルボン酸とジヒドロキシ化合物からつくられたポリエステルの層(A)の少なくとも片面にフェニルインダンジカルボン酸を30mol%以上含むジカルボン酸成分とジヒドロキシ化合物からつくられたポリエステルの層(B)を共押出しにより積層させた積層未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、その後80〜220℃の温度で少なくとも一軸方向に再延伸した易接着性フィルム(特開平6−198828号公報)などが挙げられる。
【0029】
これらプラスチック基材の表面改質層の目的は、その用途や有する機能によって使い分けされるが、例えばナイロン系樹脂基材であれば樹脂の性質上、耐水性や、耐防湿性が劣るため、これらの欠点を補う機能を有するものが挙げられる。
【0030】
ここで、例えばウレタン系化合物、ポリエステル系化合物、イミン系化合物及びアクリル系化合物は、プラスチック基材の片面又は両面に塗工され、耐水性、アンカーコート剤との接着性、印刷インキや金属蒸着物、磁気記録媒体などとの接着性を向上させる目的で塗工される場合が多い。
【0031】
また、ポリビニルアルコール系化合物及びエチレン−ビニルアルコール系共重合体は、プラスチック基材の片面又は両面に塗工され、酸素ガスバリヤー性、水蒸気バリヤー性、印刷インキとの接着性などを向上させる目的で塗工される場合が多い。
【0032】
プラスチック基材の表面改質層を塗工方法で形成する場合、該塗工厚みは特に制限されるものではないが、一般には0.1μ〜5μ前後の範囲である。
【0033】
本発明で用いる表面改質層を設けたプラスチック基材は、設けられた改質層の種類や機能によって異なるが、ナイロン系樹脂基材であればウレタン系樹脂を改質層にもつ基材が接着性や耐水性の向上を図ることができる。
【0034】
ウレタン系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0035】
ポリエステル系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0036】
イミン系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0037】
アクリル系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0038】
ポリビニルアルコール系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0039】
エチレンービニルアルコール系共重合体からなる表面改質層を設けたプラスチック基材としては、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材が好ましい。
【0040】
また、さらにこれらのプラスチック基材とアルミニウム、鉄、紙などとの貼合品であって、これら樹脂を接合面に設けた積層体などが用いられる。これらプラスチック基材は予め印刷が施されていてもよい。基材の肉厚は、押出ラミネート加工が可能であれば特に制約を受けるものではないが、好ましくは5〜200μ、さらに好ましくは10〜50μの範囲がよい。
【0041】
本発明において使用する押出ラミネート用樹脂は、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種であり、これらを単独又は二種以上の混合物として用いることができる。更に必要に応じて、他の樹脂を50%未満の範囲で混合してもよい。
【0042】
ポリエチレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、たとえばラジカル重合法又はイオン重合法で製造することができる。ポリエチレン系樹脂としては、たとえばラジカル重合法で製造される低密度ポリエチレンの他、イオン重合法で製造される高密度ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンとを共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合体などがあげられる。α−オレフィンとしては、たとえばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、オクタデセン−1などの炭素数3〜18のα−オレフィンが用いられ、これらα−オレフィンは、一種又は二種以上用いることができる。
【0043】
ポリプロピレン系樹脂の製法は限定されるものではなく、たとえばイオン重合法で製造することができる。ポリプロピレン系樹脂としては、たとえばプロピレンのホモポリマー又はプロピレンとエチレンとの共重合体やプロピレンとブテン−1との共重合体、プロピレンとα−オレフィンの共重合体などをあげることができる。なお、プロピレンと共重合するα−オレフィンは、一種又は二種以上を用いることができる。
【0044】
エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂はラジカル重合法で製造でき、エチレンとラジカル重合し得る単量体とを共重合して得られる。
【0045】
エチレン−ビニルエステル系共重合体のビニルエステルとしては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオ酸ビニルなどがあげられる。
【0046】
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の(メタ)アクリル酸エステルとしては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチルなどのアクリル酸エステルやメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどのメタクリル酸エステルであって炭素数4〜8の不飽和カルボン酸エステルなどがあげられる。これらのコモノマーは一種又は二種以上用いることができる。
【0047】
エチレン−ビニルエステル共重合体及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれるコモノマー成分の含有量は、好ましくは30重量%以下がよく、更に好ましくは20重量%以下がよい。エチレンと共重合するコモノマー成分の含有量が30重量%より高いと、本発明の主目的である基材との接着性は問題ないが、積層フィルム及びシートの臭気が悪化し、食品包装材料用途に適さないばかりか製造コストが増大する。
【0048】
なお、加工適性の観点から、ポリエチレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂については、190℃におけるメルトフローレート(MFR)が1〜100g/10分の範囲にあることが好ましく、またポリプロピレン系樹脂については、230℃におけるMFRが1〜100g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0049】
本発明のオゾン処理工程は、押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムの少なくとも一面にオゾン処理を施す工程である。オゾン処理は、たとえばTダイ下エアーギャップ間に設けたノズル又はスリット状の吹出し口からオゾンを含ませた気体(空気など)を、溶融フィルムに吹き付けることにより行われる。なお、オゾンノズルがTダイ下に設置できない場合は、圧着ラミネートする直前のプラスチック基材上に吹きつけてもよい。吹きつけるオゾンの量は、溶融フィルムの通過単位面積に対し、1〜30mg/m2 が好ましく、さらに低臭性が問題となる場合は、2〜12mg/m2 が好ましい。なお、押出ラミネート用樹脂をフィルム状に溶融押出しする温度は180〜340℃、好ましくは210〜330である。該温度が180℃未満では、樹脂の延展性が不良となり、肉厚が均一な溶融薄膜を得ることが困難であるばかりか、プラスチック基材との接着強度が不十分となる。一方、340℃を超えると、溶融樹脂の表面の酸化が多くなり、臭気が悪化する。
【0050】
次に、表面酸化処理工程の具体的実施態様について説明する。
表面酸化処理工程は、具体的には、コロナ処理工程、プラズマ処理工程、フレームプラズマ処理工程、電子線照射処理工程、紫外線照射処理工程などにより実施される。
【0051】
プラズマ処理工程は、アルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、水素、窒素、空気などの単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスを、プラスチック基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
【0052】
フレームプラズマ処理工程は、天然ガスやプロパンを燃焼させた時に生じる火炎内のイオン化したプラズマを、プラスチック基材の表面に吹きつけることにより実施できる。
【0053】
電子線照射処理工程は、プラスチック基材の表面に、電子線加速器により発生させた電子線を照射することにより行われる。電子線照射装置としては、たとえば、線状のフィラメントからカーテン状に均一な電子線を照射できる装置「エレクトロンカーテン」(商品名)を使用することができる。
【0054】
紫外線照射処理工程は、たとえば200〜400mμの波長の紫外線を、プラスチック基材の表面に照射することにより実施される。
【0055】
コロナ放電処理工程は、プラスチック基材の少なくとも一面にコロナ放電処理を施す工程である。コロナ放電処理は、たとえば公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気にプラスチック基材を通過させることにより行われる。ここで、接着強度を高水準に維持するという観点からは、コロナ放電密度は、10(W・分/m2 )以上が好ましく、更に好ましくは30(W・分/m2 )以上である。ただし、熟成工程を用いる場合の好ましいコロナ放電密度は、10(W・分/m2 )以上である。
【0056】
本発明の圧着工程は、表面酸化処理工程で得られた表面改質層を設けたプラスチック基材の該処理面とオゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面とを接触させ、該フィルムとプラスチック基材を圧着する工程である。
【0057】
また、本発明の圧着工程に付す表面改質層を設けたプラスチック基材は、アンカーコート剤を塗工する必要がないため、アンカーコート剤を塗工する装置及びアンカーコート剤を塗工する時に用いる有機溶剤の乾燥工程を全く必要としない。
【0058】
よって、例えば150m/分以上の高速加工を行う場合、従来のアンカーコート剤を用いる技術では、アンカーコート剤を塗工する工程が律速となっていたが、本発明では全くその問題はない。
【0059】
また、本発明により得られる積層フィルムは、アンカーコート剤及び有機溶剤の製品内への巻き込みの問題がなく、これらに起因する臭気のトラブルを回避できる。
【0060】
さらに、本発明により得られる積層フィルムは、アンカーコート剤を用いる技術に比べ高速加工ができるため、生産性の向上が可能である。
【0061】
本発明の積層フィルムの製造方法は、用いる表面改質層を設けたプラスチック基材の種類や厚みなど樹脂本来の有する機械的強度によって制約を受ける場合があるが、押出機の能力や基材の繰り出し機及び巻取り機の物理的な問題を解決できるならば、基本的に加工速度に制約はない。
【0062】
ところで、市販のプラスチック基材には、表面への印刷性の改良のため、コロナ放電処理などの表面酸化処理が施されているものもあるが、かかる市販品について、本発明の表面酸化処理を実施することなく用いた場合には、本発明が目的とする十分に強固な接着力を得ることができない。
【0063】
本発明の圧着工程には、公知の押出ラミネーターを使用できる。
【0064】
本発明においては、表面酸化処理工程及び圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後のプラスチック基材を直ちに圧着工程に付すことが好ましい。このことにより、より高水準の接着強度が発現され、かつ好ましくない基材フィルムのブロッキングが防止される。なお、上記の「表面酸化処理工程及び圧着工程をインラインに設け、表面酸化処理工程後のプラスチック基材を直ちに圧着工程に付す」とは、押出ラミネート加工において、プラスチック基材の繰出し工程、表面酸化処理工程、圧着工程及び製品巻取り工程がプラスチック基材の流れ方向に沿って同一ライン上に順次設置さた装置を用い、これらの工程を速やかに一連の作業で行うことを意味する。
【0065】
本発明においては、接着強度を一層向上させる観点から、圧着工程の後に、圧着工程で得られる積層フィルムを、保温下、熟成する工程である熟成工程を設けることが好ましい。
【0066】
熟成温度は、通常30℃以上かつ50℃未満であり、好ましくは40〜45℃である。熟成温度が低過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方高過ぎる場合は、ラミネートした樹脂のヒートシール性能やホットタック性能の低下を招くことがある。更にラミネートフィルムがカールしたり、スリット工程や内容物の充填工程で不都合を生じることがあり、またラミネート樹脂が変質し、臭気問題を生じることがある。
【0067】
熟成時間は、通常1〜120時間、好ましくは10〜80時間である。熟成時間が短か過ぎる場合は接着強度の改善が不十分であることがあり、一方、長過ぎる場合は、押出ラミネートした樹脂が変質することがあり、また生産性の点でも不利である。
【0068】
熟成工程を実施するには、通常のオーブン又は温度調整が可能な部屋を用いればよい。
【0069】
本発明においては、表面酸化処理工程、オゾン処理工程、圧着工程及び熟成工程のすべてを組み合わせて実施することにより、一層強固な接着強度を実現することができる。
【0070】
本発明においては、プラスチック基材上に押出ラミネートした樹脂を積層フィルムのヒートシール層に適用することや、また積層フィルムの中間層に適用することもできるが、それらは樹脂のもつ機能、たとえば易ヒートシール性、防湿性などによって使い分けされる。また、本発明においては、サンドイッチ押出ラミネーション法においても適用できる。
【0071】
本発明の押出ラミネート用樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤、たとえば抗酸化剤、アンチブロッキング剤、耐候剤、中和剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、分散剤、顔料、有機又は無機の充填剤などを併用してもよい。
【0072】
本発明の積層フィルムは、包装材料、たとえば食品包装材料、医薬品包装材料や工業用品包装材料に使用できる。
【0073】
【実施例】
実施例1
基材と接する側を低密度ポリエチレン(LDPE;住友化学工業社製スミカセンL 5816、MFR10g/10分、密度0.917g/cm3 )、シーラント層を線状低密度ポリエチレン(LLDPE;住友化学工業社製スミカセンαCS8026 MFR10g/10分、密度0.914g/cm3 )とし、それぞれを、口径65mmφの押出機2台で溶融混練し、マルチスロットタイプのTダイからそれぞれの樹脂温度を305℃、290℃、フィルム幅450mm、ラミネート層の厚みをそれぞれ25μ(合計50μ)、ラミネート速度を220m/分で押出して溶融薄膜となし、次いで該溶融薄膜の基材との接着面に、ダイ下30mmの位置に設けたノズルから30(g/Nm3 )の濃度でオゾンを含む空気を2(Nm3 /hr)の条件で吹き付けることにより、該溶融薄膜の基材との接着面をオゾン処理した。この時のオゾン処理量は溶融フィルムの通過単位面積に対し、10.1( mg/m2 )であった。次いで、押出ラミネーターのインラインに設けたコロナ放電装置によって、表面改質層を有するユニチカ社製の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材(PTMタイプ)に処理密度37(W・分/m2 )でコロナ処理した。次いて表面改質された12μの表面改質層を有する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにオゾン処理工程で得られた溶融フィルムを圧着ラミネートした。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したところ、剥離不可であった。
結果を表1に示す。
【0074】
実施例2
基材を、易接着性の改良された東洋紡績社製の二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(T4100タイプ)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したところ、基材切れであった。
結果を表1に示す。
【0075】
実施例3
基材を表面改質層を有し易接着性の改良されたユニチカ社製の二軸延伸ナイロン(ONMタイプ)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したところ780(g/15mm)であった。
結果を表1に示す。
【0076】
実施例4
基材を表面改質層を有し耐水性及び易接着性の改良された東洋紡社製の二軸延伸ナイロン(N7030タイプ)に変更した以外は、実施例1と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したところ塗工膜が基材から剥離する強度であった。
結果を表1に示す。
【0077】
実施例5
基材をエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂のエマルジョンが塗工され、ガスバリヤー性の機能をもつ改質層を有する二軸延伸ナイロンフィルム(日本合成化学社製15μ)に変更すると共に、基材と接するラミネート樹脂の押出温度を295℃、それぞれの厚みを20μ(合計40μ)、加工速度を80(m/分)、コロナ処理密度を15(w・分/m2 )に変更した以外は、実施例4と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とEONyフィルム基材間の接着強度を測定したところ塗工膜が基材から剥離する強度であった。
結果を表2に示す。
【0078】
実施例6
基材をエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂のエマルジョンが塗工され、ガスバリヤー性の機能をもつ改質層を有する二軸延伸ポリエステルフィルム(日本合成化学社製12μ)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とEPETフィルム基材間の接着強度を測定したところ塗工膜が基材から剥離する強度であった。
結果を表2に示す。
【0079】
実施例7
基材をエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂のエマルジョンが塗工され、ガスバリヤー性の機能をもつ改質層を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルム(日本合成化学社製20μ)に変更した以外は、実施例5と同様に行った。
本実施例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とEOPPフィルム基材間の接着強度を測定したところ塗工膜が基材から剥離する強度であった。
結果を表2に示す。
【0080】
比較例1
コロナ処理及びオゾン処理を施さない以外は、実施例1と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したが5(g/15mm)であった。
結果を表3に示す。
【0081】
比較例2
オゾン処理を施さない以外は、実施例1と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したが120(g/15mm)であった。
結果を表3に示す。
【0082】
比較例3
コロナ処理を施さない以外は、実施例1と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したが、120(g/15mm)であった。
結果を表3に示す。
【0083】
比較例4
基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラインに設けたアンカーコート剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶剤とするアンカーコート剤を塗工した。本比較例で用いたアンカーコート剤塗工装置のアンカーコート剤コーターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速度が速いため、基材上にアンカーコート剤を均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着にはバラツキが生じた。また、アンカーコート剤塗工装置の内でアンカーコート剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とPETフィルム基材間の接着強度を測定したが、測定部位によってバラツキが生じ、最低値で220(g/15mm)、最高値で590(g/15mm)であった。
結果を表3に示す。
【0084】
比較例5
コロナ処理及びオゾン処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したところ5(g/15mm)であった。
結果を表4に示す。
【0085】
比較例6
オゾン処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが60(g/15mm)であった。
結果を表4に示す。
【0086】
比較例7
コロナ処理を施さない以外は、実施例3と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが230(g/15mm)であった。
結果を表4に示す。
【0087】
比較例8
基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラインに設けたアンカーコート剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶剤とするアンカーコート剤を塗工した以外は、実施例3と同様に行った。本比較例で用いたアンカーコート剤塗工装置のアンカーコート剤コーターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速度が速いため、基材上にアンカーコート剤を均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着にはバラツキが生じた。また、アンカーコート剤塗工装置の内でアンカーコート剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが測定部位によってバラツキが生じ、最低値で290(g/15mm)、最高値で690(g/15mm)であった。
結果を表4に示す。
【0088】
比較例9
コロナ処理及びオゾン処理を施さない以外は、実施例4と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したところ5(g/15mm)であった。
結果を表5に示す。
【0089】
比較例10
オゾン処理を施さない以外は、実施例4と同様に行った。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが60(g/15mm)であった。
結果を表5に示す。
【0090】
比較例11
基材との接着を促進するために、ラミネーターのインラインに設けたアンカーコート剤塗工装置で基材上に酢酸エチルを溶剤とするアンカーコート剤を塗工した以外は、実施例3とと同様に行った。本比較例で用いたアンカーコート剤塗工装置のアンカーコート剤コーターはプレーンロールタイプを使用したが、ラミネート速度が速いため、基材上にアンカーコート剤を均一に塗工することができなく塗工ムラが発生し、得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着にはバラツキが生じた。また、アンカーコート剤塗工装置の内でアンカーコート剤が飛散するばかりでなく作業環境は悪かった。
本比較例で得られたラミネート物のポリエチレン膜とONyフィルム基材間の接着強度を測定したが、測定部位によってバラツキが生じ、最低値で220(g/15mm)、最高値で740(g/15mm)であった。
結果を表5に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
【表5】
【0096】
【0097】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によればアンカーコート剤を使用することなく、強固に接着された積層フィルムを製造することができる。
また、本発明は、高速加工が可能となる積層フィルムの製造方法を提供できる。
Claims (13)
- 易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層を、塗工または共押出しにより、少なくとも一面に設けたプラスチック基材、並びに、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−ビニルエステル系共重合体樹脂及びエチレン−(メタ)アクリル酸エステル系共重合体樹脂からなる群から選ばれる一種である押出ラミネート用樹脂からなる積層フィルムの製造方法であって、下記(x)表面酸化処理工程、(y)オゾン処理工程及び(z)圧着工程を含み、かつアンカーコート剤を使用しない積層フィルムの製造方法。
(x)表面酸化処理工程
プラスチック基材の表面改質層に表面酸化処理を施す工程。
(y)オゾン処理工程
押出ラミネート用樹脂を180〜340℃の温度においてフィルム状に溶融押出し、該フィルムのプラスチック基材と接する面にオゾン処理を施す工程。
(z)圧着工程
(x)表面酸化処理工程で得られたプラスチック基材の表面改質層と(y)オゾン処理工程で得られたフィルムのオゾン処理面を圧着する工程。 - 易接着性、易印刷性またはガスバリヤー性の機能を有する表面改質層が、ウレタン系化合物、ポリエステル系化合物、イミン系化合物、アクリル系化合物、ポリビニルアルコール系化合物またはエチレンービニルアルコール系共重合体からなる請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- ウレタン系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- ポリエステル系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- イミン系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- アクリル系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- ポリビニルアルコール系化合物からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- エチレンービニルアルコール系共重合体からなる表面改質層を設けたプラスチック基材が、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなるプラスチック基材である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- (x)表面酸化処理工程がコロナ放電処理であって、コロナ放電密度が、10(w・分/m2 )以上である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- (x)表面酸化処理工程がコロナ放電処理であって、コロナ放電密度が、30(w・分/m2 )以上である請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- (x)表面酸化処理工程及び(z)圧着工程をインラインに設け、表面改質層を設けたプラスチック基材を直ちに圧着工程に付す請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- (z)圧着工程の後に、得られる積層フィルムに、保温下、熟成処理を施す工程を有する請求項1記載の積層フィルムの製造方法。
- 熟成温度が、30℃以上、50℃未満である請求項12記載の積層フィルムの製造方法。
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